JP3876739B2 - 牧草用フィルム - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、最適な粘着性、耐突刺性、耐衝撃性、ラッピング性、機械的強度、ガスバリアー性、機械操作性の優れた牧草用フィルムに関するものである。特に、馬や牛の飼料として用いられるロールベール状にした牧草を牧草用ラッピングマシーン等を用いてストレッチ包装し、発酵により栄養価の高いサイレージを得るのに適しているサイレージ用に好適な牧草用フィルムに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
牧草用フィルムの問題点が軽減された高品質の牧草用フィルムとして、例えば、特公平2−12187号公報や特公平2−18983号公報記載の牧草用フィルムがある。これは、エチレン−α―オレフィン共重合体を主成分とする第1層と、エチレン−酢酸ビニル共重合体を主成分とする第2層からなり、必要に応じて、オレイン酸アミド等の滑剤、タルク、シリカ等の無機充填剤、ポリブテンの低分子粘着物質等の粘着剤が少量添加された2層構造の牧草用フィルムである。メタロセン系触媒を用いて製造されたエチレン−α−オレフィン共重合体樹脂を用いたフィルムとして特開平7−314624号公報記載の熱可塑性樹脂からなる層とメタロセン系触媒を用いて製造されたエチレン−α−オレフィン共重合体樹脂からなる層の共押出フィルムがある。
【0003】
牧草用ストレッチフィルムとしては、特開平5−169599号公報記載の牧草用ストレッチフィルムがある。エチレン−α―オレフィン共重合体である線状低密度ポリエチレンを主成分として高圧法ポリエチレン、TiO2 又はカーボン、およびポリブテンを混合した第1層と、エチレン−酢酸ビニル共重合体を主成分として、ポリブテンを混合した第2層からなる2層構造の牧草用ストレッチフィルムである。
さらに、牧草用フィルムとして、特開平10−235809号公報に記載されている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
牧草用フィルムによる牧草をロールベール状に包装する方法が近年になり普及し始めた。この方法は、機械が大型化するが、収穫からサイレージ調製まで一人作業が可能で、人手不足の酪農家の間に浸透しつつある。このロールベール包装方法は、ベール状にした原料牧草を牧草用フィルムで密閉包装する場合、良好な包装がなされると数時間でベール内が嫌気性に変わる。
【0005】
牧草用フィルムを物品の包装に使用するには以下の問題点を解決する必要がある。
(1)粘着性が低いと、包装時皺が入りやすく、密閉性が悪く成る。
(2)耐突刺性、耐衝撃性が低いと、包装した内容物との接触により穴が空き易くなる。
【0006】
さらに、牧草用フィルムを牧草用として用いる場合、例えば、牧草をロールベール状に包装する方法に使用するには以下の問題点を解決する必要がある。
(1)サイレージ調製時、粘着性が低いと密着性が悪く包装時皺が入りやすく、空気が混入してベール内が嫌気性にならなかったり、フィルムから空気入り嫌気性にならずに腐敗が起こり家畜の飼料として使用できなくなることがある。
(2)耐突刺性、耐衝撃性が低いと、ロールベール包装では牧草の茎等によりフィルムに穴が空き易くなるため、発酵が良好に行われず質の良いサイレージが得られにくくなる。
(3)牧草をロールベール包装後屋外に放置してサイレージを調製する場合、隠蔽性を解決する必要がある。
(4)最適な粘着性、ラッピング性、機械的強度、機械操作性が低いと、ロールベール状にした牧草を牧草用ラッピングマシーン等を用いてストレッチ包装しにくくなる。
また、ロールベール状にした牧草を牧草用ラッピングマシーン等を用いてストレッチ包装する場合に、ラッピングの巻数を低減させ、廃棄物量を少なくできるサイレージ用に好適な牧草用フィルムが求められている。
【0007】
本発明は、最適な粘着性、耐突刺性、耐衝撃性、ラッピング性、機械的強度、ガスバリアー性、機械操作性の優れ、馬や牛の飼料として用いられるロールベール状にした牧草を牧草用ラッピングマシーン等を用いてストレッチ包装し、発酵により栄養価の高いサイレージを得るのに適しているサイレージ用に好適な牧草用フィルムを提供することである。
さらにストレッチ包装する場合に、ラッピングの巻数を低減させ、廃棄物量を少なくできるサイレージ用に好適な牧草用フィルムを提供することである。
【0008】
【問題を解決するための手段】
本発明の第一の発明は、A層、B層及びC層の順に、少なくとも3層に積層され、(1)A層は、エチレン−酢酸ビニル共重合体60〜100重量%、ポリブテン1〜9重量%及び接着性樹脂10〜30重量%の樹脂組成(エチレン−酢酸ビニル共重合体、ポリブテン及び接着性樹脂の合計が100重量%)、(2)B層は、厚みが4〜30μmの脂肪族ポリアミド共重合体であり、(3)C層は、メタロセン触媒より製造されたエチレン−α−オレフィン共重合体10〜100重量%、高圧法低密度ポリエチレン10〜50重量%、ポリブテン1〜9重量%及び接着性樹脂10〜30重量%であることを特徴とする牧草用フィルムである。
【0009】
本発明の第二の発明は、A層、B層及びC層の順に、直接3層に積層され、(1)A層は、エチレン−酢酸ビニル共重合体60〜100重量%、ポリブテン1〜9重量%及び接着性樹脂10〜30重量%の樹脂組成(エチレン−酢酸ビニル共重合体、ポリブテン及び接着性樹脂の合計が100重量%)、(2)B層は、厚みが4〜30μmの脂肪族ポリアミド共重合体であり、(3)C層は、メタロセン触媒より製造されたエチレン−α−オレフィン共重合体10〜100重量%、高圧法低密度ポリエチレン10〜50重量%、ポリブテン1〜9重量%及び接着性樹脂10〜30重量%であることを特徴とする牧草用フィルムである。
【0010】
本発明の第三の発明は、B層の脂肪族ポリアミドが、脂肪族ポリアミド共重合体を含有していることを特徴とする牧草用フィルムである。
【0011】
【発明の実施の形態】
本発明の牧草用フィルムは、A層、B層及びC層の順に、少なくとも3層に積層され、
(1)A層は、エチレン−酢酸ビニル共重合体60〜100重量%、ポリブテン1〜9重量%及び接着性樹脂10〜30重量%の樹脂組成(エチレン−酢酸ビニル共重合体、ポリブテン及び接着性樹脂の合計が100重量%)、(2)B層は、厚みが4〜30μmの脂肪族ポリアミド共重合体であり、(3)C層は、メタロセン触媒より製造されたエチレン−α−オレフィン共重合体10〜100重量%、高圧法低密度ポリエチレン10〜50重量%、ポリブテン1〜9重量%及び接着性樹脂10〜30重量%であることを特徴とする牧草用フィルムである。
【0012】
本発明の牧草用フィルムは、A層、B層及びC層の順に直接3層に積層された牧草用フィルムが好ましい。
【0013】
A層としては、
エチレン−酢酸ビニル共重合体60〜100重量%、ポリブテン0〜10重量%及び接着性樹脂0〜30重量%の樹脂組成、好ましくはエチレン−酢酸ビニル共重合体71〜99重量%、ポリブテン1〜9重量%及び接着性樹脂0〜20重量%の樹脂組成、さらに好ましくはエチレン−酢酸ビニル共重合体76〜98重量%、ポリブテン2〜9重量%及び接着性樹脂0〜15重量%の樹脂組成、特に好ましくはエチレン−酢酸ビニル共重合体80〜98重量%、ポリブテン2〜8重量%及び接着性樹脂0〜12重量%の樹脂組成(エチレン−酢酸ビニル共重合体、ポリブテン及び接着性樹脂の合計は、100重量%)。
A層において、エチレン−酢酸ビニル共重合体、ポリブテン及び接着性樹脂の合計は100重量%である。
【0014】
C層としては、
メタロセン触媒より製造されたエチレン−α−オレフィン共重合体10〜100重量%、高圧法低密度ポリエチレン0〜50重量%、ポリブテン0〜10重量%及び接着性樹脂0〜30重量%であり、
好ましくはメタロセン触媒より製造されたエチレン−α−オレフィン共重合体41〜99重量%、高圧法低密度ポリエチレン0〜30重量%、ポリブテン1〜9重量%及び接着性樹脂0〜20重量%であり、
さらに好ましくはメタロセン触媒より製造されたエチレン−α−オレフィン共重合体48〜98重量%、高圧法低密度ポリエチレン0〜25重量%、ポリブテン2〜10重量%及び接着性樹脂0〜17重量%であり、
より好ましくはメタロセン触媒より製造されたエチレン−α−オレフィン共重合体56〜98重量%、高圧法低密度ポリエチレン0〜20重量%、ポリブテン2〜9重量%及び接着性樹脂0〜15重量%であり、
特に好ましくはメタロセン触媒より製造されたエチレン−α−オレフィン共重合体60〜98重量%、高圧法低密度ポリエチレン0〜20重量%、ポリブテン2〜8重量%及び接着性樹脂0〜12重量%である。
C層において、メタロセン触媒より製造されたエチレン−α−オレフィン共重合体、高圧法低密度ポリエチレン、ポリブテン及び接着性樹脂の合計は100重量%である。
【0015】
A層のエチレン−酢酸ビニル共重合体としては、下記の特定範囲の物性を有しているものが好ましい。
(1)酢酸ビニル含有量が、好ましくは3〜25重量%、さらに好ましくは6〜20重量%の範囲。
(2)190℃、2.16kg荷重におけるメルトフローレートが、好ましくは0.3〜10(g/10分)、さらに好ましくは0.5〜5(g/10分)、特に好ましくは0.5〜3(g/10分)の範囲。
【0016】
上記特性のうち、
(1)酢酸ビニル含有量が上記の範囲より小さいと得られるフィルムが固くて伸び難く、破れやすくなり粘着性も低下する。上記の範囲より大きいとフィルム表面の粘着性が大きくなり過ぎるとともに強度が低下する。
【0017】
(2)メルトフローレートが上記の範囲より小さいとフィルムが伸び難く、包装時に破れ易くなる。上記の範囲より大きいとフィルムの最終的な破断強度が小さくなる。
【0018】
C層のメタロセン触媒より製造されたエチレン−α−オレフィン共重合体は、メタロセン触媒の存在下にエチレンと炭素数3〜10のα−オレフィンとの共重合により製造することができる。上記炭素数3〜10のα−オレフィンとしては、プロピレン、ブテン−1、ペンテン−1、ヘキセン−1、4−メチルペンテン−1、オクテン−1、シクロヘキセンなどが挙げられる。
【0019】
上記エチレンとα−オレフィンとの共重合体中のα−オレフィンから誘導される繰り返し単位は、通常、好ましくは15モル%以下の範囲、さらに好ましくは0.1〜10モル%の範囲で、特に好ましくは0.1〜8モル%の範囲で含まれている。α−オレフィンは、エチレン−α−オレフィン共重合体中に単独であっても、二種以上含まれていてもよい。
【0020】
メタロセン触媒としては、公知のメタロセン触媒を用いることが出来る。メタロセン触媒としては、▲1▼周期律表第IV又はV族遷移金属のメタロセン化合物と、有機アルミニウム化合物及び/又はイオン性化合物の組合せ、▲2▼有機アルミニウムオキシ化合物と、シクロペンタジエニル骨格を有する配位子を含む周期律表第IV族又はV族の遷移金属化合物などの公知のオレフィン重合用などのメタロセン触媒を用いることが出来る。
【0021】
周期律表第IV又はV族遷移金属としては、チタン(Ti)、ジルコニウム(Zr)、ハフニウム(Hf)、バナジウム(V)などが好ましい。
【0022】
そのメタロセン化合物とは、少なくとも一個のシクロペンタジエニル基、置換シクロペンタジエニル基、ヒドロカルビル珪素などによって架橋されたもの、さらにシクロペンタジエニル基が酸素、窒素、燐原子に架橋されたものを配位子とする公知のメタロセン化合物をいずれも使用できる。
【0023】
これらのメタロセン化合物の具体例としては、ジメチルシリル(2,4−ジメチルシクロペンタジエニル)(3’,5’−ジメチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロライド、ジメチルシリル(2,4−ジメチルシクロペンタジエニル)(3’,5’−ジメチルシクロペンタジエニル)ハフニウムジクロライドなどのケイ素架橋型メタロセン化合物、、エチレンビスインデニルジルコニウムジクロライド、エチレンビスインデニルハフニウムジクロライド、エチレンビス(メチルインデニル)ジルコニウムジクロライド、エチレンビス(メチルインデニル)ハフニウムジクロライドなどのインデニル系架橋型メタロセン化合物を挙げることができる。
【0024】
本発明でメタロセン化合物との組合せで用いられる有機アルミニウム化合物としては、一般式、(−Al(R)O−)nで示される直鎖状、あるいは環状重合体(Rは炭素数1〜10の炭化水素基であり、一部ハロゲン原子及び/又はRO基で置換されたものも含む。nは重合度であり、5以上、好ましくは10以上である)であり、具体例としてRがそれぞれメチル、エチル、イソブチル基である、メチルアルモキサン、エチルアルモキサン、イソブチルエチルアルモキサンなどが挙げられる。
【0025】
さらに、その他の有機アルミニウム化合物としては、トリアルキルアルミニウム、ジアルキルハロゲノアルミニウム、セスキアルキルハロゲノアルミニウム、アルケニルアルミニウム、ジアルキルハイドロアルミニウム、セスキアルキルハイドロアルミニウムなどが挙げられる。
【0026】
イオン性化合物としては、一般式、C+・A-で示され、C+は有機化合物、有機金属化合物、あるいは無機化合物の酸化性のカチオン、又はルイス塩基とプロトンからなるブレンステッド酸であり、メタロセン配位子のアニオンと反応してメタロセンのカチオンを生成することができる。それらの具体例としては、特開平4−253711号公報、同4−305585号公報、特公表平5−507756号公報、同5−502906号公報に記載されたようなものを用いることができる。
【0027】
特に、テトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレートアニオンとトリフェニルカルボニウムカチオンあるいはジアルキルアニリニウムカチオンとのイオン化合物が好ましい。これらのイオン化合物は、前記の有機アルミニウム化合物と併用することができる。
【0028】
メタロセン触媒によるエチレンと炭素数3〜10のα−オレフィンとの共重合の方法としては、良く知られた各種の方法を採用でき、不活性ガス中での流動床式気相重合あるいは攪拌式気相重合、不活性溶媒中でのスラリー重合、モノマーを溶媒とするバルク重合など公知の重合方法を用いることが出来る。
【0029】
A層及び/又はC層のメタロセン触媒によるエチレン−α−オレフィン共重合体の密度は、0.90〜0.935(g/cm)が好ましい。
A層及び/又はC層のメタロセン触媒によるエチレン−α−オレフィン共重合体のメルトフローレート(MFR)は、0.5〜10(g/10分)が好ましい。
A層及び/又はC層のメタロセン触媒によるエチレン−α−オレフィン共重合体のメルトフローレート(MFR)が上記範囲内では、溶融時の流動性に優れるため成形加工時に押出機などの成形機に多大な負荷をかけることがなく、得られるフィルム物性に優れるため包装時や使用時にフィルムの切断や破損を生じにくい。
【0030】
C層の高圧法低密度ポリエチレンとしては、一般的に知られている高圧法低密度ポリエチレンであり、例えば、高圧下でラジカル重合することによって製造したものを挙げることができる。高圧法低密度ポリエチレンとしては、エチレンの単独重合体の他、エチレンと他のモノマー(酢酸ビニルを除く)との共重合体を用いることができる。高圧法低密度ポリエチレンとして、エチレン単独重合体、エチレン・アクリル酸エステル共重合体、エチレン・メタクリル酸エステル共重合体、エチレン・アクリル酸共重合体、エチレン・メタクリル酸共重合体、エチレン・プロピレンゴム等のエチレン系コポリマー(エチレン−酢酸ビニル共重合体を除く)が挙げられる。
【0031】
高圧法低密度ポリエチレンの密度は、好ましくは0.910〜0.940(g/cm)、さらに好ましくは0.915〜0.935(g/cm)が好ましい。
A層及び/又はC層の高圧法低密度ポリエチレンのメルトフローレート(MFR)は、好ましくは0.1〜50(g/10分)、さらに好ましくは0.1〜40(g/10分)、特に好ましくは0.2〜5(g/10分)が好ましい。
A層及び/又はC層の高圧法低密度ポリエチレンのメルトフローレート(MFR)が上記範囲内では、溶融時の流動性に優れるため成形加工時に押出機などの成形機に多大な負荷をかけることがなく、メタロセン触媒によるエチレン−α−オレフィン共重合体の成形加工性の改良効果に優れる。
【0032】
A層及び/又はC層のポリブテンとしては、ポリブテンは、粘着剤として各層に添加し、下記の特定範囲の物性を有しているものが好ましい。
(1)平均分子量500〜3000のものが良好な粘着性を示すので好ましい。粘着性は、フィルムの厚みおよび添加量に依存する。
A層及び/又はC層のポリブテンの添加量は、10重量%以下が好適であり、10重量%より大きいと強度が低下したり粘着性が強すぎるため不良が生じる場合があり好ましくない。
【0033】
B層の脂肪族ポリアミドとは、主鎖中に酸アミド結合(−CONH−)を有するものであり、例えば、ε−カプロラクタム、6−アミノカプロン酸、ε−エナントラクタム、7−アミノヘプタン酸、9−アミノノナン酸、11−アミノウンデカン酸、12−アミノドデカン酸、ラウロラクタム、α−ピロリドン、α−ピペリドンや、ヘキサメチレンジアミン、ノナメチレンジアミン、ウンデカメチレンジアミン、ドデカメチレンジアミンなどのジアミンとアジピン酸、セバシン酸などのジカルボン酸との重縮合物からなる重合体もしくはこれらの共重合体、もしくはこれらの重合体あるいは共重合体のブレンド物を挙げることができる。
好ましくは、ε−カプロラクタム、6−アミノカプロン酸、11−アミノウンデカン酸、12−アミノドデカン酸、ラウロラクタム、ヘキサメチレンジアミンとアジピン酸のジカルボン酸との重縮合物からなる重合体もしくはこれらの共重合体、もしくはこれらの重合体あるいは共重合体のブレンド物である。
【0034】
B層の脂肪族ポリアミドの重合体としては、例えば、ポリカプロアミド(ナイロン−6)、ポリアミノウンデカン酸(ナイロン−11)、ポリラウリルラクタム(ナイロン−12)、ポリヘキサメチレンジアミノアジピン酸(ナイロン−66)、ポリヘキサメチレンジアミノセバシン酸(ナイロン−610)、ポリヘキサメチレンジアミノドデカン二酸(ナイロン−612)の如き重合体、カプロラクタム/ラウリルラクタム共重合体(ナイロン−6/12)、カプロラクタム/アミノウンデカン酸共重合体(ナイロン−6/11)、カプロラクタム/ヘキサメチレンジアミノアジピン酸共重合体(ナイロン−6/66)、カプロラクタム/ヘキサメチレンジアミノアジピン酸/アミノドデカン二酸(ナイロン−6/66/12)、カプロラクタム/ヘキサメチレンジアミノアジピン酸/ラウリルラクタム(ナイロン−6/66/12)、カプロラクタム/ヘキサメチレンジアミノアジピン酸/ヘキサメチレンジアミノセバシン酸(ナイロン−6/66/610)、カプロラクタム/ヘキサメチレンジアミノアジピン酸/ヘキサメチレンジアミノドデカン二酸(ナイロン−6/66/612)の如き共重合体などが挙げられる。これらのポリアミド樹脂は、それぞれ単独で用いることもできるし、また2種以上を混合して用いることもできる。
これらのうち、ナイロン−6、ナイロン−6/12、ナイロン−6/11、ナイロン−6/66、ナイロン−6/66/12、ナイロン−6/66/610、ナイロン−6/66/612など、カプロアミドが主たる構成成分となっているものが好ましい。
【0035】
B層の脂肪族ポリアミドは、ナイロン−6/12、ナイロン−6/11、ナイロン−6/66、ナイロン−6/66/12、ナイロン−6/66/610、ナイロン−6/66/612などの脂肪族ポリアミド共重合体を好ましくは1〜100重量%、さらに好ましくは2〜100重量%、より好ましくは3〜100重量%、特に好ましくは5〜100重量%含有していることとにより、さらに伸長回復率などの包装適正及び突刺性が向上するために好ましい。
【0036】
本発明の牧草用フィルムのダートインパクトは、好ましくは280gf以上、さらに好ましくは290gf以上、より好ましくは300gf以上、特に好ましくは310gf以上が好ましい。
【0037】
本発明の牧草用フィルムの突刺強度は、好ましくは0.65kgf以上、特に好ましくは0.67kgf以上が好ましい。
【0038】
本発明の牧草用フィルムの引裂強度(MD方向)は、好ましくは57kgf/cm以上、さらに好ましくは60kgf/cm以上、より好ましくは62kgf/cm以上、特に好ましくは65kgf/cm以上、が好ましい。
【0039】
本発明の牧草用フィルムの引裂強度(TD方向)は、好ましくは240kgf/cm以上、さらに好ましくは260kgf/cm以上が好ましい。
【0040】
本発明の牧草用フィルムの引張破断点強度(MD方向)は、好ましくは300kgf/cm以上、さらに好ましくは310kgf/cm以上、より好ましくは315kgf/cm以上、特に好ましくは320kgf/cm以上が好ましい。
【0041】
本発明の牧草用フィルムの引張破断点強度(TD方向)は、好ましくは350kgf/cm以上、さらに好ましくは360kgf/cm以上、特に好ましくは370kgf/cm以上が好ましい。
【0042】
本発明の牧草用フィルムの酸素透過度は、好ましくは500ml/(m/day/atm)以下、さらに好ましくは400ml/(m/day/atm)以下、より好ましくは380ml/(m/day/atm)以下、特に好ましくは350ml/(m/day/atm)以下が好ましい。
【0043】
接着剤としては、各層間を張り合わせ可能な公知の接着成分を用いることが出来る。
【0044】
接着性樹脂としては、各層間を張り合わせ可能な公知の接着性樹脂を用いることが出来る。
不飽和カルボン酸類グラフトポリオレフィンは、ポリオレフィンに不飽和カルボン酸類を公知の方法を用いてグラフトすることにより得ることが出来る。
不飽和カルボン酸類グラフトポリオレフィンとして、エチレン−α−オレフィン共重合体に不飽和カルボン酸類をグラフトさせた又は反応させた不飽和カルボン酸類グラフトエチレン−α−オレフィン共重合体を含む又はからなる樹脂成分を用いることが出来る。
不飽和カルボン酸類としては、マレイン酸、イタコン酸、シトラコン酸およびこれらの無水物、モノエステルなどを用いることが出来る。
不飽和カルボン酸類グラフトポリオレフィンは、ポリオレフィン100重量部に不飽和カルボン酸類0.01〜5重量部をグラフトすることにより製造することが出来る。
【0045】
本発明の牧草用フィルムにおいて、
A層とB層とは、直接又は接着剤あるいは接着性樹脂を介して積層することができ、
B層とC層とは、直接又は接着剤あるいは接着性樹脂を介して積層することができる。
本発明の牧草用フィルムの層構成の一例として、A層/B層/C層、A層/X層/B層/C層、A層/B層/Y層/C層、A層/X層/B層/Y層/C層、A層/X層/B層/Y層/C層、M層/A層/X層/B層/Y層/C層/N層などを例示することが出来る。ここで、X層及び/又はY層は、接着剤又は接着性樹脂の層又は、本発明のA層、B層及びC層を除く他の樹脂の層を用いることが出来る。M層及び/又はN層は、本発明のA層、B層、C層、X層及びY層を除く他の樹脂の層を用いることが出来る。
本発明の牧草用フィルムにおいて、A層が最内層であり、C層が最外層であることが好ましい。
本発明の牧草用フィルムは、A層、B層及びC層の順に直接積層した3層の牧草用フィルムが好ましい。
【0046】
本発明の牧草用フィルムは、全光線透過率を制御し隠蔽性を付与する場合、馬や牛の飼料として用いられるロールベール状にした牧草を牧草用ラッピングマシーン等を用いてストレッチ包装し、発酵により栄養価の高いサイレージを得るのに好適な牧草用として使用することが出来る。
【0047】
本発明の牧草用フィルムの全光線透過率は、70%以下、さらに60%以下の範囲が好ましく、良好なサイレージ調製が可能である。全光線透過率が70%を越えるとサイレージ調製時、牧草が変色したり発酵が不良になるなど問題がある。
【0048】
本発明の牧草用フィルムにおいて、全光線透過率を制御するために、着色成分は、1〜12重量%の範囲、さらに1〜10重量%、特に1〜9重量%で用いることが好ましい。
本発明の牧草用フィルムにおいて、全光線透過率を制御するために、着色成分はA層、B層及びC層から選択される少なくとも1つの層に加えることができる。
【0049】
本発明の牧草用フィルムにおいて、全光線透過率を制御するための着色成分としては隠蔽性を付与し、好ましくは耐候性を有するものであれば特に制限されるものではない。着色成分としては、酸化チタン、カーボンブラック、フタロシアニングリーン、フタロシアニンブルーなどを挙げることが出来る。特に、酸化チタンやカーボンブラックを好ましく用いることができる。
【0050】
本発明のA層、B層及び/又はC層に用いる各成分は、各成分をバンバリーミキサー、ロールミキサー、ニーダー、高速回転ミキサー、押出機等の各種混練機、好ましくは単軸もしくは2軸押出機を用いて混合・混練したものを用いることが出来る。また、インフレーション成形又はTダイ成形加工時に混練したものを用いることが出来る。
【0051】
本発明の牧草用フィルムのB層の厚みは、4〜30μm、好ましくは4〜25μm、さらに好ましくは4.5〜20μmの範囲が好ましく、B層の厚みが4μm以上では、耐衝撃性、引張破断点強度、引裂強度などの機械的特性、酸素透過性に優れるために好ましい。
本発明の牧草用フィルムのA層とC層とを合わせた厚みは、5〜100μm、好ましくは10〜80μm、さらに好ましくは12〜50μmの範囲が好ましい。
【0052】
本発明の牧草用フィルムの製造方法はについては特に制限はなく、従来多層フィルムの製造に慣用されている方法、例えば、インフレーションフィルム成形法、Tダイフィルム成形法などを用いることが出来る。
【0053】
本発明の牧草用フィルムは、A層、B層及びC層のいずれか、あるいは全層に、必要に応じて、滑剤、アンチブロッキング剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、熱安定剤、難燃剤、無機・有機充填剤、帯電防止剤などを添加することができる。
【0054】
【実施例】
特性値は次のようにして測定した。
【0055】
各層を構成する成分の特性の測定方法を示す。
[密度]JIS・K7112に準拠して、190℃、21.6Kg荷重におけるメルトフローレイト(MFR)測定時に得られるストランドを100℃で1時間熱処理し、1時間かけて室温まで徐冷したサンプルを密度勾配管を用いて測定した。
[メルトフローレイト(MFR)]JIS・K7210に準拠して、メルトインデクサーを用いて、190℃における2.16Kg荷重での10分間にストランド状に押し出される樹脂の重量を測定することにより求めた。
【0056】
実施例、比較例で得られるフィルムの特性値の測定方法を示す。
[ダートインパクト(gf)]JIS・K7124 A法に準じて行った。
[突刺強度(kgf)]インテスコ2005型にて、2mmφの棒を用いて突刺し速度500mm/minで測定した。
[引張破断点強度(kgf/cm)]ASTM・D882の引張試験に準じて行った。
[引裂強度(Kgf/cm)]JIS K7128 B法に準じて行った。
[全光線透過率(%)]JIS K7105に準じて行った。
[ラッピング性](株)タカキタ社製の牧草ベールラッピングマシーンWM1500型を用いて、ラッピングしたときのフィルム原反(500mm幅)に対するラッピングしたフィルム幅を測定した。フィルムが切れることなくラッピングでき、ラッピング後のフィルム幅がフィルム原反幅の70%以上保持している場合を良と判定した。
[酸素透過度(ml/(m・day・atm))]ASTM D−3985に準じて、モダンコントロール社製MOCON−OX−TRAN2/20を使用して、23℃、65%RHの条件下で測定した。
[伸長回復率(%)]オリエンテック社製引張試験機RTC−1150Aを用いて、クロスヘッド速度50mm/分の条件で以下の操作に従い評価した。
長さ150mm、幅10mm、厚み25μmのフィルムをチャック間距離50mmに取付、その後チャック間距離を5mm伸長させ、1分間保持した後、荷重をゼロに戻し、荷重ゼロになるときの伸び(Bmm)を測定した。伸長回復率は、式(1)により算出した。
【数1】
Figure 0003876739
【0057】
(実施例1〜4、比較例1〜3)第一層〜第三層の組成物として、表3に示す樹脂成分、酸化チタン及び耐候剤との組成物を用い、表3に示す厚みで三層のフィルム状に押出し、ロール状に巻き取りフィルム原反を得た。得られたフィルムの特性を表4に示す。
【0058】
【表1】
Figure 0003876739
【0059】
【表2】
Figure 0003876739
【0060】
【表3】
Figure 0003876739
【0061】
【表4】
Figure 0003876739
【0062】
【発明の効果】
本発明の牧草用フィルムは、最適な粘着性、耐突刺性、耐衝撃性、ラッピング性、引張破断点強度や引裂強度などの機械的特性、機械操作性、酸素透過性が優ているものである。特に、本発明の牧草用フィルムはロールベール牧草の包装用に好適であり、馬や牛の飼料として用いられるロールベール状にした牧草を牧草用ラッピングマシーン等を用いてストレッチ包装する場合に、ラッピング巻数を減らすことができ、さらにフィルム厚みを薄くすることができるため、使用後の廃棄物量を削減することができ、環境に優しい。
さらに、B層として脂肪族ポリアミド共重合体を用いる又は含むことにより、伸長回復性などの包装特性がさらに向上する。

Claims (3)

  1. A層、B層及びC層の順に、少なくとも3層に積層され、(1)A層は、エチレン−酢酸ビニル共重合体60〜100重量%、ポリブテン1〜9重量%及び接着性樹脂10〜30重量%の樹脂組成(エチレン−酢酸ビニル共重合体、ポリブテン及び接着性樹脂の合計が100重量%)、(2)B層は、厚みが4〜30μmの脂肪族ポリアミド共重合体であり、(3)C層は、メタロセン触媒より製造されたエチレン−α−オレフィン共重合体10〜100重量%、高圧法低密度ポリエチレン10〜50重量%、ポリブテン1〜9重量%及び接着性樹脂10〜30重量%であることを特徴とする牧草用フィルム。
  2. A層、B層及びC層の順に直接3層に積層され、(1)A層は、エチレン−酢酸ビニル共重合体60〜100重量%、ポリブテン1〜9重量%及び接着性樹脂10〜30重量%の樹脂組成(エチレン−酢酸ビニル共重合体、ポリブテン及び接着性樹脂の合計が100重量%)、(2)B層は、厚みが4〜30μmの脂肪族ポリアミド共重合体であり、(3)C層は、メタロセン触媒より製造されたエチレン−α−オレフィン共重合体10〜100重量%、高圧法低密度ポリエチレン10〜50重量%、ポリブテン1〜9重量%及び接着性樹脂10〜30重量%であることを特徴とする牧草用フィルム。
  3. B層の脂肪族ポリアミド共重合体が、ナイロン−6を含むことを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の牧草用フィルム。
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