JP3536129B2 - 結晶性水酸化アルミニウム - Google Patents

結晶性水酸化アルミニウム

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Description

【発明の詳細な説明】 本発明は、熱硬化性プラスチックの防炎用に適する結
晶性水酸化アルミニウムに関する。
とくに電子工業の分野で使用される熱硬化性プラスチ
ックには、有毒なハロゲン化物による防炎処理を非ハロ
ゲン化物による処理に置き換えることが、公に要求され
ている。
水酸化アルミニウムは、その物性に関して、熱硬化性
プラスチックとともに容易に加工することができるこ
と、および、要求される電気的特性の点からみて、きわ
めて高い純度を有すること、を条件とするとき、ひとつ
の自明な選択であるといえる。しかし、上記した両方の
特性を示す水酸化アルミニウムは、これまで知られてい
ない。
それゆえ本発明の目的は、要求どおりの特性プロフィ
ール、高い純度、際立った電気的特性および良好な粘度
特性をもった水酸化アルミニウムを開発することであ
る。
上記の目的は、請求の範囲第1項に従う結晶性水酸化
アルミニウムにより達成することができる。
結晶サイズ分布に関する下記のパーセンテージデータ
は、重量%で記載してある。
本発明によると、この結晶性水酸化アルミニウムは、
50%範囲の粒子サイズd50が15〜50μm、好ましくは20
〜35μmである。
10%範囲の粒子サイズd10は、好ましくは2〜6μ
m、より好ましくは4〜6μmである。90%範囲の粒子
サイズd90は、好ましくは35〜100μm、より好ましくは
40〜95μmである。結晶性水酸化アルミニウムの電気的
特性において肝要なポイントは、Na2O含有量および可溶
性Na2Oの含有量であり、前者は本発明によれば0.1%以
下であり、後者は本発明によれば、0.005%以下であ
る。可溶性Na2Oの含有量は0.004%以下であることが好
ましい。
結晶性水酸化アルミニウムの純度は、脱イオン水中の
10%懸濁液の電気伝導度を利用して測定する。本発明に
よる結晶性水酸化アルミニウムは、有利には、25μS/cm
以下の値を示す。
結晶性水酸化アルミニウムの比表面積は、BET法によ
り測定した値として、0.4m2/g〜1.2m2/gの範囲内にある
のが好都合である。
本発明による結晶性水酸化アルミニウムの製造は、50
%範囲の粒子サイズd50が25〜90μm、好ましくは35〜7
5μm、Na2O含有量が0.15%未満、可溶性Na2Oの含有量
が0.02%未満である、特別に結晶化された水酸化アルミ
ニウムから出発する。出発水酸化アルミニウムの10%範
囲の粒子サイズd10は10〜30μmが好都合であり、90%
範囲の粒子サイズd90は45〜150μmが好都合である。出
発水酸化アルミニウムの10%懸濁液の電気伝導度は、25
μS/cm〜55μS/cmの間が好都合である。BET法による出
発水酸化アルミニウムの比表面積は、0.1m2/g未満〜1.0
m2/gの間の範囲が好都合である。
上記の出発水酸化アルミニウムを、まず温水(好都合
には温度が90℃〜95℃の)で洗浄し、Na2O含有量を低下
させる。この時点での作業は、水酸化アルミニウムを、
たとえばベルトフィルター上で、水酸化アルミニウム1
トンあたり1.5m3〜2m3の洗浄水で処理することが好都合
である。
続いて、その結果得られた水酸化アルミニウムを、好
ましくは乾燥させる。この水酸化アルミニウムのNa2O含
有量は0.1%以下の範囲であり、可溶性Na2Oの含有量は
0.005%以下の範囲である。
つづいて解砕を、適当な粉砕機、好ましくはインパク
トミルの中で実施する。
有利には、この解砕を連続的に実施する。
本発明による生成物の特性に関し、インパクトミルの
分離器の回転速度のミルパラメーター(ローター本体の
回転速度)および製品の供給%(連続的に排出される生
成物の割合、100%からこの値を引いた量がミル中へ循
環される)を、適当な値に設定することが重要である。
分離器の回転速度は、650〜950回転/分の範囲に設定
するのが好都合であることが見出された。供給%は、35
%〜75%の範囲で変動可能である。
本発明によると、得られた水酸化アルミニウムを、熱
硬化性プラスチック、たとえば、不飽和ポリエステル樹
脂、アクリル樹脂またはエポキシ樹脂などの防炎に使用
することができる。
ここで、充填の度合は、UL−94(Underwriter Labora
tories)に規定する耐炎性を達成するのに必要な通常の
使用量の範囲内にある。
本発明の防炎熱硬化性プラスチックは、すぐれた粘度
特性、およびそれと同時に有する、際立った電気的特性
により、顕著なものである。
実施例 実施例1 解砕した結晶性の水酸化アルミニウムの製造 バイヤープロセスから得た、とくに結晶化させた、下
記の特性をもつ水酸化アルミニウムを、 d10(μm) :20.4 d50(μm) :40.9 d90(μm) :66.7 可溶性Na2O(%) :0.005 Na2O(%) :0.054 伝導度(μS/cm,脱イオン水中10%懸濁液):26 BET法による比表面積法:0.3m2/g ベルトフィルター上で1.8m3/トンの洗浄水(95℃)で洗
浄し、流動乾燥機を通して、水分量0.15%まで乾燥し
た。
このように処理した水酸化アルミニウムを、インパク
トミル(ACMミル)中で、この装置に特有のインパクト
技術により、供給率約70%、分離器速度850rpm、インパ
クト体不使用の条件で解砕した。
上記の方法により得られた水酸化アルミニウムは、下
記の特性を示した。
d10(μm) :30.5 d50(μm) :23.0 d90(μm) :42.9 可溶性Na2O(%) :0.003 Na2O(%) :0.049 伝導度(μS/cm,脱イオン水中10%懸濁液):15 BET法による比表面積:0.44m2/g 粘度特性を測定するために、得られた水酸化アルミニウ
ムの150重量部を、不飽和ポリエステル樹脂(Synolite
0020 N−2;DSMレジンスBV)の100部と混合した。加工中
の粘度は、23℃においてブルックフィールドHBT粘度計
により、スピンドルNo.3を用いて測定した。
原料水酸化物:165パス 解砕水酸化物:52パス 実施例2 実施例1に対応する操作を行なって、下記の特性をも
つ水酸化アルミニウムを、 d10(μm) :5.9 d50(μm) :34 d90(μm) :93 可溶性Na2O(%) :0.0034 Na2O(%) :0.093 伝導度(μS/cm,脱イオン水中10%懸濁液):22 BET法による比表面積(m2/g):0.44 下記の特性をもつ水酸化アルミニウムから製造した。
d10(μm) :26 d50(μm) :70 d90(μm) :100 可溶性Na2O(%) :0.015 Na2O(%) :0.121 伝導度(μS/cm,脱イオン水中10%懸濁液):50 BET法による比表面積(m2/g):0.1未満 粘度特性を測定するために、得られた水酸化アルミニ
ウムの150重量部を、不飽和ポリエステル樹脂(Synolit
e 0020 N−2;DSMレジンスBV)の100部と混合した。加工
中の粘度は、23℃においてブルックフィールドHBT粘度
計により、スピンドルNo.3を用いて測定した。
原料水酸化物:368パス 解砕水酸化物:38パス 実施例3 さらに結晶化し解砕した水酸化アルミニウムの不飽和ポ
リエステル樹脂(Synolite 0020 N−2)中における粘
度特性 とくに結晶化した原料と比較して、解砕した水酸化ア
ルミニウムがその解砕の程度に応じて、より低い加工中
の粘度特性(ここではSynolite 0020 N−2中の)を示
す。
例 原料水酸化物 :d10(μm):15.9 d50(μm):36.3 d90(μm):62.0 150phrにおける粘度*:150パス 解砕水酸化物No.1 :d10(μm):5.1 d50(μm):24.6 d90(μm):46.0 150phrにおける粘度*:57パス 解砕水酸化物No.2 :d10(μm):3.5 d50(μm):18.3 d90(μm):39.6 150phrにおける粘度*:41パス *測定条件:ブルックフィールドHBT;スピンドルNo.3;2
3℃ 実施例4 実施例2で得たAl(OH)を、粘度特性および電気的
特性に関して試験し、市販の水酸化アルミニウムと比較
した。
比較した水酸化アルミニウム:Apyral 2 Higilite H320I (VAW) (昭和電工) d10(μm) 20〜25 10 可溶性Na2O(%) 0.05 0.001 Na2O(%) 0.25 0.06 BET法比表面積(m2/g) 0.2 3.5 50μm超過(%) 10〜20 0 5μm未満(%) 5〜15 25〜35 上記の水酸化アルミニウム各120重量部を、エポキシ
樹脂Rutapox 0617(ベークライトAG,デュイスブルク)
の100部に混合した。粘度の測定を、実施例1〜3と同
じ条件で実施した。
測定の一系列には、水酸化アルミニウム基準で1重量
%の粘度低下剤BYK(登録商標)−W995(BYKヒェミー)
を、樹脂混合物に添加した。
パスで示した結果 BYK−W995なし BYK−W995使
用 実施例2のAl(OH) 87 54
Apyral 2 73 53
Higilite H320I 138 65
電気的特性(絶縁耐力)を測定するため、IEC規格243
(3mm,20℃において20秒間)による注型成形品を、スチ
ーム加圧容器中に1.2〜1.5バール、121℃で1、2およ
び3日間貯蔵した。
kV/mmで示した結果 0 1 2 3 (日間) 実施例2によるAl(OH) 27 24 22 22 Apyral 2 29 7 6 5 Higilite H320I 28 17 16 16 UL−94規格による耐炎性の測定に当っては、エポキシ
樹脂に60重量%の充填を行なった。この結果、VO区分に
分類された。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 ファン ペーイ,デトレフ ドイツ連邦共和国 D―50181 ベトブ ルク/エアフトフリーデンシュトラーセ 39 (72)発明者 ボンガーツ,ハンス ドイツ連邦共和国 D―50189 エルス ドルフ シュタインヴェク 5 (72)発明者 コーラー,ダグマー ドイツ連邦共和国 D―41517 グレフ ェンブロイヒヨゼフ―リュッツェンキル ヒェン―シュトラーセ 10 (72)発明者 ピュッツ,ノーバート ヴェー ドイツ連邦共和国 D―50129 ベルク ハイム/エアフトメメラー シュトラー セ 1 (56)参考文献 特開 平5−58623(JP,A) 特開 昭63−55113(JP,A) 特開 昭55−75435(JP,A) 特公 昭62−9256(JP,B2) 米国特許3860688(US,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) C01F 7/02 C01F 7/46 WPI/L(QUESTEL) EUROPAT(QUESTEL)

Claims (6)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】50%範囲の粒子サイズd50が15〜50μmで
    あり、Na2O含有量が0.1%以下であり、また可溶性Na2O
    の含有量が0.005%以下であり、BET法による比表面積が
    0.4m2/g〜1.2m2/gであることを特徴とする結晶性水酸化
    アルミニウム。
  2. 【請求項2】10%範囲の粒子サイズd10が2〜6μmで
    あり、また90%範囲の粒子サイズd90が35〜100μmであ
    ることを特徴とする請求の範囲第1項に記載の結晶性水
    酸化アルミニウム。
  3. 【請求項3】結晶性水酸化アルミニウムの脱イオン水中
    10%懸濁液の電気伝導度が25μS/cm以下であることを特
    徴とする請求の範囲第1項ないし第2項のいずれかに記
    載の結晶性水酸化アルミニウム。
  4. 【請求項4】50%範囲の粒子サイズd50が25〜95μmで
    あり、Na2O含有量が0.15%以下であり、また可溶性Na2O
    の含有量が0.02%以下である水酸化アルミニウムを、温
    水で洗浄し、つづいて、得られた水酸化アルミニウムを
    解砕することを特徴とする請求の範囲第1項ないし第3
    項のいずれかに記載の特性をもつ結晶性水酸化アルミニ
    ウムの製造方法。
  5. 【請求項5】請求の範囲第1項ないし第3項のいずれか
    に記載の結晶性水酸化アルミニウムの、熱硬化性プラス
    チックの防炎処理用充填剤としての使用。
  6. 【請求項6】請求の範囲第1項ないし第3項のいずれか
    に記載の結晶性水酸化アルミニウムを含有する防炎熱硬
    化性プラスチック。
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WO1994021559A1 (de) 1994-09-29
AU6426094A (en) 1994-10-11
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