JP3541603B2 - ストレッチ包装用フィルム - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、最適な粘着性、耐突刺性、耐衝撃性、ラッピング性、機械操作性の優れたストレッチ包装用フィルムに関するものである。特に、馬や牛の飼料として用いられるロールベール状にした牧草を牧草用ラッピングマシーン等を用いてストレッチ包装し、発酵により栄養価の高いサイレージを得るのに適している隠蔽性を有する牧草用に好適なストレッチ包装用フィルムに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
ストレッチ包装用フィルムの問題点が軽減された高品質のストレッチ包装用フィルムとして、例えば、特公平2−12187号公報や特公平2−18983号公報記載のストレッチ包装用フィルムがある。これは、エチレン−α―オレフィン共重合体を主成分とする第1層と、エチレン−酢酸ビニル共重合体を主成分とする第2層からなり、必要に応じて、オレイン酸アミド等の滑剤、タルク、シリカ等の無機充填剤、ポリブテンの低分子粘着物質等の粘着剤が少量添加された2層構造のストレッチ包装用フィルムである。メタロセン系触媒を用いて製造されたエチレン−α−オレフィン共重合体樹脂を用いたフィルムとして特開平7−314624号公報記載の熱可塑性樹脂からなる層とメタロセン系触媒を用いて製造されたエチレン−α−オレフィン共重合体樹脂からなる層の共押出フィルムがある。
牧草用ストレッチフィルムとしては、特開平5−169599号公報記載の牧草用ストレッチフィルムがある。エチレン−α―オレフィン共重合体である線状低密度ポリエチレンを主成分として高圧法ポリエチレン、TiO2 又はカーボン、およびポリブテンを混合した第1層と、エチレン−酢酸ビニル共重合体を主成分として、ポリブテンを混合した第2層からなる2層構造の牧草用ストレッチフィルムである。
【0003】
ストレッチ包装用フィルムによる牧草をロールベール状に包装する方法が近年になり普及し始めた。この方法は、機械が大型化するが、収穫からサイレージ調製まで一人作業が可能で、人手不足の酪農家の間に浸透しつつある。このロールベール包装方法は、ベール状にした原料牧草をストレッチ包装用フィルムで密閉包装する場合、良好な包装がなされると数時間でベール内が嫌気性に変わる。
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ストレッチ包装用フィルムを物品の包装に使用するには以下の問題点を解決する必要がある。
(1)粘着性が低いと、包装時皺が入りやすく、密閉性が悪く成る。
(2)耐突刺性、耐衝撃性が低いと、包装した内容物との接触により穴が空き易くなる。
【0005】
さらに、ストレッチ包装用フィルムを牧草用として用いる場合、例えば、牧草をロールベール状に包装する方法に使用するには以下の問題点を解決する必要がある。
(1)サイレージ調製時、粘着性が低いと密着性が悪く包装時皺が入りやすく、空気が混入してベール内が嫌気性にならなかったり、一旦嫌気性になっていたものが再度好気性に変わって腐敗が起こり家畜の飼料として使用できなくなることがある。
(2)耐突刺性、耐衝撃性が低いと、ロールベール包装では牧草の茎等によりフィルムに穴が空き易くなるため、発酵が良好に行われず質の良いサイレージが得られにくくなる。
(3)牧草をロールベール包装後屋外に放置してサイレージを調製する場合、隠蔽性を解決する必要がある。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明は、前述の問題点を解決すべく成されたものであり、
(A−1)エチレン−酢酸ビニル共重合体を主成分として70重量%以上含み、
(A−2)ポリブテン3〜10重量%を含む組成物からなる第1表面層と
(B−1)エチレン−α−オレフィン共重合体を主成分として50重量%以上含み、
(B−2)ポリブテン3〜10重量%を含む組成物であって当該(B−1)エチレン−α−オレフィン共重合体が、下記の特性を有することを特徴とする第2表面層とを積層してなるストレッチ包装用フィルムを提供するものである。
【0007】
(B−1)エチレン−α−オレフィン共重合体:
(B−1−1)密度(d)=0.900〜0.940( g/cm 3 )
(B−1−2)190℃、2.16Kg荷重におけるメルトフローレート
(MFR2.16)=0.01〜200 (g/10分)
(B−1−3)190℃、2.16Kg荷重におけるメルトフローレート(MFR2.16と 190℃、21.6Kg荷重におけるメルトフローレート(MFR21.6)との比
(MFR21.6)/(MFR2.16) =10〜20
(B−1−4)分子量分布(Mw/Mn)=2.0〜4.0
(B−1−5)TREFにより得られる溶出温度に対する溶出量の標準偏差 σ≦16
【0008】
好ましくは、牧草用で全光線透過率が70%以下であるストレッチ包装用フィルムを提供するものである。
【0009】
【発明の実施の形態】
本発明のストレッチ包装用フィルムの組成物の(B−1)成分であるエチレン−α−オレフィン共重合体は、下記の特定範囲を有しているものである。
【0010】
(B−1)エチレン−α−オレフィン共重合体:
(B−1−1)密度(d)=0.900〜0.940(g/cm3)、さらに好ましくは0.910〜0.930(g/cm 3 )
(B−1−2)190℃、2.16Kg荷重におけるメルトフローレート
(MFR2.16) =0.01〜200(g/10分)、好ましくは0.1〜20(g /10分)
(B−1−3)190℃、2.16Kg荷重におけるメルトフローレート(MFR2.16)と、190℃、21.6Kg荷重におけるメルトフローレート(MFR21.6) との比
(MFR21.6)/(MFR2.16) =10〜20
(B−1−4)分子量分布(Mw/Mn) =2.0〜4.0、好ましくは2.0〜3.7
(B−1−5)TREFにより得られる溶出温度に対する溶出量の標準偏差 σ≦16
【0011】
上記の特性のうち、
(1)密度が上記の範囲より小さいと、繰り出し時にフィルムが伸びてしまい良好なラッピング特性が得られず、上記の範囲より大きいと、突刺強度が低下する。
【0012】
(2)MFR2.16 が上記の範囲より小さいと、流動性が悪く成形が困難になり、上記の範囲より大きいと、機械的強度が悪くなる。
【0013】
(3)(MFR21.6)/(MFR2.16)が上記の範囲より大きいと、機械的物性が悪くなる。
【0014】
(4)分子量分布(Mw /Mn )が上記の範囲より大きいと、機械的物性が悪くなる。
【0015】
(5)溶出温度に対する溶出量の標準偏差 σが上記の範囲より大きいと、ラッピング時のフィルムを繰り出す抵抗が大きくなり、フィルムが切断し易くなる。
【0016】
本発明の第2表面層の(B−1)のエチレン−α−オレフィン共重合体としては、エチレンとα−オレフィンとの共重合体が挙げられる。例えば、エチレンとα−オレフィンとをアルミナ又はシリカ−アルミナに担持した酸化クロム等の触媒を用いて重合することによって得られるフィリップス法エチレン−α−オレフィン共重合体、アルミナに担持した酸化モリブデン等の触媒を用いて重合することによって得られるスタンダード法エチレン−α−オレフィン共重合体、遷移金属化合物と有機金属化合物よりなるチーグラー系触媒を用いて重合することによって得られるエチレン−α−オレフィン共重合体などが挙げられる。
また、メタロセン触媒系などのいわゆるシングルサイト触媒の存在下に重合して得られたエチレンとα−オレフィンとの共重合体が挙げられる。
【0017】
エチレンとα−オレフィンとの共重合体のα−オレフィンとしては、プロピレン、ブテン-1、ペンテン-1、ヘキセン-1、4-メチルペンテン-1、オクテン-1などの炭素数3〜10のα−オレフィンが挙げられる。
【0018】
エチレンとα−オレフィンとの共重合体中のα−オレフィンから誘導される繰り返し単位は、通常、30重量%以下、好ましくは25重量%以下、さらに好ましくは20重量%以下含まれている。α−オレフィンは、エチレン−α−オレフィン共重合体中に単独であっても、二種以上含まれていてもよい。
【0019】
シングルサイト系触媒としては、周期律表第IV又はV族遷移金属のメタロセン化合物と、有機アルミニウム化合物及び/又はイオン性化合物の組合せが用いられる。
【0020】
周期律表第IV又はV族遷移金属としては、チタン(Ti)、ジルコニウム(Zr)、ハフニウム(Hf)、バナジウム(V)などが好ましい。
【0021】
そのメタロセン化合物とは、少なくとも一個のシクロペンタジエニル基、置換シクロペンタジエニル基、ヒドロカルビル珪素などによって架橋されたもの、さらにシクロペンタジエニル基が酸素、窒素、燐原子に架橋されたものを配位子とする公知のメタロセン化合物をいずれも使用できる。
【0022】
これらのメタロセン化合物の具体例としては、ジメチルシリル(2,4- ジメチルシクロペンタジエニル)(3',5'-ジメチルシクロペンタジエニル) ジルコニウムジクロライド、ジメチルシリル(2,4- ジメチルシクロペンタジエニル)(3',5'-ジメチルシクロペンタジエニル) ハフニウムジクロライドなどのケイ素架橋型メタロセン化合物、エチレンビスインデニルジルコニウムジクロライド、エチレンビスインデニルハフニウムジクロライド、エチレンビス(メチルインデニル)ジルコニウムジクロライド、エチレンビス(メチルインデニル) ハフニウムジクロライドなどのインデニル系架橋型メタロセン化合物を挙げることができる。
【0023】
本発明でメタロセン化合物との組合せで用いられる有機アルミニウム化合物としては、一般式、(-Al(R)O-)nで示される直鎖状、あるいは環状重合体(Rは炭素数1〜10の炭化水素基であり、一部ハロゲン原子及び/またはRO基で置換されたものも含む。nは重合度であり、5以上、好ましくは10以上である)であり、具体例としてRがそれぞれメチル、エチル、イソブチル基である、メチルアルモキサン、エチルアルモキサン、イソブチルエチルアルモキサンなどが挙げられる。
【0024】
さらに、その他の有機アルミニウム化合物としては、トリアルキルアルミニウム、ジアルキルハロゲノアルミニウム、セスキアルキルハロゲノアルミニウム、アルケニルアルミニウム、ジアルキルハイドロアルミニウム、セスキアルキルハイドロアルミニウムなどが挙げられる。
【0025】
イオン性化合物としては、一般式、A+・C−で示され、A+は有機化合物、有機金属化合物、あるいは無機化合物の酸化性のカチオン、またはルイス塩基とプロトンからなるブレンステッド酸であり、メタロセン配位子のアニオンと反応してメタロセンのカチオンを生成することができる。C−はイオン性化合物のアニオン成分である。それらの具体例としては、特開平4−253711号公報、特開平4−305585号公報、特公表平5−507756号公報、特公表5−502906号公報に記載されたようなものを用いることができる。
【0026】
特に、テトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレートアニオンとトリフェニルカルボニウムカチオンあるいはジアルキルアニリニウムカチオンとのイオン化合物が好ましい。これらのイオン化合物は、前記の有機アルミニウム化合物と併用することができる。
【0027】
シングルサイト系触媒によるエチレンとα−オレフィンとの共重合方法としては、良く知られた各種の方法を採用でき、不活性ガス中での流動床式気相重合あるいは攪拌式気相重合、不活性溶媒中でのスラリー重合、モノマーを溶媒とするバルク重合などが挙げられる。
【0028】
本発明においては、第2表面層の(B−1)成分であるエチレン−α−オレフィン共重合体は、50重量%以上、好ましくは70重量%、さらに好ましくは80重量%以上含まれる。
【0029】
上記エチレン−α−オレフィン共重合体が50重量%未満では、耐突刺性、耐衝撃性が十分でない。
【0030】
本発明においては、第2表面層の(B−1)成分であるエチレン−α−オレフィン共重合体に、さらに好ましくは高圧法低密度ポリエチレンが含まれていてもよい。
【0031】
高圧法低密度ポリエチレンは、好ましくは一般的に知られている高圧法低密度ポリエチレンエチレンであり、例えば、高圧下でラジカル重合することによって製造したものを挙げることができる。
【0032】
高圧法低密度ポリエチレンは、第2表面層の(B−1)成分であるエチレン−α−オレフィン共重合体に、好ましくは30重量%以下、特に好ましくは20重量%以下含むことができる。
【0033】
高圧法低密度ポリエチレンは、下記の特性をさらに有するものが好ましい。
(1)190℃、2.16Kg荷重におけるメルトフローレイト
(MFR2.16)=0.1〜50(g/10min) 、さらに好ましくは0.1〜40(g/10min) 、特に好ましくは0.2〜5(g/10min)
(2)密度(C)=0.910〜0.940(g/cm3) 、さらに好ましくは0.915〜0.935(g/cm3)
(3)分子量分布(Mw /Mn )=4〜30
【0034】
上記特性のうち、
(1)メルトフローレート(MFR2.16) が上記の範囲より小さいと、成形性、包装適性、エチレン−α−オレフィン共重合体との分散性が悪くなる。上記の範囲より大きいと、強度の低下が起きるので好ましくない。
【0035】
本発明の第1表面層の(A−1)エチレン−酢酸ビニル共重合体は、下記の特定範囲の物性を有しているものが好ましい。
(A−1−1)酢酸ビニル含有量3〜25重量%、好ましくは6〜20重量%
(A−1−2)190℃、2.16kg荷重におけるメルトフローレート
(MFR2.16)=0.3〜3(g/10分) 、好ましくは0.5〜3(g/10分)
【0036】
上記特性のうち、
(1)酢酸ビニル含有量が上記の範囲より小さいと得られるフィルムが固くて伸び難く、破れやすくなり粘着性も低下する。上記の範囲より大きいとフィルム表面の粘着性が大きくなり過ぎるとともに強度が低下する。
【0037】
(2)メルトフローレート(MFR2.16)が上記の範囲より小さいとフィルムが伸び難く、包装時に破れ易くなる。上記の範囲より大きいとフィルムの最終的な破断強度が小さくなる。
【0038】
本発明においては、第1表面層の(A−1)成分であるエチレン−酢酸ビニル共重合体は、70重量%以上、さらに好ましくは80重量%、特に好ましくは90重量%以上含まれる。
【0039】
上記エチレン−酢酸ビニル共重合体が70重量%未満では、粘着性が十分でない。
【0040】
本発明の第1表面層(A−2)、第2表面層(B−2)の各層のポリブテンは、粘着剤として各層に添加し、下記の特定範囲の物性を有しているものが好ましい。
【0041】
平均分子量500〜3000のものが良好な粘着性を示すので好ましい。粘着性は、フィルムの厚みおよび添加量に依存する。ポリブテンの添加量は、3〜10重量%が好適である。3重量%より小さいと粘着不良が起こり、10重量%より大きいと強度が低下したり粘着性が強すぎるため不良が生じる。
【0042】
本発明のストレッチ包装用フィルムは、全光線透過率を制御し隠蔽性を付与する場合、馬や牛の飼料として用いられるロールベール状にした牧草を牧草用ラッピングマシーン等を用いてストレッチ包装し、発酵により栄養価の高いサイレージを得るのに好適な牧草用として使用することが出来る。
【0043】
本発明のストレッチ包装用フィルムは、牧草用として用いる場合、全光線透過率は、70%以下、さらに60%以下の範囲が好ましく、良好なサイレージ調製が可能である。全光線透過率が70%を越えるとサイレージ調製時、牧草が変色したり発酵が不良になるなど問題がある。
【0044】
本発明のストレッチ包装用フィルムは、牧草用として用いる場合、全光線透過率を制御するために、着色成分は、1〜12重量%の範囲、さらに1〜10重量%、特に1〜9重量%で用いることが好ましい。
【0045】
本発明のストレッチ包装用フィルムは、牧草用として用いる場合、全光線透過率を制御するために、着色成分は第1層および/または第2層に加えることができ、好ましくは第2層に加えることが好ましい。
【0046】
本発明のストレッチ包装用フィルムは、牧草用として用いる場合、着色成分としては隠蔽性を付与し、好ましくは耐候性を有するものであれば特に制限されるものではない。着色成分としては、TiO2 、カーボンブラック、フタロシアニングリーン、フタロシアニンブルーなどを挙げることが出来る。特に、TiO2 やカーボンブラックが好ましく用いることができる。
【0047】
本発明のストレッチ包装用フィルムは、牧草用として用いる場合、隠蔽性は、上記粘着性と同様フィルムの厚みおよび着色剤の添加量に依存性がある。例えば、フィルムの総厚みが25μmで第2層の厚みが17μmのストレッチ包装フィルムにおいて、全光線透過率を制御するためにTiO2 を用いる場合、良好な隠蔽性が得られるTiO2 の添加量はおよそ4.5〜6重量%の範囲が好ましい。これを、通常牧草用として考えられる厚み10〜50μmについて当てはめてみると、最適な添加範囲は、1.8〜12重量%であり、好ましくは1.8〜8重量%、さらに好ましくは3〜8重量%である。
【0048】
全光線透過率を制御するためにカーボンを用いる場合、フィルムの総厚みが25μmで第2層の厚みが17μmのストレッチ包装フィルムにおいて、良好な隠蔽性およびフィルムの耐熱性が得られるカーボンの添加量はおよそ2.0〜2.8重量%の範囲が好ましい。これを、通常牧草用ストレッチ包装フィルムとして考えられる厚み10〜50μmについて当てはめてみると、最適な添加範囲は、1.2〜8.2重量%であり、好ましくは1.8〜8重量%、さらに好ましくは1.8〜5重量%である。
【0049】
本発明の第1表面層、第2表面層に用いる各組成物は、各成分をバンバリーミキサー、ロールミキサー、ニーダー、高速回転ミキサー、押出機等の各種混練機、好ましくは単軸もしくは2軸押出機を用いて混合・混練したものを用いることが出来る。また、インフレーション成形又はTダイ成形加工時に混練したものを用いることが出来る。
【0050】
本発明のストレッチ包装用フィルムの層の構成は、第1表面層と第2表面層とからなる両表面層を含む限りなんら制限されるものではない。第1表面層と第2表面層の間にさらに1層以上の層を設けた多層フィルムを形成することもできる。
【0051】
本発明のストレッチ包装用フィルムは、第1表面層と第2表面層との厚みが、5〜100μm、好ましくは10〜100μm、さらに好ましくは20〜100μmの範囲が好ましい。
【0052】
本発明のストレッチ包装用フィルムの製造方法はについては特に制限はなく、従来多層フィルムの製造に慣用されている方法、例えば、インフレーションフィルム成形法、Tダイフィルム成形法などを用いることが出来る。
【0053】
本発明のストレッチ包装用フィルムは、第1表面層、第2表面層のいずれか、あるいは全層に、必要に応じて、滑剤、アンチブロッキング剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、熱安定剤、難燃剤、無機・有機充填剤、帯電防止剤などを添加することができる。
【0054】
【実施例】
特性値は次のようにして測定した。
【0055】
各層を構成する成分の特性の測定方法を示す。
[密度]JIS K7112に準拠して、190℃、21.6Kg荷重におけるメルトフローレイト(MFR) 測定時に得られるストランドを100℃で1時間熱処理し、1時間かけて室温まで徐冷したサンプルを密度勾配管を用いて測定した。
[メルトフローレイト(MFR2.16) ]JIS K7210に準拠して、メルトインデクサーを用いて、190℃における2.16Kg荷重での10分間にストランド状に押し出される樹脂の重量を測定することにより求めた。
[メルトフロー比(MFR21.6)/(MFR2.16)]上記(2)の方法と同様にしてして、21.6Kg荷重で求めた樹脂の重量を上記(2)で求めた樹脂重量で除した値である。
[分子量分布]測定装置としてWATERS 150CVを用い、カラムPL Mixed B、温度135℃、溶媒o−ジクロルベンゼンの条件で測定した。
[TREFにより得られる溶出温度に対する溶出量の標準偏差 σ]三菱化学社製のクロス分別装置 CFC T150−Aを使用し、下記の条件により、1℃きざみの溶出微分プロットを得た。得られた溶出微分プロットから溶出温度に対する溶出量の標準偏差 σを求めた。TREFは、Temperature Rising Elution Fractionの略称である。
【0056】
実施例、比較例で得られるフィルムの特性値の測定方法を示す。
[ダートインパクト(gf)]JIS K7124 A法に準じて行った。
[突刺し強度(Kgf )]インテスコ2005型にて、2mmφの棒を用いて突刺し速度500mm/minで測定した。
[破断点強度(Kgf/cm2)]ASTM D882の引張試験に準じて行った。
[引裂強度(Kgf/cm)]JIS K7128 B法に準じて行った。
[全光線透過率(%)]JIS K7105に準じて行った。
[粘着力(gf/8cm)]フィルム原反(500mm幅)を8cm幅の短冊状に切り取り、引張試験機で500mm/minの速度で剥離した時の強度
[ラッピング特性](株)タカキタ社製の牧草ベールラッピングマシーンWM1500型を用いて、ラッピングしたときのフィルム原反(500mm幅)に対するラッピングしたフィルム幅を測定した。フィルムが切れることなくラッピングでき、ラッピング後のフィルム幅がフィルム原反幅の70%以上保持している場合を良と判定した。
【0057】
(実施例1)第1層の組成物として、表1に示したエチレン−酢酸ビニル共重合体とポリブテンとを表3に示した重量比で用いた。第2層の組成物として、表1に示したエチレン−α−オレフィン共重合体と低密度ポリエチレン、着色成分として表2に示した着色マスターバッチMB1、およびポリブテンとを加え表3に示した重量比で用いた。第1層を8μm、第2層を17μmの厚み比率でフィルム状に押出成形し、ロール状に巻き取りフィルム原反を得た。得られたフィルムとフィルム原反の特性を表4に示した。
【0058】
実施例1で得られたフィルムは、ダートインパクト、突刺し強度、MD方向の破断点強度と引裂強度が良くストレッチ包装用フィルムとして十分な特性を有することがわかった。また、このフィルムを牧草包装用ラッピングマシーンを用いて包装したところ、フィルムが切れることなくラッピングでき、フィルムの皺が非常に少なく良いサイレージができ、牧草用として十分な特性を有することがわかった。
【0059】
(実施例2、3、および比較例1)第2層の組成物として、表1に示したエチレン−α−オレフィン共重合体と低密度ポリエチレンおよび表2に示した着色成分とを表3に示した重量比で用いた以外は、実施例1と同様の方法で押出成形し、ロール状に巻き取りフィルム原反を得た。得られたフィルムとフィルム原反の特性を表4に示した。
【0060】
実施例2および3で得られたフィルムは、実施例1と同様にストレッチ包装用フィルム、さらに牧草用として十分な特性を有することがわかった。比較例1で得られたフィルムは、ダートインパクト、突刺し強度が十分でなく、ラッピング時にフィルムの切れが発生し、ストレッチ包装用フィルム、さらに牧草用としての特性がないことがわかった。
【0061】
(実施例4)第2層の組成物として、表1に示したエチレン−α−オレフィン共重合体を表3に示した重量比で用いた以外は、実施例1と同様の方法で押出成形し、ロール状に巻き取りフィルム原反を得た。得られたフィルムとフィルム原反の特性を表4に示した。実施例4で得られたフィルムは、実施例1と同様にストレッチ包装用フィルム、さらに牧草用として十分な特性を有することがわかった。
【0062】
(実施例5)第2層の組成物として、表1に示したエチレン−α−オレフィン共重合体と低密度ポリエチレン、および表2に示した着色成分とを表3に示した重量比で用いた以外は、実施例1と同様の方法で押出成形し、ロール状に巻き取りフィルム原反を得た。得られたフィルムとフィルム原反の特性を表4に示した。実施例5で得られたフィルムは、実施例1と同様にストレッチ包装用フィルム、さらに牧草用として十分な特性を有することがわかった。
【0063】
(実施例6,7)第1層の組成物として、表1に示したエチレン−酢酸ビニル共重合体とポリブテンを表3に示した重量比で用いた。第2層の組成物として、表1に示したエチレン−α−オレフィン共重合体と低密度ポリエチレン、着色成分として表2に示したMB1、およびポリブテンとを加え表3に示した重量比で用いた。第3層の組成物として、表1に示したエチレン−α−オレフィン共重合体とポリブテンとを加え表3に示した重量比で用いた。第1層を5μm、第2層を13μm、第3層を7μmの厚み比率でフィルム状に押出成形し、ロール状に巻き取りフィルム原反を得た。得られたフィルムとフィルム原反の特性を表4に示した。
【0064】
実施例6および7で得られたフィルムは、実施例1と同様にストレッチ包装用フィルム、さらに牧草用として十分な特性を有することがわかった。
【0065】
【表1】
【0066】
【表2】
【0067】
【表3】
【0068】
【表4】
【0069】
【発明の効果】
本発明のストレッチ包装用フィルムは、最適な粘着性、耐突刺性、耐衝撃性、ラッピング性、機械操作性が優ているものである。特に、牧草用に好適なストレッチ包装用フィルムは、馬や牛の飼料として用いられるロールベール状にした牧草を牧草用ラッピングマシーン等を用いてストレッチ包装し、発酵により栄養価の高い牧草包装を得るのに適している隠蔽性を有するものである。
Claims (5)
- (A−1)エチレン−酢酸ビニル共重合体を主成分として70重量%以上含み、
(A−2)ポリブテン3〜10重量%を含む組成物からなる第1表面層と
(B−1)エチレン−α−オレフィン共重合体を主成分として50重量%以上含み、
(B−2)ポリブテン3〜10重量%を
含む組成物であって当該(B−1)エチレン−α−オレフィン共重合体が、下記の特性を有することを特徴とする第2表面層とを積層してなるストレッチ包装用フィルム。
(B−1)エチレン−α−オレフィン共重合体:
(B−1−1)密度(d)=0.900〜0.940(g/cm3)
(B−1−2)190℃、2.16Kg荷重におけるメルトフローレート
(MFR2.16) =0.01〜200(g/10分)
(B−1−3)190℃、2.16Kg荷重におけるメルトフローレート(MFR2.16)と、190℃、21.6Kg荷重におけるメルトフローレート(MFR21.6)との比
(MFR21.6)/(MFR2.16) =10〜20
(B−1−4)分子量分布(Mw/Mn)=2.0〜4.0
(B−1−5)TREFにより得られる溶出温度に対する溶出量の標準偏差 σ≦16 - ロール状に巻き取ることを特徴とする請求項1に記載のストレッチ包装用フィルム。
- 押出成形することを特徴とする請求項1又は請求項2に記載のストレッチ包装用フィルム。
- 第2表面層に、さらに下記の特性を有する高圧法低密度ポリエチレンを30重量%以下含むことを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載のストレッチ包装用フィルム。
(1)190℃、2.16 kg 荷重におけるメルトフローレイト
( MFR2.16 )=0.1〜50(g/10min)
(2)密度(C)=0.910〜0.940( g/cm 3 )
(3)分子量分布(Mw/Mn)=4〜30 - 牧草用で全光線透過率が70%以下である請求項1〜4のいずれか1項に記載のストレッチ包装用フィルム。
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