JP3541163B2 - コンデンサ - Google Patents
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Description
【0001】
【産業上の利用分野】
この発明は、コンデンサに係り、特に、コンデンサ素子の両端面にメタリコンを施して形成した外部電極にリード端子を接続して成るコンデンサに関する。
【0002】
【従来の技術】
図7及び図8に示すように、従来のコンデンサ100は、コンデンサ素子102の両端面にメタリコンを施して形成した外部電極104a,104bに、半田106を介して断面略L字形状のリード端子108を接続して成り、該コンデンサ100を、絶縁材より成る略直方体形状のケース110内に収納すると共に、上記リード端子108の一端をケース110外に導出し、さらに上記ケース110内に樹脂材料112を充填してケース110の底面開口部を封止している。
【0003】
上記リード端子108は、断面略L字形状と成されており、上記外部電極104a,104bと接続される第1の板状部114と、該第1の板状部114の下端から90度の角度で外方へ延設され、図示しないプリント基板等と接続される第2の板状部116とを有しており、リード端子108と外部電極104a,104bとの接続は、上記第1の板状部114先端に形成された凸部118と外部電極104a,104bとを半田106で固定することにより行われている。
【0004】
また、上記コンデンサ素子102は、図9及び図10に示す通り、ポリプロピレンやポリエチレン等より成る誘電体フィルム120の表面に、それぞれアルミニウムや亜鉛等より成る電極膜122を10nm〜80nmの厚さで蒸着させた一対の金属化フィルム124を積層した後に、図示しない巻取機によって巻回して終端部を止着し、これに加熱及び加圧処理を施して形成され、該コンデンサ素子102の両端面に金属材料を溶射するメタリコンを施すことにより、リード端子接続用の外部電極(メタリコン電極)104a,104bが形成される。
上記誘電体フィルム120の表面には、一方の側辺に沿って所定の幅でマージン部126(すなわち電極膜122に覆われない部分)が確保されている。また、他方の誘電体フィルム120の表面にも、上記とは反対側の側辺に沿って同様のマージン部126が確保されている。
上記コンデンサ100の内部においては、各電極膜122がそれぞれ誘電体フィルム120を間に介して重複するように配置されている。また、積層された各電極膜122の一方の端部122aは、それぞれ交互に左右の外部電極104a,104bに接続している。さらに、各電極膜122の他方の端部122bと左右何れかの外部電極104a,104bとの間には、マージン空間128が形成されている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
従来のコンデンサにあっては、リード端子108と外部電極104a,104bとの接続は、上記の通り、第1の板状部114先端に形成された凸部118と外部電極104a,104bとを半田106で固定することにより行われている。このため、リード端子108と外部電極104a,104bとは上記凸部118の部分でのみ、半田106で電気的・機械的に強固に接続されているにすぎず、その結果、コンデンサ100内部を流れる電流は、リード端子108の凸部118が接続された部分の外部電極104a,104b間で集中的に流れていた。
そのため、上記電流集中に起因するコンデンサ内部の自己発熱によって、誘電体フィルム120が熱変形し、静電容量の変動や絶縁耐力の低下といったコンデンサの諸特性に悪影響を生じさせる事態が生じていた。
【0006】
本発明は、従来例の抱える上記問題を解決するために案出されたものであり、コンデンサ内部を流れる電流が特定部分に集中することなく分散して流れ、コンデンサ内部での自己発熱を抑えることのできるコンデンサを実現することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
上記の目的を達成するために、本発明に係るコンデンサは、複数の誘電体フィルムと、複数の金属電極膜又は金属電極箔とを、積層又は積層巻回してコンデンサ素子を形成し、該コンデンサ素子の両端面にメタリコンを施して外部電極を形成すると共に、該外部電極にリード端子を接続して成るコンデンサであって、上記リード端子は、上記外部電極全面を完全に覆う面積を備えると共に、外部電極の外形内に収まる大きさの半田導入用の貫通孔が形成された板状部を有しており、上記貫通孔は、一端に設けられた半田導入部と、他端に設けられた半田溜まり部と、上記半田導入部と半田溜まり部とを連結すると共に半田導入部より幅狭に形成された半田流路部とから成り、上記リード端子の板状部と外部電極全面とが半田を介して接続されていることを特徴とする。
【0008】
本発明においては、リード端子の板状部と外部電極全面とが、半田を介して電気的・機械的に強固に接続されるので、コンデンサ内部を流れる電流が一部分に集中することなく左右の外部電極間を分散して流れ、この結果、コンデンサ内部での自己発熱を抑えることができる。このため、自己発熱による誘電体フィルムの変形に起因して生じる静電容量の変動や絶縁耐力の低下等といったコンデンサの特性劣化を防ぐことができる。
【0009】
また、本発明においては、リード端子と外部電極との接続を容易にするため、上記リード端子の板状部に、上記外部電極の外形内に収まる大きさの半田導入用の貫通孔が形成されており、該貫通孔は、一端に設けられた半田導入部と、他端に設けられた半田溜まり部と、上記半田導入部と半田溜まり部とを連結すると共に半田導入部より幅狭に形成された半田流路部とから成る。
【0010】
而して、コンデンサの外部電極にリード端子を接続する際に、板状部の貫通孔が外部電極の外形内に配置された状態で、貫通孔の半田導入部より半田を流し込んでいくと、半田は半田流路部を通って半田溜まり部へと流れ込んでいき、半田導入部、半田流路部及び半田溜まり部に半田が満ちた状態となる。この状態から更に半田の流し込みを続けていくと、半田導入部、半田流路部及び半田溜まり部から溢れた半田が、板状部と外部電極との間へと入り込んでいき、この結果、リード端子の板状部と外部電極全面とが半田を介して完全に接続される。
尚、半田流路部が、半田導入部より幅狭に形成されているので、半田導入部から導入した半田を半田溜まり部へと流れ易くすることができる。
【0011】
【発明の実施の形態】
図1及び図2に示すように、本発明に係るコンデンサ10は、後述する第1のコンデンサ素子12又は第2のコンデンサ素子14の両端面にメタリコンを施して形成した外部電極16a,16bに、半田18を介して断面略L字形状のリード端子20を接続して成り、該コンデンサ10を、樹脂やセラミック等の絶縁材より成る略直方体形状のケース22内に収納すると共に、上記リード端子20の一端をケース22外に導出し、さらに上記ケース22内にウレタン樹脂等の樹脂材料24を充填してケース22の底面開口部を封止している。
【0012】
上記リード端子20は、断面略L字形状と成されており、外部電極16a,16bと接続される第1の板状部26と、該第1の板状部26の下端から90度の角度で外方へ延設され、図示しないプリント基板等と接続される第2の板状部28とを有している。
【0013】
上記第1の板状部26は、外部電極16a,16b全面を完全に覆う面積を備えていると共に、上記ケース22の深さ以上の長さを備えている。そして、該第1の板状部26の先端は、上記ケース上面22aに形成された凹部30と嵌合されている。
また、第1の板状部26には、外部電極16a,16bと半田接続を行うための貫通孔32が形成されている。該貫通孔32は、図2に示すように、外部電極16a,16bの外形内に収まる大きさと成されており、その上端に略矩形状の2つの半田導入部32aが設けられていると共に、下端に略矩形状の2つの半田溜まり部32bが設けられており、上記半田導入部32aと半田溜まり部32bとは略矩形状の半田流路部32cによって連結されている。
尚、上記半田導入部32a、半田溜まり部32b、半田流路部32cの形状は、略矩形状に限定されるものではなく、任意の形状で良い。
【0014】
上記第2の板状部28には円形貫通孔34が形成されており、該円形貫通孔34から半田18を流すことによりプリント基板等との取付を行えるようになっている。
【0015】
図3及び図4は、本発明の第1のコンデンサ素子12の内部構造を示すものであり、該コンデンサ素子12は、ポリプロピレンやポリエチレン等より成る帯状の樹脂フィルム36の表面に、その一側辺に沿って、マージン部38(後述する電極膜の形成されない領域)が残されるように、アルミニウムや亜鉛等の金属材料を蒸着して成る第1の電極膜40を形成すると共に、該樹脂フィルム36の裏面に、上記表面のマージン部38と同じ側の一側辺に沿ってマージン部38が残されるように、アルミニウムや亜鉛等の金属材料を蒸着して成る第2の電極膜42を形成して構成した一対の両面金属化フィルム44と、ポリプロピレン等より成る一対の帯状の誘電体フィルム46とを、上記一対の両面金属化フィルム44同士のマージン部38が反対側に配されるように、交互に積層した後(図3)、図示しない巻取機によって巻回して終端部を止着し、これに加熱及び加圧処理を施して扁平化することにより形成される。
そして、上記コンデンサ素子12の両端面に丹銅や半田等の金属材料を溶射するメタリコンを施すことにより、上記外部電極16a,16bが形成される。
【0016】
この結果、図4に示すように、誘電体フィルム46を間に介して両面金属化フィルム44が対向配置される。各両面金属化フィルム44の第1の電極膜40及び第2の電極膜42の外端部40a,42aは、左右の外部電極16a,16bの内、同じ側の外部電極16a,16bと接続され、また、第1の電極膜40及び第2の電極膜42の内端部40b,42bは、上記第1の電極膜40及び第2の電極膜42の外端部40a,42aが接続された外部電極16a,16bとは反対側の外部電極16a,16bとマージン空間48を隔てて対向している。
また、両面金属化フィルム44の第1の電極膜40及び第2の電極膜42の外端部40a,42aが接続される外部電極16a,16bは、上下の両面金属化フィルム44間で互い違いとなっている。
【0017】
図4において、50は、両面金属化フィルム44と誘電体フィルム46とを積層・巻回した後に、コンデンサ素子12の両端面から含浸させたシリコン油等の絶縁油である。尚、図示の関係上、図4においては、マージン空間48のみに絶縁油50が表現されているが、実際には、該絶縁油50は、両面金属化フィルム44と誘電体フィルム46間にも存在している。
このように、絶縁油50を含浸させることにより、両面金属化フィルム44と誘電体フィルム46間に存在する空気が外部に排斥されるので、誘電体フィルム46よりも誘電率の低い空気の存在によって、当該空隙箇所が高電界となって生じる部分放電の発生を防止することができるのである。
また、コンデンサの製造過程で誘電体フィルム46に加わる衝撃やコンデンサに高圧が印加されて誘電体フィルム46に加わる衝撃等により、誘電体フィルム46の厚さが不均一となり、この結果、誘電体フィルム46に絶縁耐力の脆弱な部分を生じることがあるが、上記絶縁油50が存在することにより絶縁性を十分保持することができる。
【0018】
上記第1のコンデンサ素子12を備えた本発明のコンデンサ10にあっては、各両面金属化フィルム44の表面の第1の電極膜40及び裏面の第2の電極膜42がコンデンサ電極として機能し、この第1の電極膜40及び第2の電極膜42の外端部40a,42bが、共に同じ側の外部電極16a,16bと接続されていることから、上記従来のコンデンサ100に比べ、電極膜と外部電極との接触面積を2倍確保することができる。このため、コンデンサの電流容量を従来のものより向上させることができ、耐電流特性に優れたコンデンサが実現される。
【0019】
上記においては、一対の両面金属化フィルム44と、一対の誘電体フィルム46とを、交互に積層後、巻回してコンデンサ素子12を形成した例を示したが、多数枚の両面金属化フィルム44と、多数枚の誘電体フィルム46とを交互に積層してコンデンサ素子12を形成することもできる。
【0020】
尚、上記両面金属化フィルム44を構成する樹脂フィルム36と、誘電体フィルム46とは、同一材料で構成するのが望ましい。すなわち、樹脂フィルム36と誘電体フィルム46の材料が異なっていると両者の熱収縮率も異なるため、高温下で使用された際に、誘電体フィルム46が樹脂フィルム36より大きく熱収縮することがある。この場合、誘電体フィルム46を介して対向配置されている両面金属化フィルム44の電極膜40,42が、誘電体フィルム46を介さずに直接対向することとなり、その結果、上下の両面金属化フィルム44の電極膜40,42間でコロナ放電が発生して素子の破壊に至る恐れが生じる。
一方、樹脂フィルム36と誘電体フィルム46の材料を同一にしておけば、両者の熱収縮率も同一となり、高温下で使用された際における誘電体フィルム46及び樹脂フィルム36の熱収縮の度合も同じとなる。このため、誘電体フィルム46を介して対向配置されている上下の両面金属化フィルム44の電極膜40,42が、誘電体フィルム46を介さずに直接対向することがなく、電極膜40,42間でのコロナ放電の発生を防止できるのである。
【0021】
また、コンデンサの耐熱性を向上させるため、両面金属化フィルム44を構成する樹脂フィルム36及び誘電体フィルム46として、耐熱性に優れた材料を選定するのが好ましく、例えば、110度程までの電気的特性が一定に維持される高密度ポリプロピレンや、誘電正接は多少高いが、180度までの耐熱性を有するPPS(ポリフェニレンサルファイド)が適当である。
【0022】
図5及び図6は、本発明に係る第2のコンデンサ素子14の内部構造を示すものであり、該コンデンサ素子14は、2つのコンデンサを直列接続させた、いわゆるシリーズ構造を備えたものである。
このコンデンサ素子14は、第1の樹脂フィルム52の表面及び裏面に、その両側辺に沿って第1のマージン部54及び第2のマージン部56が残されるように、それぞれ金属材料を蒸着して成る第1の電極膜58及び第2の電極膜60が形成された第1の両面金属化フィルム62、及び、第2の樹脂フィルム64の表面及び裏面に、その中央の長手方向に沿って延びる第3のマージン部66が残されるように、それぞれ金属材料を蒸着して成る第3の電極膜68及び第4の電極膜70、第5の電極膜72及び第6の電極膜74が形成された第2の両面金属化フィルム76と、一対の誘電体フィルム46とを、上記第1の両面金属化フィルム62の第1の電極膜58及び第2の電極膜60の両端部分が、誘電体フィルム46を間に挟んで、上記第2の両面金属化フィルム76の第3の電極膜68及び第4の電極膜70、第5の電極膜72及び第6の電極膜74と重複するようにして、交互に積層後(図5)、これを巻回し、加熱及び加圧処理を施して形成される(図6)。
上記第2の両面金属化フィルム76の第3の電極膜68と第5の電極膜72、第4の電極膜70と第6の電極膜74相互間は、上記第3のマージン部66によって電気的に絶縁されている。
【0023】
この結果、図6に示すように、誘電体フィルム46を介して、第1の両面金属化フィルム62における第1の電極膜58及び第2の電極膜60と、第2の両面金属化フィルム76における第3の電極膜68及び第4の電極膜70との重複部分、第1の両面金属化フィルム62における第1の電極膜58及び第2の電極膜60と、第2の両面金属化フィルム76における第5の電極膜72及び第6の電極膜74との重複部分に、相互に直列接続された2つのコンデンサが形成されることとなる。
上記第2の両面金属化フィルム76における第3の電極膜68と第4の電極膜70の外端部68a,70aは、共に左側の外部電極16aと接続され、第5の電極膜72と第6の電極膜74の外端部72a,74bは、共に右側の外部電極16bと接続されている。
また、上記第1の両面金属化フィルム62における第1の電極膜58及び第2の電極膜60の両端は、第1のマージン空間78及び第2のマージン空間80によって左右の外部電極16a,16bと絶縁され、第2の両面金属化フィルム76における第3の電極膜68と第5の電極膜72の内端部68b,72b間、第4の電極膜70と第6の電極膜74の内端部70b,74b間は、第3のマージン空間82によって絶縁されている。
【0024】
さらに、上記第1乃至第3ののマージン空間78,80,82及び両面金属化フィルム62,76と誘電体フィルム46間には、コンデンサ素子14の両端面から含浸させた絶縁油50が存在している。
【0025】
上記第2のコンデンサ素子14を備えた本発明のコンデンサ10にあっては、第1の両面金属化フィルム62における表面の第1の電極膜58及び裏面の第2の電極膜60、第2の両面金属化フィルム76における表面の第3の電極膜68及び裏面の第4の電極膜70、表面の第5の電極膜72及び裏面の第6の電極膜74がコンデンサ電極として機能し、第3の電極膜68及び第4の電極膜70の外端部68a,70bが、共に同じ左側の外部電極16aと接続され、また、第5の電極膜72及び第6の電極膜74の外端部72a,74bが共に同じ右側の外部電極16bと接続されていることから、電極膜と外部電極との接触面積を2倍確保することができる。このため、コンデンサの電流容量を向上させることができ、耐電流特性に優れたコンデンサを実現できるのである。
【0026】
尚、上記第1のコンデンサ素子12の場合と同じ理由により、この第2のコンデンサ素子14においても、上記樹脂フィルム52,64と、誘電体フィルム46とを同一材料で構成し、熱収縮率を同一としておくのが望ましい。
【0027】
また、この第2のコンデンサ素子14も、第1の両面金属化フィルム62及び第2の両面金属化フィルム76と、一対の誘電体フィルム46とを、交互に積層後、巻回してコンデンサ素子14を形成する代わりに、多数枚の第1の両面金属化フィルム62及び第2の両面金属化フィルム76と、多数枚の誘電体フィルム46とを交互に積層してコンデンサ素子14を形成することができる。
【0028】
上記第1のコンデンサ素子12又は第2のコンデンサ素子14の外部電極16a,16bに、上記リード端子20を接続する際には、上記第1の板状部26の貫通孔32が外部電極16a,16bの外形内に配置された状態で、貫通孔32の半田導入部32aより半田18を流し込んでいく。すると、半田18は半田流路部32cを通って半田溜まり部32bへと流れ込んでいき、半田導入部32a、半田流路部32c及び半田溜まり部32bに半田18が満ちた状態となる。この状態から更に半田18の流し込みを続けていくと、半田導入部32a、半田流路部32c及び半田溜まり部32bから溢れた半田18が、第1の板状部26と外部電極16a,16bとの間へと入り込んでいき、この結果、リード端子20の第1の板状部26と外部電極16a,16b全面とが半田18を介して完全に接続されるのである。
尚、上記半田流路部32cを、半田導入部32aより幅狭に形成することにより、半田導入部32aから導入した半田18を半田溜まり部32bへと流れ易くすることができる。
【0029】
上記の通り、本発明においては、リード端子20の第1の板状部26と外部電極16a,16b全面とが、半田18を介して電気的・機械的に強固に接続しているので、コンデンサ内部を流れる電流が一部分に集中することなく左右の外部電極16a,16b間を分散して流れ、この結果、コンデンサ内部での自己発熱を抑えることができる。このため、自己発熱による誘電体フィルムの変形に起因して生じる静電容量の変動や絶縁耐力の低下等といったコンデンサの特性劣化を防ぐことができる。
【0030】
また、リード端子20の第1の板状部26と外部電極16a,16b全面とが接続されていることから、リード端子20と外部電極16a,16bとの接続強度が大きくなっていると共に、コンデンサ内部で発生した熱を、上記リード端子20の第1の板状部26及び第2の板状部28を通じて外部へ放熱することができる。
さらに、リード端子20の第1の板状部26先端が、上記ケース上面22aに形成された凹部30と嵌合されているため、コンデンサ10はケース22内で強固に固定され、その機械的強度が大きくなっている。
【0031】
上記においては、コンデンサ電極を、樹脂フィルム表面に金属材料を蒸着して成る金属電極膜で構成したが、アルミニウムや亜鉛等の金属材料より成る金属電極箔でコンデンサ電極を構成しても良い。
【0032】
【発明の効果】
本発明に係るコンデンサにあっては、リード端子の第1の板状部と外部電極全面とが半田を介して電気的・機械的に強固に接続されているので、コンデンサ内部を流れる電流が一部分に集中することなく両端の外部電極間を分散して流れ、この結果、コンデンサ内部での自己発熱を抑えることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係るコンデンサを、ケース内に収納した状態を示す概略断面図である。
【図2】外部電極とリード端子との接続状態を示す側面図である。
【図3】第1のコンデンサ素子における、両面金属化フィルムと誘電体フィルムとの積層状態を示す分解断面図である。
【図4】第1のコンデンサ素子の内部構造を示す断面図である。
【図5】第2のコンデンサ素子における、第1の両面金属化フィルム及び第2の両面金属化フィルムと、誘電体フィルムとの積層状態を示す分解断面図である。
【図6】第2のコンデンサ素子の内部構造を示す断面図である。
【図7】従来のコンデンサを、ケース内に収納した状態を示す概略断面図である。
【図8】従来のコンデンサにおける外部電極とリード端子との接続状態を示す側面図である。
【図9】従来のコンデンサにおける、金属化フィルムの積層状態を示す分解断面図である。
【図10】従来のコンデンサ素子の内部構造を示す断面図である。
【符号の説明】
10 コンデンサ
12 第1のコンデンサ素子
14 第2のコンデンサ素子
16a 外部電極
16b 外部電極
18 半田
20 リード端子
26 第1の板状部
28 第2の板状部
32 貫通孔
44 両面金属化フィルム
46 誘電体フィルム
62 第1の両面金属化フィルム
76 第2の両面金属化フィルム
【産業上の利用分野】
この発明は、コンデンサに係り、特に、コンデンサ素子の両端面にメタリコンを施して形成した外部電極にリード端子を接続して成るコンデンサに関する。
【0002】
【従来の技術】
図7及び図8に示すように、従来のコンデンサ100は、コンデンサ素子102の両端面にメタリコンを施して形成した外部電極104a,104bに、半田106を介して断面略L字形状のリード端子108を接続して成り、該コンデンサ100を、絶縁材より成る略直方体形状のケース110内に収納すると共に、上記リード端子108の一端をケース110外に導出し、さらに上記ケース110内に樹脂材料112を充填してケース110の底面開口部を封止している。
【0003】
上記リード端子108は、断面略L字形状と成されており、上記外部電極104a,104bと接続される第1の板状部114と、該第1の板状部114の下端から90度の角度で外方へ延設され、図示しないプリント基板等と接続される第2の板状部116とを有しており、リード端子108と外部電極104a,104bとの接続は、上記第1の板状部114先端に形成された凸部118と外部電極104a,104bとを半田106で固定することにより行われている。
【0004】
また、上記コンデンサ素子102は、図9及び図10に示す通り、ポリプロピレンやポリエチレン等より成る誘電体フィルム120の表面に、それぞれアルミニウムや亜鉛等より成る電極膜122を10nm〜80nmの厚さで蒸着させた一対の金属化フィルム124を積層した後に、図示しない巻取機によって巻回して終端部を止着し、これに加熱及び加圧処理を施して形成され、該コンデンサ素子102の両端面に金属材料を溶射するメタリコンを施すことにより、リード端子接続用の外部電極(メタリコン電極)104a,104bが形成される。
上記誘電体フィルム120の表面には、一方の側辺に沿って所定の幅でマージン部126(すなわち電極膜122に覆われない部分)が確保されている。また、他方の誘電体フィルム120の表面にも、上記とは反対側の側辺に沿って同様のマージン部126が確保されている。
上記コンデンサ100の内部においては、各電極膜122がそれぞれ誘電体フィルム120を間に介して重複するように配置されている。また、積層された各電極膜122の一方の端部122aは、それぞれ交互に左右の外部電極104a,104bに接続している。さらに、各電極膜122の他方の端部122bと左右何れかの外部電極104a,104bとの間には、マージン空間128が形成されている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
従来のコンデンサにあっては、リード端子108と外部電極104a,104bとの接続は、上記の通り、第1の板状部114先端に形成された凸部118と外部電極104a,104bとを半田106で固定することにより行われている。このため、リード端子108と外部電極104a,104bとは上記凸部118の部分でのみ、半田106で電気的・機械的に強固に接続されているにすぎず、その結果、コンデンサ100内部を流れる電流は、リード端子108の凸部118が接続された部分の外部電極104a,104b間で集中的に流れていた。
そのため、上記電流集中に起因するコンデンサ内部の自己発熱によって、誘電体フィルム120が熱変形し、静電容量の変動や絶縁耐力の低下といったコンデンサの諸特性に悪影響を生じさせる事態が生じていた。
【0006】
本発明は、従来例の抱える上記問題を解決するために案出されたものであり、コンデンサ内部を流れる電流が特定部分に集中することなく分散して流れ、コンデンサ内部での自己発熱を抑えることのできるコンデンサを実現することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
上記の目的を達成するために、本発明に係るコンデンサは、複数の誘電体フィルムと、複数の金属電極膜又は金属電極箔とを、積層又は積層巻回してコンデンサ素子を形成し、該コンデンサ素子の両端面にメタリコンを施して外部電極を形成すると共に、該外部電極にリード端子を接続して成るコンデンサであって、上記リード端子は、上記外部電極全面を完全に覆う面積を備えると共に、外部電極の外形内に収まる大きさの半田導入用の貫通孔が形成された板状部を有しており、上記貫通孔は、一端に設けられた半田導入部と、他端に設けられた半田溜まり部と、上記半田導入部と半田溜まり部とを連結すると共に半田導入部より幅狭に形成された半田流路部とから成り、上記リード端子の板状部と外部電極全面とが半田を介して接続されていることを特徴とする。
【0008】
本発明においては、リード端子の板状部と外部電極全面とが、半田を介して電気的・機械的に強固に接続されるので、コンデンサ内部を流れる電流が一部分に集中することなく左右の外部電極間を分散して流れ、この結果、コンデンサ内部での自己発熱を抑えることができる。このため、自己発熱による誘電体フィルムの変形に起因して生じる静電容量の変動や絶縁耐力の低下等といったコンデンサの特性劣化を防ぐことができる。
【0009】
また、本発明においては、リード端子と外部電極との接続を容易にするため、上記リード端子の板状部に、上記外部電極の外形内に収まる大きさの半田導入用の貫通孔が形成されており、該貫通孔は、一端に設けられた半田導入部と、他端に設けられた半田溜まり部と、上記半田導入部と半田溜まり部とを連結すると共に半田導入部より幅狭に形成された半田流路部とから成る。
【0010】
而して、コンデンサの外部電極にリード端子を接続する際に、板状部の貫通孔が外部電極の外形内に配置された状態で、貫通孔の半田導入部より半田を流し込んでいくと、半田は半田流路部を通って半田溜まり部へと流れ込んでいき、半田導入部、半田流路部及び半田溜まり部に半田が満ちた状態となる。この状態から更に半田の流し込みを続けていくと、半田導入部、半田流路部及び半田溜まり部から溢れた半田が、板状部と外部電極との間へと入り込んでいき、この結果、リード端子の板状部と外部電極全面とが半田を介して完全に接続される。
尚、半田流路部が、半田導入部より幅狭に形成されているので、半田導入部から導入した半田を半田溜まり部へと流れ易くすることができる。
【0011】
【発明の実施の形態】
図1及び図2に示すように、本発明に係るコンデンサ10は、後述する第1のコンデンサ素子12又は第2のコンデンサ素子14の両端面にメタリコンを施して形成した外部電極16a,16bに、半田18を介して断面略L字形状のリード端子20を接続して成り、該コンデンサ10を、樹脂やセラミック等の絶縁材より成る略直方体形状のケース22内に収納すると共に、上記リード端子20の一端をケース22外に導出し、さらに上記ケース22内にウレタン樹脂等の樹脂材料24を充填してケース22の底面開口部を封止している。
【0012】
上記リード端子20は、断面略L字形状と成されており、外部電極16a,16bと接続される第1の板状部26と、該第1の板状部26の下端から90度の角度で外方へ延設され、図示しないプリント基板等と接続される第2の板状部28とを有している。
【0013】
上記第1の板状部26は、外部電極16a,16b全面を完全に覆う面積を備えていると共に、上記ケース22の深さ以上の長さを備えている。そして、該第1の板状部26の先端は、上記ケース上面22aに形成された凹部30と嵌合されている。
また、第1の板状部26には、外部電極16a,16bと半田接続を行うための貫通孔32が形成されている。該貫通孔32は、図2に示すように、外部電極16a,16bの外形内に収まる大きさと成されており、その上端に略矩形状の2つの半田導入部32aが設けられていると共に、下端に略矩形状の2つの半田溜まり部32bが設けられており、上記半田導入部32aと半田溜まり部32bとは略矩形状の半田流路部32cによって連結されている。
尚、上記半田導入部32a、半田溜まり部32b、半田流路部32cの形状は、略矩形状に限定されるものではなく、任意の形状で良い。
【0014】
上記第2の板状部28には円形貫通孔34が形成されており、該円形貫通孔34から半田18を流すことによりプリント基板等との取付を行えるようになっている。
【0015】
図3及び図4は、本発明の第1のコンデンサ素子12の内部構造を示すものであり、該コンデンサ素子12は、ポリプロピレンやポリエチレン等より成る帯状の樹脂フィルム36の表面に、その一側辺に沿って、マージン部38(後述する電極膜の形成されない領域)が残されるように、アルミニウムや亜鉛等の金属材料を蒸着して成る第1の電極膜40を形成すると共に、該樹脂フィルム36の裏面に、上記表面のマージン部38と同じ側の一側辺に沿ってマージン部38が残されるように、アルミニウムや亜鉛等の金属材料を蒸着して成る第2の電極膜42を形成して構成した一対の両面金属化フィルム44と、ポリプロピレン等より成る一対の帯状の誘電体フィルム46とを、上記一対の両面金属化フィルム44同士のマージン部38が反対側に配されるように、交互に積層した後(図3)、図示しない巻取機によって巻回して終端部を止着し、これに加熱及び加圧処理を施して扁平化することにより形成される。
そして、上記コンデンサ素子12の両端面に丹銅や半田等の金属材料を溶射するメタリコンを施すことにより、上記外部電極16a,16bが形成される。
【0016】
この結果、図4に示すように、誘電体フィルム46を間に介して両面金属化フィルム44が対向配置される。各両面金属化フィルム44の第1の電極膜40及び第2の電極膜42の外端部40a,42aは、左右の外部電極16a,16bの内、同じ側の外部電極16a,16bと接続され、また、第1の電極膜40及び第2の電極膜42の内端部40b,42bは、上記第1の電極膜40及び第2の電極膜42の外端部40a,42aが接続された外部電極16a,16bとは反対側の外部電極16a,16bとマージン空間48を隔てて対向している。
また、両面金属化フィルム44の第1の電極膜40及び第2の電極膜42の外端部40a,42aが接続される外部電極16a,16bは、上下の両面金属化フィルム44間で互い違いとなっている。
【0017】
図4において、50は、両面金属化フィルム44と誘電体フィルム46とを積層・巻回した後に、コンデンサ素子12の両端面から含浸させたシリコン油等の絶縁油である。尚、図示の関係上、図4においては、マージン空間48のみに絶縁油50が表現されているが、実際には、該絶縁油50は、両面金属化フィルム44と誘電体フィルム46間にも存在している。
このように、絶縁油50を含浸させることにより、両面金属化フィルム44と誘電体フィルム46間に存在する空気が外部に排斥されるので、誘電体フィルム46よりも誘電率の低い空気の存在によって、当該空隙箇所が高電界となって生じる部分放電の発生を防止することができるのである。
また、コンデンサの製造過程で誘電体フィルム46に加わる衝撃やコンデンサに高圧が印加されて誘電体フィルム46に加わる衝撃等により、誘電体フィルム46の厚さが不均一となり、この結果、誘電体フィルム46に絶縁耐力の脆弱な部分を生じることがあるが、上記絶縁油50が存在することにより絶縁性を十分保持することができる。
【0018】
上記第1のコンデンサ素子12を備えた本発明のコンデンサ10にあっては、各両面金属化フィルム44の表面の第1の電極膜40及び裏面の第2の電極膜42がコンデンサ電極として機能し、この第1の電極膜40及び第2の電極膜42の外端部40a,42bが、共に同じ側の外部電極16a,16bと接続されていることから、上記従来のコンデンサ100に比べ、電極膜と外部電極との接触面積を2倍確保することができる。このため、コンデンサの電流容量を従来のものより向上させることができ、耐電流特性に優れたコンデンサが実現される。
【0019】
上記においては、一対の両面金属化フィルム44と、一対の誘電体フィルム46とを、交互に積層後、巻回してコンデンサ素子12を形成した例を示したが、多数枚の両面金属化フィルム44と、多数枚の誘電体フィルム46とを交互に積層してコンデンサ素子12を形成することもできる。
【0020】
尚、上記両面金属化フィルム44を構成する樹脂フィルム36と、誘電体フィルム46とは、同一材料で構成するのが望ましい。すなわち、樹脂フィルム36と誘電体フィルム46の材料が異なっていると両者の熱収縮率も異なるため、高温下で使用された際に、誘電体フィルム46が樹脂フィルム36より大きく熱収縮することがある。この場合、誘電体フィルム46を介して対向配置されている両面金属化フィルム44の電極膜40,42が、誘電体フィルム46を介さずに直接対向することとなり、その結果、上下の両面金属化フィルム44の電極膜40,42間でコロナ放電が発生して素子の破壊に至る恐れが生じる。
一方、樹脂フィルム36と誘電体フィルム46の材料を同一にしておけば、両者の熱収縮率も同一となり、高温下で使用された際における誘電体フィルム46及び樹脂フィルム36の熱収縮の度合も同じとなる。このため、誘電体フィルム46を介して対向配置されている上下の両面金属化フィルム44の電極膜40,42が、誘電体フィルム46を介さずに直接対向することがなく、電極膜40,42間でのコロナ放電の発生を防止できるのである。
【0021】
また、コンデンサの耐熱性を向上させるため、両面金属化フィルム44を構成する樹脂フィルム36及び誘電体フィルム46として、耐熱性に優れた材料を選定するのが好ましく、例えば、110度程までの電気的特性が一定に維持される高密度ポリプロピレンや、誘電正接は多少高いが、180度までの耐熱性を有するPPS(ポリフェニレンサルファイド)が適当である。
【0022】
図5及び図6は、本発明に係る第2のコンデンサ素子14の内部構造を示すものであり、該コンデンサ素子14は、2つのコンデンサを直列接続させた、いわゆるシリーズ構造を備えたものである。
このコンデンサ素子14は、第1の樹脂フィルム52の表面及び裏面に、その両側辺に沿って第1のマージン部54及び第2のマージン部56が残されるように、それぞれ金属材料を蒸着して成る第1の電極膜58及び第2の電極膜60が形成された第1の両面金属化フィルム62、及び、第2の樹脂フィルム64の表面及び裏面に、その中央の長手方向に沿って延びる第3のマージン部66が残されるように、それぞれ金属材料を蒸着して成る第3の電極膜68及び第4の電極膜70、第5の電極膜72及び第6の電極膜74が形成された第2の両面金属化フィルム76と、一対の誘電体フィルム46とを、上記第1の両面金属化フィルム62の第1の電極膜58及び第2の電極膜60の両端部分が、誘電体フィルム46を間に挟んで、上記第2の両面金属化フィルム76の第3の電極膜68及び第4の電極膜70、第5の電極膜72及び第6の電極膜74と重複するようにして、交互に積層後(図5)、これを巻回し、加熱及び加圧処理を施して形成される(図6)。
上記第2の両面金属化フィルム76の第3の電極膜68と第5の電極膜72、第4の電極膜70と第6の電極膜74相互間は、上記第3のマージン部66によって電気的に絶縁されている。
【0023】
この結果、図6に示すように、誘電体フィルム46を介して、第1の両面金属化フィルム62における第1の電極膜58及び第2の電極膜60と、第2の両面金属化フィルム76における第3の電極膜68及び第4の電極膜70との重複部分、第1の両面金属化フィルム62における第1の電極膜58及び第2の電極膜60と、第2の両面金属化フィルム76における第5の電極膜72及び第6の電極膜74との重複部分に、相互に直列接続された2つのコンデンサが形成されることとなる。
上記第2の両面金属化フィルム76における第3の電極膜68と第4の電極膜70の外端部68a,70aは、共に左側の外部電極16aと接続され、第5の電極膜72と第6の電極膜74の外端部72a,74bは、共に右側の外部電極16bと接続されている。
また、上記第1の両面金属化フィルム62における第1の電極膜58及び第2の電極膜60の両端は、第1のマージン空間78及び第2のマージン空間80によって左右の外部電極16a,16bと絶縁され、第2の両面金属化フィルム76における第3の電極膜68と第5の電極膜72の内端部68b,72b間、第4の電極膜70と第6の電極膜74の内端部70b,74b間は、第3のマージン空間82によって絶縁されている。
【0024】
さらに、上記第1乃至第3ののマージン空間78,80,82及び両面金属化フィルム62,76と誘電体フィルム46間には、コンデンサ素子14の両端面から含浸させた絶縁油50が存在している。
【0025】
上記第2のコンデンサ素子14を備えた本発明のコンデンサ10にあっては、第1の両面金属化フィルム62における表面の第1の電極膜58及び裏面の第2の電極膜60、第2の両面金属化フィルム76における表面の第3の電極膜68及び裏面の第4の電極膜70、表面の第5の電極膜72及び裏面の第6の電極膜74がコンデンサ電極として機能し、第3の電極膜68及び第4の電極膜70の外端部68a,70bが、共に同じ左側の外部電極16aと接続され、また、第5の電極膜72及び第6の電極膜74の外端部72a,74bが共に同じ右側の外部電極16bと接続されていることから、電極膜と外部電極との接触面積を2倍確保することができる。このため、コンデンサの電流容量を向上させることができ、耐電流特性に優れたコンデンサを実現できるのである。
【0026】
尚、上記第1のコンデンサ素子12の場合と同じ理由により、この第2のコンデンサ素子14においても、上記樹脂フィルム52,64と、誘電体フィルム46とを同一材料で構成し、熱収縮率を同一としておくのが望ましい。
【0027】
また、この第2のコンデンサ素子14も、第1の両面金属化フィルム62及び第2の両面金属化フィルム76と、一対の誘電体フィルム46とを、交互に積層後、巻回してコンデンサ素子14を形成する代わりに、多数枚の第1の両面金属化フィルム62及び第2の両面金属化フィルム76と、多数枚の誘電体フィルム46とを交互に積層してコンデンサ素子14を形成することができる。
【0028】
上記第1のコンデンサ素子12又は第2のコンデンサ素子14の外部電極16a,16bに、上記リード端子20を接続する際には、上記第1の板状部26の貫通孔32が外部電極16a,16bの外形内に配置された状態で、貫通孔32の半田導入部32aより半田18を流し込んでいく。すると、半田18は半田流路部32cを通って半田溜まり部32bへと流れ込んでいき、半田導入部32a、半田流路部32c及び半田溜まり部32bに半田18が満ちた状態となる。この状態から更に半田18の流し込みを続けていくと、半田導入部32a、半田流路部32c及び半田溜まり部32bから溢れた半田18が、第1の板状部26と外部電極16a,16bとの間へと入り込んでいき、この結果、リード端子20の第1の板状部26と外部電極16a,16b全面とが半田18を介して完全に接続されるのである。
尚、上記半田流路部32cを、半田導入部32aより幅狭に形成することにより、半田導入部32aから導入した半田18を半田溜まり部32bへと流れ易くすることができる。
【0029】
上記の通り、本発明においては、リード端子20の第1の板状部26と外部電極16a,16b全面とが、半田18を介して電気的・機械的に強固に接続しているので、コンデンサ内部を流れる電流が一部分に集中することなく左右の外部電極16a,16b間を分散して流れ、この結果、コンデンサ内部での自己発熱を抑えることができる。このため、自己発熱による誘電体フィルムの変形に起因して生じる静電容量の変動や絶縁耐力の低下等といったコンデンサの特性劣化を防ぐことができる。
【0030】
また、リード端子20の第1の板状部26と外部電極16a,16b全面とが接続されていることから、リード端子20と外部電極16a,16bとの接続強度が大きくなっていると共に、コンデンサ内部で発生した熱を、上記リード端子20の第1の板状部26及び第2の板状部28を通じて外部へ放熱することができる。
さらに、リード端子20の第1の板状部26先端が、上記ケース上面22aに形成された凹部30と嵌合されているため、コンデンサ10はケース22内で強固に固定され、その機械的強度が大きくなっている。
【0031】
上記においては、コンデンサ電極を、樹脂フィルム表面に金属材料を蒸着して成る金属電極膜で構成したが、アルミニウムや亜鉛等の金属材料より成る金属電極箔でコンデンサ電極を構成しても良い。
【0032】
【発明の効果】
本発明に係るコンデンサにあっては、リード端子の第1の板状部と外部電極全面とが半田を介して電気的・機械的に強固に接続されているので、コンデンサ内部を流れる電流が一部分に集中することなく両端の外部電極間を分散して流れ、この結果、コンデンサ内部での自己発熱を抑えることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係るコンデンサを、ケース内に収納した状態を示す概略断面図である。
【図2】外部電極とリード端子との接続状態を示す側面図である。
【図3】第1のコンデンサ素子における、両面金属化フィルムと誘電体フィルムとの積層状態を示す分解断面図である。
【図4】第1のコンデンサ素子の内部構造を示す断面図である。
【図5】第2のコンデンサ素子における、第1の両面金属化フィルム及び第2の両面金属化フィルムと、誘電体フィルムとの積層状態を示す分解断面図である。
【図6】第2のコンデンサ素子の内部構造を示す断面図である。
【図7】従来のコンデンサを、ケース内に収納した状態を示す概略断面図である。
【図8】従来のコンデンサにおける外部電極とリード端子との接続状態を示す側面図である。
【図9】従来のコンデンサにおける、金属化フィルムの積層状態を示す分解断面図である。
【図10】従来のコンデンサ素子の内部構造を示す断面図である。
【符号の説明】
10 コンデンサ
12 第1のコンデンサ素子
14 第2のコンデンサ素子
16a 外部電極
16b 外部電極
18 半田
20 リード端子
26 第1の板状部
28 第2の板状部
32 貫通孔
44 両面金属化フィルム
46 誘電体フィルム
62 第1の両面金属化フィルム
76 第2の両面金属化フィルム
Claims (1)
- 複数の誘電体フィルムと、複数の金属電極膜又は金属電極箔とを、積層又は積層巻回してコンデンサ素子を形成し、該コンデンサ素子の両端面にメタリコンを施して外部電極を形成すると共に、該外部電極にリード端子を接続して成るコンデンサであって、上記リード端子は、上記外部電極全面を完全に覆う面積を備えると共に、外部電極の外形内に収まる大きさの半田導入用の貫通孔が形成された板状部を有しており、上記貫通孔は、一端に設けられた半田導入部と、他端に設けられた半田溜まり部と、上記半田導入部と半田溜まり部とを連結すると共に半田導入部より幅狭に形成された半田流路部とから成り、上記リード端子の板状部と外部電極全面とが半田を介して接続されていることを特徴とするコンデンサ。
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