JP3541993B2 - 車両用のガラスアンテナシステム - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は車両用の後部窓ガラスに加熱用の導電線条とともに、アンテナ用の導電線条を設け、アンテナ用の導電線条と加熱用の導電線条をともにアンテナとして利用した車両用のガラスアンテナシステムに関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、AM、FMなどのラジオ放送波、TV放送波を受信するための車両用ガラスアンテナが要望されるようになり、車両用後部窓ガラスに加熱用の導電線条とともに、アンテナ用の導電線条が広く使用されているが、このアンテナは加熱用の導電線条の上部あるいは下部余白部に設けるものであるから、占有面積がどうしても小さくならざるを得ず、受信利得を高くすることが困難であり、しかも車体に接近せざるをえず、受信した電波が車体に漏洩したり、加熱用の給電ラインを通じてアース側、直流電源側などに漏洩してしまう。
【0003】
受信利得を高くするために、前置増幅器などを受信機とアンテナ給電部の間に挿入していたが、コストが上がり、しかも強電界中では混変調などが発生するため前置増幅器を使用せずに、受信可能なアンテナが模索されており、そのひとつとして図2に示すように、バスバー4、4とチョークコイル6の間に所望の周波数帯域で誘導性となるインダクタンスを有する一対の高周波コイル7、7を挿入して、給電部2を介してアンテナ線条2によりFMラジオ放送波など超短波帯を受信するときにバスバー4、4を含む加熱用の導電線条3と金属車体の間の静電容量と作用してバスバーとボディの間のインピーダンスを高くすることにより、加熱用の導電線条にした高周波電力がボディに漏洩するのを抑制する方法を、本出願人も特願平6−327309号などとして提案している。
【0004】
また、一対の高周波コイルと加熱用導電線条の間にチョークコイルを挿入してチョークコイルとそれぞれの高周波コイルの接続点を短絡するコンデンサーを挿入した特開平2−311002号が提案されている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、AMラジオ放送波帯の受信感度を改善するために供用されるチョークコイルは、FMラジオ放送波などの超短波帯においては、ストレーキャパシタンスの効果が大きくなり、もはや誘導性ではなく容量性として作用することはよく知られている。
【0006】
このため、加熱用導電線条のバスバーとボディの間のインピーダンスを高くするために挿入する一つの高周波チョークコイルの定数は高くならざるを得ず、また所望する帯域において充分にバスバーとボディの間のインピーダンスを高くすることができない。
【0007】
また、特開平2−311002号の場合のチョークコイルのストレーキャパシタンスは、コイル巻き線の線間の容量に基づくものであり、それぞれのコイルが製作上のばらつきなどによりその値がばらつき制御不能であり、その結果バスバーとボディ間のインピーダンスがばらつき、充分な受信感度が得られない。
【0008】
そこで、本発明者らは、前記高周波チョークコイルとバスバーの間に、所望の周波数帯域で誘導性となるインダクタンスを有する一対の高周波コイルを挿入したガラスアンテナシステムにおいて、前記高周波コイルと前記チョークコイルの接続点とボディの間に所望の周波数帯域で高周波電力をバイパスするように、一対のコンデンサーを挿入すれば、前記チョークコイルのFM帯あるいは超短波帯での容量性としての作用を無視することができることを見いだしたものであり、受信感度を向上させ、前置増幅器を不要とするアンテナシステムを提供することを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明は、車両用の後部窓ガラスに複数本の加熱用導電線条とその両端に接続されるバスバーを設け、前記加熱用導電線条余白部に設けられたアンテナ線条を具備するとともに、前記バスバーにチョークコイルを介して直流電源を接続し、前記チョークコイルとバスバーの間に、超短波帯域で誘導性となるインダクタンスを有する一対の高周波コイルを挿入したガラスアンテナシステムにおいて、前記高周波コイルと前記チョークコイルの接続点とボディの間に、超短波域で高周波電力をバイパスするような一対のコンデンサーを接続するとともに、一対のコンデンサーの片側をそれぞれ金属ボディに接地するようにし、該一対のコンデンサーの静電容量を10pF以上100pF以下としたことを特徴とするものであり、このようにすることにより、FMラジオ放送波などの超短波帯を受信するときには、一対のコンデンサーの静電容量が加熱用導電線条と金属ボディ間の静電容量より大きく、インピーダンスが無視し得る程小さいので、高周波コイルとチョークコイルの間において、すなわち1対の高周波コイルの片側をバイパスコンデンサーが短絡することになり、加熱用導電線条と金属ボディ間の静電容量(C)と高周波コイルのインダクタンス(L)の並列回路を構成し、チョークコイルなどの特性に関係なく並列共振の条件を安定的に求めることができる。
【0010】
【発明の実施の形態】
車両用の後部窓ガラスに複数本の加熱用導電線条とその両端に接続されるバスバーは後述する実施例に述べるように片側を二つに分割して形成したコ字形状以外にも、両側に給電部を設けたものでもよい。
【0011】
また、ガラスアンテナは、実施例に述べるように加熱用導電線条上部余白部に設けたもの以外にも、下部余白部に設けたものでも勿論よく、アンテナパターンは実施例以外にも、各種のパターンを採用することができる。
【0012】
一対のコンデンサーはその静電容量を加熱用導電線条と金属ボディとの間の静電容量より相対的に大きな値10pF以上にする必要があるが、大きすぎるとAMラジオ放送波の受信感度が低下するので、100pF以下とする必要があり、好ましくは30pF〜60pFの範囲で適宜選択すればよく、必ずしも特性値を等しくする必要はない。
【0013】
一対のコンデンサーの金属ボディへの接地は、図1に示すようにそれぞれのコンデンサーの片側同士を接続した導電線条から引き出して接地してもよいが、実際にはそれぞれの片側を近くの金属ボディに接続する方が作業性がよく好ましい。
【0014】
特にバスバーが加熱用導電線条に配設され、給電も両側から行うような場合に効果的である。
また、実施例ではAMラジオ放送波とFMラジオ放送波を受信する例で説明したが、FMラジオ放送波の代わりにTV放送波を受信するアンテナにも勿論応用することができる。
【0015】
【実施例】
以下、図面を参照しながら本発明を詳細に説明する。
図1は本発明のガラスアンテナシステムを示す要部概略図、図2は従来のアンテナシステムを示す要部概略図、図3は本発明のアンテナシステムと従来のアンテナシステムによってFMラジオ放送波を受信したときのダイポール比で測定した受信感度を示す周波数特性図であり、▲1▼が本発明のアンテナ、▲2▼が従来のアンテナを示す。
【0016】
図1に示すように、車両用の後部窓ガラスを構成する板ガラス1の車内側に、アンテナ用の導電線条2、アンテナの給電部2、複数本の加熱用導電線条3、加熱用導電線条の一方の片側に接続される2分割された給電用のバスバー4、4、他方の片側に接続されるバスバー4を、導電ペーストによりスクリーン印刷、焼成して形成する。
【0017】
このようにアンテナ線条と加熱用導電線条がプリントされた板ガラス1を車両用の後部窓ガラスとして開口部に装着した後、加熱用ラインとして直流電源5から、インダクタンスが1mH〜1.5mHなるチョークコイル6、インダクタンスが0.2μHなる高周波コイル7、7を介してバスバー4、4に給電されるが、本発明ではさらにチョークコイル6と高周波コイル7、7の間に静電容量が33pFの一対のコンデンサー8、8を接続し、コンデンサーの他端を近接した金属ボディに接続する。
【0018】
このようにして得られたガラスアンテナシステムによりAMラジオ放送波とFMラジオ放送波を受信すると、AMラジオ放送波受信時には、バスバー4、4を含む加熱用導電線条3とボディ間の静電容量とチョークコイル6のインダクタンスが作用し、バスバーとボディ間のインピーダンスを高くするためAM帯受信感度が向上する。
【0019】
一方、FMラジオ放送波を受信するときにはチョークコイル6と高周波コイル7、7の接続点とボディの間に取り付けられたコンデンサー8、8の作用によりチョークコイル6の部分はバイパスされるためバスバー4、4を含む加熱用導電線条とボディの間の静電容量と高周波コイルのインダクタンスのみが作用しバスバーとボディ間のインピーダンスを高くするためFMラジオ放送波などの超短波帯の受信感度(図3の▲1▼)を図2に示す従来のアンテナシステムで受信したときの感度(図3の▲2▼)と比較するとほとんどの帯域で向上しており、特に80MHzから95MHzの範囲では大幅に向上していることがわかる。
【0020】
しかも全帯域にわたり受信感度が高く、前置増幅器がなくても受信可能である。
【0021】
【発明の効果】
本発明のガラスアンテナシステムは、AMラジオ放送波などの中波、FMラジオ放送波などの超短波帯を受信するときに、車体への漏洩電流を抑制して前置増幅器を不用とすることができるものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のガラスアンテナシステムを示す要部概略図である。
【図2】従来のガラスアンテナシステムを示す要部概略図である。
【図3】本発明のアンテナシステムと従来のアンテナシステムによってFMラジオ放送波を受信したときのダイポール比で測定した受信感度を示す周波数特性図であり、▲1▼が本発明のアンテナ、▲2▼が従来のアンテナを示す。
【符号の説明】
1 板ガラス
2 アンテナ用の導電線条
給電部
3 加熱用導電線条
〜4 バスバー
5 直流電源
6 チョークコイル
、7 一対の高周波コイル
、8 一対のコンデンサー

Claims (1)

  1. 車両用の後部窓ガラスに複数本の加熱用導電線条とその両端に接続されるバスバーを設け、前記加熱用導電線条余白部に設けられたアンテナ線条を具備するとともに、前記バスバーにチョークコイルを介して直流電源を接続し、前記チョークコイルとバスバーの間に、超短波帯域で誘導性となるインダクタンスを有する一対の高周波コイルを挿入したガラスアンテナシステムにおいて、前記高周波コイルと前記チョークコイルの接続点とボディの間に、超短波帯域で高周波電力をバイパスするような一対のコンデンサーを接続するとともに、一対のコンデンサーの片側をそれぞれ金属ボディに接地するようにし、該一対のコンデンサーの静電容量を10pF以上100pF以下としたことを特徴とする車両用のガラスアンテナシステム。
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