JP3541815B2 - 車両の暖房装置 - Google Patents
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Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、車両の暖房装置に関し、特に、RV(リクリエーショナル ビーヒクル)車のように前席1列と後席2列の計3列の座席を有し、フロントヒータとリヤヒータとを有する車両の、フロントヒータの暖房能力を補充する車両の暖房装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
自動車の室内には、空調装置の一環として、暖房装置すなわちヒータが設置される。ヒータには、搭乗者の足元に向かって暖気を吹き出すようにダクトの先端に空気吹出口が設けられる。
そして、車両がRV車のように室内が広く、かつ、座席が3列装備されるような自動車では、前後にそれぞれヒータを設置して、フロントヒータで前席の搭乗者の足元や上半身および後席1列目の搭乗者の足元に暖気を吹き出し、リヤヒータで後席2列目の搭乗者の足元を暖房するように構成することが多い。
【0003】
ところが、フロントヒータで前席の搭乗者と後席1列目の搭乗者とを暖房するので、フロントヒータ本体から離れた吹出口から吹き出す暖気により暖房される後席1列目の搭乗者の暖房は十分とはいえない。すなわち、フロントヒータの暖房能力が十分とはいえないという問題がある。
フロントヒータの暖房能力を大きくすれば上記問題は解決できるが、後席には搭乗者がおらず、前席だけに搭乗者がいるような場合は、前席の搭乗者に対する暖房が利きすぎたり、ヒータのコストが高くなるという問題がある。
また、後席2列目の搭乗者を暖房するリヤヒータは、後席2列目への搭乗頻度が少ないため、使用頻度が少ないという問題がある。
【0004】
具体的には、図4に示すように、近年のRV車は、前席12と後席1列目13と後席2列目14の3列の座席を装備した7〜8人乗りの自動車として、その利便性やコストパフォーマンスの良さから人気を博している。
そして、使用されるヒータは自動車の計器板11の下側に設置したフロントヒータ520の空気吹出口に接続したフロントヒータダクト521から、自動車の床面Fと前席12下部の間を通って前席12の下部後方に開口する空気吹出口522から後席1列目13の搭乗者の足元に向かって暖気を吹き出すようになっている。
【0005】
また、後席2列目14の搭乗者を暖房するリヤヒータ530は、同じく図4に示すように、自動車の側面室内のトリム内に設けた熱交換機とファンからなるリヤヒータユニット539に接続したリヤヒータダクト531から後席1列目13の下部と床面との間に配設した空気吹出口532から後席2列目14の搭乗者の足元に向かって暖気を吹き出すように構成されている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
ところが、RV車は室内が広いため、暖気が室内に広がりやすく、フロントヒータ520からの暖気だけでは、後席1列目13の搭乗者の足元を十分暖めることが難しい。
また、後席2列目14に搭乗する、即ち略満席の状態になる機会はあまり多くないにもかかわらず、独立したリヤヒータ530を設置して、その利用頻度が少ないという問題があった。
【0007】
そこで、本発明は、かかる課題を解決すべく、使用頻度の少ないリヤヒータを有効に活用して、利用頻度は多いが暖房能力が十分とはいえないフロントヒータによる後席1列目の搭乗者への暖房能力を補充することが可能な暖房装置を提供することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明に係る自動車の暖房装置は、前席1列と後席2列の計3列の座席を有する車両に設けられ、車室内前方に設置されて少なくとも前席の搭乗者の足元と後席1列目の搭乗者の足元に向かう空気吹出口を備えるフロントヒータと、後席の近傍に設置され、後席2列目の搭乗者の足元に向かう空気吹出口を備えるリヤヒータとを設けた車両の暖房装置であって、前記リヤヒータから前席下面に延びるダクトを追加し、この追加ダクトを前記フロントヒータに接続されて前席下面に配設されているフロントヒータダクトに接続し、前記リヤヒータからの暖気を吹き出す空気吹出口を前記フロントヒータからの暖気を吹き出す空気吹出口とともに後席1列目の搭乗者の足元に向けたことを特徴とする。
よって、後席1列目の搭乗者に対する暖房能力が不足する場合に、リヤヒータの能力を活用して補充することが可能となり、フロントヒータの性能を大きくすることなく安価に性能向上を図ることができる。
【0009】
また、本発明に係る自動車の暖房装置は、前記リヤヒータに追加した後席1列目の搭乗者の足元に向かう空気吹出口は、フロントヒータの空気吹出口とリヤヒータの空気吹出口とを隔壁により隔離して、フロントヒータからの暖気とリヤヒータからの暖気とをそれぞれ個別に吹き出すようにしたことを特徴とする。
よって、空気吹出口において、フロントヒータからの暖気の吹出口と、リヤヒータからの暖気の吹出口を隔離して暖気同士が混在しないので、一方のダクトから他方のダクトに暖気が逆流することがなく、確実に後席1列目の暖房能力を向上することができる。
【0010】
【発明の実施の形態】
次に、本発明に係る車両の暖房装置の一の実施の形態について図面を参照して以下に説明する。本実施の形態の車両の暖房装置は、自動車のRV車に設けられたものである。
ここで、図1は、フロントヒータとリヤヒータの配置を示した図であり、図2は、図1のII部の拡大分解組付図である。図3はその縦断面図である。
【0011】
(構成)
本発明の車両の暖房装置の構成について説明する。
車両の暖房装置は、従来と同様に前席12の搭乗者並びに後席1列目13の搭乗者の足元を暖房するフロントヒータダクト21を有するフロントヒータ20と、自動車の室内横壁に取り付けられ、後席2列目14(図略)の搭乗者の足元を暖房するリヤヒータダクト31を有するリヤヒータ30とからなり、本発明の主要な要件は、前記リヤヒータ30から前席12下面に延びるダクト35を追加するとともに、この追加ダクト35を、フロントヒータ20に接続されて前席下面に配設されているフロントヒータダクト21に接続して、フロントヒータ20による暖気とリヤヒータ30による暖気とにより後席1列目13の搭乗者の足元の暖房能力を向上させる点にある。
【0012】
まず、フロントヒータ20は、フロントヒータ本体とその空気吹出口に接続されるフロントヒータダクト21とからなり、自動車の計器板11の中央下部に設置される。
フロントヒータダクト21は、前方上部に設けられた太い矩形断面の連通部211とこの連通部211から左右に逆V字に下がる扁平な断面の縦管部212と、この縦管部212が自動車床面Fに当接するところで、床面Fと平行に左右に広がるように折れ曲がり、床面Fに沿うように車両後方に延在して前席12の下部後方で開口する横管部213とからなる。
この横管部213の後半は、床面Fと前席12下面との空間で、床面Fに沿う下部横管部2131から傾斜部2132を経て前席の下面に立ち上がる上部横管部2133とからなっている。
そして、本実施の形態の暖房装置では、この横管部213の傾斜部2132を途中で切断して、その扁平断面の開口部2134に後述する接続ダクト40の一端を接続している。
【0013】
一方、リヤヒータ30は、従来と同様に、車両の側壁内面に配設したリヤヒータユニット39と、該リヤヒータユニット39から側壁内面に沿って車両後方に延在する縦方向に扁平な断面の垂直管部311と、この垂直管部311から車両の床面F上に沿うように左右方向に延在する横方向に扁平な断面の水平管部312からなるリヤヒータダクト31とから構成され、この水平管部312は、後席2列目14の搭乗者の足元を暖房するように後席1列目13の下面と車両の床面Fとの間に吹出口32が配設されている。
すなわち、この垂直管部311と水平管部312は従来と同一の構成である。
【0014】
そして、本発明の特徴である本実施の形態では、リヤヒータユニット39のファンの前方から下方に向かい、車両床面F上を這うように車両幅方向に折り曲げた他のダクト35を追加して、この追加ダクト35の先端をリヤヒータユニット39に接続し、追加ダクト35の途中に設けた接続口36と前記フロントヒータダクト21に接続した接続ダクト40に接続してある。
【0015】
すなわち、図2、図3に詳細に示すように、接続ダクト40は側面断面で前方をヘ字状の傾斜状に折り曲げ、そのヘ字状先端のフロント導入口41で前述したフロントヒータダクト21の横管部213の傾斜部2132の先端の扁平断面の開口部2134に被せるように接続されている。
【0016】
接続ダクト40の平面部は、その下面に下向きに開口するリヤ導入口42を設け、このリヤ導入口42に前述のリヤヒータユニット39に接続された追加ダクト35の接続口36を接続するとともに、平面部の断面を隔壁45により上下方向に区画し、その上方をフロント吹出口43として、フロントヒータダクト21に連通するように構成し、その下方をリヤ吹出し口44として追加ダクト35に連通するように構成している。
【0017】
追加ダクト35のリヤヒータユニット39との接続端部と反対側の端部は、図1に示すように、フロントヒータダクト21のもう一方の空気吹出口22の上部に開口するように空気吹出口を設けているが、ここにも接続ダクト40を適用してもよい。
【0018】
(作用)
次に、本実施の形態の暖房装置の動作について説明する。
まず、後席1列目13、2列目14に搭乗者がなく、前席12のみに搭乗者がある場合は、フロントヒータ20を作動させて、その暖気が前席12の搭乗者に届くようにフロントヒータダクト21の空気吹出口から暖気を吹き出させる。
このとき、後席1列目13に搭乗者がいなくても、前述の接続ダクト40のフロント吹出口43から暖気が吹き出すこととなる。
すなわち、フロントヒータ20を作動させると、前席12の搭乗者と後席1列目13の搭乗者の足元に暖気が吹き出し、特に、後席1列目13の搭乗者の足元には、前述の接続ダクト40の上方のフロント吹出口43から暖気が吹き出すこととなる。
【0019】
つぎに、搭乗者が後席1列目13にもいる場合で、上記フロントヒータ20による接続ダクト40の上部のフロント吹出口43からの暖気だけでは後席1列目13の搭乗者の足元への暖房が不足する場合は、後席2列目14に搭乗者がいなくても、リヤヒータ30を作動させてリヤヒータ30の追加ダクト35からの暖気を接続ダクト40下部のリヤ吹出口44から吹き出させて、接続ダクト40の上部のフロント吹出口43のフロントヒータ20からの暖気と下部のリヤ吹出口44のリヤヒータ30からの暖気とを吹き出させて、暖房の性能を向上させる。
【0020】
さらに、後席2列目14にも搭乗者がいる場合も、上記と同様に、フロントヒータ20とリヤヒータ30の両方を作動させて、リヤヒータ30の本来からのリヤヒータダクト31により、後席2列目14の搭乗者の足元に暖気を送風して暖房する。
この場合、後席2列目14の搭乗者への暖房能力は、リヤヒータ30への追加ダクト35による後席1列目13の搭乗者への暖気の送風に全体の風量の30%程度が取られて、後席2列目14の搭乗者への風量は70%程度になるが、車両室内全体としての暖房能力としては変化しないので、能力低下にはならない。
【0021】
このように、本実施の形態の暖房装置は、従来から設置されているフロントヒータ20のフロントヒータダクト21後端の開口部2134と、リヤヒータ30に追加した追加ダクト35の接続口36とを、その空気吹出口を隔壁により隔離した接続ダクト40のフロント導入口41とリヤ導入口42にそれぞれ接続して、同一場所から後席1列目13の搭乗者の足元に暖気を送風できるようにしたので、リヤヒータ30の余力の暖房能力を安価な接続ダクト40で利用できるようになり、後席1列目13の搭乗者の足元の暖房能力を高める使い勝手のよい暖房装置を提供することが可能となった。
【0022】
なお、本発明は前記実施の形態のものに限定されるものではなく、その趣旨を逸脱しない範囲で様々な変更が可能である。
例えば、前記実施の形態では、リヤヒータ30の追加ダクト35への送風はリヤヒータ30を作動させると必然的に送風するものとしたが、これに限られず、途中に切替弁などを設けて、必要に応じて送風のON,OFFが可能になるようにしてもよい。
また、接続ダクト40をフロントヒータダクト21の右側のみに適用したもので説明したが、左右両方に適用してもよい。
【0023】
【発明の効果】
本発明は、前席1列と後席2列の計3列の座席を有する車両に設けられ、車室内前方に設置されて少なくとも前席の搭乗者の足元と後席1列目の搭乗者の足元に向かう空気吹出口を備えるフロントヒータと、後席の近傍に設置され、後席2列目の搭乗者の足元に向かう空気吹出口を備えるリヤヒータとを設けた車両の暖房装置であって、前記リヤヒータから前席下面に延びるダクトを追加し、この追加ダクトを前記フロントヒータに接続されて前席下面に配設されているフロントヒータダクトに接続し、前記リヤヒータからの暖気を吹き出す空気吹出口を前記フロントヒータからの暖気を吹き出す空気吹出口とともに後席1列目の搭乗者の足元に向けたので、後席1列目の搭乗者への暖気を、フロントヒータからばかりではなく、リヤヒータからの暖気を後席1列目の搭乗者の足元に供給することにより、後席1列目の搭乗者用の新たな暖房機を必要とせず、安価に暖房能力をアップすることが可能となった。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一の実施の形態に係るフロントヒータとリヤヒータの配置を示した図である。
【図2】図1のII部の拡大分解組付図である。
【図3】その縦断面図である。
【図4】従来のRV車の室内のフロントヒータとリヤヒータおよび座席の配置を示した斜視図である。
【符号の説明】
12 前席
13 後席1列目
14 後席2列目
20 フロントヒータ
21 フロントヒータダクト
30 リヤヒータ
31 リヤヒータダクト
35 追加ダクト
40 接続ダクト
43、44 空気吹出口
45 隔壁
【発明の属する技術分野】
本発明は、車両の暖房装置に関し、特に、RV(リクリエーショナル ビーヒクル)車のように前席1列と後席2列の計3列の座席を有し、フロントヒータとリヤヒータとを有する車両の、フロントヒータの暖房能力を補充する車両の暖房装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
自動車の室内には、空調装置の一環として、暖房装置すなわちヒータが設置される。ヒータには、搭乗者の足元に向かって暖気を吹き出すようにダクトの先端に空気吹出口が設けられる。
そして、車両がRV車のように室内が広く、かつ、座席が3列装備されるような自動車では、前後にそれぞれヒータを設置して、フロントヒータで前席の搭乗者の足元や上半身および後席1列目の搭乗者の足元に暖気を吹き出し、リヤヒータで後席2列目の搭乗者の足元を暖房するように構成することが多い。
【0003】
ところが、フロントヒータで前席の搭乗者と後席1列目の搭乗者とを暖房するので、フロントヒータ本体から離れた吹出口から吹き出す暖気により暖房される後席1列目の搭乗者の暖房は十分とはいえない。すなわち、フロントヒータの暖房能力が十分とはいえないという問題がある。
フロントヒータの暖房能力を大きくすれば上記問題は解決できるが、後席には搭乗者がおらず、前席だけに搭乗者がいるような場合は、前席の搭乗者に対する暖房が利きすぎたり、ヒータのコストが高くなるという問題がある。
また、後席2列目の搭乗者を暖房するリヤヒータは、後席2列目への搭乗頻度が少ないため、使用頻度が少ないという問題がある。
【0004】
具体的には、図4に示すように、近年のRV車は、前席12と後席1列目13と後席2列目14の3列の座席を装備した7〜8人乗りの自動車として、その利便性やコストパフォーマンスの良さから人気を博している。
そして、使用されるヒータは自動車の計器板11の下側に設置したフロントヒータ520の空気吹出口に接続したフロントヒータダクト521から、自動車の床面Fと前席12下部の間を通って前席12の下部後方に開口する空気吹出口522から後席1列目13の搭乗者の足元に向かって暖気を吹き出すようになっている。
【0005】
また、後席2列目14の搭乗者を暖房するリヤヒータ530は、同じく図4に示すように、自動車の側面室内のトリム内に設けた熱交換機とファンからなるリヤヒータユニット539に接続したリヤヒータダクト531から後席1列目13の下部と床面との間に配設した空気吹出口532から後席2列目14の搭乗者の足元に向かって暖気を吹き出すように構成されている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
ところが、RV車は室内が広いため、暖気が室内に広がりやすく、フロントヒータ520からの暖気だけでは、後席1列目13の搭乗者の足元を十分暖めることが難しい。
また、後席2列目14に搭乗する、即ち略満席の状態になる機会はあまり多くないにもかかわらず、独立したリヤヒータ530を設置して、その利用頻度が少ないという問題があった。
【0007】
そこで、本発明は、かかる課題を解決すべく、使用頻度の少ないリヤヒータを有効に活用して、利用頻度は多いが暖房能力が十分とはいえないフロントヒータによる後席1列目の搭乗者への暖房能力を補充することが可能な暖房装置を提供することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明に係る自動車の暖房装置は、前席1列と後席2列の計3列の座席を有する車両に設けられ、車室内前方に設置されて少なくとも前席の搭乗者の足元と後席1列目の搭乗者の足元に向かう空気吹出口を備えるフロントヒータと、後席の近傍に設置され、後席2列目の搭乗者の足元に向かう空気吹出口を備えるリヤヒータとを設けた車両の暖房装置であって、前記リヤヒータから前席下面に延びるダクトを追加し、この追加ダクトを前記フロントヒータに接続されて前席下面に配設されているフロントヒータダクトに接続し、前記リヤヒータからの暖気を吹き出す空気吹出口を前記フロントヒータからの暖気を吹き出す空気吹出口とともに後席1列目の搭乗者の足元に向けたことを特徴とする。
よって、後席1列目の搭乗者に対する暖房能力が不足する場合に、リヤヒータの能力を活用して補充することが可能となり、フロントヒータの性能を大きくすることなく安価に性能向上を図ることができる。
【0009】
また、本発明に係る自動車の暖房装置は、前記リヤヒータに追加した後席1列目の搭乗者の足元に向かう空気吹出口は、フロントヒータの空気吹出口とリヤヒータの空気吹出口とを隔壁により隔離して、フロントヒータからの暖気とリヤヒータからの暖気とをそれぞれ個別に吹き出すようにしたことを特徴とする。
よって、空気吹出口において、フロントヒータからの暖気の吹出口と、リヤヒータからの暖気の吹出口を隔離して暖気同士が混在しないので、一方のダクトから他方のダクトに暖気が逆流することがなく、確実に後席1列目の暖房能力を向上することができる。
【0010】
【発明の実施の形態】
次に、本発明に係る車両の暖房装置の一の実施の形態について図面を参照して以下に説明する。本実施の形態の車両の暖房装置は、自動車のRV車に設けられたものである。
ここで、図1は、フロントヒータとリヤヒータの配置を示した図であり、図2は、図1のII部の拡大分解組付図である。図3はその縦断面図である。
【0011】
(構成)
本発明の車両の暖房装置の構成について説明する。
車両の暖房装置は、従来と同様に前席12の搭乗者並びに後席1列目13の搭乗者の足元を暖房するフロントヒータダクト21を有するフロントヒータ20と、自動車の室内横壁に取り付けられ、後席2列目14(図略)の搭乗者の足元を暖房するリヤヒータダクト31を有するリヤヒータ30とからなり、本発明の主要な要件は、前記リヤヒータ30から前席12下面に延びるダクト35を追加するとともに、この追加ダクト35を、フロントヒータ20に接続されて前席下面に配設されているフロントヒータダクト21に接続して、フロントヒータ20による暖気とリヤヒータ30による暖気とにより後席1列目13の搭乗者の足元の暖房能力を向上させる点にある。
【0012】
まず、フロントヒータ20は、フロントヒータ本体とその空気吹出口に接続されるフロントヒータダクト21とからなり、自動車の計器板11の中央下部に設置される。
フロントヒータダクト21は、前方上部に設けられた太い矩形断面の連通部211とこの連通部211から左右に逆V字に下がる扁平な断面の縦管部212と、この縦管部212が自動車床面Fに当接するところで、床面Fと平行に左右に広がるように折れ曲がり、床面Fに沿うように車両後方に延在して前席12の下部後方で開口する横管部213とからなる。
この横管部213の後半は、床面Fと前席12下面との空間で、床面Fに沿う下部横管部2131から傾斜部2132を経て前席の下面に立ち上がる上部横管部2133とからなっている。
そして、本実施の形態の暖房装置では、この横管部213の傾斜部2132を途中で切断して、その扁平断面の開口部2134に後述する接続ダクト40の一端を接続している。
【0013】
一方、リヤヒータ30は、従来と同様に、車両の側壁内面に配設したリヤヒータユニット39と、該リヤヒータユニット39から側壁内面に沿って車両後方に延在する縦方向に扁平な断面の垂直管部311と、この垂直管部311から車両の床面F上に沿うように左右方向に延在する横方向に扁平な断面の水平管部312からなるリヤヒータダクト31とから構成され、この水平管部312は、後席2列目14の搭乗者の足元を暖房するように後席1列目13の下面と車両の床面Fとの間に吹出口32が配設されている。
すなわち、この垂直管部311と水平管部312は従来と同一の構成である。
【0014】
そして、本発明の特徴である本実施の形態では、リヤヒータユニット39のファンの前方から下方に向かい、車両床面F上を這うように車両幅方向に折り曲げた他のダクト35を追加して、この追加ダクト35の先端をリヤヒータユニット39に接続し、追加ダクト35の途中に設けた接続口36と前記フロントヒータダクト21に接続した接続ダクト40に接続してある。
【0015】
すなわち、図2、図3に詳細に示すように、接続ダクト40は側面断面で前方をヘ字状の傾斜状に折り曲げ、そのヘ字状先端のフロント導入口41で前述したフロントヒータダクト21の横管部213の傾斜部2132の先端の扁平断面の開口部2134に被せるように接続されている。
【0016】
接続ダクト40の平面部は、その下面に下向きに開口するリヤ導入口42を設け、このリヤ導入口42に前述のリヤヒータユニット39に接続された追加ダクト35の接続口36を接続するとともに、平面部の断面を隔壁45により上下方向に区画し、その上方をフロント吹出口43として、フロントヒータダクト21に連通するように構成し、その下方をリヤ吹出し口44として追加ダクト35に連通するように構成している。
【0017】
追加ダクト35のリヤヒータユニット39との接続端部と反対側の端部は、図1に示すように、フロントヒータダクト21のもう一方の空気吹出口22の上部に開口するように空気吹出口を設けているが、ここにも接続ダクト40を適用してもよい。
【0018】
(作用)
次に、本実施の形態の暖房装置の動作について説明する。
まず、後席1列目13、2列目14に搭乗者がなく、前席12のみに搭乗者がある場合は、フロントヒータ20を作動させて、その暖気が前席12の搭乗者に届くようにフロントヒータダクト21の空気吹出口から暖気を吹き出させる。
このとき、後席1列目13に搭乗者がいなくても、前述の接続ダクト40のフロント吹出口43から暖気が吹き出すこととなる。
すなわち、フロントヒータ20を作動させると、前席12の搭乗者と後席1列目13の搭乗者の足元に暖気が吹き出し、特に、後席1列目13の搭乗者の足元には、前述の接続ダクト40の上方のフロント吹出口43から暖気が吹き出すこととなる。
【0019】
つぎに、搭乗者が後席1列目13にもいる場合で、上記フロントヒータ20による接続ダクト40の上部のフロント吹出口43からの暖気だけでは後席1列目13の搭乗者の足元への暖房が不足する場合は、後席2列目14に搭乗者がいなくても、リヤヒータ30を作動させてリヤヒータ30の追加ダクト35からの暖気を接続ダクト40下部のリヤ吹出口44から吹き出させて、接続ダクト40の上部のフロント吹出口43のフロントヒータ20からの暖気と下部のリヤ吹出口44のリヤヒータ30からの暖気とを吹き出させて、暖房の性能を向上させる。
【0020】
さらに、後席2列目14にも搭乗者がいる場合も、上記と同様に、フロントヒータ20とリヤヒータ30の両方を作動させて、リヤヒータ30の本来からのリヤヒータダクト31により、後席2列目14の搭乗者の足元に暖気を送風して暖房する。
この場合、後席2列目14の搭乗者への暖房能力は、リヤヒータ30への追加ダクト35による後席1列目13の搭乗者への暖気の送風に全体の風量の30%程度が取られて、後席2列目14の搭乗者への風量は70%程度になるが、車両室内全体としての暖房能力としては変化しないので、能力低下にはならない。
【0021】
このように、本実施の形態の暖房装置は、従来から設置されているフロントヒータ20のフロントヒータダクト21後端の開口部2134と、リヤヒータ30に追加した追加ダクト35の接続口36とを、その空気吹出口を隔壁により隔離した接続ダクト40のフロント導入口41とリヤ導入口42にそれぞれ接続して、同一場所から後席1列目13の搭乗者の足元に暖気を送風できるようにしたので、リヤヒータ30の余力の暖房能力を安価な接続ダクト40で利用できるようになり、後席1列目13の搭乗者の足元の暖房能力を高める使い勝手のよい暖房装置を提供することが可能となった。
【0022】
なお、本発明は前記実施の形態のものに限定されるものではなく、その趣旨を逸脱しない範囲で様々な変更が可能である。
例えば、前記実施の形態では、リヤヒータ30の追加ダクト35への送風はリヤヒータ30を作動させると必然的に送風するものとしたが、これに限られず、途中に切替弁などを設けて、必要に応じて送風のON,OFFが可能になるようにしてもよい。
また、接続ダクト40をフロントヒータダクト21の右側のみに適用したもので説明したが、左右両方に適用してもよい。
【0023】
【発明の効果】
本発明は、前席1列と後席2列の計3列の座席を有する車両に設けられ、車室内前方に設置されて少なくとも前席の搭乗者の足元と後席1列目の搭乗者の足元に向かう空気吹出口を備えるフロントヒータと、後席の近傍に設置され、後席2列目の搭乗者の足元に向かう空気吹出口を備えるリヤヒータとを設けた車両の暖房装置であって、前記リヤヒータから前席下面に延びるダクトを追加し、この追加ダクトを前記フロントヒータに接続されて前席下面に配設されているフロントヒータダクトに接続し、前記リヤヒータからの暖気を吹き出す空気吹出口を前記フロントヒータからの暖気を吹き出す空気吹出口とともに後席1列目の搭乗者の足元に向けたので、後席1列目の搭乗者への暖気を、フロントヒータからばかりではなく、リヤヒータからの暖気を後席1列目の搭乗者の足元に供給することにより、後席1列目の搭乗者用の新たな暖房機を必要とせず、安価に暖房能力をアップすることが可能となった。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一の実施の形態に係るフロントヒータとリヤヒータの配置を示した図である。
【図2】図1のII部の拡大分解組付図である。
【図3】その縦断面図である。
【図4】従来のRV車の室内のフロントヒータとリヤヒータおよび座席の配置を示した斜視図である。
【符号の説明】
12 前席
13 後席1列目
14 後席2列目
20 フロントヒータ
21 フロントヒータダクト
30 リヤヒータ
31 リヤヒータダクト
35 追加ダクト
40 接続ダクト
43、44 空気吹出口
45 隔壁
Claims (2)
- 前席1列と後席2列の計3列の座席を有する車両に設けられ、車室内前方に設置されて少なくとも前席の搭乗者の足元と後席1列目の搭乗者の足元に向かう空気吹出口を備えるフロントヒータと、後席の近傍に設置され、後席2列目の搭乗者の足元に向かう空気吹出口を備えるリヤヒータとを設けた車両の暖房装置であって、
前記リヤヒータから前席下面に延びるダクトを追加し、この追加ダクトを前記フロントヒータに接続されて前席下面に配設されているフロントヒータダクトに接続し、前記リヤヒータからの暖気を吹き出す空気吹出口を前記フロントヒータからの暖気を吹き出す空気吹出口とともに後席1列目の搭乗者の足元に向けたことを特徴とする車両の暖房装置。 - 請求項1に記載の車両の暖房装置において、
前記リヤヒータに追加した後席1列目の搭乗者の足元に向かう空気吹出口は、フロントヒータの空気吹出口とリヤヒータの空気吹出口とを隔壁により隔離して、フロントヒータからの暖気とリヤヒータからの暖気とをそれぞれ個別に吹き出すようにしたことを特徴とする車両の暖房装置。
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