JP4192398B2 - トロイダル型無段変速機 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は、例えば自動車用の変速機として利用する、トロイダル型無段変速の改良に関し、小型且つ軽量なトロイダル型無段変速機の構造を実現するものである。
【0002】
【従来の技術】
自動車用変速機として、図5〜6に略示する様なトロイダル型無段変速機を使用する事が研究され、一部で実施されている。このトロイダル型無段変速機は、例えば実開昭62−71465号公報に開示されている様に、入力軸1と同心に入力側ディスク2を支持し、この入力軸1と同心に配置した出力軸3の端部に出力側ディスク4を固定している。トロイダル型無段変速機を納めたケーシングの内側には、上記入力軸1並びに出力軸3に対し捻れの位置にある枢軸5、5を中心として揺動するトラニオン6、6を設けている。
【0003】
即ち、これら各トラニオン6、6は、それぞれの両端部外面に上記枢軸5、5を、互いに同心に設けている。又、これら各トラニオン6、6の中間部には変位軸7、7の基端部を支持し、上記枢軸5、5を中心として上記各トラニオン6、6を揺動させる事により、上記各変位軸7、7の傾斜角度の調節を自在としている。上記各トラニオン6、6に支持した変位軸7、7の周囲には、それぞれパワーローラ8、8を回転自在に支持している。そして、これら各パワーローラ8、8を、上記入力側、出力側両ディスク2、4の、互いに対向する内側面2a、4a同士の間に挟持している。これら各内側面2a、4aは、それぞれ断面が、上記枢軸5を中心とする円弧を回転させて得られる凹面をなしている。そして、球状凸面に形成した上記各パワーローラ8、8の周面8a、8aを、上記内側面2a、4aに当接させている。
【0004】
上記入力軸1と入力側ディスク2との間には、ローディングカム式の押圧装置9を設け、この押圧装置9によって、上記入力側ディスク2を出力側ディスク4に向け弾性的に押圧しつつ、この入力側ディスク2を回転駆動自在としている。この押圧装置9は、入力軸1と共に回転するローディングカム(カム板)10と、保持器11により転動自在に保持した複数個(例えば4個)のローラ12、12とから構成している。上記ローディングカム10の片側面(図5〜6の右側面)には、円周方向に亙る凹凸であるカム面13を形成し、上記入力側ディスク2の外側面(図5〜6の左側面)にも、同様の形状を有するカム面14を形成している。そして、上記複数個のローラ12、12を、上記入力軸1の中心に関し放射方向の軸を中心とする回転自在に支持している。
【0005】
上述の様に構成するトロイダル型無段変速機の使用時、入力軸1の回転に伴ってローディングカム10が回転すると、カム面13が複数個のローラ12、12を、入力側ディスク2の外側面に形成したカム面14に押圧する。この結果、上記入力側ディスク2が、上記複数のパワーローラ8、8に押圧されると同時に、上記両カム面13、14と複数個のローラ12、12との押し付け合いに基づいて、上記入力側ディスク2が回転する。そして、この入力側ディスク2の回転が、上記複数のパワーローラ8、8を介して出力側ディスク4に伝達され、この出力側ディスク4に固定の出力軸3が回転する。
【0006】
入力軸1と出力軸3との回転速度比(変速比)を変える場合で、先ず入力軸1と出力軸3との間で減速を行なう場合には、前記各枢軸5、5を中心として前記各トラニオン6、6を所定方向に揺動させる。そして、上記各パワーローラ8、8の周面8a、8aが図5に示す様に、入力側ディスク2の内側面2aの中心寄り部分と出力側ディスク4の内側面4aの外周寄り部分とにそれぞれ当接する様に、前記各変位軸7、7を傾斜させる。反対に、増速を行なう場合には、上記枢軸5、5を中心として上記各トラニオン6、6を反対方向に揺動させる。そして、上記各パワーローラ8、8の周面8a、8aが図6に示す様に、入力側ディスク2の内側面2aの外周寄り部分と出力側ディスク4の内側面4aの中心寄り部分とに、それぞれ当接する様に、上記各変位軸7、7を傾斜させる。各変位軸7、7の傾斜角度を図5と図6との中間にすれば、入力軸1と出力軸3との間で、中間の変速比を得られる。
【0007】
又、図7〜8は、実願昭63−69293号(実開平1−173552号)のマイクロフィルムに記載された、より具体化されたトロイダル型無段変速機の1例を示している。入力側ディスク2と出力側ディスク4とは円管状の入力軸15の周囲に回転自在に支持している。そして、この入力軸15の回転に基づいて上記入力側ディスク2を、押圧装置9を介して、上記出力側ディスク4に向け押圧しつつ回転させる様にしている。又、上記出力側ディスク4には出力歯車16を結合固定している。
【0008】
又、1対のトラニオン6、6の両端部は1対の支持板17、17に、揺動並びにその両端部に設けた枢軸5、5の軸方向(図7の表裏方向、図8の左右方向)の変位自在に支持している。そして、上記各トラニオン6、6の中間部に支持した変位軸7、7によりパワーローラ8、8を、回転及び上記入力軸15の軸方向(図7の左右方向、図8の表裏方向)の変位自在に支持している。
【0009】
更に、上記各トラニオン6、6は、それぞれ駆動シリンダ18、18への圧油の給排により、上記枢軸5、5の軸方向(図7の表裏方向、図8の左右方向)に変位させられる様にしている。入力軸15と出力歯車16との間の回転速度比を変える場合には、上記1対のトラニオン6、6を、それぞれ逆方向に変位させ、これら各トラニオン6、6に支持した各パワーローラ8、8の周面8a、8aと上記入力側ディスク2及び出力側ディスク4の内側面2a、4aとの当接部に作用する、接線方向の力の向きを変化させる。すると、この力の向きの変化に伴って上記各トラニオン6、6が、支持板17、17に枢支された枢軸5、5を中心として、互いに逆方向に揺動する。この結果、前述の図5〜6に示した様に、上記各パワーローラ8、8の周面8a、8aと上記各内側面2a、4aとの当接位置が変化し、上記入力軸15と出力歯車16との間の回転速度比が変化する。
【0010】
尚、この様に上記入力軸15と出力歯車16との間で回転力の伝達を行なう際には、構成各部材の弾性変形に基づいて上記各パワーローラ8、8が、上記入力軸15の軸方向に変位し、これら各パワーローラ8、8を枢支している前記各変位軸7、7が僅かに回動する。
【0011】
更に、伝達可能なトルクを増大すべく、図9〜10に示す様に、入力軸15aの周囲に入力側ディスク2A、2Bと出力側ディスク4、4とを2個ずつ設け、これら2個ずつの入力側ディスク2A、2Bと出力側ディスク4、4とを動力の伝達方向に関して互いに並列に配置する、所謂ダブルキャビティ型の構造も、例えば特開平1−234646号公報、同7−158711号公報、同8−21503号公報、同8−35549号公報等に記載されている様に、従来から知られている。上記図9〜10に示した構造は、上記入力軸15aの中間部周囲に出力歯車16aを、この入力軸15aに対する回転を自在として支持し、この出力歯車16aと上記各出力側ディスク4、4とが同期して回転する様にしている。又、上記各入力側ディスク2A、2Bは、上記入力軸15aの両端部に、この入力軸15aと共に回転自在に支持している。
【0012】
上述した様なダブルキャビティ型のトロイダル型無段変速機の運転時には、駆動軸19の回転が押圧装置9を介して、上記入力軸15aの両端部に設けた入力側ディスク2A、2Bに伝わり、これら両入力側ディスク2A、2Bが同期して回転する。そして、これら両入力側ディスク2A、2Bの回転が、それぞれ複数個ずつ(図示の例では2個ずつ合計4個)のパワーローラ8、8を介して1対の出力側ディスク4、4に伝わる。この結果、これら両出力側ディスク4、4を結合した出力歯車16aが回転する。この様にダブルキャビティ型のトロイダル型無段変速機では、上記駆動軸19から出力歯車16aへの回転伝達を、互いに並列に配置された2系統に分けて行なうので、大きなトルク伝達が可能になる。
【0013】
上述した各従来構造の場合、伝達効率を確保すべく、各ディスク2、2A、2B、4の内側面2a、4aと各パワーローラ8、8の周面8a、8aとの当接圧を確保する為に、ローディングカム式の押圧装置9を使用していた。これに対して、図11に示す様に、油圧式の押圧装置9aにより入力側ディスク2を出力側ディスクに向け押圧する構造も、従来から提案されている。即ち、この入力側ディスク2の背面と入力軸15の中間部に形成した鍔部20との間に油圧式のアクチュエータ21を設け、このアクチュエータ21内への圧油の送り込みにより、上記入力側ディスク2を出力側ディスクに向け押圧自在としている。この様に入力側ディスク2を押圧する力の大きさは、上記アクチュエータ21内に送り込む圧油の圧力を変える事により調節自在である。
【0014】
【発明が解決しようとする課題】
上述した様な従来のトロイダル型無段変速機の場合、押圧装置9、9aと入力側ディスク2、2Bとを、軸方向に関し直列に配置していた為、軸方向寸法が嵩み全体が大型化する事が避けられない。特に、伝達すべきトルクの大きさに応じてより適切な押圧力を発生させるべく、機械式であるローディングカム式の押圧装置9と油圧式の押圧装置9aとを組み合わせた場合には、大型化の程度が著しくなる。
本発明は、この様な事情に鑑みて、押圧装置を設ける事で軸方向寸法が嵩む事がなく、小型且つ軽量なトロイダル型無段変速機を実現すべく発明したものである。
【0015】
【課題を解決するための手段】
本発明のトロイダル型無段変速機は、前述した従来から知られているトロイダル型無段変速機と同様に、入力軸と、この入力軸の中間部周囲に、互いの内側面を軸方向反対側に向けた状態でこの入力軸に対する相対回転を自在として互いに同心に支持された1対の出力側ディスクと、この入力軸の両端部に、それぞれの内側面をこれら両出力側ディスクの内側面に対向させた状態で、これら両出力側ディスクと同心に支持された1対の入力側ディスクと、それぞれが軸方向に関してこれら出力側ディスクと入力側ディスクとの間に位置し、これら出力側、入力側各ディスクの中心軸に対し捻れの位置にある枢軸を中心として揺動する複数のトラニオンと、これら各トラニオンの内側面から突出した複数本の変位軸と、それぞれがこれら各変位軸の周囲に回転自在に支持された状態で、上記出力側、入力側各ディスクの間に挟持された複数個のパワーローラと、これら出力側、入力側各ディスク同士を互いに近づけ合う方向に押圧する押圧装置とを備える。
【0016】
特に、本発明のトロイダル型無段変速機に於いては、この押圧装置は、機械式の押圧装置と油圧式の押圧装置とを組み合わせて成る。
このうちの機械式の押圧装置は、上記両入力側ディスクの中心孔の内周面に形成された、この内周面の円周方向に対しこれら両入力側ディスク同士の間で互いに逆方向に傾斜している、ヘリカルボールスプライン溝状である、これら両入力側ディスクの内周面毎に複数本ずつの外側係合溝と、上記入力軸の両端部外周面でこれら各外側係合溝と整合する位置に、これら両端部同士の間で互いに逆方向に傾斜した状態で形成された、ヘリカルボールスプライン溝状である、上記両端部毎に複数本ずつの内側係合溝と、上記各外側係合溝とこれら各内側係合溝との間にこれら係合溝に沿う転動自在に設けられた複数個のボールとから成る。
又、上記油圧式の押圧装置は、上記両入力側ディスクのうちの一方の入力側ディスクと上記入力軸との間に設けられて、圧油の送り込みに伴ってこの入力側ディスクを他方の入力側ディスクに向け押圧すると同時に、上記入力軸を介してこの他方の入力側ディスクを、上記一方の入力側ディスクに向けて引っ張るものであって、上記圧油の圧力を、上記両入力側ディスクと上記両出力側ディスクとの間での回転伝達状態に対応して変化させるものである。
【0017】
【作用】
上述の様に構成する本発明のトロイダル型無段変速機が、1対の入力側ディスクと1対の出力側ディスクとの間で回転力の伝達を行なう際の作用、並びに、これら両入力側ディスクと両出力側ディスクとの間の変速比を変える際の作用は、前述の図9に示した、従来から知られているダブルキャビティ型のトロイダル型無段変速機の場合と同様である。
【0018】
特に、本発明のトロイダル型無段変速機の場合には、上記両入力側ディスクと入力軸との間でのトルク伝達に伴って、外側、内側係合溝と複数のボールとの係合に基づき、上記両入力側ディスクが上記両出力側ディスクに向けて押される。上記係合溝に対する上記各ボールの変位は、転がり接触により円滑に行なわれるので、押圧装置の効率は良好で、この押圧装置の作動に伴う動力損失は低い。又、ヒステリシスがローディングカム式の押圧装置に比べて小さいので、伝達する動力の変化に対する追従性が良く、トルク変動時にも最適押し付け力を得る事ができて、この面からも効率を良好にできる。又、上記押圧装置は上記両入力側ディスクの内径側に設けられる為、この押圧装置を設ける事で軸方向寸法が嵩む事もなく、部品点数を少なくできる事と相まって、小型且つ軽量なトロイダル型無段変速機の実現を図れる。
しかも本発明のトロイダル型無段変速機の場合には、上記外側、内側各係合溝と複数のボールとの係合に基づく機械式の押圧装置に加えて、油圧式の押圧装置を設けているので、動力損失を低く抑えつつ、最適な押し付け力を得て、高い伝達効率を得られる。
【0019】
【発明の実施の形態】
図1〜2は、本発明に関する参考例の第1例を示している。本参考例は、前述の図7〜8に示した様な、シングルキャビティ型のトロイダル型無段変速機に、外側、内側各係合溝と複数のボールとの係合に基づく機械式の押圧装置を組み込んだ場合に就いて示している。本参考例の特徴は、入力軸15bの回転に伴ってこの入力軸15bと共に回転する入力側ディスク2を、この入力軸15bの周囲に回転自在に支持した出力ディスク4に対し押圧する、押圧装置22部分にある。その他の部分の構成及び作用は、上記図7〜8に示した従来構造と同様であるから、同等部分に関する図示並びに説明は、省略若しくは簡略にし、以下、本参考例の特徴部分を中心に説明する。
【0020】
本参考例の特徴部分である上記押圧装置22は、上記入力側ディスク2と上記入力軸15bとの間に、ヘリカルボールスプラインの如き機構を組み込んで成る。この為に、上記入力側ディスク2の中心孔23の内周面に、断面形状が半円形でこの内周面の円周方向に対し傾斜している、ヘリカルボールスプライン溝状である複数本の外側係合溝24、24を形成している。これに対して、上記入力軸15bの中間部一端寄り(図1〜2の左端寄り)部分の外周面で上記中心孔23の内側に位置する部分に、やはりヘリカルボールスプライン溝状である複数本の内側係合溝25、25を、上記各外側係合溝24、24に整合させた状態で形成している。そして、これら各外側係合溝24、24と内側係合溝25、25との間に、各係合溝24、25毎に複数個ずつのボール26、26を、これら各係合溝24、25に沿う転動自在に設けている。
【0021】
更に、図示の例では、上記入力軸15bの一端部(図1の左端部)で上記入力側ディスク2の背面27から突出した部分に形成した雄ねじ部35に、フランジ板28を螺着している。そして、このフランジ板28と上記入力側ディスク2の背面27との間に、予圧ばねである皿板ばね29を設けて、上記入力側ディスク2を前記出力側ディスク4に向け弾性的に押圧している。尚、上記フランジ板28の径方向に形成した係止孔30に挿入した係止ピン31を、この係止孔30と上記入力軸15bの外周面に形成した係止溝32との間に掛け渡す事により、上記フランジ板28が上記入力軸15bから不用意に脱落する事を防止している。尚、上記係止ピン31は、上記フランジ板28に螺着した止めねじ33により、上記係止孔30から抜け出る事を防止されている。
【0022】
上述の様に構成する本参考例のトロイダル型無段変速機の運転時には、上記入力軸15bが図2の矢印α方向に回転しつつ、この入力軸15bから上記入力側ディスク2にトルクを伝達する。すると、上記各内側係合溝25、25に係合した上記各ボール26、26は、これら各内側係合溝25、25に沿って、図2の矢印β方向に変位する傾向になり、上記各外側係合溝24、24の側面を押す。この結果、これら各外側係合溝24、24をその内周面に形成した上記入力側ディスク2は、上記出力側ディスク4に向け押圧されつつ、上記入力軸15bと共に回転する。
【0023】
前記押圧装置22が上記入力側ディスク2を上記出力側ディスク4に押圧する力は、上記入力軸15bに加わるトルクが大きくなる程大きくなる。従って、前述した従来構造に組み込まれていたローディングカム式の押圧装置9の場合と同様に、入力側、出力側両ディスク2、4の内側面2a、4aと各パワーローラ8、8の周面8a、8aとの転がり接触部に滑りが発生する事を防止して、上記入力側ディスク2から上記出力側ディスク4への動力伝達を確実に行なえる。尚、トロイダル型無段変速機が停止しており、上記押圧装置22が押圧力を発生していない状態でも、前記皿板ばね29の弾力に基づいて上記各転がり接触部の面圧が必要最小限だけ確保されている。従って、トロイダル型無段変速機の運転開始直後から、上記各転がり接触部で滑りが発生する事なく、確実な動力伝達を行なえる。
【0024】
この様に上記入力側ディスク2を出力側ディスク4に押圧しつつ回転させる際に、上記各ボール26、26は上記外側、内側両係合溝24、25に対し、これら両係合溝24、25の長さ方向に変位する。この様な上記各ボール26、26の変位は、転がり接触により円滑に行なわれるので、前記押圧装置22の効率は良好で、この押圧装置22の作動に伴う動力損失は低い。又、この押圧装置22は上記入力側ディスク2の内径側に設けられる為、この押圧装置22を設ける事で軸方向寸法が嵩む事もなく、小型且つ軽量なトロイダル型無段変速機の実現を図れる。尚、上記外側、内側両係合溝24、25は複数本ずつ設け、これら両係合溝24、25と上記各ボール26、26との当接部の面圧が過大にならない様にする。
【0025】
尚、上記外側、内側両係合溝24、25のリードLは、前記入力軸15aから上記入力側ディスク2に伝達するトルクTa 、必要とする押し付け力Fa に応じて、次式により決定する。尚、ηは、上記外側、内側両係合溝24、25と上記各ボール26、26とにより構成するヘリカルボールスプライン状の係合部の効率である。
a =2π・η・Ta /L
【0026】
次に、図3は、本発明に関する参考例の第2例として、外側、内側各係合溝と複数のボールとの係合に基づく機械式の押圧装置を、前述の図9〜10に示した様な、ダブルキャビティ型のトロイダル型無段変速機に組み込んだ場合に就いて示している。この為に本参考例の場合には、1対の入力側ディスク2A、2Bを、1本の入力軸15cの中間部両端寄り部分に、それぞれがヘリカルボールスプライン状の押圧装置22a、22bを介して組み付けている。又、一方(図3の右方)の入力側ディスク2A側に設けた押圧装置22aを構成する外側係合溝24a、24a及び内側係合溝25a、25aの傾斜方向と、他方(図3の左方)の入力側ディスク2B側に設けた押圧装置22bを構成する外側係合溝24b、24b及び内側係合溝25b、25bの傾斜方向とは、互いに逆にしている。そして、上記入力軸15cの回転に伴って上記両入力側ディスク2A、2Bが、この入力軸15cと共に回転しつつ、互いに近づく方向に押圧される様に、上記各係合溝24a、24b、25a、25bの傾斜方向を規制している。
【0027】
上記一方の入力側ディスク2Aの背面27aと、上記入力軸15cの一端部に螺合固定したローディングナット34との間には、予圧付与の為の皿板ばね29aを設けている。上記各押圧装置22a、22bの作用等に就いては、前述した参考例の第1例の場合と同様であり、ダブルキャビティ型のトロイダル型無段変速機の基本的な構成及び作用に就いては、前述の図9〜10に示した従来構造の場合と同様であるから、重複する説明は省略する。
【0028】
次に、図4は、本発明の実施の形態の1例を示している。本例の場合には、入力側ディスク2Bと入力軸15cとの間に、ヘリカルボールスプライン状の押圧装置22bに加えて、油圧式の押圧装置9aを設けている。この押圧装置9aは、前述の図11に示した従来構造と同様のものであり、上記入力側ディスク2Bの背面と入力軸15cの中間部に形成した鍔部20との間に油圧式のアクチュエータ21を設けて成る。そして、このアクチュエータ21内への圧油の送り込みにより、上記入力側ディスク2Bを出力側ディスク4に向け押圧自在としている。
【0029】
この様に上記押圧装置9aが上記入力側ディスク2Bを押圧する力の大きさは、上記アクチュエータ21内に送り込む圧油の圧力を変える事により調節自在である。従って本例の場合には、この圧油の圧力を、上記入力側ディスク2Bと上記出力側ディスク4との間で伝達するトルクが大きくなる程高くする。
【0030】
上述の様に、機械的に押し付け力を発生させる押圧装置22bと、油圧式に押し付け力を発生させる押圧装置9aとを設けた本例の構造は、動力損失を低く抑えつつ、最適な押し付け力を得て、高い伝達効率を得られる。即ち、変速比の変化等、伝達すべきトルク以外の条件に応じて押し付け力を変化させるのは、機械式の押圧装置22bでは行なえず、油圧式の押圧装置9aを使用する必要がある。又、ヘリカルボールスプライン状の機械式の押圧装置22bのみでは、出力の大きなエンジンと組み合わせた場合に、最大トルク伝達時に容量(押圧力)が不足する事が考えられる。
【0031】
一方、総ての場合に(トロイダル型無段変速機の運転継続中、絶え間なく)油圧式の押圧装置9aで押し付け力を発生させる場合には、上記アクチュエータ21に圧油を送り込む為のポンプを運転する事に伴う損失が大きくなる。これに対して本例の場合には、上記機械式の押圧装置22bと上記油圧式の押圧装置9aとを設ける事により、伝達すべきトルクや変速比に応じた最適な押圧力を得る事ができ、しかもポンプを運転する事に伴う損失の増大を抑える事ができる。
【0032】
即ち、上記機械式の押圧装置22bのみで適正な押圧力を得られる場合には上記アクチュエータ21への圧油の供給を停止して上記ポンプを運転する事に伴う損失の増大を抑える。これに対して、上記機械式の押圧装置22bのみでは適正な押圧力を得られない場合には、上記アクチュエータ21に圧油を送り込んで、上記機械式の押圧装置22bと上記油圧式の押圧装置9aとの両方で、前記入力側ディスク2Bを押圧する。上記機械式の押圧装置22bは、それを設ける事でトロイダル型無段変速機の軸方向寸法が大きくなる事はない。従って、機械式の押圧装置22bと油圧式の押圧装置9aとを組み合わせた本例の構造でも、前述の図11に示した従来構造と同様の大きさで構成できる。
【0033】
【発明の効果】
本発明は、以上に述べた通り構成され作用するので、小型・軽量でしかも優れた伝達効率を有するトロイダル型無段変速機の実現に寄与できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明に関する参考例の第1例を示す要部断面図。
【図2】 入力軸のみを取り出して示す、部分切断側面図。
【図3】 本発明に関する参考例の第2例を示す、図10と同様の断面図。
【図4】 本発明の実施の形態の1例を示す、図3の左半部に相当する図。
【図5】 従来から知られているトロイダル型無段変速機の基本的構成を、最大減速時の状態で示す側面図。
【図6】 同じく最大増速時の状態で示す側面図。
【図7】 トロイダル型無段変速機の具体的構造の1例を示す断面図。
【図8】 図7のA−A断面図。
【図9】 従来から知られているダブルキャビティ型のトロイダル型無段変速機の1例を示す断面図。
【図10】 図9のB−B断面図。
【図11】 従来から知られている油圧式の押圧装置の1例を示す断面図。
【符号の説明】
1 入力軸
2、2A、2B 入力側ディスク
2a 内側面
3 出力軸
4 出力側ディスク
4a 内側面
5 枢軸
6 トラニオン
7 変位軸
8 パワーローラ
8a 周面
9、9a 押圧装置
10 ローディングカム
11 保持器
12 ローラ
13、14 カム面
15、15a、15b、15c 入力軸
16、16a 出力歯車
17 支持板
18 駆動シリンダ
19 駆動軸
20 鍔部
21 アクチュエータ
22、22a、22b 押圧装置
23 中心孔
24、24a、24b 外側係合溝
25、25a、25b 内側係合溝
26 ボール
27、27a 背面
28 フランジ板
29、29a 皿板ばね
30 係止孔
31 係止ピン
32 係止溝
33 止めねじ
34 ローディングナット
35 雄ねじ部

Claims (1)

  1. 入力軸と、この入力軸の中間部周囲に、互いの内側面を軸方向反対側に向けた状態でこの入力軸に対する相対回転を自在として互いに同心に支持された1対の出力側ディスクと、この入力軸の両端部に、それぞれの内側面をこれら両出力側ディスクの内側面に対向させた状態で、これら両出力側ディスクと同心に支持された1対の入力側ディスクと、それぞれが軸方向に関してこれら出力側ディスクと入力側ディスクとの間に位置し、これら出力側、入力側各ディスクの中心軸に対し捻れの位置にある枢軸を中心として揺動する複数のトラニオンと、これら各トラニオンの内側面から突出した複数本の変位軸と、それぞれがこれら各変位軸の周囲に回転自在に支持された状態で、上記出力側、入力側各ディスクの間に挟持された複数個のパワーローラと、これら出力側、入力側各ディスク同士を互いに近づけ合う方向に押圧する押圧装置とを備えたトロイダル型無段変速機に於いて、この押圧装置は、機械式の押圧装置と油圧式の押圧装置とを組み合わせて成り、このうちの機械式の押圧装置は、上記両入力側ディスクの中心孔の内周面に形成された、この内周面の円周方向に対しこれら両入力側ディスク同士の間で互いに逆方向に傾斜している、ヘリカルボールスプライン溝状である、これら両入力側ディスクの内周面毎に複数本ずつの外側係合溝と、上記入力軸の両端部外周面でこれら各外側係合溝と整合する位置に、これら両端部同士の間で互いに逆方向に傾斜した状態で形成された、ヘリカルボールスプライン溝状である、上記両端部毎に複数本ずつの内側係合溝と、上記各外側係合溝とこれら各内側係合溝との間にこれら係合溝に沿う転動自在に設けられた複数個のボールとから成るものであり、上記油圧式の押圧装置は、上記両入力側ディスクのうちの一方の入力側ディスクと上記入力軸との間に設けられて、圧油の送り込みに伴ってこの入力側ディスクを他方の入力側ディスクに向け押圧すると同時に、上記入力軸を介してこの他方の入力側ディスクを、上記一方の入力側ディスクに向けて引っ張るものであって、上記圧油の圧力を、上記両入力側ディスクと上記両出力側ディスクとの間での回転伝達状態に対応して変化させるものである事を特徴とするトロイダル型無段変速機。
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