JP3541307B2 - 半田ごて - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
この発明は、例えば電子部品の半田付け等を高品質で行なえるようにした半田ごてに関する。
【0002】
【従来の技術】
例えば、電子機器を組立てる場合、半田ごてを用いて電子基板に各種電子部品や配線を半田付けすることが多い。かかる半田ごてではヒータ等の発熱手段で先端チップを加熱し、これを電子基板のランドやワークに接触させて半田を溶融させ、先端チップを離して半田を凝固させる方式が広く採用されている。
【0003】
しかし、先端チップを半田付け部位に接触させる関係上、先端チップの温度が変動し、電圧制御やPDI制御によって先端チップの温度コントロールを行っているが、放熱板や金属ケース、あるいは極めて多くの熱量を必要とするアース端子やコネクタピン等、半田付け部位の状況によって温度変動が激しく、半田付け不良が発生しやすい。
【0004】
また、先端チップにヒートサイクルによる熱ストレスが作用するとともに、錫の拡散やフラックスによる先端チップの浸蝕が発生して先端チップの寿命が短く、半田付けの精度を確保するためには2万回〜3万回程度で交換する必要が生じていた。
【0005】
これに対し、特開平07−132369号公報に示されるように、先端チップの周囲に熱風を吐出させるようにした半田ごてが提案されているが、熱風を生成する設備が必要となる。
【0006】
また、本件発明者らは先端チップを加熱する発熱手段の周囲に加熱気体流生成チャンバーを形成し、加熱気体流生成チャンバーの先端側を先端チップの周囲に開放し、加熱気体流を生成して先端チップの周囲に噴出させるようにした半田ごてを開発するに至った(PCT/JP97/01528号、参照)。
【0007】
上述の先端チップの周囲に加熱気体流を噴出させる方式は、理論上、先端チップを加熱気体流の雰囲気に包まれているので、先端チップの温度変動が少なく、又半田付け部位を予熱できるので、優れた半田付け性が得られる、という利点がある。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、先端チップを加熱する発熱手段の周囲に加熱気体流生成チャンバーを形成するという上述の構造は加熱気体流の温度が安定せず、上述の効果が得られないことがあった。
【0009】
この発明は、かかる点に鑑み、安定した温度の加熱気体流を生成できるようにした半田ごてを提供することを課題とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】
そこで、本発明に係る半田ごては、半田ごて本体に内蔵した発熱手段にて先端チップを加熱する一方、上記発熱手段の発熱にて加熱気体流生成チャンバー内に加熱気体流を生成して先端チップの周囲に噴出させるようにした半田ごてにおいて、上記先端チップにはノズル部がその周囲を包囲しかつ前方に開放して設けられている一方、上記加熱気体流生成チャンバーとノズル部との間にはオリフィス部が形成され、該オリフィス部の径は、上記加熱気体流生成チャンバー内に一定の圧力で供給される気体が上記加熱気体流生成チャンバー内で上記発熱手段の発熱にて加熱されて昇温膨張し、該昇温膨張した加熱気体の背圧と続いて供給される気体の圧力とが上記加熱気体流生成チャンバー内で均衡することにより、所定の温度まで昇温した加熱気体の一部が上記オリフィス部からノズル部に噴出される一方、上記続いて供給される気体が昇温膨張した加熱気体との対流にて混合されて予熱されるような寸法に設定されていることを特徴とする。
【0011】
本発明の特徴の1つは加熱気体流生成チャンバーとノズル部との間にオリフィス部を形成し、加熱気体流生成チャンバー内で供給された気体が昇温されて膨張し、その背圧と供給気体の圧力とを均衡させ、加熱気体の一部をオリフィス部からノズル部へ噴出させる一方、続いて供給される気体を加熱気体との対流によって混合させて予熱するようにした点にある。
【0012】
これにより、オリフィス部から噴出される、従ってノズル部から噴出される加熱気体流の圧力は上述の圧力均衡が崩れない限りほぼ一定であり、その温度を実質的に一定であり、先端チップの周囲に噴出させる加熱気体流の温度を安定にコントロールできる。
【0013】
オリフィス部は1つでもよく、複数であってもよい。発熱手段の形態や材質は特に限定しないが、加熱気体の背圧と供給気体の圧力とを均衡させるという方式上、発熱手段を筒状ヒータとし、筒状ヒータの内部又は外部に加熱気体流生成チャンバーを形成するのがよい。
【0014】
また、先端チップはその先端の一部が半田の溶融に利用され、高温となった他の部位は有用に利用されていない。そこで、筒状ヒータの内部に加熱気体流生成チャンバーを形成する場合、先端チップの後半部を加熱気体流生成チャンバーの一部又は大部分を囲ませあるいは加熱気体流生成チャンバー内に挿入し、加熱気体流生成チャンバー内の気体が先端チップに蓄積された熱の輻射を受けて更に昇温膨張されるようになすのがよい。
【0015】
また、先端チップの後半部を筒状ヒータ外側にて加熱気体流生成チャンバーの一部又は大部分を囲ませ、加熱気体流生成チャンバー内の気体が先端チップに蓄積された熱の輻射を受けて更に昇温膨張されるようになすこともできる。特に、この場合には先端チップの後半部には外部への熱放散を阻止し得る金属筒体を外嵌されると、先端チップから無駄に放散されていた熱を加熱気体で回収して利用でき、熱効率を大幅にアップできる。即ち、従来は半田付け作業を行わない間も、発熱手段を高温に保持すべく電流(待機電流)を流す必要があり、その熱は無駄に放散され、かかる待機電流はエネルギー的には無効なものであったが、上述のように先端チップに蓄積された熱を気体の昇温に利用すると、無効エネルギーが気体を昇温させる有効エネルギーとして利用できる。従って、本発明の半田ごては効率よく昇温された加熱気体流と、先端チップの熱とによって半田付け作業をエネルギー効率よく行うことができ、省エネルギー型の半田ごてあるいはハイブリッド型の半田ごてと呼ぶことのできる全く新しい方式の半田ごてであり、最近の市場ニーズや世界的なエネルギー削減に寄与できる。
【0016】
先端チップの後半部は上述のように加熱気体流生成チャンバーや筒状ヒータを囲む形状ではなく、これらの中に挿入される形状であってもよい。即ち、発熱手段を筒状ヒータとし、筒状ヒータの外部に加熱気体流生成チャンバーを形成し、先端チップの後半部を加熱気体流生成チャンバー内に挿入し、加熱気体流生成チャンバー内の気体が先端チップに蓄積された熱の輻射を受けて更に昇温膨張されるようになすこともできる。
【0017】
ノズル部は先端チップの前半基部に固定されるが、熱効率をアップする上で、ノズル部の基部で先端チップの前半基部を覆って熱放散を阻止するのがよい。即ち、ノズル部の基部は外部への熱放散を阻止し得る材料製の筒形状となし、該筒形状部分を先端チップの前半基部に外嵌させるのが好ましい。
【0018】
通常、先端チップには銅系金属材料、例えば無酸素銅が用いられることが多いので、金属筒体や筒形状部分にはステンレス系、鉄系又はチタン系の金属材料を用いるのがよい。
【0019】
また、加熱気体流生成チャンバーからノズル部に加熱気体を噴出させるという構造上、先端チップから加熱気体流を噴出させるようにすると、非接触式の半田ごてに用いることができる。即ち、先端チップには加熱気体流の噴出通路を加熱気体流生成チャンバーと連通しかつ先端チップの先端に開口して形成し、加熱気体流を先端チップの前方に噴出させて非接触式の半田付けを可能となすことができる。また、上述の先端チップの構造も新規である。
【0020】
本発明によれば、半田ごて本体に内蔵した筒状の発熱手段にて先端チップを加熱する一方、上記発熱手段の内部又は外部に加熱気体流生成チャンバを形成し、上記発熱手段の発熱にて加熱気体流生成チャンバー内に加熱気体流を生成して先端チップの周囲に噴出させるようにした半田ごてにおいて、半田ごて本体の先端に取換え可能に装着される先端チップであって、その後半部が上記加熱気体流生成チャンバーの一部又は大部分を囲むことにより上記半田ごて本体の先端に取付可能であり、その前半部には上記加熱気体流生成チャンバーの一部を形成する凹部が形成され、該凹部の先端部に上記オリフィス部が形成されるとともに、前半基部にはノズル部が上記前半部を囲んで前方に開放されかつ上記オリフィス部と連通して取付けられていることを特徴とする半田ごての先端チップを提供することができる。
【0021】
また、本発明によれば、半田ごて本体に内蔵した筒状の発熱手段にて先端チップを加熱する一方、上記発熱手段の内部又は外部に加熱気体流生成チャンバを形成し、上記発熱手段の発熱にて加熱気体流生成チャンバー内に加熱気体流を生成して先端チップの周囲に噴出させるようにした半田ごてにおいて、半田ごて本体の先端に取換え可能に装着される先端チップであって、その後半部が上記加熱気体流生成チャンバー又は発熱手段内に挿入されることにより上記半田ごて本体の先端に取付可能であり、その前半部には上記加熱気体流生成チャンバーの一部を形成する凹部が形成され、該凹部の先端部に上記オリフィス部が形成されていることを特徴とする半田ごての先端チップを提供することができる。
【0022】
さらに、本発明によれば、半田ごて本体に内蔵した筒状の発熱手段にて先端チップを加熱する一方、上記発熱手段の内部又は外部に加熱気体流生成チャンバを形成し、上記発熱手段の発熱にて加熱気体流生成チャンバー内に加熱気体流を生成して先端チップの周囲に噴出させるようにした半田ごてにおいて、半田ごて本体の先端に取換え可能に装着される先端チップであって、その後半部が上記発熱手段内に挿入されることにより上記半田ごて本体の先端に取付可能であり、その前半部外周には上記加熱気体流生成チャンバーと連通する凹溝状のオリフィス部が形成されていることを特徴とする半田ごての先端チップを提供することができる。
【0023】
上述の半田ごてに用いる先端チップについても非接触式の構造とすることができる。
【0024】
ところで、半田付けを行った部位のリペアー時に半田を再溶融させて吸引することが行われている。他方、本発明の特徴の1つは上述のように、先端チップの周囲に噴出する加熱気体を安定に温度コントロールできる点にある。従って、本発明の方式を半田の吸引器具に応用すると、リペアー作業を安定に行えることが期待される。
【0025】
即ち、本発明によれば、器具本体に内蔵した発熱手段にて先端チップを加熱し、該先端チップの熱にて半田を溶融させ、溶融半田を吸引するようにした半田吸引器具であって、上記器具本体内には上記発熱手段の発熱にて加熱気体流を生成する加熱気体流生成チャンバーが設けられ、上記先端チップにはノズル部がその周囲を包囲しかつ前方に開放して設けられ、該ノズル部と上記加熱気体流生成チャンバーとの間にはオリフィス部が形成され、該オリフィス部の径は、上記加熱気体流生成チャンバー内に一定の圧力で供給された気体が上記加熱気体流生成チャンバー内で上記発熱手段の発熱にて加熱されて昇温膨張し、該昇温膨張した加熱気体の背圧と続いて供給される気体の圧力とが上記加熱気体流生成チャンバー内で均衡することにより、所定の温度まで昇温した加熱気体の一部が上記オリフィス部からノズル部に噴出される一方、続いて供給される気体が昇温膨張した加熱気体とが対流にて混合されて予熱されるような寸法に設定され、又記先端チップにはその先端に開口して溶融半田の吸引通路が設けられていることを特徴とする半田吸引器具を提供することができる。
【0026】
また、半田吸引器具に用いる先端チップも新規である。
【0027】
即ち、本発明によれば、器具本体に内蔵した発熱手段にて先端チップを加熱し、該先端チップの熱にて半田を溶融させ、溶融半田を吸引するようにした半田吸引器具において、器具本体の先端に取換え可能に装着される先端チップであって、その後半部が上記加熱気体流生成チャンバーの一部又は大部分を囲むことにより上記半田ごて本体の先端に取付可能であり、その前半部には上記加熱気体流生成チャンバーの一部を形成する凹部が形成され、該凹部の先端部に上記オリフィス部が形成されるとともに、前半基部にはノズル部が上記前半部を囲んで前方に開放されかつ上記オリフィス部と連通して取付けられている一方、その先端部に開口して溶融半田の吸引通路が形成され、該吸引通路の後端側が吸引機構に接続可能に設けられていることを特徴とすることを特徴とする半田吸引器具の先端チップを提供することができる。
【0028】
また、本発明によれば、器具本体に内蔵した発熱手段にて先端チップを加熱し、該先端チップの熱にて半田を溶融させ、溶融半田を吸引するようにした半田吸引器具において、器具本体の先端に取換え可能に装着される先端チップであって、その後半部が上記加熱気体流生成チャンバー又は発熱手段内に挿入されることにより上記半田ごて本体の先端に取付可能であり、その前半部には上記加熱気体流生成チャンバーの一部を形成する凹部が形成され、該凹部の先端部に上記オリフィス部が形成されるとともに、前半基部にはノズル部が上記前半部を囲んで前方に開放されかつ上記オリフィス部と連通して取付けられている一方、その先端部に開口して溶融半田の吸引通路が形成され、該吸引通路の後端側が吸引機構に接続可能に設けられていることを特徴とする半田吸引器具の先端チップを提供することができる。
【0029】
さらに、本発明によれば、器具本体に内蔵した発熱手段にて先端チップを加熱し、該先端チップの熱にて半田を溶融させ、溶融半田を吸引するようにした半田吸引器具において、器具本体の先端に取換え可能に装着される先端チップであって、その後半部が上記発熱手段内に挿入されることにより上記半田ごて本体の先端に取付可能であり、その前半部外周には上記加熱気体流生成チャンバーと連通する凹溝状のオリフィス部が形成されるとともに、前半基部にはノズル部が上記前半部を囲んで前方に開放されかつ上記オリフィス部と連通して取付けられている一方、その先端部に開口して溶融半田の吸引通路が形成され、該吸引通路の後端側が吸引機構に接続可能に設けられていることを特徴とする半田吸引器具の先端チップを提供することができる。
【0030】
なお、先端チップ及び半田吸引器具についてもその技術的事項については半田ごての場合と同様である。
【0031】
加熱気体流は高濃度の不活性ガスが好ましい。半田付け品質に対するエアー中のO2 の影響を考慮すると、窒素ガス等の不活性ガスが好ましいからである。発熱手段は発熱するものであればよく、ニクロム線ヒータ、セラミックスヒータ、高周波ヒータ、中周波ヒータ、低周波ヒータ、赤外線ヒータ、プラズマ発熱体、超音波発熱体、エレマ発熱体等を用いることができる。
【0032】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を図面に示す具体例に基づいて詳細に説明する。図1ないし図4は本発明に係る半田ごての好ましい実施形態を示す。半田ごて基部10の先端には半田ごて本体11の後端基部が固定され、半田ごて本体11は円筒状をなし、その内部には円筒状のセラミックヒータ(発熱手段)12が挿通され、該セラミックヒータ12の後端基部は半田ごて基部10に支持されている。
【0033】
このセラミックヒータ12の内部には窒素ガス供給パイプ13が挿通され、該窒素ガス供給パイプ13は半田ごて基部10の前端部に支持され、その後端側は半田ごてを挿通し、供給量調整機能付きの窒素ガス供給装置(図示せず)に接続されている。
【0034】
他方、半田ごて本体11の先端には前方から先端チップ14が差し込まれて保持されている。この先端チップ14は無酸素銅を用いて製作され、その後半部には円筒状部分15が形成され、該円筒状部分15の外周及び内周にはステンレス鋼製のパイプ16、17が嵌合されて熱圧着され、外周のパイプ17は熱放散阻止パイプとして機能するようになっている。なお、パイプ16を設けない場合には無酸素銅の円筒状部分15に鉄メッキ処理を施すことによっても同様の熱放散防止機能を付与できる。
【0035】
この円筒状部分はセラミックヒータ12の発熱部分の外側を覆い、内周のパイプ17はセラミックヒータ12の焼き付き防止用パイプとして機能するようになっている。
【0036】
また、先端チップ14の前半基部18にはノズル部19の基部が外嵌されて熱圧着され、該ノズル部19は先端チップ14を覆いかつその先端が開放された形状となっている。
【0037】
さらに、先端チップ14の前半基部18内には窒素ガス供給パイプ13と連通する凹部20が形成され、該凹部20の先端部には2つのオリフィス部21、21が形成されており、上記窒素ガス供給パイプ13及び凹部20は加熱気体流生成チャンバー23を構成している。また、窒素ガス供給パイプ13内には熱電対22が挿通されてオリフィス部21近傍まで延び、窒素ガスの温度を検出するようになっている。
【0038】
次に、動作について説明する。セラミックヒータ12に通電して発熱させる一方、窒素ガス供給パイプ13から窒素ガスを供給する。すると、セラミックヒータ12の熱は先端チップ14に伝わり、先端チップ14が半田付けに必要な所定の温度に昇温する。
【0039】
また、図3に示されるように、円筒状部分15の熱Fはステンレスパイプ16によって放散が阻止され、供給された窒素ガスは加熱気体流生成チャンバー23内でセラミックヒータ12の熱Dと先端チップ14の円筒状部分15の輻射熱Eを受けて迅速に昇温して膨張するが、オリフィス部21、21によってそのまま噴射されるのが阻止されて背圧Bを生ずる。この背圧Bは窒素ガス供給パイプ13を経て次々と供給される窒素ガスの圧力Aと均衡し、昇温した窒素ガスの一部Cはオリフィス部21を通過してノズル部19から先端チップ14の周囲に噴射される。
【0040】
また、上述のように圧力均衡が形成されると、供給された窒素ガスと昇温した窒素ガスとの間に対流が発生して供給された窒素ガスが予熱される結果、加熱気体流生成チャンバー23内の窒素ガスは効率よくかつ安定に昇温されることとなる。
【0041】
本件発明者らが本例の半田ごてと高温窒素ガスを噴射させない従来の方式の半田ごてを用いて半田付けを繰り返し行ったところ、本例の半田ごてにおいて、窒素ガスを先端チップの温度よりも少し高い温度に設定すると、図4の(a) に示されるように、先端チップの温度は半田付けによって熱を奪われているにもかかわらず、ほぼ一定で推移したが、従来の半田ごてでは図4の(b) で示されるように、半田付け回数が増えるに従って先端チップの温度が激しく変動することが確認された。
【0042】
従って、本例の半田ごてでは次の効果が得られる。
▲1▼.無駄に放散される熱エネルギーで窒素ガスを加熱するので、熱効率を向上 できる。
▲2▼.先端チップは加熱窒素ガスによって覆われているので、先端チップの半田付け面の温度変化がほとんどなく、安定した半田付けを行うことができる。
▲3▼.先端チップが窒素ガスによって無酸化状態になり、又先端チップの半田付け面が溶融半田で濡れているので、連続した半田付け作業を行える。
▲4▼.半田付け部位や供給する半田も加熱窒素ガスによって予熱されるので、半田付け時の熱飽和が早く、ワーク、半田、基板ランドと半田ごての温度差が少なくなり、半田ボールやフラックス飛散を減少でき、又フラックスの焦げや基板パターンのの剥離も少なくできる。
▲5▼.自動半田付けロボット等の半田ごてとして用いた場合、クリーニングの回数を少なくでき、生産効率を向上できる。また、クリーニングで落としていた余分な半田も少なくできるので、半田の消費量も大幅に削減で、コスト面でも有利である。
▲6▼.先端チップを無酸化雰囲気におくことができるので、チップ寿命を5〜10倍長くすることができる。
【0043】
図5は第2の実施形態を示す。図において図1と同一符号は同一又は相当部分を示す。本例ではセラミックヒータ12と半田ごて本体11との間には窒素ガス供給通路24が形成される一方、先端チップ14の後半部は小径の円筒状部分15に形成され、該円筒状部分15の周囲には焼き付き防止用のステンレスパイプ17が外嵌されて熱圧着され、該円筒状部分15はセラミックヒータ12内に差し込まれている。また、先端チップ14の後半大径部25の外周面には複数の小径凹溝(オリフィス部)21・・・が軸線方向に延びかつ加熱気体流生成チャンバー23に連通して形成されている。
【0044】
図6は第1の実施形態の変形例を示す。本例では先端チップ14には窒素ガスの噴出通路29が加熱気体流生成チャンバー23と連通し、かつ先端チップ14の先端に開口して形成されている。従って、本例の半田ごては高温の窒素ガスを先端チップ14の前方に噴出させ、これによって非接触式の半田付けを行うことができるようになっている。
【0045】
図7は本発明に係る半田吸引器具の好ましい実施形態を示す。図において図1と同一符号は同一又は相当部分を示す。本例では小径のステンレスパイプ25、28が先端チップ14を挿通して設けられ、該ステンレスパイプ28の後端側はポンプPに接続され、又ステンレスパイプ28の途中には溶融半田の吸引チャンバー26が接続され、該吸引チャンバー26内にはフィルター27が設けられており、溶融半田を高温の窒素ガス雰囲気中で先端チップ14の先端側から吸引できるようにしている。
【0046】
なお、先端チップ14の形状は上記各実施形態に限定されず、種々な形状を採用でき、その形状に対応させたオリフィス径や先端チップ形状に沿ったノズル部の形状を採用することにより、少量の常温窒素ガスで効率よく、先端チップの周囲に高温窒素ガス雰囲気を作り出すことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る半田ごての好ましい実施形態の要部横断面及びその他断面を示す図である。
【図2】上記実施形態における先端チップの構造を示す斜視図である。
【図3】上記実施形態における作用を説明するための模式図である。
【図4】上記実施形態における作用を説明するための図である。
【図5】第2の実施形態を示す要部横断面図である。
【図6】第1の実施形態の変形例を示す図である。
【図7】本発明に係る半田吸引器具の好ましい実施形態を示す断面構成図である。
【符号の説明】
11 半田ごて本体
12 セラミックヒータ(発熱手段)
13 窒素ガス供給パイプ
14 先端チップ
15 円筒状部分
16、17 ステンレスパイプ
18 前半基部
19 ノズル部
20 凹部
21 オリフィス部
25、28 小径ステンレスパイプ(吸引通路)
29 窒素ガスの噴出通路
Claims (23)
- 半田ごて本体に内蔵した発熱手段にて先端チップを加熱する一方、上記発熱手段の発熱にて加熱気体流生成チャンバー内に加熱気体流を生成して先端チップの周囲に噴出させるようにした半田ごてにおいて、
上記先端チップにはノズル部がその周囲を包囲しかつ前方に開放して設けられている一方、上記加熱気体流生成チャンバーとノズル部との間にはオリフィス部が形成され、
該オリフィス部の径は、上記加熱気体流生成チャンバー内に一定の圧力で供給される気体が上記加熱気体流生成チャンバー内で上記発熱手段の発熱にて加熱されて昇温膨張し、該昇温膨張した加熱気体の背圧と続いて供給される気体の圧力とが上記加熱気体流生成チャンバー内で均衡することにより、所定の温度まで昇温した加熱気体の一部が上記オリフィス部からノズル部に噴出される一方、上記続いて供給される気体が昇温膨張した加熱気体との対流にて混合されて予熱されるような寸法に設定されていることを特徴とする半田ごて。 - 上記発熱手段が筒状ヒータであり、該筒状ヒータの内部に上記加熱気体流生成チャンバーが形成されている請求項1記載の半田ごて。
- 上記先端チップの後半部が上記加熱気体流生成チャンバーの一部又は大部分を囲みあるいは上記加熱気体流生成チャンバー内に挿入され、上記加熱気体流生成チャンバー内の気体が上記先端チップに蓄積された熱の輻射を受けて更に昇温膨張されるようになした請求項2記載の半田ごて。
- 上記発熱手段が筒状ヒータであり、該筒状ヒータの内部に上記加熱気体流生成チャンバーが形成されている一方、上記先端チップの後半部が上記筒状ヒータ外側にて上記加熱気体流生成チャンバーの一部又は大部分を囲み、上記加熱気体流生成チャンバー内の気体が上記先端チップに蓄積された熱の輻射を受けて更に昇温膨張されるようになした請求項2記載の半田ごて。
- 上記先端チップの後半部には外部への熱放散を阻止し得る金属筒体が外嵌されている請求項3又は4記載の半田ごて。
- 上記発熱手段が筒状ヒータであり、該筒状ヒータの外部に上記加熱気体流生成チャンバーが形成されている一方、
上記先端チップの後半部が上記加熱気体流生成チャンバー内に挿入され、上記加熱気体流生成チャンバー内の気体が上記先端チップに蓄積された熱の輻射を受けて更に昇温膨張されるようになした請求項1記載の半田ごて。 - 上記ノズル部の基部は外部への熱放散を阻止し得る材料製の筒形状をなし、該筒形状部分が上記先端チップの前半基部に外嵌されている請求項1ないし6のいずれかに記載の半田ごて。
- 上記先端チップが銅系金属材料であり、上記金属筒体及び/又は筒形状部分がステンレス系、鉄系又はチタン系の金属材料である請求項5又は7記載の半田ごて。
- 上記先端チップには加熱気体流の噴出通路が上記加熱気体流生成チャンバーと連通しかつ先端チップの先端に開口して形成されており、加熱気体流を先端チップの前方に噴出させて非接触式の半田付けを可能となした請求項1ないし8のいずれかに記載の半田ごて。
- 半田ごて本体に内蔵した筒状の発熱手段にて先端チップを加熱する一方、上記発熱手段の内部又は外部に加熱気体流生成チャンバを形成し、上記発熱手段の発熱にて加熱気体流生成チャンバー内に加熱気体流を生成して先端チップの周囲に噴出させるようにした半田ごてにおいて、半田ごて本体の先端に取換え可能に装着される先端チップであって、
その後半部が上記加熱気体流生成チャンバーの一部又は大部分を囲むことにより上記半田ごて本体の先端に取付可能であり、
その前半部には上記加熱気体流生成チャンバーの一部を形成する凹部が形成され、該凹部の先端部に上記オリフィス部が形成されるとともに、前半基部にはノズル部が上記前半部を囲んで前方に開放されかつ上記オリフィス部と連通して取付けられていることを特徴とする半田ごての先端チップ。 - 半田ごて本体に内蔵した筒状の発熱手段にて先端チップを加熱する一方、上記発熱手段の内部又は外部に加熱気体流生成チャンバを形成し、上記発熱手段の発熱にて加熱気体流生成チャンバー内に加熱気体流を生成して先端チップの周囲に噴出させるようにした半田ごてにおいて、半田ごて本体の先端に取換え可能に装着される先端チップであって、
その後半部が上記加熱気体流生成チャンバー又は発熱手段内に挿入されることにより上記半田ごて本体の先端に取付可能であり、
その前半部には上記加熱気体流生成チャンバーの一部を形成する凹部が形成され、該凹部の先端部に上記オリフィス部が形成されるとともに、前半基部にはノズル部が上記前半部を囲んで前方に開放されかつ上記オリフィス部と連通して取付けられていることを特徴とする半田ごての先端チップ。 - 半田ごて本体に内蔵した筒状の発熱手段にて先端チップを加熱する一方、上記発熱手段の内部又は外部に加熱気体流生成チャンバを形成し、上記発熱手段の発熱にて加熱気体流生成チャンバー内に加熱気体流を生成して先端チップの周囲に噴出させるようにした半田ごてにおいて、半田ごて本体の先端に取換え可能に装着される先端チップであって、
その後半部が上記発熱手段内に挿入されることにより上記半田ごて本体の先端に取付可能であり、
その前半部外周には上記加熱気体流生成チャンバーと連通する凹溝状のオリフィス部が形成されるとともに、前半基部にはノズル部が上記前半部を囲んで前方に開放されかつ上記オリフィス部と連通して取付けられていることを特徴とする半田ごての先端チップ。 - 加熱気体流の噴出通路が先端に開口しかつ上記加熱気体流生成チャンバーと連通するように形成されており、加熱気体流を先端チップの前方に噴出させて非接触式の半田付けを可能となした請求項10ないし13のいずれかに記載の半田ごての先端チップ。
- 器具本体に内蔵した発熱手段にて先端チップを加熱し、該先端チップの熱にて半田を溶融させ、溶融半田を吸引するようにした半田吸引器具であって、
上記器具本体内には上記発熱手段の発熱にて加熱気体流を生成する加熱気体流生成チャンバーが設けられ、上記先端チップにはノズル部がその周囲を包囲しかつ前方に開放して設けられ、該ノズル部と上記加熱気体流生成チャンバーとの間にはオリフィス部が形成され、
該オリフィス部の径は、上記加熱気体流生成チャンバー内に一定の圧力で供給された気体が上記加熱気体流生成チャンバー内で上記発熱手段の発熱にて加熱されて昇温膨張し、該昇温膨張した加熱気体の背圧と続いて供給される気体の圧力とが上記加熱気体流生成チャンバー内で均衡することにより、所定の温度まで昇温した加熱気体の一部が上記オリフィス部からノズル部に噴出される一方、続いて供給される気体が昇温膨張した加熱気体とが対流にて混合されて予熱されるような寸法に設定され、
上記先端チップにはその先端部に開口して溶融半田の吸引通路が設けられていることを特徴とする半田吸引器具。 - 上記先端チップの後半部が上記加熱気体流生成チャンバーの一部又は大部分を囲みあるいは上記加熱気体流生成チャンバー内に挿入され、上記加熱気体流生成チャンバー内の気体が上記先端チップに蓄積された熱の輻射を受けて更に昇温膨張されるようになした請求項14記載の半田吸引器具。
- 上記発熱手段が筒状ヒータであり、該筒状ヒータの内部に上記加熱気体流生成チャンバーが形成されている一方、上記先端チップの後半部が上記筒状ヒータ外側にて上記加熱気体流生成チャンバーの一部又は大部分を囲み、上記加熱気体流生成チャンバー内の気体が上記先端チップに蓄積された熱の輻射を受けて更に昇温膨張されるようになした請求項14記載の半田吸引器具。
- 上記先端チップの後半部には外部への熱放散を阻止し得る金属筒体が外嵌されている請求項15又は16記載の半田吸引器具。
- 上記発熱手段が筒状ヒータであり、該筒状ヒータの外部に上記加熱気体流生成チャンバーが形成されている一方、
上記先端チップの後半部が上記加熱気体流生成チャンバー内に挿入され、上記加熱気体流生成チャンバー内の気体が上記先端チップに蓄積された熱の輻射を受けて更に昇温膨張されるようになした請求項14記載の半田吸引器具。 - 上記ノズル部の基部は外部への熱放散を阻止し得る材料製の筒形状をなし、該筒形状部分が上記先端チップの前半基部に外嵌されている請求項14ないし18のいずれかに記載の半田吸引器具。
- 上記先端チップが銅系金属材料であり、上記金属筒体及び/又は筒形状部分がステンレス系、鉄系又はチタン系の金属材料である請求項17又は19記載の半田吸引器具。
- 器具本体に内蔵した発熱手段にて先端チップを加熱し、該先端チップの熱にて半田を溶融させ、溶融半田を吸引するようにした半田吸引器具において、器具本体の先端に取換え可能に装着される先端チップであって、
その後半部が上記加熱気体流生成チャンバーの一部又は大部分を囲むことにより上記半田ごて本体の先端に取付可能であり、
その前半部には上記加熱気体流生成チャンバーの一部を形成する凹部が形成され、該凹部の先端部に上記オリフィス部が形成されるとともに、前半基部にはノズル部が上記前半部を囲んで前方に開放されかつ上記オリフィス部と連通して取付けられている一方、
その先端部に開口して溶融半田の吸引通路が形成され、該吸引通路の後端側が吸引機構に接続可能に設けられていることを特徴とすることを特徴とする半田吸引器具の先端チップ。 - 器具本体に内蔵した発熱手段にて先端チップを加熱し、該先端チップの熱にて半田を溶融させ、溶融半田を吸引するようにした半田吸引器具において、器具本体の先端に取換え可能に装着される先端チップであって、
その後半部が上記加熱気体流生成チャンバー又は発熱手段内に挿入されることにより上記半田ごて本体の先端に取付可能であり、
その前半部には上記加熱気体流生成チャンバーの一部を形成する凹部が形成され、該凹部の先端部に上記オリフィス部が形成されるとともに、前半基部にはノズル部が上記前半部を囲んで前方に開放されかつ上記オリフィス部と連通して取付けられている一方、
その先端部に開口して溶融半田の吸引通路が形成され、該吸引通路の後端側が吸引機構に接続可能に設けられていることを特徴とする半田吸引器具の先端チップ。 - 器具本体に内蔵した発熱手段にて先端チップを加熱し、該先端チップの熱にて半田を溶融させ、溶融半田を吸引するようにした半田吸引器具において、器具本体の先端に取換え可能に装着される先端チップであって、
その後半部が上記発熱手段内に挿入されることにより上記半田ごて本体の先端に取付可能であり、
その前半部外周には上記加熱気体流生成チャンバーと連通する凹溝状のオリフィス部が形成されるとともに、前半基部にはノズル部が上記前半部を囲んで前方に開放されかつ上記オリフィス部と連通して取付けられている一方、
その先端部に開口して溶融半田の吸引通路が形成され、該吸引通路の後端側が吸引機構に接続可能に設けられていることを特徴とする半田吸引器具の先端チップ。
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