JP3537329B2 - 軸力発生装置およびトラクションドライブ変速装置 - Google Patents

軸力発生装置およびトラクションドライブ変速装置

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JP3537329B2 JP32557698A JP32557698A JP3537329B2 JP 3537329 B2 JP3537329 B2 JP 3537329B2 JP 32557698 A JP32557698 A JP 32557698A JP 32557698 A JP32557698 A JP 32557698A JP 3537329 B2 JP3537329 B2 JP 3537329B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、回転トルクを利用
して軸力を発生するための軸力発生装置およびトラクシ
ョンドライブ変速装置に関する。
【0002】
【従来の技術】トラクションドライブ変速装置は、図1
に示す変速装置10のように、入力ディスク、出力ディ
スクおよびこれらに接触する伝動ローラなどから成るト
ラクションドライブ機構によって、動力を伝達する変速
装置である。トラクションドライブ変速装置は、さらに
軸力発生装置を備えており、発生した軸力を用いて入力
ディスク、出力ディスクおよび伝動ローラを互いに押付
けて、これらの滑りを防止している。
【0003】図5に、従来の軸力発生装置1の構造を示
す。軸力発生装置1は、回転カム2,3およびローラ4
を備えている。回転カム2,3は、入力ディスクと同一
の回転軸を有し、互いに対向するカム面2a,3aをそ
れぞれ有する。カム面2a,3aは、軸方向に最も高い
凸部P1から最も低い凹部P2にかけて、一定のリード
角α1を有し、凹部P2に関して周方向の両側に対称な
形状を成している。ローラ4は、カム面2a,3aに接
触し、周方向に転動可能である。このような構成によっ
て、軸力発生装置1は、回転トルクに応じた軸力を発生
し、入力ディスク、出力ディスクおよび伝動ローラを互
いに押付ける。
【0004】トラクションドライブ変速装置は、航空機
用発電機などに使用され、通常は、回転トルクが比較的
小さい常用トルク範囲において動作する。一方、非常時
には、常用トルク範囲よりもトルクが大きい非常用トル
ク範囲において動作することがある。図5の軸力発生装
置1を使用した場合、常用トルク範囲において、トラク
ションドライブ機構の滑りを防止することができても、
非常用トルク範囲では、回転トルクが大き過ぎて滑りを
生じることがある。
【0005】対策として、リード角α1の小さい回転カ
ム2,3を設計する方法がある。リード角α1を小さく
することによって、軸力を増加させ、入力ディスク、出
力ディスクおよび伝動ローラを互いに強く押付けること
ができ、非常用トルク範囲においても滑りの発生を防止
できる。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、「トロ
イダル型無段変速機の研究」(日本機械学会論文集C編5
6巻525号論文No.89-0835A)に記載されるように、リー
ド角が小さいほど軸力は大きくなるので、上記のように
リード角α1を小さくすると、低トルク側の常用トルク
範囲において、必要以上に大きな軸力を発生させてしま
い、トラクションドライブ変速装置の各部への荷重が増
加し、疲労寿命を短縮させてしまう。
【0007】また、上記のように一定のリード角α1で
は、回転トルクの増大によって、ローラ4がカム面2,
3の凸部P1を乗り越えてしまう可能性がある。ローラ
4が凸部P1を乗り越えてしまうと、軸力が急激に減少
してトラクションドライブ機構に滑りを生じ、出力ディ
スクに充分なトルクが伝達されず、航空機などでは失速
が生ずるなどの問題がある。
【0008】さらに、上記の「トロイダル型無段変速機
の研究」には、ローラの形状と軸力のヒステリシスとの
関係が記載され、特に、ローラとしてボールを使用する
のが理想的であることが明らかにされているが、ボール
を使用した場合、回転カム部材のカム面への接触圧力が
大き過ぎて、カム面に圧痕を残してしまう。カム面に圧
痕が形成されると、正常な動力伝達、および変速動作が
妨げられてしまうので、ボールは実用的ではない。
【0009】本発明の目的は、疲労寿命を短縮させるこ
となく非常用トルク範囲にも充分な軸力を発生可能な軸
力発生装置およびトラクションドライブ変速装置を提供
することである。
【0010】さらに本発明の他の目的は、ボール型のロ
ーラが使用可能な軸力発生装置およびトラクションドラ
イブ変速装置を提供することである。
【0011】
【課題を解決するための手段】本発明は、(a)端面に
カム面12a,13aがそれぞれ形成される一対の回転
カム部材12,13であって、一方の回転カム部材12
の一方のカム面12aは、軸方向に低い凹部P12から
周方向の一方向に、軸方向に高い第1凸部P11に向っ
て延びる第1区間K1と、第1区間K1に続いて周方向
の前記一方向に第1凸部P11まで延びる第2区間K2
と、凹部P12から周方向の前記一方向とは逆方向に、
軸方向に高い第2凸部P13まで延びる第3区間K3と
から成り、第1区間K1の第1リード角α11よりも第
2区間K2の第2リード角α12が小さく、第3区間K
3の第3リード角α14は、第1リード角α11よりも
大きく、第3区間K3は、第1区間K1と第2区間K2
とをあわせた区間に比べて短く、このような一方のカム
面12aが周方向に複数、形成され、他方のカム面13
aは、前記一方のカム面12aと同一形状を有し、前記
一方のカム面12aと対向して配置される回転カム部材
12,13と、(b)複数のローラ14であって、前記
一方および前記他方の対向するカム面12a,13a間
にそれぞれに介在され、各回転カム部材12,13の相
対的角変位に応じて第1および第2区間K1,K2でカ
ム面12a,13aに接触して周方向に転動可能であ
り、第3リード角α14が大きい第3区間K3では周方
向に転動することはないローラ14とを備え、(c)軸
方向に所望の軸力を発生することを特徴とする軸力発生
装置である。
【0012】また本発明は、ローラ14は、ボール型で
あり、5個以上設けられることを特徴とする。
【0013】本発明の前提となる構成では、少なくとも
一方の回転カム部材に、凸部から凹部までの間にリード
角が変化する形状のカム面を形成することによって、疲
労寿命を短縮させることなく軸力を増強できる。また
は、ローラがカム面の凸部を乗り越えることを防止して
確実に軸力を供給することができる。
【0014】たとえば、凸部に近いほどリード角が小さ
くなるようなカム面を形成することによって、リード角
の大きい低トルク側において比較的小さな軸力を発生
し、リード角の小さい高トルク側において比較的大きな
軸力を発生できる。このように、大きさの異なる軸力を
使い分けることによって、疲労寿命を短縮させることな
く必要なトルク範囲の軸力を増強できる。
【0015】さらに、カム面を形成するだけで上記のよ
うな効果が得られるので、軸力を増強するための特別な
機構、またはローラが凸部を乗り越えることを防止する
ための特別な機構が不要であり、小型の軸力発生装置を
実現することができる。
【0016】軸力Faは、有効半径R、トルクTおよび
リード角αによって、Fa=T/Rtanαと表される
ので、リード角αが小さいほど軸力Faは大きくなる。
有効半径Rは、回転カム部材の回転中心からローラまで
の距離である。
【0017】たとえば、図2で後述するように、凹部か
ら凸部にかけて、カム面のリード角をリード角α11か
らそれよりも小さいリード角α12に変化させる。低ト
ルク側の常用トルク範囲では、ローラはカム面の凹部付
近、すなわちリード角α11の区間に位置し、比較的小
さな軸力が発生する。高トルク側の非常用トルク範囲で
は、ローラはカム面の凸部付近、すなわちリード角α1
2の区間に位置し、比較的大きな軸力が発生する。この
ように、大きさの異なる軸力を使い分けることによっ
て、疲労寿命を短縮させることなく必要なトルク範囲の
軸力だけを増強できる。
【0018】図2で後述するように、リード角が一定の
2区間を滑らかに接続した形状のカム面を形成すること
によって、一方の区間から他方の区間へのローラの移動
をスムーズに行うことができる。よって、2区間の接続
部でのトルクまたは軸力の急変に起因する装置の誤作
動、故障などを防止できる。
【0019】本発明に従えば、周方向の一方向に、凹部
P12から第1凸部P11に向って延びる第1区間K1
と、第1区間K1に続いて周方向の前記一方向に第1凸
部P11まで延びる第2区間K2と、周方向の逆方向に
凹部P12から第2凸部P13まで延びる第3区間K3
とから成るカム面12aを、周方向に複数、形成し、第
1〜第3区間K1〜K3の第1〜第3リード角α11,
α12,α14を、α12<α11<α14に設定し、
第3区間K3を、第1および第2区間K1,K2をあわ
せた区間に比べて周方向に短く構成し、他方のカム面1
3aは、前記一方のカム面12aと同一形状を有し、し
たがって周方向に配置されたローラ14同士の間隔を短
縮することができる。これによってローラ14を多数配
置させることができ、たとえば5個以上とし、こうして
各ローラ14が、回転カム部材12,13の前記一方お
よび前記他方のカム面12a,13aに与える接触圧力
を小さくすることができる。
【0020】図3で後述するように、ローラ14が凹部
P12から第1凸部P11に向って転動する方向を順方
向と仮定し、装置の構成をローラ14が順方向にだけ転
動するようなものとし、すなわち第3区間K3の第3リ
ード角α14を第1および第2リード角α11,α12
に比べて大きくし、逆方向に回転カム部材12,13の
トルク差が生じたとき、ローラ14が第3区間K3を昇
ることがないようにする。順方向にトルクが増大すると
ともに、ローラ14は凹部P12から第1凸部P11に
向ってカム面12aを昇り、これに対して凹部P12か
ら第2凸部P13までの第3区間K3は、ローラ14の
転動に使用されず不要であるので、第1凸部P11から
凹部P12までの区間よりも、第3区間K3は狭くてよ
い。凹部P12から第2凸部P13までの第3区間K3
を狭くすることによって、カム面12a全面において、
ローラ14の間隔A(図3参照)を小さくでき、ローラ
14を多数配置することができるようになる。
【0021】ローラを多数配置できれば、ローラとカム
面との接触圧力は軽減されるので、ローラとしてボール
型の部材を使用することが可能となり、軸力のヒステリ
シスを低減して、効率よく軸力を発生することができ
る。また、回転カム部材のカム面の少なくとも一部を、
軸方向に高い位置ほどリード角が小さくなる形状とする
ことによって(すなわちα12<α11)、疲労寿命を
短縮させることなく軸力を増強できる。
【0022】また本発明は、上記のような軸力発生装置
と、回転カム部材と同一の回転軸を有し、互いに対向配
置される入力ディスクおよび出力ディスクと、入力ディ
スクの回転を出力ディスクに伝える伝動ローラとを備え
ることを特徴とするトラクションドライブ変速装置であ
る。
【0023】本発明に従えば、上記のような構成の軸力
発生装置を含むトラクションドライブ変速装置であるの
で、軸力発生装置からの軸力を使用することによって、
入力ディスク、出力ディスクおよび伝動ローラを互いに
押付けることができ、入力ディスクの回転を出力ディス
クに効率よく伝達することができる。
【0024】
【発明の実施の形態】図1は、本発明の一実施形態であ
る変速装置10を示す図である。変速装置10は、ハー
フトロダイル型のトラクションドライブ機構、および軸
力発生装置20を備えたCVT(Continuosly Variable
Transmission)である。
【0025】トラクションドライブ機構は、入力ディス
ク15、出力ディスク16および伝動ローラ17などか
ら構成される。入力ディスク15および出力ディスク1
6は、互いに対向するトロイダル面を有し、同一の回転
軸回りに回転可能である。伝動ローラ17,18は、油
潤滑されて入力ディスク15および出力ディスク16の
トロイダル面に接触して、かつ傾転自在に設けられ、入
力ディスク15の回転を出力ディスク16に伝える。こ
のようなトラクションドライブ機構は、伝動ローラ1
7,18の連続的に変化する傾転角に応じて、無段階の
変速比で動力を伝達できる。
【0026】軸力発生装置20は、ばね止め19、皿ば
ね11、回転カム12,13および複数のローラ14
(たとえば4個)などを備える。回転カム12,13
は、入力ディスク15と同一の回転軸を有し、互いに対
向するカム面12a,13aをそれぞれ有する。回転カ
ム12は、エンジンなどによって回転駆動され、回転カ
ム13は入力ディスク15と一体となって回転する。ロ
ーラ14は、回転カム12,13の間に配置され、その
周面がカム面12a,13aに接触し、周方向に転動可
能である。このような構成によって、軸力発生装置20
は、回転カム12のトルクと回転カム13のトルクとの
差に応じた軸力を発生することができる。
【0027】トラクションドライブ機構を構成する入力
ディスク15、出力ディスク16および伝動ローラ1
7,18は、軸力発生装置20からの軸力を受けて、互
いに押付け合う。
【0028】図2は、図1のカム面12a,13aの本
発明の前提となる形状を示す拡大図である。図3は、本
発明の実施の一形態のカム面12a,13aの形状を示
す拡大図である。図2および図3の2つの矢符は、回転
カム12の軸方向Z、および回転カム12の周方向Ωを
それぞれ示している。カム面12a,13aのリード角
は、ローラ14の中心におけるカム面12a,13aの
傾斜角度であって、回転カム12,13の回転軸に垂直
な平面とカム面12a,13aとのなす角度のうち、回
転軸と同一の軸を持つ円筒面内の角度である。すなわ
ち、カム面の周方向の傾斜角度である。
【0029】図2に示す本発明の前提となる構成では、
カム面12aは、軸方向Zに最も高い凸部P11から最
も低い凹部P12までの間で、リード角が変化してい
る。凹部P12から凸部P11に向って延びる区間G1
では、リード角α11であり、途中でリード角が変化
し、凸部P11までの区間G2では、リード角α12で
ある。区間G1と区間G2とは、リード角が滑らかに変
化するように接続されている。また、カム面13aは、
上記のカム面12aと対称な形状を成し、同様にリード
角が変化している。
【0030】回転カム12,13のトルク差がゼロの初
期状態において、ローラ14は、カム面12a,13a
の各凹部P12に接触する位置に静止している。エンジ
ンの駆動などによって、回転カム12,13の間にトル
ク差が発生すると、ローラ14は凸部P11に向かって
転動する。このとき、回転カム12,13は、その間隔
を軸方向Zに広げるような軸力を発生する。ローラ14
は、トルク差に応じた距離だけカム面12a,13aを
昇り、トルク差に応じた位置に静止する。トルク差が大
きいほど、ローラ14の移動距離は大きい。
【0031】したがって、リード角の大きい区間G1よ
りも、リード角の小さい区間G2の方がトルク差が大き
い。
【0032】ここで、軸力発生装置20が発生する軸力
を軸力Fa、回転カム12,13のトルク差をトルク
T、回転中心からローラ14までの距離を有効半径R、
リード角α、リード面12a,13aの1回転あたりの
軸方向Zの高低差をリード長Ld(=2πRtanα)
と定義すると、軸力FaはFa=2πT/Ldで表され
る。軸力Faは、トルクTに比例し、リード長Ldに反
比例する。
【0033】したがって、図2のような形状のカム面1
2a,13aを形成することによって、リード角の大き
い低トルク側の区間G1の軸力を増大させず、リード角
の小さい高トルク側の区間G2の軸力だけを増強するこ
とができる。
【0034】図3に示す本発明の実施の一形態では、カ
ム面12aは、凹部P12に関して非対称な形状を成
し、凹部P12から第1凸部P11に向って延びる区間
K1、続いて第1凸部P11まで延びる区間K2、およ
び凹部P12から第2凸部P13まで延びる区間K3か
ら成る。第1凸部P11から凹部P12までの間にリー
ド角が変化しており、区間K1ではリード角α11であ
り、区間K2ではリード角α11よりも小さいリード角
α12である。一方、区間K3では、リード角α11よ
りも大きいリード角α14である。
【0035】区間K3は、区間K1と区間K2とをあわ
せた区間に比べて大幅に短く、ローラ14は、低トルク
側の常用トルク範囲において、区間K1だけに接触して
転動し、高トルク側の非常用トルク範囲において、区間
K2だけに接触して転動し、区間K3に接触して転動す
ることはない。
【0036】カム面13aの形状は、カム面12aに対
称な形状ではなく、カム面12aと全く同一の形状を成
す。よって、カム面12a,13aを互いに対向させる
と、初期状態では、カム面12aの区間K1および区間
K2が、カム面13aの区間K3に対向し、カム面12
aの区間K3が、カム面13aの区間K1および区間K
2に対向する。ここで、ローラ14が凹部P12から第
1凸部P11へ転動する方向を、順方向と定義する。回
転カム12,13にトルク差が生じると、ローラ14
は、カム面12a,13aの区間K1を昇って行く。逆
方向のトルク差が生じても、リード角α14が大きく、
ほとんど区間K3を昇ることはない。つまり、逆方向の
トルクによっては、軸力を発生しない。
【0037】よって、図3の本発明の実施の一形態で
は、区間K1および区間K2において、カム面12a,
13aの軸方向Zに高い位置ほどリード角が小さくなっ
ているので(α12<α11)、図2の構成と同様に、
低トルク側の軸力を大きくすることなく、高トルク側の
軸力だけを増強することができる。また、区間K3が、
区間K1と区間K2とを合わせた区間に比べて大幅に短
いので、ローラ14同士の間隔を短縮できる。よって、
ローラ14を多数配置させることができ(たとえば5個
以上)、1個のローラ14が回転カム12,13に与え
る接触圧力を小さくすることができる。
【0038】次に、リード長Ldとトラクション係数μ
との関係について説明する。まず、伝達されるトルクT
に対して、入力ディスク15は伝動ローラ17,18の
各接触面において、それぞれ接触するので、1接触面あ
たりに伝達されるトルクは、T/2である。次に、1接
触面あたりに伝達される接線力Ftは、入力ディスク1
5の回転軸から伝動ローラ17の接触面までの距離rを
用いて、T/2rと表される。一方、軸力Faに対し
て、1接触面あたりの押付け力Fcは、接触点と傾転中
心とを結ぶ直線が傾転角ゼロのときの伝動ローラ17の
回転軸となす角度φを用いて、Fa/2sinφと表さ
れる。トラクション係数μは、押付け力Fcに対する接
線力Ftの比率であるので、 と表される。よって、トラクション係数μは、リード長
Ldに比例する。
【0039】図4は、クリープ値とトラクション係数と
の関係を示すグラフであり、図4(a)はリード長Ld
=28mmのときのグラフであり、図4(b)はリード
長Ld=21mmのときのグラフである。クリープ値
は、入力ディスク15の速度に対する入力ディスク15
と伝動ローラ17との相対速度差の比率である。図4
(a)、図4(b)には、曲線および直線がそれぞれ描
かれている。曲線は、クリープ値に対するトラクション
係数μを潤滑油の特性を考慮した数値シミュレーション
によって求めた計算機実験値を示し、直線は、式(1)
に基づく理論値を示す。ただし、入力ディスク15の回
転数を23000rpm、入力トルクを90Nm、変速
比を1、潤滑油の温度を130℃とした。
【0040】式(1)は、ローラ14の転がり抵抗を無
視したものであり、図4(a)、図4(b)に示すよう
に、トラクション係数μはクリープ値に無関係に一定で
ある。図4(a)ではトラクション係数μ=0.96、
図4(b)ではトラクション係数μ=0.72である。
一方、実験値はクリープ値の上昇ともにゼロから上昇
し、クリープ値が1%付近から下降に転じる。これは、
潤滑油の剪断による接線力Ftの低下が起こっているこ
とを示している。
【0041】図4(a)では理論値が実験値よりも大き
いが、図4(b)ではクリープ値が約0.7%よりも大
きいとき、すなわち実験値が下降するときに、理論値が
実験値よりも小さくなる。実際には、トラクション係数
μが、理論値よりも大きくなることはなく、図4(b)
においては、潤滑油の剪断は回避され、接線力Ftの低
下が防止される。さらに、トラクション係数はリード長
Ldに比例するので、リード長Ld=21mm未満で
も、潤滑油の剪断は回避され、接線力Ftの低下が防止
される。
【0042】したがって、リード長Ldが21mm以下
であるカム面12a,13aを形成することによって、
接線力Ftの低下を防止して、効率よく動力を伝達する
ことができる。
【0043】
【発明の効果】以上のように本発明によれば、回転カム
部材に、凸部から凹部までの間にリード角が変化する形
状のカム面を形成することによって、疲労寿命を短縮さ
せることなく軸力を増強できる。または、ローラがカム
面の凸部を乗り越えることを防止して確実に軸力を供給
することができる。
【0044】また本発明によれば、回転カム部材のカム
面の第1および第2区間K1,K2を、軸方向に低い位
置ほどリード角が大きい形状とすることによって(α1
2<α11)、疲労寿命を短縮させることなく軸力を増
強できる。
【0045】本発明によれば、カム面を、凸部から凹部
までの周方向の距離がその凹部から次の凸部までの距離
と異なるような形状にすることによって、ローラとして
ボール型の部材を使用することが可能となり、軸力のヒ
ステリシスを低減して、効率よく軸力を発生することが
できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態である変速装置10を示す
図である。
【図2】図1のカム面12a,13aの本発明の前提と
なる形状の第1例を示す拡大図である。
【図3】図1のカム面12a,13aの本発明の実施の
一形態の形状を示す拡大図である。
【図4】クリープ値とトラクション係数との関係を示す
グラフである。
【図5】従来の軸力発生装置1を示す図である。
【符号の説明】
10 変速装置 11 皿ばね 12,13 回転カム 12a,13a カム面 14 ローラ 15 入力ディスク 16 出力ディスク 17,18 伝動ローラ P11,P13 凸部 P12 凹部 G1,G2,K1,K2,K3 区間 α11〜α14 リード角 Ω 周方向 Z 軸方向
フロントページの続き (72)発明者 町田 尚 神奈川県藤沢市鵠沼神明1−5−50 日 本精工株式会社内 (56)参考文献 特開 昭59−65654(JP,A) 特開 昭62−283247(JP,A) 特開 平5−203008(JP,A) 実開 昭62−194966(JP,U) 実開 昭61−28936(JP,U) 実開 昭62−191950(JP,U) 実開 昭62−71465(JP,U) 米国特許4463620(US,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) F16H 15/36,15/38 F16H 15/50,15/52 F16H 25/14

Claims (3)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 (a)端面にカム面12a,13aがそ
    れぞれ形成される一対の回転カム部材12,13であっ
    て、 一方の回転カム部材12の一方のカム面12aは、 軸方向に低い凹部P12から周方向の一方向に、軸方向
    に高い第1凸部P11に向って延びる第1区間K1と、 第1区間K1に続いて周方向の前記一方向に第1凸部P
    11まで延びる第2区間K2と、 凹部P12から周方向の前記一方向とは逆方向に、軸方
    向に高い第2凸部P13まで延びる第3区間K3とから
    成り、 第1区間K1の第1リード角α11よりも第2区間K2
    の第2リード角α12が小さく、第3区間K3の第3リ
    ード角α14は、第1リード角α11よりも大きく、 第3区間K3は、第1区間K1と第2区間K2とをあわ
    せた区間に比べて短く、 このような一方のカム面12aが周方向に複数、形成さ
    れ、 他方のカム面13aは、前記一方のカム面12aと同一
    形状を有し、前記一方のカム面12aと対向して配置さ
    れる回転カム部材12,13と、 (b)複数のローラ14であって、 前記一方および前記他方の対向するカム面12a,13
    a間にそれぞれに介在され、 各回転カム部材12,13の相対的角変位に応じて第1
    および第2区間K1,K2でカム面12a,13aに接
    触して周方向に転動可能であり、第3リード角α14が
    大きい第3区間K3では周方向に転動することはないロ
    ーラ14とを備え、 (c)軸方向に所望の軸力を発生することを特徴とする
    軸力発生装置。
  2. 【請求項2】 ローラ14は、ボール型であり、5個以
    上設けられることを特徴とする請求項1記載の軸力発生
    装置。
  3. 【請求項3】 前記請求項1または2記載の軸力発生装
    置と、 回転カム部材と同一の回転軸を有し、互いに対向配置さ
    れる入力ディスクおよび出力ディスクと、 入力ディスクの回転を出力ディスクに伝える伝動ローラ
    とを備えることを特徴とするトラクションドライブ変速
    装置。
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