JP3229079B2 - 有機膜素子 - Google Patents

有機膜素子

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JP3229079B2 JP19594893A JP19594893A JP3229079B2 JP 3229079 B2 JP3229079 B2 JP 3229079B2 JP 19594893 A JP19594893 A JP 19594893A JP 19594893 A JP19594893 A JP 19594893A JP 3229079 B2 JP3229079 B2 JP 3229079B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、有機EL素子などの発
光素子や太陽電池や受光素子などの有機膜素子に関す
る。
【0002】
【従来の技術】近年、エレクトロニクス技術の目覚まし
い発展にともない、多種多様の新たな機能をもった有機
膜素子が開発されている。たとえば、受光素子として、
太陽電池、ホトダイオードなどがあり、発光素子として
エレクトロルミネッセンス(EL)素子、LED、半導
体レーザなどがある。これらの素子の構造は一般に陽極
と陰極の間に一以上の層(以下、機能層と呼ぶ。)を有
しており、その動作過程において電極と機能層の界面で
キャリアの移動をともなう。
【0003】その一例として有機のEL素子について説
明する。有機のEL素子は、有機蛍光体を対向電極では
さんで構成されており、陰極から注入された電子と陽極
から注入された正孔が、発光層内で再結合するときに発
光するものである。このような素子には、発光体として
例えばアントラセンのような有機蛍光体の単結晶や蒸着
法により形成された薄膜の利用が試みられたが、キャリ
アーである正孔あるいは電子の密度が非常に小さく、キ
ャリアーの移動や再結合などによる機能分子の励起確率
が低いため効率のよい発光が得られず、消費電力や輝度
の点で満足できるものとなっていない。
【0004】さらに、陽極と発光層の間に正孔注入層を
設け、キャリアーである正孔の密度をあげることによ
り、各層で機能分離した構造を有する積層型の有機EL
素子で高い発光効率が得られることを、特開昭57−5
1781号公報、特開昭59−194393号公報、特
開昭63−295695号公報で提案している。さら
に、特開昭63−264692号公報においては正孔注
入輸送層と陰極の間に設ける発光層をホール及び電子の
両方の注入を持続することができる単一の有機質ホスト
物質と少量の蛍光物質により構成することにより、広い
範囲で発光波長を制御でき、高い発光効率が得られるこ
とが知られている。
【0005】一方、本発明者らは上述した発光層、正孔
注入層など機能分離した層構造をもつ積層型の有機のE
L素子に対し、特開平4―212286号公報で蛍光物
質、陽極から注入される正孔を移動し該蛍光物質に正孔
を与える化合物(正孔移動供与剤)および陰極から注入
される電子を移動し該蛍光物質に電子を与える化合物
(電子移動供与剤)などの機能材料を混合させた有機物
からなる層(有機層)を陽極と陰極の間に設けた分散型
電界発光素子において、高効率な発光特性を有し、安価
でかつ製造容易な有機のEL素子を提案している。
【0006】しかしながら、これらの有機のEL素子に
おいては、一般に陰極と有機層の中で最も陰極側の層
(陰極と接する層)との密着力が乏しいため、外力や陰
極そのものの内部応力などにより剥離しやすく、その結
果、発光面内の所々に未発光部分ができたり、電子の注
入が阻害されやすく安定して高い発光効率が得られない
という問題であった。
【0007】また別の例として、太陽の光エネルギーを
電気エネルギーに変換する太陽電池においても電極と機
能層の界面でのキャリアの移動過程が素子の特性を左右
し、変換効率はまだまだ低いのが現状である。その他の
光電変換素子においても電極と機能層の間のキャリア移
動過程が円滑でなく、素子の特性を低下させている。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】以上のように有機膜素
子が種々提案されているが、これまで提案されている素
子では、特に、電極と機能層間のキャリアの移動が円滑
でないなどの問題があり、動作性能や動作安定性、信頼
性に改良の余地が残されている。本発明は、電極と機能
層の界面でキャリア移動過程をともなう素子において、
少なくとも一方の電極と機能層の界面に島状の銀分布層
を設けることにより、上記素子が動作する際に円滑なキ
ャリア移動を可能とし、その結果として、従来より優れ
た動作性能、動作安定性、信頼性を有する有機膜素子を
提供するものである。
【0009】本発明は多くの有機膜素子に適用すること
ができるが、特に効果の大きい有機膜素子として有機E
L素子や太陽電池やホトダイオードを挙げることができ
る。たとえば、有機のEL素子においては、発光時の未
発光部分が少なく、発光の均一性に優れ、しかも高効率
な有機のEL素子を提供する。
【0010】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、有機膜素
子の動作性能や動作安定性、信頼性を向上させるために
鋭意研究を重ねた結果、本発明を完成した。すなわち本
発明は以下のとおりである。 1、相対する陽極と銀以外の金属を少なくとも含有する
陰極とからなる電極間に少なくとも正孔移動供与剤、電
子移動供与剤、蛍光物質の3成分を混合した発光層を含
一以上の層を有し、陰極と陰極に対向する有機層の界
面に島状の銀分布層を設けたことを特徴とする有機のE
L素子。 2、該島状の銀分布層の平均の厚みが1Å以上280Å
以下であることを特徴とする1に記載の有機のEL素
子。 3、該有機層が陽極側から順次正孔注入層、発光層であ
ることを特徴とする1または2に記載の有機のEL素
子。 4、該有機層が陽極側から順次正孔注入層、発光層、電
子注入層であることを特徴とする1または2に記載の
機のEL素子。 5、該有機層が陽極側から順次発光層、電子注入層であ
ることを特徴とする1または2に記載の有機のEL素
子。
【0011】本発明は、陽極と陰極の少なくとも一方の
電極と機能層との界面に走査型電子顕微鏡あるいは透過
型電子顕微鏡の観察で島状に見える銀分布層を設けるこ
とにより、円滑なキャリア移動を可能とし、その結果と
して従来より優れた動作性能、動作安定性、信頼性を有
する電子デバイスが得られる。より好ましくは陽極と陰
極の間に設ける機能層の最も陰極側の層(機能層が複数
の場合は陰極と接する層)と陰極との界面に、走査型電
子顕微鏡あるいは透過型電子顕微鏡の観察で島状に見え
る銀分布層を設ければ著しく動作性能に優れ、さらに、
動作安定性、信頼性に優れた有機膜素子が得られる。
【0012】その中で代表例として有機のEL素子につ
いて言えば、有機のEL素子を発光させた時にみられる
未発光部分の割合を低減させるため、あるいは素子の発
光効率を向上させるために鋭意研究を重ねた結果、陽極
と陰極の間に設ける有機層の最も陰極側の層(有機層が
複数層の場合は有機層の中で陰極と接する層)と陰極と
の間に、走査型電子顕微鏡あるいは透過型電子顕微鏡の
観察で島状に見える銀分布層を設ければ、発光面内の未
発光部分の割合を低減することができ、さらに、使用す
る陰極材料に関わらず高い発光効率を呈する有機のEL
素子が得られる。この原因は明かではないが有機層と陰
極との間に島状の銀分布層を設けることにより有機層と
陰極との密着力が向上すると同時に、界面に新しい準位
が形成されるためと考えられる。
【0013】以下、本発明について有機EL素子を中心
に、さらに詳細に説明する。有機のEL素子は、陽極か
ら注入された正孔と陰極から注入された電子が発光層内
で再結合するときに発光するものであり、電流注入型の
発光素子と呼ばれる。この時、電子の注入は陰極と有機
層の界面で行われ、これまでは陰極からの電子の注入効
率は陰極材料の仕事関数が小さいほど大きく、結果的に
素子の発光効率が高くなると考えられてきた。しかし、
電子の注入は陰極と有機層との界面で行われるので、仕
事関数以外にも陰極と有機層との界面状態、たとえば、
陰極と有機層との密着力、有機層表面の形状、陰極と有
機層との界面の不純物の影響などにより左右されると考
えることができる。
【0014】本発明は有機層と陰極との界面に島状の銀
分布層を設けることにより陰極と有機層の界面状態を向
上させることができ、その結果、従来までに数多くみら
れた発光面内の未発光部分の割合を低減することができ
る。さらに同時に、陰極と有機層との界面に島状の銀分
布層を設ければ使用する陰極材料に関わらず高い発光効
率を呈する有機のEL素子を得ることができる。
【0015】本発明における有機のEL素子は、絶縁性
支持体上の陽極に有機層を形成し、ついで連続膜状にな
らないように島状の銀分布層を形成し、さらに陰極を形
成すればよく、あるいはその逆の順序でもよい。島状の
銀分布層については、後述するさまざまな構造の有機層
に対して使用することができ、有機層の中で最も陰極側
の層と陰極の間に設ける。たとえば、順次、陽極、正孔
注入層、発光層、陰極の構成である有機層二層型の有機
のEL素子の場合は該発光層と陰極の間に島状の銀分布
層を設ける。また、順次、陽極、発光層、電子注入層、
陰極の構成である有機層二層型の有機のEL素子の場合
は該電子注入層と陰極の間に島状の銀分布層を設ける。
さらに、順次、陽極、正孔注入層、発光層、電子注入
層、陰極の構成である有機層三層型素子の場合は電子注
入層と陰極の間に島状の銀分布層を設ければよい。
【0016】有機層と陰極の間に設ける島状の銀分布層
の形成方法は蒸着でもスパッタでもよく、たとえば、蒸
着の場合は水晶振動子で膜厚をモニタ−しながら形成す
る。本発明における島状の銀分布層は平均膜厚が1Å以
上280Å以下であることが必要であり、好ましくは
1.5Å以上250Å以下である。1Å未満であれば島
状の銀による発光面内の未発光部分の割合を低減する効
果および発光効率を向上する効果は少なく、逆に、28
0Åより厚いと銀は島状にならず連続膜になり、その結
果、発光面が不均一発光し、明発光部分と暗発光部分が
できる。本発明において島状の銀分布層とは、図1の走
査型電子顕微鏡写真に示すような島状の連続膜でない状
態、0.25μm2 (500nm×500nm)の面積
に対する銀が存在しない空隙部分の面積の割合が少なく
とも1%以上、99.95%以下の状態をいう。このよ
うな状態は容易に走査型電子顕微鏡あるいは透過型電子
顕微鏡で観察することができる。
【0017】また、有機層と陰極の間に島状の銀分布層
を設けることにより、陰極材料の種類に関わらず発光面
内の未発光部分の割合を低減する効果および発光効率の
向上効果を得ることができる。したがって、有機のEL
素子の安定性や半田付け性などさまざまな要求に応じて
任意に陰極材料を選択することができる。陰極材料とし
ては、導電性を有するものであればどんな金属でもよ
く、単体でも複合体でもよい。また、陰極構造も単層で
も2層以上の積層構造でもよい。たとえば、Sc、T
i、V、Cr、Mn、Fe、Co、Ni、Cu、Zn、
Y、Zr、Nb、Tc、Ru、Rh、Pd、Cd、L
a、Hf、Ta、W、Re、Os、Ir、Pt、Au、
Al、Si、Ga、Ge、In、Sn、Tl、Pb等が
挙げられる。また、Ce,Pr,Nd,Pm,Sm,E
u,Gd,Tb,Dy,Ho,Er,Tm,Yb,Lu
等の希土類単体、さらにMg、Ca、Sr等のアルカリ
土類金属、Li、K、Rb等のアルカリ金属あるいは上
述した元素を複合した半透明または不透明電極が挙げら
れる。特に、仕事関数の比較的小さいMgなどのアルカ
リ土類金属やSmなどの希土類金属などを用いる場合に
は仕事関数の比較的大きな金属たとえば金、銅、アルミ
ニウム、白金、銀などの金属と複合体を形成して陰極と
してもよい。さらに、これら陰極の上に保護層として化
学的に安定な金属たとえば金、銀、銅、アルミニウム、
白金などを保護層として1層以上積層してもよい。
【0018】本発明における有機層(有機物からなる
層)は、陽極と陰極の間に有機物からなる蛍光物質を含
んでいればよい。蛍光物質としては、色素レ−ザ−用の
色素、蛍光増白剤あるいは紫外線照射により蛍光を示す
化合物の中から任意に用いることができるが、希薄溶液
中での蛍光量子収率が10%以上のものが好ましい。1
0%以下ではEL素子としたときに高い発光効率が得ら
れない。また、有機層は一層構造でも二層構造でも三層
構造でもよく、必要に応じて四層以上の構造でもよい。
また、有機層の形成方法は塗布でも蒸着でもよい。
【0019】有機層が一層構造の場合は、たとえば蒸着
や塗布により蛍光物質単体で有機層を形成してもよい
し、必要に応じて蛍光物質を含有する複合体として有機
層を形成してもよい。たとえば蛍光物質を例示すれば本
発明者らが特開平2−195683号公報で発光層とし
て挙げている以下のような化合物を使用してもよい。ナ
フタレン誘導体、アントラセン誘導体、ポリメチン系、
オキサゾール誘導体、オキサジアゾール誘導体、チアゾ
ール誘導体、8−ヒドロキシキノリノンおよびその誘導
体の金属錯体、ルテニウム錯体、希土類錯体およびこれ
らの誘導体などである。また、本発明者らが特開平4−
212286号公報で提案している塗布による分散型電
界発光素子に用いる有機層(蛍光物質、正孔移動供与
剤、電子移動供与剤からなる有機層)を使用してもよ
い。あるいは、本発明者らが特願平4−6759号にお
いて提案している有機発光素子に使用している発光層
(正孔移動供与剤と電子移動供与剤と蛍光物質からなる
層)と一重項酸素クエンチャ−を含有する層からなる有
機層を使用してもよい。
【0020】さらに、ポリパラフェニレンビニレン(P
PV)、ポリ(2、5−ジアルコキシ−P−フェニレン
ビニレン)(HOPPV)、ポリチェニレンビニレンな
どの導電性高分子を用いてもよい。有機層が二層構造の
場合は、たとえば、上述した蛍光物質単体や蛍光物質を
含有する複合物質を発光層とし、該発光層と陽極の間に
正孔注入層(正孔移動性化合を含む層)、あるいは該発
光層と陰極の間に電子注入層(電子移動性化合物を含む
層)を設けて有機層としてもよい。より好ましくは、本
発明者らが特開平1−74988号公報に提案している
発光層と正孔輸送層からなる有機層を用いてもよいし、
特開昭63−264692号公報に提案されているホー
ル注入輸送帯と発光帯からなる有機層や特開昭59−1
94393号公報に提案されている正孔インジェクショ
ン帯域と有機発光帯域からなる有機層や特開昭57−5
1781号公報に提案されている正孔注入帯域と発光帯
域からなる有機層を用いてもよい。
【0021】正孔注入層として用いられる好ましい正孔
移動性化合物としては、イオン化ポテンシャルが8eV
より小さく、1×105 V/cmの電界強度における正
孔移動度が1×10-10 cm2 /V・sec以上の化合
物が用いられ、具体的な例として特開平4−21228
6号公報に示されている様な化合物を挙げることができ
る。より好ましくは、N,N′−ジフェニル−N,N′
−ジ(3−メチルフェニル)−1,1′−ビフェニル−
4,4′−ジアミンなどのトリフェニルアミン類、N−
イソプロピルカルバゾール、N−フェニルカルバゾール
などの3級アミン類、ピラゾリン誘導体、スチルベン系
化合物、オキサジアゾール類、ヒドラゾン系化合物、フ
タロシアニン類、縮合多環芳香族化合物など正孔移動能
を有することが知られた化合物が用いられ、正孔移動性
化合物と高分子結着剤の機能を兼ね備えたものとして、
ポリ(N−ビニルカルバゾール)、ポリ(4−ジフェニ
ルアミノフェニルメチルメタクリレート)、ポリ(4−
ジフェニルアミノフェニルメタクリレート)などのポリ
マー、ポリ(フェニルメチルシリレン)などのポリシリ
レンなどを挙げることができる。これらの正孔移動性化
合物は一種だけでもよいし、二種以上を組み合わせて用
いてもよい。さらに、正孔注入層は2層以上でもよい。
【0022】電子注入層に用いることのできる電子移動
性化合物としては、電子親和力が0.1eVより大きい
化合物が好ましく、具体的な例として特願平4−675
9号に示されているような化合物を挙げることができ
る。より好ましくは、2−(4′−tert−Bブチル
フェニル)−5−(4″−ビフェニル)−1,3,4−
オキサジアゾール、2,5−ビス(1−ナフチル)オキ
サジアゾールなどのオキサジアゾール誘導体、2−(1
−ナフチル)−5−フェニルオキサゾールなどのオキサ
ゾール誘導体、2−スチリルナフト〔1,2−d〕オキ
サゾールなどのスチリル化合物、ビニレン化合物、1,
1,4,4−テトラフェニルブタジエンなどのジアリー
ルブタジエン類、スチルベンなどのスチルベン化合物な
どであり、電子移動性化合物と高分子結着剤の機能を兼
ね備えたものとして、1,3,4−オキサジアゾール骨
格を主鎖あるいは側鎖に含む重合体などを挙げることが
できる。
【0023】さらに、ピレン、ペリレン、ペンタセン、
ルブレンなどの縮合多環芳香族化合物およびこれらのC
1〜C20アルキル置換体などが挙げられる。これらの
電子移動性化合物は一種だけでもよいし、二種以上を組
み合わせて用いてもよい。さらに、電子注入層は二層以
上でもよい。有機層三層構造の場合は、上述した有機層
一層の陰極側に電子注入層を設け、陽極側に正孔注入層
を設けて両方で挟み込み、有機層を三層構造にしてもよ
い。この場合の有機層としては本発明者らが特開平2−
255788号公報で提案している正孔注入輸送層、発
光層、正孔阻止層を陽極側から順次積層した構造の有機
層を用いることができる。このとき、正孔注入輸送層は
正孔注入層として、また正孔阻止層は電子注入層として
使用することができる。
【0024】絶縁性支持体としては、特に限定はなく、
ポリエチレンテレフタレート、セルロースアセテート、
ポリカーボネート、ポリ塩化ビニルなどの可とう性の支
持体でもガラスでもよい。陽極としては絶縁性支持体上
に形成された透明あるいは不透明な導電性物質が用いら
れるが、陰極が不透明な場合には陽極および支持体は透
明である必要がある。特に好ましい例としては、酸化
錫、酸化インジウム、酸化錫インジウム(ITO)など
の導電性酸化物あるいは金、銀、クロムなどの金属、ヨ
ウ化銅、硫化銅などの無機導電性物質、ポリチオフェ
ン、ポリピロール、ポリアニリンなどの導電性ポリマー
などを挙げることができる。
【0025】本発明の有機のEL素子は、カラーディス
プレイやフラットパネルディスプレイ、液晶ディスプレ
イのバックライト、複写機用の除電光源やプリンター用
光源のようなOA機器用として、車載用ディスプレイや
ストップランプ等の自動車用部品として、あるいは方向
指示機やテールランプのような自動車用部品として、さ
らには玩具用発光素子や道路工事用夜間表示など通常の
発光素子が用いられているような多くの用途に用いるこ
とができる。さらに、蛍光物質の選択によって種々の発
光色が得られることからフルカラーディスプレーにも使
用することができる。
【0026】以上、本発明の代表例として有機のEL素
子について詳細に説明したが、これは本発明における一
例に過ぎず、本発明をなんら制限するものではない。た
とえば、電子輸送層と正孔輸送層を積層した構造の光起
電力装置において、陰極と電子輸送層の界面に島状の銀
分布層を形成すれば、良好なダイオード特性あるいは変
換効率を有する光起電力装置として使用することができ
る。さらに、ホトダイオードにも本発明を適用すれば従
来より優れた受光性能が得られる。
【0027】それ以外にも本発明は素子の動作過程にお
いて電極と機能層の間でキャリアの移動をともなう有機
膜素子に適用でき、機能層としても多種多様なものを用
いることが可能である。
【0028】
【実施例】以下実施例により本発明をさらに詳しく説明
する。
【0029】
【実施例1】ITOガラス〔HOYA(株)製〕を、ア
セトン中で超音波洗浄し風乾したのち、紫外線洗浄装置
〔センエンジニアリング(株)製PL−10−110〕
で5分間洗浄した。このITOガラス上に正孔移動供与
剤としてポリ(N−ビニルカルバゾール)〔BASF社
製、Luvican M170〕1重量部、電子移動供
与剤としてペリレン0. 12重量部、蛍光物質として3
−(2′−ベンゾチアゾリル)−7−ジエチルアミノク
マリン(クマリン6)0. 02重量部を含む1, 2−ジ
クロルエタン溶液からの浸漬塗工により1000Åの厚
さに有機層を形成した。ついでその有機層の上に、膜厚
を水晶振動子(MAXTEK社 P/N103200
QTY−5)でモニターしながら、平均膜厚3Åになる
ように銀分布層を蒸着する。このとき、銀分布層を走査
型電子顕微鏡で観察したところ銀は島状に分布してお
り、0.25μm2 (500nm×500nm)当たり
銀が存在しない空隙部分の面積の割合は99.5%であ
った。さらにその上に陰極としてアルミニウムを150
0Å蒸着により積層する。この際、素子の発光面積はシ
ャドーマスクを介して0. 1cm2 の面積に規定した。
このようにして作製した素子にITOガラスを陽極とし
て、窒素気流下で直流電圧を印加すると緑色に発光し、
全発光面積0.1cm2 当りの未発光部分の占める割合
は0%であり、10mA/cm2 の電流密度で発光させ
た時の輝度は140cd/m2 と高い発光効率を示し
た。
【0030】
【比較例1】実施例1において、有機層と陰極の間の銀
分布層を設けず、Alを1500Å蒸着する以外は、実
施例1と同様にして素子を作製した。この素子にITO
ガラスを陽極として、窒素気流下で直流電圧を印加する
と緑色に発光し、全発光面積0.1cm2 当りの未発光
部分の占める割合は10%であり、しかも10mA/c
2 の電流密度で発光させた時の輝度は1cd/m2
著しく低い発光効率であった。この結果から明らかなよ
うに、有機層と陰極の間に銀が島状に存在することによ
り、素子の発光面の未発光部分の占める面積割合を大幅
に低減することができ、さらに素子の発光効率を大幅に
向上することが可能である。
【0031】
【比較例2】実施例1において、有機層と陰極の間に設
ける銀分布層の平均膜厚を300Åにした以外は、実施
例1と同様にして素子を作製した。なお、この時の銀は
走査型電子顕微鏡の解析により島状ではなく連続膜にな
っていた。この素子を、窒素気流下、10mA/cm2
の電流密度で発光させたところ、発光面内で輝度分布が
みられた。輝度は明部分が150cd/m2 と高い発光
効率であったが、暗部分は20cd/m2 と低い発光効
率であった。この結果から明らかなように、発光面が均
一で発光時の未発光部分が少なく、かつ高効率な素子を
得るためには有機層と陰極の間に銀を島状に設けなけれ
ばならないことがわかる。
【0032】
【実施例2】実施例1において、有機層と陰極の間に設
ける銀分布層の平均膜厚を10Åにし、さらに陰極材料
としてアルミニウムの代わりに金を2000Å蒸着する
以外は、実施例1と同様にして素子を作製した。このと
き、銀分布層を走査型電子顕微鏡で観察したところ銀は
島状に分布しており、0.25μm2 (500nm×5
00nm)当たり銀が存在しない空隙部分の面積の割合
は93%であった。この素子にITOガラスを陽極とし
て窒素気流下で直流電圧を印加すると緑色に発光し、全
発光面積0.1cm2 当りの未発光部分の占める割合は
0.5%であり、10mA/cm2 の電流密度で発光さ
せた時の輝度は80cd/m2 と高い発光効率を示し
た。
【0033】
【実施例3】実施例1において、有機層と陰極の間に設
ける銀分布層の平均膜厚を30Åにし、さらに陰極材料
としてアルミニウムの代わりに銅を1800Å蒸着する
以外は、実施例1と同様にして素子を作製した。このと
き、銀分布層は走査型電子顕微鏡で観察したところ銀は
島状に分布しており、0.25μm2 (500nm×5
00nm)当たり銀が存在しない空隙部分の面積の割合
は77.5%であった。この素子にITOガラスを陽極
として、窒素気流下で直流電圧を印加すると緑色に発光
し、全発光面積0.1cm2 当りの未発光部分の占める
割合は0.3%であり、10mA/cm2 の電流密度で
発光させた時の輝度は100cd/m2と高い発光効率
を示した。
【0034】
【実施例4】実施例1において、有機層と陰極の間に設
ける銀分布層の平均膜厚を250Åにし、さらに陰極材
料としてアルミニウムの代わりにMgを2500Å蒸着
する以外は、実施例1と同様にして素子を作製した。こ
のとき、銀分布層を走査型電子顕微鏡で観察したところ
銀は島状に分布しており、0.25μm2 (500nm
×500nm)当たり銀が存在しない空隙部分の面積の
割合は5.5%であった.この素子にITOガラスを陽
極として、窒素気流下で直流電圧を印加すると緑色に発
光し、全発光面積0.1cm2 当りの未発光部分の占め
る割合は0.4%であり、10mA/cm2 の電流密度
で発光させた時の輝度は140cd/m 2 と高い発光効
率を示した。
【0035】
【実施例5】実施例1において、有機層と陰極の間に設
ける銀分布層の平均膜厚を1.5Åにし、さらに陰極材
料として、アルミニウムの代わりにSmを3000Å蒸
着する以外は、実施例1と同様にして素子を作製した。
このとき、銀分布層を走査型電子顕微鏡で観察したとこ
ろ銀は島状に分布しており、0.25μm2 (500n
m×500nm)当たり銀が存在しない空隙部分の面積
の割合は99.7%であった。この素子にITOガラス
を陽極として、窒素気流下で直流電圧を印加すると緑色
に発光し、全発光面積0.1cm2 当りの未発光部分の
占める割合は0.2%であり、10mA/cm2 の電流
密度で発光させた時の輝度は120cd/m2 と高い発
光効率を示した。
【0036】
【実施例6】実施例1において、有機層と陰極の間に設
ける銀分布層の平均膜厚を3Åにし、さらに陰極材料と
して、アルミニウムの代わりにマグネシウムと銀の原子
比が10:1になるように3200Å蒸着する以外は、
実施例1と同様にして素子を作製した。このとき、銀分
布層を走査型電子顕微鏡で観察したところ銀は島状に分
布しており、0.25μm2 (500nm×500n
m)当たり銀が存在しない空隙部分の面積の割合は9
9.5%であった。この素子にITOガラスを陽極とし
て、窒素気流下で直流電圧を印加すると緑色に発光し、
全発光面積0.1cm2 当りの未発光部分の占める割合
は0.2%であり、10mA/cm2 の電流密度で発光
させた時の輝度は160cd/m2 と高い発光効率を示
した。
【0037】
【比較例3】実施例6において、有機層と陰極の間に銀
分布層を設けないこと以外は、実施例6と同様にして素
子を作製した。この素子にITOガラスを陽極として、
窒素気流下で直流電圧を印加すると緑色に発光し、実施
例6と比較し、全発光面積0.1cm2 当りの未発光部
分の占める割合は11%と拡大し、10mA/cm2
電流密度で発光させた時の輝度も60cd/m2 とかな
り低下した。。
【0038】
【実施例7】実施例1において、有機層と陰極の間に設
ける銀分布層の平均膜厚を20Åにし、さらに陰極材料
として、サマリウムを300Åさらにその上に保護層と
して銀を2000Å蒸着積層する以外は、実施例1と同
様にして素子を作製した。このとき、銀分布層を走査型
電子顕微鏡で観察したところ銀は島状に分布しており、
0.25μm2 当たりの平均空隙率は85%であった。
この素子にITOガラスを陽極として、窒素気流下で直
流電圧を印加すると緑色に発光し、全発光面積0.1c
2 当りの未発光部分の占める割合は0.1%であり、
10mA/cm 2 の電流密度で発光させた時の輝度は1
10cd/m2 と高い発光効率を示した。
【0039】
【実施例8】ITOガラス〔HOYA(株)製〕をアセ
トン中で超音波洗浄し風乾したのち、紫外線洗浄装置
〔センエンジニアリング(株)製 PL−10−11
0〕で5分間洗浄した。このITOガラス上に、正孔移
動供与剤としてポリ(N−ビニルカルバゾール)1重量
部、電子移動供与剤として2, 5−ビス(1−ナフチ
ル)−1, 3, 4−オキサジアゾール0. 9重量部、蛍
光物質であるルブレン0. 02重量部を含む1, 2−ジ
クロルエタン溶液からの浸漬塗工により1200Åの厚
さに発光層を形成した。ついでその発光層の上に膜厚を
水晶振動子でモニターしながら平均膜厚80Åになるよ
うに銀分布層を蒸着する。このとき、銀分布層を走査型
電子顕微鏡で観察したところ銀は島状に分布しており、
0.25μm2当たりの平均空隙率は40.5%であっ
た。次に陰極材料としてYbを400蒸着し、さらにそ
の上にアルミニウム1000Åと金2000Åを積層し
た保護層を蒸着により設けた。この際、素子の発光面積
はシャドーマスクを介して0.1cm2 の面積に規定し
た。このようにして作製した素子にITOガラスを陽極
として、窒素気流下で直流電圧を印加すると黄色に発光
し、全発光面積0.1cm2 当りの未発光部分の占める
割合は0.1%であり、10mA/cm2 の電流密度で
発光させた時の輝度は120cd/m2 と高い発光効率
を示した。
【0040】
【実施例9】ITOガラス〔HOYA(株)製〕上に、
正孔注入輸送層としてN,N−ジフェニル−N,N′−
(3−メチルフェニル)−1,1′−ビフェニル−4,
4′−ジアミンを、3×10-6トールの真空度で150
℃に加熱し750の厚さに蒸着した。次いで発光層と
して、ペリレン−3,4,9,10−テトラカルボン酸
−ビス−(2′6′−ジイソプロピルアニリド)(BA
SF社製)を、1.2×10-6トールの真空度で270
℃に加熱し、800Åの厚さに蒸着した。次いでその発
光層の上に膜厚を水晶振動子でモニターしながら、平均
膜厚50Åになるように銀分布層を蒸着する。このと
き、銀分布層を走査型電子顕微鏡で観察したところ銀は
島状に分布しており、0.25μm2 当たりの平均空隙
率は62.5%であった。さらにその上に陰極材料とし
てインジュウムと銀の原子比が10:1になるように2
000Å蒸着した。さらに、その上に保護層としてアル
ミニウムを1000Å蒸着積層した。この際、素子の発
光面積は、シャドーマスクを介して0.1cm2 の面積
に規定した。このようにして作製した素子にITOガラ
スを陽極として、窒素気流下で直流電圧を印加すると緑
色に発光し、全発光面積0.1cm2 当りの未発光部分
の占める割合は0.2%であり、10mA/cm2 の電
流密度で発光させた時の輝度は120cd/m2 と高い
発光効率を示した。
【0041】
【実施例10】ITOガラス〔HOYA(株)製〕上
に、正孔注入輸送層としてN,N−ジフェニル−N,
N′−(3−メチルフェニル)−1,1′−ビフェニル
−4,4′−ジアミンを、3×10-6トールの真空度で
150℃に加熱し750Åの厚さに蒸着した。次いで発
光層として、トリス(8−ヒドロキシキノリノ)アルミ
ニュウムを2.3×10-6トールの真空度で208℃に
加熱し、425Åの厚さに蒸着した。次いで、その上に
正孔阻止層としてトリス(5,7−ジクロル−8−ヒド
ロキシキノリノ)アルミニウムを2.5×10-6トール
の真空度で250℃に加熱し、400Åの厚さに蒸着し
た。ついでその正孔阻止層の上に、膜厚を水晶振動子で
モニターしながら、平均膜厚10Åになるように銀分布
層を蒸着する。このとき、銀分布層を走査型電子顕微鏡
で観察したところ銀は島状に分布しており、0.25μ
2 当たりの平均空隙率は93%であった。さらにその
上に陰極材料としてアルミニウムと銀の原子比が10:
1になるように2500Å蒸着した。この際、素子の発
光面積は、シャドーマスクを介して0. 1cm2 の面積
に規定した。このようにして作製した素子にITOガラ
スを陽極として、窒素気流下で直流電圧を印加すると緑
色に発光し、全発光面積0.1cm2 当りの未発光部分
の占める割合は0.1%であり、10mA/cm2 の電
流密度で発光させた時の輝度は150cd/m2 と高い
発光効率を示した。
【0042】以下の実施例11〜20は、実施例1〜1
0で作製した素子の一定電流密度における連続発光テス
トの結果である。
【0043】
【実施例11】実施例1で作製した素子を、窒素気流
下、10mA/cm2 の一定電流密度で連続発光させた
ところ、200時間連続発光後の発光面積は初期発光面
積の0.65倍であった。
【0044】
【実施例12】実施例2で作製した素子を、窒素気流
下、10mA/cm2 で連続発光させたところ、200
時間連続発光後の発光面積は初期発光面積の0.70倍
であった。
【0045】
【実施例13】実施例3で作製した素子を、窒素気流
下、10mA/cm2 ので連続発光させたところ、20
0時間連続発光後の発光面積は初期発光面積の0.65
倍であった。
【0046】
【実施例14】実施例4で作製した素子を、窒素気流
下、10mA/cm2 ので連続発光させたところ、20
0時間連続発光後の発光面積は初期発光面積の0.20
倍であった。
【0047】
【実施例15】実施例5で作製した素子を、窒素気流
下、10mA/cm2 ので連続発光させたところ、20
0時間連続発光後の発光面積は初期発光面積の0.30
倍であった。
【0048】
【実施例16】実施例6で作製した素子を、窒素気流
下、10mA/cm2 ので連続発光させたところ、20
0時間連続発光後の発光面積は初期発光面積の0.50
倍であった。
【0049】
【実施例17】実施例7で作製した素子を、窒素気流
下、10mA/cm2 ので連続発光させたところ、20
0時間連続発光後の発光面積は初期発光面積の0.50
倍であった。
【0050】
【実施例18】実施例8で作製した素子を、窒素気流
下、10mA/cm2 ので連続発光させたところ、20
0時間連続発光後の発光面積は初期発光面積の0.55
倍であった。
【0051】
【実施例19】実施例9で作製した素子を、窒素気流
下、10mA/cm2 ので連続発光させたところ、20
0時間連続発光後の発光面積は初期発光面積の0.65
倍であった。
【0052】
【実施例20】実施例10で作製した素子を、窒素気流
下、10mA/cm2 ので連続発光させたところ、20
0時間連続発光後の発光面積は初期発光面積の0.70
倍であった。表1に上記連続発光安定性における200
時間後の発光面積残存率の結果をまとめて示す。この結
果から、陰極材料として仕事関数が大きく、化学的に安
定な金属を選択すれば連続発光時の発光面積減少を抑制
することができることがわかる。
【0053】
【実施例21】ITOガラス〔HOYA(株)製〕を、
アセトン中で超音波洗浄し風乾したのち、紫外線洗浄装
置〔センエンジニアリング(株)製PL−10−11
0〕で5分間洗浄した。図3に示すように、この陽極と
なるITOガラス上に、正孔移動供与剤としてポリ(N
−ビニルカルバゾール)〔BASF社製、Luvica
nM170〕1重量部、電子移動供与剤としてペリレン
0. 12重量部、蛍光物質として3−(2′−ベンゾチ
アゾリル)−7−ジエチルアミノクマリン(クマリン
6)0. 02重量部を含む1, 2−ジクロルエタン溶液
からの浸漬塗工により1000Åの厚さに有機層1を形
成した。ついでその有機層1の上に、膜厚を水晶振動子
(MAXTEK社 P/N103200 QTY−5)
でモニターしながら、平均膜厚3Åになるように銀分布
層1を蒸着する。このとき、銀分布層1を走査型電子顕
微鏡で観察したところ銀は島状に分布しており、0.2
5μm 2 (500nm×500nm)当たり銀が存在し
ない空隙部分の面積の割合は98%であった。[部位1
と呼ぶ] 一方、両面ITOガラス(ガラスの表裏の両面にITO
を有する)をアセトン中で超音波洗浄し風乾したのち、
紫外線洗浄装置〔センエンジニアリング(株)製 PL
−10−110〕で5分間洗浄した。この両面ITOガ
ラス上の甲面に、正孔移動供与剤としてポリ(N−ビニ
ルカルバゾール)1重量部、電子移動供与剤として2,
5−ビス(1−ナフチル)−1, 3, 4−オキサジアゾ
ール0.9重量部、蛍光物質であるルブレン0. 02重
量部を含む1, 2−ジクロルエタン溶液からの浸漬塗工
により1200Åの厚さに有機層2を形成した。ついで
その有機層2の上に膜厚を水晶振動子でモニターしなが
ら平均膜厚80Åになるように銀分布層2を蒸着する。
このとき、銀分布層2を走査型電子顕微鏡で観察したと
ころ銀は島状に分布しており、0.25μm2 (500
nm×500nm)当たり銀が存在しない空隙部分の面
積の割合は40.5%であった。さらにその表面に陰極
として片面ITOガラスのITO側を銀分布層2と接触
させる向きで載せる。[部位2と呼ぶ] そして、最後に部位1の銀分布層1と部位2の両面IT
Oガラスの乙面を接触させ素子を完成する。この多層型
素子の中心に位置する両面ITOガラスを基準電圧(0
V)に設定し、部位1のITOにプラスの直流電圧を、
部位2のITOにマイナスの直流電圧を印加したとこ
ろ、部位1からの緑色発光(C−6発光)と部位2から
の黄色(ルブレン発光)が重畳した発光が得られた。こ
のように、多層型の素子を作製することにより様々な発
光色を得ることができ、フルカラーも可能である。(詳
細は図3参照)
【0054】
【実施例22】よく洗浄したITOガラス(松崎真空
製、30Ω/□)上に、真空蒸着法で電子受容性物質で
ある銅フタロシアニン(CuPc)を約300Åの厚さ
で、次いで電子供与性物質であるN,N′−ジメチル−
3,4,9,10−ペリレンテトラカルボン酸ジイミド
を約500Åの厚さで設け、ついでその上に膜厚を水晶
振動子(MAXTEK社 P/N103200 QTY
−5)でモニターしながら、平均膜厚10Åになるよう
に銀分布層を蒸着する。このとき、銀分布層を走査型電
子顕微鏡で観察したところ銀は島状に分布しており、
0.25μm2 (500nm×500nm)当たり銀が
存在しない空隙部分の面積の割合は93%であった。さ
らにその上にAlを真空蒸着した。ITOとAlがなす
面積は0.25cm2 とした。2つの電極に銀ペースト
にてリード線を取り付け、この素子のITO側に、75
mW/cm2 の白色光を照射しながら、6mV/sで掃
引される電圧を印加して変換効率を測定したところVo
c=0.43V、Jsc=0.91mA/cm2 、ff
=0.45となり変換効率が0.235%と島状の銀を
設けることにより光起電力装置の性能を向上させること
ができた。
【0055】
【比較例4】実施例22において、島状の銀分布層を設
けないこと以外は、実施例22と同様にして素子を作製
した。この素子のITO側に75mW/cm2 の白色光
を照射しながら、6mV/sで掃引される電圧を印加し
て変換効率を測定したところVoc=0.31V、Js
c=0.19mA/cm2 、ff=0.33となり変換
効率が0.026%と明らかに実施例22より性能が悪
かった。
【0056】
【表1】
【0057】
【発明の効果】本発明は、素子の動作過程において電極
と機能層の界面でキャリア移動過程をともなう素子にお
いて、島状の銀分布層を少なくとも一方の電極と機能層
の界面に設けることにより、円滑なキャリア移動を可能
とし、その結果として、従来より優れた動作性能、動作
安定性、信頼性を有する有機膜素子を提供するものであ
る。機能層としては多種多様なものを用いることが可能
であるが、特に効果の大きい有機膜素子として有機EL
素子や太陽電池やホトダイオードを挙げることができ
る。たとえば、有機のEL素子においては、発光時の未
発光部分が少なく、発光の均一性に優れ、しかも高効率
な有機のEL素子を提供する。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例8、18における銀分布層(平均膜厚8
0Å)の粒子構造を示す走査型電子顕微鏡写真である。
【図2】実施例1における銀分布層(平均膜厚3Å)の
粒子構造を示す透過型電子顕微鏡写真である。
【図3】実施例21の多層型素子の断面説明図である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) H05B 33/00 - 33/28

Claims (5)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 相対する陽極と銀以外の金属を少なくと
    も含有する陰極とからなる電極間に少なくとも正孔移動
    供与剤、電子移動供与剤、蛍光物質の3成分を混合した
    発光層を含む一以上の層を有し、陰極と陰極に対向する
    有機層の界面に島状の銀分布層を設けたことを特徴とす
    有機のEL素子
  2. 【請求項2】 該島状の銀分布層の平均の厚みが1Å以
    上280Å以下であることを特徴とする請求項1に記載
    有機のEL素子。
  3. 【請求項3】 該有機層が陽極側から順次正孔注入層、
    発光層であることを特徴とする請求項1または2に記載
    有機のEL素子。
  4. 【請求項4】 該有機層が陽極側から順次正孔注入層、
    発光層、電子注入層であることを特徴とする請求項1ま
    たは2に記載の有機のEL素子。
  5. 【請求項5】 該有機層が陽極側から順次発光層、電子
    注入層であることを特徴とする請求項1または2に記載
    有機のEL素子。
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