JP3535847B2 - 有機発光素子 - Google Patents

有機発光素子

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JP3535847B2 JP2001126887A JP2001126887A JP3535847B2 JP 3535847 B2 JP3535847 B2 JP 3535847B2 JP 2001126887 A JP2001126887 A JP 2001126887A JP 2001126887 A JP2001126887 A JP 2001126887A JP 3535847 B2 JP3535847 B2 JP 3535847B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、発光性物質からな
る有機物層を有し、電界を印加することにより注入され
た電荷の再結合エネルギーを直接光エネルギーに変換で
きる発光素子に関する。
【0002】詳しくは、従来の白熱灯、蛍光灯あるいは
発光ダイオード等と異なり、大面積、高分解能、薄型、
軽量、高速動作、完全な固体デバイスという特徴を有
し、高度な要求を満たす可能性のある有機発光ダイオー
ド(OLED)パネルに使用する発光素子に関する。
【0003】
【従来の技術】有機材料の電界発光現象は1963年に
ポープ(Pope)らによってアントラセン単結晶で観
測され(J.Chem.Phys.38(1963)2
042)、それに続き1965年にヘルフリッヒ(He
lfinch)とシュナイダー(Schneider)
は注入効率の良い溶液電極系を用いる事により比較的強
い注入型発光素子の観測に成功している(Phys.R
ev.Lett.14(1965)229)。
【0004】それ以来、米国特許3,172,862
号、米国特許3,173,050号、米国特許3,71
0,167号、J.Chem.Phys.44(196
6)2902,J.Chem.Phys.50(196
9)14364、J.Chem.Phys.58(19
73)1542、あるいはChem.Phys.Let
t.36(1975)345等に報告されている様に、
共役の有機ホスト物質と縮合ベンゼン環を持つ共役の有
機活性化剤とで有機発光性物質を形成する研究が行われ
た。ナフタレン、アンスラセン、フェナンスレン、テト
ラセン、ピレン、ベンゾピレン、クリセン、ピセン、カ
ルバゾール、フルオレン、ビフェニル、ターフェニル、
トリフェニレンオキサイド、ジハロビフェニル、トラン
ス−スチルベン及び1,4−ジフェニルブタジエン等が
有機ホスト物質の例として示され、アンスラセン、テト
ラセン、及びペンタセン等が活性化剤の例として挙げら
れた。しかしこれらの有機発光性物質はいずれも1μm
以上をこえる厚さを持つ単一層として存在し、発光には
高電界が必要であった。
【0005】この為、真空蒸着法による薄膜素子の研究
が進められた(例えばThin Solid Film
s 94(1982)171、Polymer 24
(1983)748、Jpn.J.Appl.Phy
s.25(1986)L773)。しかし薄膜化は駆動
電圧の低減には有効ではあったが、実用レベルの高輝度
の素子を得るには至らなかった。
【0006】しかし近年タン(Tang)らは(App
l.Phys.Lett.51(1987)913ある
いは米国特許4,356,429号)、陽極と陰極との
間に2つの極めて薄い層(電荷輸送層と発光層)を真空
蒸着で積層した発光素子を考案し、低い駆動電圧で高輝
度を実現した。この種の積層型有機LEDデバイスはそ
の後も活発に研究され、例えば特開昭59−19439
3号公報、米国特許4,539,507号、米国特許
4,720,432号、特開昭63−264692号公
報、Appl.Phys.Lett.55(1989)
1467、特開平3−163188号公報等に記載され
ている。
【0007】また更にJpn.J.Appl.Phy
s.27(1988)L269.L713には、キャリ
ア輸送と発光の機能を分離した3層構造の有機LED素
子が報告されており、発光色を決める発光層の色素の選
定に際してもキャリヤ輸送性能の制約が緩和され選択の
自由度がかなり増し、更には中央の発光層にホールと電
子(あるいは励起子)を有効に閉じ込めて発光の向上を
はかる可能性も示唆される。
【0008】積層型有機LED素子の作成には、一般に
真空蒸着法が用いられているが、キャスティング法によ
ってもかなりの明るさの素子が得られる事が報告されて
いる(例えば、第50回応物学会学術講演会講演予稿集
1006(1989)及び第50回応物学会学術講演会
講演予稿集1041(1990))。
【0009】更には、ホール輸送化合物としてポリビニ
ルカルバゾール、電子輸送化合物としてオキサジアゾー
ル誘導体及び発光体としてクマリン6を混合した溶液か
ら浸漬塗布法で形成した混合1層型有機LED素子でも
かなり高い発光効率が得られる事が報告されている(例
えば、第38回応物関係連合講演会講演予稿集1086
(1991))。
【0010】上述の様に有機LEDデバイスにおける最
近の進歩は著しく広汎な用途の可能性を示唆している。
【0011】しかしそれらの研究の歴史はまだまだ浅
く、未だその材料研究やデバイス化への研究は十分なさ
れていない。現状では更なる高輝度の光出力や長時間の
使用による経時変化や酸素を含む雰囲気気体や湿気など
による劣化等の耐久性の面に未だ問題がある。
【0012】例えば、有機LED素子の発光層の材料で
ある蛍光性の有機固体は、水分、酸素等に弱い。また、
発光層上に直接あるいは正孔注入層または電子注入層を
介して設けられる電極は、酸化により特性が劣化し易
い。このため、従来の有機LED素子を大気中で駆動さ
せると発光特性が急激に劣化する。したがって、実用的
な有機LED素子や有機LEDデバイスを得るために
は、発光層に水分や酸素等が侵入しないように、また電
極が酸化されないように、素子を封止して長寿命化を図
る必要がある。
【0013】しかしながら、有機LED素子について
は、有効な封止方法が未だ開発されていない。例えば、
無機EL素子を封止する方法、すなわち、背面電極の外
側に背面ガラス板を設け、背面電極と背面ガラス板との
間にシリコーンオイルを封入する方法を有機LED素子
に適用した場合には、電極を介して、あるいは電極と正
孔注入層または電子注入層とを介してシリコーンオイル
が発光層に侵入し、このシリコーンオイルにより発光層
が変性してしまうために、有機LED素子の発光特性が
大幅に劣化するかもしくは全く発光しなくなる。
【0014】また、機械的保護等のために設けられてい
る樹脂コーティング層を有機LED素子の封止に応用し
た場合にも、ある種の樹脂コーティング液が上記のよう
にして発光層を溶かしてしまうために、有機LED素子
の発光特性が大幅に劣化するかもしくは全く発光しな
い。
【0015】また、特開平5-21159号公報には、
電極と発光層との間にチタン酸バリウムと吸湿性物質と
してのポリアミドを添加したものを含む絶縁層を設ける
構成、特開平6-119970号公報には、発光層と電
極の間にチタン酸バリウムの絶縁層と導電性補水層を設
ける構成が開示されている。しかし、電荷注入型である
有機発光素子において、このような絶縁層を有機物層と
電極間に設ける構成は、発光輝度の低下を招く恐れがあ
る。
【0016】このため様々な封止技術が、例えば特開平
2−260388号公報、特開平3−261091号公
報、特開平4−137483号公報、特開平4−212
284号公報、特開平5−36475号公報、特開平5
−89959号公報、特開平5−101885号公報、
特開平5−335080号公報、特開平6−96858
号公報、特開平6−176867号公報、特開平7−1
4675号公報、特開平7−147189号公報、特開
平7−161474号公報、特開平7−169569号
公報、特開平7−192868号公報、特開平8−78
159号公報、特開平8−96955号公報、特開平8
−96962号公報、特開平8−111286号公報、
特開平8−185982号公報、特開平9−15339
5号公報、特開平9−204981号公報、特開平9−
245964号公報、特開平10−275680号公報
などにおいて、こころみられているが未だ十分に解決さ
れていない。
【0017】また、有機LED素子の発光現象は、電極
から注入された電荷(電子と正孔)の再結合により引き
起こされる。しかしながら、その電荷の移動度は、有機
物層中に存在するトラップ等により、大きく阻害され、
電極から注入される電荷量(電子と正孔)のバランスが
くずれて発光輝度の低下が生じる。
【0018】このため、素子を安定に駆動させたり、素
子の長寿命化を図るためには、素子内部の空間電荷現象
を改善しなければならない。
【0019】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、この様な従
来技術の欠点を改善するためになされたものであり、素
子内の有機物層に水分や酸素などの進入を防止すると共
に、素子内部の空間電荷を解消し、長寿命で安定な光出
力を有する発光素子を提供することを目的とするもので
ある。
【0020】
【課題を解決するための手段】即ち、本発明は、基板上
に、少なくとも陽極及び陰極と、これらの間に挟持され
た一層または複数層の有機物層を有する有機発光素子に
おいて、前記有機物層上の陽極または陰極上に、強誘電
体を含有する封止膜を有し、該封止膜上に対向電極を有
し、該対向電極はポーリング電源に接続されていること
を特徴とする有機発光素子である。
【0021】本発明においては、前記封止膜を陰極上に
有し、前記対向電極には、陰極より高い電位、好ましく
は正の電位を印加すること、または前記封止膜を陽極上
に有し、前記対向電極には陽極より低い電位、好ましく
は負の電位を印加することがより好ましい。
【0022】また、本発明における前記基板は、透明基
板であること、前記陽極はITO(酸化錫インジウム)
を有する電極であることが好ましい。
【0023】
【0024】また、前記有機発光素子は、直流駆動又は
パルス駆動により発光する素子であることが好ましい。
【0025】また、これらを組み合わせたものも本発明
に含まれる。
【0026】
【発明の実施の形態】以下、図面に沿って本発明を更に
詳細に説明する。
【0027】図1は、本発明の発光素子の一例を示す断
面図である。同図において、本発明の発光素子は、透明
性の基板1上に、陽極2、一又は複数の有機化合物から
なる層(以下、有機物層と記す)3及び陰極4を順次設
けた構成からなる積層構造体5を有し、この積層された
陰極4上に封止膜6及び対向電極7が順次設けられたも
のである。
【0028】本発明において、上記積層構造体5の構成
としては、下記〜 電極(陰極)/発光層/正孔注入層/電極(陽極) 電極(陽極)/発光層/電子注入層/電極(陰極) 電極(陽極)/正孔注入層/発光層/電子注入層/電
極(陰極) 電極(陽極または陰極)/発光層/電極(陰極または
陽極) があるが、本発明は上記のいずれの構成の積層構造体5
を有する発光素子に対しても適用することができる。
【0029】また、これらの積層構造体5の形状、大き
さ、材質、製造方法等は発光素子の用途等に応じて適宜
選択されるものであるが、本発明では積層構造体5の形
状、大きさ、材質、製造方法等は問わない。ただし、長
寿命の発光素子を得るうえからは、積層構造体5の形成
過程での有機物層3の特性劣化をできるだけ抑止するこ
とが望ましく、そのためには、有機物層3の形成から対
向電極の形成までを一連の真空環境下で行うことが特に
好ましい。
【0030】また、本発明の発光素子は前記積層構造体
5並びに前記封止膜6、対向電極7を囲繞するように気
密ケースが設けられているのが好ましい。
【0031】この発光素子に常温常湿下で駆動電源8に
より、電圧を印加すると、電流量の増加に伴い発光現象
が観測される。
【0032】この際、素子を流れる電流の増加に伴い、
ジュール熱が発生するため、封止膜6の強誘電材料、例
えばBaTiO3は、あるキュリー点で相転移を起こす
と共に、ポーリング電源9による電圧でポーリングされ
誘電分極を生じる。BaTiO3などの強誘電体は、大
きな誘電分極(自発分極の履歴現像)を有しているた
め、素子の駆動終了後も、分極状態を保持しており、電
圧印加時に蓄積した有機物層3内の空間電荷を拡散さ
せ、素子の安定駆動、長寿命化が可能となる。
【0033】本発明で用いられる強誘電体は、BaTi
3に代表されるBaO−TiO2系化合物、SrTiO
3、KNbO3、LiNbO3、Sr1-xBaxNb26
γ−Bi23などのシレナイト構造複酸化物及び、Pb
(Zr・Ti)O3やPb+2イオンの一部を3価のLa
3+やBi3+イオンで置換したものなどが使用される。
【0034】本発明で用いられる強誘電体を含有する封
止膜6の製造方法としては、電子ビーム蒸着法、RFス
パッタ法、イオンビームスパッタリング法、イオンプレ
ーティング法、CVD法、MO−CVD法等のドライプ
ロセスや、ゲルゾル法、アルコキシド法、蓚酸法、水熱
合成法等の化学的方法が挙げられる。
【0035】また、本発明で用いられる封止膜6は、前
記強誘電体を含有した微粒子等をポリカーボネート樹
脂、ポリスチレン樹脂などの熱可塑性樹脂やフェノール
樹脂等の熱硬化性樹脂、アクリル樹脂、エポキシ樹脂な
どの紫外線硬化樹脂等を単独または共重合体ポリマーと
して1種又は2種以上混合したものに有機溶剤と共に分
散させ、スピンコーティング法等により成膜してもかま
わない。
【0036】本発明の発光素子においては、有機物層3
の構成成分として電子写真感光体分野などで研究されて
いるホール輸送性化合物や高分子系ホール輸送材料(例
えば化1〜化4に示される化合物等)やドーパント発光
材料(例えば化5〜化6に示される化合物等)、あるい
は、電子輸送性発光材料や電子輸送性材料、高分子系電
子輸送性材料(例えば化7〜化11に示される化合物
等)を必要に応じて2種以上使用することもできる。
【0037】
【化1】
【0038】
【化2】
【0039】
【化3】
【0040】
【化4】
【0041】
【化5】
【0042】
【化6】
【0043】
【化7】
【0044】
【化8】
【0045】
【化9】
【0046】
【化10】
【0047】
【化11】
【0048】本発明の発光素子において、有機物層3は
一般には真空蒸着あるいは適当な結着性樹脂と組み合わ
せて薄膜を形成する。
【0049】上記結着剤としては広範囲な結着性樹脂よ
り選択でき、例えばポリビニルカルバゾール樹脂、ポリ
カーボネート樹脂、ポリエステル樹脂、ポリアリレート
樹脂、ブチラール樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリビニル
アセタール樹脂、ジアリルフタレート樹脂、アクリル樹
脂、メタクリル樹脂、フェノール樹脂、エポキシ樹脂、
シリコン樹脂、ポリスルホン樹脂、尿素樹脂等が挙げら
れるが、これらに限定されるものではない。これらは単
独または共重合体ポリマーとして1種または2種以上混
合して用いても良い。
【0050】陽極2材料としては仕事関数がなるべく大
きなものが良く、例えば、ニッケル、金、白金、パラジ
ウム、セレン、レニウム、イリジウムやこれらの合金、
あるいは酸化錫、酸化錫インジウム(ITO)、ヨウ化
銅が好ましい。またポリ(3−メチルチオフェン)、ポ
リフェニレンスルフィドあるいはポリピロール等の導電
性ポリマーも使用出来る。
【0051】一方、陰極4材料としては仕事関数が小さ
な銀、鉛、錫、マグネシウム、アルミニウム、カルシウ
ム、マンガン、インジウム、クロムあるいはこれらの合
金が用いられる。
【0052】また、陽極2及び陰極4として用いる材料
のうち少なくとも一方は、素子の発光波長領域において
50%より多くの光を透過する事が好ましい。
【0053】また、本発明で用いる基板1としては、特
に限定されないが、透明性基板が好ましく、例えばガラ
ス、プラスチックフィルム等が用いられる。
【0054】本発明の発光素子では、陽極2及び陰極4
並びに有機物層3よりなる積層構造体を更に外界から保
護するため、封止膜6(または対向電極7)上に保護層
を設けるのが好ましい。
【0055】保護層には、例えばSiO、SiO2、A
23、TiO、ZrO2、ZnOなどの酸化物やTi
N、Al23、Si34などのチッ化物やLiF、Mg
2などのフッ化物に代表される無機物のほか、ポリエ
チレン、ポリプロピレン、ポリスチレン、ポリメチルメ
タクリレート、ポリイミド、ポリユリア、ポリテトラフ
ルオロエチレン、ポリクロロトリフルオロエチレン、ポ
リジクロロジフルオロエチレン、クロロトリフルオロエ
チレン、ポリビニルトリメチルシラン、ポリシロキサン
などの電気絶縁性高分子化合物を真空蒸着法、スパッタ
法、化合気相蒸着法などの方法を用いて、単層または複
数層に積層して用いることができる。
【0056】本発明の発光素子では、このようにして設
けた陽極2及び陰極4並びに有機物層3、封止膜6(及
び対向電極7及び保護膜)の外側に電気絶縁性ガラスや
プラスチックなどからなる気密ケースを設ける。気密ケ
ースは、例えば、電気絶縁性ガラスの場合、ガラス基板
等の基板上に、陽極、有機物層、陰極よりなる積層構造
体と電気絶縁性ガラスの間にシールド層を設けるための
すきまを作って、この電気絶縁性ガラスを被せ、基板の
縁部と電気絶縁性ガラスの縁部とを接着剤等を用いて貼
り合わせることにより気密ケースを設ける。
【0057】また、この電気絶縁性ガラスはアルカリ含
有量の少ない高体積抵抗(350℃において107Ωm
以上)のものが好ましく、具体例としてはコーニング社
製#7059が挙げられる。
【0058】また、気密ケースがプラスチックの場合で
も、陽極2、有機物層3、陰極4よりなる積層構造体5
及び封止膜6(及び対向電極7)を十分覆うことができ
るものであれば、如何なる形状、材質であってもかまわ
ない。
【0059】本発明の発光素子は、従来の白熱灯、蛍光
灯あるいは発光ダイオードなどと異なり、大面積、高分
解能、薄型、軽量、高速動作、完全な固体デバイスであ
り、高度な要求を満たす可能性のある有機LEDパネル
などに使用することができる。
【0060】
【実施例】以下に実施例を挙げて本発明を具体的に説明
する。
【0061】<実施例1及び比較例1〜2>25×75
×1mmのサイズのガラス板[HOYA(株)製の色板
ガラス]を基板として用い、この基板上にITO膜を1
00nmの厚さで成膜して透明電極を形成した。この基
板をイソプロピルアルコールで30分間超音波洗浄した
後、純水で5分間洗浄し、その後イソプロピルアルコー
ルでリンスした後に、乾燥N 2ガスを吹き付けて乾燥さ
せた。そして最後に、UVオゾン洗浄装置[(株)サム
コインターナシュナル製]で10分間洗浄した。
【0062】洗浄後の基板を市販の真空蒸着装置[日本
真空技術(株)製]の基板ホルダーに固定し、モリブデ
ン製抵抗加熱ボートに、N,N’−ジフェニル−N,
N’−ビス−(3−メチルフェニル)−[1,1’−ビ
フェニル]−4,4’−ジアミン(以下、TPDAとい
う)を200mg入れ、他のモリブデン製抵抗加熱ボー
トに昇華精製されたトリス(8−キノリノール)アルミ
ニウム(以下、Alq.という)を200mg入れて真
空チャンバー内を1×10-4Paまで減圧した。
【0063】次に、TPDAを入れた前記抵抗加熱ボー
トを215〜220℃まで加熱して、TPDAを蒸着速
度0.1〜0.3nm/sでITO膜上に堆積させて、
膜厚40nmの正孔注入層を成膜した。このときの基板
温度は室温であった。次いで正孔注入層が成膜された基
板を基板ホルダーに固定したまま、Alq.を入れたモ
リブデン製抵抗加熱ボートを275℃まで加熱して、A
lq.を蒸着速度0.1〜0.2nm/sで正孔注入層
上に堆積させて、膜厚60nmの発光層を成膜した。こ
のときの基板温度も室温であった。
【0064】次にマグネシウム1gを予め入れておいた
モリブデン製抵抗加熱ボートと銀500mgを予め入れ
ておいたモリブデン製抵抗加熱ボートとをそれぞれ加熱
し、マグネシウムを約1.5nm/sの蒸着導度で蒸着
させ、同時に銀を約0.1nm/sの蒸着速度で蒸着さ
せて、マグネシウムと銀との混合金属からなる膜厚20
0nmの電極(陰極)を発光層上に設けた。この様にし
てガラス基板上にITO膜層(陽極)、正孔注入層、発
光層、および陰極を設けたことで有機LED素子が得ら
れた。
【0065】この後、ガラス基板上に設けられたITO
層、正孔注入層、発光層、および陰極からなる積層構造
体の外表面に、積層構造体の形成に用いた真空蒸着装置
と同じ装置を用いて、正孔注入層及び発光層の形成から
の一連の真空環境下で、以下の要領で封止膜を設けた。
【0066】まず蒸着源ターゲットとしてPb34とT
iO2粉末を混合、仮焼、粉砕した粉末を石英皿にのせ
保持した。
【0067】次いで真空チャンバー内を1×10-4Pa
まで減圧した後、rfスパッタリング法を用いてスパッ
タリングガス(Ar:O2=9:1)をガス圧30Pa
になるよう導入し、rf電圧1.6kV、rf入力15
0Wでターゲットをスパッタリングし、陰極上に膜厚
0.5μmのPbTiO3を含有する封止膜を設けた。
【0068】さらに、rf放電及びガスの導入を止めた
後、対向電極としてアルミニウムを封止膜上に150n
mになるよう成膜した。
【0069】次に、この真空蒸着装置内に、窒素ガスを
注入し、大気圧に戻した後、電気絶縁性ガラス(コーニ
ング社製♯7059)よりなる気密ケースをかぶせ、エ
ポキシ系接着剤(商品名:セメダインスーパー5,セメ
ダイン社製)で張り合わせて実施例1の有機LED素子
を作製した。
【0070】また、封止膜と対向電極を設けなかった以
外は実施例1と全く同様にして有機LED素子を作製
し、比較例1用の素子とした。更に、発光層であるAl
q.層と陰極の間に封止膜を設け、対向電極を設けなか
った以外は実施例1と全く同様にして有機LED素子を
作製し、比較例2用の素子とした。
【0071】これらの素子に駆動電流10mA/c
2、ポーリング電圧8V(但し、比較例1及び2の素
子はなし)でON時間(通電):1秒、OFF時間:5
秒のサイクルで2000時間駆動した。
【0072】実施例1の素子の発光輝度は、初期200
cd/m2、2000時間後120cd/m2であったの
に対し、比較例1の素子の発光輝度は2000時間後1
0cd/m2にまで低下した。また、比較例2の素子は
電流がほとんど流れず、発光が観測されなかった。
【0073】<実施例2、比較例3> 実施例1と同様の方法で、ガラス基板上にITO膜(陽
極)、正孔注入層、発光層、及び陰極を設けた。
【0074】次に、この真空蒸着装置内に窒素ガスを注
入し、大気圧に戻した後、クロロホルム溶液中に平均粒
径0.2μmのBaTiO3粒子とポリカーボネート樹
脂を重量比2:1で混合・分散した塗料をスピンコーテ
ィングした後、乾燥させ厚さ1μmの封止膜を形成し
た。さらに実施例1と同様にして対向電極を設け、気密
ケースを貼り合わせて有機LED素子を作製した。ま
た、対向電極を設けなかった以外は実施例2と全く同様
にして有機LED素子を作製し、比較例3用の素子とし
た。
【0075】実施例2の素子に対し、ポーリング電圧を
15Vとした以外は実施例1と同様の評価を行ったとこ
ろ、初期の発光輝度200cd/m2に対し、2000
時間後も100cd/m2と比較例1の素子に比べ長寿
命であった。また、対向電極を設けていないためポーリ
ング電圧を印加できない比較例3の素子は、実施例2の
素子には及ばなかったものの、初期の発光輝度200c
d/m2に対し、2000時間後は50cd/m2と比較
例1の素子に比べ長寿命であった。
【0076】<実施例> 封止膜を下記の材料及び方法で成膜した以外は、実施例
1と全く同様にして有機LED素子を作製した。
【0077】まず蒸着源ターゲットとしてPbTi
3、(Pb1-xLax)Ti1-x/43、Pb(Zrx
1-x)O3の高純度粉末(99.9%)とPbO粉末を石
英皿にのせ保持した。
【0078】次いで真空チャンバー内を1×10-4Pa
まで減圧した後、マグネトロンスパッタ法を用いてスパ
ッタリングガス(Ar:O2=7:3)をガス圧10P
aになるよう導入し、陽極電圧2.6kV、電力密度2
W/cm2でターゲットをスパッタリングし、成膜レー
ト50Å/minで陰極上に膜厚0.4μmのPZTを
含有する封止膜を設けた。
【0079】次に、実施例1と同様にして対向電極、気
密ケースを設けて、有機LED素子を作製した。この素
子に対しポーリング電圧を10Vとした以外は実施例1
と同様の評価を行ったところ、初期の発光輝度200c
d/m2に対し、2000時間後も140cd/m2と比
較例1の素子に比べ長寿命であった。
【0080】
【発明の効果】以上のように、本発明によれば素子の有
機物層に蓄積した空間電荷を拡散させることができ、安
定な長期間の素子駆動が可能な発光素子を提供すること
ができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の発光素子の一例を示す断面図である。
【符号の説明】
1 基板 2 陽極 3 有機物層 4 陰極 5 積層構造体 6 封止膜 7 対向電極 8 駆動電源 9 ポーリング電源
フロントページの続き (72)発明者 鈴木 幸一 東京都大田区下丸子3丁目30番2号 キ ヤノン株式会社内 (72)発明者 田邊 浩 東京都大田区下丸子3丁目30番2号 キ ヤノン株式会社内 (72)発明者 真下 精二 東京都大田区下丸子3丁目30番2号 キ ヤノン株式会社内 (72)発明者 大里 陽一 東京都大田区下丸子3丁目30番2号 キ ヤノン株式会社内 (72)発明者 浦川 伸一 東京都大田区下丸子3丁目30番2号 キ ヤノン株式会社内 (56)参考文献 特開 平7−176384(JP,A) 特開 平10−214042(JP,A) 特開 平6−13545(JP,A) 特開 平7−176184(JP,A) 特開 平11−307249(JP,A) 特開 平6−168785(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) H05B 33/00 - 33/28

Claims (10)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 基板上に、少なくとも陽極及び陰極と、
    これらの間に挟持された一層または複数層の有機物層を
    有する有機発光素子において、前記有機物層上の陽極ま
    たは陰極上に、強誘電体を含有する封止膜を有し、該封
    止膜上に対向電極を有し、該対向電極はポーリング電源
    に接続されていることを特徴とする有機発光素子。
  2. 【請求項2】 前記封止膜を陰極上に有することを特徴
    とする請求項に記載の有機発光素子。
  3. 【請求項3】 前記対向電極には、前記陰極より高い電
    位が印加されることを特徴とする請求項に記載の有機
    発光素子。
  4. 【請求項4】 前記対向電極には、正の電位が印加され
    ることを特徴とする請求項に記載の有機発光素子。
  5. 【請求項5】 前記封止膜を陽極上に有することを特徴
    とする請求項に記載の有機発光素子。
  6. 【請求項6】 前記対向電極には、前記陽極よりも低い
    電位が印加されることを特徴とする請求項に記載の有
    機発光素子。
  7. 【請求項7】 前記対向電極には、負の電位が印加され
    ることを特徴とする請求項に記載の有機発光素子。
  8. 【請求項8】 前記基板は、透明基板であることを特徴
    とする請求項1乃至のいずれかに記載の有機発光素
    子。
  9. 【請求項9】 前記陽極はITO(酸化錫インジウム)
    を有することを特徴とする請求項1乃至のいずれかに
    記載の有機発光素子。
  10. 【請求項10】 前記有機発光素子は、直流駆動又はパ
    ルス駆動により発光が行われることを特徴とする請求項
    1乃至のいずれかに記載の有機発光素子。
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