JP3539215B2 - 電極の形成方法およびそれに用いられる転写フィルム - Google Patents
電極の形成方法およびそれに用いられる転写フィルム Download PDFInfo
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は電極の形成方法およびそれに用いられる電極形成用転写フィルムに関し、さらに詳しくは、液晶ディスプレイ(LCD)やプラズマディスプレイパネル(PDP)などのパネルディスプレイ用の電極形成に適した電極の形成方法および転写フィルムに関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、LCD、PDPなどの電極配線や突起電極に対して、小型化、高精細化、高密度化の要求が高まっている。
従来、このような電極の製造方法としては、(1)金属薄膜をスパッタや蒸着などで形成し、レジストを塗布、露光、現像後にエッチング液により金属薄膜のパターンを形成するエッチング法、(2)非感光性の導電膜形成用ペースト組成物を基板上にスクリーン印刷してパターンを得、これを焼成するスクリーン印刷法、(3)感光性の導電膜形成用ペースト層を基板上に形成し、これにフォトマスクを介して紫外線を照射した上で現像することにより基板上にパターンを残存させ、これを焼成するフォトリソグラフィー法などが知られている。
また、上記の製造方法を用いて電極を形成する場合、例えば導電膜形成用ペースト層に銀を主成分とした導電性物質を使用すると、前面基板上に形成される電極はシルバー色の金属光沢を有するものとなり、パネルとして画像表示を行うと外光反射が大きく、コントラストの低い表示しか得られないという問題がある。この場合は、導電膜形成用ペーストの下に反射防止膜を設けることで外光反射を低減する方法が知られている。
【0003】
しかしながら、上記エッチング法では、大型の真空設備が必要なこと、工程上のスループットが遅いなどの問題がある。
前記スクリーン印刷法では、パネルの大型化および高精細化に伴い、パターンの位置精度の要求が非常に厳しくなり、通常の印刷では対応できないという問題がある。
また、前記フォトリソグラフィー法では、5μm以上の膜厚を有するパターンを形成する際、導電膜形成用ペースト層の深さ方向に対する感度が不十分であり、現像マージンの広い材料が得られるものとはならないという問題がある。
さらに、上記製造方法において、外光反射を防止するために反射防止膜を設ける場合、反射防止膜形成用ペースト組成物を塗布、乾燥後、導電膜形成用ペースト組成物を塗布、乾燥して、反射防止膜形成用ペースト層と導電膜形成用ペースト層を形成しなければならず、工程数が多いという問題がある。
そこで、上記のようなエッチング法、スクリーン印刷法およびフォトリソグラフィー法で見られる問題を解決する手段として、本発明者らは、導電膜形成用ペースト層と反射防止膜形成用ペースト層との積層膜を支持フィルム上に形成し、支持フィルム上に形成された積層膜を基板上に転写し、導電膜形成用ペースト層上にレジスト膜を形成し、当該レジスト膜を露光処理してレジストパターンの潜像を形成し、当該レジスト膜を現像処理してレジストパターンを顕在化させ、導電膜形成用ペースト層および反射防止膜形成用ペースト層をエッチング処理してレジストパターンに対応する導電膜形成用ペースト層および反射防止膜形成用ペースト層のパターンを形成し、当該パターンを焼成処理する工程を含む方法により、前記基板の表面に電極を形成する工程を含むPDPの製造方法を提案している(特願平10−98444号明細書参照)。
このような製造方法によれば、高精細パターンの形成が可能で表面の均一性に優れた電極を形成することができ、また、膜形成材料層が支持フィルム上に形成されてなる複合フィルム(以下、「転写フィルム」ともいう。)は、これをロール状に巻き取って保存することができる点でも有利である。
【0004】
しかしながら、上記転写フィルムにおいては、エッチング処理時にレジストパターンに対応する導電膜形成用ペースト層および反射防止膜形成用ペースト層のパターンの欠損、欠落が生じやすいという問題がある。さらに、得られる反射防止膜の膜厚が厚いと、形成された電極の導電性が不十分となり、反射防止膜を薄膜化するために転写フィルムの反射防止膜形成用ペースト層を薄膜化すると、形成される反射防止膜形成用ペースト層が十分な可撓性を有するものとならず、転写フィルムを折り曲げると、当該膜形成材料層の表面に微小な亀裂(ひび割れ)が発生するという問題がある。また、転写フィルムの反射防止膜形成用ペースト層を薄膜化すると、ガラス基板に対して十分な接着性(加熱接着性)を発揮することができなくなり、支持フィルムからガラス基板の表面に転写されにくいという問題もある。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の課題は、良好な電極パターン形状が形成可能であり、かつ導電性に優れた電極が形成可能な電極の形成方法および電極形成用転写フィルムを提供することにある。具体的には、エッチング処理時にレジストパターンに対応する導電膜形成用ペースト層および反射防止膜形成用ペースト層のパターンが基板との密着性に優れ、高精細なパターンが形成可能であり、かつ良好な可撓性と転写性を保持しながら反射防止膜を薄膜化することにより、導電性に優れた電極パターンが形成可能な電極の形成方法および電極形成用転写フィルムを提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明の電極の形成方法は、支持フィルム上に形成された反射防止膜形成用ペースト層を基板上に転写し、別の支持フィルム上に形成された導電膜形成用ペースト層を反射防止膜形成用ペースト層上に転写し、導電膜形成用ペースト層上にレジスト膜を形成し、当該レジスト膜を露光処理して、レジストパターンの潜像を形成し、当該レジスト膜を現像処理してレジストパターンを顕在化させ、導電膜形成用ペースト層および反射防止膜形成用ペースト層をエッチング処理してレジストパターンに対応する導電膜形成用ペースト層および反射防止膜形成用ペースト層のパターンを形成し、当該パターンを焼成処理する工程を有する電極の形成方法において、
反射防止膜形成用ペースト層は少なくとも着色物質を含む無機粒子および有機バインダーを含有し、かつ、導電膜形成用ペースト層は少なくとも導電性粒子を含む無機粒子および有機バインダーを含有し、反射防止膜形成用ペースト層中の無機粒子重量に対する有機バインダー重量の比率が、導電膜形成用ペースト層中の無機粒子重量に対する有機バインダー重量の比率よりも大きいことを特徴とする。
【0007】
また、導電膜形成用ペースト層および反射防止膜形成用ペースト層を有する積層膜を支持フィルム上に形成し、当該積層膜を基板上に転写し、転写された当該積層膜上にレジスト膜を形成し、当該レジスト膜を露光処理してレジストパターンの潜像を形成し、当該レジスト膜を現像処理してレジストパターンを顕在化させ、導電膜形成用ペースト層および反射防止膜形成用ペースト層をエッチング処理してレジストパターンに対応する導電膜形成用ペースト層および反射防止膜形成用ペースト層のパターンを形成し、当該パターンを焼成処理する工程を有する電極の形成方法において、
反射防止膜形成用ペースト層は少なくとも着色物質を含む無機粒子および有機バインダーを含有し、かつ、導電膜形成用ペースト層は少なくとも導電性粒子を含む無機粒子および有機バインダーを含有し、反射防止膜形成用ペースト層中の無機粒子重量に対する有機バインダー重量の比率が、導電膜形成用ペースト層中の無機粒子重量に対する有機バインダー重量の比率よりも大きいことを特徴とする。
【0008】
さらに、本発明の転写フィルムは、支持フィルム上に、少なくとも導電性粒子を含む無機粒子および有機バインダーを含有する導電膜形成用ペースト層と、少なくとも着色物質を含む無機粒子および有機バインダーを含有する反射防止膜形成用ペースト層とを積層してなり、反射防止膜形成用ペースト層中の無機粒子重量に対する有機バインダー重量の比率が、導電膜形成用ペースト層中の無機粒子重量に対する有機バインダー重量の比率よりも大きいことを特徴とする。
【0009】
【作用】
本発明の電極の形成方法において、導電膜形成用ペースト層は、導電性粒子を分散させた導電膜形成用ペースト組成物を、また反射防止膜形成用ペースト層は、黒色、灰色などの着色物質を分散させた反射防止膜形成用ペースト組成物を、可撓性を有する支持フィルム上に塗布することにより形成される。当該反射防止膜形成用ペースト層中の無機粒子重量に対する有機バインダー重量の比率は、導電膜形成用ペースト層中の無機粒子重量に対する有機バインダー重量の比率よりも大きいことを特徴とし、このため、反射防止膜形成用ペースト層の可撓性、基板への密着性を維持したまま、反射防止膜の薄膜化が可能になる。そして、このようにして形成された導電膜形成用ペースト層および反射防止膜形成用ペースト層を基板の表面に対して転写するという簡単な操作により、当該導電膜形成用ペースト層および反射防止膜形成用ペースト層を基板上に確実に形成することができ、導電性の高い電極を形成することができる。
【0010】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の製造方法について詳細に説明する。
<電極の形成方法1>
本発明の電極の形成方法においては、〔1〕反射防止膜形成用ペースト層の転写工程、〔2〕導電膜形成用ペースト層の転写工程、〔3〕レジスト膜の形成工程、〔4〕レジスト膜の露光工程、〔5〕レジスト膜の現像工程、〔6〕導電膜形成用ペースト層・反射防止膜形成用ペースト層のエッチング工程、〔7〕パターンの焼成工程 により、電極を形成する。
【0011】
〔1〕反射防止膜形成用ペースト層の転写工程
本発明の製造方法において、反射防止膜形成用ペースト層は、転写フィルムを使用し、当該転写フィルムを構成する反射防止膜形成用ペースト層を透明電極付き基板の表面に転写することによって形成される。
ここに、転写フィルムは、支持フィルムと、この支持フィルム上に形成された反射防止膜形成用ペースト層とを有してなり、当該反射防止膜形成用ペースト層の表面には保護フィルム層が設けられていてもよい。転写フィルム、反射防止膜形成用ペースト層および保護フィルムの具体的構成は、後述する本発明の電極形成用転写フィルムに準ずる。
【0012】
転写工程の一例を示せば以下のとおりである。必要に応じて使用される転写フィルムの保護フィルム層を剥離した後、基板の表面に、反射防止膜形成用ペースト層の表面が当接されるように転写フィルムを重ね合わせ、この転写フィルムを加熱ローラなどにより熱圧着した後、反射防止膜形成用ペースト層から支持フィルムを剥離除去する。これにより、基板の表面に反射防止膜形成用ペースト層が転写されて密着した状態となる。ここで、転写条件としては、例えば、加熱ローラの表面温度が80〜140℃、加熱ローラによるロール圧が1〜5kg/cm2 、加熱ローラの移動速度が0.1〜10.0m/分を示すことができる。また、基板は予熱されていてもよく、予熱温度としては例えば40〜100℃とすることができる。
【0013】
〔2〕導電膜形成用ペースト層の転写工程
本発明の製造方法において、導電膜形成用ペースト層は、転写フィルムを使用し、当該転写フィルムを構成する導電膜形成用ペースト層を反射防止膜形成用ペースト層上に転写して形成される。
ここに、転写フィルムは、支持フィルムと、この支持フィルム上に形成された導電膜形成用ペースト層とを有してなり、当該導電膜形成用ペースト層の表面には保護フィルム層が設けられていてもよい。支持フィルム、導電膜形成用ペースト組成物および保護フィルムの具体的構成は、後述する本発明の電極形成用転写フィルムに準ずる。
【0014】
転写工程の一例を示せば以下のとおりである。必要に応じて使用される転写フィルムの保護フィルム層を剥離した後、反射防止膜形成用ペースト層の表面に、導電膜形成用ペースト層の表面が当接されるように転写フィルムを重ね合わせ、この転写フィルムを加熱ローラなどにより熱圧着した後、導電膜形成用ペースト層から支持フィルムを剥離除去する。これにより、反射防止膜形成用ペースト層の表面に導電膜形成用ペースト層が転写されて密着した状態となる。ここで、転写条件としては、例えば、反射防止膜形成用ペースト層の転写と同様の条件で行うことができる。
【0015】
〔3〕レジスト膜の形成工程
この工程においては、転写された導電膜形成用ペースト層の表面にレジスト膜を形成する。このレジスト膜を構成するレジストとしては、ポジ型レジストおよびネガ型レジストのいずれであってもよく、その具体的組成については後述する。
レジスト膜は、スクリーン印刷法、ロール塗布法、回転塗布法、流延塗布法など種々の方法によってレジストを塗布した後、塗膜を乾燥することにより形成することができる。
また、支持フィルム上に形成されたレジスト膜を導電膜形成用ペースト層の表面に転写することによって形成してもよい。このような形成方法によれば、レジスト膜の形成工程における工程改善(高効率化)を図ることができるとともに、形成される無機粉体パターンの膜厚均一性を図ることができる。
レジスト膜の膜厚としては、通常、0.1〜40μm、好ましくは0.5〜20μmである。
【0016】
〔4〕レジスト膜の露光工程
この工程においては、導電膜形成用ペースト層上に形成されたレジスト膜の表面に、露光用マスクを介して、紫外線などの放射線を選択的照射(露光)して、レジストパターンの潜像を形成する。
ここに、放射線照射装置としては、前記フォトリソグラフィー法で使用されている紫外線照射装置、半導体および液晶表示装置を製造する際に使用されている露光装置など特に限定されるものではない。
【0017】
〔5〕レジスト膜の現像工程
この工程においては、露光されたレジスト膜を現像処理することにより、レジストパターン(潜像)を顕在化させる。
ここに、現像処理条件としては、レジスト膜の種類などに応じて、現像液の種類・組成・濃度、現像時間、現像温度、現像方法(例えば浸漬法、揺動法、シャワー法、スプレー法、パドル法)、現像装置などを適宜選択することができる。この現像工程により、レジスト残留部と、レジスト除去部とから構成されるレジストパターン(露光用マスクに対応するパターン)が形成される。
このレジストパターンは、次工程(エッチング工程)におけるエッチングマスクとして作用するものであり、レジスト残留部の構成材料は、導電膜形成用ペースト層および反射防止膜形成用ペースト層の構成材料よりもエッチング液に対する溶解速度が小さいことが必要である。
【0018】
〔6〕導電膜形成用ペースト層・反射防止膜形成用ペースト層のエッチング工程この工程においては、導電膜形成用ペースト層および反射防止膜形成用ペースト層をエッチング処理し、レジストパターンに対応する導電膜形成用ペースト層および反射防止膜形成用ペースト層のパターンを形成する。
すなわち、導電膜形成用ペースト層および反射防止膜形成用ペースト層のうち、レジストパターンのレジスト除去部に対応する部分がエッチング液に溶解されて選択的に除去される。そして、エッチング処理を継続すると、導電膜形成用ペースト層および反射防止膜形成用ペースト層におけるレジスト除去部に対応する部分で、基板表面が露出する。
ここに、エッチング処理条件としては、導電膜形成用ペースト層および反射防止膜形成用ペースト層の種類などに応じて、エッチング液の種類・組成・濃度、処理時間、処理温度、処理方法(例えば浸漬法、揺動法、シャワー法、スプレー法、パドル法)、処理装置などを適宜選択することができる。
なお、エッチング液として、現像工程で使用した現像液と同一の溶液を使用することができるよう、レジスト膜、導電膜形成用ペースト層および反射防止膜形成用ペースト層の種類を選択することにより、現像工程と、エッチング工程とを連続的に実施することが可能となり、工程の簡略化による製造効率の向上を図ることができる。
ここに、レジストパターンを構成するレジスト残留部は、エッチング処理の際に徐々に溶解され、導電膜形成用ペースト層パターンおよび反射防止膜形成用ペースト層パターンが形成された段階(エッチング処理の終了時)で完全に除去されるものであることが好ましい。
なお、エッチング処理後にレジスト残留部の一部または全部が残留していても、当該レジスト残留部は、次の焼成工程で除去される。
【0019】
〔7〕パターンの焼成工程
この工程においては、導電膜形成用ペースト層パターンおよび反射防止膜形成用ペースト層パターンを焼成処理して、電極を形成する。これにより、材料層残留部中の有機物質が焼失して、金属層、黒色顔料層などの無機物層が形成され、基板の表面に反射防止膜パターンと導電性パターンが形成されてなる電極を得ることができる。
ここに、焼成処理の温度としては、材料層残留部中の有機物質が焼失される温度であることが必要であり、通常、400〜600℃とされる。また、焼成時間は、通常10〜90分間とされる。
【0020】
<電極の形成方法2>
本発明における電極の形成方法は、支持フィルム上に導電膜形成用ペースト層を形成した後、当該導電性形成用ペースト層上に反射防止膜形成用ペースト層を積層形成してなる、本発明の電極形成用転写フィルムを用いることにより、さらに作業性を向上させるものである。ここに、導電膜形成用ペースト層および反射防止膜形成用ペースト層を形成する際には、ロールコータなどを使用することができ、これにより、膜厚の均一性に優れた積層膜を支持フィルム上に形成することができる。
本発明の転写フィルムを用いた電極の形成方法においては、〔1〕転写フィルム(反射防止膜形成用ペースト層・導電膜形成用ペースト層)の転写工程、〔2〕レジスト膜の形成工程、〔3〕レジスト膜の露光工程、〔4〕レジスト膜の現像工程、〔5〕導電膜形成用ペースト層・反射防止膜形成用ペースト層のエッチング工程、〔6〕パターンの焼成工程 により、電極を形成する。各形成工程の詳細については、上記「電極の形成方法1」に準ずる。
さらに、本発明の転写フィルムは、支持フィルム上にレジスト膜を形成した後、当該レジスト膜上に導電膜形成用ペースト層、反射防止膜形成用ペースト層を積層形成してなるものであってもよい。この場合、支持フィルム上に形成されたレジスト膜、導電膜形成用ペースト層および反射防止膜形成用ペースト層との積層膜を基板上に一括転写することが可能となり、当該転写フィルムを用いた電極の形成方法においては、〔1〕転写フィルム(反射防止膜形成用ペースト層・導電膜形成用ペースト層・レジスト層)の転写工程、〔2〕レジスト膜の露光工程、〔3〕レジスト膜の現像工程、〔4〕導電膜形成用ペースト層・反射防止膜形成用ペースト層のエッチング工程、〔5〕パターンの焼成工程 により、電極を形成する。各形成工程の詳細については、上記「電極の形成方法1」に準ずる。以上のような方法によれば、反射防止膜形成用ペースト層、導電膜形成用ペースト層およびレジスト膜とが基板上に一括転写されるので、工程の簡略化による製造効率を更に向上させることができる。
【0021】
以下に、前記の各工程に用いられる材料、各種条件などについて説明する。
<基板>
基板材料としては、例えばガラス、シリコンなどの絶縁性材料からなる板状部材が挙げられる。この板状部材の表面に対しては、必要に応じて、シランカップリング剤などによる薬品処理;プラズマ処理;イオンプレーティング法、スパッタリング法、気相反応法、真空蒸着法などによる薄膜形成処理のような適宜の前処理が施されていてもよい。
【0022】
<電極形成用転写フィルム>
本発明で用いられる電極形成用転写フィルムは、支持フィルムとこの支持フィルム上に形成された導電膜形成用ペースト層および/または反射防止膜形成用ペースト層とを有してなり、反射防止膜形成用ペースト層中の無機粒子重量に対する有機バインダー重量の比率が導電膜形成用ペースト層中の無機粒子重量に対する有機バインダー重量の比率よりも大きいことを特徴とする。また、上記電極形成用転写フィルムは、支持フィルム上にレジスト層と膜形成用ペースト層との積層膜が形成されたものであってもよい。当該積層膜を転写することにより、膜形成ペースト層上にレジスト膜が形成された積層膜を得ることができる。また当該導電膜形成用ペースト層および/または反射防止膜形成用ペースト層の表面に保護フィルム層が設けられていてもよい。
【0023】
(1)支持フィルム:
上記電極形成用転写フィルムを構成する支持フィルムは、耐熱性および耐溶剤性を有すると共に可撓性を有する樹脂フィルムであることが好ましい。支持フィルムが可撓性を有することにより、ロールコータによってペースト状組成物を塗布することができ、導電膜形成用ペースト層および/または反射防止膜形成用ペースト層をロール状に巻回した状態で保存し、供給することができる。支持フィルムを形成する樹脂としては、例えばポリエチレンテレフタレート、ポリエステル、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン、ポリイミド、ポリビニルアルコール、ポリ塩化ビニル、ポリフロロエチレンなどの含フッ素樹脂、ナイロン、セルロースなどを挙げることができる。支持フィルムの厚さとしては、例えば20〜100μmとされる。
なお、上記支持フィルムの表面には、離型処理が施されていることが好ましい。これにより、上記転写工程において、支持フィルムの剥離操作を容易に行うことができる。
【0024】
(2)反射防止膜形成用ペースト層:
上記電極形成用転写フィルムを構成する反射防止膜形成用ペースト層は、反射防止効果を有する黒色、灰色などの着色物質、有機バインダーおよび溶剤を必須成分として含有するペースト状の反射防止膜形成用ペースト組成物を前記支持フィルム上に塗布し、塗膜を乾燥して溶剤の一部又は全部を除去することにより形成することができる。
反射防止膜形成用ペースト組成物は、(a)着色物質、(b)有機バインダーおよび(c)溶剤を含有してなるペースト状の組成物である。
(a)着色物質
反射防止膜形成用ペースト組成物に使用される、反射防止効果を有する黒色、灰色などの着色物質としては、例えば、Mn、Fe、Cr、Ni、Co、Zn、Cu、Tiなどの金属およびその酸化物、複合酸化物、炭化物、窒化物、硫化物、けい化物、ほう化物やカーボンブラックなどの無機粒子を挙げることができる。
また、反射防止膜形成用ペースト組成物には、上記着色物質のほかに、任意成分として、導電性粒子、低融点ガラスなどの各種無機粒子が含有されていてもよい。特に、得られる電極の導電性を上げる目的で、後述する導電膜形成用ペースト組成物に用いられる導電性粒子を含有させることが好ましい。本発明における「無機粒子重量」とは、上記着色物質と導電性粒子、低融点ガラスなどの各種無機粒子を合わせた重量をいう。
また、上記無機粒子の平均粒径としては、好ましくは0.1〜10μm、より好ましくは0.2〜5μmである。無機粒子の平均粒径が0.1μm未満の場合は、無機粒子の比表面積が大きくなることから反射防止膜形成用ペースト中で粒子の凝集が発生しやすくなり、安定した分散状態を得るのが難しくなる。一方、無機粒子の平均粒径が10μm以上の場合は、高精細の電極パターンを得るのが難しくなる。
【0025】
(b)有機バインダー
反射防止膜形成用ペースト組成物に使用される有機バインダーには、結着樹脂が必須成分として含有される。結着樹脂としては種々の樹脂を用いることができるが、アルカリ可溶性樹脂を結着樹脂全体に対して30〜100重量%の割合で含有することが特に好ましい。
ここに、「アルカリ可溶性」とは、後述するアルカリ性のエッチング液によって溶解し、目的とするエッチング処理が遂行される程度に溶解性を有する性質をいう。
かかるアルカリ可溶性樹脂の具体例としては、例えば(メタ)アクリル系樹脂、ヒドロキシスチレン樹脂、ノボラック樹脂、ポリエステル樹脂などを挙げることができる。
このようなアルカリ可溶性樹脂のうち、特に好ましいものとしては、下記のモノマー(イ)とモノマー(ロ)との共重合体、又はモノマー(イ)と、モノマー(ロ)とモノマー(ハ)との共重合体などの(メタ)アクリル系樹脂を挙げることができる。
【0026】
モノマー(イ):
アクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、フマル酸、クロトン酸、イタコン酸、シトラコン酸、メサコン酸、ケイ皮酸、コハク酸(2−(メタ)アクリロイロキシエチル)、ω-カルボキシ-ポリカプロラクトンモノ(メタ)アクリレート、アクリル酸ダイマーなどのカルボキシル基含有モノマー類;(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシプロピル、(メタ)アクリル酸3−ヒドロキシプロピルなどの水酸基含有モノマー類;o−ヒドロキシスチレン、m−ヒドロキシスチレン、p−ヒドロキシスチレンなどのフェノール性水酸基含有モノマー類などに代表されるアルカリ可溶性官能基含有モノマー類。
モノマー(ロ):
メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、グリシジル(メタ)アクリレート、ジシクロペンタニル(メタ)アクリレート、n−ラウリル(メタ)アクリレートなどのモノマー(イ)以外の(メタ)アクリル酸エステル類;スチレン、α−メチルスチレンなどの芳香族ビニル系モノマー類;ブタジエン、イソプレンなどの共役ジエン類などに代表されるモノマー(イ)と共重合可能なモノマー類。
モノマー(ハ):
ポリスチレン、ポリ(メタ)アクリル酸メチル、ポリ(メタ)アクリル酸エチル、ポリ(メタ)アクリル酸ベンジルなどのポリマー鎖の一方の末端に、(メタ)アクリロイル基などの重合性不飽和基を有するマクロモノマーなどに代表されるマクロモノマー類:
【0027】
上記アルカリ可溶性樹脂の分子量としては、GPCによるポリスチレン換算の重量平均分子量として5,000〜1,000,000であることが好ましく、さらに好ましくは10,000〜500,000とされる。
また、有機バインダーには、上記結着樹脂のほかに、任意成分として、可塑剤、現像促進剤、接着助剤、ハレーション防止剤、保存安定剤、消泡剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤などの各種添加剤が含有されていてもよい。本発明における有機バインダー重量とは、上記結着樹脂と各種添加剤を合わせた重量をいう。各種添加剤の含有量は、有機バインダー全体に対して80重量%以下であることが好ましい。
【0028】
本発明においては、反射防止膜形成用ペースト層中の無機粒子重量に対する有機バインダー重量が、導電膜形成用ペースト層中の無機粒子重量に対する有機バインダー重量よりも大きいことを特徴とする。具体的には、反射防止膜形成用ペースト組成物中の有機バインダー重量が、無機粒子100重量部に対して、通常5〜1000重量部とされ、好ましくは10〜200重量部とされる。
反射防止膜形成用ペースト組成物に用いられる有機バインダーは、後述する導電膜形成用ペースト組成物に用いられる有機バインダーよりもアルカリ性のエッチング液に対する溶解性(アルカリ可溶性)が高い方が好ましい。反射防止膜形成用ペースト組成物に用いられる有機バインダーのアルカリ可溶性を導電膜形成用ペースト組成物に用いられる有機バインダーよりも高くすることにより、エッチング処理時にレジストパターンに対応する導電膜形成用ペースト層および反射防止膜形成用ペースト層のパターンを良好に形成し易くなり、また、エッチング部の下地基板上に膜残りや残さが生じにくくなる。有機バインダーのアルカリ可溶性は、結着樹脂の分子量や、上述した結着樹脂におけるアルカリ可溶性樹脂の含有量、アルカリ可溶性樹脂中のモノマー(イ)の共重合割合を加減することなどにより、コントロールすることができる。
【0029】
(c)溶剤
反射防止膜形成用ペースト組成物を構成する溶剤は、当該反射防止膜形成用ペースト組成物に、適当な流動性または可塑性、良好な膜形成性を付与するために含有される。
反射防止膜形成用ペースト組成物を構成する溶剤としては、上記無機粒子との親和性、上記有機バインダーの溶解性が良好で、反射防止膜形成用ペースト組成物に適度な粘性を付与することができ、乾燥されることによって容易に蒸発除去できるものである限り特に制限されるものではなく、例えばエーテル類、エステル類、エーテルエステル類、ケトン類、ケトンエステル類、アミド類、アミドエステル類、ラクタム類、ラクトン類、スルホキシド類、スルホン類、炭化水素類、ハロゲン化炭化水素類などを挙げることができる。
かかる溶剤の具体例としては、テトラヒドロフラン、アニソール、ジオキサン、エチレングリコールモノアルキルエーテル類、ジエチレングリコールジアルキルエーテル類、プロピレングリコールモノアルキルエーテル類、プロピレングリコールジアルキルエーテル類、酢酸エステル類、ヒドロキシ酢酸エステル類、アルコキシ酢酸エステル類、プロピオン酸エステル類、ヒドロキシプロピオン酸エステル類、アルコキシプロピオン酸エステル類、乳酸エステル類、エチレングリコールモノアルキルエーテルアセテート類、プロピレングリコールモノアルキルエーテルアセテート類、アルコキシ酢酸エステル類、環式ケトン類、非環式ケトン類、アセト酢酸エステル類、ピルビン酸エステル類、N,N−ジアルキルホルムアミド類、N,N−ジアルキルアセトアミド類、N−アルキルピロリドン類、γ−ラクトン類、ジアルキルスルホキシド類、ジアルキルスルホン類、ターピネオール、N−メチル−2−ピロリドンなどを挙げることができ、これらは単独でまたは2種以上を組み合わせて用いることができる。これらのうち、エチレングリコールモノアルキルエーテル類、ジエチレングリコールジアルキルエーテル類、プロピレングリコールモノアルキルエーテル類、プロピレングリコールジアルキルエーテル類、酢酸エステル類、ヒドロキシ酢酸エステル類、アルコキシ酢酸エステル類、プロピオン酸エステル類、ヒドロキシプロピオン酸エステル類、アルコキシプロピオン酸エステル類、乳酸エステル類、エチレングリコールモノアルキルエーテルアセテート類、プロピレングリコールモノアルキルエーテルアセテート類、アルコキシ酢酸エステル類、環式ケトン類、非環式ケトン類、アセト酢酸エステル類、ピルビン酸エステル類などが特に好ましく用いられる。
反射防止膜形成用ペースト組成物における溶剤の含有割合としては、良好な膜形成性(流動性または可塑性)が得られる範囲内において適宜選択することができる。
【0030】
反射防止膜形成用ペースト組成物は、上記無機粒子、有機バインダーおよび溶剤を、ロール混練機、ミキサー、ホモミキサー、ボールミル、ビーズミルなどの混練機を用いて混練することにより調製することができる。
上記のようにして調製される反射防止膜形成用ペースト組成物は、塗布に適した流動性を有するペースト状の組成物であり、その粘度は、通常100〜30,000cpとされ、好ましくは500〜10,000cpとされる。
反射防止膜形成用ペースト組成物を支持フィルム上に塗布する方法としては、膜厚の均一性に優れた膜厚の大きい(例えば1μm以上)塗膜を効率よく形成することができるものであることが必要とされ、具体的には、グラビアによる塗布方法、ダイによる塗布方法、ロールによる塗布方法、ドクターブレードによる塗布方法、ドクターロールによる塗布方法、カーテンコーターによる塗布方法、ワイヤーコーターによる塗布方法、などを好ましいものとして挙げることができる。
塗膜の乾燥条件としては、例えば、50〜150℃で0.5〜30分間程度とされ、乾燥後における溶剤の残存割合(反射防止膜形成用ペースト層中の含有率)は、通常2重量%以内とされる。
上記のようにして支持フィルム上に形成される反射防止膜形成用ペースト層の厚さとしては、無機粒子の含有率、部材の種類やサイズなどによっても異なるが、形成される反射防止膜の反射防止効果を損なわず、かつ反射防止膜形成用ペースト層の可撓性と転写性を損なわない限り薄い方が好ましく、通常20μm以下とされる。
なお、反射防止膜形成用ペースト層の表面に設けられることのある保護フィルム層としては、ポリエチレンフィルム、ポリビニルアルコール系フィルムなどを挙げることができる。
【0031】
(3)導電膜形成用ペースト層:
上記電極形成用転写フィルムを構成する導電膜形成用ペースト層は、導電性粒子、有機バインダーおよび溶剤を必須成分として含有するペースト状の導電膜形成用ペースト組成物を前記支持フィルム上に塗布し、塗膜を乾燥して溶剤の一部又は全部を除去することにより形成することができる。上記電極形成用転写フィルムを作製するために使用される導電膜形成用ペースト組成物は、(a)導電性粒子、(b)有機バインダーおよび(c)溶剤を含有してなるペースト状の組成物である。
【0032】
(a)導電性粒子
電極形成材料に使用される導電性粒子としては、Ag、Au、Cr、Ni、Al、Ag−Pd合金、Cuなどの無機粒子を挙げることができる。
また、導電膜形成用ペースト組成物には、上記導電性粒子のほかに、任意成分として、低融点ガラスなどの各種無機粒子が含有されていてもよい。本発明における「無機粒子重量」とは、上記導電性粒子と低融点ガラスなどの各種無機粒子を合わせた重量をいう。
また、上記無機粒子の平均粒径としては、好ましくは0.1〜10μm、より好ましくは0.2〜5μmである。無機粒子の平均粒径が0.1μm未満の場合は、無機粒子の比表面積が大きくなることから導電性膜形成用ペースト中で粒子の凝集が発生しやすくなり、安定した分散状態を得るのが難しくなる。一方、無機粒子の平均粒径が10μm以上の場合は、高精細の電極パターンを得るのが難しくなる。
【0033】
(b)有機バインダー
導電膜形成用ペースト組成物に使用される有機バインダーは、反射防止膜形成用ペースト組成物の有機バインダーと同様に、結着樹脂が必須成分として含有され、任意成分として、可塑剤、現像促進剤、接着助剤、ハレーション防止剤、保存安定剤、消泡剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤などの各種添加剤が含有される。本発明における有機バインダー重量とは、上記結着樹脂と可塑剤、分散剤、現像促進剤、接着助剤、ハレーション防止剤、保存安定剤、消泡剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤などの各種有機添加剤を合わせた重量をいう。各種添加剤の含有量は、有機バインダー全体に対して80重量%以下であることが好ましい。
本発明においては、反射防止膜形成用ペースト層中の無機粒子重量に対する有機バインダー重量が、導電膜形成用ペースト層中の無機粒子重量に対する有機バインダー重量よりも大きいことを特徴とする。具体的には、導電膜形成用ペースト組成物中の有機バインダー重量が、無機粒子100重量部に対して、通常1〜500重量部とされ、好ましくは5〜100重量部とされる。
(c)溶剤
導電膜形成用ペースト組成物を構成する溶剤は、当該導電膜形成用ペースト組成物に、適当な流動性または可塑性、良好な膜形成性を付与するために含有され、上述した反射防止膜形成用ペースト組成物に用いられる溶剤と同様のものを使用することができる。
【0034】
導電膜形成用ペースト組成物は、上記無機粒子、有機バインダー、および溶剤を、ロール混練機、ミキサー、ホモミキサー、ボールミル、ビーズミルなどの混練機を用いて混練することにより調製することができる。
上記のようにして調製される導電膜形成用ペースト組成物は、塗布に適した流動性を有するペースト状の組成物であり、その粘度は、通常100〜30,000cpとされ、好ましくは500〜10,000cpとされる。
導電膜形成用ペースト組成物を支持フィルム上に塗布する方法としては、上述した反射防止膜形成用ペースト組成物を支持フィルム上塗布する方法と同様の方法を用いることができる。
塗膜の乾燥条件としては、例えば、50〜150℃で0.5〜30分間程度とされ、乾燥後における溶剤の残存割合(導電膜形成用ペースト層中の含有率)は、通常2重量%以内とされる。
上記のようにして支持フィルム上に形成される導電膜形成用ペースト層の厚さとしては、無機粒子の含有率、部材の種類やサイズなどによっても異なるが、形成される導電膜の導電性を損なわない限り薄い方が好ましく、通常100μm以下とされる。
【0035】
(4)保護フィルム:
当該電極形成用転写フィルムの表面に設けられることのある保護フィルムとしては、ポリエチレンフィルム、ポリビニルアルコール系フィルムなどを挙げることができる。また、当該保護フィルムの表面には離型処理が施されていることが好ましい。
【0036】
<レジスト組成物>
本発明においては、導電膜形成用ペースト層上にレジスト膜が形成され、当該レジスト膜に露光処理および現像処理を施すことにより、前記導電膜形成用ペースト層上にレジストパターンが形成される。
レジスト膜を形成するために使用するレジスト組成物としては、アルカリ現像型感放射線性レジスト組成物、有機溶剤現像型感放射線性レジスト組成物、水性現像型感放射線性レジスト組成物などを例示することができるが、好ましくはアルカリ現像型感放射線性レジスト組成物が用いられる。なお、本発明でいう「放射線」とは、可視光線、紫外線、遠紫外線、電子線、X線などを含むものである。
【0037】
アルカリ現像型感放射線性レジスト組成物は、アルカリ可溶性樹脂と感放射線性成分を必須成分として含有してなる。
アルカリ現像型感放射線性レジスト組成物を構成するアルカリ可溶性樹脂としては、反射防止膜形成用ペースト組成物および導電膜形成用ペースト組成物の有機バインダー成分を構成するものとして例示したアルカリ可溶性樹脂を挙げることができる。
アルカリ現像型感放射線性レジスト組成物を構成する感放射線性成分としては、例えば、(イ)多官能性モノマーと光重合開始剤との組み合わせ、(ロ)メラミン樹脂と放射線照射により酸を形成する光酸発生剤との組み合わせ、(ハ)放射線照射によりアルカリ難溶性のものがアルカリ可溶性になる化合物などを例示することができ、上記(イ)の組み合わせのうち、多官能性(メタ)アクリレートと光重合開始剤とのネガタイプの組み合わせと(ハ)のポジタイプが特に好ましい。
【0038】
ネガタイプの感放射線性成分を構成する多官能性(メタ)アクリレートの具体例としては、エチレングリコール、プロピレングリコールなどのアルキレングリコールのジ(メタ)アクリレート類;ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコールなどのポリアルキレングリコールのジ(メタ)アクリレート類;両末端ヒドロキシポリブタジエン、両末端ヒドロキシポリイソプレン、両末端ヒドロキシポリカプロラクトンなどの両末端ヒドロキシル化重合体のジ(メタ)アクリレート類;グリセリン、1,2,4−ブタントリオール、トリメチロールアルカン、テトラメチロールアルカン、ジペンタエリスリトールなどの3価以上の多価アルコールのポリ(メタ)アクリレート類;3価以上の多価アルコールのポリアルキレングリコール付加物のポリ(メタ)アクリレート類;1,4−シクロヘキサンジオール、1,4−ベンゼンジオール類などの環式ポリオールのポリ(メタ)アクリレート類;ポリエステル(メタ)アクリレート、エポキシ(メタ)アクリレート、ウレタン(メタ)アクリレート、アルキド樹脂(メタ)アクリレート、シリコーン樹脂(メタ)アクリレート、スピラン樹脂(メタ)アクリレートなどのオリゴ(メタ)アクリレート類などを挙げることができ、これらは単独でまたは2種以上を組み合わせて使用することができる。
【0039】
また、ネガタイプの感放射線性成分を構成する光重合開始剤の具体例としては、ベンジル、ベンゾイン、ベンゾフェノン、カンファーキノン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2,2−ジメトキシ−2−フェニルアセトフェノン、2−メチル−〔4’−(メチルチオ)フェニル〕−2−モルフォリノ−1−プロパノン、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルフォリノフェニル)−ブタン−1−オンなどのカルボニル化合物;アゾイソブチロニトリル、4−アジドベンズアルデヒドなどのアゾ化合物あるいはアジド化合物;メルカプタンジスルフィドなどの有機硫黄化合物;ベンゾイルパーオキシド、ジ−tert−ブチルパーオキシド、tert−ブチルハイドロパーオキシド、クメンハイドロパーオキシド、パラメタンハイドロパーオキシドなどの有機パーオキシド;1,3−ビス(トリクロロメチル)−5−(2’−クロロフェニル)−1,3,5−トリアジン、2−〔2−(2−フラニル)エチレニル〕−4,6−ビス(トリクロロメチル)−1,3,5−トリアジンなどのトリハロメタン類;2,2’−ビス(2−クロロフェニル)4,5,4’,5’−テトラフェニル1,2’−ビイミダゾールなどのイミダゾール二量体などを挙げることができ、これらは単独でまたは2種以上を組み合わせて使用することができる。
【0040】
一方、ポジタイプの感放射線性化合物としては、ポリヒドロキシ化合物の1,2−ベンゾキノンジアジド−4−スルホン酸エステル、1,2−ナフトキノンジアジド−4−スルホン酸エステル、1,2−ナフトキノンジアジド−5−スルホン酸エステルおよび1,2−ナフトキノンジアジド−6−スルホン酸エステルなどが挙げられ、特に、1,2−ナフトキノンジアジド−4−スルホン酸エステル、1,2−ナフトキノンジアジド−5−スルホン酸エステルが好ましい。
感放射線性化合物は、例えば、ポリヒドロキシ化合物とキノンジアジドスルホニルクロリドとを塩基性触媒の存在下で反応させることにより得られる。通常、ポリヒドロキシ化合物の全水酸基に対するキノンジアジドスルホン酸エステルの割合(平均エステル化率)は、20%以上100%以下であり、好ましくは40%以上95%以下である。平均エステル化率が低すぎると、パターン形成が難しく、高すぎると感度の低下を招くことがある。
ここで、用いられるポリヒドロキシ化合物としては、特に限定されるものではないが、具体例として下記に示す化合物が挙げられる。
【0041】
【化1】
【0042】
(式中、X1 〜X15は、それぞれ相互に同一または異なり、水素原子、C1 〜C4 のアルキル基、C1 〜C4 のアルコキシ基、C6 〜C10のアリール基または水酸基である。ただし、X1 〜X5 およびX6 〜X10のそれぞれの組み合わせにおいて少なくとも1つは水酸基である。また、Y1 は、水素原子またはC1 〜C4 のアルキル基である。)
【0043】
【化2】
【0044】
(式中、X16〜X30は、前記X1 〜X15と同様である。ただし、X16〜X20、X21〜X25およびX26〜X30のそれぞれの組み合わせにおいて少なくとも1つは水酸基である。また、Y2 〜Y4 は、それぞれ相互に同一または異なり、水素原子またはC1 〜C4 のアルキル基である。)
【0045】
【化3】
【0046】
(式中、X31〜X44は、前記X1 〜X15と同様である。ただし、X31〜X35において少なくとも1つは水酸基である。また、Y5 〜Y8 は、それぞれ相互に同一または異なり水素原子またはC1 〜C4 のアルキル基である。)
【0047】
【化4】
【0048】
(式中、X45〜X58は、それぞれ相互に同一または異なり、水素原子、ハロゲン原子、C1 〜C4 のアルキル基、C1 〜C4 のアルコキシ基、C5 〜C7 のシクロアルキル基または水酸基である。ただし、X45〜X48およびX49〜X53のそれぞれの組み合わせにおいて少なくとも1つは水酸基である。また、Y9 およびY10は、それぞれ相互に同一または異なり水素原子、C1 〜C4 のアルキル基またはC5 〜C7 のシクロアルキル基である。)
【0049】
【化5】
【0050】
(式中、X59〜X80は、前記X45〜X58と同様である。ただし、X59〜X63、X64〜X67、X72〜X75およびX76〜X80のそれぞれの組み合わせにおいて少なくとも1つは水酸基である。また、Y11〜Y18は、それぞれ相互に同一または異なり水素原子またはC1 〜C4 のアルキル基である。)
【0051】
【化6】
【0052】
(式中、X81〜X90はそれぞれ相互に同一または異なり、水素原子、C1 〜C4 のアルコキシ基、C6 〜C10のアリール基または水酸基である。ただし、X81〜X90の組み合わせにおいて少なくとも1つは水酸基である。)
【0053】
このアルカリ現像型感放射線性レジスト組成物における感放射線性成分の含有割合としては、アルカリ可溶性樹脂100重量部当たり、通常1〜200重量部とされ、好ましくは5〜100重量部である。
また、アルカリ現像型感放射線性レジスト組成物については、良好な膜形成性付与するために、適宜有機溶剤が含有される。かかる有機溶剤としては、反射防止膜形成用ペースト組成物および導電膜形成用ペースト組成物を構成するものとして例示した溶剤を挙げることができる。
本発明において使用するレジスト組成物には、任意成分として、現像促進剤、接着助剤、ハレーション防止剤、保存安定剤、消泡剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、フィラー、蛍光体、顔料、染料などの各種添加剤が含有されていてもよい。
【0054】
<現像液>
レジスト膜の現像工程で使用される現像液としては、レジスト膜(レジスト組成物)の種類に応じて適宜選択することができる。具体的には、アルカリ現像型感放射線性レジスト組成物によるレジスト膜にはアルカリ現像液を使用することができる。
アルカリ現像液の有効成分としては、例えば水酸化リチウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、リン酸水素ナトリウム、リン酸水素二アンモニウム、リン酸水素二カリウム、リン酸水素二ナトリウム、リン酸二水素アンモニウム、リン酸二水素カリウム、リン酸二水素ナトリウム、ケイ酸リチウム、ケイ酸ナトリウム、ケイ酸カリウム、炭酸リチウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、ホウ酸リチウム、ホウ酸ナトリウム、ホウ酸カリウム、アンモニアなどの無機アルカリ性化合物;テトラメチルアンモニウムヒドロキシド、トリメチルヒドロキシエチルアンモニウムヒドロキシド、モノメチルアミン、ジメチルアミン、トリメチルアミン、モノエチルアミン、ジエチルアミン、トリエチルアミン、モノイソプロピルアミン、ジイソプロピルアミン、エタノールアミンなどの有機アルカリ性化合物などを挙げることができる。
レジスト膜の現像工程で使用されるアルカリ現像液は、前記アルカリ性化合物の1種または2種以上を水などに溶解させることにより調整することができる。ここに、アルカリ性現像液におけるアルカリ性化合物の濃度は、通常0.001〜10重量%とされ、好ましくは0.01〜5重量%とされる。なお、アルカリ現像液による現像処理がなされた後は、通常、水洗処理が施される。
【0055】
<エッチング液>
導電膜形成用ペースト層および反射防止膜形成用ペースト層のエッチング工程で使用されるエッチング液としては、アルカリ性溶液であることが好ましい。これにより、導電膜形成用ペースト層および反射防止膜形成用ペースト層に含有されるアルカリ可溶性樹脂を容易に溶解除去することができる。
なお、導電膜形成用ペースト層および反射防止膜形成用ペースト層に含有される無機粒子は、アルカリ可溶性樹脂により均一に分散されているため、アルカリ性溶液で有機バインダーであるアルカリ可溶性樹脂を溶解させ、洗浄することにより、無機粒子も同時に除去される。
ここに、エッチング液として使用されるアルカリ性溶液としては、現像液と同一組成の溶液であることがさらに好ましい。
エッチング液が、現像工程で使用するアルカリ現像液と同一の溶液であることにより、現像工程と、エッチング工程とを連続的に実施することが可能となり、工程の簡略化を図ることができる。
なお、アルカリ性溶液によるエッチング処理がなされた後は、通常、水洗処理が施される。
【0056】
【実施例】
以下、本発明の実施例について説明するが、本発明はこれらによって限定されるものではない。なお、以下において「部」は「重量部」を示す。
また、重量平均分子量(Mw)は、東ソー株式会社製ゲルパーミィエーションクロマトグラフィー(GPC)(商品名HLC−802A)により測定したポリスチレン換算の平均分子量である。
【0057】
実施例1
(1)反射防止膜形成用ペースト組成物の調製:
(a)着色物質として平均粒径0.4μmのニッケル粉末50部、その他の無機粒子として平均粒径1μmの銀粉末50部、平均粒径2μmのガラス粉末10部、(b)有機バインダーとしてn−ラウリルメタクリレート/n−ブチルメタクリレート/メタクリル酸=40/30/30(重量%)共重合体(Mw=250,000)80部、添加剤(分散剤)としてステアリン酸1部および(c)溶剤としてプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート100部を混練りすることにより、反射防止膜形成用ペースト組成物を調製した。
(2)導電膜形成用ペースト組成物の調製:
(a)導電性粒子として平均粒径1μmの銀粉末100部、その他の無機粒子として平均粒径2μmのガラス粉末10部、(b)有機バインダーとしてn−ラウリルメタクリレート/n−ブチルメタクリレート/メタクリル酸=40/40/20(重量%)共重合体(Mw=250,000)40部、添加剤(分散剤)としてステアリン酸1部および(c)溶剤としてプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート100部を混練りすることにより、導電膜形成用ペースト組成物を調製した。
(3)アルカリ現像型感放射線性レジスト組成物の調製:
アルカリ可溶性樹脂としてn−ブチルメタクリレート/メタクリル酸=70/30(重量%)共重合体(Mw=60,000)60部、多官能性モノマー(感放射線性成分)としてペンタエリスリトールテトラアクリレート40部、光重合開始剤(感放射線性成分)として2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルフォリノフェニル)−ブタン−1−オン5部および溶剤としてプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート100部を混練りすることにより、アルカリ現像型感放射線性レジスト組成物(以下、「レジスト組成物」という。)を調製した。
【0058】
(4)電極形成用転写フィルムの作製:
下記(イ)〜(ハ)の操作により、レジスト膜、導電膜形成用ペースト層および反射防止膜形成用ペースト層を有する積層膜が支持フィルム上に形成されてなる本発明の転写フィルムを作製した。
(イ)(3)で調製したレジスト組成物を予め離型処理した膜厚38μmのPETフィルムよりなる支持フィルム上にロールコータを用いて塗布し、塗膜を100℃で5分間乾燥して溶剤を完全に除去し、厚さ5μmのレジスト膜を支持フィルム上に形成した。
(2)で調製した導電膜形成用ペースト組成物をレジスト膜上にロールコータを用いて塗布し、塗膜を100℃で5分間乾燥して溶剤を完全に除去し、膜厚32μmの導電膜形成用ペースト層をレジスト膜上に形成した。
(ハ)(1)で調製した反射防止膜形成用ペースト組成物を導電膜形成用ペースト層上にロールコータを用いて塗布し、塗膜を100℃で5分間乾燥して溶剤を完全に除去し、膜厚8μmの反射防止膜形成用ペースト層を導電膜形成用ペースト層上に形成した。
【0059】
(5)転写フィルムの可撓性評価:
上記(4)で作製した転写フィルムを折り曲げ、膜形成ペースト層の表面にひび割れ(屈曲亀裂)の発生を目視確認することにより、当該転写フィルムの可撓性評価を行った。可撓性が良好なものを○、ひび割れが発生したものを×として、評価結果を表1に示す。
(6)転写フィルムの転写性評価:
予めホットプレート上で80℃に加熱されたガラス基板の表面に、反射防止膜形成用ペースト層の表面が当接されるよう上記(4)で作製した転写フィルムを重ね合わせ、この転写フィルムを加熱ローラに熱圧着した。ここで、圧着条件としては、加熱ローラの表面温度を120℃、ロール圧を4kg/cm、加熱ローラの移動速度を0.5m/分とした。熱圧着処理の終了後、転写フィルム(レジスト膜の表面)から支持フィルムを剥離除去し、ガラス基板の表面に転写フィルムが転写されて密着した状態となることを目視確認することにより、当該転写フィルムの転写性評価を行った。転写性良好なものを○、基板との密着不良により、転写もしくは支持フィルム剥離が不可能なものを×として、評価結果を表1に示す。
【0060】
(7)パターニング特性の評価:
上記(6)においてガラス基板上に形成された転写膜中のレジスト膜に対して、露光用マスク(50μm幅のストライプパターン)を介して、超高圧水銀灯により、i線(波長365nmの紫外線)を200mJ/cm2照射し、次いで、露光処理されたレジスト膜に対して、0.1重量%の水酸化カリウム水溶液(25℃)を現像液とするシャワー法によるレジスト膜の現像処理および連続して0.1重量%の水酸化カリウム水溶液(25℃)をエッチング液とするシャワー法による導電膜形成用ペースト層と反射防止膜形成用ペースト層のエッチング処理を、合計3分間行った。
次いで、超純水による水洗処理および乾燥処理を行い、パターンの欠損、欠落を光学顕微鏡観察することにより、パターニング特性評価を行った。パターニング特性が良好なものを○、パターンに欠損、欠落が見られたものを×として、評価結果を表1に示す。
(8)電極パターンの導電性評価:
上記(6)においてパターンが形成されたガラス基板を焼成炉内で600℃の温度雰囲気下で30分間にわたり焼成処理を行い、ガラス基板の表面に電極パターン形成した。得られた電極パターンの膜厚を触針式段差測定器により測定した。また、得られた電極パターンの抵抗率を4探針法により測定し、比抵抗率を算出することにより当該電極パターンの導電性評価を行った。評価結果を表1に示す。
【0061】
<比較例1>
実施例1中(1)反射防止膜形成用ペースト組成物の調製における(b)有機バインダーとしてn−ラウリルメタクリレート/n−ブチルメタクリレート/メタクリル酸=40/30/30(重量%)共重合体(Mw=250,000)40部を用いた以外は実施例1と同様にして、転写フィルムの作製、電極の形成および評価を行った。評価結果を表1に示す。
<比較例2>
比較例1中(4)電極形成用転写フィルムの製造(ハ)において、膜厚4μmの反射防止膜形成用ペースト層を導電膜形成用ペースト層上に形成した以外は比較例1と同様にして、転写フィルムの作製、電極の形成および評価を行った。評価結果を表1に示す。
<比較例3>
実施例1中(2)導電膜形成用ペースト組成物の調製における(b)有機バインダーとしてn−ラウリルメタクリレート/n−ブチルメタクリレート/メタクリル酸=40/40/20(重量%)共重合体(Mw=250,000)80部を用いた以外は実施例1と同様にして、転写フィルムの作製、電極の形成および評価を行った。評価結果を表1に示す。
<比較例4>
比較例3中(4)電極形成用転写フィルムの製造(ロ)において、膜厚54μmの導電膜形成用ペースト層をレジスト膜上に形成した以外は比較例3と同様にして、転写フィルムの作製、電極の形成および評価を行った。評価結果を表1に示す。
【0062】
【表1】
【0063】
【発明の効果】
本発明の電極形成用転写フィルムは、エッチング処理時にレジストパターンに対応する導電膜形成用ペースト層および反射防止膜形成用ペースト層のパターンを良好に形成可能であり、かつ良好な可撓性と転写性を保持しながら反射防止膜を薄膜化することにより、当該パターンを焼成処理を工程を含む方法により基板の表面に導電性に優れた電極パターンを形成することができる。
したがって、本発明の電極形成用転写フィルムは、プラズマディスプレイパネルなどの電極形成のために好適に使用することができる。
Claims (8)
- 支持フィルム上に形成された反射防止膜形成用ペースト層を基板上に転写し、別の支持フィルム上に形成された導電膜形成用ペースト層を反射防止膜形成用ペースト層上に転写し、導電膜形成用ペースト層上にレジスト膜を形成し、当該レジスト膜を露光処理して、レジストパターンの潜像を形成し、当該レジスト膜を現像処理してレジストパターンを顕在化させ、導電膜形成用ペースト層および反射防止膜形成用ペースト層をエッチング処理してレジストパターンに対応する導電膜形成用ペースト層および反射防止膜形成用ペースト層のパターンを形成し、当該パターンを焼成処理する工程を有する電極の形成方法において、
反射防止膜形成用ペースト層は少なくとも着色物質を含む無機粒子および有機バインダーを含有し、かつ、導電膜形成用ペースト層は少なくとも導電性粒子を含む無機粒子および有機バインダーを含有し、反射防止膜形成用ペースト層中の無機粒子重量に対する有機バインダー重量の比率が、導電膜形成用ペースト層中の無機粒子重量に対する有機バインダー重量の比率よりも大きいことを特徴とする、電極の形成方法。 - 導電膜形成用ペースト層および反射防止膜形成用ペースト層を有する積層膜を支持フィルム上に形成し、当該積層膜を基板上に転写し、転写された当該積層膜上にレジスト膜を形成し、当該レジスト膜を露光処理してレジストパターンの潜像を形成し、当該レジスト膜を現像処理してレジストパターンを顕在化させ、導電膜形成用ペースト層および反射防止膜形成用ペースト層をエッチング処理してレジストパターンに対応する導電膜形成用ペースト層および反射防止膜形成用ペースト層のパターンを形成し、当該パターンを焼成処理する工程を有する電極の形成方法において、
反射防止膜形成用ペースト層は少なくとも着色物質を含む無機粒子および有機バインダーを含有し、かつ、導電膜形成用ペースト層は少なくとも導電性粒子を含む無機粒子および有機バインダーを含有し、反射防止膜形成用ペースト層中の無機粒子重量に対する有機バインダー重量の比率が、導電膜形成用ペースト層中の無機粒子重量に対する有機バインダー重量の比率よりも大きいことを特徴とする、電極の形成方法。 - レジスト層、導電膜形成用ペースト層および反射防止膜形成用ペースト層を有する積層膜を支持フィルム上に形成し、当該積層膜を、基板の表面に、反射防止膜形成用ペースト層の表面が当接されるように転写し、転写された当該積層膜におけるレジスト層を露光処理してレジストパターンの潜像を形成し、当該レジスト層を現像処理してレジストパターンを顕在化させ、導電膜形成用ペースト層および反射防止膜形成用ペースト層をエッチング処理してレジストパターンに対応する導電膜形成用ペースト層および反射防止膜形成用ペースト層のパターンを形成し、当該パターンを焼成処理する工程を有する電極の形成方法において、
反射防止膜形成用ペースト層は少なくとも着色物質を含む無機粒子および有機バインダーを含有し、かつ、導電膜形成用ペースト層は少なくとも導電性粒子を含む無機粒子および有機バインダーを含有し、反射防止膜形成用ペースト層中の無機粒子重量に対する有機バインダー重量の比率が、導電膜形成用ペースト層中の無機粒子重量に対する有機バインダー重量の比率よりも大きいことを特徴とする、電極の形成方法。 - レジスト層の現像処理に用いられる現像液と、導電膜形成用ペースト層および反射防止膜形成用ペースト層のエッチング処理に用いられるエッチング液が同一組成の溶液であり、現像工程とエッチング工程とが連続的に実施されることを特徴とする請求項1〜請求項3のいずれかに記載の電極の形成方法。
- 支持フィルム上に、少なくとも導電性粒子を含む無機粒子および有機バインダーを含有する導電膜形成用ペースト層と、少なくとも着色物質を含む無機粒子および有機バインダーを含有する反射防止膜形成用ペースト層とを積層してなり、反射防止膜形成用ペースト層中の無機粒子重量に対する有機バインダー重量の比率が、導電膜形成用ペースト層中の無機粒子重量に対する有機バインダー重量の比率よりも大きいことを特徴とする、電極形成用転写フィルム。
- 支持フィルム上に、レジスト層と、少なくとも導電性粒子を 含む無機粒子および有機バインダーを含有する導電膜形成用ペースト層と、少なくとも着色物質を含む無機粒子および有機バインダーを含有する反射防止膜形成用ペースト層とを積層してなり、反射防止膜形成用ペースト層中の無機粒子重量に対する有機バインダー重量の比率が、導電膜形成用ペースト層中の無機粒子重量に対する有機バインダー重量の比率よりも大きいことを特徴とする、電極形成用転写フィルム。
- 反射防止膜形成用ペースト層は、有機バインダー重量が、無機粒子100重量部に対して10〜200重量部であることを特徴とする請求項5または請求項6に記載の電極形成用転写フィルム。
- 導電膜形成用ペースト層は、有機バインダー重量が、無機粒子100重量部に対して5〜100重量部であることを特徴とする請求項5または請求項6に記載の電極形成用転写フィルム。
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