JP3541440B2 - L−シスチンの晶析方法及び新規結晶 - Google Patents

L−シスチンの晶析方法及び新規結晶 Download PDF

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【0001】
【産業上の利用分野】
本発明は、医薬品原料として有用なL−シスチンの晶析方法に関するものであり、特にL−シスチンの柱状晶を取得する方法を提供するものである。
【0002】
【従来の技術】
一般にL−シスチンの晶析は、等電点におけるL−シスチンの溶解度が極めて低い事から、主に中和晶析によって行われている。しかし、この方法によって通常析出するL−シスチンの結晶は板状であり、この結晶はろ過等により固液分離する際の分離速度が遅く、また、結晶に残留する付着母液の量が多い問題点があった。分離速度が遅いと分離に所要する時間が長くなり、多大の設備が必要になり、また、付着母液が多くなると、結晶の純度が悪くなる事に加え、結晶を洗浄する水量も多大になる。更に、結晶中の含水量が多くなることから結晶の乾燥に要する熱量が多大になり、しかも乾燥時に結晶が固結しやすくなる。この結晶型が板状であることによる欠点は上記の様な付着母液量が多い事のみによるのでは無く、得られた乾燥品が飛散しやすく、またその比容が大きい事にもあった。
【0003】
L−シスチンの結晶としては、上記の板状晶の他に柱状晶が知られている。(特開昭58−5964)L−シスチンの柱状晶は特開昭58−59964に見られるように、Cu−Kα線を用いて粉末X線回折法で測定した場合に、約16.2゜及び約30.0゜の回折角度(2θ)にピ−クを有する回折図形が得られる事を特徴とする結晶であり、特開昭58−59964によれば、板状結晶の湿結晶の含水量が15〜30%であるのに対し、柱状晶は2〜6%であり、また製品の密比容も板状晶の1.5〜3.5ml/gが、柱状晶では1.3〜1.8ml/g程度に低下している。分離された結晶の水分は、分離方法により変化し、ラボの様な低い遠心力の遠心ろ過機で分離する場合、通常、板状結晶の水分は15%以上、柱状結晶のそれは15%未満である。
【0004】
柱状晶はこのようにその優位性の知られた結晶型であるにもかかわらず、実際にはこれを晶析する事が難しく、実用には使われ難い。なぜならば、特開昭58−59964にも記述してあるごとく、この結晶を得る条件の範囲が限られており、且つ、その範囲でも実際には安定して柱状晶を得ることが難しいゆえである。特開昭58−59964によれば、中和用酸の種類としては塩酸より硫酸が良く、またL−シスチンの濃度は低い方が良く、例えば10g/dlの溶液から柱状晶を得るのは容易ではないとしている。また、晶析温度は50℃とか80℃では柱状晶が比較的析出しやすいが、20℃では柱状晶は得にくいとしている。一方、特開昭58−59964は晶析の際にあらかじめ柱状晶をシ−ドする事は極めて有効であるとしている。しかしながら、このような不安定な系で、シ−ド結晶を添加するにしても、安定して柱状結晶を得続ける事は容易では無く、少量の板状晶のシ−ド結晶への混入が柱状晶を得ることを不可能にさせることは容易に予想出来る。事実、特開昭58−59964の実施例ではシ−ド結晶を添加した系でも、晶析は高濃度且つ高温で行われている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
L−シスチンの柱状晶を安定的に取得する方法を開発する。
【0006】
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者らはL−シスチンの晶析における上記のような問題点を解決すべく種々検討を行っていたところ、遷移金属イオンとメタリン酸の共存下でL−シスチンを中和晶析すると、上記のような問題点の無い柱状晶が容易に得られることを見いだした。
【0008】
本発明者は、上記の問題点を解決すべく、L−シスチンの単離精製工程で利点の多い柱状晶を容易に得る方法を種々検討した結果、微量の遷移金属とメタリン酸、特にヘキサメタリン酸の共存下でL−シスチンを晶析すると柱状晶が容易に得られることを見いだした。
【0009】
すなわち、遷移金属イオンとメタリン酸の共存下でL−シスチンを中和晶析すると、L−シスチンの濃度が高濃度であっても、晶析温度が低くても、また中和用酸として塩酸を用いた場合でも柱状晶が容易に得られた。また、柱状晶の結晶のシ−ドは全く必要としなかった。また、遷移金属イオンとメタリン酸の共存下でL−シスチンを濃縮晶析すると柱状晶が得られた。
【0010】
柱状結晶が得られたことは、結晶の粉末X線回折によって確認された。湿結晶水分も板状晶が30%前後であるのに対し、柱状晶は15%未満であった。
【0011】
本発明に用いられるL−シスチンは、植物性または動物性タンパク質の塩酸加水分解物より得られた粗製L−シスチンまたは精製L−シスチンであっても、特定の基質から酵素法により製造された粗製L−シスチンまたは精製L−シスチンであってもよく、晶析可能なL−シスチンであれば、その由来は問わない。
【0012】
遷移金属イオンとしては、アルミニウムイオン、亜鉛イオン、マンガンイオン、第1鉄イオンまたは第2鉄イオンが使用できるが、特に第1鉄イオン、第2鉄イオンが好ましい。また、メタリン酸としては、ペンタメタリン酸、ヘキサメタリン酸またはヘプタメタリン酸が使用できるが、特にヘキサメタリン酸が好ましい。
【0013】
遷移金属イオンとメタリン酸の共存下における晶析に於て、メタリン酸の濃度は、例えばヘキサメタリン酸の場合、1〜2mg/Lから有効であり、1000mg/Lでも有効であった。遷移金属イオンはイオンとして溶液中に溶解していることが必要であるが、その必要最低濃度は添加するメタリン酸の濃度に関係し、例えば、ヘキサメタリン酸の濃度が100mg/Lのときには、1〜9mg/Lで有効である。また、ヘキサメタリン酸の濃度が1000mg/Lのときには、10〜90mg/Lで有効である。
【0014】
得られたL−シスチンの柱状晶は通常どうり分離、水洗すれば添加されたメタリン酸は洗い流され、良好な品質の製品が得られる。しかしながら、この場合でも、添加されるメタリン酸濃度の低い方が洗浄水の量が少なくてすむのは当然である。
【0015】
上記の板状と柱状の二種類のL−シスチン結晶は、理学的にはα晶(板状)とβ晶(柱状)として知られており(永嶋伸也、日本結晶学会誌、35、381(1993))、その結晶構造の解析もされている。また上記の特開昭58−59964に、両結晶の溶解度が示されており、それによれば、β晶はα晶よりも若干溶解度が高く、これは一般的にはα晶が安定的に存在し得、特殊な環境下でのみβ晶が存在し得る事を意味する。上記、特開昭58−59964ではこの環境をL−シスチン濃度、温度、酸の種類を限定することによって達し得ているのであるが、実際に工業的にこのような狭い範囲で操作することは現実的であるとは言い難い。本発明は、添加物により、特に晶析条件を厳しく限定することなくβ晶を得ることができる様にしたことに特徴があり、その工業的有用性は大きい。
【0016】
本発明の作用原理については、更に理学的検討を要すが、下記のような原理であると考えている。
メタリン酸は一般にキレ−ト剤として使用され、ボイラ−清浄剤、印刷製版、ナメシなどの方面に用いられている。本発明では遷移金属イオンはメタリン酸と錯体を形成し、この錯体がL−シスチンのα晶に対し結晶成長阻害効果を持ち、通常では準安定なβ晶を安定的に存在せしめていると考えている。
【0017】
一方、発明者らはL−シスチンの結晶化に当り、遷移金属の存在しない状態でメタリン酸を添加すると、Cu−Kα線を用いた粉末X線回折法で、上記のα晶、β晶とは異なる回折図形を持つ結晶が析出、成長する事を見いだした。この結晶の回折角度(2θ)は、α晶と共通するものが多いが、特徴的に約15.0度、16.8度、21.5度、23.7度、24.2、及び28.8度にピ−クを有する。このような回折角度を有する結晶は従来知られておらず、新規結晶である。この新規結晶の外観は針状であり、上記のα晶、β晶とは大きく異なっていた。この結晶はα晶、β晶に比べ、分離性が悪く、また結晶に付着する水分量も多いが、逆に乾燥後の結晶間の空間が大きく、結晶を水、又は希酸等に溶解するときに、結晶間に溶媒が早く入り込み、他の結晶に比べ溶解する速度が速い性質を有していた。
【0018】
L−シスチンは通常、溶媒に溶解し、電解還元し、L−システインに変換した後、医薬原料にするか、乃至は、そのまま適当な溶媒に溶解し、パ−マ用の処理液にする。いずれにしろ、その用途の大半は、結晶のまま使うことはなく、一度何らかの溶媒に溶解した後に使用する。この場合、L−シスチンの水に対する溶解度が蛋白質構成アミノ酸の中ではL−チロシンに次いで低い為、溶解に多大の時間の要する事が問題になる。発明者が新たに見いだした針状の新規結晶は、この使用に当たる溶解速度の問題を解決する物として期待される。
【0019】
更に、メタリン酸存在下では中和晶析時の結晶の出始める(起晶)pHが高く、通常のα晶に比べ、同一pHではより高濃度迄溶液状態を保ち得る。この事は、人毛の加水分解物を中和し、まずチロシンを析出除去させるに当り、より高いpH迄上げた状態でチロシンを分離できることを意味し、チロシンの除去率を上げられることから、シスチンの精製に有利に働く。
【0020】
この新規結晶はメタリン酸、例えばヘキサメタリン酸単独の添加により得られ、その濃度は1〜10mg/Lから有効である。一方、発明者は限られた金属、例えば、ニッケルまたはコバルトをメタリン酸に対する当量比で2分の1から50分の1添加すると粒径の大きい結晶の得られる事を見いだした。これらの金属はイオンとして溶解している必要がある。メタリン酸のみ存在する系で晶析すると、その濃度にも依るが、長軸側の長さは0.1mm前後乃至はそれよりも小さいが、上記の金属の共存下では0.1mmよりも大きく、1mmに達するものもある。
【0021】
一般的に、添加物は対照となる結晶の成長面に付着し、母体の分子の結晶への吸着を阻害し、結晶成長に影響を与えるので、好ましくないが、最近、結晶の分離・乾燥工程を合理化する、又は、医薬品等の用途で、結晶の溶解速度等を調節する目的で添加物により結晶型(構造、外形)を変化させる研究が多く行われている。本発明もその内の一つであり、巧みに結晶の構造、外形を変化させることのできた例である。
【0022】
【実施例】
以下、実施例によって本発明を詳しく説明する。実施例で得られた結晶の粉末X線回折は、Philips社製PW1700型粉末X線回折装置を用い、線源としてCu−Kα線を使用して測定した。
【0023】
実施例1
3.5gのL−シスチンに4%HClを50ml添加し、溶解後、塩化第二鉄六水和物9.7mgを添加溶解後、更にヘキサメタリン酸ナトリウムを5.5mgを添加し、溶解後35℃で攪拌しながら27%NaOHを15ml/hrで添加した。約32分後、pHが0.68となった時点で結晶が出始めたのでNaOH添加を一旦停止した。24分後にNaOH添加を再開し、pH2とした時点で中和を終了した。得られた結晶は柱状晶であり、ろ過により分離した湿結晶の含水率は9%であった。結晶の粉末X線回折によると結晶型はβ晶であった。この結晶の粉末X線回折図を図1に示す。
【0024】
実施例2
3.5gのL−シスチンに4%HClを50ml添加し、溶解後、塩化第二鉄六水和物97mgを添加溶解後、更にヘキサメタリン酸ナトリウムを55mgを添加し、溶解後35℃で攪拌しながら27%NaOHを15ml/hrで添加した。約20分後、pHが0.61となった時点で結晶が出始めたのでNaOH添加を一旦停止した。27分後にNaOH添加を再開し、pH2とした時点で中和を終了した。得られた結晶は柱状晶であり、ろ過により分離した湿結晶の含水率は12%であった。結晶の粉末X線回折によると結晶型は主としてβ晶であった。
【0025】
実施例3
3.5gのL−シスチンに4%HClを50ml添加し、溶解後、塩化第二鉄六水和物4.8mgを添加溶解後、更にヘキサメタリン酸ナトリウムを5.5mgを添加し、溶解後35℃で攪拌しながら27%NaOHを15ml/hrで添加した。約20分後、pHが0.61となった時点で結晶が出始めたのでNaOH添加を一旦停止した。47分後にNaOH添加を再開し、pH2とした時点で中和を終了した。得られた結晶は柱状晶であり、ろ過により分離した湿結晶の含水率は3%であった。結晶の粉末X線回折によると結晶型は主としてβ晶であった。
【0026】
実施例4
3.5gのL−シスチンにあらかじめ脱気処理した4%HClを50ml添加し、溶解後、亜硫酸ナトリウムを0.5g添加溶解し、溶解後塩化第一鉄・n水和物を11.7mg添加、溶解し、更にヘキサメタリン酸ナトリウムを5.5mgを添加し、溶解後35℃で攪拌しながら27%NaOHを15ml/hrで添加した。約14分後、pHが0.61となった時点でNaOH添加を10分間停止した。その後、pHを0.68迄上昇させた。結晶が出始めたのでNaOH添加を一旦停止した。47分後にNaOH添加を再開し、pH2とした時点で中和を終了した。得られた結晶は柱状晶であり、ろ過により分離した湿結晶の含水率は10%であった。結晶の粉末X線回折によると結晶型は主としてβ晶であった。
【0027】
実施例5
3.5gのL−シスチンに4%HClを50ml添加し、溶解後、塩化アルミニウム6水和物を8.7mg添加、溶解し、更にヘキサメタリン酸ナトリウムを5.5mgを添加し、溶解後35℃で攪拌しながら27%NaOHを15ml/hrで添加した。約21分後、pHが0.61となった時点で結晶が出始めたのでNaOH添加を停止した。33分後にNaOH添加を再開し、pH2とした時点で中和を終了した。得られた結晶は主として柱状晶であったが、極く少量の針状晶も含有していた。ろ過により分離した湿結晶の含水率は14%であった。結晶の粉末X線回折によると結晶型は主としてβ晶であった。
【0028】
実施例6
3.5gのL−シスチンに4%HClを50ml添加し、溶解後、ヘキサメタリン酸ナトリウムを5.5mgを添加し、溶解後35℃で攪拌しながら27%NaOHを15ml/hrで添加した。約20分後、pHが0.61となった時点でNaOH添加を6分間停止し、その後、pHを0.68迄上昇させた。結晶が出始めたのでNaOH添加を一旦停止した。74分後にNaOH添加を再開し、pH2とした時点で中和を終了した。得られた結晶は針状晶であり、ろ過により分離した湿結晶の含水率は73%であった。この結晶を乾燥後、Cu−Kα線を用いた粉末X線回折を測定した。その結果、この結晶の回折角度(2θ)は、α晶と共通するものが多いが、特徴的に約15.0度、16.8度、21.5度、23.7度、24.2度、及び28.8度にピ−クを有していた。この結晶の粉末X線回折図を図2に示す。
【0029】
実施例7
3.5gのL−シスチンに4%HClを50ml添加し、溶解後、2価の塩化ニッケル・6水和物の12.8mgを添加、溶解後、更に、ヘキサメタリン酸ナトリウムを5.5mgを添加し、溶解後35℃で攪拌しながら27%NaOHを15ml/hrで添加した。約21分後、pHが0.61となった時点でNaOH添加を5分間停止し、その後、pHを0.65迄上昇させ、NaOHを一旦停止したが起晶しなかったので、更にpHを0.68迄上昇させた。結晶が出始めたのでNaOH添加を一旦停止した。76分後にNaOH添加を再開し、pH2とした時点で中和を終了した。得られた結晶は粒径の大きな針状晶であり、ろ過により分離した湿結晶の含水率は76%であった。この結晶を乾燥後、Cu−Kα線を用いた粉末X線回折を測定した。その結果、実施例6の結晶と同じ回折パタ−ンを有していた。
【0030】
比較例1
3.5gのL−シスチンに4%HClを50ml添加し、溶解後、35℃で攪拌しながら27%NaOHを15ml/hrで添加した。約19分後、pHが0.61に達した時点で結晶が出始めたのでNaOH添加を一旦停止した。26分後にNaOH添加を再開し、pH3とした時点で中和終了した。得られた結晶は柱状晶、板状晶の混合物であり、ろ過により分離した湿結晶の含水率は36%であった。結晶の粉末X線回折によると結晶型はα晶とβ晶の混合物であった。
【0031】
比較例2
3.5gのL−シスチンに4%HClを50ml添加し、溶解後、塩化第二鉄六水和物97mgを添加溶解後、35℃で攪拌しながら27%NaOHを15ml/hrで添加した。約19分後、pHが0.61となった時点で結晶が出始めたのでNaOH添加を一旦停止した。25分後にNaOH添加を再開し、pH2とした時点で中和を終了した。得られた結晶は板状晶と柱状晶の混合物であり、ろ過により分離した湿結晶の含水率は28%であった。結晶の粉末X線回折によると結晶型はα晶とβ晶の混合物であった。
【0032】
比較例3
3.5gのL−シスチンにあらかじめ脱気処理した4%HClを50ml添加し、溶解後、亜硫酸ナトリウムを0.5g添加し、溶解後35℃で攪拌しながら27%NaOHを15ml/hrで添加した。約13分後、pHが0.61となった時点でNaOH添加を停止した。結晶が出始めたのでNaOH添加を一旦停止した。20分後にNaOH添加を再開し、pH2とした時点で中和を終了した。得られた結晶は板状晶と針状晶の混合物であり、ろ過により分離した湿結晶の含水率は56%であった。結晶の粉末X線回折によると結晶型はほぼα晶であった。
【0033】
【発明の効果】
本発明により、特に晶析条件を厳しく限定することなく、柱状晶を得ることができる様になり、その工業的有用性は大きい。柱状晶は、晶析母液との分離性が良好、含水量が少ないなど板状晶に比べ利点が多い。
また、本発明の新規なL−シスチンの針状結晶は、水又は希酸等に溶解するときに、結晶間に溶媒が早く入り込み、他の結晶に比べ溶解する速度が速い性質を有しており、L−シスチンの溶解速度の問題を解決する物として期待される。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例1で得られたL−シスチンの柱状晶の粉末X線回折図である。
【図2】実施例6で得られたL−シスチンの針状晶の粉末X線回折図である。

Claims (4)

  1. 遷移金属イオンおよびメタリン酸を含有するL−シスチン溶液からL−シスチンを晶析することを特徴とする、L−シスチンの柱状結晶の製造方法。
  2. メタリン酸がヘキサメタリン酸であることを特徴とする請求項1に記載の方法。
  3. 遷移金属イオンが第一鉄イオンまたは第二鉄イオンであることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の方法。
  4. Cu−Kα線を用いて、粉末X線回折法で測定した場合に、約15.0度、16.8度、21.5度、23.7度、24.2、及び28.8度の回折角度(2θ)にピ−クを有する回折図形が得られることを特徴とするL−シスチンの結晶。
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