JP3537432B1 - 魚骨除去装置、魚骨除去方法および魚骨除去用櫛歯状切断刃 - Google Patents

魚骨除去装置、魚骨除去方法および魚骨除去用櫛歯状切断刃

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JP3537432B1 JP2003274228A JP2003274228A JP3537432B1 JP 3537432 B1 JP3537432 B1 JP 3537432B1 JP 2003274228 A JP2003274228 A JP 2003274228A JP 2003274228 A JP2003274228 A JP 2003274228A JP 3537432 B1 JP3537432 B1 JP 3537432B1
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Abstract

【要約】 【課題】 魚の脊椎骨およびピンボーンを容易に除去
し、骨に残る魚肉を減らして歩留まりを向上し、しかも
身崩れが少ない魚骨除去装置を提供する。 【解決手段】 ピンボーンの隙間に挿入される多数の櫛
歯を備えた1対の櫛歯状切断手段8と、挿入された各櫛
歯81によってピンボーンを狭持させるピンボーン狭持
手段9と、前記各櫛歯81に脊椎骨側へ押圧力を付与し
て前記脊椎骨を狭持させる脊椎骨狭持手段9と、これら
狭持状態にある各櫛歯を魚体の前方側に移動させて各ピ
ンボーンを脊椎骨と共に引き抜く魚骨引抜手段106と
を有し、櫛歯状切断手段8の櫛歯81によってピンボー
ン間の魚肉を切断した後、ピンボーンを狭持すると共に
脊椎骨を狭持し、これらピンボーンと脊椎骨を魚肉と分
離して引き抜く。

Description

【発明の詳細な説明】 【技術分野】
【0001】本発明は、魚骨除去装置、魚骨除去方法お
よび魚骨除去用櫛歯状切断刃に係り、特に、鰯や鰊(ニ
シン)、鯖、ホッケ、鮭等の魚体の脊椎骨および肋骨は
もとより細くて折れ易い、いわゆるピンボーンを除去す
る技術に関する。
【背景技術】
【0002】従来から、魚を三枚卸しにして魚体から骨
を除去しフィレ状に加工する技術が提案されている。例
えば、特開平8−70760号公報に記載の魚体処理装
置は、頭部が切断された魚体の腹部を開腹用切断刃によ
り切断し、ガッティングプーリにより内臓を掻き出し、
さらに腹骨除去手段によって肋骨(腹骨ともいう)を除
去した後に、フィレ用切断刃により背腹方向に切断され
て脊椎骨(中骨ともいう)から魚のフィレが切り取られ
るようになっている。
【0003】しかし、このように加工されたフィレに
は、多数のピンボーンと称される小骨や上神経骨が残っ
ている。ピンボーンは、脊椎骨から生えており、その付
け根付近から先端にかけて魚肉や神経組織と結合されて
いる。ピンボーンは、肋骨に比べると細くて小さい小骨
であるが、食すると口内壁や喉に刺さって傷付けること
があるため、魚嫌いの原因になったり、子供に魚を食べ
させるのを控える要因にもなっている。
【0004】特に、図11に示すように、鰯や鰊、鮭の
ピンボーンは脊椎骨に上下2段で生えており、本数が多
くて除去するのが極めて難しい。また、ホッケや鮭のピ
ンボーンは付け根の関節が弱いため簡単に折れてしまい
魚肉に残り易い。実際の現場では、作業者の手作業によ
りピンセット等の骨抜き具を使って一本一本抜き取る作
業が行われている。ただ、この抜き取り作業の際、作業
者はピンボーンの位置を指で押して確認したり、取り残
しがないか指で押して確認するため、身崩れが著しい。
このため、ピンボーン除去後に結着剤を使って崩れた身
を魚肉に戻す作業をしなければならない。この作業は煩
わしいし、到底、刺身商品などにはできないし、消費者
が嫌悪感を示している。
【0005】一方、特開2002−238445号公報
には、ピンボーン除去に関する発明が記載されている
(特許文献1)。この発明は、ピンボーン除去手段とし
て温熱注入針を備えており、筋肉と結合している神経に
温水を注入することによって神経を分解し、筋肉と神経
との結合力を弱めてピンボーンを抜けやすくしてからア
ボシュナイフによりフィレを切断するようになってい
る。
【0006】
【特許文献1】特開2002−238445号公報
【発明の開示】 【発明が解決しようとする課題】
【0007】しかしながら、前述した特許文献1によれ
ば、ピンボーンと魚体筋肉組織との結合部分に、約85
℃〜90℃の蒸気または高温エア、温水を約2秒間注入
するようになっているため、魚肉が加熱されてしまって
刺身等にはできない。実際にはフレーク状に加工するこ
とになる。
【0008】また、特許文献1では、ピンボーン周辺の
結合力を弱めた後にアボシュナイフを脊椎骨に沿って頭
部から尻尾側に移動させており、これによって脊椎骨か
ら魚肉を切り離すようになっている。しかし、鰯や鰊等
の小型魚のピンボーンは細くて折れやすいため、ピンボ
ーンと魚体筋肉組織との結合力を弱めていたとしても、
前記アボシュナイフを脊椎骨に沿って後方に移動させた
場合、ピンボーンも一緒に切断され、結局、ピンボーン
を除去できずに魚肉に残ってしまう。
【0009】本発明は、以上のような問題を解決するた
めになされたもので、魚の脊椎骨およびピンボーンを容
易に除去することができるとともに、骨に残る魚肉を減
らして歩留まりを向上し、しかも身崩れが少なくて刺身
用にもできる魚骨除去装置、魚骨除去方法および魚骨除
去用櫛歯状切断刃を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0010】本発明に係る魚骨除去装置の特徴は、魚体
のピンボーンの付け根付近の隙間に挿入されて魚肉を切
断する多数の櫛歯を備えた1対の櫛歯状切断手段と、こ
れら挿入された各櫛歯の隙間を狭めてこれら櫛歯によっ
てピンボーンを狭持させるピンボーン狭持手段と、ピン
ボーン間に挿入された各櫛歯に脊椎骨側へ押圧力を付与
して前記脊椎骨を狭持させる脊椎骨狭持手段と、これら
ピンボーンおよび脊椎骨を狭持した各櫛歯を魚体の前方
または斜め上方若しくは斜め下方に移動させて各ピンボ
ーンを脊椎骨と共に引き抜く魚骨引抜手段とを有する点
にある。なお、櫛歯の形状は、先端が鋭角状に形成され
ていることが好ましいが、これに限らず、ピンボーン間
に差し込まれて魚肉を切断できるものであればよい。ま
た、各手段は自動または手動にて駆動させることが可能
とされる。
【0011】そして、このような構成を採用したことに
より、櫛歯状切断手段の櫛歯によってピンボーン間の魚
肉を切断した後、ピンボーンを狭持すると共に脊椎骨を
狭持し、これらピンボーンと脊椎骨を魚肉と分離して引
き抜く。
【0012】また、本発明では、ピンボーンの狭持を容
易に実行するため、各櫛歯が、その歯幅の寸法が各ピン
ボーン間の間隔よりも小さく、かつ、その歯厚の寸法が
隣接する櫛歯間の隙間よりも大きく形成され、その軸線
回りに回動自在に支持されており、ピンボーン狭持手段
は、各櫛歯が各ピンボーン間の隙間に挿入されたとき
に、これらの各櫛歯を回転させて隣り合う櫛歯の厚さ方
向の面を互いに当接させ、この当接面により各ピンボー
ンを狭持させるようになっていることが好ましい。
【0013】さらに、本発明では、ピンボーンの狭持と
脊椎骨の狭持とを一連の動作で簡単に行うために、ピン
ボーン狭持手段および脊椎骨狭持手段として、櫛歯がピ
ンボーン間に挿入された先の進行経路上に配置され、こ
の挿入動作に伴ってピンボーンを狭持する方向に各櫛歯
を回動させながら脊椎骨側に移動させる傾斜ガイド面を
備えた櫛歯締めガイドを有していることが好ましい。
【0014】また、本発明では、櫛歯を狭いピンボーン
間であっても傷付けることなく挿入するため、各櫛歯
は、脊椎骨に対してピンボーンの生えている方向と略一
致する方向に傾斜された初期位置が設定されており、ピ
ンボーン狭持手段による回転力に対抗して前記初期位置
に戻す方向に各櫛歯を付勢する付勢部材を設けているこ
とが望ましい。
【0015】さらに、本発明では、櫛歯を魚体の背部側
から容易にピンボーン間に挿入するため、櫛歯状切断手
段の上流側における魚体の搬送経路上に配置されてお
り、前記魚体の背部を背鰭の両側に沿って脊椎骨位置若
しくは脊椎骨近傍位置まで切り込みを入れるための背部
切込手段と、この背部切込手段によって形成された背部
切込面に挿入されて背鰭側の背部切込面を保持する背部
切込面保持手段とを備えていることが好ましい。
【0016】また、本発明の魚骨除去装置の特徴は、魚
骨除去処理を自動化するために、魚体の搬送方向に沿っ
て延在されており、前記魚体の切開した腹腔内面を支持
しながら魚体を搬送方向へ案内する魚体ガイド手段と、
この魚体ガイド手段に沿って長手方向の両側に配置され
ており、前記魚体の両体側面を押圧して前記魚体ガイド
手段との間で前記魚体を狭持しつつ搬送方向下流側に搬
送する搬送手段と、魚体の搬送経路上に配置されてお
り、前記魚体の背部を背鰭の両側に沿って脊椎骨位置若
しくは脊椎骨近傍位置まで切り込みを入れるための背部
切込手段と、脊椎骨から生える多数のピンボーン間の隙
間に挿入可能な歯幅に形成された多数の回動櫛歯を魚体
の体長方向に配列し、回動自在に支持してなる左右一対
の櫛歯状切断手段と、前記ピンボーンの隙間に挿入され
た回動櫛歯を軸線回りに回転させて、隣接する回動櫛歯
との当接面によって各ピンボーンを狭持させるピンボー
ン狭持手段と、魚体の左右両側に配された各回動櫛歯を
脊椎骨側へ移動させて各回動櫛歯により前記脊椎骨を狭
持させる脊椎骨狭持手段と、前記櫛歯状切断手段を魚体
の背腹方向に移動させる挿入用駆動部および前記櫛歯状
切断手段を魚体の前方側に移動させる魚骨引抜用駆動部
を備えた櫛歯駆動手段とを有する点にある。
【0017】また、この場合、前記魚体ガイド手段に沿
って前記背部切込手段の下流側に配置され、この背部切
込手段によって形成された背部切込面に挿入されて背鰭
側の背部切込面を保持する背部切込面保持手段を備えて
いることが好ましい。
【0018】本発明に係る魚骨除去方法の特徴は、多数
の櫛歯を前記魚体におけるピンボーンの付け根付近の隙
間に挿入する櫛歯挿入ステップと、これら挿入した各櫛
歯によって各ピンボーンを狭持するピンボーン狭持ステ
ップと、各ピンボーンの隙間に挿入された櫛歯に脊椎骨
側への押圧力を与えてこの脊椎骨を狭持する脊椎骨狭持
ステップと、これらピンボーンおよび脊椎骨を狭持して
いる各櫛歯を前記魚体の前方または斜め上方若しくは斜
め下方に移動して前記各ピンボーンを脊椎骨と共に引き
抜く魚骨引抜ステップとを有する点にある。
【0019】また、本発明に係る魚骨除去装置の特徴
は、魚体のピンボーンの付け根付近の隙間に挿入されて
魚肉を切断する複数の櫛歯を備えた1対の櫛歯状切断手
段と、この櫛歯状切断手段の各櫛歯に対して対向する方
向から挿入されて各櫛歯に歯合することによりピンボー
ンを狭持する複数の狭持用櫛歯を備えた櫛歯状狭持手段
と、これら櫛歯状切断手段の櫛歯および櫛歯状狭持手段
の狭持用櫛歯に脊椎骨側への押圧力を付与して前記脊椎
骨を狭持させる脊椎骨狭持手段と、これらピンボーンお
よび脊椎骨を狭持した各櫛歯を魚体の前方または斜め上
方若しくは斜め下方に移動させて各ピンボーンを脊椎骨
と共に引き抜く魚骨引抜手段とを有する点にある。これ
により、櫛歯と狭持用櫛歯とによって両方向からピンボ
ーンを狭持して引き抜く。
【0020】また、本発明に係る魚骨除去用櫛歯状切断
刃の特徴は、多数の櫛歯を直線状に配列し、各櫛歯の歯
幅が魚体の各ピンボーン間の隙間よりも小さく、かつ、
その歯厚が隣接する櫛歯間の隙間よりも大きく形成され
ており、各櫛歯を軸線回りに回動自在に支持してなる点
にある。
【0021】さらに、本発明に係る魚骨除去装置の特徴
は、前記魚体の切開した腹腔内面を支持する魚体支持手
段と、魚体の上方または下方から魚体のピンボーン間に
挿入される多数の櫛歯を備えた1対の櫛歯状切断手段
と、これらの櫛歯状切断手段を魚体の背腹方向に移動さ
せて櫛歯を各ピンボーン間の隙間に挿入した後、さらに
その背腹方向に沿った方向に移動または両体側の斜め外
側方向に角度を変えて移動させる櫛歯駆動手段とを有す
る点にある。これによれば、ピンボーンの付け根の関節
が強い魚体の場合には、ピンボーンを狭持することな
く、ピンボーンから魚肉を剥離するように各櫛歯を移動
させて、両者を分離する。
【0022】また、例えばこのような魚骨除去装置に使
用される魚骨除去用の櫛歯状切断刃の特徴は、先端が鋭
角状の刃面に形成された多数の櫛歯を直線状に配列し、
各櫛歯の歯幅を魚体の各ピンボーン間の隙間よりも小さ
く形成し、かつ、各櫛歯を前記各ピンボーンが進入し得
る間隔を隔てて固定してなる点にある。これによりピン
ボーン間の魚肉を切断しつつ、ピンボーンから魚肉を剥
離させられる。
【発明の効果】
【0023】本発明によれば、鮭等の中型魚から鰯や鰊
等の小型魚まで各種魚の脊椎骨およびピンボーンを簡単
かつ迅速に除去することができるとともに、骨に残る魚
肉をほとんどなくして歩留まりを向上させることがで
き、しかも身崩れすることなく刺身にも使用可能な魚肉
を得ることができる等の効果を奏する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0024】以下、本発明に係る魚骨除去装置、魚骨除
去方法および魚骨除去用櫛歯状切断刃の実施形態の一例
を図面を用いて説明する。まず、本実施形態の魚骨除去
装置1の特徴について概説すると、第1に魚体の脊椎骨
から派生しているピンボーンを狭持すること、第2に脊
椎骨を狭持すること、第3にこれら狭持したピンボーン
及び脊椎骨を引き抜くことにある。第1のピンボーンを
狭持する際に、ピンボーン間に切断刃を差し込んで魚肉
を切断することが好ましい。魚骨の引き抜きが容易にな
るからである。上記条件が揃えば、上方、下方、上下両
方のいずれから挿入してもよい。上下方向には、垂直上
下方向はもとより斜め上下方向も含まれる。ただ、魚骨
の生えている方向や魚肉繊維方向を考慮すると、上方若
しくは斜め前上方から挿入するのが好ましく、引き抜き
方向は前方若しくは斜め上前方が好ましい。
【0025】本第1実施形態の魚骨除去装置1は、図1
および図2に示すように、主として、長手方向に平行に
延在され各構成部を支持する本体フレーム2と、この本
体フレーム2の長手方向ほぼ中央ライン上で支持されて
おり開腹された魚体の腹腔内面を支持しながら魚体を搬
送方向へ案内する魚体ガイド手段3と、この魚体ガイド
手段3の長手方向の両側に配置されており魚体の左右両
側の体側面を狭持しつつ搬送する搬送手段4と、前記魚
体ガイド手段3に沿って回転自在に軸支されて腹腔内面
の皮および肋骨を切除する皮・肋骨切除手段5と、この
皮・肋骨切除手段5の下流側における搬送経路上に配置
されており背鰭の両側を脊椎骨に沿って尻尾側に予備的
な切り込みを入れる背部切込手段6と、この背部切込手
段6によって形成された背部切込面の脊椎骨側を左右か
ら保持する背部切込面保持手段7と、この背部切込面保
持手段7に沿って魚体の背部切込面からピンボーンの付
け根付近の隙間に挿入される多数の回動櫛歯81,81
を備えた櫛歯状切断手段8と、これら挿入した各回動櫛
歯81,81によって各ピンボーンを狭持させると共に
脊椎骨を狭持させる魚骨狭持手段9と、前記櫛歯状切断
手段8を駆動する櫛歯駆動手段10とを有している。
【0026】本第1実施形態の各構成部についてより詳
細に説明する。本体フレーム2は、各構成部を支持する
ための骨組み構造を備えている。また、魚体ガイド手段
3は、本体フレーム2の長手方向の中央ライン上に配置
されている。この魚体ガイド手段3は、背部切込手段6
の手前で2種類のガイド部に分けられており、上流側に
は2つの傾斜支持面31,31から構成される断面略山
形状の山形状ガイド3aが配置され、下流側には平板状
の縦板状ガイド3bが配置されている。このうち山形状
ガイド3aは、2つの傾斜支持面31,31により魚体
の腹腔内面を支持し、魚体の腹部を適当な角度に広げて
長手方向へと案内する。山形状の頂点から裾野までの長
さは、魚体をガイドする機能が確保される長さに設定さ
れる。皮・肋骨切除手段5により切除されることを考慮
して、通常、魚体の腹部(ハラス)の上下中央よりも下
方側を支持できるように設定される。一方、縦板状ガイ
ド3bは、皮と肋骨が除去された後の魚体の脊椎骨を下
方から支持するものであり、魚骨除去処理の終端位置ま
で延在されている。この縦板状ガイド3bは、櫛歯状切
断手段8による各回動櫛歯81,81が挿入された際に
邪魔をしない厚さに形成されている。
【0027】また、縦板状ガイド3bの終端近傍には、
魚体検知ストッパ32が設けられている。この魚体検知
ストッパ32は、搬送されてきた魚体に当接して停止さ
せるとともに、魚体が搬送されたことを検知して櫛歯状
切断手段8の動作を開始させるタイミングを取るように
なっている。魚体検知ストッパ32は、魚骨を引き抜く
経路を確保するために中央位置に引抜用隙間(図示しな
い)が形成された二股状に形成されている。この形状は
中央部に脊椎骨やピンボーン等が通過できる幅の引抜用
隙間が形成されていればよく、左右に2分割されていて
もよい。
【0028】次に、搬送手段4について説明する。搬送
手段4は、1対の魚体搬送ベルト41,41によって構
成されており、これらの魚体搬送ベルト41,41は魚
体ガイド手段3に沿って左右に配置されている。搬送方
向の上流側には、ベルト駆動モータ42が設けられてお
り、このベルト駆動モータ42の動力により平歯車43
やベアリングを収容しているベアリングケース44を介
して左右1対の駆動ローラ45,45が駆動されるよう
になっている。さらに搬送方向下流側には左右1対のテ
ンションローラ46,46が設けられており、これら駆
動ローラ45,45およびテンションローラ46,46
にそれぞれ左右の魚体搬送ベルト41,41が巻回され
て周回するようになっている。また、駆動ローラ45,
45およびテンションローラ46,46の近傍には、1
対のベルト調整ローラ47,47が配置されており、左
右の魚体搬送ベルト41,41の間隔を魚体の大きさや
種類に応じて調整するようになっている。
【0029】また、図1および図2に示すように、セン
ターライン上であって、皮・肋骨切除手段5、背部切込
手段6、櫛歯状切断手段8の各直前位置には、魚体のセ
ンター位置合わせを行うセンター位置合わせ手段11が
設けられている。このセンター位置合わせ手段11は、
センターラインから等距離の位置決めを行うために歯合
した1対のセンター歯車111と、このセンター歯車1
11に連結板112を介して回転自在に軸支された1対
のセンター出しローラ113,113と、これらセンタ
ー出しローラ113,113に魚体の狭持力を付与する
センタースプリング114と、センター位置を調整する
センター調整ボルト115とから構成されている。セン
ター出しローラ113,113は、センター歯車111
によって設定された間隔でセンタースプリング114の
狭持力を受けつつ搬送ベルトをセンターライン側へ押圧
している。なお、大きい魚体が通過した場合には、1対
のセンター歯車111がスプリングの付勢力に対抗して
回転し、センター出しローラ113,113間の間隔を
広げる。このようにセンター位置合わせローラ92の間
隔は、常にセンターラインから等距離に維持される。
【0030】次に、皮・肋骨切除手段5について説明す
る。皮・肋骨切除手段5は、山形状ガイド3aに沿って
搬送される魚体の腹腔内面における皮と肋骨を切断する
ものである。皮・肋骨切除手段5は、山形状ガイド3a
の傾斜支持面31,31に沿ってピロブロック51によ
り回転自在に軸支されている1対の丸刃状の皮・肋骨回
転カッター52,52を備えている。これらの皮・肋骨
回転カッター52,52の駆動モータ53は、本体フレ
ーム2の下方に配置されており、軸継手54、ベベルギ
ヤボックス55、フレキシブルシャフト56を介して皮
・肋骨回転カッター52,52が回転される。本第1実
施形態では、後述する櫛歯状切断手段8によって肋骨も
一緒に除去できるが、刺身用にするためには黒っぽい腹
腔内の皮を除去しなければならないため、この段階で皮
の除去と共に肋骨を除去するようにしている。従って、
皮の除去の必要がない場合には、皮・肋骨切除手段5を
備える必要はない。
【0031】次に、背部切込手段6について説明する。
背部切込手段6は、搬送経路上において搬送方向に平行
に併設された1対の丸刃状の背部切込回転カッター6
1,61を備えている。これら背部切込回転カッター6
1,61は、それぞれピロブロック62を介して垂直面
内で回転自在に軸支されている。この背部切込回転カッ
ター61,61は、上方に配置された駆動モータ63の
動力をVベルト64を介して受ける。背部切込回転カッ
ター61,61は、搬送される魚体の背鰭の両側を頭部
側から尾部側に脊椎骨に沿って予備的に切り込みを入れ
る。これにより形成された背部切込面は、櫛歯状切断手
段8の回動櫛歯81,81を挿入させるのを容易にする
し、背鰭骨の除去を可能にする等、魚骨除去作用を補助
する。従って、前記背部切込回転カッター61,61の
下側の刃面は、肋骨やピンボーンの付け根を切断しない
位置であれば深いほどよく、脊椎骨またはその近傍に位
置合わせされる。
【0032】次に、背部切込面保持手段7は、1対の薄
い板状の切込面保持ガイド61,61により構成されて
いる。これらの切込面保持ガイド61,61は、背部切
込手段6の下流側に配置されており、前述した1対の背
部切込回転カッター61,61の刃幅とほぼ等しい幅を
もって並置されている。これらの切込面保持ガイド6
1,61は、縦板状ガイド3bの上方位置に垂下されて
いる。前記背部切込手段6により切断されると、厚さの
薄い背鰭部分は横に倒れやすい。そこで前記切込面保持
ガイド61,61が、脊椎骨から背鰭までの背部切込面
を両側から保持して真っ直ぐに立てている。なお、切込
面保持ガイド61,61の上流側端部は、背部切込面に
挿入しやすいように鋭角状に形成されている。
【0033】次に、櫛歯状切断手段8について説明す
る。櫛歯状切断手段8は、図1、図3から図6に示すよ
うに、複数の鋭角先端刃面を備えた回動櫛歯81,81
を垂直方向に立てて櫛歯フレーム82に回動自在に支持
させている。各回動櫛歯81,81は搬送方向に沿って
直線状に配置されている。また、回動櫛歯81,81の
上方部は軸状に形成されており、直角に折り曲げられて
クランク部81aを構成している。各回動櫛歯81,8
1のクランク部81aの端部は棒状の櫛歯アーム83に
回動自在に連結されており、この櫛歯アーム83の端面
には引張スプリング84の一端が取り付けられ、この引
張スプリング84の他端は櫛歯フレーム82の端部に取
着されている。櫛歯アーム83は長手方向に往復動可能
に支持されており、回動櫛歯81,81の回動動作に合
わせて移動できるようにされている。
【0034】図5および図6に示すように、各回動櫛歯
81,81は平面略矩形状の平刃に形成されており、搬
送方向に対してわずかに傾斜されて初期位置とされてい
る。この傾斜度は魚骨の脊椎骨から派生するピンボーン
の角度に合わせたものである。また、櫛歯フレーム82
上には、最端の回動櫛歯81,81のクランク部81a
に当接する位置にアームストッパ85が固定されてお
り、回動櫛歯81,81の初期位置を規定している。
【0035】また、各回動櫛歯81,81は、その歯幅
の寸法が各ピンボーン間の間隔よりも小さく形成されて
おり、各ピンボーン間の隙間に挿入可能にされている。
さらに歯厚の寸法は隣接する回動櫛歯81,81間の隙
間よりも大きく形成されている。これは回動櫛歯81,
81が軸線回りに回転された場合に、隣接する回動櫛歯
81,81同士で各ピンボーンを狭持するためである。
また、図5および図6に示すように、回動櫛歯81,8
1の脊椎骨に対向する面は湾曲凸状に形成されており、
脊椎骨の凹凸面の凹部に嵌入し易いようになっている。
これにより脊椎骨をより確実に狭持できる。
【0036】次に、魚骨狭持手段9について説明する。
この魚骨狭持手段9は、ピンボーン狭持手段および脊椎
骨狭持手段に相当するものであり、1対の櫛歯締めガイ
ド9がその両方の作用効果を発揮するものとして設けら
れている。この櫛歯締めガイド9は、回動櫛歯81,8
1がピンボーン間に挿入された先の進行経路上に配置さ
れ、この挿入動作に伴ってピンボーンを狭持する方向に
各回動櫛歯81,81を回動させながら脊椎骨側に移動
させる傾斜ガイド面9aを備えている。櫛歯締めガイド
9は回動櫛歯81,81の配列方向の距離よりも大きな
長さに形成されており、左右の間隔が下方側ほど狭く配
置されている。従って、各回動櫛歯81,81が下方に
進行すると、櫛歯締めガイド9の傾斜ガイド面9aに沿
って内側、つまり脊椎骨側に絞るように移動する。この
移動に伴って、図6に示すように、各回動櫛歯81,8
1は軸線回りに回転し、厚さ方向の当接面によってピン
ボーンを狭持すると共に、両側の回動櫛歯81,81は
脊椎骨を狭持するようになっている。
【0037】次に、櫛歯駆動手段10について説明す
る。櫛歯駆動手段10は魚骨引抜手段に相当する。この
櫛歯駆動手段10は、搬送方向下流側の2ヶ所にそれぞ
れ左右1対で固定されている支持フレーム101を備え
ており、これら支持フレーム101上には左右1対の直
動ガイド102が搬送方向に延設されている。この直動
ガイド102の上流側には、1対の回動櫛歯81,81
の間隔を脊椎骨の太さ等に応じて広狭の位置調整するた
めの1対の櫛歯位置調整ガイド103が、左右の直動ガ
イド102に跨って摺動可能に配置されている。これら
の櫛歯位置調整ガイド103上には、挿入用駆動部であ
る挿入用シリンダ104が載置されている。挿入用シリ
ンダ104の挿入用ピストンロッド105の先端には支
持フレーム101を介して櫛歯状切断手段8が固定され
ている。この挿入用ピストンロッド105の駆動によっ
て各回動櫛歯81,81をピンボーン間に挿入するよう
になっている。
【0038】また、挿入用シリンダ104の下流側であ
ってセンターライン上には、引抜用シリンダ106が固
定されており、この引抜用ピストンロッド107の先端
にはロッド連結部材108を介して櫛歯位置調整ガイド
103が連結されている。この引抜用ピストンロッド1
07の駆動によって挿入用シリンダ104に保持された
櫛歯状切断手段8を搬送方向下流側に移動させるように
なっている。
【0039】なお、図2における櫛歯状切断手段8の下
方には、図示しない魚肉シューターが配置されており、
魚骨が引き抜かれた魚肉を収納するようになっている。
またこの魚肉シューターよりも下流側には、引き抜かれ
た魚骨を排出する図示しない魚骨シュータが設けられて
いる。なお、搬送手段4、皮・肋骨切除手段5、背部切
込手段6、櫛歯状切断手段8等の各駆動部は、図示しな
い制御手段によってタイミングが調整されるようになっ
ている。
【0040】次に、本第1実施形態の魚骨除去装置1に
よる魚骨除去方法について図7を参照しつつ説明する。
【0041】まず、予め魚体の腹部を切開して内臓を除
去しておく。このとき、頭部は必要であればそのまま残
しておいてもよいが、不要であれば予め除去しておく。
腹部を切開して内臓を除去する方法は一般的なフィレ装
置に付属のカッターで行われる。このように内臓除去処
理された魚体の腹腔内面を広げて、山形状ガイド3aの
頂点に脊椎骨を載せ、傾斜支持面31,31により前記
腹腔内面を支持させる。そして、この山形状ガイド3a
に載せられた魚体の両体側面を1対の魚体搬送ベルト4
1,41によって狭持し、搬送方向下流側に搬送を開始
する(ステップS1)。
【0042】搬送方向下流側では、所定位置に配置され
たセンター出しローラ113,113が魚体搬送ベルト
41,41の間隔を狭めることにより、魚体の両体側を
より強く山形状ガイド3a側に押し付け、魚体の中心を
センターライン上に位置決めする(ステップS2)。
【0043】このように位置決めされた魚体を山形ガイ
ドの近傍で傾斜ガイド面9aに沿って回転する左右1対
の皮・肋骨回転カッター52,52に頭部側から進入さ
せて、腹腔内面の皮及び肋骨を除去する(ステップS
3)。肋骨は後の工程で完全に除去するのですべて除去
する必要はなく、根元近傍を残してもよい。
【0044】皮及び肋骨除去後の魚体をさらに下流側へ
搬送し、センター出しローラ113,113で魚体のセ
ンター位置を合わせた後に(ステップS4)、背部切込
回転カッター61,61によって背鰭の両側を頭部側か
ら尻尾側に脊椎骨に沿って切り込みを入れる(ステップ
S5)。これにより背鰭の付け根から脊椎骨若しくはそ
の近傍位置まで背部切込面が形成される。この背部切込
回転カッター61,61による切断深さは、鮭の場合、
ピンボーンの先端が上方に向かって伸びているので、こ
れを切断しないような深さに設定する必要がある。ま
た、鰯や鰊は、ピンボーンが脊椎骨から2段になって生
えているため、この点も考慮して切断深さを設定してお
く。なお、この背部切込回転カッター61,61による
切断前に魚体ガイド手段3は、山形状ガイド3aから縦
板状ガイド3bに換わっている。
【0045】続いて、さらに下流側に搬送された魚体に
は、1対の切込面保持ガイド61,61がその背部切込
面に進入し、脊椎骨から背鰭までの背部切込面を支える
(ステップS6)。これにより背部が切断されて不安定
な魚体を支え、その中心がブレないように保持できる。
一方、腹側の魚体ガイド手段3は、山形状ガイド3aか
ら縦板状ガイド3bに変更されている。従って、この時
点での魚体は、腹側を縦板状ガイド3bにより支えら
れ、脊椎骨および背鰭を切込面保持ガイド61,61に
よって保持され、両体側面を魚体搬送ベルト41,41
によって狭持されながら下流側へと搬送される。その
後、再びセンター位置が合わせられて(ステップS
7)、魚体が魚骨引抜処理位置まで搬送されると、魚体
検知ストッパ32に突き当たる。これを魚体検知ストッ
パ32が検知し、制御手段に通知して魚体搬送ベルト4
1,41の駆動を停止すると共に、制御手段が挿入用駆
動部82に駆動信号を出力する(ステップS8)。
【0046】まず、挿入用シリンダ104が駆動を開始
して挿入用ピストンロッド105を伸張させ、櫛歯状切
断手段8を下降させる。図3および図4に示すように、
1対の櫛歯状切断手段8は、背鰭を保持している切込面
保持ガイド61,61の外側に沿って背部切込面内に進
入する。さらに挿入用ピストンロッド105を伸長さ
せ、各回動櫛歯81,81を魚体の各ピンボーンの隙間
に挿入する(ステップS9)。
【0047】さらに挿入用ピストンロッド105を伸長
させると、各回動櫛歯81,81は、その先端を櫛歯締
めガイド9に当接させて、その傾斜ガイド面9aに沿っ
て内方に案内される。この櫛歯締めガイド9によって内
方に案内されながら各回動櫛歯81,81は初期位置か
ら軸周りに回転され、櫛歯アーム83も引張スプリング
84に対抗して長手方向に移動する。これにより各回動
櫛歯81,81は隣接する回動櫛歯81,81同士が厚
さ方向の面を当接させるため、これらの回動櫛歯81,
81間に存在しているピンボーンを当接面によって狭持
する(ステップS10)。
【0048】また、ピンボーンの狭持工程とほぼ同時
に、各回動櫛歯81,81は下方に進行するに従って内
方へ絞り込まれるように移動するため、両側の回動櫛歯
81,81は押圧力を受けて脊椎骨を狭持する(ステッ
プS11)。
【0049】これらの魚骨の狭持工程が完了した後、引
抜用シリンダ106を駆動させて引抜用ピストンロッド
107を縮める。これにより櫛歯位置調整ガイド103
が櫛歯状切断手段8と共に直動ガイド102に沿って搬
送方向下流側に移動する。このとき魚体は魚体検知スト
ッパ32によって頭部側を押さえられていると共に、両
体側面が魚体搬送ベルト41,41によって狭持されて
いる。従って、各回動櫛歯81,81がピンボーン及び
脊椎骨を狭持した状態で搬送方向下流側に移動される
と、魚体からピンボーン及び脊椎骨、残存肋骨を引き抜
く(ステップS12)。このようにして魚骨が引き抜か
れた魚肉は魚肉シューターへと落下して所定の収納箱に
収納される(ステップS13)。
【0050】続いて挿入用シリンダ104が駆動し、挿
入用ピストンロッド105を縮めて櫛歯状切断手段8を
上方に移動させ、各回動櫛歯81,81を櫛歯締めガイ
ド9から解放する。これにより、櫛歯状切断手段8で
は、引張スプリング84の付勢力によって櫛歯アーム8
3が元の位置へ戻り、各回動櫛歯81,81も元の方向
に回転してアームストッパ85によって初期位置で停止
する。従って、引き抜かれたピンボーン及び脊椎骨が狭
持状態から解放され、下方の魚骨シューターへ廃棄され
る(ステップS14)。
【0051】その後、引抜用シリンダ106が駆動し、
引抜用ピストンロッド107を伸長して櫛歯位置調整ガ
イド103と共に櫛歯状切断手段8を元の位置へと戻
し、次の魚骨除去処理のために待機する(ステップS1
5)。
【0052】したがって、本第1実施形態によれば、魚
体の脊椎骨、肋骨およびピンボーンを狭持して引き抜く
ため、関節の弱い鮭やホッケ等であっても簡単かつ確実
に魚骨を除去することができる。また、魚体の種類や大
きさが異なる場合には、回動櫛歯81,81の間隔や長
さを適宜変更し、皮・肋骨回転カッター52,52や背
部切込回転カッター61,61、背部切込面保持ガイド
7、櫛歯状切断手段8の間隔を変更することにより対応
でき、鮭等の中型魚から鰯や鰊等の小型魚まで幅広い種
類の魚体の骨除去処理が可能である。なお、魚骨を引き
抜く際には脊椎骨と共に背びれ骨も一緒に除去される。
【0053】また、ピンボーンを脊椎骨から派生する方
向に沿って引き抜くため魚骨をきれいに除去することが
でき、歩留まりを向上できる。しかもお湯などを使わな
いし、一度に多数のピンボーンを抜いてしまうので身崩
れが少なく刺身用に使用できる。
【0054】さらに、魚体は、背部切込面保持ガイド7
によって保持された状態で搬送されるため、背部切込回
転カッター61,61から櫛歯状切断手段8まで搬送さ
れる間に背部切込面がずれたり閉ざされることを防ぎ、
回動櫛歯81,81を背部切込面内へ確実に挿入でき
る。
【0055】さらにまた、センター位置合わせ手段11
によって各切断工程の直前に魚体のセンター位置が合わ
せられるため、切断ミスが減って無駄な魚肉を出さずに
すむ。
【0056】次に、本発明に係る第2の実施形態につい
て図8および図9を参照して説明する。なお、本第2実
施形態のうち、第1実施形態の構成と同一若しくは相当
する構成は、同一の符号を付して再度の説明を省略す
る。
【0057】本第2実施形態の特徴は、ピンボーンを2
方向から狭持する点にある。つまり、本第2実施形態
は、魚体のピンボーンの付け根付近の隙間に挿入されて
魚肉を切断する複数の櫛歯12a,12aを備えた1対
の櫛歯状切断手段12と、この櫛歯状切断手段12の各
櫛歯12a,12aに対して対向する方向から挿入され
て各櫛歯12a,12aに歯合することによりピンボー
ンを狭持する複数の狭持用櫛歯13a,13aを備えた
櫛歯状狭持手段13と、これら櫛歯状切断手段12の櫛
歯12a,12aおよび櫛歯状狭持手段13の狭持用櫛
歯13a,13aに脊椎骨側への押圧力を付与して前記
脊椎骨を狭持させる脊椎骨狭持手段(図示せず)と、こ
れらピンボーンおよび脊椎骨を狭持した各櫛歯12a,
12aを魚体の前方側に移動させて各ピンボーンを脊椎
骨と共に引き抜く櫛歯駆動手段10とを有している。
【0058】櫛歯状切断手段12の櫛歯12a,12a
と櫛歯状狭持手段13の狭持用櫛歯13a,13aの形
状は、図8に示すように、ほぼ同一の形状に形成されて
おり、いずれも比較的短い長さに形成され、回転するこ
ともない。櫛歯状切断手段12の櫛歯12a,12a
は、ピンボーン間に挿入されるように配置されており、
この隙間の魚肉を切断する。一方、狭持用櫛歯13a,
13aは、前記櫛歯12a,12aに歯合するように配
置されている。両者の進行方向は、上下方向、つまり垂
直上下方向かあるいは斜め上下方向である。ピンボーン
が頭部側から尾鰭側に向かって派生していることを考慮
すると、垂直上下方向の歯合か、斜め上前方と斜め下後
方とからの歯合が好ましい。
【0059】脊椎骨狭持手段は、第1実施形態のように
櫛歯締めガイド9を上下にそれぞれ設けてもよいが、両
側から内側方向に伸縮するピストンロッドを有する狭持
用シリンダ(図示しない)を設けてもよい。このピスト
ンロッドの先端に櫛歯12a,12aおよび狭持用櫛歯
13a,13aを取着することになる。また、櫛歯駆動
手段10は引抜用シリンダ106を櫛歯状切断手段12
と櫛歯状狭持手段13の両方に取り付ける必要がある。
【0060】なお、櫛歯12a,12aおよび狭持用櫛
歯13a,13aの形状は、図9に示すように、ピンボ
ーンを狭持できれば必ずしも先端が鋭角状に形成されな
くてもよい。
【0061】従って、本第2実施形態によれば、ピンボ
ーンの付け根近傍を上下から狭持し、さらに脊椎骨を狭
持して前方に引き抜くようになっているため、簡単かつ
きれいにピンボーンを脊椎骨と共に除去できる。
【0062】次に、本発明に係る第3の実施形態につい
て説明する。なお、本第3実施形態のうち、第1実施形
態の構成と同一若しくは相当する構成は、同一の符号を
付して再度の説明を省略する。
【0063】本第3実施形態の特徴は、ピンボーンや脊
椎骨を狭持するタイプではなく、ピンボーンおよび脊椎
骨から魚肉を引き剥がす動作を行う点にある。この場
合、引抜用シリンダ106は不要となる。詳述すれば、
本第3実施形態は、図10に示すような櫛歯状カッター
14を備えており、この櫛歯状カッター14を挿入用シ
リンダ104の挿入用ピストンロッド105に取り付け
る。そして、魚肉を剥離する場合には、ピストンロッド
を伸長させて、例えば上方から櫛歯状カッター14の各
櫛歯14a,14aをピンボーン間に挿入する。これに
より、まずピンボーン間の魚肉を切断する。さらに、そ
のまま下方に移動させると、魚肉がピンボーンに沿って
抜けて剥離させられる。
【0064】このように櫛歯状カッター14を挿入開始
から魚肉の剥離まで一直線に動作させる。もちろん、魚
体の種類によっては櫛歯状カッター14を一直線上に進
めると魚肉がうまく剥離できないものもあるため、その
場合は、両体側の斜め外側方向や水平外側方向に角度を
変えて移動させる剥離用シリンダ(図示せず)を配置
し、この剥離用ピストンロッドの先端に櫛歯状切断手段
14を取り付け、挿入用シリンダ104と共に移動させ
るようにすればよい。これにより、ピンボーン等の派生
方向に合わせた方向に魚肉を引き抜くため、単に一直線
に動作させるよりも魚肉を魚骨から分離させ易い。な
お、下方から櫛歯状カッター14を挿入して切断しても
よいが、魚肉の筋や魚骨の生え方を鑑みれば抵抗が大き
く、身が崩れやすいので注意が必要である。
【0065】そして、本第3実施形態における魚骨除去
用の櫛歯状カッター14は、ピンボーンを狭持しないの
で櫛歯14a,14aは回動させる要がなく固定されて
いる。各櫛歯14a,14aは、その先端が鋭角状の刃
面に形成されており、その歯幅は各ピンボーン間の隙間
よりも小さく形成され、かつ、前記各ピンボーンを進入
させられる間隔が空けられて形成されている。
【0066】なお、本発明は前述した実施形態に限定さ
れるものではなく、適宜変更することができる。
【0067】例えば、各実施形態では、櫛歯状切断手段
8,12,14により切断する前に、予め背部切込回転
カッター61,61を使って背部に予備的な切り込みを
入れるようにしているが、櫛歯状切断手段8,12,1
4の各回動櫛歯81,12a,14aを極めて薄く鋭い
刃に形成し、背部切込面を入れることなく直接的に切断
するようにしてもよい。
【0068】また、本第1実施形態では、各櫛歯を魚体
の上方(背側)から挿入しているが、下方(腹側)から
ピンボーン間に挿入してピンボーンを狭持し、前方側へ
引き抜くようにしてもよい。ただ、下方から挿入する
と、肋骨やピンボーンの生え方や筋繊維の方向性の問題
から挿入しにくい場合がある。
【0069】さらに、本第1実施形態では、櫛歯締めガ
イド9によってピンボーン狭持手段および脊椎骨狭持手
段を構成するが、別個独立の構成としてもよい。例え
ば、ピンボーン狭持手段として、個々の櫛歯をモータで
回動するようにしてもよい。また、引張スプリング84
を櫛歯アーム83に取り付けるのではなく個々の櫛歯に
取り付けてもよい。一方、脊椎骨狭持手段として別途、
脊椎骨側に押圧力を付与するシリンダを備えてもよい。
【0070】また、各実施形態では、自動式で処理する
ことが可能であるが、手動式であってもよい。例えば、
スーパー等に配置する魚骨除去装置1は小型が好まし
く、搬送手段4をハンドル式にして魚体を送るようにし
てもよいし、油圧式や空気圧式の挿入用シリンダ104
や引抜用シリンダ106、剥離用シリンダに代えて、櫛
歯状切断手段8,12,14を手動ハンドルによってス
ライドさせるようにし、挿入切断処理、引抜処理あるい
は剥離処理を実行するようにしてもよい。これによれ
ば、配置スペースが小さく便利である。
【図面の簡単な説明】
【0071】
【図1】本発明に係る魚骨除去装置の一実施形態を示す
側面図である。
【図2】図1の平面図である。
【図3】本第1実施形態における回動櫛歯の挿入前の状
態を示す模式図である。
【図4】図3における回動櫛歯を挿入した後の状態を示
す模式図である。
【図5】本実施形態における回動櫛歯の機構を説明する
模式図であり、ピンボーン狭持前の(a)上方から見た
平面図、(b)回動櫛歯のみの側面図、(c)回動櫛歯
のみの平面図である。
【図6】図5に対応するピンボーン狭持後の模式図であ
り、(a)上方から見た平面図、(b)回動櫛歯のみの
側面図、(c)回動櫛歯のみの平面図である。
【図7】本発明に係る魚骨除去方法の主要な工程を示す
フロー図
【図8】本発明に係る第2の実施形態における櫛歯状切
断手段を示す模式図であり、(a)ピンボーン狭持前の
側面図、(b)ピンボーン狭持前の側面図である。
【図9】本発明に係る第2の実施形態における櫛歯状切
断手段を示す模式図であり、(a)ピンボーン狭持前の
側面図、(b)ピンボーン狭持前の側面図である。
【図10】本発明に係る第3の実施形態における櫛歯状
カッターの一例を示す模式図である。
【図11】鮭や鰯、鰊の骨の状態を示す模式図である。
【符号の説明】
【0072】 1 魚骨除去装置 2 本体フレーム 3 魚体ガイド手段 3a 山形状ガイド 3b 縦板状ガイド 4 搬送手段 5 皮・肋骨切除手段 6 背部切込手段 7 背部切込面保持手段(背部切込面保持ガイド) 8 櫛歯状切断手段 9 魚骨狭持手段(櫛歯締めガイド) 9a 傾斜ガイド面 10 櫛歯駆動手段 11 センター位置合わせ手段 12 櫛歯状切断手段(第2実施形態) 12a 櫛歯 13 櫛歯状狭持手段 13a 狭持用櫛歯 14 櫛歯状カッター(第3実施形態) 14a 櫛歯 31 傾斜支持面 32 魚体検知ストッパ 41 魚体搬送ベルト 42 ベルト駆動モータ 43 平歯車 44 ベアリングケース 45 駆動ローラ 46 テンションローラ 47 ベルト調整ローラ 51 ピロブロック 52 皮・肋骨回転カッター 53 駆動モータ 54 軸継手 55 ベベルギヤボックス 56 フレキシブルシャフト 61 背部切込回転カッター 62 ピロブロック 63 駆動モータ 64 Vベルト 81 回動櫛歯 81a クランク部 82 櫛歯フレーム 83 櫛歯アーム 84 引張スプリング 85 アームストッパ 101 支持フレーム 102 直動ガイド 103 櫛歯位置調整ガイド 104 挿入用シリンダ 105 挿入用ピストンロッド 106 引抜用シリンダ 107 引抜用ピストンロッド 108 ロッド連結部材 111 センター歯車 112 連結板 113 センター出しローラ 114 センタースプリング 115 センター調整ボルト

Claims (12)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 魚体のピンボーンの付け根付近の隙間に
    挿入されて魚肉を切断する多数の櫛歯を備えた1対の櫛
    歯状切断手段と、 これら挿入された各櫛歯の隙間を狭めてこれら櫛歯によ
    ってピンボーンを狭持させるピンボーン狭持手段と、 ピンボーン間に挿入された各櫛歯に脊椎骨側へ押圧力を
    付与して前記脊椎骨を狭持させる脊椎骨狭持手段と、 これらピンボーンおよび脊椎骨を狭持した各櫛歯を魚体
    の前方または斜め上方若しくは斜め下方に移動させて各
    ピンボーンを脊椎骨と共に引き抜く魚骨引抜手段とを有
    することを特徴とする魚骨除去装置。
  2. 【請求項2】 請求項1において、前記各櫛歯は、その
    歯幅の寸法が各ピンボーン間の間隔よりも小さく、か
    つ、その歯厚の寸法が隣接する櫛歯間の隙間よりも大き
    く形成され、その軸線回りに回動自在に支持されてお
    り、ピンボーン狭持手段は、各櫛歯が各ピンボーン間の
    隙間に挿入されたときに、これらの各櫛歯を回転させて
    隣り合う櫛歯の厚さ方向の面を互いに当接させ、この当
    接面により各ピンボーンを狭持させることを特徴とする
    魚骨除去装置。
  3. 【請求項3】 請求項2において、ピンボーン狭持手段
    および脊椎骨狭持手段として、櫛歯がピンボーン間に挿
    入された先の進行経路上に配置され、この挿入動作に伴
    ってピンボーンを狭持する方向に各櫛歯を回動させなが
    ら脊椎骨側に移動させる傾斜ガイド面を備えた櫛歯締め
    ガイドを有していることを特徴とする魚骨除去装置。
  4. 【請求項4】 請求項2または請求項3において、各櫛
    歯は、脊椎骨に対してピンボーンの生えている方向と略
    一致する方向に傾斜された初期位置が設定されており、
    ピンボーン狭持手段による回転力に対抗して前記初期位
    置に戻す方向に各櫛歯を付勢する付勢部材を設けている
    ことを特徴とする魚骨除去装置。
  5. 【請求項5】 請求項1から請求項4のいずれかにおい
    て、櫛歯状切断手段の上流側における魚体の搬送経路上
    に配置されており、前記魚体の背部を背鰭の両側に沿っ
    て脊椎骨位置若しくは脊椎骨近傍位置まで切り込みを入
    れるための背部切込手段と、この背部切込手段によって
    形成された背部切込面に挿入されて背鰭側の背部切込面
    を保持する背部切込面保持手段とを備えていることを特
    徴とする魚骨除去装置。
  6. 【請求項6】 魚体の腹部を切開して内臓を除去した後
    の魚体の骨を除去する魚骨除去装置であって、 魚体の搬送方向に沿って延在されており、前記魚体の切
    開した腹腔内面を支持しながら魚体を搬送方向へ案内す
    る魚体ガイド手段と、 この魚体ガイド手段に沿って長手方向の両側に配置され
    ており、前記魚体の両体側面を押圧して前記魚体ガイド
    手段との間で前記魚体を狭持しつつ搬送方向下流側に搬
    送する搬送手段と、 魚体の搬送経路上に配置されており、前記魚体の背部を
    背鰭の両側に沿って脊椎骨位置若しくは脊椎骨近傍位置
    まで切り込みを入れるための背部切込手段と、 脊椎骨から生える多数のピンボーン間の隙間に挿入可能
    な歯幅に形成された多数の回動櫛歯を魚体の体長方向に
    配列し、回動自在に支持してなる左右一対の櫛歯状切断
    手段と、 前記ピンボーンの隙間に挿入された回動櫛歯を軸線回り
    に回転させて、隣接する回動櫛歯との当接面によって各
    ピンボーンを狭持させるピンボーン狭持手段と、 魚体の左右両側に配された各回動櫛歯を脊椎骨側へ移動
    させて各回動櫛歯により前記脊椎骨を狭持させる脊椎骨
    狭持手段と、 前記櫛歯状切断手段を魚体の背腹方向に移動させる挿入
    用駆動部および前記櫛歯状切断手段を魚体の前方側に移
    動させる魚骨引抜用駆動部を備えた櫛歯駆動手段とを有
    することを特徴とする魚骨除去装置。
  7. 【請求項7】 請求項6において、前記魚体ガイド手段
    に沿って前記背部切込手段の下流側に配置され、この背
    部切込手段によって形成された背部切込面に挿入されて
    背鰭側の背部切込面を保持する背部切込面保持手段を備
    えていることを特徴とする魚骨除去装置。
  8. 【請求項8】 多数の櫛歯を前記魚体におけるピンボー
    ンの付け根付近の隙間に挿入する櫛歯挿入ステップと、 これら挿入した各櫛歯によって各ピンボーンを狭持する
    ピンボーン狭持ステップと、 各ピンボーンの隙間に挿入された櫛歯に脊椎骨側への押
    圧力を与えてこの脊椎骨を狭持する脊椎骨狭持ステップ
    と、 これらピンボーンおよび脊椎骨を狭持している各櫛歯を
    前記魚体の前方または斜め上方若しくは斜め下方に移動
    して前記各ピンボーンを脊椎骨と共に引き抜く魚骨引抜
    ステップとを有することを特徴とする魚骨除去方法。
  9. 【請求項9】 魚体のピンボーンの付け根付近の隙間に
    挿入されて魚肉を切断する複数の櫛歯を備えた1対の櫛
    歯状切断手段と、 この櫛歯状切断手段の各櫛歯に対して対向する方向から
    挿入されて各櫛歯に歯合することによりピンボーンを狭
    持する複数の狭持用櫛歯を備えた櫛歯状狭持手段と、 これら櫛歯状切断手段の櫛歯および櫛歯状狭持手段の狭
    持用櫛歯に脊椎骨側への押圧力を付与して前記脊椎骨を
    狭持させる脊椎骨狭持手段と、 これらピンボーンおよび脊椎骨を狭持した各櫛歯を魚体
    の前方または斜め上方若しくは斜め下方に移動させて各
    ピンボーンを脊椎骨と共に引き抜く魚骨引抜手段とを有
    することを特徴とする魚骨除去装置。
  10. 【請求項10】 多数の櫛歯を直線状に配列し、各櫛歯
    の歯幅が魚体の各ピンボーン間の隙間よりも小さく、か
    つ、その歯厚が隣接する櫛歯間の隙間よりも大きく形成
    されており、各櫛歯を軸線回りに回動自在に支持してな
    ることを特徴とする魚骨除去用の櫛歯状切断刃。
  11. 【請求項11】 魚体の腹部を切開して内臓を除去した
    後の魚体の骨を除去する魚骨除去装置であって、 前記魚体の切開した腹腔内面を支持する魚体支持手段
    と、 魚体の上方または下方から魚体のピンボーン間に挿入さ
    れる多数の櫛歯を備えた1対の櫛歯状切断手段と、 これらの櫛歯状切断手段を魚体の背腹方向に移動させて
    櫛歯を各ピンボーン間の隙間に挿入した後、さらにその
    背腹方向に沿って移動させるか、あるいは両体側斜め外
    側方向に角度を変えて移動させる櫛歯駆動手段とを有す
    ることを特徴とする魚骨除去装置。
  12. 【請求項12】 先端が鋭角状の刃面に形成された多数
    の櫛歯を直線状に配列し、各櫛歯の歯幅を魚体の各ピン
    ボーン間の隙間よりも小さく形成し、かつ、各櫛歯を前
    記各ピンボーンが進入し得る間隔を隔てて固定してなる
    ことを特徴とする魚骨除去用の櫛歯状切断刃。
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