JP3497978B2 - ダイアモンド冷陰極作製装置 - Google Patents
ダイアモンド冷陰極作製装置Info
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Description
く電子を放出する電子源(冷陰極といわれている)にお
いて、良好な電子放出特性を得るための冷陰極作製装置
に関するものである。冷陰極は、蛍光体と組み合わせて
ディスプレイに、光導電膜と組み合わせて撮像装置に応
用される他、超高周波素子や磁気センサなどさまざまな
方面での応用が考えられる。
モリブデン(Mo)やニッケル(Ni)などの高融点金
属やシリコンが用いられてきた。しかし、ダイアモンド
は化学的に安定であり、高硬度であるばかりでなく、負
性電子親和力特性をもつので冷陰極材料として有望であ
る。通常ダイアモンド結晶はCH4 、C2 H2 などの水
素炭化物やCOなどを原料として、化学気相法(CV
D:Chemical Vapor Deposition)などで基板に成長が行
なわれている。これらの場合、基板温度をおよそ800
℃以上の高温にもたらして、上記原料を分解して基板上
にダイアモンド結晶を堆積することを特徴とする。
出する冷陰極に多結晶ダイアモンド、あるいはダイアモ
ンド状炭素を用いる場合には、あらかじめモリブデン
(Mo)などの高融点金属やシリコンなどで尖鋭な先端
を有する陰極と、絶縁物を介してその陰極を取り囲むゲ
ート電極から成る冷陰極(この種の冷陰極を通常Spindt
型と呼んでいる)を作製しておき、その陰極の上方から
上記のCVD法で前記被膜を作製して陰極先端をコーテ
ィングすることが行なわれている。また、シリコンなど
の基板にピラミット型の凹みを作製しておいて、これに
CVD法で前記被膜を堆積し、その後基板を除去する方
法も試みられている。
上述のように基板冷陰極を800℃以上の高温にもたら
す必要があり、しかも、表面層は多量の欠陥を含んだ状
態か非晶質層になっているとの報告がある。冷陰極の特
性は表面層の状態に大きく左右されるので、このような
表面層の構造は好ましくない。
もたない薄膜型の冷陰極作製には、グラファイトターゲ
ットに強力なレーザ光を照射して炭素原子や分子、イオ
ン、クラスタなどを蒸発させ基板に堆積させるレーザア
ブレーション法も研究されている。照射するレーザ光に
はArF(波長193nm)、KrF(波長256nm)な
どのエキシマレーザパルスが用いられる。ただし、この
方法で作製できるダイアモンド結晶のサイズは非常に小
さく、低品質のダイアモンド状炭素被膜になっていると
の報告もある。このような被膜はダイアモンド結晶成分
の割合が小さいので冷陰極として十分な性能が得られな
い。
の大きい結晶が育成できない理由は、1)常圧ではダイ
アモンド相よりグラファイト相の方が安定相であるの
で、パルスレーザアブレーション法で作製中にグラファ
イト相が出現し、これがダイアモンド結晶表面を覆うこ
とによりダイアモンド相成長を阻害する。2)ダイアモ
ンド結晶の成長には高エネルギのイオンが必要である
が、レーザアブレーションでは低エネルギのイオンや中
性分子など、結晶の育成に不要な粒子も多量に基板に付
着するのでダイアモンド相のみの成長が妨げられること
などによると考えられる。
ァイト相の堆積を抑え、前記高エネルギイオンの割合い
を大きくしてダイアモンド相成長の促進されるダイアモ
ンド冷陰極作製装置を提供せんとするものである。
め、本発明のダイアモンド冷陰極作製装置は、多結晶ダ
イアモンドまたはダイアモンド状炭素被膜で表面が被覆
された冷陰極を作製するダイアモンド冷陰極作製装置に
おいて、該作製装置が:反応炉中に載置され、前記多結
晶ダイアモンドまたはダイアモンド状炭素被膜が堆積さ
れるべき冷陰極被堆積基板と;反応炉中で前記被堆積基
板の近傍に置かれ、レーザアブレーションによりその被
堆積基板に前記多結晶ダイアモンドまたはダイアモンド
状炭素被膜を供給するためのグラファイトターゲット
と;該ターゲットにエキシマレーザパルス光を照射する
ためのレーザ供給源と;前記堆積される被膜に前記レー
ザパルス光の照射と同時に不要なグラファイト相の堆積
を抑えるためのX線を照射するX線供給源とを具備した
ことを特徴とするものである。
線がシンクロトン放射光で得られ、そのエネルギが炭素
原子の内殻電子の束縛エネルギ以上のエネルギを有する
ことを特徴とするものである。
板に被膜が堆積される時に基板を補助的に加熱または冷
却するための、加熱手段または冷却手段を具備すること
を特徴とするものである。
被膜に電気的に活性な不純物原子を添加するための、ド
ーピングガス供給源を具備することを特徴とするもので
ある。
る前記X線のビームを絞ったり、マスクを用いて前記被
堆積基板を局所的に被覆して、前記堆積される被膜に空
間的選択的な処理を行う選択手段を具備することを特徴
とするものである。
ラファイト相の堆積を抑え、高エネルギイオンの割合い
を大きくしてダイアモンド相成長の促進をはかるので、
良質のダイアモンド冷陰極が作製できる。
に対して照射を行うX線エネルギは、炭素の内殻電子の
束縛エネルギ以上に選ぶのが好適である。また、高輝度
のX線を照射するためのシンクロトロン放射光を用いる
のが効率的である。この場合X線フォトンの役割は以下
の通りである。アブレーションで生成する低エネルギの
分子やクラスタ、イオンにX線フォトンが吸収されて内
殻電子が励起されると、オージェ過程を経て炭素多価イ
オンが生成され、クーロン爆発によってこれら多価イオ
ンが飛散し基板に達する。また基板表面に付着した分子
やクラスタもX線フォトンを吸収すると同様に多価イオ
ンとなる。多価イオンは高いポテンシャルエネルギを有
しているので、多価イオン自身が高い拡散係数を持つだ
けでなく、隣接する原子や分子との間で電荷の移動が起
り、それら多数の原子をさらにイオン化してダイアモン
ド相の成長を活性化する作用があると考えられる。
的結合が混在するダイアモンド状炭素膜に放射光X線
(およそ4keV以上のエネルギをもつフォトン)を照
射した場合の照射時間と膜中のダイアモンド的結合の割
合の関係を示す。ダイアモンド結合の割合は、被膜のレ
ーザラマン分光スペクトルで、Gピーク(1600cm-1
付近に中心をもつピーク)とDピーク(1350cm-1付
近に中心をもつブロードなピーク)の強度比から推定し
たものである。この比が小さいほどダイアモンド的結合
の割合が大きい。
アモンド的結合は増加し、102 秒程度の照射で飽和す
る傾向にある。さらに高輝度X線を照射した場合の値を
Δ印で示す。同じ照射時間でも○印、□印に比べて大き
くダイアモンド的結合が増加することがわかる。すなわ
ち、これらの結果は、本発明のX線の照射がダイアモン
ド結晶成長促進に効果があることを裏付けている。
マンピークの強度比を示し、□印、○印はともに放射光
X線照射時のラマンピークの強度比で、□印は被堆積基
板の温度が常温、○印は液体窒素温度時のデータであ
る。基板温度の効果はこの範囲ではあまり顕著ではな
く、液体窒素温度時に幾分効果があるかなという程度で
ある。
イアモンド冷陰極作製装置の実施態様をより具体的に説
明する。図2に本発明に係る基本的な構成略線図を示
す。反応炉1中にグラファイトターゲット2と被堆積基
板3を通常のレーザアブレーションのように配置する。
エキシマレーザ光のパルス光4はグラファイトターゲッ
ト2表面に入射して通常のアブレーションを行う。一方
X線ビーム5は被堆積基板上に堆積する被膜6を照射す
るように入射する。被膜6を大面積化する場合には基板
を走査することもできるし、必要に応じて基板加熱用ヒ
ータ7により被堆積基板3を補助的に加熱することもで
きる。
ド冷陰極を作製する場合の、その被堆積基板3の部分拡
大図を示す。その他の作製装置部分の構成は全く図2の
それと同じである。あらかじめ金属などで尖鋭な先端を
もつ陰極11とそれを取囲むゲート電極12を両者の間
に絶縁物13を介して作製しておく(この種の冷陰極は
spindt型と呼ばれている)。このあらかじめ形成した冷
陰極に上方からアブレーション4を行うと同時にX線照
射5を行う。アブレーションを行う際には陰極にバイア
ス電圧14を印加して陰極部に選択的にダイアモンドが
成長するようにしても良い。
の被堆積基板3の部分拡大図を示す。この場合もその他
の作製装置部分の構成は全く図2のそれと同じである。
はじめ図4(a)のように照射X線ビーム5を絞って、
被堆積被膜21を局所的に照射して、微小X線の照射に
より低抵抗のダイアモンド化した部分22とX線が照射
されなかったためダイアモンド化せず高抵抗ダイアモン
ド状炭素のまま残された部分23とを作り、部分22の
みから電子放出が起こるようにし、この照射領域の近傍
に図4(b)のようにゲート電極24を作製し、被膜2
1とゲート電極24の間に電圧を印加して電子を局所的
に放出させる。X線ビームの局所的な照射は、上記のよ
うに絞ることの他X線に対して吸収の大きい材料で作製
したマスクを用いても良い。
ある。冷陰極としてのダイアモンドには、負性電子親和
力特性が期待されている。この特性を生かすには低抵抗
のn型ダイアモンドを作製する必要がある。そこで図の
ように窒素ラジカル8を基板表面近傍に導入してレーザ
アブレーションを行う。これにより、被膜堆積と同時に
n型不純物としての窒素を添加する。
具体的に説明してきたが、本発明はこれら実施例に限定
されることなく、発明の要旨内で各種の変形、変更の可
能なことは自明であろう。
るダイアモンド冷陰極を作製できる。さらに、X線照射
を局所的に行うことにより、冷陰極アレイを作製するこ
ともできる。本発明によるダイアモンド作製装置は、冷
陰極だけではなく、FETなどその他の電子デバイス
や、ダイアモンド膜によるコーティング技術にも応用で
きる。
のダイアモンド的結合の割合の関係を示す図。
基板の部分拡大図。
被堆積基板の部分拡大図。
の構成略線図。
Claims (5)
- 【請求項1】 多結晶ダイアモンドまたはダイアモンド
状炭素被膜で表面が被覆された冷陰極を作製するダイア
モンド冷陰極作製装置において、 該作製装置が:反応炉中に載置され、前記多結晶ダイア
モンドまたはダイアモンド状炭素被膜が堆積されるべき
冷陰極被堆積基板と;反応炉中で前記被堆積基板の近傍
に置かれ、レーザアブレーションによりその被堆積基板
に前記多結晶ダイアモンドまたはダイアモンド状炭素被
膜を供給するためのグラファイトターゲットと;該ター
ゲットにエキシマレーザパルス光を照射するためのレー
ザ供給源と;前記堆積される被膜に前記レーザパルス光
の照射と同時に不要なグラファイト相の堆積を抑えるた
めのX線を照射するX線供給源とを具備したことを特徴
とするダイアモンド冷陰極作製装置。 - 【請求項2】 前記X線がシンクロトロン放射光で得ら
れ、そのエネルギが炭素原子の内殻電子の束縛エネルギ
以上のエネルギを有することを特徴とする請求項1に記
載のダイアモンド冷陰極作製装置。 - 【請求項3】 前記被堆積基板に被膜が堆積される時に
基板を補助的に加熱または冷却するための、過熱手段ま
たは冷却手段を具備することを特徴とする請求項1また
は2に記載のダイアモンド冷陰極作製装置。 - 【請求項4】 前記堆積される被膜に電気的に活性な不
純物原子を添加するための、ドーピングガス供給源を具
備することを特徴とする請求項1から3のいずれか1項
に記載のダイアモンド冷陰極作製装置。 - 【請求項5】 照射される前記X線のビームを絞った
り、マスクを用いて前記被堆積基板を局所的に被覆し
て、前記堆積される被膜に空間的選択的な処理を行う選
択手段を具備することを特徴とする請求項1から4のい
ずれか1項に記載のダイアモンド冷陰極作製装置。
Priority Applications (1)
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JP29537697A JP3497978B2 (ja) | 1997-10-28 | 1997-10-28 | ダイアモンド冷陰極作製装置 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
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Publication Number | Publication Date |
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JPH11135004A JPH11135004A (ja) | 1999-05-21 |
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Family Applications (1)
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---|---|---|---|
JP29537697A Expired - Fee Related JP3497978B2 (ja) | 1997-10-28 | 1997-10-28 | ダイアモンド冷陰極作製装置 |
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---|---|---|---|---|
JP3542031B2 (ja) * | 2000-11-20 | 2004-07-14 | 松下電器産業株式会社 | 冷陰極形成方法、及び電子放出素子並びにその応用デバイス |
US20140029728A1 (en) * | 2011-04-04 | 2014-01-30 | Vsi Co., Ltd. | High-Efficiency Flat Type Photo Bar Using Field Emitter and Manufacturing Method Thereof |
-
1997
- 1997-10-28 JP JP29537697A patent/JP3497978B2/ja not_active Expired - Fee Related
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