JP3540934B2 - 自脱型コンバインの脱穀装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、自脱型コンバインの脱穀装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、自脱型コンバインの脱穀装置にあっては、受網としてクリンプ網又は合成樹脂で一体成形されたものを採用していた。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記従来のように受網としてクリンプ網を採用するものにおいては、網材の縦線と横線とが交差する箇所に藁等が引っ掛かり易いものであって、その藁等の引っ掛かりによって網目を通しての穀粒の下方への漏下が抑制されるので、受網における漏下処理能力が低下するという不具合を有しており、また、合成樹脂で一体成形された受網にあっては、磨耗し易いとともに高価なものであるという課題を有しているのであって、コンバインの全体としての処理能力を高めるため、近年、大量に刈取処理するとともに、大量に脱穀処理する上で上述のクリンプ網や合成樹脂製の受網は処理能力に限界があった。
そこで、全稈投入型のコンバインにおいて採用されている、コンケーブを自脱型コンバインにも採用することが提案されている。すなわち、扱胴の下側に、該扱胴の周方向に沿う円弧状の帯板部材から成る複数の縦桟を扱胴の軸芯方向に並設し、該縦桟に、扱胴の周方向に沿って並設される複数の横棒部材を貫通する状態で架設支持して格子状に構成される受網を配設するのである。
しかしながら、この種の受網にあっては、縦桟部材が穀稈の穂先部分の移動の妨げになり易いことから、特に穀稈量が少なくなるほど、フィードチェーンで送られる穀稈の株元の方が穂先側より先行する状態となる斜め姿勢で送られる傾向があるので、穀稈の稈身と扱胴の扱歯の移動方向とが交差する傾向があって、そのため、藁切れが発生し易いものとなるという課題を有していた。
【0004】
本発明は、上記実情に鑑みてなされたものであって、処理物量等の脱穀条件に応じて脱穀時における切れ藁の発生を抑制しながら良好な脱穀処理を行える自脱型コンバインの脱穀装置の提供を目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】
(構成) 本発明の請求項1にかかる自脱型コンバインの脱穀装置は、扱胴の下側に、該扱胴の周方向に沿う円弧状の帯板部材から成る複数の縦桟を前記扱胴の軸芯方向に並設し、該縦桟に、前記扱胴の周方向に沿って並設される複数の横棒部材を貫通する状態で架設支持して格子状に構成される受網を配設するとともに、前記受網の前記扱胴軸芯方向における後部側に位置する前記縦桟同士の隣接間隔を前記受網の前記扱胴軸芯方向における前部側に位置する前記縦桟同士の隣接間隔に比べて大きくし、フィードチェーンを変速可能に構成してあることを特徴構成とする。
【0006】
(作用) 本発明の請求項1にかかる構成によれば、縦桟と横棒部材とにより格子状に構成される受網を利用するものであるから、受網の耐久性が高く、その受網における目合いの詰まりが生じにくくなっているとともに、縦桟によって穀稈の穂先側の送りが妨げられて株元先行状態となる傾向があるときは、フィードチェーンの送り速度を低くすることによって、株元側が穂先側より大きく先行する状態で穀稈が送られることを抑制するように調整できるものとなっている。
【0007】
(効果) 従って、本発明の請求項1にかかる構成によれば、コンケーブ型の受網を採用することにより脱穀処理能力が高められるとともに、脱穀処理物量に応じてフィードチェーンで搬送される穀稈が不当に株元先行状態で搬送されることがないよう、フィードチェーンの駆動速度を適宜変速調節して、脱穀処理に適した良好な姿勢で脱穀処理が行えるようにできるので、切れ藁等の発生を抑制できることになって、選別処理において二番物や三番物の発生を抑制して、選別能力も高く維持できる利点がある。
【0008】
(構成) 本発明の請求項2にかかる自脱型コンバインの脱穀装置は、請求項1に記載のものにおいて、前記フィードチェーンを、車速と連係して車速が低速であるほど低速で駆動するように設定してあることを特徴構成とする。
【0009】
(作用) 本発明の請求項2にかかる構成によれば、車速が低いほどフィードチェーンへ受け渡される穀稈量が少なくなる傾向にあるが、そのように脱穀穀稈量が少なくなるとフィードチェーンで搬送される穀稈の層厚が小さくなるから、受網における縦桟での後方移動の妨げが生じ易くなって、車速が高速のときよりも株元先行状態での脱穀が行われ易くなる虞れがあるけれども、そのときのフィードチェーンの速度も低速にすることで、脱穀処理時の穀稈の層厚を適宜に維持できることで、株元先行状態となるのを抑制できることになって、切れ藁の発生を抑制できる。
【0010】
(効果) 従って、本発明の請求項2にかかる構成によれば、脱穀処理能力が高いものにできるとともに、切れ藁の発生の虞れのある低速走行での刈取及び脱穀作業であっても、フィードチェーンでの搬送速度も低速になるよう調整されることで、株元先行状態での脱穀がなされるのが抑制されるようになって、切れ藁の発生等不具合が生じにくい脱穀作業を行える。
【0011】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を説明する。
図1に、自脱型コンバインの一例を示している。この自脱型コンバインは、左右一対のクローラ走行装置C,Cに支持された機体Kの前端部に昇降自在に刈取前処理装置Aを装着するとともに、機体Kに、脱穀装置B、操縦部D、グレンタンクG等を搭載装備して構成している。
【0012】
図1乃至図3に示すように、フィードチェーン1によって刈取り穀稈の株元側を挟持して搬送させることによって、その刈取り穀稈の穂先側を扱室2に供給するとともに脱穀装置Bの前後向きの軸芯3aまわりで回動する扱胴3と受網20との間を移送させて脱穀処理し、脱穀排ワラをフィードチェーン1によって扱室2の後部の排稈口4から搬出するとともに排ワラ搬送チェーン5によって脱穀装置B後部の排出口から脱穀装置B外に排出するように脱穀部を構成してある。前記排稈口4から排出される切れワラなどの脱穀塵埃を揺動選別装置6が一体揺動自在に支持する移送体7によって機体後方側に移送させながら脱穀装置B横向きの軸芯まわりで回動する処理胴8によってほぐし処理し、脱穀塵埃から穀粒を取り出すように再処理部を構成してある。前記扱室2の下方に前端側が位置する前記揺動選別装置6、この揺動選別装置6の前端部の下方に位置する回転ファン11aを有する第1送風装置11、この第1送風装置11の機体後方側に位置する第2送風装置12、揺動選別装置6の後端部の下方に位置する回転ファン13aを有する第3送風装置13などを備え、扱室2から受網20を漏下して落下供給される脱穀処理物、及び、再処理部から落下する処理物を揺動選別装置6によって受け止めて扱胴軸芯に沿う方向で機体後方側に搬送しながら選別処理するとともに各送風装置11,12,13からの選別風を作用させて風選別処理し、選別塵埃を選別風と共に排塵口14から脱穀装置B外に排出したり、排塵ファン15によって吸引して脱穀装置B外に排出するように選別部を構成してある。揺動選別装置6からの1番処理物を脱穀装置B横外側に搬出する1番スクリューコンベア16、揺動選別装置6からの2番処理物を脱穀装置B横外側に搬出する2番スクリューコンベア17を前記選別部の底部に設けるとともに、2番スクリューコンベア17からの処理物をスクリューコンベアで成る還元装置18によって脱穀装置B横外側で扱室後付近に揚送して脱穀装置B内に放出することによって受網20と脱穀装置B横側壁との間を通して揺動選別装置6の前端側に還元するように構成し、もって、コンバイン用の脱穀装置Bを構成してある。
【0013】
前記揺動選別装置6の選別枠6aを、この選別枠6aの前端側に連結するガイド装置19aと、選別枠6aの後端側に連結する駆動装置19bとによって脱穀装置Bの左右横側壁にわたって駆動揺動自在に支持させ、この選別枠内の上部に扱胴軸芯に沿う方向に並んで位置するグレンパン6bとチャフシーブ6cとストローラック6d、並びに、チャフシーブ6cの下方に位置するグレンシーブ6eなどを前記選別枠体6aに一体揺動自在に支持させて、前記揺動選別装置6を構成してある。すなわち、扱室2の前側から受網20を漏下した脱穀処理物をグレンパン6bによって受け止めて機体後方側に移送しながら穀粒と塵埃とに粗選別処理し、グレンパン6bからの処理物をチャフシーブ6cによって受け継いで機体後方に移送しながら穀粒と塵埃とに精選別処理し、チャフシーブ6cを漏下した処理物をグレンシーブ6eによってさらに精選別処理し、グレンシーブ6eからの1番選別処理物を1番スクリューコンベア16に、2番選別処理物を2番スクリューコンベア17にそれぞれ落下供給する。チャフシーブ6c及び前記再処理部からの処理物を穀粒と切れワラなどの塵埃とに選別し、穀粒を2番スクリューコンベア17に落下供給し、塵埃を前記排塵口14から機体外に放出する。
【0014】
第1送風装置11は、前記グレンパン6bの下方近くに位置する前記回転ファン11aと、この回転ファン11aの前側に吸気口11bを、回転ファン11aの後側の前記第2送風装置12の上側に排気口11cをそれぞれ形成するファンケースとで成り、回転ファン11aによって選別部の前端側から吸気し、排気口11cから選別風を第2送風装置12の上方を通って選別枠6aを下側から上側に吹き抜けるように供給してグレンパン6bとチャフシーブ6cの間の選別作用部、及び、チャフシーブ6cの前端側による選別作用部に供給し、この選別作用部の処理物に作用させるように構成してある。すなわち、揺動選別装置6のグレンパン6bからの粗選別処理物に選別風を作用させるようにしてある。
【0015】
第2送風装置12は、回転羽根12aを有する唐箕で成り、選別風を選別枠6aを下側から上側に吹き抜けるように供給してチャフシーブ6c及びグレンシーブ6eの下方の風選経路部、チャフシーブ6cの後端部による選別作用部、ストローラック6dによる選別作用部に供給し、これら風選経路部と選別作用部の処理物に作用させるように構成してある。すなわち、揺動選別装置6のチャフシーブ6cとグレンシーブ6eとによる精選別処理物、及び、ストローラック6dによる選別処理物に選別風を作用させるようにしてある。
【0016】
第3送風装置13は、1番スクリューコンベア16と2番スクリューコンベア17との間に位置する前記回転ファン13aと、この回転ファン13aの下側に吸気口13bを、回転ファン13aの上側に排気口13cをそれぞれ形成するファンケースとで成り、回転ファン13aによって脱穀装置Bの下方から吸気し、排気口13cから選別風を第2スクリューコンベア17の上方を通して選別枠6aを下側から上側に吹き抜けるように供給してストローラック6dによる選別作用部に供給し、この選別作用部による選別処理物に作用させるように構成してある。
【0017】
図3に示すように、前記受網20は、この受網20を扱胴軸芯3aに沿う方向の1本の分割線Yで扱胴3の周方向に分割することによって得られる2つの分割格子受網20a,20bを次の如く組み合わせて作成してある。すなわち、図5及び図6に明示するように、両分割格子受網20a,20bのうちの脱穀穀稈の株元側に位置する方の分割格子受網20aの枠体21が備える位置決めピン21aと、脱穀穀稈の穂先側に位置する方の分割格子受網20bの枠体22とを係合させることにより、前記両分割格子受網20a,20bを扱胴軸芯3aに沿う方向に互いに位置ずれしないように係合し合う状態に組み合わせて受網20を作成してある。
【0018】
図5、図8、図10などに示すように、前記株元側の分割格子受網20aは、扱胴3の周方向に沿うように扱胴軸芯3aに沿う方向視で円弧形状に形成した帯板金で成る縦桟としての第1縦桟部材23aの複数本と、扱胴3の周方向に沿うように扱胴軸芯3aに沿う方向視で円弧形状に形成した帯板金で成るとともに前記第1縦桟部材23aよりも広い横幅を有する縦桟としての第2縦桟部材23bの複数本と、扱胴軸芯3aに沿う方向の直線状の丸棒鋼材で成る横棒部材としての第1横桟部材24の2本と、扱胴軸芯3aに沿うとともに第1横桟部材24よりも富んだ弾性を有するように第1横桟部材24よりも外径が小さい直線状の鋼線材で成る横棒部材としての第2横桟部材25の複数本と、扱胴軸芯3aに沿う方向の帯板金で成る2本の前記枠体21,22とを次の如き格子状態に組み合わせて作成してある。すなわち、複数本の第1縦桟部材23aと第2縦桟部材23bとが扱胴軸芯3aに沿う方向に所定の縦桟部材間隔を隔てて並列し、第2縦桟部材23bどうしの間と、複数本の第2縦桟部材23bのうちの最も分割格子受網前端側に位置する第2縦桟部材23bよりも前側と、複数本の第2縦桟部材23bのうちの最も分割格子受網後端側に位置する第2縦桟部材23bよりも後側とのそれぞれに複数本の第1縦桟部材23aが存在し、複数本の第1横桟部材24と第2横桟部材25とが扱胴周方向に沿う方向に所定の横桟部材間隔を隔てて並列し、第1横桟部材24どうしの間と、一方の第1横桟部材24よりも株元側と、他方の第1横桟部材24よりも穂先側とのそれぞれに複数本の第2横桟部材25が存在する格子状態にしてある。さらに、第1横桟部材24も第2横桟部材25も第1縦桟部材23a及び第2縦桟部材23bの桟孔を挿通し、最も分割格子受網前端側に位置する第1縦桟部材23aと、最も分割格子受網後端側に位置する第1縦桟部材23aとが全ての横桟部材24,25の端部どうしを連結し、前記枠体21,22が全ての縦桟部材23a,23bの端部どうしを連結する格子状態にしてある。
【0019】
図5、図9、図11などに示すように、前記穂先側の分割格子受網20bは、扱胴3の周方向に沿うように扱胴軸芯3aに沿う方向視で円弧形状に形成した帯板金で成るとともに株元側分割格子受網20aの前記第1縦桟部材23aと同一の横幅を備えるように形成した縦桟としての第1縦桟部材23aの複数本と、株元側分割格子受網20aの前記第1横桟部材24と同一の素材で成る横棒部材としての第1横桟部材24の2本と、株元側分割格子受網20aの前記第2横桟部材25と同一の素材で成る横棒部材としての第2横桟部材25の複数本と、扱胴軸芯3aに沿う方向の帯板金で成る2本の前記枠体21,22とを次の如き格子状態に組み合わせて作成してある。すなわち、複数本の第1縦桟部材23aが扱胴軸芯3aに沿う方向に株元側分割格子受網20bの縦桟部材間隔と同一の縦桟部材間隔を隔てて並列し、複数本の第1横桟部材24と第2横桟部材25とが扱胴周方向に沿う方向に株元側分割格子受網20bの横桟部材間隔と同一の横桟部材間隔を隔てて並列し、第1横桟部材24どうしの間と、一方の第1横桟部材24よりも株元側と、他方の第1横桟部材24よりも穂先側とのそれぞれに複数本の第2横桟部材25が存在する格子状態にしてある。さらに、第1横桟部材24も第2横桟部材25も第1縦桟部材23aの桟孔を挿通し、最も分割格子受網前端側に位置する第1縦桟部材23aと、最も分割格子受網後端側に位置する第1縦桟部材23aとが全ての横桟部材24,25の端部どうしを連結し、前記枠体21,22が全ての縦桟部材23aの端部どうしを連結する格子状態にしてある。
【0020】
株元側の分割格子受網20aと穂先側の分割格子受網20bとが前記位置決めピン21aによって連結し合うと、穂先側の分割格子受網20bの全ての縦桟部材23aと、株元側の分割格子受網20aの全ての縦桟部材23a,23bとの1本ずつが対になり合って扱胴周方向に沿う一列の縦桟部材列に並ぶように、両分割格子網20a,20bの縦桟部材配列を設定してある。
【0021】
つまり、株元側分割格子受網20aの1本の縦桟部材23a,23bと、この縦桟部材23a,23bに対して扱胴周方向に一直線状に並ぶ穂先側分割格子受網20bの1本の縦桟部材23aとにより、受網20全体としての1本の縦桟部材23を形成し、株元側分割格子受網20aの第1横桟部材24及び第2横桟部材25と、穂先側分割格子受網20bの第1横桟部材24及び第2横桟部材25とのそれぞれにより、受網20全体としての1本の横桟部材24,25を形成してある。これにより、受網20は、複数本の縦桟部材23と、複数本の横桟部材24,25とが扱胴3の周方向及び軸芯方向に並ぶ穀粒漏下用の目合を形成するように、かつ、全ての目合いの大きさが同一又はほぼ同一になるように格子状態に組み合った格子受網になっており、軸芯3aまわりで回動する扱胴3との共働によって刈取り穀稈を脱穀し、脱穀処理物を前記目合いから漏下させて揺動選別装置6に供給する。
【0022】
前記受網20は、図3乃至図7に示す取付け構造に基づいて脱穀部に取り付けるように構成してある。
すなわち、扱室2の前側壁30の内面側に前受網ガイド31を、扱室2の後側壁32の内面側に後受網ガイド33をそれぞれ支持させ、前記前受網ガイド31及び後受網ガイド33それぞれの受網支持部31a,33aよりも低レベルに位置するとともに扱胴軸芯3aに沿う方向の丸鋼材で成る支持杆34を、前受網ガイド31の受網支持部31aに連結する前支持部材35aと、後受網ガイド33の受網支持部33aに連結する後支持部材35bとにわたって取り付け、前記前受網ガイド31と後受網ガイド33と支持杆34と下舌板36とにわたって受網20を載置するようにしてある。
つまり、受網20の複数本の縦桟部材23のうちの最も受網前端側に位置する縦桟部材23を、前記前受網ガイド31の受網支持部31aに載せて受け止め支持させる。受網20の複数本の縦桟部材23のうちの最も受網後端側に位置する縦桟部材23を、前記後受網ガイド33の受網支持部33aに載せて受け止め支持させる。前記位置決めピン21aによって係合し合う株元側分割格子受網20aの前記枠体21と、穂先側分割格子受網20bの前記枠体22とを、前記支持杆34に載せて受け止め支持させる。株元側分割格子受網20aの第2縦桟部材23bの株元側端部の下端側に備えさせてある載置突起23cを、下舌板36の内面側に載せて受け止め支持させる。
【0023】
そして、図12に示すように、前記フィードチェーン1は、脱穀装置B側への伝動系において、前記処理胴8の回転支軸8aより、変速装置としてのベルト式無段変速装置40、排塵ファン15の回転支軸15a、ギア減速機構41を介してエンジン(図示せず)からの動力伝達がなされて駆動するようにしている。ベルト式無段変速装置40は、回転支軸8aに設けた駆動プーリ42を、回転支軸8aと一体回転する固定割りプーリ42aと、固定割りプーリ42aに対して遠近方向でスライド自在で回転支軸8aに設けられる可動割りプーリ42bとで構成している。可動割りプーリ42bを固定割りプーリ42aに対して遠近移動させることで、駆動プーリ42に対する伝動ベルト43の巻き掛け径が変更するので、従動プーリ44との相対的なベルト巻き掛け径の変更がなされて変速操作されるようになっている。そしてその変速操作する構成は、可動割りプーリ42bのボス部に遊転自在に設けたカムフォロワに対して接当するカム機構45を一端部に備えるアーム46を前記回転支軸8aに遊転自在に外嵌するとともに、このアーム46の他端部に設けたフォークを、電動モータ47で正逆転駆動される螺子軸48に螺合させたコマ部材49に係合させているものである。さらに、電動モータ47は、図14に示すように、マイコンを搭載した制御装置50からの駆動信号によって駆動制御される。また、回転支軸15aの回転速度を検出するために、この回転支軸15aに設けた歯車の歯の存否を検出する電磁ピックアップ式の回転数センサ51を設けており、この回転数センサ51は、歯車の歯がこの回転数センサ51の検出位置に所定距離以上近接しているときにオン信号を出力し、歯が所定距離よりも離れているとオフ信号を出力するように構成し、その出力信号は制御装置50に入力される。さらに、制御装置50には、前記コマ部材の移動範囲の限界位置をそれぞれ検出するためのリミットスイッチ52,53からの検出信号が入力されるようにしているとともに、コンバインの車軸(図示せず)の回転速度を検出する車速センサ54からの検出信号が入力されるようにしている。そして、制御装置50は、車速センサ54からの検出信号に基づいて、車速の高低に対応させて、フィードチェーン1の駆動速度もその車速に比例して変速するようにしている。すなわち、車速センサ54からの検出信号に基づく車速に対応するフィードチェーン1の駆動速度を演算するとともに、その演算結果の駆動速度と、回転数センサ51からの検出結果に基づく実駆動速度とを比較して、その実駆動速度が前記演算結果の駆動速度となるように電動モータ47をフィードバック制御するのである。尚、フィードチェーン1の駆動速度は人為的に適宜に設定できるようにしても良い。
【0024】
従って、車速が高いほどフィードチェーン1の駆動速度も高くなるよう、車速とフィードチェーンの駆動速度とを比例関係となる制御を行っているので、受網20における第1縦桟部材23aや第2縦桟部材23bによって株元先行状態が生じやすく、それにより切れ藁の生じやすい穀稈量の少なくなる低速走行時ほどフィードチェーン1の駆動速度も遅くなるようにしている。
【図面の簡単な説明】
【図1】自脱型コンバインを示す全体側面図
【図2】脱穀装置全体の縦断側面図
【図3】脱穀部の縦断正面図
【図4】受網の断面図
【図5】分割格子受網の断面図
【図6】分割格子受網の分離状態の説明図
【図7】受網取付け構造の断面図
【図8】株元側分割格子受網の断面図
【図9】穂先側分割格子受網の断面図
【図10】株元側分割格子受網の平面図
【図11】穂先側分割格子受網の平面図
【図12】フィードチェーンの変速機構等を示す概略説明図
【図13】フィードチェーンの変速機構を示す概略側面図
【図14】制御装置等を示すブロック図
【符号の説明】
1 フィードチェーン
3 扱胴
3a 扱胴軸芯
20 受網
23a,23b 縦桟
24,25 横棒部材
Claims (2)
- 扱胴の下側に、該扱胴の周方向に沿う円弧状の帯板部材から成る複数の縦桟を前記扱胴の軸芯方向に並設し、該縦桟に、前記扱胴の周方向に沿って並設される複数の横棒部材を貫通する状態で架設支持して格子状に構成される受網を配設するとともに、前記受網の前記扱胴軸芯方向における後部側に位置する前記縦桟同士の隣接間隔を前記受網の前記扱胴軸芯方向における前部側に位置する前記縦桟同士の隣接間隔に比べて大きくし、フィードチェーンを変速可能に構成してある自脱型コンバインの脱穀装置。
- 前記フィードチェーンを、車速と連係して車速が低速であるほど低速で駆動するように設定してある請求項1に記載の自脱型コンバインの脱穀装置。
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