JP3539656B2 - ハロゲン化銀写真感光材料用の処理組成物、現像液およびそれを用いる処理方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明はハロゲン化銀写真感光材料の処理方法および現像液組成物に関するものであり、特に、ハロゲン化銀写真感光材料を実質的にジヒドロキシベンゼン系現像主薬を含まない現像液で画像形成する方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
ハロゲン化銀写真感光材料は製版分野、医療診断分野など広範な分野に利用されている。利用分野が拡大、深化するにつれて、画像形成に必要な現像処理工程に対する要求が高まり、特に、迅速でかつ安定な現像処理が強く望まれている。
【0003】
ハロゲン化銀写真感光材料は露光後、一般に現像、定着、水洗という工程で処理される。中でも黒白現像液は、ジヒドロキシベンゼン系化合物であるハイドロキノンを現像主薬、アミノフェノール類または3−ピラゾリドン類を補助現像主薬とし、亜硫酸塩を包含するアルカリ性溶液が一般的であるが、現像主薬としてジヒドロキシベンゼン系化合物の他にアスコルビン酸などのエンジオール類が機能することも公知であり、近年、上記の生態学上あるいは毒物学上の問題のない現像主薬として注目されている。例えば米国特許第2,688,549号、同3,826,654号では、アスコルビン酸を現像主薬とし、少なくともpH12以上の高いアルカリ性の条件下で画像形成が可能であるとされている。しかし、これらの画像形成方法では迅速性の点でも高コントラストな画像を得る点においても満足できるものではない。
【0004】
アスコルビン酸を用いた現像系でコントラストを上昇させる試みがいくらか成されている。たとえば、Zwickyは唯一の現像主薬としてアスコルビン酸を用いた場合に、一種のリス効果が発現するとしているが(J.Phot.Sc. 27 巻、185 頁(1979年))、ハイドロキノン現像系の場合に比べるとかなりコントラストの低い系であった。また、米国特許第3,022,168号ではアスコルビン酸の現像主薬、N−メチル−p−アミノフェノールを補助現像主薬とし、pH8〜9の比較的低いpHの条件下でコントラストの高い画像形成が可能であるとされている。しかし、これらの画像形成方法は迅速性の点で満足できるものではなく、また現像液中に大量のホウ酸を含有させる必要があり環境上においても好ましくない。さらに、特公昭49−46939号、米国特許第5,474,879号にはビス四級アンモニウム塩とアスコルビン酸を併用する系が開示されているが、現像促進効果はあってもコントラスト上昇効果はほとんど見られない。また、特開平4−32838号にも、アスコルビン酸を現像主薬、p−アミノフェノール類あるいはN−アルキル−p−アミノフェノール類を補助現像主薬とした系で四級塩の併用効果が述べられているが得られた画像のコントラストは十分でなく、現像進行の向上については何ら言及されていない。さらに、特開平5−88306号にアスコルビン酸を唯一の現像主薬として、pHを12.0以上に保つことによって高いコントラストが得られるとしているが、このような現像液では空気酸化劣化が著しく現像液の安定性には大きな問題がある。
また、アスコルビン酸とヒドラジン誘導体を主成分とする特殊な現像液を用いて、感度が高く、ステイン、カブリの低い現像系が出来るという例(米国特許第3,730,727号)もあるが、コントラストの向上については何ら言及されていない。
【0005】
ヒドラジンを含有する感材をアスコルビン酸現像液で処理する事は公知であり、US5236816号、WO93/11456などで開示されているが、いずれもコントラスト、迅速性両方の点で充分でなく、後者では、現像液中にアミンを含有させる事で硬調化させているが、環境的にも好ましくない。毒物学上、好ましいアスコルビン酸を現像主薬として用いて、迅速かつ高コントラストな画像を得る現像処理方法が望まれているが、充分な硬調性を得られていない。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
従って、本発明の目的は、ジヒドロキシベンゼン系化合物を現像主薬として用いない現像液で新規な画像形成方法を提供すること、特に、ヒドラジン化合物を含有する写真感光材料を用いて迅速かつ超硬調なネガ画像を提供することである。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明のこれらの目的は、ハロゲン化銀写真感光材料を下記一般式(A)で表されるアスコルビン酸類またはその誘導体を含む現像液を用いて現像処理する方法に於いて、該現像液が下記一般式(I)または一般式(II) で表されるp−アミノフェノール誘導体を少なくとも1種含有することを特徴とするハロゲン化銀写真感光材料の処理方法および組成物によって達成された。
一般式(I) 一般式(II)
【0008】
【化4】
【0009】
一般式(I)および一般式(II) において、R1 、R2 、R3 、R4 、R11 、R22、R33、およびR6 は、同一でも異なっていてもよく、各々水素原子または置換基を表す。但しR1 、R2 、R3 、R4 のうち、少なくとも1つは置換基を表す。一般式(I)においてR5 は、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アリール基、またはヘテロ環基を表す。一般式(II) に於いてZは窒素原子ならびにベンゼン環と共同で、5員ないしは6員の縮合ヘテロ環を形成しうる炭素原子もしくは酸素原子からなる原子団を表し、mは0から4の整数を表す。
一般式(A)
【0010】
【化5】
【0011】
一般式(A)に於いてR7 は水素原子、アルキル基、アリール基、またはヘテロ環基を表す。
【0012】
【発明の実施の形態】
次に本発明で用いられる一般式(I)または(II) で表されるアミノフェノール誘導体について詳しく説明する。
【0013】
一般式(I)および一般式(II) において、R1 、R2 、R3 、R4 、R11 、R22、R33、およびR6 は、同一でも異なっていてもよく、各々水素原子または置換基を表す。但しR1 、R2 、R3 、R4 のうち、少なくとも1つは置換基を表す。一般式(I)においてR5 は、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アリール基、またはヘテロ環基を表す。一般式(II) に於いてZは窒素原子ならびにベンゼン環と共同で、5員ないしは6員の縮合ヘテロ環を形成しうる炭素原子もしくは酸素原子からなる原子団を表し、mは0から4の整数を表す。
一般式(I)および一般式(II) において、R1 、R2 、R3 、R4 、R11 、R22、R33、およびR6 が置換基を表す時、その置換基としては、例えばハロゲン原子(フッ素原子、クロル原子、臭素原子、または沃素原子)、アルキル基(シクロアルキル基を含む)、アルケニル基、アルキニル基、アリール基、複素環基、4級化された窒素原子を含むヘテロ環基(例えばピリジニオ基)、アシル基、アルコキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、カルバモイル基、カルボキシ基またはその塩、スルホニルカルバモイル基、アシルカルバモイル基、スルファモイルカルバモイル基、カルバゾイル基、オキサリル基、オキサモイル基、シアノ基、チオカルバモイル基、ヒドロキシ基、アルコキシ基(エチレンオキシ基もしくはプロピレンオキシ基単位を繰り返し含む基を含む)、アリールオキシ基、ヘテロ環オキシ基、アシルオキシ基、(アルコキシもしくはアリールオキシ)カルボニルオキシ基、カルバモイルオキシ基、スルホニルオキシ基、アミノ基、(アルキル、アリール、またはヘテロ環)アミノ基、含窒素ヘテロ環基(N−置換)、アシルアミノ基、スルホンアミド基、ウレイド基、チオウレイド基、イミド基、(アルコキシもしくはアリールオキシ)カルボニルアミノ基、スルファモイルアミノ基、セミカルバジド基、チオセミカルバジド基、ヒドラジノ基、4級のアンモニオ基、オキサモイルアミノ基、(アルキルもしくはアリール)スルホニルウレイド基、アシルウレイド基、アシルスルファモイルアミノ基、ニトロ基、メルカプト基、(アルキル、アリール、またはヘテロ環)チオ基、(アルキルまたはアリール)スルホニル基、(アルキルまたはアリール)スルフィニル基、スルホ基またはその塩、スルファモイル基、アシルスルファモイル基、スルホニルスルファモイル基またはその塩、リン酸アミドもしくはリン酸エステル構造を含む基、等が挙げられる。
【0014】
これら置換基は、これら置換基でさらに置換されていてもよい。
【0015】
一般式(I)および一般式(II) において、R1 、R2 、R3 、R4 、R11 、R22、R33、およびR6 が置換基を表す時、その置換基として好ましくはハロゲン原子(例えばフッ素原子、クロル原子)、アルキル基(炭素数1から7の直鎖、分岐、もしくは環状のアルキル基で、例えばメチル、エチル、イソプロピル、シクロプロピル、2−ヒドロキシエチル、ヒドロキシメチル、カルボキシメチル、アミノメチル等)、アシル基(例えばアセチル、メトキシカルボニルアセチル)、アルコキシカルボニル基(例えばメトキシカルボニル)、カルバモイル基(例えば無置換のカルバモイル、N−メチルカルバモイル)、カルボキシ基またはその塩、カルバゾイル基(例えば無置換のカルバゾイル)、オキサモイル基(例えば無置換のオキサモイル)、シアノ基、ヒドロキシ基、アルコキシ基(炭素数1から7のアルコキシ基で、例えばメトキシ、エトキシ、イソプロポキシ、2−ヒドロキシエトキシ、2−メトキシエトキシ、2,3 −ジヒドロキシプロポキシ、2−(2−ヒドロキシエトキシ)エトキシ、2−メタンスルホニルエトキシ等)、アミノ基(例えばメチルアミノ、ジメチルアミノ、2−ヒドロキシエチルアミノ、カルボキシメチルアミノ)、アシルアミノ基(例えばアセトアミド、プロピオンアミド)、スルホンアミド基(炭素数1から7のスルホンアミド基で、例えばメタンスルホンアミド、エタンスルホンアミド)、ウレイド基(例えば無置換のウレイド、N−メチルウレイド)、チオウレイド基(例えば無置換のチオウレイド、N−メチルチオウレイド)、(アルコキシもしくはアリールオキシ)カルボニルアミノ基(例えばメトキシカルボニルアミノ)、スルファモイルアミノ基(例えば無置換のスルファモイルアミノ、N′−メチルスルファモイルアミノ)、セミカルバジド基(例えば無置換のセミカルバジド)、アルキルチオ基(炭素数1から7のアルキルチオ基で、例えばメチルチオ、2−ヒドロキシエチルチオ、3−ヒドロキシエチルチオ、2−(2−ヒドロキシエトキシ)エチルチオ等)、アルキルスルホニル基(例えばメタンスルホニル)、スルホ基またはその塩、スルファモイル基(例えば無置換のスルファモイル、N−メチルスルファモイル)等である。
【0016】
一般式(I)においてR5 はアルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アリール基、またはヘテロ環基を表す。ここにアルキル基とは炭素数1から16の、直鎖、分岐、もしくは環状のアルキル基で、例えばメチル、エチル、3−ヒドロキシプロピル、2−ヒドロキシプロピル、2−ヒドロキシエチル、2−(2−ヒドロキシエトキシ)エチル、2,3−ジヒドロキシプロピル、2−アミノエチル、ベンジル、2−アセチルアミノエチル、3−メトキシプロピル、2−メトキシエチル、1−カルボキシエチル、カルボキシメチル、2−メタンスルホニルアミノエチル、トリメチルアンモニオエチル、2−スルホエチル、3−カルバモイルプロピル等が挙げられる。アルケニル基とは炭素数1から16のアルケニル基で、例えばビニル、アリル、スチリル、1−プロペニル等が挙げられる。アルキニル基とは炭素数1から16のアルキニル基で、エチニル、1−プロピニル等が挙げられる。アリール基とは炭素数1から16のアリール基で、フェニル、4−ヒドロキシフェニル等が、またヘテロ環基とは炭素数1から16の、5員もしくは6員の飽和もしくは不飽和のヘテロ環基で、2−ピリジル、2−フリル、2−イミダゾリル等が挙げられる。
【0017】
一般式(II)に於いてZは窒素原子ならびにベンゼン環と共同で、5員ないしは6員の縮合ヘテロ環を形成しうる炭素原子もしくは酸素原子からなる原子団を表す。この場合に形成される縮合ヘテロ環の例としては、例えばインドール、インドリン、ジヒドロキノリン、テトラヒドロキノリン、ベンゾオキサジン等を挙げることが出来る。
【0018】
一般式(I)または一般式(II) で表されるアミノフェノール誘導体は、任意の炭素原子上で2種が、直接もしくは連結基を介して結合して、ビス型構造を形成してもよい。
【0019】
次に一般式(I)または一般式(II) で表されるアミノフェノール誘導体のうち、好ましいものについて説明する。
一般式(I)で表されるアミノフェノール誘導体のうち好ましいものは次の一般式(III) で、また一般式(II) で表されるアミノフェノール誘導体のうち好ましいものは次の一般式(IV) で表される。
一般式(III) 一般式(IV)
【0020】
【化6】
【0021】
式中R20、R210 、およびR60は水素原子もしくは置換基を表し、R10は置換基を、R50はアルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アリール基、またはヘテロ環基を表し、nは0から4の整数を表す。
R10で表される置換基として好ましくは、アルキル基、アルコキシ基、アルキルチオ基、ヒドロキシ基、カルボキシ基またはその塩、スルホ基またはその塩、アシル基、ハロゲン原子、アミノ基、アシルアミノ基、スルホンアミド基、ウレイド基、チオウレイド基、スルファモイルアミノ基、カルバモイル基、スルファモイル基、スルホニル基であり、さらに好ましくはアルキル基、アルコキシ基、アルキルチオ基、アシル基、ハロゲン原子、アミノ基、アシルアミノ基、スルホンアミド基、ウレイド基、スルファモイルアミノ基、カルバモイル基、スルファモイル基であり、これらの基の総炭素数は7以下である事が好ましい。
R10で表される置換基として特に好ましくは、無置換アルキル基ないしは水溶性基で置換された置換アルキル基、アルコキシ基、アルキルチオ基、アミノ基、アシルアミノ基、スルホンアミド基、ウレイド基、スルファモイルアミノ基であり、これらの基の総炭素数は4以下であることが特に好ましい。なおここに水溶性基とはヒドロキシ基、アルコキシ基、アミノ基、アンモニオ基、アシルアミノ基、スルホンアミド基、ウレイド基、スルファモイルアミノ基、カルバモイル基、スルファモイル基、カルボキシ基またはその塩、スルホ基またはその塩等を表す。
R10で表される置換基として最も好ましくは、総炭素数1から4のアルコキシ基である。
R20およびR210 が置換基を表す時、その好ましい範囲はR10で表される置換基の好ましい範囲と同じであるが、R20およびR210 は特に好ましくは水素原子である。
R60は好ましくはアルキル基、アルコキシ基、ヒドロキシ基、アルコキシ基、カルボキシ基(その塩を含む)、またはカルバモイル基であり、nは好ましくは0から2を表すが、最も好ましくはnが0を表す時である。
R50は好ましくは、総炭素数1から8の置換もしくは無置換のアルキル基であり、さらに好ましくは総炭素数1から3の無置換アルキル基、総炭素数1から6の水溶性基で置換された置換アルキル基であり、ここに水溶性基とはヒドロキシ基、アルコキシ基、アミノ基、アンモニオ基、アシルアミノ基、スルホンアミド基、ウレイド基、スルファモイルアミノ基、カルバモイル基、スルファモイル基、カルボキシ基またはその塩、スルホ基またはその塩等を表す。R50は特に好ましくはメチル基、エチル基、総炭素数1から4の水溶性基で置換された置換アルキル基である。
【0022】
一般式(I)〜(IV) で表される化合物の中でも、1リットルの水(20℃)に対して0.3ミリモル以上溶解しうる化合物が好ましく使用される。
【0023】
本発明の具体的化合物の例としては下記化合物が挙げられるが、本発明はこれらに限定されるものではない。
一般式(I)または(II) で示される化合物は、遊離アミンとして保存する場合には非常に不安定であるため、一般には無機酸、有機酸の塩として製造、保存し、処理液に添加するときに初めて遊離アミンとなるようにする場合が好ましい。一般式(I)または(II) の化合物を造塩する無機、有機の酸としては例えば塩酸、臭化水素酸、硫酸、燐酸、p−トルエンスルホン酸、メタンスルホン酸、ナフタレン−1,5−ジスルホン酸等が挙げられる。これらの中で硫酸、ナフタレン−1,5−ジスルホン酸の塩とすることが好ましく、ナフタレン−1,5−ジスルホン酸との塩として造塩することが最も好ましい。
【0024】
【表1】
【0025】
【表2】
【0026】
【表3】
【0027】
【表4】
【0028】
【表5】
【0029】
【表6】
【0030】
【表7】
【0031】
【表8】
【0032】
【表9】
【0033】
【表10】
【0034】
【表11】
【0035】
【表12】
【0036】
一般式(I)あるいは(II) で表される化合物は、例えば、J. Chem. Soc., 344(1966)、Photographic Science and Engineering, 10, 306(1966) などの一般的合成法に準じて容易に合成可能である。また、下記合成例やそれに準じた方法を採ることもできる。
合成例
下記式に従い、本発明の例示化合物(75)を合成した。
【0037】
【化7】
【0038】
(75a)の合成
濃硫酸90.5mlと酢酸50mlを混合し0〜−5℃に冷却した。これに、3−メチルアニソール61.1gをゆっくり滴下し、次いで硝酸61.5gと濃硫酸90.5mlの混合液を−10〜−15℃に保ちながら滴下した。滴下終了後、0℃までゆっくり昇温し、次いで反応液を氷水200mlに注入した後、ヘキサン500mlで抽出した。有機層を飽和食塩水で中性まで洗浄し、塩化カルシウムで乾燥後、濾過し、濾液を減圧濃縮することにより(75a)の赤褐色固体84.8gを得た。
(75b)の合成
(75a)63.6gと75%パラホルムアルデヒド54gにジメチルスルホキシド120mlを加え、50℃に加温した。これに40%水酸化ベンジルトリメチルアンモニウム−メタノール溶液(TritonB)をゆっくり滴下した。滴下後、90℃で3時間反応させた後、反応液を水1リットルに注ぎ、酢酸エチル1リットルで抽出した。有機層を飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥後、濾過し、濾液を減圧濃縮した。濃縮物をシリカゲルカラムクロマトグラフィーにより分離精製(展開溶媒:ヘキサン/酢酸エチル=4/1)し、(75b)の黄色固体14.5gを得た。
(75c)の合成
(75b)14.5gと四塩化炭素27ml、アセトニトリル60mlの溶液に、室温下でトリフェニルホスフィン24gを少量ずつ加え、そのまま攪拌した。一夜放置後、メタノール2mlを加え、次いで、酢酸エチル30mlとヘキサン60mlとを加え攪拌した後、不溶分を濾過し、濾液を減圧濃縮することによって(75c)14.9gを得た。
(75d)の合成
還元鉄14.5g、塩化アンモニウム0.2gに水15ml、イソプロパノール90ml、酢酸1mlを加え15分間加熱還流した後、(75c)14.9gを少しずつ添加した。8時間加熱還流した後、セライト濾過によって不溶分を濾別し、溶媒を減圧下留去した。得られた灰色粉末結晶を酢酸エチルに溶かし飽和食塩水にて洗浄、硫酸ナトリウムで乾燥後濃縮することによって(75d)9.0gを得た。
(75e)の合成
(75d)9.0にジメチルアセトアミド50mlを加え溶かし、この溶液にクロルギ酸フェニル8.6gを滴下した。室温下3時間攪拌した後、水200mlに注ぎ、析出した白色結晶を濾取し減圧下乾燥して(75e)13.5gを得た。
(75f)の合成
(75e)13.5にアセトニトリル50mlを加え溶かし、この溶液に40%メチルアミン−メタノール溶液4.3gを滴下した。室温下2時間攪拌した後、水500mlに注ぎ析出した白黄色結晶を濾取し減圧下乾燥して(75f)9.6を得た。
例示化合物(75)の合成
(75f)5.1gを塩化メチレン50mlに溶解し−10℃に氷冷した後、塩化メチレン20mlで溶解した三臭化ホウ素5.6mlを−5℃以下で滴下した。滴下後室温下で3時間攪拌した後氷冷し水100mlをゆっくり滴下し、塩化メチレンにて抽出した。水層に炭酸水素ナトリウムを少量ずつ加え中性にし、析出した淡黄色結晶を濾取し、減圧下乾燥することにより目的物とする例示化合物(75)の白色結晶2.6gを得た。(アモルファス)
【0039】
下記式に従い、本発明の例示化合物(4)を合成した。
【0040】
【化8】
【0041】
(4a)の合成
2−アセトアミド−4−ニトロフェノール39.2gにジメチルアセトアミド200ml、炭酸カリウム27.6gを加え、この混合溶液にベンジルブロミド37.6gを滴下した。室温下3時間攪拌した後、1N塩酸800mlに注ぎ析出した白色結晶を濾取し減圧下乾燥して(4a)57.0gを得た。
(4b)の合成
還元鉄55.9g、塩化アンモニウム0.5gに水53ml、イソプロパノール260ml、酢酸3mlを加え15分間加熱還流した後、(4a)57.0gを少しずつ添加した。1時間加熱還流した後、セライト濾過によって不溶分を濾別し、溶媒を減圧下留去した。得られた灰色粉末結晶を酢酸エチルに溶かし飽和食塩水にて洗浄、硫酸ナトリウムで乾燥後濃縮することによって(4b)47.7gを得た。
(4c)の合成
(4b)15.1g、炭酸水素ナトリウム13.8gにジメチルアセトアミド100mlを加え80℃に加熱した。この混合溶液にヨードメタン6.3mlを滴下し、80℃にて30分間攪拌した。室温まで冷却した後、酢酸エチルにて抽出、水洗し、硫酸ナトリウムで乾燥した。減圧下溶媒留去し、得られた組成物をシリカゲルカラムクロマトグラフィーにより分離精製(展開溶媒:ヘキサン/酢酸エチル=4/1)し、(4c)の黄色油状物4.3gを得た。
例示化合物(4)の合成
(4c)4.3gと10%パラジウム炭素0.5gをメタノール100mlに加え、オートクレーブ中にて4時間水素と接触させた。次いでセライトを濾過助材に用いて触媒を濾別後、濾液を1,5−ナフタレンジスルホン酸・4水塩2.9gのメタノール溶液に滴下した。溶媒を留去した後、エタノールを加え沈殿した灰色結晶を濾別することによって、目的の例示化合物(4)の1,5−ナフタレンジスルホン酸塩を白色結晶として2.6gを得た。
例示化合物(37)の合成
例示化合物(4)の合成において、ヨードメタンを用いるかわりに3−クロルプロパノールを用いて反応させ、37cを得た。その後は例示化合物(4)の合成手順に従って、目的とする例示化合物(37)を得ることが出来た。
【0042】
【化9】
【0043】
下記式に従い、本発明の例示化合物(42)を合成した。
【0044】
【化10】
【0045】
(42a)の合成
2−ヒドロキシ−4−ニトロアニリン154gとアセトニトリル460mlの混合物に、無水酢酸102gを加え、20分間加熱還流後、放冷し、析出した結晶を濾取して、(42a)の黄色結晶153gを得た。
(42b)の合成
(42a)80gのジメチルアセトアミド溶液500mlに炭酸カリウム56g、ヨウ化カリウム6.6g、および3−クロルプロパノール42gを加え、120℃で3時間攪拌後、放冷し、酢酸エチルで抽出後、溶媒を留去することにより、(42b)72gを得た。
(42c)の合成
(42b)72gを水酸化ナトリウム70gの水溶液500mlと混合し、4時間加熱還流し、放冷後、濃塩酸で酸性にし、生じた結晶を濾取し、(42c)58gを得た。
(42d)の合成
(42c)47gのジメチルアセトアミド溶液300mlに、炭酸カリウム64gとベンジルブロミド44gを加え、3時間攪拌後、酢酸エチルで抽出後、溶媒を留去することにより、(42d)51gを得た。
(42e)の合成
還元鉄50g、塩化アンモニウム0.5g、水50ml、イソプロパノール300mlの混合物を20分間加熱還流後、38gの(42d)を添加し、そのまま1時間還流を続けた。反応混合物をセライト濾過し、濾液から溶媒を減圧留去、乾固し、(42e)31gを得た。
(42f)の合成
(42e)31gのジメチルアセトアミド溶液150mlに1当量の沃化メチルと1当量の炭酸水素ナトリウムを加え、4時間攪拌後、酢酸エチルで抽出し、溶媒を留去後、得られた油状物をシリカゲルカラムクロマト(酢酸エチル/ヘキサン=1/2)にて精製し、(42f)11gを得た。
例示化合物(42)の合成
(42f)11gのメタノール溶液80mlに、10%Pd−C 1gを加え、オートクレイブを用いて、3時間水素ガス(約50気圧)を反応させた。次いで反応液をセライト濾過後、10gの1,5−ナフタレンスルホン酸4水塩を加え、生じた結晶を濾取し、目的とする例示化合物(42)の白色結晶16gを得た。
【0046】
次に一般式(A)で表される化合物について詳しく説明する。
一般式(A)
【0047】
【化11】
【0048】
式中、R7 は水素原子、アルキル基、アリール基、またはヘテロ環基を表す。
【0049】
一般式(A)で表されるアスコルビン酸類またはその誘導体について詳細に説明する。
式中、R7 で表されるアルキル基は直鎖、分岐鎖または環状のアルキル基であり、アリール基は例えば、フェニル基、ナフチル基などであり、ヘテロ環基は炭素原子、窒素原子、酸素原子、あるいは硫黄原子から構成される5〜6員環のヘテロ環基で、例えば、フリル基、ベンゾフリル基、ピラニル基、ピロリル基,イミダゾリル基、ピラゾリル基、トリアゾリル基、ピリジル基、ピリミジル基、ピリダジル基、チエニル基、イソチアゾリル基などである。これらの基は置換基を有してもよく、その置換基としては、アルキル基、アルケニル基、アリール基、ハロゲン原子、ニトロ基、メルカプト基、ヒドロキシ基、アルコキシ基、アリールオキシ基、アルキルチオ基、アリールチオ基、アシルオキシ基、アミノ基、アルキルアミノ基、カルボンアミド基、スルホンアミド基、ウレイド基、アシル基、オキカルボニル基、カルバモイル基、スルフィニルオキシ基、カルボキシ基(塩を含む)、スルホ基(塩を含む)、ヒドロキシアミノ基、ヒドラジノ基を挙げることができる。
【0050】
更に詳しく置換基の例を示す。アルキル基としては炭素数1〜10、好ましくは炭素数1〜6の直鎖、分岐鎖または環状のアルキル基であり、これらの基はR7 の置換基として挙げた基で置換されていてもよく、例えば、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、t−ブチル、シクロヘキシル、ヒドロキシメチル等を挙げることができる。アルケニル基としては炭素数2〜10、好ましくは炭素数2〜6の直鎖または分岐鎖のアルケニル基であり、これらの基はR7 の置換基として挙げた基で置換されていてもよく、例えば、エチニル、プロペニル、3−ブテニル、4−ヒドロキシ−3−ブテニルなどを挙げることができる。アリール基としては炭素数6〜10のアリール基で、これらの基はR7 の置換基として挙げた基で置換されていてもよく、例えば、フェニル、ナフチル、p−メチルフェニルなどである。アルコキシ基としては炭素数1〜10、好ましくは炭素数1〜8のアルコキシ基で、これらの基はR7 の置換基として挙げた基で置換されていてもよく、例えば、メトキシ、エトキシ、プロポキシ、ブトキシ、ペンチルオキシ、ヘキシルオキシ、オクチルオキシ、2−メトキシエトキシなどを挙げることができる。アリールオキシ基としては炭素数6〜10のアリールオキシ基で、これらの基はR7 の置換基として挙げた基で置換されていてもよく、例えば、フェノキシ、p−ヒドロキシフェノキシ、3,4−ジヒドロキシフェノキシ、o−カルボキシフェノキシ、o−スルホフェノキシなどを挙げることができる。アルキルチオ基としては炭素数1〜10、好ましくは炭素数1〜8のアルキルチオ基で、これらの基はR7 の置換基として挙げた基で置換されていてもよく、例えば、メチルチオ、オクチルチオなどである。アリールチオ基としては炭素数6〜10のアリールチオ基で、これらの基はR7 の置換基として挙げた基で置換されていてもよく、例えば、フェニルチオ、4−ヒドロキシフェニルチオ、4−メトキシフェニルチオ、4−ブトキシフェニルチオなどを挙げることができる。アシルオキシ基としては炭素数1〜10、好ましくは炭素数1〜8のアシルオキシ基で、これらの基はR7 の置換基として挙げた基で置換されていてもよく、例えば、アセトキシ、プロパノイルオキシ、ブタノイルオキシ、オクタノイルオキシ、カルボキシアセトキシ、3−スルホプロパノイルオキシなどを挙げることができる。
【0051】
アルキルアミノ基としては炭素数1〜6のアルキルアミノ基で例えば、メチルアミノ、ジメチルアミノ、ジエチルアミノなどである。カルボンアミド基としては炭素数1〜6のカルボンアミド基で例えば、アセトアミド基、プロピオンアミド基である。スルホンアミド基としては炭素数1〜6のスルホンアミド基で例えば、メタンスルホンアミド基である。ウレイド基としては炭素数1〜6のウレイド基で例えば、ウレイド、メチルウレイドである。アシル基としては炭素数1〜6のアシル基で例えばアセチル、ベンゾイルなどである。オキシカルボニル基としては炭素数1〜8のオキシカルボニル基で例えば、メトキシカルボニル、エトキシカルボニルである。カルバモイル基としては炭素数1〜6のカルバモイル基で例えば、カルバモイル、N,N−ジメチルカルバモイルである。スルフィニルオキシ基としては炭素数1〜6のスルフィニルオキシ基で例えば、メタンスルフィニルオキシ基である。
これらの置換基は、可能な場合、更に置換されていてもよい。
【0052】
前記一般式(A)のR7 にて表されるアルキル基は、好ましくは、炭素数1〜6のアルキル基で、R7 の置換基として挙げた基によって置換されたものも含み、より好ましくは、ヒドロキシ基、アルコキシ基、アリールオキシ基、アルキルチオ基、アリールチオ基、アシルオキシ基、アミノ基、アルキルアミノ基、オキシカルボニル基、カルボキシル基(塩を含む)、スルホ基(塩を含む)で置換されたアルキル基であり、例えば、メチル、エチル、ヒドロキシメチル、1−ヒドロキシエチル、1,2−ジヒドロキシエチル、1,2−ジヒドロキシプロピル、1,2,3−トリヒドロキシプロピル、1,2,3,4−テトラヒドロキシブチル、1,2−ジメトキシエチル、1,1−ジメトキシ−2−ヒドロキシエチル、1,2−ジエトキシエチル、1,2−ジアセトキシエチル、ヒドロキシカルボキシメチル、アセトキシカルボキシメチル、1−メチルチオ−2−ヒドロキシエチル、1−フェニルチオ−2−ヒドロキシエチル、1−ヒドロキシ−2−オクチルチオエチル、1−ヒドロキシ−2−フェニルチオエチル、1−ヒドロキシ−2−アミノエチル、1−ヒドロキシ−2−フェノキシエチル、1−ヒドロキシ−2−スルホエチルなどを挙げることができる。これらの置換基は、可能な場合、更に置換されていてもよい。
【0053】
前記一般式(A)のR7 にて表されるアリール基は、好ましくは、炭素数6〜10のアリール基で、R7 の置換基として挙げた基によって置換されたものも含み、例えば、フェニル、p−メチルフェニル、アニシル、p−カルボキシフェニル、p−スルホニルフェニルなどである。
前記一般式(A)のR7 にて表されるヘテロ環基は、好ましくは、フリル基、ピリジル基、トリアゾリル基で、R7 の置換基として挙げた基によって置換されたものも含み、例えば、フリル、5−メチルフリル、ベンゾフリル、ピリジル、5−クロロピリジル、3−カルボキシピリジル、5−スルホピリジル、1−フェニルトリアゾリルなどである。
【0054】
前記一般式(A)のR7 は、特に好ましくは、水素原子、メチル基、エチル基であり、これらの基は他の置換基によって置換されたものも含み、その置換基としては、ヒドロキシ基、アルコキシ基、アシルオキシ基、を挙げることができ、より好ましくは、ヒドロキシ基、炭素数1〜8のアルコキシ基である。これらの置換基は、可能な場合、更に置換されていてもよく、その置換基としては、アルケニル基、アリール基、ヒドロキシ基、アルコキシ基、カルボキシ基(塩を含む)、スルホ基(塩を含む)、ヒドロキシアミノ基、ヒドラジノ基などを挙げることができる。
【0055】
前記一般式(A)で表される化合物の中でも、以下の一般式(AA)で表される化合物が最も好ましい。
一般式(AA)
【0056】
【化12】
【0057】
式中、R77は一般式(AAA)または(AAAA)により表される基を表す。
一般式(AAA)
【0058】
【化13】
【0059】
式中、nは1〜4の整数を表す。
一般式(AAAA)
【0060】
【化14】
【0061】
式中、R17、R18は同一でも異なっていてもよく、各々水素原子、アルキル基、アリール基、アルケニル基を表し、R17、R18で表されるアルキル基は連結して環構造を形成してもよい。ここで、アルキル基、アリール基、アルケニル基は、他の置換基によって置換されたものも含み、その置換基としては、アルキル基、アルケニル基、アリール基、ハロゲン原子、ニトロ基、ヒドロキシ基、アルコキシ基、アシル基、カルボキシ基(塩を含む)、スルホ基(塩を含む)、ヒドロキシアミノ基を挙げることができる。
【0062】
一般式(AAAA)にて表される化合物中のR17、R18は好ましくは、水素原子、炭素数1〜7のアルキル基、炭素数6〜10のアリール基、炭素数2〜7のアルケニル基であり、特に好ましくは、水素原子、炭素数1〜7のアルキル基、炭素数6〜10のアリール基であり、最も好ましくは、水素原子または炭素数1〜7のアルキル基であり、R17、R18で表されるアルキル基は連結して環構造を形成してもよく、少なくとも一方は水素原子ではないことがより好ましい。これらの基は置換基を有してもよく、その置換基としては、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、フェニル基、クロロメチル基、メトキシメチル基、2−メトキシエチル基、1−ヒドロキシ−2−ヒドロキシアミノ−エチル基、2−カルボキシエチル基が挙げられる。R17、R18で表されるアルキル基が連結して形成する環としては、シクロペンチル環、シクロヘキシル環などを挙げることができ、これらの基は、可能な場合、更に置換されていてもよい。
一般式(A)の化合物はいわゆるエノール体で記述されているが、これが異性化したケト体も事実上同じ化合物であり、本出願では水素原子が異性化した化合物も請求の範囲である。
【0063】
本発明の具体的化合物の例として下記化合物が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
【0064】
【化15】
【0065】
【化16】
【0066】
【化17】
【0067】
【化18】
【0068】
【化19】
【0069】
一般式(A)で表される化合物は、E.S.H.EL.Ashry, A.Moussad, and N.Rashed, Advances in Heterocyclic Chemistry,vol. 53,233−302,特開昭57−188586号公報、特開昭64−45383号公報、特開平2−288872号公報、特開平4−29985号公報、特開平4−364182号公報、特開平5−112594号公報などの一般的合成法に準じて合成可能である。
【0070】
本発明で現像主薬として用いられる一般式(A)にて表されるアスコルビン酸類またはその誘導体としては、フリー体、アンモニウム塩、アルカリ金属塩でもよく、その現像液への添加量は好ましくは0.05〜0.5モル/リットル、特に好ましくは0.05〜0.3モル/リットルである。
【0071】
本発明で補助現像主薬として用いられる一般式(I)または(II) にて表されるp−アミノフェノール類は単独でまたは他の公知のp−アミノフェノール類あるいは3−ピラゾリドン類と併用して使用することもできる。組み合わせる化合物の代表例を以下に示すがこれらに限定されるものではない。
AP−1 N−メチル−p−アミノフェノール
AP−2 p−アミノフェノール
AP−3 N−(β−ヒドロキシエチル)−p−アミノフェノール
AP−4 N−(4−ヒドロキシフェニル)グリシン
AP−5 2−メチル−p−アミノフェノール
AP−6 p−ベンジルアミノフェノール
AP−7 2−メトキシ−p−アミノフェノール
P−1 1−フェニル−3−ピラゾリドン
P−2 1−フェニル−4,4−ジメチル−3−ピラゾリドン
P−3 1−フェニル−4−メチル−4−ヒドロキシメチル−3−ピラゾリドン
P−4 1−フェニル−4,4−ジヒドロキシメチル−3−ピラゾリドン
P−5 1−フェニル−5−メチル−3−ピラゾリドン
P−6 1−p−アミノフェニル−4,4−ジメチル−3−ピラゾリドン
P−7 1−p−トリル−4,4−ジメチル−3−ピラゾリドン
P−8 1−p−トリル−4−メチル−4−ヒドロキシメチル−3−ピラゾリドン
組み合わせる化合物として上記p−アミノフェノール類のうち特に好ましくはAP−1、AP−3あるいはAP−7であり、3−ピラゾリドン類のうち特に好ましくはP−2、P−3あるいはP−8である。また、これらのp−アミノフェノール類は硫酸塩、塩酸塩、亜硫酸塩、p−トルエンスルホン酸塩、硝酸塩、ナフタレン−1,5−ジスルホン酸塩などの塩で使用されるのが一般的である。
これらの化合物は目的に応じて2種以上併用することもできる。
【0072】
一般式(I)または(II) で表される補助現像主薬の使用量は(上記公知の補助現像主薬と併用するときはその総量として)、通常0.0005〜0.2モル/リットル、好ましくは0.001〜0.1モル/リットル、特に好ましくは0.003〜0.1モル/リットルである。
現像主薬と補助現像主薬の組合せにあっては、前者が0.05〜0.5モル/リットルで後者が0.003〜0.1モル/リットルの量で用いるのが最も好ましい。
本発明において、処理組成物とは、液体状であっても固体状(例えば、粉末状、顆粒状)であってもよい。
【0073】
本発明において、実質的にジヒドロキシベンゼン類を含まないとは、ジヒドロキシベンゼン類の現像液中での濃度が一般式(A)で表される現像主薬や一般式(I)または(II) で表される補助現像主薬の量に比して取るに足らないこと(例えば5×10−4モル/リットルより少ないこと)を意味する。本発明の現像液は、好ましくはジヒドロキシベンゼン類を全く含まないものである。
【0074】
本発明で感光材料を現像処理する際の現像液(以下、現像開始液および現像補充液の双方をまとめて現像液という。)に用いられる緩衝剤としては、炭酸塩、特開昭62−186259号に記載のほう酸、特開昭60−93433号に記載の糖類(例えばサッカロース)、オキシム類(例えばアセトオキシム)、フェノール類(例えば5−スルホサリチル酸)、第3リン酸塩(例えばナトリウム塩、カリウム塩)などが用いられ、好ましくは炭酸塩、ほう酸が用いられる。緩衝剤、特に炭酸塩の使用量は、好ましくは0.3モル/リットル以上、特に0.4モル/リットル以上である。上限は重要ではないが1.5モル/リットル程度である。
【0075】
本発明の現像液には、保恒剤として亜硫酸ナトリウム、亜硫酸カリウム、亜硫酸リチウム、重亜硫酸ナトリウム、メタ重亜硫酸カリウム、ホルムアルデヒド重亜硫酸ナトリウム等の亜硫酸塩あるいはヒドロキシルアミン硫酸塩、ヒドロキシルアミン塩酸塩、モノメチルヒドロキシルアミン塩酸塩、ジエチルヒドロキシルアミン等のヒドロキシルアミン類を添加してもよい。亜硫酸塩あるいはヒドロキシルアミン類は0.01モル/リットル以上で用いられる。亜硫酸塩は多量に用いるとハロゲン化銀乳剤粒子を溶解して、銀汚れの原因となる。また、COD(化学的酸素要求量)を高める原因ともなるため、添加量は必要最小限にすべきであり、好ましくは0.5モル/リットル以下、特に好ましくは0.2モル/リットル以下、最も好ましくは0.1モル/リットル以下である。
【0076】
上記の以外に用いられる添加剤としては、臭化ナトリウム、臭化カリウムの如き現像抑制剤;エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ジメチルホルムアミドの如き有機溶剤;ジエタノールアミン、トリエタノールアミン等のアルカノールアミン、イミダゾール又はその誘導体等の現像促進剤;メルカプト系化合物、インダゾール系化合物、ベンゾトリアゾール系化合物、ベンゾイミダゾール系化合物をカブリ防止剤又は黒ポツ(black pepper) 防止剤として含んでもよい。具体的には、5−ニトロインダゾール、5−p−ニトロベンゾイルアミノインダゾール、1−メチル−5−ニトロインダゾール、6−ニトロインダゾール、3−メチル−5−ニトロインダゾール、5−ニトロベンズイミダゾール、2−イソプロピル−5−ニトロベンズイミダゾール、5−ニトロベンズトリアゾール、4−〔(2−メルカプト−1,3,4−チアジアゾール−2−イル)チオ〕ブタンスルホン酸ナトリウム、5−アミノ−1,3,4−チアジアゾール−2−チオール、メチルベンゾトリアゾール、5−メチルベンゾトリアゾール、2−メルカプトベンゾトリアゾールなどを挙げることができる。これらカブリ防止剤の量は、通常、現像液1リットル当り0.01〜10mmolであり、より好ましくは0.1〜2mmolである。
【0077】
更に本発明の現像液中には各種の有機・無機のキレート剤を併用することができる。無機キレート剤としては、テトラポリリン酸ナトリウム、ヘキサメタリン酸ナトリウム等を用いることができる。
一方、有機キレート剤としては、主に有機カルボン酸、アミノポリカルボン酸、有機ホスホン酸、アミノホスホン酸及び有機ホスホノカルボン酸を用いることができる。
有機カルボン酸としては、アクリル酸、シュウ酸、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、アシエライン酸、セバチン酸、ノナンジカルボン酸、デカンジカルボン酸、ウンデカンジカルボン酸、マレイン酸、イタコン酸、リンゴ酸、クエン酸、酒石酸等を挙げることができが、これらに限定されるものではない。
【0078】
アミノポリカルボン酸としては、イミノ二酢酸、ニトリロ三酢酸、ニトリロ三プロピオン酸、エチレンジアミンモノヒドロキシエチル三酢酸、エチレンジアミン四酢酸、グリコールエーテル四酢酸、1,2−ジアミノプロパン四酢酸、ジエチレントリアミン五酢酸、トリエチレンテトラミン六酢酸、1,3−ジアミノ−2−プロパノール四酢酸、グリコールエーテルジアミン四酢酸、その他特開昭52−25632号、同55−67747号、同57−102624号、及び特公昭53−40900号明細書等に記載の化合物を挙げることができる。
有機ホスホン酸としては、米国特許3214454号、同3794591号、及び西独特許公開2227639号等に記載のヒドロキシアルキリデン−ジホスホン酸やリサーチ・ディスクロージャー(Research Disclosure) 第181巻、Item 18170(1979年5月号)等に記載の化合物が挙げられる。
アミノホスホン酸としては、アミノトリス(メチレンホスホン酸)、エチレンジアミンテトラメチレンホスホン酸、アミノトリメチレンホスホン酸等が挙げられるが、その他上記リサーチ・ディスクロージャー18170号、特開昭57−208554号、同54−61125号、同55−29883号及び同56−97347号等に記載の化合物を挙げることができる。
【0079】
有機ホスホノカルボン酸としては、特開昭52−102726号、同53−42730号、同54−121127号、同55−4024号、同55−4025号、同55−126241号、同55−65955号、同55−65956号、及び前述のリサーチ・ディスクロージャー18170号等に記載の化合物を挙げることができる。
これらのキレート剤はアルカリ金属塩やアンモニウム塩の形で使用してもよい。これらキレート剤の添加量としては、現像液1リットル当り好ましくは、1×10−4〜1×10−1モル、より好ましくは1×10−3〜1×10−2モルである。
【0080】
さらに、現像液中に銀汚れ防止剤として、下記一般式(C)で表される化合物を用いることが好ましい。
一般式(C)
【0081】
【化20】
【0082】
式中、Z1 はNおよびCと共同で無置換または置換の5員もしくは6員の含窒素芳香族ヘテロ環を形成するに必要な非金属原子団を表し、X1 は水素原子またはカチオンを表す。また、Z1 より任意の水素原子1個がとれたラジカル2種が結合して、ビス型構造を形成してもよい。
【0083】
次に一般式(C)を詳細に説明する。
Z1 はNおよびCと共同で無置換または置換の5員もしくは6員の含窒素芳香族ヘテロ環を形成するに必要な非金属原子団を表す。Z1 、N、Cで形成される5員の含窒素芳香族ヘテロ環としては窒素に加え、炭素、酸素、硫黄から選ばれる元素の組み合わせで形成されるもので、さらに炭化水素環もくしはヘテロ環で縮合されていてもよく、例えばピラゾール、イミダゾール、オキサゾール、チアゾール、トリアゾール、チアジアゾール、オキサジアゾール、インダゾール、ベンズイミダゾール、ベンズオキサゾール、ベンゾチアゾール、ピラゾロトリアゾール、ピロロトリアゾール等が挙げられる。5員の含窒素芳香族ヘテロ環として好ましくはトリアゾール、チアジアゾール、オキサジアゾール、ベンズイミダゾール、ベンズオキサゾール、ベンゾチアゾール、ピラゾロトリアゾール、ピロロトリアゾールであり、さらに好ましくはトリアゾール、チアジアゾール、オキサジアゾール、ベンズイミダゾールであり、最も好ましくはトリアゾールである。Z1 、N、Cで形成される6員の含窒素芳香族ヘテロ環としては単環あるいは炭素環もしくはヘテロ環で縮合された環で、例えばピリジン、ピラジン、ピリミジン、ピリダジン、トリアジン、キノリン、イソキノリン、フタラジン、キノキサリン、キナゾリン、シノリン、フェナンスリジン、フェナンスロリン、ナフチリジン、プテリジン、プリン、トリアゾロピリミジン、イミダゾロピリジン、トリアゾロピリジン、イミダゾロトリアジン、トリアゾロトリアジンである。6員の含窒素芳香族ヘテロ環として好ましくは、ピラジン、ピリミジン、ピリダジン、トリアジン、フタラジン、キノキサリン、キナゾリン、ナフチリジン、プテリジン、プリン、トリアゾロピリミジン、イミダゾロピリジン、トリアゾロピリジン、イミダゾロトリアジン、トリアゾロトリアジンであり、さらに好ましくはピリミジン、ピリダジン、トリアジン、プテリジン、プリン、トリアゾロピリミジン、イミダゾロトリアジン、トリアゾロトリアジンであり、最も好ましくはピリミジン、トリアジン、プリンである。
【0084】
Z1 の置換基としては水素原子、ハロゲン原子、または炭素原子、酸素原子、窒素原子、硫黄原子で環に結合する置換基を挙げることができる。炭素原子で結合するものとしては、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アリール基、カルバモイル基、アルコキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、アシル基、カルボキシル基、シアノ基、ヘテロ環基が、酸素原子で結合するものとしてはヒドロキシ基、アルコキシ基、アリールオキシ基、ヘテロ環オキシ基、アシルオキシ基、カルバモイルオキシ基、スルホニルオキシ基が、窒素原子で結合するものとしてはアシルアミノ基、アミノ基、アルキルアミノ基、アリールアミノ基、ヘテロ環アミノ基、ウレイド基、スルファモイルアミノ基、アルコキシカルボニルアミノ基、アリールオキシカルボニルアミノ基、スルホンアミド基、イミド基、ヘテロ環基が、硫黄原子で結合するものとしてはアルキルチオ基、アリールチオ基、ヘテロ環チオ基、スルファモイル基、アルコキシスルホニル基、アリールオキシスルホニル基、スルホニル基、スルホ基、スルフィニル基、メルカプト基(塩を含む)が挙げられる。これらはZ1 の置換基として述べた基でさらに置換されていても良い。これらは複数であっても良く、可能な場合2つが結合して環を形成しても良い。
【0085】
更に詳しくZ1 の置換基について説明する。ハロゲン原子としては例えば、弗素原子、塩素原子、臭素原子である。アルキル基としては炭素数1〜10、好ましくは炭素数1〜5の直鎖、分岐鎖または環状のアルキル基であり、例えばメチル、エチル、イソプロピル、t−ブチル、ベンジル、シクロペンチルである。アルケニル基としては炭素数2〜10のもので、例えばビニル、1−プロペニル、1−ヘキセニル、スチリルが挙げられる。アルキニル基としては炭素数2〜10のもので、例えばエチニル、1−ブチニル、フェニルエチニルが挙げられる。アリール基としては炭素数6〜10のアリール基で例えば、フェニル、ナフチル、p−メトキシフェニルである。
【0086】
カルバモイル基としては炭素数1〜8のもので、例えばカルバモイル、N−エチルカルバモイル、N−フェニルカルバモイルである。アルコキシカルボニル基としては炭素数2〜8のもので、例えばメトキシカルボニル、ベンジルオキシカルボニルである。アリールオキシカルボニル基としては炭素数7〜12のもので、例えばフェノキシカルボニルである。アシル基としては炭素数1〜8のもので、例えばアセチル、ベンゾイルである。環上の炭素原子で連結するヘテロ環基としては炭素数1〜5の酸素原子、窒素原子、もしくは硫黄原子を1個以上含む5員または6員環の飽和または不飽和のヘテロ環であって環を構成するヘテロ原子の数及び元素の種類は1つでも複数であっても良く、例えば2−フリル、2−チエニル、2−ピリジル、2−イミダゾリルである。
【0087】
アルコキシ基としては炭素数1〜10、好ましくは炭素数1〜6のもので例えば、メトキシ、2−メトキシエトキシ、2−メタンスルホニルエトキシである。アリールオキシ基としては炭素数6〜12のもので例えば、フェノキシ、p−メトキシフェノキシ、m−(3−ヒドロキシプロピオンアミド)フェノキシである。ヘテロ環オキシ基としては炭素数1〜5の酸素原子、窒素原子、もしくは硫黄原子を1個以上含む5員または6員環の飽和または不飽和のヘテロ環オキシ基であって環を構成するヘテロ原子の数及び元素の種類は1つでも複数であっても良く例えば、1−フェニルテトラゾリル−5−オキシ、2−テトラヒドロピラニルオキシ、2−ピリジルオキシである。アシルオキシ基としては炭素数1〜10、好ましくは炭素数1〜6のもので例えば、アセトキシ、ベンゾイルオキシ、4−ヒドロキシブタノイルオキシである。カルバモイルオキシ基としては炭素数1〜10、好ましくは炭素数1〜6のもので例えば、N,N−ジメチルカルバモイルオキシ、N−ブチルカルバモイルオキシ、N−フェニルカルバモイルオキシである。スルホニルオキシ基としては炭素数1〜8のもので、例えばメタンスルホニルオキシ、ベンゼンスルホニルオキシである。
【0088】
アシルアミノ基としては炭素数1〜10、好ましくは炭素数1〜6のもので、例えばアセチルアミノ、ベンゾイルアミノである。アルキルアミノ基としては炭素数1〜10、好ましくは炭素数1〜6のもので例えば、N,N−ジメチルアミノ、N−(2−ヒドロキシエチル)アミノ、N−(3−ジメチルアミノプロピル)アミノである。アリールアミノ基としては炭素数6〜10のもので例えば、アニリノ、N−メチルアニリノである。ヘテロ環アミノ基としては炭素数1〜5の酸素原子、窒素原子、もしくは硫黄原子を1個以上含む5員または6員環の飽和または不飽和のヘテロ環アミノ基であって環を構成するヘテロ原子の数及び元素の種類は1つでも複数であっても良く、例えば2−オキサゾリルアミノ、2−テトラヒドロピラニルアミノ、4−ピリジルアミノである。ウレイド基としては炭素数1〜10、好ましくは炭素数1〜6のもので、例えばウレイド、メチルウレイド、N,N−ジエチルウレイド、2−メタンスルホンアミドエチルウレイドである。
【0089】
スルファモイルアミノ基としては炭素数0〜10、好ましくは炭素数0〜5のもので、例えばメチルスルファモイルアミノ、2−メトキシエチルスルファモイルアミノである。アルコキシカルボニルアミノ基としては炭素数2〜10、好ましくは炭素数2〜6のもので、例えばメトキシカルボニルアミノである。アリールオキシカルボニルアミノ基としては炭素数7〜12のもので、例えばフェノキシカルボニルアミノ、2,6−ジメトキシフェノキシカルボニルアミノである。スルホンアミド基としては炭素数1〜10、好ましくは炭素数1〜6のもので、例えばメタンスルホンアミド、p−トルエンスルホンアミドである。イミド基としては炭素数4〜10のもので、例えばN−スクシンイミド、N−フタルイミドである。環の窒素原子で連結するヘテロ環基としては、炭素原子、酸素原子または硫黄原子の少なくとも1種と窒素原子からなる5〜6員のヘテロ環で、例えばピロリジノ、モルホリノ、イミダゾリノである。
【0090】
アルキルチオ基としては炭素数1〜10、好ましくは炭素数1〜5のもので、例えばメチルチオ、2−カルボキシエチルチオである。アリールチオ基としては炭素数6〜12のもので、例えばフェニルチオ、2−カルボキシフェニルチオである。ヘテロ環チオ基としては炭素数1〜5の酸素原子、窒素原子、もしくは硫黄原子を1個以上含む5員または6員環の飽和または不飽和のヘテロ環チオ基であって環を構成するヘテロ原子の数及び元素の種類は1つでも複数であっても良く、例えば2−ベンゾチアゾリルチオ、2−ピリジルチオである。
【0091】
スルファモイル基としては炭素数0〜10、好ましくは炭素数0〜6のもので、例えばスルファモイル、メチルスルファモイル、フェニルスルファモイルである。アルコキシスルホニル基としては炭素数1〜10、好ましくは炭素数1〜6のもので、例えばメトキシスルホニルである。アリールオキシスルホニル基としては炭素数6〜12、好ましくは炭素数6〜10のもので、例えばフェノキシスルホニルである。スルホニル基としては炭素数1〜10、好ましくは炭素数1〜6のもので、例えばメタンスルホニル、ベンゼンスルホニルである。スルフィニル基としては炭素数1〜10、好ましくは炭素数1〜6のもので、例えばメタンスルフィニル、ベンゼンスルフィニルである。
【0092】
Z1 の置換基として好ましくは、水素原子、アルキル基、アリール基、カルバモイル基、アシル基、シアノ基、アルコキシ基、アリールオキシ基、アミノ基、アシルアミノ基、ウレイド基、スルファモイルアミノ基、スルホンアミド基、アルキルチオ基、アリールチオ基、スルファモイル基、スルホニル基、メルカプト基であり、さらに好ましくは水素原子、アルキル基、アルコキシ基、アリールオキシ基、アミノ基、アシルアミノ基、ウレイド基、アルキルチオ基、メルカプト基であり、特に好ましくは水素原子、アルキル基、アルコキシ基、アミノ基、アルキルチオ基、メルカプト基である。Z1 としては1または2個のメルカプト基を有するものが最も好ましい。
【0093】
X1 は水素原子またはカチオンである。カチオンとしては例えばナトリウム、カリウム、リチウム、カルシウム、アンモニウム、テトラブチルアンモニウム、トリエチルアンモニウムである。X1 として好ましくは水素原子、ナトリウム、カリウム、アンモニウムである。
【0094】
一般式(C)より任意の水素原子1個がとれたラジカル2種が結合してビス型構造を形成するものとして、好ましくは下記一般式(L)で示すものである。
一般式(L)
【0095】
【化21】
【0096】
式中、Z21、Z22は式(C)のZ1 から水素原子1個がとれた基を表し、X21、X22はX1 と同義である。L2 は二価の連結基(アルキレン基、アルケニレン基、アルキニレン基、アリーレン基、二価のヘテロ環基およびそれらを−O−、−S−、−NH−、−CO−、−SO2 −等の単独または組み合わせからなる基で連結したもの)である。これらの好ましいものも式(C)と同じである。
【0097】
L2 のアルキレン基としては、例えばエチレン、トリメチレン、ペンタメチレン、プロピレン、2−ブテン−1,4−イル、2−ブチン−1,4−イル、p−キシリレンである。アルケニレン基としては、例えばエテン−1,2−イルである。アルキニレン基としてはエチン−1,2−イルである。アリーレン基としては、例えばフェニレンである。二価のヘテロ環基としては、例えばフラン−1,4−ジイルである。L2 としてはアルキレン基、−NH(アルキレン)NH−基、−O(アルキレン)O−基、−S(アルキレン)S−基、−NH(アルキレン)CONH(アルキレン)NH−基、−NH(アルキレン)O(アルキレン)NH−基が好ましく、−NH(アルキレン)NH−基、−O(アルキレン)O−基がさらに好ましい。
【0098】
一般式(C)で示される本発明の化合物のうち好ましくは下記一般式(3)〜(10)で表されるものである。
一般式(3)
【0099】
【化22】
【0100】
式中、R34およびX31はそれぞれ一般式(C)のZ1 の置換基およびX1 と同義である。R34として好ましくは水素原子、アルキル基、アリール基、ヘテロ環基、ヒドロキシ基、置換されていてもよいアミノ基、メルカプト基、アルキルチオ基であり、さらに好ましくは水素原子、アルキル基、ヒドロキシ基、置換されていてもよいアミノ基、メルカプト基であり、最も好ましくは水素原子、アルキル基、メルカプト基である。R32は水素原子、アルキル基、アリール基、ヘテロ環基、ヒドロキシ基、置換されていてもよいアミノ基である。R32として好ましくは水素原子、アルキル基、ヒドロキシ基、置換されていてもよいアミノ基であり、さらに好ましくは水素原子またはアルキル基である。
一般式(4)
【0101】
【化23】
【0102】
式中、R41、R42およびX41はそれぞれ一般式(3)のR34、R32およびX31と同義で好ましい範囲も同様である。
一般式(5)
【0103】
【化24】
【0104】
式中、R51およびX51はそれぞれ一般式(3)のR34およびX31と同義である。R51として好ましくは水素原子、アルキル基、アリール基、ヘテロ環基、ヒドロキシ基、置換されていてもよいアミノ基、メルカプト基、アルキルチオ基であり、さらに好ましくはアルキル基、置換されていてもよいアミノ基、メルカプト基、アルキルチオ基であり、最も好ましくはメルカプト基、アルキルチオ基である。
一般式(6)
【0105】
【化25】
【0106】
式中、R61、R62およびX61はそれぞれ一般式(3)のR34、R32およびX31と同義である。R61として好ましくは水素原子、アルキル基、アリール基、ヘテロ環基、ヒドロキシ基、アルコキシ基、置換されていてもよいアミノ基、メルカプト基、アルキルチオ基であり、さらに好ましくはヒドロキシ基、アルコキシ基、置換されていてもよいアミノ基、メルカプト基、アルキルチオ基であり、最も好ましくはヒドロキシ基、置換されていてもよいアミノ基、メルカプト基である。R62として好ましくはメルカプト基である。
一般式(7)
【0107】
【化26】
【0108】
式中、R71、R72およびR73はそれぞれ一般式(6)のR61、R62と同義であり、好ましい範囲も同じである。ただしそれらのうち少なくとも一つはメルカプト基である。R73がメルカプト基である場合がより好ましい。
一般式(8)
【0109】
【化27】
【0110】
式中、R81、R82、R83およびR84はそれぞれ一般式(6)のR61、R62と同義であり、好ましい範囲も同じである。ただしそれらのうち少なくとも一つはメルカプト基である。R83として最も好ましくは置換されていてもよいアミノ基または水素原子である。R84がメルカプト基である場合がより好ましい。
一般式(9)
【0111】
【化28】
【0112】
式中、R91、R92およびR93はそれぞれ一般式(6)のR61、R62と同義であり、好ましい範囲も同じである。ただしそれらのうち少なくとも一つはメルカプト基である。R92またはR93がメルカプト基である場合がより好ましい。
一般式(10)
【0113】
【化29】
【0114】
式中、R101 ないしR104 およびX101 はそれぞれ一般式(C)のZ1 の置換基およびX1 と同義である。R101 ないしR104 として好ましくは水素原子、スルホ基、カルボキシル基、ヒドロキシ基、スルファモイル基であり、水素原子およびスルホ基がさらに好ましく、R103 がスルホ基である場合が最も好ましい。
【0115】
一般式(3)〜(10)のうち一般式(3)、(5)〜(9)がより好ましく、一般式(3)、(6)および(8)が最も好ましい。
次に本発明に於ける一般式(C)で表される化合物の具体例を示すがこれらに限定されるものではない。
【0116】
【化30】
【0117】
【化31】
【0118】
【化32】
【0119】
【化33】
【0120】
【化34】
【0121】
【化35】
【0122】
【化36】
【0123】
【化37】
【0124】
【化38】
【0125】
【化39】
【0126】
【化40】
【0127】
【化41】
【0128】
【化42】
【0129】
【化43】
【0130】
【化44】
【0131】
本発明の一般式(C)で表される化合物は以下に示される特許およびそれに引用された特許・文献に記載されている。すなわち特開平4−301837号、同5−61159号、同6−230525号、特開昭58−169147号、同62−56959号、米国特許3212892号、特開平3−53244号、同3−282457号、同5−61159号、同5−303179号、同4−362942号、特公昭46−11630号、特開平6−175302号、同6−258783号および特開平8−6215号等である。
【0132】
本発明の一般式(C)で表される化合物を現像液に添加する場合は、現像液1リットル当たり0.01ミリモルから10ミリモルの範囲が好ましく、0.1ミリモルから5ミリモルの範囲が特に好ましい。またハロゲン化銀感光材料に添加する場合は、バック層または最上の保護層等非感光性層に添加することが好ましい。本発明の化合物の添加量は感光材料1m2当たり1×10−6モルから5×10−3モルの範囲が好ましく、1×10−5モルから1×10−3モルの範囲が特に好ましい。
【0133】
また、現像ムラ防止剤として特開昭62−212651号記載の化合物、溶解助剤として特開昭61−267759号記載の化合物を用いることができる。
さらに必要に応じて色調剤、界面活性剤、消泡剤、硬膜剤等を含んでもよい。
【0134】
現像処理温度及び時間は相互に関係し、全処理時間との関係において決定されるが、一般に現像温度は約20℃〜約50℃、好ましくは25〜45℃で、現像時間は5秒〜2分、好ましくは7秒〜1分30秒である。
【0135】
本発明においては、現像開始液及び現像補充液の双方が、「該液1リットルに0.1モルの水酸化ナトリウムを加えたときのpH上昇が0.25以下」の性質を有することが好ましい。使用する現像開始液ないし現像補充液がこの性質を有することを確かめる方法としては、試験する現像開始液ないし現像補充液のpHを10.0に合わせ、ついでこの液1リットルに水酸化ナトリウムを0.1モル添加し、この時の液のpH値を測定し、pH値の上昇が0.25以下であれば上記に規定した性質を有すると判定する。本発明では特に、上記試験を行った時のpH値の上昇が0.2以下である現像開始液及び現像補充液を用いることが好ましい。
【0136】
現像開始液及び現像補充液に上記の性質を与える方法としては、緩衝剤を使用するのが好ましい。緩衝剤としては、炭酸塩、特開昭62−186259号に記載のホウ酸、特開昭60−93433号に記載の糖類(例えばサッカロース)、オキシム類(例えばアセトオキシム)、フェノール類(例えば5−スルホサリチル酸)、第3リン酸塩(例えばナトリウム塩、カリウム塩)などが用いられ、好ましくは炭酸塩、ホウ酸が用いられる。緩衝剤、特に炭酸塩の使用量は、好ましくは、0.3モル/リットル以上、特に0.4モル/リットル以上である。
【0137】
pHの設定のために用いるアルカリ剤には通常の水溶性無機アルカリ金属塩(例えば水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム)を用いることができる。
【0138】
本発明においては、現像開始液のpHが8.5〜12.0であり、特に好ましくは8.5〜11.0、最も好ましくは9.4〜10.5の範囲である。現像補充液のpHおよび連続処理時の現像タンク内の現像液のpHもこの範囲である。pHの設定のために用いるアルカリ剤には通常の水溶性無機アルカリ金属塩(例えば水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム)を用いることができる。
【0139】
ハロゲン化銀写真感光材料1平方メートルを処理する際に、現像液の補充液量は200ミリリットル以下、好ましくは180〜0ミリリットル、特に160〜10ミリリットルである。
現像補充液は、現像開始液と同一の組成を有していてもよいし、現像で消費される成分について開始液よりも高い濃度を有していてもよい。
【0140】
処理液の搬送コスト、包装材料コスト、省スペース等の目的で、処理液を濃縮化し、使用時に希釈して用いるようにすることは好ましいことである。現像液の濃縮化のためには、現像液に含まれる塩成分をカリウム塩化することが有効である。
【0141】
本発明の定着工程で使用する定着液は、チオ硫酸ナトリウム、チオ硫酸アンモニウム、必要により酒石酸、クエン酸、グルコン酸、ホウ酸、イミノジ酢酸、5−スルホサリチル酸、グルコヘプタン酸、タイロン、エチレンジアミン四酢酸、ジエチレントリアミン五酢酸、ニトリロ三酢酸これらの塩を含む水溶液である。近年の環境保護の観点からは、ホウ酸は含まれない方が好ましい。
本発明に用いられる定着液の定着剤としてはチオ硫酸ナトリウム、チオ硫酸アンモニウムなどであり、定着速度の点からはチオ硫酸アンモニウムが好ましいが、近年の環境保護の観点からチオ硫酸ナトリウムが使われても良い。これら既知の定着剤の使用量は適宜変えることができ、一般には約0.1〜約2モル/リットルである。特に好ましくは0.2〜1.5モル/リットルである。
定着液には所望により、硬膜剤(例えば水溶性アルミニウム化合物)、保恒剤(例えば、亜硫酸塩、重亜硫酸塩)、pH緩衝剤(例えば、酢酸)、pH調整剤(例えば、アンモニア、硫酸)、キレート剤、界面活性剤、湿潤剤、定着促進剤を含むことができる。
界面活性剤としては、例えば硫酸化物、スルフォン化物などのアニオン界面活性剤、ポリエチレン系界面活性剤、特開昭57−6740号公報記載の両性界面活性剤などが挙げられる。また、公知の消泡剤を添加してもよい。湿潤剤としては、例えばアルカノールアミン、アルキレングリコールなどが挙げられる。定着促進剤としては、例えば特公昭45−35754号、同58−122535号、同58−122536号各公報記載のチオ尿素誘導体、分子内に3重結合を持つアルコール、米国特許第4126459号記載のチオエーテル化合物、特開平4−229860号記載のメソイオン化合物などが挙げられ、また特開平2−44355号記載の化合物を用いてもよい。
また、pH緩衝剤としては、例えば酢酸、リンゴ酸、こはく酸、酒石酸、クエン酸、シュウ酸、マレイン酸、グリコール酸、アジピン酸などの有機酸、ホウ酸、リン酸塩、亜硫酸塩などの無機緩衝剤が使用できる。好ましいものとして酢酸、酒石酸、亜硫酸塩が用いられる。
ここでpH緩衝剤は、現像液の持ち込みによる定着剤のpH上昇を防ぐ目的で使用され、0.01〜1.0モル/リットル、より好ましくは0.02〜0.6モル/リットル程度用いる。
また、色素溶出促進剤として、特開昭64−4739号記載の化合物を用いることもできる。
【0142】
本発明の定着液中の硬膜剤としては、水溶性アルミニウム塩、クロム塩がある。好ましい化合物は水溶性アルミニウム塩であり、例えば塩化アルミニウム、硫酸アルミニウム、カリ明バンなどがある。好ましい添加量は0.01モル〜0.2モル/リットル、さらに好ましくは0.03〜0.08モル/リットルである。
定着温度は、約20℃〜約50℃、好ましくは25〜45℃で、定着時間は5秒〜1分、好ましくは7秒〜50秒である。
定着液の補充量は、感光材料の処理量に対して500ml/m2以下であり、特に200ml/m2以下が好ましい。
【0143】
現像、定着処理が済んだ感光材料は、次いで水洗または安定化処理される。
水洗または安定化処理は、水洗水量は通常ハロゲン化銀感光材料1m2当り、20リットル以下で行われ、3リットル以下の補充量(0も含む、すなわちため水水洗)で行うこともできる。すなわち、節水処理が可能となるのみならず、自現機設置の配管を不要とすることができる。
水洗水の補充量を少なくする方法として、古くより多段向流方式(例えば2段、3段など)が知られている。この多段向流方式を本発明に適用すれば定着後の感光材料は徐々に正常な方向、つまり定着液で汚れていない処理液の方に順次接触して処理されていくので、さらに効率の良い水洗がなされる。
水洗を少量の水で行う場合は、特開昭63−18350号、同62−28725号などに記載のスクイズローラー、クロスオーバーローラーの洗浄槽を設けることがより好ましい。あるいは、また、少量水洗時に問題となる公害負荷低減のために種々の酸化剤添加やフィルター濾過を組み合わせてもよい。
更に、本発明の方法で水洗または安定化浴に防黴手段を施した水を処理に応じて補充することによって生ずる水洗又は安定化浴からのオーバーフロー液の一部又は全部は特開昭60−235133号に記載されているようにその前の処理工程である定着能を有する処理液に利用することもできる。
また、少量水洗時に発生し易い水泡ムラ防止および/またはスクイズローラーに付着する処理剤成分が処理されたフィルムに転写することを防止するために水溶性界面活性剤や消泡剤を添加してもよい。
また、感光材料から溶出した染料による汚染防止に、特開昭63−163456号記載の色素吸着剤を水洗槽に設置してもよい。
また、前記水洗処理に続いて安定化処理する場合もあり、その例として特開平2−201357号、同2−132435号、同1−102553号、特開昭46−44446号に記載の化合物を含有した浴を感光材料の最終浴として使用してもよい。
この安定浴にも必要に応じてアンモニウム化合物、Bi、Alなどの金属化合物、蛍光増白剤、各種キレート剤、膜pH調節剤、硬膜剤、殺菌剤、防かび剤、アルカノールアミンや界面活性剤を加えることもできる。水洗工程もしくは安定化工程に用いられる水としては水道水のほか脱イオン処理した水やハロゲン、紫外線殺菌灯や各種酸化剤(オゾン、過酸化水素、塩素酸塩など)等によって殺菌された水を使用することが好ましいし、また、特開平4−39652号、特開平5−241309号記載の化合物を含む水洗水を使用してもよい。
水洗または安定浴温度及び時間は0〜50℃、5秒〜2分が好ましい。
【0144】
本発明に用いられる処理液は特開昭61−73147号に記載された酸素透過性の低い包材で保管することが好ましい。
本発明に用いられる処理液は粉剤および固形化しても良い。その方法は、公知のものを用いることができるが、特開昭61−259921号、特開平4−85533号、特開平4−16841号記載の方法を使用することが好ましい。特に好ましくは特開昭61−259921号記載の方法である。
補充量を低減する場合には処理槽の空気との接触面積を小さくすることによって液の蒸発、空気酸化を防止することが好ましい。ローラー搬送型の自動現像機については米国特許第3025779号明細書、同第3545971号明細書などに記載されており、本明細書においては単にローラー搬送型プロセッサーとして言及する。ローラー搬送型プロセッサーは現像、定着、水洗及び乾燥の四工程からなっており、本発明の方法も、他の工程(例えば、停止工程)を除外しないが、この四工程を踏襲するのが最も好ましい。水洗工程の代わりに安定工程による四工程でも構わない。
【0145】
現像、定着処理が済んだ感光材料は、ついで水洗または安定化処理される。水洗または安定化浴に使用される水は、水道水でもイオン交換水でも蒸留水でもよい。これらの補充量は水道水圧により異なり、一般的には感光材料1m2あたり約17リットル〜約8リットルであるが、それ以下の補充量で行うこともできる。特に3リットル以下の補充量(0も含む。すなわち、ため水水洗)では、節水処理が可能となるのみならず、自動現像機設置の配管を不要とすることもできる。水洗を少量の水で行う場合は、特開昭63−18350号、同62−287252号等に記載のスクイズローラー、クロスオーバーローラーの洗浄槽を設けることがより好ましい。また、少量水洗時に問題となる公害負荷低減のために、種々の酸化剤(例えばオゾン、過酸化水素、次亜塩素酸ナトリウム、活性ハロゲン、二酸化塩素、炭酸ナトリウム過酸化水素塩など)添加やフィルター濾過を組み合わせても良い。
【0146】
水洗水の補充量を少なくする方法として、古くより多段向流方式(例えば2段、3段等)が知られており、水洗補充量は感光材料1m2あたり200〜50ミリリットルが好ましい。この多段向流方式を本発明に適用すれば、定着後の感光材料は徐々に正常な方向、つまり定着液で汚染されていない処理液の方に順次接触して処理されていくので、さらに効率の良い水洗がなされる。この効果は、独立多段方式(向流にせず、多段の水洗槽または安定浴に新液を補充する方法)でも同様に得られる。
【0147】
さらに、本発明の方法で水洗または安定化浴に水垢防止手段を施しても良い。水垢防止手段としては公知のものを使用することができ、特に限定はしないが、水洗水または安定化液に防ばい剤(いわゆる水垢防止剤)を添加する方法、水洗水または安定化液に通電する方法、紫外線または赤外線や遠赤外線を照射する方法、磁場をかける方法、超音波処理する方法、熱をかける方法、未使用時にタンクを空にする方法などがある。これらの水垢防止手段は、感光材料の処理に応じてなされても良いし、使用状況に関係なく一定間隔で行われても良いし、夜間など処理の行われない期間のみ施しても良い。
さらには、一定期間ごとに異なる水垢防止手段を行うことも、耐性菌の発生を抑える上では好ましい。
防ばい剤としては特に限定はなく公知のものが使用できる。たとえばグルタルアルデヒド、アミノポリカルボン酸等のキレート剤、カチオン性界面活性剤、酸化剤(例えばオゾン、過酸化水素、次亜塩素酸ナトリウム、活性ハロゲン、二酸化塩素、炭酸ナトリウム過酸化水素塩など)、メルカプトピリジンオキサイド(例えば2−メルカプトピリジン−N−オキシドなど)などがあり、単独で使用しても良いし、複数のものを併用しても良い。防ばい剤は処理に応じて水洗または安定化浴に添加しても良いし、あらかじめ水洗水または安定化液に添加しておいてこれを補充しても良い。防ばい剤の補充は感光材料の処理に応じてなされても良いし、使用状況に関係なく一定間隔で行われても良いし、夜間など処理の行われない期間のみ施しても良い。
さらには、一定期間ごとに異なる防ばい剤を使用することも、耐性菌の発生を抑える上では好ましい。
通電する方法としては、特開平3−224685号、同3−224687号、同4−16280号、同4−18980号などに記載の方法が使用できる。
【0148】
少量水洗時に発生しやすい水泡ムラ防止および/またはスクイズローラーに付着する処理剤成分が処理されたフィルムに転写することを防止するために、公知の水溶性界面活性剤や消泡剤を添加しても良い。また、感光材料から溶出した染料による汚染防止に、特開昭63−163456号に記載の色素吸着剤を水洗槽に設置しても良い。
【0149】
水洗または安定化浴からのオーバーフロー液の一部または全部は、特開昭60−235133号に記載されているように、定着能を有する処理液に混合利用することもできる。また微生物処理(例えば硫黄酸化菌、活性汚泥処理や微生物を活性炭やセラミック等の多孔質担体に担持させたフィルターによる処理等)や、通電や酸化剤による酸化処理をして、生物化学的酸素要求量(BOD)、化学的酸素要求量(COD)、沃素消費量等を低減してから排水したり、銀と親和性のあるポリマーを用いたフィルターやトリメルカプトトリアジン等の難溶性銀錯体を形成する化合物を添加して銀を沈降させてフィルター濾過するなどし、排水中の銀濃度を低下させることも、自然環境保全の観点から好ましい。
【0150】
また、水洗処理に続いて安定化処理する場合もあり、その例として特開平2−201357号、同2−132435号、同1−102553号、特開昭46−44446号に記載の化合物を含有した浴を感光材料の最終浴として使用しても良い。この安定浴にも必要に応じてアンモニウム化合物、Bi、Al等の金属化合物、蛍光増白剤、各種キレート剤、膜pH調節剤、硬膜剤、殺菌剤、防ばい剤、アルカノールアミンや界面活性剤を加えることもできる。
【0151】
水洗、安定化浴に添加する防ばい剤等の添加剤および安定化剤は、前述の現像、定着処理剤同様に固形剤とすることもできる。
【0152】
本発明に使用する現像液、定着液、水洗水、安定化液の廃液は燃焼処分することが好ましい。また、これらの廃液は例えば特公平7−83867号、US5439560号等に記載されているような濃縮装置で濃縮液化または固化させてから処分することも可能である。
【0153】
処理剤の補充量を低減する場合には、処理槽の空気との接触面積を小さくすることによって液の蒸発、空気酸化を防止することが好ましい。ローラー搬送型の自動現像機については米国特許第3025779号、同3545971号などに記載されており、本明細書においては単にローラー搬送型プロセッサーとして言及する。ローラー搬送型プロセッサーは現像、定着、水洗および乾燥の四工程からなっており、本発明の方法も、他の工程(例えば停止工程)を除外しないが、この四工程を踏襲するのが最も好ましい。水洗工程のかわりに安定化工程による四工程でもかまわない。
【0154】
本発明の現像処理では、現像および定着時間が40秒以下、好ましくは6〜35秒、各液の温度は25〜50℃が好ましく、30〜40℃が好ましい。水洗または安定浴の温度および時間は0〜50℃で40秒以下が好ましい。本発明の方法によれば、現像、定着および水洗(または安定化)された感光材料は水洗水を絞りきる、すなわちスクイズローラーを経て乾燥しても良い。乾燥は約40〜約100℃で行われ、乾燥時間は周囲の状態によって適宜かえられる。乾燥方法は公知のいずれの方法を用いることができ特に限定はないが、温風乾燥や、例えば特開平4−15534号、同5−2256号、同5−289294号に開示されているようなヒートローラーによる乾燥、遠赤外線による乾燥などがあり、複数の方法を併用しても良い。
【0155】
感光材料の現像処理方法が適用される写真感光材料には特別な制限はなく、一般の黒白感光材料に加えて反転処理されるカラー感光材料(例えばカラー反転フィルムまたはペーパー)も用いることができる。特に医療画像のレーザープリンター用写真感光材料や印刷用感材並びに、医療用直接撮影X−レイ感材医療用間接撮影X−レイ感材、ヒドラジン造核系硬調フィルム、CRT画像記録用感材、マイクロ用感材、一般黒白ネガフィルム、黒白印画紙などに用いることが好ましい。
【0156】
ハロゲン化銀乳剤のハロゲン組成は特に制限はなく、塩化銀、沃化銀、臭化銀、塩臭化銀、沃臭化銀、塩沃臭化銀のようなハロゲン化銀を親水性コロイドに分散したものである。
ハロゲン化銀乳剤は、通常当業界でよく知られた方法(例えば、シングルジェット法、ダブルジェット法、コントロールドジェット法など)によって水溶性銀塩(例えば、硝酸銀)と水溶性ハロゲン塩とを水および親水性コロイドの存在下で混合し、物理熟成および金増感および/または硫黄増感などの化学熟成を経て製造される。本発明で用いられるハロゲン化銀の粒子形状には特別な制限はなく、立方体、8面体、球状の他、Research Disclosure 22534(January 1983)に記載された高アスペクト比の平板状のハロゲン化銀粒子などのいずれも用いることができる。
【0157】
本発明において用いられるハロゲン化銀乳剤のハロゲン組成に特別な制限はないが、本発明の目的をより効果的に達成するうえで、塩化銀含有率50モル%以上の塩化銀、塩臭化銀、塩沃臭化銀が好ましい。沃化銀の含有率は5モル%を下回ること、特に2モル%より少ないことが好ましい。
【0158】
本発明において、スキャナー露光の様な高照度露光に適した感光材料及び線画撮影用感光材料は、高コントラスト及び低カブリを達成するために、ロジウム化合物を含有する。
本発明に用いられるロジウム化合物として、水溶性ロジウム化合物を用いることができる。たとえば、ハロゲン化ロジウム(III) 化合物、またはロジウム錯塩で配位子としてハロゲン、アミン類、オキザラト等を持つもの、たとえば、ヘキサクロロロジウム(III)錯塩、ヘキサブロモロジウム(III) 錯塩、ヘキサアミンロジウム(III)錯塩、トリザラトロジウム(III)錯塩等が挙げられる。これらのロジウム化合物は、水あるいは適当な溶媒に溶解して用いられるが、ロジウム化合物の溶液を安定化させるために一般によく行われる方法、すなわち、ハロゲン化水素水溶液(例えば塩酸、臭酸、フッ酸等)、あるいはハロゲン化アルカリ(例えばKCl、NaCl、KBr、NaBr等)を添加する方法を用いることができる。水溶性ロジウムを用いる代わりにハロゲン化銀調製時に、あらかじめロジウムをドープしてある別のハロゲン化銀粒子を添加して溶解させることも可能である。
添加量は、ハロゲン化銀乳剤の銀1モル当たり1×10−8〜5×10−6モル、好ましくは5×10−8〜1×10−6モルである。
これらの化合物の添加は、ハロゲン化銀乳剤粒子の製造時及び乳剤を塗布する前の各段階において適宜行うことができるが、特に乳剤形成時に添加し、ハロゲン化銀粒子中に組み込まれることが好ましい。
本発明に用いられる写真乳剤は、P.Glafkides 著 Chimie et Physique Photographique(Paul Montel社刊、1967年) 、G.F.Dufin 著 Photographic Emulsion Chemistry(The Focal Press刊、1966年) 、V.L.Zelikman et al著 Making and Coating Photographic Emulsion(The Focal Press 刊、1964年)などに記載された方法を用いて調製することができる。
【0159】
可溶性銀塩と可溶性ハロゲン塩を反応させる方法としては、片側混合法、同時混合法、それらの組み合わせなどのいずれを用いても良い。
粒子を銀イオン過剰の下において形成させる方法(いわゆる逆混合法)を用いることもできる。同時混合法の一つの形式としてハロゲン化銀の生成される液相中のpAgを一定に保つ方法、すなわち、いわゆるコントロールド・ダブルジェット法を用いることもできる。またアンモニア、チオエーテル、四置換チオ尿素等のいわゆるハロゲン化銀溶剤を使用して粒子形成させることが好ましい。より好ましくは四置換チオ尿素化合物であり、特開昭53−82408号、同55−77737号に記載されている。好ましいチオ尿素化合物はテトラメチルチオ尿素、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジンチオンである。
コントロールド・ダブルジェット法およびハロゲン化銀溶剤を使用した粒子形成方法では、結晶型が規則的で粒子サイズ分布の狭いハロゲン化銀乳剤を作るのが容易であり、本発明に用いられるハロゲン化銀乳剤を作るのに有用な手段である。
また、粒子サイズを均一にするためには、英国特許第1,535,016号、特公昭48−36890号、同52−16364号に記載されているように、硝酸銀やハロゲン化アルカリの添加速度を粒子成長速度に応じて変化させる方法や、英国特許第4,242,445号、特開昭55−158124号に記載されているように水溶液の濃度を変化させる方法を用いて、臨界飽和度を越えない範囲において早く成長させることが好ましい。
本発明の乳剤は単分散乳剤が好ましく変動係数が20%以下、特に好ましくは15%以下である。
単分散ハロゲン化銀乳剤中の粒子の平均粒子サイズは0.5μm 以下であり、特に好ましくは0.1μm 〜0.4μm である。
【0160】
X−レイ感材の場合には、写真感光材料の銀量は、支持体の両側の合計として8.0g/m2以下より好ましくは4.0g/m2以下であることが望ましい。感材には、必要に応じてハロゲン化銀乳剤層以外に親水性コロイド層を有することができ、公知の方法に準じて表面保護層を設けることが好ましい。乳剤層を含む親水性コロイド層を有する側のゼラチン量は2.0g/m2以上5.0g/m2未満の範囲にあることが好ましく、特に2.5g/m2以上4.0g/m2未満の範囲に設定されていることが好ましい。感材のメルティング・タイムは20分以上100分以下に設定されていることが好ましい。このメルティング・タイムの測定方法は特開昭63−221341号に記載の方法に従う。
【0161】
ハロゲン界面活性剤写真感光材料は支持体上に少なくとも1層のハロゲン界面活性剤乳剤層を有するものであるが、直医X−レイ感材の場合は特開昭58−127921号、同59−90841号、同58−111934号、同61−201235号等に記載されている如く、支持体の両方の側にそれぞれ少なくとも1層のハロゲン化銀乳剤層を有するものが好ましい。
写真材料は、その他、必要に応じて、中間層、フィルター層、ハレーション防止層などを有することができる。
感光材料の銀量としては、好ましくは0.5g/m2〜5g/m2(片面で)、より好ましくは1g/m2〜3g/m2(片面で)である。
迅速処理適性としては5g/m2をこえないことが好ましい。また一定の画像濃度、コントラストを得るためには0.5g/m2以上が好ましい。
【0162】
X−レイ感材で用いる乳剤粒子は、乳剤中のハロゲン化銀粒子は立方体、八面体のような規則的な結晶形を有するものでよく、球状、板状、じゃがいも状のような不規則な結晶形を有するものでもよく、種々の結晶形の粒子の混合からなりたってのよい。
ハロゲン化銀粒子の組成としては、沃臭化銀、臭化銀、沃塩臭化銀、塩臭化銀、沃塩化銀、塩化銀のいずれであってもよいが、高感度で迅速処理性に優れるという観点から沃化銀含量が0.6モル%以下の沃臭化銀、塩化銀含量が20モル%以上100モル%未満、特に50モル%以上99モル%未満の沃塩臭化銀、塩臭化銀であることが望ましい。
【0163】
平板状粒子の利用は好ましい態様である。平板状粒子に関しては RESEARCH DISCLOSURE 225巻 Item 22534、20〜58、1月号(1983)および特開昭58−127921号、特開昭58−113926号、特開昭58−113927号、特開昭58−113928号、米国特許第4,439,520号を参照することができる。
【0164】
本発明で用いられるX−レイ感材の場合には、少なくとも分散媒とハロゲン化銀粒子を含むハロゲン化銀乳剤において、該ハロゲン化銀粒子の全投影面積の50%以上、好ましくは60%〜100%、より好ましくは70〜100%が主平面が(100)又は(111)面であるアスペクト比2以上の平板状粒子である。ここに、平板状粒子とはアスペクト比(直径/厚さ)が1より大きい粒子である。主平面は平板状粒子の最大外表面を指す。該平板状粒子の厚さは0.35μm 以下であり0.05〜0.3μm がより好ましく、0.05〜0.25μm が更に好ましい。好ましいアスペクト比は2以上、好ましくは3〜30、より好ましくは5〜20である。ここで直径とは、該平板状粒子の投影面積と等しい面積を有する円の直径を指し、厚さは2つの主平面間の距離を指す。Cl− 含率20モル%以上、好ましくは30モル%〜100%、より好ましくは40〜100モル%、更に好ましくは50〜100モル%が好ましい。
【0165】
X−レイ感材に用いられるハロゲン化銀乳剤として、環境対応システムとして好ましいのは塩臭化銀および/または塩化銀平板状乳剤である。塩臭化銀および/または塩化銀平板状乳剤には、晶癖として主に(111)面を有する乳剤と、主に(100)面を有する乳剤とが知られている。(111)塩臭化銀平板状乳剤としては、特公昭64−8325号、同64−8326号、特開昭62−111936号、特開昭62−163046号などが公知である。
一方、(100)塩臭化銀平板状乳剤としては、特開昭51−88017号、特公昭64−8323号、欧州特許0,534,395A1などに記載されている。しかし、粒子サイズ分布が狭く高感度であるという理由で特願平5−287226および特願平5−271057に記載の技術が特に望ましく、特願平5−316677にあるような(100)塩化銀平板状粒子とアスコルビン酸現像処理の組合せも好ましい態様である。
平板状ハロゲン化銀乳剤を使用することによって、本発明によるランニング処理の際の写真性の安定性をさらに上げることができる。また、塗布銀量を少なくすることができるために、特に定着工程と乾燥工程の負荷が軽減され、この点からも迅速処理が可能になる。
【0166】
平板状ハロゲン化銀乳剤は、クナック(Cugnac)およびシャトー(Chateau)「物理的熟成時の臭化銀結晶の形態学の進展(イボルーション・オブ・ザ・モルフォルジー・オブ・シルバー・プロマイド・クリスタルズ・デュアリング・フィジカル・ライプニング)」サイエンス・エ・インダストリエ・フォトグラフィー、33巻、 No.2(1962)、pp.121−125、ダフィン(Duffin) 著「フォトグラフィク・エマルジョン・ケミストリー(Photographic emulsion chemistry )」フォーカル・プレス(Focal Press)、ニューヨーク、1966年、p.66〜p.72、A.P.H.トリベリ(Tribvlli) 、W.F.スミス(Smith)フォトグラフィック・ジャーナル(Photographic Journal) 、80巻、285頁(1940年)等に記載されているが特開昭58−127,921、特開昭58−113,927、特開昭58−113,928に記載された方法等を参照すれば容易に調製できる。
【0167】
本発明のハロゲン化銀乳剤は化学増感されることが好ましい。化学増感の方法としては、硫黄増感法、セレン増感法、テルル増感法、貴金属増感法などの知られている方法を用いることができ、単独または組み合わせて用いられる。組み合わせて使用する場合には、例えば、硫黄増感法と金増感法、硫黄増感法とセレン増感法と金増感法、硫黄増感法とテルル増感法と金増感法などが好ましい。
本発明に用いられる硫黄増感は、通常、硫黄増感剤を添加して、40℃以上の高温で乳剤を一定時間攪拌することにより行われる。硫黄増感剤としては公知の化合物を使用することができ、例えば、ゼラチン中に含まれる硫黄化合物のほか、種々の硫黄化合物、例えばチオ硫酸塩、チオ尿素類、チアゾール類、ローダニン類等を用いることができる。好ましい硫黄化合物は、チオ硫酸塩、チオ尿素化合物である。硫黄増感剤の添加量は、化学熟成時のpH、温度、ハロゲン化銀粒子の大きさなどの種々の条件の下で変化するが、ハロゲン化銀1モル当り10−7〜10−2モルであり、より好ましくは10−5〜10−3モルである。
【0168】
本発明に用いられるセレン増感剤としては、公知のセレン化合物を用いることができる。すなわち、通常、不安定型および/または非不安定型セレン化合物を添加して40℃以上の高温で乳剤を一定時間攪拌することにより行われる。不安定型セレン化合物としては特公昭44−15748号、同43−13489号、特願平2−13097号、同2−229300号、同3−121798号等に記載の化合物を用いることができる。特に特願平3−121798号中の一般式(VIII)および(IX) で示される化合物を用いることが好ましい。
【0169】
本発明に用いられるテルル増感剤は、ハロゲン化銀粒子表面または内部に、増感核になると推定されるテルル化銀を生成せしめる化合物である。ハロゲン化銀乳剤中のテルル化銀生成速度については特願平4−146739号に記載の方法で試験することができる。
具体的には米国特許第1,623,499号、同第3,320,069号、同第3,772,031号、英国特許第235,211号、同第1,121,496号、同第1,295,462号、同第1,396,696号、カナダ特許第800,958号、特願平2−333819号、同3−53693号、同3−131598号、同4−129787号、ジャーナル・オブ・ケミカル・ソサイアティー・ケミカル・コミュニケーション(J.Chem.Soc.Chem.Commun.) 635(1980), ibid 1102(1979), ibid 645(1979) 、ジャーナル・オブ・ケミカル・ソサイアティー・パーキン・トランザクション(J.Chem.Soc.Perkin.Trans.) 1,2191(1980)、S.パタイ(S.Patai) 編、ザ・ケミストリー・オブ・オーガニック・セレニウム・アンド・テルリウム・カンパウンズ(The Chemistry of Organic Serenium and Tellunium Compounds), Vol 1(1986) 、同Vol 2(1987) に記載の化合物を用いることができる。特に特願平4−146739号中の一般式(II)(III)(IV)で示される化合物が好ましい。
【0170】
本発明で用いられるセレンおよびテルル増感剤の使用量は、使用するハロゲン化銀粒子、化学熟成条件等によって変わるが、一般にハロゲン化銀1モル当たり10−8〜10−2モル、好ましくは10−7〜10−3モル程度を用いる。本発明における化学増感の条件としては特に制限はないが、pHとしては5〜8、pAgとしては6〜11、好ましくは7〜10であり、温度としては40〜95℃、好ましくは45〜85℃である。
本発明に用いられる貴金属増感剤としては、金、白金、パラジウム、イリジウム等が挙げられるが、特に金増感が好ましい。本発明に用いられる金増感剤としては具体的には、塩化金酸、カリウムクロレート、カリウムオーリチオシアネート、硫化金などが挙げられ、ハロゲン化銀1モル当たり10−7〜10−2モル程度を用いることができる。
本発明に用いるハロゲン化銀乳剤にはハロゲン化銀粒子の形成または物理熟成の過程においてカドミウム塩、亜硫酸塩、鉛塩、タリウム塩などを共存させてもよい。
本発明においては、還元増感を用いることができる。還元増感剤としては第一スズ塩、アミン類、ホルムアミジンスルフィン酸、シラン化合物などを用いることができる。
本発明のハロゲン化銀乳剤は、欧州公開特許(EP)−293,917号に示される方法により、チオスルホン酸化合物を添加してもよい。
本発明に用いられる感光材料中のハロゲン化銀乳剤は、一種だけでもよいし、二種以上(例えば、平均粒子サイズの異なるもの、ハロゲン組成の異なるもの、晶癖の異なるもの、化学増感の条件の異なるもの)併用してもよい。
【0171】
本発明において、返し用感光材料として特に適したハロゲン化銀乳剤は90モク%以上、より好ましくは95モル%以上が塩化銀からなるハロゲン化銀であり、臭化銀を0〜10モル%含む塩臭化銀もしくは塩沃臭化銀である。臭化銀あるいは沃化銀の比率が増加すると明室下でのセーフライト安全性の悪化、あるいはγが低下して好ましくない。
【0172】
また、本発明の返し用感光材料に用いるハロゲン化銀乳剤は、遷移金属錯体を含むことが望ましい。遷移金属としては、Rh、Ru、Re、Os、Ir、Cr、などが挙げられる。
配位子としては、ニトロシル及びチオニトロシル架橋配位子、ハロゲン化物配位子(フッ化物、塩化物、臭化物及びヨウ化物)、シアン化物配位子、シアネート配位子、チオシアネート配位子、セレノシアネート配位子、テルロシアネート配位子、アシド配位子及びアコ配位子が挙げられる。アコ配位子が存在する場合には、配位子の1つ又は2つを占めることが好ましい。
【0173】
具体的には、ロジウム原子を含有せしめるには、単塩、錯塩など任意の形の金属塩にして粒子調製時に添加することができる。
ロジウム塩としては、一塩化ロジウム、二塩化ロジウム、三塩化ロジウム、ヘキサクロロロジウム酸アンモニウム等が挙げられるが、好ましく水溶性の三価のロジウムのハロゲン錯化合物、例えばヘキサクロロロジウム(III) 酸もくしはその塩(アンモニウム塩、ナトリウム塩、カリウム塩など)である。
これらの水溶性ロジウム塩の添加量はハロゲン化銀1モル当り1.0×10−6モル〜1.0×10−3モルの範囲で用いられる。好ましくは1.0×10−5モル〜1.0×10−3モル、特に好ましくは5.0×10−5〜5.0×10−4モルである。
【0174】
又、以下の遷移金属錯体も好ましい。
1 〔Ru(NO)Cl5 〕−2
2 〔Ru(NO)2 Cl4 〕−1
3 〔Ru(NO)(H2 O)Cl4 〕−1
4 〔Rh(NO)Cl5 〕−2
5 〔Re(NO)CN5 〕−2
6 〔Re(NO)ClCN4 〕−2
7 〔Rh(NO)2 Cl4 〕−1
8 〔Rh(NO)(H2 O)Cl4 〕−1
9 〔Ru(NO)CN5 〕−2
10 〔Ru(NO)Br5 〕−2
11 〔Rh(NS)Cl5 〕−2
12 〔Os(NO)Cl5 〕−2
13 〔Cr(NO)Cl5 〕−3
14 〔Re(NO)2 Cl5 〕−1
15 〔Os(NS)Cl4(TeCN)〕−2
16 〔Ru(NS)I5 〕−2
17 〔Re(NS)Cl4(SeCN)〕−2
18 〔Os(NS)Cl(SCN)4 〕−2
19 〔Ir(NO)Cl5 〕−2
【0175】
本発明の感光性ハロゲン化銀乳剤は、増感色素によって比較的長波長の青色光、緑色光、赤色光または赤外光に分光増感されてもよい。増感色素としては、シアニン色素、メロシアニン色素、コンプレックスシアニン色素、コンプレックスメロシアニン色素、ホロホーラーシアニン色素、スチリル色素、ヘミシアニン色素、オキソール色素、ヘミオキソノール色素を等を用いることができる。
本発明に使用される有用な増感色素は例えばRESEARCH DISCLOSURE Item 17643IV−A項(1978年12月, p.23) 、同 Item 1831 X項(1978年8月, p.437)に記載もしくは引用された文献に記載されている。特に各種スキャナー光源の分光特性に適した分光感度を有する増感色素を有利に選択することができる。
例えば
A)アルゴンレーザー光源に対しては、特開昭60−162247号、特開平2−48653号、米国特許第2,161,331号、西独特許第936,071号、特願平3−189532号記載のシンプルメロシアニン類、B)ヘリウム−ネオンレーザー光源に対しては、特開昭50−62425号、同54−18726号、同59−102229号に示された三核シアニン色素類、特願平6−103272号に示されたメロシアニン色素類、C)LEC光源及び赤色半導体レーザーに対しては特公昭48−42172号、同51−9609号、同55−39818号、特開昭62−284343号、特開平2−105135号に記載されたチアカルボンシアニン類、D)赤外半導体レーザー光源に対しては特開昭59−191032号、特開昭60−80841号に記載されたトリカルボンシアニン類、特開昭59−192242号、特開平3−67242号の一般式(IIIa)、一般式(IIIb)に記載された4−キノリン核を含有するジカルボシアニン類なとが有利に選択される。
これらの増感色素は単独に用いてもよいが、それらの組合せを用いてもよく、増感色素の組合せは特に、強色増感の目的でしばしば用いられる。増感色素とともに、それ自身分光増感作用をもたない色素あるいは可視光を実質的に吸収しない物質であって、強色増感を示す物質を乳剤中に含んでもよい。
有用な増感色素、強色増感を示す色素の組合せ及び強色増感を示す物質はリサーチ・ディスクロージャー(Research Disclosure) 176巻17643(1978年12月発行)第23頁IVのJ項に記載されている。
【0176】
アルゴンレーザー光源に対しては、具体的には特願平7−104647号に記載のS1−1〜S1−13の色素が特に好ましく用いられる。
【0177】
ヘリウム−ネオン光源に対しては、前記の他に特願平4−228745号の8頁の下から1行目から13頁の上から4行目に記載の一般式(I)で表わされる増感色素が好ましい。また、特願平4−228745号の一般式(I)記載のものも好ましく用いられる。具体的には特願平7−104647号に記載のS2−1〜S2−10の色素が好ましく用いられる。特に好ましくは特願平6−103272号の一般式(I)で示される具体的化合物I−1〜I−34である。
【0178】
LED光源及び赤外半導体レーザーに対しては、具体的には特願平7−104647号に記載S3−1〜S3−8の色素が特に好ましく用いられる。
赤外半導体レーザー光源に対しては、具体的には特願平7−104647号に記載S4−1〜S4−9の色素が特に好ましく用いられる。
【0179】
カメラ撮影などの白色光源に対しては、特願平5−201254号に記載の一般式(IV)の増感色素(20頁14行目から22頁23行目)が好ましく用いられる。具体的には特願平7−104647号に記載S5−1〜S5−20の色素が特に好ましく用いられる。
【0180】
本発明に用いる増感色素の添加量は、ハロゲン化銀粒子の形状、サイズ等により異なるが、ハロゲン化銀1モル当り4×10−6〜8×10−3モルの範囲で用いられる。例えば、ハロゲン化銀粒子サイズが0.2〜1.3μm の場合には、ハロゲン化銀粒子の表面積1m2当り、2×10−7〜3.5×10−6モルの添加量範囲が好ましく、特に6.5×10−7〜2.0×10−6モルの添加量範囲が好ましい。
【0181】
本発明の処理に用いられるグラフィックアーツ用の超硬調感光材料は、ヒドラジン造核剤を含有することが好ましく、更にはこれに加えて造核促進剤を含有していることが好ましい。
【0182】
ヒドラジン造核剤としては、下記一般式(D)で表される化合物が好ましく用いられる。
一般式(D)
【0183】
【化45】
【0184】
式中、R9 は脂肪族基、芳香族基、またはヘテロ環基を表し、R12は水素原子、アルキル基、アリール基、ヘテロ環基、アルコキシ基、アリールオキシ基、アミノ基またはヒドラジノ基を表し、G1 は−CO−基、SO2 −基、−SO−基、
【0185】
【化46】
【0186】
−CO−CO−基、チオカルボニル基、またはイミノメチレン基を表し、A1 、A2 はともに水素原子、あるいは一方が水素原子で他方が置換もしくは無置換のアルキルスルホニル基、または置換もしくは無置換のアリールスルホニル基、または置換もしくは無置換のアシル基を表す。R13はR12に定義した基と同じ範囲内より選ばれ、R12と異なってもよい。
【0187】
一般式(D)において、R9 で表わされる脂肪族基は好ましくは炭素数1〜30の置換もしくは無置換の、直鎖、分岐または環状のアルキル基、アルケニル基、アルキニル基である。
一般式(D)において、R9 で表わされる芳香族基は単環もくしは2環のアリール基で、例えばベンゼン環、ナフタレン環である。R9 で表わされるヘテロ環基としては、単環または2環の、芳香族または非芳香族のヘテロ環、アリール基と縮環してヘテロアリール基を形成してもよい。例えばピリジン環、ピリミジン環、イミダゾール環、ピラゾール環、キノリン環、イソキノリン環、ベンズイミダゾール環、チアゾール環、ベンゾチアゾール環等が挙げられる。
R9 として好ましいものはアリール基である。
R9 は置換されていてもよく、代表的な置換基としては例えばアルキル基(活性メチン基を含む)、アルケニル基、アルキニル基、アリール基、複素環を含む基、4級化された窒素原子を含むヘテロ環(例えばピリジニオ基)を含む基、ヒドロキシ基、アルコキシ基(エチレンオキシ基もしくはプロピレンオキシ基単位を繰り返し含む基を含む)、アリールオキシ基、アシルオキシ基、アシル基、アルコキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、カルバモイル基、ウレタン基、カルボキシル基、イミド基、アミノ基、カルボンアミド基、スルホンアミド基、ウレイド基、チオウレイド基、スルファモイルアミノ基、セミカルバジド基、チオセミカルバジド基、ヒドラジノ基を含む基、4級のアンモニオ基を含む基、(アルキル、アリール、またはヘテロ環)チオ基、メルカプト基、(アルキルまたはアリール)スルホニル基、(アルキルまたはアリール)スルフィニル基、スルホ基、スルファモイル基、アシルスルファモイル基、(アルキルもしくはアリール)スルホニルウレイド基、(アルキルもしくはアリール)スルホニルカルバモイル基、ハロゲン原子、シアノ基、ニトロ基、リン酸アミド、燐酸エステル構造を含む基、アシルウレア構造を持つ基、セレン原子またはテルル原子を含む基、3級スルホニウム構造または4級スルホニウム構造を持つ基などが挙げられる。
好ましい置換基としては直鎖、分岐または環状のアルキル基(好ましくは炭素数1〜20のもの)、アラルキル基(好ましくは炭素数が1〜20のもの)、アルコキシ基(好ましくは炭素数1〜20のもの)、置換アミノ基(好ましくは炭素数1〜20の置換アミノ基)、アシルアミノ基(好ましくは炭素数2〜30を持つもの)、スルホンアミド基(好ましくは炭素数1〜30を持つもの)、ウレイド基(好ましくは炭素数1〜30を持つもの)、カルバモイル基(好ましくは炭素数1〜30のもの)、リン酸アミド基(好ましくは炭素数1〜30のもの)などである。
【0188】
一般式(D)において、R12で表わされるアルキル基として好ましくは、炭素数1〜10のアルキル基であり、アリール基としては単環または2環のアリール基が好ましく、例えばベンゼン環を含むものである。
ヘテロ環基としては少なくとも1つの窒素、酸素、および硫黄原子を含む5〜6員環の化合物で、例えばイミダゾリル基、ピラゾリル基、トリアゾリル基、テトラゾリル基、ピリジル基、ピリジニオ基、キノリニオ基、キノリニル基などがある。ピリジル基またはピリジニル基が特に好ましい。
アルコキシ基としては炭素数1〜8のアルコキシ基のものが好ましく、アリーるオキシ基としては単環のものが好ましく、アミノ基としては無置換アミノ基、及び炭素数1〜10のアルキルアミノ基、アリールアミノ基、ヘテロ環アミノ基が好ましい。
R12は置換されていても良く、好ましい置換基としてはR9 の置換基として例示したものがあてはまる。
R12で表わされる基のうち好ましいものは、G1 が−CO−基の場合には、水素原子、アルキル基(例えば、メチル基、トリフルオロメチル基、ジフルオロメチル基、2−カルボキシテトラフルオロエチル基、ピリジニオメチル基、3−ヒドロキシプロピル基、3−メタンスルホンアミドプロピル基、フェニルスルホニルメチル基など)、アラルキル基(例えば、o−ヒドロキシベンジル基など)、アリール基(例えば、フェニル基、3,5−ジクロロフェニル基、o−メタンスルホンアミドフェニル基、o−カルバモイルフェニル基、4−シアノフェニル基、2−ヒドロキシメチルフェニル基など)などであり、特に水素原子、アルキル基が好ましい。
また、G1 が−SO2 −基の場合には、R12はアルキル基(例えば、メチル基など)、アラルキル基(例えば、o−ヒドロキシベンジル基など)、アリール基(例えば、フェニル基など)または置換アミノ基(例えば、ジメチルアミノ基など)などが好ましい。
G1 が−COCO−基の場合にはアルコキシ基、アリールオキシ基、アミノ基が好ましく、特に置換アミノ基(例えば、2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−4−イルアミノ基、プロピルアミノ基、アニリノ基、o−ヒドロキシアニリノ基、5−ベンゾトリアゾリルアミノ基、N−ベンジル−3−ピリジニオアミノ基等)が好ましい。
又、R12はG1 −R12の部分を残余分子から分裂させ、−G1 −R12部分の原子を含む環式構造を生成させる環化反応を生起するようなものであってもよく、その例としては、例えば特開昭63−29751号などに記載のものが挙げられる。
【0189】
A1 、A2 は水素原子、炭素数20以下のアルキルまたはアリールスルホニル基(好ましくはフェニルスルホニル基、又はハメットの置換基定数の和が−0.5以上となるように置換されたフェニルスルホニル基)、炭素数20以下のアシル基(好ましくはベンゾイル基、又はハメットの置換基定数の和が−0.5以上となるように置換されたベンゾイル基、あるいは直鎖又は分岐状、又は環状の無置換及び置換脂肪族アシル基(置換基としては、例えばハロゲン原子、エーテル基、スルホンアミド基、カルボンアミド基、水酸基、カルボキシ基、スルホン酸基が挙げられる))である。
A1 、A2 としては水素原子が最も好ましい。
【0190】
一般式(D)のR9 、R12の置換基はさらに置換されていても良く、好ましい例としてはR9 の置換基として例示したものが挙げられる。さらにその置換基、その置換基の置換基、置換基の置換基の置換基・・・、というように多重に置換されていても良く、好ましい例はやはりR9 の置換基として例示したものがあてはまる。
【0191】
一般式(D)のR9 またはR12はその中にカプラー等の不動性写真用添加剤において常用されているバラスト基またはポリマーが組み込まれているものでもよい。バラスト基は8以上の炭素数を有する、写真性に対して比較的不活性な基であり、例えばアルキル基、アラルキル基、アルコキシ基、フェニル基、アルキルフェニル基、フェノキシ基、アルキルフェノキシ基などの中から選ぶことができる。またポリマーとしては、例えば特開平1−100530号に記載のものが挙げられる。
【0192】
一般式(D)のR9 またはR12はその中にハロゲン化銀に対して吸着する吸着性の基が組み込まれているものでもよい。かかる吸着基としては、アルキルチオ基、アリールチオ基、チオ尿素基、チオアミド基、メルカプト複素環基、トリアゾール基などの米国特許第4,385,108号、同4,459,347号、特開昭59−195233号、同59−200231号、同59−201045号、同59−201046号、同59−201047号、同59−201048号、同59−201049号、特開昭61−170733号、同61−270744号、同62−948号、同63−234244号、同63−234245号、同63−234246号に記載された基が挙げられる。またこれらハロゲン化銀への吸着基は、プレカーサー化されていてもよい。その様なプレカーサーとしては、特開平2−285344号に記載された基が挙げられる。
【0193】
一般式(D)のR9 またはR12は、置換基としてヒドラジノ基を複数個含んでいてもよく、この時一般式(D)で表される化合物は、ヒドラジノ基に関しての多量体を表し、具体的には例えば特開昭64−86134号、特開平4−16938号、特開平5−197091号、特願平7−351132号、特願平7−351269号、特願平7−351168号、特願平7−351287号、特願平7−351279号に記載された化合物が挙げられる。
【0194】
次に本発明において、特に好ましいヒドラジン誘導体について述べる。
R9 は置換フェニル基が特に好ましく、スルホンアミド基、アシルアミノ基、ウレイド基、またはカルバモイル基を介してバラスト基、ハロゲン化銀への吸着基、4級アンモニオ基を含む基、エチレンオキシ基の繰り返し単位を含む基、アルキル、アリール、またはヘテロ環チオ基、アルカリ性の現像処理液中で解離しうる基(カルボキシル基、スルホ基、アシルスルファモイル基等)、または多量体を形成しうるヒドラジノ基が置換されていることが好ましい。R9 は最も好ましくはベンゼンスルホンアミド基で置換されたフェニル基で、そのベンゼンスルホンアミド基の置換基としては、同じく前述の何れかの基を有することが好ましい。中でも多量体を形成しうるヒドラジノ基が置換されていることが特に好ましい。
G1 は−CO−基または−COCO−基が好ましく、特に−CO−基が好ましい。R12は、G1 が−CO−基の時、水素原子、置換アルキル基または置換アリール基(置換基としては電子吸引性基またはo−ヒドロキシメチル基が好ましい)で、またG1 が−COCO−基の時は置換アミノ基が特に好ましい。
【0195】
一般式(D)で示される化合物の具体例を以下に示す。ただし、本発明は以下の化合物に限定されるものではない。
【0196】
【表13】
【0197】
【表14】
【0198】
【表15】
【0199】
【表16】
【0200】
【表17】
【0201】
【表18】
【0202】
【表19】
【0203】
【表20】
【0204】
【表21】
【0205】
本発明に用いられるヒドラジン誘導体としては、上記のものの他に、下記のヒドラジン誘導体も好ましく用いられる。本発明に用いられるヒドラジン誘導体はまた、下記の特許に記載された種々の方法により、合成することができる。
特公平6−77138号に記載の(化1)で表される化合物で、具体的には同公報3頁、4頁に記載の化合物。特公平6−93082号に記載の一般式(I)で表される化合物で、具体的には同公報8頁〜18頁に記載の1〜38の化合物。特開平6−230497号に記載の一般式(4)、一般式(5)および一般式(6)で表わされる化合物で、具体的には同公報25頁、26頁に記載の化合物4−1〜化合物4−10、28頁〜36頁に記載の化合物5−1〜5−42、および39頁、40頁に記載の化合物6−1〜化合物6−7。特開平6−289520号に記載の一般式(1)および一般式(2)で表される化合物で、具体的には同公報5頁〜7頁に記載の化合物1−1)〜1−17) および2−1)。特開平6−313936号に記載の(化2)および(化3)で表される化合物で、具体的には同公報6頁〜19頁に記載の化合物。特開平6−313951号に記載の(化1)で表される化合物で、具体的には同公報3頁〜5頁に記載の化合物。特開平7−5610号に記載の一般式(I)で表される化合物で、具体的には同公報5頁〜10頁に記載の化合物I−1〜I−38。特開平7−77783号に記載の一般式(II)で表される化合物で、具体的には同公報10頁〜27頁に記載の化合物II−1〜II−102。特開平7−104426号に記載の一般式(H)および一般式(Ha)で表される化合物で、具体的には同公報8頁〜15頁に記載の化合物H−1〜H−44。特願平7−191007号に記載の、ヒドラジン基の近傍にアニオン性基またはヒドラジンの水素原子と分子内水素結合を形成するメニオン性基を有することを特徴とする化合物で、特に一般式(A)、一般式(B)、一般式(C)、一般式(D)、一般式(E)、一般式(F)で表される化合物で、具体的には同公報に記載の化合物N−1〜N−30。特願平7−191007号に記載の一般式(1)で表される化合物で、具体的には同公報に記載の化合物D−1〜D−55。
【0206】
本発明のヒドラジン系造核剤は、適当な水混和性有機溶媒、例えばアルコール類(メタノール、エタノール、プロパノール、フッ素化アルコール)、ケトン類(アセトン、メチルエチルケトン)、ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、メチルセルソルブなどに溶解して用いることができる。
また、既によく知られている乳化分散法によって、ジブチルフタレート、トリクレジルフォスフェート、グリセリルトリアセテートあるいはジエチルフタレートなどのオイル、酢酸エチルやシクロヘキサノンなどの補助溶媒を用いて溶解し、機械的に乳化分散物を作製して用いることができる。あるいは固体分散法として知られている方法によって、ヒドラジン誘導体の粉末を水の中にボールミル、コロイドミル、あるいは超音波によって分散し用いることができる。
【0207】
本発明のヒドラジン造核剤は、支持体に対してハロゲン化銀乳剤層側の該ハロゲン化銀乳剤層あるいは他の親水性コロイド層のどの層に添加してもよいが、該ハロゲン化銀乳剤層あるいはそれに隣接する親水性コロイド層に添加することが好ましい。
本発明の造核剤添加量はハロゲン化銀1モルに対し1×10−6〜1×10−2モルが好ましく、1×10−5〜5×10−3モルがより好ましく、2×10−5〜5×10−3モルが最も好ましい。
【0208】
ハロゲン化銀写真感光材料には、ハロゲン化銀乳剤層またはその他のの親水性コロイド層中に、下記一般式(E)、(F)、(G)、(H)で表されるオニウム塩化合物、またはアミノ化合物の少なくとも一種を造核促進剤として含有することが好ましい。
一般式(E)
【0209】
【化47】
【0210】
式中、R10、R20、R30はアルキル基、シクロアルキル基、アラルキル基、アリール基、アルケニル基、シクロアルケニル基、アルキニル基、ヘテロ環基を表し、Qは窒素原子またはリン原子を表す。LはQ+ とその炭素原子で結合するm価の有機基を表し、ここにmは1から4の整数を表す。X3 1−はl価の対アニオンを表し、ここにlは1から3の整数を表す。但しR10、R20、R30またはLが、その置換基にアニオン基を有し、Q+ と分子内塩を形成する場合、X3 1−は必要ない。
一般式(F)
【0211】
【化48】
【0212】
一般式(G)
【0213】
【化49】
【0214】
式中、A3 、A4 、A5 、A6 は4級化された窒素原子を含む、置換もしくは無置換の不飽和ヘテロ環を完成させるための有機残基を表す。B、Cはそれぞれ、アルキレン、アリーレン、アルケニレン、アルキニレン、−SO2 −、−SO−、−O−、−S−、−N(RN)−、−C=O−、−P=O−を単独または組み合わせて構成される2価の連結基を表す。ただし、RNは水素原子、アルキル基、アリール基、アラルキル基を表わす。R14、R15は各々アルキル基、アラルキル基を表す。
X3 1−はl価の対アニオンを表し、ここにlは1から3の整数を表す。但し分子内塩を形成しうる場合、X3 1−は必要ない。
一般式(H)
【0215】
【化50】
【0216】
式中Z2 は、4級化された窒素原子を含む、置換もしくは無置換の不飽和ヘテロ環を完成させるための有機残基を表す。R16はアルキル基、アラルキル基を表す。X3 1−はl価の対アニオンを表し、ここにlは1から3の整数を表す。但し分子内塩を形成しうる場合、X3 1−は必要ない。
【0217】
本発明に用いられる一般式(E)、(F)、(G)および(H)で表されるオニウム塩化合物について、以下詳細に説明する。
まず一般式(E)について、詳細に説明する。
【0218】
【化51】
【0219】
式中R10、R20、R30はアルキル基、シクロアルキル基、アラルキル基、アリール基、アルケニル基、シクロアルケニル基、アルキニル基、ヘテロ環基を表わし、これらはさらに置換基を有していてもよい。Qはリン原子または窒素原子を表す。
LはQ+ とその炭素原子で結合するm価の有機基を表わし、ここにmは1から4の整数を表す。X3 1−はl価の対アニオンを表わし、lは1から3の整数を表す。但しR10、R20、R30またはLが、その置換基にアニオン基を有し、Q+ と分子内塩を形成する場合、X3 1−は必要ない。
R10、R20、R30で表わされる基の例としては、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、オクチル基、2−エチルヘキシル基、ドデシル基、ヘキサデシル基、オクタデシル基などの直鎖又は分枝状のアルキル基;置換もしくは無置換のベンジル基などのアラルキル基;シクロプロピル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基などのシクロアルキル基;フェニル基、ナフチル基、フェナントリル基などのアリール基;アリル基、ビニル基、5−ヘキセニル基、などのアルケニル基;シクロペンテニル基、シクロヘキセニル基などのシクロアルケニル基;フェニルエチニル基等のアルキニル基;ピリジル基、キノリル基、フリル基、イミダゾリル基、チアゾリル基、チアジアゾリル基、ベンゾトリアゾリル基、ベンゾチアゾリル基、モルホリル基、ピリミジル基、ピロリジル基などのヘテロ環基が挙げられる。
これらの基上に置換した置換基の例としては、R10、R20、R30で表わされる基の他に、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子などのハロゲン原子、ニトロ基、(アルキルもしくはアリール)アミノ基、アルコキシ基、アリールオキシ基、(アルキルまたはアリール)チオ基、カルボンアミド基、カルバモイル基、スルホンアミド基、スルファモイル基、ヒドロキシル基、スルホキシ基、スルホニル基、カルボキシル基(カルボキシラートを含む)、スルホン酸基(スルホナトートを含む)、シアノ基、オキシカルボニル基、アシル基等が挙げられる。
Lで表わされる基の例としては、mが1を表す時、R10、R20、R30と同義の基が挙げられるが、この他にmが2以上の整数を表す時、トリメチレン基、テトラメチレン基、ヘキサメチレン基、ペンタメチレン基、オクタメチレン基、ドデカメチレン基などのポリメチレン基、フェニレン基、ビフェニレン基、ナフチレン基などのアリーレン基、トリメチレンメチル基、テトラメチレンメチル基などの多価アルキレン基、フェニレン−1,3,5−トルイル基、フェニレン−1,2,4,5−テトライル基などの多価アリーレン基などが挙げられる。
X3 1−で表わされる対アニオンの例としては、塩素イオン、臭素イオン、ヨウ素イオンなどのハロゲンイオン、アセテートイオン、オキサレートイオン、フマレートイオン、ベンゾエートイオンなどのカルボキシレートイオン、p−トルエンスルホネート、メタンスルホネート、ブタンスルホネート、ベンゼンスルホネートなどのスルホネートイオン、硫酸イオン、過塩素酸イオン、炭酸イオン、硝酸イオン等が挙げられる。
一般式(E)において、R10、R20、R30は好ましくは炭素数20以下の基であり、Qがリン原子を表す時、炭素数15以下のアリール基が特に好ましく、Qが窒素原子を表す時、炭素数15以下のアルキル基、アラルキル基、アリール基が特に好ましい。mは1または2が好ましく、mが1を表わす時、Lは好ましくは炭素数20以下の基であり、総炭素数15以下のアルキル基、アラルキル基、またはアリール基が特に好ましい。mが2を表わす時、Lで表わされる2価の有機基は、好ましくはアルキレン基、アリーレン基、アラルキレン基、さらにこれらの基と−CO−基、−O−基、−N(RN′)−基(RN′は水素原子またはR10、R20、R30と同義の基を表わし、分子内に複数のRN′が存在する時、これらは同じであっても異なっていても良く、さらには互いに結合していても良い)、−S−基、−SO−基、−SO2 −基を組み合わせて形成される2価の基である。mが2を表わす時、Lはその炭素原子でQ+ と結合する総炭素数20以下の2価の基であることが好ましい。mが2以上の整数を表わす時、分子内にR10、R20、R30はそれぞれ複数存在するが、その複数のR10、R20、R30はそれぞれ同じであっても異なっていても良い。
X3 1−で表わされる対アニオンとしては、ハロゲンイオン、カルボキシレートイオン、スルホネートイオン、硫酸イオンが好ましく、lは1または2が好ましい。
本発明の一般式(E)で表わされる化合物の多くのものは公知であり、試薬として市販のものである。一般的合成法としては、Qがリン原子の時、ホスフィン酸類をハロゲン化アルキル類、スルホン酸エステルなどのアルキル化剤と反応させる方法:あるいはホスホニウム塩類の対陰イオンを常法により交換する方法がある。またQが窒素原子の時、1級、2級、もしくは3級のアミノ化合物をハロゲン化アルキル類、スルホン酸エステル等のアルキル化剤と反応させる方法がある。
一般式(E)で表わされる化合物の具体例を以下に示す。但し、本発明は以下の化合物に限定されるものでなはい。
【0220】
【化52】
【0221】
【化53】
【0222】
【化54】
【0223】
【化55】
【0224】
【化56】
【0225】
【化57】
【0226】
次に一般式(F)および一般式(G)について更に詳細に説明する。
【0227】
【化58】
【0228】
式中、A3 、A4 、A5 、A6 は4級化された窒素原子を含む、置換もしくは無置換の不飽和ヘテロ環を完成させるための有機残基を表わし、炭素原子、水素原子、酸素原子、窒素原子、硫黄原子を含んでもよく、更にベンゼン環が縮環してもかまわない。A3 、A4 、A5 、A6 が形成する不飽和ヘテロ環の例としては、ピリジン環、キノリン環、イソキノリン環、イミダゾール環、チアゾール環、チアジアゾール環、ベンゾトリアゾール環、ベンゾチアゾール環、ピリミジン環、ピラゾール環などを挙げることができる。特に好ましくは、ピリジン環、キノリン環、イソキノリン環である。
B、Cで表わされる2価の基は、アルキレン、アリーレン、アルケニレン、アルキニレン、−SO2 −、−SO−、−O−、−S−、−N(RN)−、−C=O−、−P=O−を単独または組合せて構成されるものが好ましい。ただし、RNはアルキル基、アラルキル基、アリール基、水素原子を表わす。特に好ましい例として、B、Cはアルキレン、アリーレン、−C=O−、−O−、−S−、−N(RN)−を単独または組合せて構成されるものを挙げることができる。
R14、R15は炭素数1〜20のアルキル基が好ましく、各々同じでも異なっていてもよい。アルキル基に置換基が置換してもよく、置換基としては、ハロゲン原子(例えば、塩素原子、臭素原子)、置換あるいは無置換のアルキル基(例えば、メチル基、ヒドロキシエチル基など)、置換あるいは無置換のアリール基(例えば、フェニル基、トリル基、p−クロロフェニル基など)、置換あるいは無置換のアシル基(例えば、ベンゾイル基、p−ブロモベンゾイル基、アセチル基など)、(アルキルもしくはアリール)オキシカルボニル基、スルホ基(スルホナートを含む)、カルボキシ基(カルボキシラートを含む)、ヒドロキシ基、アルコキシ基(例えば、メトキシ基、エトキシ基など)、アリールオキシ基、カルボンアミド基、スルホンアミド基、スルファモイル基、カルバモイル基、ウレイド基、チオウレイド基(アルキルもくしはアリール)アミノ基、シアノ基、ニトロ基、アルキルチオ基、アリールチオ基等が挙げられる。
特に好ましくは、R14、R15は各々炭素数1〜10のアルキル基である。好ましい置換基の例として、カルバモイル基、オキシカルボニル基、アシル基、アリール基、スルホ基(スルホナートを含む)、カルボキシ基(カルボキシラートを含む)、ヒドロキシ基を挙げることができる。
A3 、A4 、A5 、A6 は4級化された窒素原子と共に形成する不飽和ヘテロ環は、置換基を有していてもよい。この場合の置換基の例としては、上記にR14、R15のアルキル基の置換基として挙げた置換基から選ばれる。置換基として好ましくは、炭素数0〜10のアリール基、アルキル基、カルバモイル基、(アルキルもしくはアリール)アミノ基、オキシカルボニル基、アルコキシ基、アリールオキシ基、(アルキルもしくはアリール)チオ基、ヒドロキシ基、カルボンアミド基、スルホンアミド基、スルホ基(スルホナートを含む)、カルボキシ基(カルボキシラートを含む)等が挙げられる。
X3 l−で表わされる対アニオンについては、一般式(E)と同じものであり、その好ましい範囲もまた同じである。
【0229】
本発明の化合物は、一般によく知られた方法により容易に合成することができるが、以下の文献が参考になる。(参照、Quart.Rev., 16, 163(1962).)
一般式(F)及び一般式(G)の具体的化合物を以下に示すが、本発明はこれに限定されるものではない。
【0230】
【化59】
【0231】
【化60】
【0232】
【化61】
【0233】
【化62】
【0234】
次に一般式(H)について更に詳細に説明する。
【0235】
【化63】
【0236】
Z2 を含む含窒素不飽和ヘテロ環は、窒素原子の他に炭素原子、水素原子、酸素原子、硫黄原子を含んでいてもよく、さらにベンゼン環が縮環していてもよく、また置換基を有していてもよい。形成されるヘテロ環の例としては、一般式(F)および一般式(G)のA3 、A4 、A5 、A6 が形成する含窒素不飽和ヘテロ環の例と同じものが挙げられる。好ましい範囲もまた同じであり、ピリジン環、キノリン環、イソキノリン環が好ましい。
Z2 を含む含窒素不飽和ヘテロ環が置換基を有する時、その置換の例は一般式(F)および一般式(G)のA3 、A4 、A5 、A6 が形成する含窒素不飽和ヘテロ環が有していてもよい置換基の例と同じものが挙げられ、好ましい範囲もまた同じである。
R16はアルキル基またはアラルキル基を表すが、これらは炭素数1〜20で、置換もしくは無置換で、さらに直鎖もしくは分枝、或いは環状であってもよい。その置換基としては、一般式(F)のR14、R15で表されるアルキル基が有していてもよい置換基の例と同じものが挙げられ、好ましい範囲もまた同じである。X3 l−で表われる対アニオンについては、一般式(E)と同じものであり、その好ましい範囲もまた同じである。
【0237】
本発明の一般式(H)で表される化合物は、一般によく知られた方法により容易に合成することができるが、以下の文献が参考になる。(参照、Quart.Rev., 16, 163(1962).)
次に本発明の一般式(H)で表される化合物の具体例を以下に示すが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0238】
【化64】
【0239】
【化65】
【0240】
造核促進剤として、本発明に好ましく用いられるアミノ化合物としては、以下に示す化合物が用いられる。
【0241】
特開平7−84331号に記載の(化21)、(化22)および(化23)で表される化合物で、具体的には同公報6頁〜8頁に記載の化合物。特開平7−104426号に記載の一般式〔Na〕で表される化合物で、具体的には同公報16頁〜20頁に記載のNa−1〜Na−22の化合物。特願平7−37817号に記載の一般式(1)、一般式(2)、一般式(3)、一般式(4)、一般式(5)、一般式(6)および一般式(7)で表される化合物で、具体的には同明細書に記載の1−1〜1−19の化合物、2−1〜2−22の化合物、3−1〜3−36の化合物、4−1〜4−5の化合物、5−1〜5−41の化合物、6−1〜6−58の化合物および7−1〜7−38の化合物。
【0242】
本発明の造核促進剤は、適当な水混和性有機溶媒、例えばアルコール類(メタノール、エタノール、プロパノール、フッ素化アルコール)、ケトン類(アセトン、メチルエチルケトン)、ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、メチルセルソルブなどに溶解して用いることができる。
また、既によく知られている乳化分散法によって、ジブチルフタレート、トリクレジルフォスフェート、グリセリルトリアセテートあるいはジエチルフタレートなどのオイル、酢酸エチルやシクロヘキサノンなどの補助溶媒を用いて溶解し、機械的に乳化分散物を作製して用いることができる。あるいは固体分散法として知られている方法によって、造核促進剤の粉末を水の中にボールミル、コロイドミル、あるいは超音波によって分散し用いることができる。
【0243】
本発明の造核促進剤は、支持体に対してハロゲン化銀乳剤層側の該ハロゲン化銀乳剤層あるいは他の親水性コロイド層のどの層に添加してもよいが、該ハロゲン化銀乳剤層あるいはそれに隣接する親水性コロイド層に添加することが好ましい。
本発明の造核促進剤添加量はハロゲン化銀1モルに対し1×10−6〜2×10−2モルが好ましく、1×10−5〜2×10−2モルがより好ましく、2×10−5〜1×10−2モルが最も好ましい。
【0244】
更に超硬調システムにおいては、現像抑制剤を放出するレドックス化合物を併用することができる。このレドックス化合物としては特開平2−293,736号、同2−308,239号、特開平1−154060号、同1−205885号等に記載の化合物を用いることができる。その使用量はハロゲン化銀1モル当り1×10−6〜5×10−2モル、特に1×10−5モル〜1×10−2モルの範囲で用いるのが好ましい。
【0245】
感光材料の写真乳剤層または他の親水性コロイド層には塗布助剤、帯電防止、スベリ性改良、乳化分散、接着防止及び写真特性改良(例えば、現像促進、硬調化、増感)等種々の目的で、種々の界面活性剤を含んでもよい。
例えばサポニン(ステロイド系)、アルキレンオキサイド誘導体(例えばポリエチレングリコール、ポリエチレングリコール/ポリプロピレングリコール縮合物、ポリエチレングリコールアルキルエーテル類又はポリエチレングリコールアルキルアリールエーテル類、ポリエチレングリコールエステル類、ポリエチレングリコールソルビタンエステル類、ポリアルキレングリコールアルキルアミン又はアミド類、シリコーンのポリエチレンオキサイド付加物類)、グリシドール誘導体(例えばアルケニルコハク酸ポリグリセリド、アルキルフェノールポリグリセリド)、多価アルコールの脂肪酸エステル類、糖のアルキルエステル類などの非イオン性界面活性剤;アルキルカルボン酸塩、アルキルスルフォン酸塩、アルキルベンゼンスルフォン酸塩、アルキルナフタレンスルフォン酸塩、アルキル硫酸エステル類、アルキルリン酸エステル類、N−アシル−N−アルキルタウリン類、スルホコハク酸エステル類、スルホアルキルポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル類、ポリオキシエチレンアルキルリン酸エステル類などのような、カルボキシ基、スルホ基、ホスホ基、硫酸エステル基、リン酸エステル基等の酸性基を含むアニオン界面活性剤;アミノ酸類、アミノアルキルスルホン酸類、アミノアルキル硫酸又はリン酸エステル類、アルキルベタイン類、アミノオキシド類などの両性界面活性剤;アルキルアミン塩類、脂肪族あるいは芳香族第4級アンモニウム塩類、ピリジニウム、イミダゾリウムなどの複素環第4級アンモニウム塩類、及び脂肪族又は複素環を含むホスホニウム又はスルホニウム塩類などのカチオン界面活性剤を用いることができる。
【0246】
写真乳剤の結合剤または保護コロイドとしては、ゼラチンを用いるのが有利であるが、それ以外の親水性コロイドも用いることができる。たとえばゼラチン誘導体、ゼラチンと他の高分子とのグラフトポリマー、アルブミン、カゼイン等の蛋白質ヒドロキシエチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、セルロース硫酸エステル類等の如きセルロース誘導体、アルギン酸ソーダ、澱粉誘導体などの糖誘導体、ポリビニルアルコール、ポリビニルアルコール部分アセタール、ポリ−N−ビニルピロリドン、ポリアクリル酸、ポリメタクリル酸、ポリアクリルアミド、ポリビニルイミダゾール、ポリビニルピラゾール等の単一あるいは共重合体の如き多種の合成親水性高分子物質を用いることができる。
ゼラチンとしては石灰処理ゼラチンのほか、酸処理ゼラチンを用いてもよく、ゼラチン加水分解物、ゼラチン酵素分解物も用いることができる。
【0247】
乳剤層中又はその他へ親水性コロイド層中に現像処理工程に於て流出するような有機物質を含有せしめることが特にX−レイ感材においては好ましい。流失する物質がゼラチンの場合は硬膜剤によるゼラチンの架橋反応にかかわらないゼラチン種が好ましく、たとえばアセチル化ゼラチンやフタル化ゼラチンなどがこれに該当し、分子量は小さいものが好ましい。一方、ゼラチン以外の高分子物質としては米国特許第3,271,158号に記載されているようなポリアクリルアミド、あるいはまたポリビニールアルコール、ポリビニルピロリドンなどの親水性ポリマーが有効に用いることができ、デキストランやサッカロース、プルラン、などの糖類も有効である。中でもポリアクリルアミドやデキストランが好ましく、ポリアクリルアミドは特に好ましい物質である。これらの物質の平均分子量は好ましくは2万以下、より好ましくは1万以下が良い。処理での流出量は、ハロゲン化銀粒子以外の塗布された有機物質の総重量の10%以上、50%以下が有効で、好ましくは15%以上、30%以下消失することが好ましい。
処理で流出する有機物質を含有する層は乳剤層でも表面保護層でもよいが、該有機物質の塗布総量が同一の場合は乳剤層だけに含有させたものよりも、表面保護層と乳剤層に含有させたほうが好ましく、さらに表面保護層のみに含有させたほうが、より好ましい。乳剤層が多層構成の感材では、該、有機物質の塗布総量が同一の場合、より表面保護層に近い乳剤層に多く含有させたほうが好ましい。
【0248】
帯電防止剤としては、特に特開昭62−109044号、同62−215272号に記載の含フッ素界面活性剤あるいは重合体、特開昭60−76742号、同60−80846号、同60−80848号、60−80839号、同60−76741号、同58−208743号、同62−172343号、同62−173459号、同62−215272号などに記載されているノニオン系界面活性剤、あるいは又、特開昭57−204540号、同62−215272号に記載されている導電性ポリマー又はラテックス(ノニオン性、アニオン性、カチオン性、両性)を好ましく用いうる。又無機系帯電防止剤としては、特開昭57−118242号などに記載の導電性酸化スズ、酸化亜鉛又はこれらの金属酸化物にアンチモン等をドープした複合酸化物を好ましく用いることができる。
【0249】
マット剤として米国特許第2992101号、同2701245号、同4142894号、同4396706号に記載の如きポリメチルメタクリレートのホモポリマー又はメチルメタクリレートとメタクリル酸とのコポリマー、デンプンなどの有機化合物、シリカ、二酸化チタン、硫酸、ストロンチウムバリウム等の無機化合物の微粒子を用いることができる。粒子サイズとしては1.0〜10μm、特に2〜5μmであることが好ましい。
【0250】
ハロゲン化銀写真感光材料は、特定の波長域の光を吸収させる目的、すなわちハレーションやイラジエーションをしたり、フィルター層を設け写真乳剤層に入射すべき光の分光組成を制御したりする目的で、写真乳剤層またはその他の層に染料またはコロイド銀を添加してもよい。直接医療用レントゲンフィルムのような両面フィルムにおいては、クロスオーバーカットを目的とする層を乳剤層の下に設けてもよい。この様な染料には、ピラゾロン核やバルビツール酸核を有するオキソノール染料、アゾ染料、アゾメチン染料、アントラキノン染料、アリーリデン染料、スチリル染料、トリアリールメタン染料、メロシアニン染料、シアニン染料などが挙げられる。染料について、さらに詳しく説明する。
【0251】
この様な染料には、例えば英国特許第506,385号、同1,177,429号、同1,131,884号、同1,338,799号、同1,385,371号、同1,467,214号、同1,438,102号、同1,553,516号、特開昭48−85130号、同49−114420号、同52−117123号、同55−161233号、同59−111640号、特公昭39−22069号、同43−13168号、同62−273527号、米国特許第3,247,127号、同3,469,985号、同4,078,933号等に記載されたピラゾロン核やバルビツール核やバルビツール酸核を有するオキソノール染料、米国特許第2,533,472号、同3,379,533号、英国特許第1,278,621号、特開平1−134447号、同1−183652号等記載されたその他のオキソノール染料、英国特許第575,691号、同680,631号、同599,623号、同786,907号、同907,125号、同1,045,609号、米国特許第4,255,326号、特開昭59−211043号等に記載されたアゾ染料、特開昭50−100116号、同54−118247号、英国特許第2,014,598号、同750,031号等に記載されたアゾメチン染料、米国特許第2,865,752号に記載されたアントラキノン染料、米国特許第2,538,009号、同2,688,541号、同2,538,008号、英国特許第584,609号、同1,210,252号、特開昭50−40625号、同51−3623号、同51−10927号、同54−118247号、特公昭48−3286号、同59−37303号、欧州特許第280252号等に記載されたアリーリデン染料、特公昭28−3082号、同44−16594号、同59−28898号等に記載されたスチリル染料、英国特許第446,538号、同1,335,422号、特開昭59−228250号等に記載されたトリアリールメタン染料、英国特許第1,075,653号、同1,153,341号、同1,284,730号、同1,475,228号、同1,542,807号等に記載されたメロシアニン色素、米国特許第2,843,486号、同3,294,539号、特開昭62−123454号、特開平1−291247号等に記載されたシアニン染料などが挙げられる。
【0252】
これらの染料の拡散を防ぐために、以下の方法が挙げられる。例えば、染料にバラスト基を入れて耐拡散性にする。
また、例えば解離したアニオン染料と反対の電荷をもつ親水性ポリマーを媒染剤として層に共存させ、染料分子との相互作用によって染料を特定層中に局在化させる方法が、米国特許2,548,564号、同4,124,386号、同3,625,694号等に開示されている。
このような親水性ポリマーとしてはアニオン変換ポリマーが好ましい。アニオン変換ポリマーとしては既知の各種の四級アンモニウム塩(又はホスホニウム塩)ポリマーが使える。四級アンモニウム塩(又はホスホニウム塩)ポリマーは、媒染剤ポリマーや帯電防止剤ポリマーとして広く次にあげる刊行物などで知られている。特開昭59−166940、米国特許第3,958,995、特開昭55−142339、特開昭54−126027、特開昭54−155835、特開昭53−30328、特開昭54−92274に記載されている水分散ラテックス;米国特許第2,548,564、同3,148,061、同3,756,814に記載のポリビニルピリジニウム塩;米国特許第3,709,690に記載の水溶性四級アンモニウム塩ポリマー;米国特許第3,898,088に記載の水不溶性四級アンモニウム塩ポリマーなどがあげられる。
さらに所望の層から他の層にまたは処理液中に移動し、写真的に好ましからざる影響を及ぼさないため、エチレン性不飽和基を少くとも2以上(好ましくは2〜4)有するモノマーを共重合させ、架橋された水性ポリマーラテックスにして用いることが特に好ましい。
【0253】
さらに、水に不溶性の染料固体を用いて特定層を染色する方法が、特開昭56−12639号、同55−155350号、同55−155351号、同63−27838号、同63−197943号、特開平2−297543号、同3−167546号、同4−127143号、欧州特許第15,601号、国際特許WO88/04794号等に開示されている。
また、染料が吸着した金属塩微粒子を用いて特定層を染色する方法が米国特許第2,719,088号、同2,496,841号、同2,496,843号、特開昭60−45237号等に開示されている。
【0254】
感光材料には、感光材料の製造工程、保存中あるいは写真処理中のカブリを防止しあるいは写真性能を安定化させる目的で、種々の化合物を含有させることができる。すなわちアゾール類たとえばベンゾチアゾリウム塩、ニトロインダゾール類、クロロベンズイミダゾール類、ブロモベンズイミダゾール類、メルカプトテトラゾール類、メルカプトチアゾール類、メルカプトベンゾチアゾール類、メルカプトチアジアゾール類、アミノトリアゾール類、ベンゾチアゾール類、ニトロベンゾトリアゾール類、など;メルカプトピリミジン類;メルカプトトリアジン類;たとえばオキサゾリンチオンのようなチオケト化合物;アザインデン類、たとえばトリアザインデン類、テトラアザイデン類(特に4−ヒドロキシ置換(1,3,3a,7)テトラアザインデン類)、ペンタアザインデン類など;ベンゼンチオスルフォン酸、ベンゼンスルフィン酸、ベンゼンスルフォン酸アミド等のようなカブリ防止剤または安定剤として知られた多くの化合物を加えることができる。これらのものの中で、好ましくはベンゾトリアゾール(例えば、5−メチル−ベンゾトリアゾール)及びニトロインダゾール類(例えば5−ニトロインダゾール)である。また、これらの化合物を処理液に含有させてもよい。さらに特開昭62−30243に記載の現像中に抑制剤を放出するような化合物を、安定剤あるいは黒ポツ防止の目的で含有させることができる。
【0255】
写真感光材料には安定剤、促進剤等種々の目的でハイドロキノン誘導体、フェニドン誘導体などの現像主薬を含有することができる。
写真感光材料には、写真乳剤層その他の親水性コロイド層に無機または有機の硬膜剤を含有してよい。例えばクロム塩(クロムミヨウバン、酢酸クロムなど)、アルデヒド類、(ホルムアルデヒド、グルタールアルデヒドなど)、N−メチロール化合物(ジメチロール尿素など)、ジオキサン誘導体、活性ビニル化合物(1,3,5−トリアクリロイル−ヘキサヒドロ−s−トリアジン、1,3−ビニルスルホニル−2−プロパノールなど)、活性ハロゲン化合物(2,4−ジクロロ−6−ヒドロキシ−s−トリアジンなど)、ムコハロゲン酸類(ムコクロル酸など)、などを単独または組み合わせて用いることができる。
【0256】
写真感光材料には、写真乳剤層その他の親水性コロイド層に現像時画像の濃度に対応して、現像抑制剤を放出するハイドロキノン誘導体(いわゆる、DIR−ハイドロキノン)を含有してもよい。
それらの具体例は米国特許第3,379,529号、米国特許第3,620,746号、米国特許第4,377,634号、米国特許第4,332,878号、特開昭49−129,536号、特開昭54−67,419号、特開昭56−153,336号、特開昭56−153,342号、特開昭59−278,853号、同59−90435号、同59−90436号、同59−138808号などに記載の化合物を挙げることができる。
【0257】
感光材料には寸度安定性の目的で水不溶または難溶性合成ポリマーの分散物を含むことができる。たとえばアルキル(メタ)アクリレート、アルコキシアクリル(メタ)アクリレート、グリシジル(メタ)アクリレート、などの単独もしくは組合わせ、またはこれらとアクリル酸、メタアクリル酸、などの組合せを単量体成分とするポリマーを用いることができる。
【0258】
写真感光材料のハロゲン化銀乳剤層及びその他の層には酸基を有する化合物を含有することが好ましい。酸基を有する化合物としてはサリチル酸、酢酸、アスコルビン酸等の有機酸及びアクリル酸、マレイン酸、フタル酸の如き酸モノマーをくり返し単位として有するポリマー又はコポリマーを挙げることができる。これらの化合物に関しては特開昭61−223834号、同61−228437号、同62−25745号、及び同62−55642号明細書の記録を参考にすることができる。これらの化合物の中でも特に好ましいのは、低分子化合物としてはアスルコルビン酸であり、高分子化合物としてはアクリル酸の如き酸モノマーとジビニルベンゼンの如き2個以上の不飽和基を有する架橋性モノマーからなるコポリマーの水分散性ラテックスである。
【0259】
この様にして製造されたハロゲン化銀乳剤はセルロースアセテートフィルム、ポリエチレンテレフタレートフィルムなどの支持体にディップ法、エアーナイフ法、ビード法、エクストルージョンドクター法、両面塗布法などによって塗布乾燥される。
【0260】
感光材料に用いられる支持体には、α−オレフィンポリマ−(例えばポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン/ブテン共重合体)等をラミネ−トした紙、合成紙の可撓性支持体、金属などが含まれる。中でも、ポリエチレンテレフタレ−トが特に好ましい。本発明に用いることので切る下引き層としては特開昭9−3972号記載のポリヒドロキシベンゼン類和含む有機溶剤系での下引き加工層、特開昭49−11118号、同52−10491号等に記載の水系ラテックス下引き加工層が挙げられる。又、該下引き層は通常、表面を科学的ないし物理的に処理することができる。該処理としては薬品処理、機械委処理、コロナ放電処理、などの表面活性化処理が挙げられる。
【0261】
本発明はまたカラー感光材料にも利用できる。この場合には種々のカラーカプラーを使用することができる。ここでカラーカプラーとは、芳香族第一級アミン現像薬の酸化体とカップリング反応して色素を生成しうる化合物をいう。有用なカラーカプラーの典型例には、ナフトールもしくはフェノール系化合物、ピラゾロンもしくはピラゾロアゾール系化合物および開鎖もしくは複素環のケトメチレン化合物がある。本発明で使用しうるこれらのシアン、マゼンタおよびイエローカプラーの具体例はリサーチ・ディスクロージャー(RD)17643(1978年12月)VII −D項および同18717(1979年11月)に引用された特許に記載されている。
【0262】
本発明の感光材料に用いられる各種添加剤に関しては、特に制限はなく、例えば下記箇所に記載されたものを好ましく用いることができる。
【0263】
特開平3−39948号公報第10頁右下11行目から同公報第12頁左下5行目に記載のポリヒドロキシベンゼン化合物。具体的には、同公報に記載の化合物(III) −1〜25の化合物。
【0264】
特開平1−118832号公報に記載の一般式(I)で表される実質的には可視域に吸収極大を持たない化合物。具体的には、同公報に記載の化合物I−1〜I−26の化合物。
【0265】
特開平2−103536号公報第17頁右下19行目から同公報18頁右上4行目に記載のかぶり防止剤。
【0266】
特開平2−103536号公報第18頁左下12行目から同頁左下20行目に記載のポリマーラテックス。
【0267】
特開平2−103536号公報第19頁左上15行目から同公報19頁右上15行目に記載のマット剤、滑り剤、可塑剤。
【0268】
特開平2−103536号公報第18頁右上5行目から同頁右上17行目に記載の硬膜剤。
【0269】
特開平2−103536号公報第18頁右下6行目から同公報19頁左上1行目に記載の酸基を有する化合物。
【0270】
特開平2−18542号公報第2頁左下13行目から同公報第3頁右上7行目に記載の導電性物質。具体的には、同公報第2頁右下2行目から同頁右下10行目に記載の金属酸化物、および同公報に記載の化合物P−1〜P−7の導電性高分子化合物。
【0271】
特開平2−103536号公報第17頁右下1行目から同頁右上18行目に記載の水溶性染料。
【0272】
特開平2−294638号公報及び特願平3−185773号に記載の固体分散染料。
【0273】
特開平2−12236号公報第9頁右上7行目から同頁右下3行目に記載の界面活性剤。特開平2−103536号公報第18頁左下4行目から同頁左下7行目に記載のPEG系界面活性剤。特開平3−39948号公報第12頁左下6行目から同公報第13頁右下5行目に記載の含弗素界面活性剤。具体的には、同公報に記載の化合物VI−1〜VI−15の化合物。
特開平5−274816号公報に記載の酸化されることにより現像抑制剤を放出しうるレドックス化合物。好ましくは同公報に記載の一般式(R−1)、一般式(R−2)、一般式(R−3)で表されるレドックス化合物。具体的には、同公報に記載の化合物R−1〜R−68の化合物。
【0274】
特開平2−18542号公報第3頁右下1行目から20行目に記載のバインダー。
【0275】
本発明の実施に際して用いうる支持体としては、例えばバライタ紙、ポリエチレン被覆紙、ポリプロピレン合成紙、ガラス板、セルロースアセテート、セルロースナイトレート、例えばポリエチレンテレフタレートなどのポリエステルフィルムを挙げることができる。これらの支持体は、それぞれハロゲン化銀写真感光材料の使用目的に応じて適宜選択される。
【0276】
【実施例】
以下に実施例を挙げ、本発明を更に詳細に説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。
【0277】
グラフィックアーツ用感材での実施例を以下に示す。
性能評価用ハロゲン化銀感光材料の作製
感光材料−1(Arレーザー露光用)
<ハロゲン化銀乳剤の調製>
〔乳剤A〕
硝酸銀水溶液と、臭化カリウムと塩化ナトリウムと銀1モル当たり3.5×10−7モルに相当する K3IrCl6と2.0×10−7モルに相当する K2Rh(H2O)Cl5 を含むハロゲン塩水溶液、塩化ナトリウムと1,3−ジメチル−2−イミダゾリジンチオンを含有するゼラチン水溶液に、攪拌しながらダブルジェット法により添加し、平均粒子サイズ0.25μm、塩化銀含有率70モル%の塩臭化銀粒子を調製した。
【0278】
その後、常法に従って、フロキュレーション法により水洗し、銀1モル当たりゼラチン40gを加え、更に銀1モル当たりベンゼンチオスルホン酸ナトリウム7mgとベンゼンスルフィン酸2mgを加えた後、pH6.0、pAg7.5に調整し、銀1モル当たりセレン増感剤(Se−1)1mg、チオ硫酸ナトリウム1mg、及び、塩化金酸4mgを加えて60℃で最適感度になるように化学増感した。その後、安定剤として4−ヒドロキシ−6−メチル−1,3,3a,7−テトラアザインデン150mgを加え、更に、防腐剤としてプロキセル100mgを加えた。得られた粒子は、平均粒子サイズ0.25μm、塩化銀含有率70モル%の塩臭化銀立方体粒子であった。(変動係数10%)
【0279】
【化66】
【0280】
<塗布試料の作製>
塩化ビニリデン共重合体からなる下塗層(0.5μm)を有するポリエチレンテレフタレートフィルム(150μm)支持体上に、支持体側から、UL、EM、ML、PCの層構成になる様に、塗布し試料を作成した。
以下に各層の調製方法及び塗布量を示す。各塗布液は、ポリスチレンスルホン酸ナトリウムにより、適度な粘度に調整して塗布した。
【0281】
(UL)
ゼラチンに水を加え40℃で溶解した後に、化合物(W)を15mg/m2となる様に添加し、更にゼラチンに対して70wt%のラテックスコポリマー(ブチルアクリレート;アクリル酸;2−アセトアセトキシエチルメタクリレート=80:4:16wt比)、ゼラチンに対して3.0wt%の化合物(B)を添加して、ゼラチン0.3g/m2になるように塗布した。
【0282】
(EM)
前記乳剤−Aを40℃で溶解した後に、増感色素(S−1) を4.5×10−4モル/モルAg、増感色素(S−2)1.5×10−4モル/モルAg、KBr4.5×10−3モル/モルAg、化合物(A)9.0×10−4モル/モルAg、化合物(C)3.2×10−4モル/モルAg、化合物(D)7.0×10−4モル/モルAg、酢酸7.0×10−3モル/モルAg、ハイドロキノン9.7×10−3モル/モルAg、前記ヒドラジン化合物D−2b 1.4×10−4モル/モルAg、前記造核促進剤E−12 2.6×10−4モル/モルAg、更に、ゼラチンに対して15wt%のポリエチルアクリレートラテックス、ゼラチンに対して15wt%のラテックスコポリマー(ブチルアクリレート;アクリル酸;2−アセトアセトキシエチルメタクリレート=80:4:16)、ゼラチンに対して4wt%の化合物(B)を添加してAg3.2g/m2となる様に塗布した。
【0283】
(ML)
ゼラチン溶液に、化合物(E)7mg/m2、ゼラチンに対して15wt%のポリエチルアクリレート、ゼラチンに対して3.5wt%の化合物(B)を添加して、ゼラチンが0.5g/m2となる様にして塗布した。
【0284】
(PC)
ゼラチン溶液に、平均粒子サイズ3.5μmの不定形なSiO2 マット剤40mg/m2、シリコーンオイル20mg/m2および塗布助剤として化合物(F)5mg/m2、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム25mg/m2及び化合物(G)20mg/m2を添加して塗布した。ゼラチンは、0.3g/m2であった。
【0285】
【化67】
【0286】
【化68】
【0287】
またバック層およびバック保護層は次に示す処方にて塗布した。
【0288】
【化69】
【0289】
【0290】
<写真性能評価用露光試料の作成>
488nmピークをもつ干渉フィルター及びステップウェッジを介して、発光時間10−6 secのキセノンフラッシュ光で露光を行った。
<写真性能評価>
1.S1.5 (感度)
−log(O、D1.5 を与えるに必要な露光量の逆数)の相対値で示した。数値が大きいほど感度が高いことを意味する。
2.γ(階調)
γ=光学濃度(3.0−0.3)÷△log E
式中△log Eは、O、D3.0を与えるのに必要な露光量(log E3.0)とO、D0.3を与えるのに必要な露光量(log E0.3)の差を意味する。
3.D0510(Dm)
濃度0.5を与える露光量からlogEで1.0露光量を増やしたところの濃度の値で示した。
感光材料−2(He/Ne、LDレーザー露光用)
<ハロゲン化銀乳剤の調製>
〔乳剤B〕
38℃、pH4.5に保たれた下記の1液に2液と3液を攪拌しながら、同時に24分間にわたって加え、0.18μmの粒子を形成した。続いて下記の4液、5液を8分間にわたって加え、ヨウ化カリウム0.15gを加えて粒子形成を終了した。
その後、常法に従って、フロキュレーション法により水洗し、銀1モル当たりゼラチンを加えた後、pH5.2、pAg7.5に調整し、銀1モル当たりチオ硫酸ナトリウム4mgとN,N−ジメチルセレノ尿素2mgと塩化金酸10mg、及び、ベンゼンチオスルホン酸ナトリウム4mgとベンゼンスルフィン酸1mgを添加し、55℃にて最適感度となる様に化学増感した。
更に、安定剤として4−ヒドロキシ−6−メチル−1,3,3a,7−テトラアザインデン50mg、防腐剤としてフェノキシエタノールを100ppmになるように添加し、最終的に塩化銀含有率70モル%、平均粒子サイズ0.20μmの沃塩臭化銀立方体粒子を得た。(変動係数9%)
【0291】
【0292】
<塗布試料の作製>
Arレーザー露光用試料のEM層を下記の様に変更した他は、Arレーザー用試料と同様にして作製した。
(EM)
前記乳剤−Bをゼラチンと共に40℃で溶解した後に、KBr3.6×10−3モル/モルAg、4−ヒドロキシ−6−メチル−1,3,3a,7−テトラアザインデン7.6×10−4モル/モルAg、増感色素(S−3)2.5×10−4モル/モルAg、又は増感色素(S−4)3.3×10−5モル/モルAg、前記ヒドラジン化合物D−2b 2.0×10−4モル/モルAg、前記造核促進剤E−12 5.7×10−4モル/モルAg、化合物(H)2.5×10−4モル/モルAg、化合物(C)5.0×10−4モル/モルAg、化合物(D)1.6×10−3モル/モルAg、ゼラチンに対して15wt%のコロイダルシリカ、更にゼラチンに対して15wt%のポリエチルアクリレートラテックス、ゼラチンに対して20wt%のラテックスコポリマー(ブチルアクリレート;アクリル酸;2−アセトアセトキシエチルメタクリレート=80:4:16)、及びゼラチンに対して4wt%の化合物(B)を添加して、Ag3.5g/m2となる様にして塗布した。化合物(B)、(C)、(D)は、感光材料−1と同じ物である。
【0293】
【化70】
【0294】
<写真性能評価用露光試料の作成>
633nm又は670nmにピークをもつ干渉フィルター及びステップウェッジを介して、発光時間10−6 secのキセノンフラッシュ光で露光を行なった。
<写真性能評価>
Arレーザー用感材と同様にγ、D0510で評価した。
【0295】
感光材料−3(カメラ撮影用)
<ハロゲン化銀乳剤の調製>
〔乳剤C〕
硝酸銀64gを溶解した硝酸銀水溶液250mlと、完成乳剤の銀1モル当たり2.0×10−7モルに相当する K3IrCl6と1.0×10−7モルに相当する K2Rh(H2O)Cl5 を含む臭化カリウム20gと塩化ナトリウム14gを溶解したハロゲン塩水溶液250mlを、塩化ナトリウム(0.3%)と1,3−ジメチル−2−イミダゾリジンチオン(0.002%)とクエン酸(0.05%)を含有する2%ゼラチン水溶液に、攪拌しながら38℃で12分間ダブルジェット法により添加し、平均粒子サイズ0.16μm、塩化銀含有率55モル%の塩臭化銀粒子を得ることにより核形成を行った。続いて、硝酸銀106gを溶解した硝酸銀水溶液300mlと臭化カリウム28gと塩化ナトリウム26gを溶解したハロゲン塩水溶液300mlをダブルジェット法により12分間かけて添加し粒子形成を行った。
【0296】
その後、銀1モル当たり1.0×10−3モルのKIを加えてコンバージョンを行い、常法に従ってフロキュレーション法により水洗した。そして、銀1モル当たりゼラチン40gを加え、pH6.0、pAg7.5に調整した後、銀1モル当たりベンゼンチオスルホン酸ナトリウム3mg、ベンゼンスルフィン酸1mg、チオ硫酸ナトリウム2mg、セレン増感剤(Se−2)2mg、及び、塩化金酸8mgを加えて60℃で70分間加熱し化学増感した。その後、安定剤として4−ヒドロキシ−6−メチル−1,3,3a,7−テトラアザインデン150mg及び防腐剤としてプロキセル100mgを加えた後、増感色素(S−5)400mgを添加し、10分後降温した。得られた粒子は、平均粒子サイズ0.22μm、塩化銀含有率60モル%の沃塩臭化銀立方体粒子であった。(変動係数10%)
【0297】
【化71】
【0298】
<塗布試料の作製>
両面が塩化ビニリデンを含む防湿下塗りからなるポリエチレンテレフタレートフィルム上に、該支持体側から、Em(銀量2.7g/m2、ゼラチン1.3g/m2)、PCU(ゼラチン0.5g/m2)、PCO(ゼラチン0.4g/m2)となる様に塗布した。得られた試料の乳剤面の膜面pHは5.8であった。
【0299】
(EM)
前記乳剤−Cを溶解した後に、銀1モル当たり、2×10−4モルの下記構造式(a)で表される短波シアニン色素、5×10−3モルの臭化カリウム、2×10−4モルの1−フェニル−5−メルカプトテトラゾール、2×10−4モルの下記構造式(b)で表されるメルカプト化合物、3×10−4モルの下記構造式(c)で表されるトリアジン化合物、3×10−4モルの前記ヒドラジン化合物例D−1b、4.4×10−4モルの前記化合物例E−12で表わされる造核促進剤を添加し、さらに、ハイドロキノン100mg/m2、p−ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム10mg/m2、コロイダルシリカ(日産化学製スノーテックスC)150mg/m2、ポリエチルアクリレートの分散物500mg/m2、1,2−ビス(ビニルスルホニルアセトアミド)エタン80mg/m2塗布されるように加え乳剤層塗布液を調製した。塗布液のpHは5.6に調整した。
【0300】
(PCU)
防腐剤としてプロキセルを含むゼラチン溶液に(d)で表される化合物を10mg/m2、(e)で表される化合物を100mg/m2、ポリエチルアクリレートの分散物を300mg/m2塗布されるように添加し、調製した。
【0301】
(PCO)
防腐剤としてプロキセルを含むゼラチン溶液に(d)で表される化合物を10mg/m2、(e)で表される化合物を100mg/m2、ポリエチルアクリレートの分散物を300mg/m2塗布されるように添加し、さらに、防腐剤としてプロキセルを含むゼラチン溶液に、平均粒子サイズ約3.5μの不定形なSiO2 マット剤50mg/m2、コロイダルシリカ(日産化学製スノーテックスC)100mg/m2、流動パラフィン30mg/m2、塗布助剤として下記構造式(f)で表されるフッ素界面活性剤5mg/m2とp−ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム塩30mg/m2塗布されるように添加し調製した。
【0302】
【化72】
【0303】
またバック層は、次に示す処方にて塗布した。
【0304】
【化73】
【0305】
【0306】
<写真性能評価用露光試料の作成>
タングステン感光計を用い色温度3200°Kのフィルター及びステップウェッジを介して露光を行なった。
<写真性能評価>
Arレーザー用感材と同様にγ、D0510で評価した。
【0307】
感光材料−4(返し用)
<ハロゲン化銀乳剤の調製>
乳剤−D
30℃に保った塩化ナトリウム及び銀1モル当たり3×10−5モルのベンゼンチオスルホン酸ナトリウム、5×10−3モルの4−ヒドロキシ−6−メチル−1,3,3a,7−テトラアザインデンを含むpH2.0の1.5%ゼラチン水溶液中に、硝酸銀水溶液と銀1モル当たり4.0×10−5モルの K2Ru(NO)Cl5を含む塩化ナトリウム水溶液をダブルジェット法により電位95mvにおいて3分30秒間で最終粒子の銀量の半分を同時添加し、芯部の粒子0.10μmを調整した。
その後、硝酸銀水溶液と銀1モル当たり4.0×10−5モルの K2Ru(NO)Cl5を含む塩化ナトリウム水溶液を前述と同様に7分間で添加し、平均粒子サイズ0.13μmの塩化銀粒子を調製した。(変動係数13%)
【0308】
その後、当業界でよく知られたフロキュレーション法により水洗し、可溶性塩を除去した後ゼラチンを加え、防腐剤としてプロキセルを銀1モル当たり60mg加えた後、pH5.7、pAg7.5に調整し、更に銀1モル当たり2×10−5モルのチオ硫酸ナトリウム、1×10−5モルのセレン増感剤(Se−2)、及び、4×10−5モルの塩化金酸を加えて65℃で60分間加熱し化学増感した。その後、安定剤として4−ヒドロキシ−6−メチル−1,3,3a,7−テトラアザインデンを銀1モル当たり1×10−3モル添加した。最終粒子として、pH5.7、pAg7.5、Ru4×10−5モル/Agモルとなった。
【0309】
<塗布試料の作製>
(支持体・下塗層)
二軸延伸したポリエチレンテレフタレート支持体(厚味100μm)の両面の下記組成の下塗層第1層及び第2層を塗布した。
さらに、10重量%のKOHを加え、pH=6に調整した塗布液を乾燥温度180℃2分間で、乾燥膜厚が0.9μになる様に塗布した。
【0310】
この塗布液を乾燥温度170℃2分間で、乾燥膜厚が0.1μになる様に塗布し、下塗層を含む支持体を作製した。
【0311】
【化74】
【0312】
上記支持体上に支持体側からEM、PC、OCの順になる様に同時重層塗布した。以下に各層の調製、方法とその塗布量を示す。
【0313】
(EM)
乳剤−Dに下記化合物を添加し、下塗層を含む下記支持体上にゼラチン塗布量が0.9g/m2、塗布銀量が2.7g/m2となるようにハロゲン化銀乳剤層を塗布した。
【0314】
(PC)
ゼラチン水溶液に下記化合物を添加し、ゼラチン塗布量が0.6g/m2となるように塗布した。
【0315】
(OC)
ゼラチン水溶液に下記化合物を添加し、ゼラチン塗布量が0.45g/m2となるように塗布した。
【0316】
【化75】
【0317】
ついで、支持体の反対側の面に、下記に示す導電層及びバック層(BC)を同時塗布した。
(導電層)
ゼラチン水溶液に下記化合物を添加し、ゼラチン塗布量が0.06g/m2となるように塗布した。
【0318】
(BC)
ゼラチン水溶液に下記化合物を添加し、ゼラチン塗布量が1.94g/m2となるように塗布した。
【0319】
【化76】
【0320】
<写真性能評価用露光試料の作成>
得られた試料を大日本スクリーン(株)社製、明室プリンターP−627FMを用い、ステップウェッジを介して露光した。
<写真性能評価>
Arレーザー用感材の評価と同様にγ、D0510で評価した。
【0321】
本発明に用いた現像液及び定着液処方を下記に示す。
【0322】
【化77】
【0323】
上記の液1リットルに対して水を2リットル加えて使用した。
【0324】
<定着液B>
下記の固形剤と液剤を水を加えて10リットルとする様にして使用液とした。定着液は、下記処方を固形剤部分と液剤部分共に高密度ポリエチレン製(肉厚平均=500μm 、巾としては200〜1000μm )の容器に充填したものを用いた。溶解後の液量が10リットルとし、pH=4.85であった。
【0325】
固形剤パートは混合して充填されている。
【0326】
実施例−1
前記現像液−1のモノールを本発明の一般式(I)または(II) の化合物と等モル入替えた他は、現像液−1と全く同様にして、現像液2〜23を調製した。前記の感光材料−1及び感光材料−3をこれらの現像液で現像処理を行なった。現像処理は、FG−710S自動現像機(富士写真フイルム(株)製)を用いて行ない、現像35℃11秒又は、35℃30秒で処理し、次いで定着、水洗、乾燥を連続して行なった。定着液は、前記定着液Aを用いて行なった。
結果を表22に示す。
【0327】
【表22】
【0328】
表22の結果から、本発明の処理では、いずれも初期現像が速く、かつ、比較の処理No. 101と同様に十分な超硬調な性能が得られる。
【0329】
実施例−2
前記感光材料−2を実施例−1の処理液を用いて、同様に現像処理を行なった結果、実施例−1と同様に、本発明では初期現像が速く、かつ、超硬調な性能が得られた。
【0330】
実施例−3
前記感光材料−4を実施例−1の処理液を用いて、実施例−1と同じ自動現像機を用いて、38℃11秒及び38℃20秒の現像時間で処理し、次いで連続して定着、水洗、乾燥を行なった。定着液は定着液Aを用いた。
結果を表23に示す。
【0331】
【表23】
【0332】
表23の結果から、返し感材の処理においても、本発明の現像液処理では、初期現像が速く、かつ、超硬調な性能が得られる。
【0333】
実施例−4
処理液−1のエリソルビン酸ナトリウムを本発明の化合物A−6、A−7、A−19、A−23、A−37及びA−43に等モルで入れ替え、又、モノールを本発明の一般式(I)または(II) に入れ替えた処理液を調製し、感光材料−1〜感光材料−4を現像処理した結果、前記実施例−1〜3と同様の結果が得られた。
【0334】
実施例−5
実施例−1の定着液Aを定着液Bに替えて処理したところ、実施例−1と同様の結果が得られた。
【0335】
次にX−レイ感材での実施例を以下に示す。
{100}AgCl平板乳剤Aの調製
反応容器にゼラチン水溶液1582μm (ゼラチン−1(メチオニン含率が約40μモル/gの脱イオン化アルカリ処理骨ゼラチン)19.5g、HNO3 1N液7.8mlを含み、pH4.3)、NaCl−1液(100ml中にNaCl 10gを含む)を13ml入れ、温度を40℃に保ちながら、Ag−1液(100ml中にAgNO3 20gを含む)とX−1液(100ml中にNaCl 7.05gを含む)を62.4ml/分で15.6mlずつ同時混合添加した。3分間攪拌した後、Ag−2液(100ml中にAgNO3 2gを含む)とX−2液(100ml中にKBr 1.4gを含む)を80.6ml/分で28.2mlずつ同時混合した。3分間攪拌した後、Ag−1液とX−1液を62.4ml/分で46.8mlずつ同時混合添加した。2分間攪拌した後、ゼラチン水溶液203ml(酸化処理ゼラチン11.3g、NaCl 1.3g、pHを5.5に調整するためにNaOH1N液を含む)を加え、pClを1.8とした後、温度を75℃に昇温し、pClを1.8とした後10分間熟成した。その後、ジスルフィド化合物Aをハロゲン化銀1モルあたり1×10−4モル添加し、さらにAgCl微粒子乳剤(平均粒子直径0.1μm )を2.68×10−2モル/分のAgClの添加速度で20分添加した。添加後10分間熟成した後、沈降剤を加え、温度を35℃に下げ、沈降水洗した。ゼラチン水溶液を加え、60℃でpH6.0に調節した。
【0336】
【化78】
【0337】
該粒子のレプリカの透過型電子顕微鏡写真像(以下TEMと記す)を観察した。得られた乳剤は、銀を基準としてAgBrを0.44モル%含む高塩化銀{100}平板粒子であった。該粒子の形状特性値は下記のようであった。
(アスペクト比1より大の平板状粒子の全投影面積/
全AgX粒子の投影面積和)×100=a1 =90%
(平板状粒子の平均アスペクト比(平均直径/平均厚さ))=a2 =9.3
(平板状粒子の平均直径)=a3 =1.67μm
(平均厚さ)=a4 =0.18μm
【0338】
(111)AgCl平板乳剤Bの調製
塩化銀平板粒子を以下のように調製した。
【0339】
【化79】
【0340】
【0341】
35℃に保った溶液(1)に、攪拌しながら溶液(2)と溶液(3)を1分間かけて一定添加速度で同時に加え、溶液の温度を15分間かけて70℃に上昇させた。この時点で全銀量の約5.7%に相当する粒子が形成された。次に、溶液(4)と溶液(5)を24分間かけて一定添加速度同時に加え、さらに溶液(6)と溶液(7)を40分間かけてpCl=1.0になるように硝酸銀溶液の添加速度を一定にし、コントロールダブルジェット法にて成長を行ない、塩化銀平板乳剤が得られた
乳剤を沈降法により水洗・脱塩した後ゼラチン30gとH2 Oを加え、さらにフェノキシエタノール2.0g及び増粘剤としてポリスチレンスルホン酸ナトリウム0.8gを添加し、苛性ソーダでpH6.0になるように再分散した。
こうして得られた乳剤は、a1 =90%、a3 =1.55μm 、a4 =0.18μm 、a2 =8.6、円相当投影面積径の変動係数19%の(111)面を主平面とした塩化銀平板乳剤である。
【0342】
{111}AgBr平板状乳剤Cの調製
水1リットル中に臭化カリウム6.0g、平均分子量1万5千の低分子量ゼラチン7.0gを添加し55℃に保った容器中へ攪拌しながら硝酸銀水溶液37cc(硝酸銀4.00g)と臭化カリウム5.9gを含む水溶液38ccをダブルジェット法により37秒間で添加した。つぎにゼラチン18.6gを添加した後70℃に昇温して硝酸銀水溶液89cc(硝酸銀9.80g)を22分間かけて添加した。ここで25%のアンモニア水溶液7ccを添加、そのままの温度で10分間物理熟成したのち100%酢酸溶液を6.5cc添加した。引き続いて硝酸銀153gの水溶液と臭化カリウムの水溶液をpAg8.5に保ちながらコントロールダブルジェット法で35分かけて添加した。次に2Nのチオシアン酸カリウム溶液15ccを添加した。5分間そのままの温度で物理熟成したのち35℃に温度を下げた。a1 =95%、平均投影面積直径a3 =1.50μm 、厚みa4 =0.185μm 、平均アスペクト比a2 =8.1、直径の変動係数は18.5%の単分散純臭化銀平板状粒子を得た。
この後、沈降法により可溶性塩類を除去した。再び40℃に昇温してゼラチン30gとフェノキシエタノール2.35gおよび増粘剤としてポリスチレンスルホン酸ナトリウム0.8gを添加し、苛性ソーダと硝酸銀溶液でpH5.90、pAg8.00に調整した。
【0343】
{111}AgBrCl平板乳剤Dの調製
反応容器にゼラチン水溶液1582μm (ゼラチン−1(メチオニン含率が約40μモル/gの脱イオン化アルカリ処理骨ゼラチン)19.5g、HNO3 1N液7.8mlを含み、pH4.3)、NaCl−1液(100ml中にNaCl 10gを含む)を13ml入れ、温度を40℃に保ちながら、Ag−1液(100ml中にAgNO3 20gを含む)とX−1液(100ml中にNaCl 7.05gを含む)を62.4ml/分で15.6mlずつ同時混合添加した。3分間攪拌した後、Ag−2液(100ml中にAgNO3 2gを含む)とX−2液(100ml中にKBr 1.4gを含む)を80.6ml/分で28.2mlずつ同時混合した。3分間攪拌した後、Ag−1液とX−1液を62.4ml/分で46.8mlずつ同時混合添加した。2分間攪拌した後、ゼラチン水溶液203ml(ゼラチン−113g、NaCl 1.3g、pHを5.5に調整するためにNaOH1N液を含む)を加え、pClを1.8とした後、温度を75℃に昇温し、pClを1.8とした後10分間熟成した。この後、Ag−3液(100ml中に100%AgNO3 50mlを含む)とX−3液(100ml中にNaCl 23.5g、KBr 71.4gを含む)を用意し、硝酸銀の添加速度を2.68×10−2モル/分に設定して、コントロールダブルジェット法によりpCl=1.8で20分間成長させた。
添加後10分間熟成した後、沈降剤を加え、温度を35℃に下げ、沈降水洗した。ゼラチン水溶液を加え、60℃でpH6.0に調節した。該粒子のレプリカの透過型電子顕微鏡写真像(以下TEMと記す)を観察した。得られた乳剤は、銀を基準としてAgBrをおよそ53モル%含む高塩化銀{100}平板粒子であった。該粒子の形状特性値は下記のようであった。
(アスペクト比1より大の平板状粒子の全投影面積/
全AgX粒子の投影面積和)×100=a1 =90%
(平板状粒子の平均アスペクト比(平均直径/平均厚さ))=a2 =9.3
(平板状粒子の平均直径)=a3 =1.67μm
(平均厚さ)=a4 =0.18μm
【0344】
(111)AgCl平板乳剤E、Fの調製
塩化銀平板粒子を以下のように調製した。
【0345】
【化80】
【0346】
【0347】
35℃に保った溶液(1)に、攪拌しながら溶液(2)と溶液(3)を1分間かけて一定添加速度で同時に加え、溶液の温度を15分間かけて70℃に上昇させた。この時点で全銀量の約5.7%に相当する粒子が形成された。ここで、ジスルフィド化合物−Bをハロゲン化銀1モルに対し1×10−4モルを添加し、次に溶液(4)と溶液(5)を24分間かけて一定添加速度同時に加え、さらに溶液(6)と溶液(7)を40分間かけてpCl=1.8になるように硝酸銀溶液の添加速度を一定にし、コントロールダブルジェット法にて成長を行ない、塩化銀平板乳剤が得られた
乳剤を沈降法により水洗・脱塩した後ゼラチン30gとH2 Oを加え、さらにフェノキシエタノール2.0g及び増粘剤としてポリスチレンスルホン酸ナトリウム0.8gを添加し、苛性ソーダでpH6.0になるように再分散した。
こうして得られた乳剤は、Brを約50%含み、a1 =90%、a3 =1.55μm 、a4 =0.18μm 、a2 =8.6、円相当投影面積径の変動係数19%の(111)面を主平面とした塩化銀平板乳剤である。
【0348】
【化81】
【0349】
上記平板状粒子の調整において、アスペクト比、粒子サイズ等の粒子形状が元の平板状粒子とほぼ同じになる様な成長条件を選択し(7)液中のKBr含量を調整する事で塩化銀含率が17%と24%になる(111)面を主平面とする塩臭化銀平板乳剤を調製した。
【0350】
単分散立方体ハロゲン化銀乳剤Gの調製
水1リットルにゼラチン32gを溶解し、53℃に加温された容器に臭化カリウム0.3g、塩化ナトリウム5gおよび
化合物〔I〕
【0351】
【化82】
【0352】
46mgを入れた後、80gの硝酸銀を含む水溶液444mlと臭化カリウム45g及び塩化ナトリウム5.5gを含む水溶液452mlをダブルジェット法により約20分間かけて添加し、その後80gの硝酸銀を含む水溶液400mlと臭化カリウム46.4g、塩化ナトリウム5.7g及びヘキサクロロイリジウム(III) 酸カリウム(10−7モル/モル銀)を含む水溶液415mlとをダブルジェット法により約25分間かけて添加して、平均粒子サイズ(投影面積直径)0.34μm の立方体単分散塩臭化銀粒子(投影面積直径の変動係数10%)を作製した。
この乳剤を凝集法により脱塩処理後、ゼラチン62g、フェノキシエタノール1.75gを加え、pH6.5、pAg8.5に合わせた。
【0353】
化学増感
以上の如く調製した粒子を攪拌しながら60℃に保った状態で化学増感を施した。まず、チオスルホン酸化合物−Iをハロゲン化銀1モルあたり10−4モル添加し、つぎに直径0.10μm のAgBr微粒子を全銀量に対して1.0モル%添加し、5分後1%のKI溶液をハロゲン化銀1モルあたり10−3モル添加しさらに3分後、二酸化チオ尿素を1×10−6モル/モルAg添加し、22分間そのまま保持して還元増感を施した。つぎに4−ヒドロキシ−6−メチル−1,3,3a,7−テトラアザインデンを3×10−4モル/モルAgと増感色素−1,2をそれぞれ添加した。さらに塩化カルシウムを添加した。さらに塩化金酸1×10−5モル/モルAgおよびチオシアン酸カリウム3.0×10−3モル/モルAgを添加し、引き続きチオ硫酸ナトリウム(6×10−6モル/モルAg)及びセレン化合物−I(4×10−6モル/モルAg)を添加した。さらに3分後に核酸(0.5g/モルAg)を添加した。40分後に水溶性メルカプト化合物−1を添加し35℃に冷却した。
こうして乳剤の調製(化学熟成)を終了した。
【0354】
【化83】
【0355】
(乳剤塗布層の調製)
化学増感を施した乳剤に対してハロゲン化銀1モル当たり下記の薬品を添加して乳剤塗布液とした。
【0356】
【化84】
【0357】
上記塗布液に対し、染料−Iが片面当たり10mg/m2となるように染料乳化物−Iを添加した。
【0358】
【化85】
【0359】
(染料乳化物aの調製)
上記化合物を60gおよび2,4−ジアミルフェノールを62.8g、ジシクロヘキシルフタレートを62.8g及び酢酸エチル333gを60℃で溶解した。つぎにドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウムの5%水溶液65ccとゼラチン94g、水581ccを添加し、ディゾルバーにて60℃、30分間乳化分散した。つぎにp−ヒドロキシ安息香酸メチルを2gおよび水6リットルを加え、40℃に降温した。つぎに旭化成製限外濾過ラボモジュールACP1050を用いて、全量が2kgとなるまで濃縮し、p−ヒドロキシ安息香酸メチルを1g加えて染料乳化物aとした。
(表面保護層塗布液の調製)
表面保護層塗布液を、各成分が下記の塗布量となるように調製した。
【0360】
【化86】
【0361】
(支持体の調製)
比較用支持体の調整
(1)下塗層用染料分散物Bの調製
下記の染料化合物−IIを特開昭63−197943号に記載の方法でボールミル処理した。
【0362】
【化87】
【0363】
水434ccおよび Triton X200(登録商標)界面活性剤(TX−200(登録商標))の6.7%水溶液791ccとを2リットルのボールミルに入れた。染料20gをこの溶液に添加した。酸化ジルコニウム(ZrO2)のビーズ400ml(2mm径)を添加し、内容物を4日間粉砕した。この後、12.5%ゼラチン160gを添加した。脱泡した後、濾過によりZrO2 ビーズを除去した。得られた染料分散物を観察したところ、粉砕された染料の粒径は0.05〜1.15μm にかけての広い分布を有していて、平均粒径は0.37μm であった。
さらに、遠心分離操作を行うことで0.9μm 以上の大きさの染料粒子を除去した。こうして染料分散物dを得た。
【0364】
(2)支持体の調製
二軸延伸された厚さ175μm のポリエチレンテレフタレートフィルム上にコロナ放電を行い、下記の組成より成る第1下塗液を塗布量が4.9cc/m2と成るようにワイヤーコンバーターにより塗布し、185℃にて1分間乾燥した。
つぎに反対面にも同様にして第1下塗層を設けた。使用したポリエチレンテレフタレートには染料化合物−1、3、4を各々0.04wt%含有されているものを用いた。
【0365】
【化88】
【0366】
(3)下塗層の塗布
上記の両面の第1下塗層上に下記の組成からなる第2の下塗層を塗布量が下記に記載の量となるように片側ずつ、両面にワイヤー・バーコーダー方式により155℃で塗布、乾燥した。
【0367】
【化89】
【0368】
(写真材料の調製)
前述のごとく準備した支持体上に先の乳剤層と表面保護層とを組み合わせ同時押し出し法により両面に塗布した。片面当りの塗布銀量は1.4g/m2とした。こうして塗布試料1〜7を作成した。
得られた写真材料の膨潤率を、特開昭58−111933号記載の方法で測定すると180%であった。
【0369】
(写真性能の評価)
写真材料を富士写真フイルム(株)製の富士グレネックススクリーン HR−4及びHG−Mスクリーン並びにデュポン社製UVスーパーラピッドスクリーンを使用して両側から0.05秒の露光を与えた。露光後、富士写真フイルム(株)製CEPROS−30にて下記の現像液、定着液を用いてTP処理し感度の評価を行った。感度は試料1を基準とし、カブリに加えて1.0の濃度を与える露光量の比の逆数で示した。
【0370】
濃縮現像液の調製
下記処方のエリソルビン酸ナトリウムを現像主薬とする濃縮現像液Aを調整した。
【0371】
【化90】
【0372】
現像補充液の調製
上記濃縮現像液を2倍希釈し、現像補充液として使用した。
【0373】
現像母液の調製
上記濃縮現像液2リットルを水で希釈し4リットルとし、下記組成のスタータ液を希釈した現像液1リットルあたり55ml添加、pH9.5の現像液を現像母液とした。
【0374】
濃縮定着液の調製
以下の処方の濃縮定着液を調製した。
【0375】
定着補充液の調製
上記濃縮定着液を2倍希釈し、定着補充液として使用した。
【0376】
定着母液の調製
上記濃縮定着液2リットルを水で希釈し4リットルとした。pHは5.4であった。
【0377】
写真材料の処理工程
上記現像母液および定着母液を用いて、現像補充液および定着補充液を感光材料1m2当り65ml補充しながら処理した。
工 程 温 度 処理時間
現 像 35℃ 8秒
定 着 35℃ 8秒
水 洗 25℃ 7秒
乾 燥 55℃ 6秒
【0378】
実施例−6
前記現像濃縮液の4−ヒドロキシメチル−4−メチル−1−フェニル−3−ピラゾリドンを本発明の一般式(I)または(II) の化合物と等モル入れ替えた他は、前記現像濃縮液と全く同様にして、現像液2〜23を調製した。
前記の塗布試料−1をこれらの現像液で現像処理を行なった。現像処理はCEPROS 30自動現像機(富士写真フイルム(株)製)を用いて行ない、現像35℃8秒で処理、次いで定着、水洗、乾燥を連続して行なった。定着液は、前記定着液を用いて行なった。結果を表24に示す。
【0379】
【表24】
【0380】
表24の結果から、本発明の処理では、迅速処理において、優れた写真性能が得られる。
【0381】
実施例−7
前記塗布試料2〜7を実施例−6の処理液を用いて、同様に現像処理を行なった結果、実施例−6と同様に、本発明では迅速処理において高感でかぶりの低い優れた写真性能が得られた。
【0382】
実施例−8
実施例−6の処理液のエリソルビン酸ナトリウムを本発明の化合物A−6、A−7、A−19、A−23、A−37及びA−43に等モルで入れ替え、又、モノールを本発明の一般式(I)または(II) に入れ替えた処理液を調製し、塗布試料2〜7を現像処理した結果、前記実施例−6〜7と同様の結果が得られた。
【0383】
実施例−9
乳剤Aの調製
【0384】
42℃、pH4.5に保たれた1液に2液と3液を攪拌しながら同時に15分間にわたって加え、核粒子を形成した。続いて下記4液、5液を15分間にわたって加えた。さらにヨウ化カリウム0.15gを加え粒子形成を終了した。
【0385】
その後常法にしたがってフロキュレーション法によって水洗し、ゼラチン40gを加えた。
pH5.7、pAgを7.5に調整し、チオ硫酸ナトリウム1.0mgと塩化金酸4.0mg、トリフェニルホスフィンセレニド1.5mg、ベンゼンチオスルフォン酸ソーダ8mg、ベンゼンチオスルフィン酸ソーダ2mgを加え、55℃で最適感度になるように化学増感した。
さらに安定剤として、4−ヒドロキシ−6−メチル−1,3,3a,7−テトラザインデン100mg、防腐剤として、フェノキシエタノールを加え、最終的に塩化銀を70モル%含む、平均粒子径0.25μmの塩沃臭化銀立方体乳剤Aを得た。
塗布試料の作成
乳剤Aに増感色素▲1▼3.8×10−4モル/モルAgを加えて分光増感を施した。さらにKBr3.4×10−4モル/モルAg、化合物(1) 3.2×10−4モル/モルAg、化合物(2) 8.0×10−4モル/モルAg、ハイドロキノン1.2×10−2モル/モルAg、クエン酸3.0×10−3モル/モルAg、化合物(3) を1.0×10−4モル/モルAg、化合物(4) を6.0×10−4モル/モルAg、さらにゼラチンに対して35wt%のポリエチルアクリレートラテックス、ゼラチンに対して20wt%の粒径10mμのコロイダルシリカ、ゼラチンに対して4wt%の化合物(5) を添加して、ポリエステル支持体上にAg3.7g/m2、ゼラチン1.6g/m2になるように塗布した。この上に下記組成の保護層上層および保護層下層、この下に下記組成のUL層を塗布した。
【0386】
なお、本発明で使用したサンプルの支持体は下記組成のバック層および導電層を有する。
【0387】
【化91】
【0388】
【化92】
【0389】
感材中の化合物(3) と(4) の種類と添加量は適宜変更し、表26に示した。
【0390】
<現像液組成>
【0391】
【表25】
【0392】
<定着液>
以下に定着液濃縮液1リットル当りの処方を示す。
使用にあたっては、上記濃縮液1部に対して水2部の割合で希釈する。使用液のpHは4.8である。
【0393】
評価は以下の方法で行った。
現像液のサーモでの容器着色は、調整した現像液を100mlサイズのポリ瓶(材質はポリエチレン)に密栓で空気が入らないようにし60℃で1週間保存後、ポリ瓶への容器着色を調べ、官能評価で1〜5点で評価した。点数が高いほど着色が少なく、4点以上が実用的に許容レベルである。
【0394】
写真性の評価は、作成した試料を光学クサビを用い、633nmにピークをもつ干渉フィルターを介して、発光時間10−5sec のキセノンフラッシュ光で露光した。現像時間、温度は35℃20秒で処理した。感度は、表26のNo. 1で処理したときに濃度1.5を得るのに必要な露光量の逆数を100として相対値で示した。数値が大きい方が高感度である。階調(ガンマ)は次式で表した。この値が大きいほど写真特性が硬調である。
*ガンマ=(3.0─0.3)/〔log(濃度3.0を与える露光量)−log(濃度0.3を与える露光量)
【0395】
評価結果を表26に示した。
【0396】
【表26】
【0397】
本発明の化合物を用いた組み合わせでは、感度も良好で、超硬調な画像が容器の着色無しに得られることがわかる。N−メチル−p−アミノフェノールを用いた場合には、超硬調な画像と容器着色を両立することができない。
【0398】
実施例−10
実施例1で用いた、感材、現像液と定着液を用い、富士写真フイルム社製FG−520AGを用いてランニングテストを行った。ランニング条件は、1日にハーフ露光した大全紙サイズ(50.8×61.0cm)の試料を16枚処理し、6日稼動して1日休むというランニングを1ラウンドして、6ラウンド行った。写真性評価のサンプルは実施例1と同じように露光した。ランニング時の定着液の補充量は、現像液の補充量に対して1.5倍補充して行った。
【0399】
処理条件は、現像時間=20秒、現像温度=35℃、定着温度=34℃で行い、母液は、実施例1の現像液をそのまま用い、補充液のpHは表27に記載のように調整して行った。ランニング疲労液での感度としては95〜105に入っていることが実用上必要である。
ランニング後の点質は、大日本スクリーン(株)製のヘリウム光源カラースキャナーSG−608を使用して100線にて50%の平網を塗布感材に出力し、前記の処理条件で現像処理を行い、200倍のルーペで網点のキレを目視評価した。評価結果を、(良)5〜1(悪)の5点法で表に示した。実用的には3点以上が必要である。
評価結果を表27に示した。
【0400】
【表27】
【0401】
本発明の化合物を用いた組み合わせでは、ランニングでも写真性の変化が少なく、点質も良いことがわかる。特に低補充にした場合は、補充液のpHを上げることによって安定な処理性を得ることができる。
【0402】
【発明の効果】
本発明の一般式(I)または(II) で表される特定構造のp−アミノフェノール類を、一般式(A)で表されるアスコルビン酸類またはその誘導体の現像液に用いることにより、迅速処理において高感で品質の良い画像の提供、特に、ヒドラジン化合物を含有する写真感光材料を用いて迅速かつ超硬調なネガ画像を提供することができる。
Claims (15)
- 下記一般式(I)または(II) で表されるアミノフェノール誘導体の少なくとも1種と、一般式(A)で表される化合物の少なくとも1種とを含有することを特徴とする、ヒドラジン化合物を含有するハロゲン化銀写真感光材料用の処理組成物。
- 実質的にジヒドロキシベンゼン系現像主薬を含有しないことを特徴とする請求項1記載の処理組成物。
- 下記一般式(I)または(II) で表されるアミノフェノール誘導体の少なくとも1種と、一般式(A)で表される化合物の少なくとも1種とを含有することを特徴とする、ヒドラジン化合物を含有するハロゲン化銀写真感光材料用の現像液。
- 前記一般式(I)または(II) で表されるアミノフェノール誘導体の少なくとも1種が補助現像薬であり、前記一般式(A)で表される化合物の少なくとも1種が現像主薬であることを特徴とする請求項4に記載の現像液。
- 実質的にジヒドロキシベンゼン系現像主薬を含有しないことを特徴とする請求項4または5に記載の現像液。
- 露光されたハロゲン化銀写真感光材料を請求項4〜7のいずれか1項に記載の現像液で現像処理することを特徴とする、ヒドラジン化合物を含有するハロゲン化銀写真感光材料の処理方法。
- 11秒以下で現像処理することを特徴とする請求項8に記載の処理方法。
- 現像液のpHが9.4〜10.5であることを特徴とする請求項8または9のいずれかに記載の処理方法。
- 現像液中の炭酸塩濃度が0.3モル/リットル以上であることを特徴とする請求項8〜10のいずれか1項に記載の処理方法。
- 現像液中の亜硫酸塩濃度が0.1モル/リットル以下であることを特徴とする請求項8〜11のいずれか1項に記載の処理方法。
- 現像液の補充量が180ml/m2以下であることを特徴とする請求項8〜12のいずれかに記載の処理方法。
- ハロゲン化銀写真感光材料のハロゲン化銀乳剤層またはその他の親水性コロイド層の少なくとも1層にヒドラジン造核剤を含有することを特徴とする請求項8〜13のいずれか1項に記載の処理方法。
- ハロゲン化銀写真感光材料のハロゲン化銀乳剤層またはその他の親水性コロイド層の少なくとも1層に造核促進剤を含有することを特徴とする請求項14に記載の処理方法。
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