JP3535103B2 - 真珠養殖方法とそのシステム - Google Patents

真珠養殖方法とそのシステム

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JP3535103B2 JP2001005962A JP2001005962A JP3535103B2 JP 3535103 B2 JP3535103 B2 JP 3535103B2 JP 2001005962 A JP2001005962 A JP 2001005962A JP 2001005962 A JP2001005962 A JP 2001005962A JP 3535103 B2 JP3535103 B2 JP 3535103B2
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浩一 榊原
一徳 榊原
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    • Y02ATECHNOLOGIES FOR ADAPTATION TO CLIMATE CHANGE
    • Y02A40/00Adaptation technologies in agriculture, forestry, livestock or agroalimentary production
    • Y02A40/80Adaptation technologies in agriculture, forestry, livestock or agroalimentary production in fisheries management
    • Y02A40/81Aquaculture, e.g. of fish

Description

【発明の詳細な説明】 【0001】 【発明の属する技術分野】本発明は、真珠の養殖方法と
そのシステムに係り、特に、深層水を用いて、一箇所の
地上設備で真珠の養殖の工業的生産を可能とする技術に
関する。 【0002】 【従来の技術】従来から、真珠は次のような過程により
養殖されていた。すなわち、稚貝を母貝に成長するまで
育成する母貝育成過程と、母貝育成過程で成長した母貝
に、真珠層を巻き付かせる核を挿入する挿核手術のショ
ックを和らげるべく生態活動を鈍化させる、いわゆる冬
眠状態とさせる仕立て作業過程を静かな潮の流れのない
入江で行う。次いで、気温と水温の差がない時期に母貝
を海中から取り出し、その母貝にピースを挿入する挿核
手術を経て、挿核手術を終えた母貝の回復を図る養生過
程を入江から沖合いに少し離れた緩やかな潮の流れがあ
る漁場で行う。次いで、母貝を育成し真珠を作らせる珠
貝育成過程を比較的潮の流れのある更に沖合いへ移動さ
せて行い、最後に、水温が低下して、真珠の表面の光沢
が増し、真珠の色が白色系になってきてから浜揚げを行
う。 【0003】 【発明が解決しようとする課題】ところが、上述したよ
うな過程を経る真珠の養殖方法においては、すべての過
程が海洋で行われているため、気象条件や陸地の乱開発
のようなコントロール不可能な要因によって下記のよう
な課題が生じていた。 (1)水温について 低棲生物であるアコヤ貝は、その生育適性水温が摂氏1
8度から23度で、温度変動に対する防御体制を持って
いない生物であり、海上で真珠を養殖する場合は、アコ
ヤ貝の生育適性水温の限界水温を越える漁場での水温調
節は、養殖深度を上下させるとか、他の漁場にアコヤ貝
を移動させなければならない。その移動も単に湾奥から
湾口の場合と、他府県の湾への場合とがある。他府県の
湾への移動であっても、移動可能な漁場が少なくなり、
養殖すべきアコヤ貝が密集して、アコヤ貝が栄養不足に
陥る。また、他府県の湾への遠距離移動には、水槽船や
保冷車を用いている。このため移動に伴う輸送コストが
高価となる。 【0004】(2)漁場の使い分けについて アコヤ貝の生態上、漁場の適地条件は制約され、更に養
殖の過程により異なる魚場の使い分けが必要である。他
の魚介類(あわび、アサリ、ハマグリ、ムラサキ貝な
ど)の養殖業のように同じ水面下で終始飼育することが
できない。それは、漁場の海域は年々異なり、近年の気
象の不安定さを受け、年により海況の違いが拡大しつつ
ある。従って、母貝の質も年々異なってきている現状か
ら、固定的な養殖技術では対応しきれなくなってきた。 【0005】(3)季節要因について 外洋では水温が潮の流れや気象状況によって激しく変動
し、その水温の変動がアコヤ貝の養殖に大きな影響を与
え、仕立てや挿核時期が限定される。 【0006】(4)泥土・赤潮による漁場汚染について 河川から砂や砂利採取などに起因する泥土の流出によっ
て、海水中の泥土濃度が高くなると、泥土に対する防御
機構をもたないアコヤ貝は死亡するという問題があり、
また、都市・工場排水あるいは漁場養殖により海域の有
機物汚染が激しくなってきていることと、近年の台風の
減少により、海底の攪拌が行われず、泥質の悪化が進行
して、酸欠・赤潮の発生が煩雑になってきている現状か
ら、溶存酸素量の変動に対して比較的耐性を持っている
アコヤ貝といえども、このような酸欠や赤潮の状態が継
続すると、酸素不足や有害な赤潮生物に対して閉殻して
呼吸や摂食しなくなり、ひいては、酸欠状態や赤潮生物
に長時間曝されると、アコヤ貝は疲労して衰弱死する。 【0007】(5)飼料不足について 降雨が少ないと飼料となるプランクトン(主に珪藻)が
減少、飼料不足が起こり貝の成長を停止させてしまう。
また、養殖密度が高くなり飼料が競合することでも飼料
不足が生じ、貝の成長を停止させてしまう。 【0008】(6)淡水対策について 低棲生物であるため、塩分に対する防御機能は持ってい
ないアコヤ貝は、急激な塩分の変化には閉殻し一定時間
耐えるが、緩やかな変化に対しては閉殻したままで、水
硬直に至ることがある。 【0009】(7)付着生物について アコヤ貝の養殖過程で、例えば、筏1台当たり1年間に
付着する生物の量は数百キロにもなるほど、フジツボ類
やホヤ類などが貝殻表面に付着し成長する。このように
他の付着生物の成長によって籠内への水の流通の悪化、
飼料配合、カルシウム摂取の競合、養殖施設・器材の損
耗などの障害が起き、付着生物の防除を図る必要があ
り、作業工程が増えコスト高を招いていた。 【0010】本発明は、上記のような問題を解消するも
のであり、汲み上げられた深層水を利用して真珠を養殖
することによって、地上の固定された設備を用いて、気
象の変化に伴う水温の変動の影響や泥土の送入による汚
染や都市・工場排水による汚染の影響を受けることな
く、工業的に真珠の養殖を可能とし、低コストかつ高生
産性をもって高品位の真珠が得られる真珠養殖方法とそ
のシステムを提供することを目的とする。 【0011】 【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
に、請求項1記載の発明は、汲み上げられた深層水をア
コヤ貝の生育適性温度まで暖め、均一に暖まった深層水
を供給した飼育槽でアコヤ貝の稚貝から母貝まで育成す
る母貝育成過程と、母貝育成過程で成長した母貝を飼育
槽内の水流を遅くして生態活動を鈍化させる仕立て作業
過程と、仕立て作業で生態活動が鈍化した母貝にピース
を挿入する挿核手術過程と、挿核手術過程でピースが挿
入された母貝の回復を図る養生過程と、養生過程を終え
た母貝を水流を生じさせた飼育槽内に入れ、母貝から真
珠を生育させる珠貝生育過程とを含み、飼育槽でアコヤ
貝の育成から真珠の生育までを一貫して行う方法であ
る。 【0012】深層水とは、水質の変動が少なく、安定し
ており、水温が低く(約摂氏10度程度)、光合成藻類
(植物プランクトン)の生育に必要な無機塩類、殊に燐
酸塩、硝酸塩および珪酸塩に富んでおり、かつ、それら
の組成比が安定しており、魚介類に寄生する寄生虫や微
生物が少なく、重金属や人工的な汚染物質の影響が少な
いなどの有利な数々の特性を有しているものである。 【0013】飼育槽とは、例えばビニールハウスなどの
建屋内に固定設備として設けられた水槽で、この水槽に
深層水が供給され、この中でアコヤ貝の育成から真珠の
生育までを行うものである。また、飼育槽内において母
貝は適性に温度管理された深層水の水流を受けること
で、真珠層の巻きが向上し、良質な真珠を得るに効果が
ある。深層水の水流は母貝を移動させることによる相対
的なものでもよい。 【0014】上記方法においては、飼育槽に汲み上げら
れた深層水を供給し、その中でアコヤ貝を育成するもの
であり、飼育槽に供給される深層水の水温が一定温度に
保たれていること、また、生活・工場排水の混入や泥土
の混入の心配が全くなくなることから、地上の固定設備
でもって低コストに、良質な真珠の養殖ができるように
なる。 【0015】 【0016】上記構成においては、汲み上げられた低温
の深層水をアコヤ貝の育成から真珠の生育までの生育適
性温度に暖め、その生育適性温度に暖められた深層水を
貯水槽で大量に貯え、貯水槽から飼育槽に適温に維持さ
れた深層水が供給され、その飼育槽でアコヤ貝の育成か
ら真珠の生育を行い、飼育槽に供給される深層水の水温
をアコヤ貝の生育適性水温に貯水槽で常に制御維持する
ことができる。従って、コントロール不可能な気象条件
変動による水温の変動に伴う弊害や陸上での乱開発や人
口増大による生活排水の増大によって生じる泥土・赤潮
・細菌による汚染からも解放され、高い生産性をもって
良質な真珠を養殖することができる。 【0017】お、稚貝育成・仕立て用飼育槽と珠貝育
成用飼育槽とは、必ずしも物理的に別体構成でなく、水
流制御を変えることにより、1つの水槽で両者を兼用す
る形態も考えられる。 【0018】この構成においては、飼育槽が稚貝育成・
仕立て用と珠貝育成用とから成り、流れをそれ程必要と
しない稚貝育成・仕立てに適性な環境と、流れを必要と
する珠貝の育成に適性な環境とに分けて環境制御するこ
とができる。従って、人為的に水温・水流・室内温度な
どの環境制御、特に温度制御が可能となることで、生産
性を高めることができる。また、飼育槽内の深層水にエ
アレーション手段で空気の気泡を供給して、空気中の酸
素を深層水に溶解させ、飼育槽内の深層水の溶存酸素量
の不足を補うことができる。これによって、アコヤ貝と
真珠の健全な育成が図れる。ここにいうエアレーション
手段とは、多数の小さな孔を形成したパイプと飼育槽外
に設置したコンプレッサとを管路で接続し、コンプレッ
サで得られた圧縮空気が管路を経てパイプに供給され、
パイプに形成された多数の小さな孔から気泡が深層水中
に放出され、空気中の酸素を深層水に溶解させることが
できる。溶存酸素不足によるアコヤ貝の健全な育成や珠
貝の生育の阻害要因を除去でき、生産性を向上すること
ができる。 【0019】さらにまた、珠貝育成用飼育槽は、珠貝生
育用の飼育槽において必要な円滑な水の流れが得られ、
珠貝生育過程での真珠層の巻き込みを向上することがで
き、高品質な真珠を多数得ることができる。 【0020】また、珠貝育成用飼育槽の水流は、エアレ
ーション手段から発生される気泡の速度を変化させるこ
とにより、貯水槽から深層水を供給し続けること等によ
り生じさせればよく、これにより、珠貝育成用飼育槽に
珠貝の適性な生育に必要な水の流れが形成でき、貯水槽
から深層水を供給し続けることからも栄養分や酸素の補
強が行え、アコヤ貝と真珠の一層の健全な育成を図るこ
とができる。 【0021】 【0022】 【0023】 【発明の実施の形態】以下、本発明の一実施形態に係る
真珠養殖システムについて図面を参照して説明する。図
1乃至図3において、真珠養殖システム1は、汲み上げ
られた深層水が導入される温度管理槽2、貯水槽3、稚
貝育成・仕立て用プール(飼育槽)4、珠貝育成用プー
ル(飼育槽)5、上記各設備間に接続され、深層水を配
水するパイプ6,7,8,9,10、珠貝育成用プール
5内の深層水を排水するパイプ11、深層水の供給の断
続を行うバルブ12,13,14,15、珠貝育成用プ
ール5内の深層水の排水の断続を行うバルブ16、珠貝
育成用プール5内の深層水にジェット気泡を生成させる
圧縮空気を送るコンプレッサ17及び、このコンプレー
サ17に接続され、深層水内でジェット気泡18を放出
する空気供給用パイプ19、稚貝育成・仕立て用プール
4内の深層水に気泡を生成させる圧縮空気を送るコンプ
レッサ20及び、このコンプレーサ20に接続され、深
層水内で気泡21を放出する空気供給用パイプ22から
構成されている。なお、図1では、各プール4,5内を
透視して示している。 【0024】温度管理槽2、貯水槽3、稚貝育成・仕立
て用プール4及び珠貝育成用プール5などの各設備はビ
ニールハウスなどの建屋23内に設置され、建屋23内
は外気温による影響を防止すべく温度管理制御が行われ
る。 【0025】温度管理槽2は、詳細を図示していない
が、汲み上げられた低温の深層水を貯える水槽と、汲み
入れられた深層水をアコヤ貝の適性生育温度にまで温度
を上昇させる加熱部と、槽内に配置され、深層水がアコ
ヤ貝の適性生育温度を検知する温度検知部と、温度検知
部からの出力信号を受け、出力信号に応じて加熱部を制
御する制御部及び深層水の水温を均一化するために攪拌
を行う攪拌部とから成る。この温度管理槽2において、
汲み上げられた低温の深層水をアコヤ貝の適性生育温度
にまで温度を上昇させる。 【0026】貯水槽3は、温度管理槽2でアコヤ貝の適
性生育温度にまで温度を上昇させた深層水を所定量貯え
ておく水槽である。なお、貯水槽3であっても水温を一
定に保持させる装置が設けらている場合と、建屋を温度
制御することによって貯水槽に加温手段を設けることな
く水温を一定に保持させるものとしてもよい。温度管理
槽2から貯水槽3への深層水の導入は、バルブ13の開
閉を制御することにより行えばよい。 【0027】稚貝育成・仕立て用プール4は、稚貝を育
成する母貝育成期間、挿核手術を行う予定の母貝を冬眠
状態とさせる仕立て作業、挿核手術をした母貝の回復、
即ち養生を図る水槽である。この養生の過程では緩やか
な流れがある方が望ましく、過程によっては、流れを停
止させるとかあるいは緩やかな流れを作れるようにした
ものである。稚貝育成・仕立て用プール4としては、外
気温による温度変化を受けないような大型の水槽を用
い、その水槽を形成する材料には断熱性のあるものが用
いられる。支持棒25は、稚貝育成・仕立て用プール4
の周壁上面に載置され、稚貝のための籠26を稚貝育成
・仕立て用プール4内に垂下させるための手段であり、
籠26は小さな稚貝を所定の間隔を置いて配置する手段
であり、網目が細かいものを使用する。 【0028】珠貝育成用プール5は、貝を育成して真珠
を生育させる過程を行う水槽である。得ようとする真珠
の大きさによって、この珠貝育成用プール5で生育させ
る期間に長短の変化をつけ、また、真珠層の巻きを良く
するために比較的流れが生じるよう貯水槽3から深層水
を送入し続けることが望ましい。珠貝育成用プール5
は、外気温による温度変化を受けないような大型の水槽
を用い、水槽を形成する材料には断熱性のあるものが用
いられる。支持棒25は、稚貝育成・仕立て用プール4
の周壁上面に載置される他に、珠貝育成用プール5の周
壁上面に載置され、珠貝のための籠27を珠貝育成用プ
ール5内に垂下させるための手段である。支持棒25
は、図示では、同プール5の上端周縁に載せるようにし
たが、同プール5の中心部と周縁とに架け渡すように載
せた方が、水の流れの作用を受け易くなる。籠27は大
きな珠貝を所定の間隔を置いて配置する手段であり、網
目が粗いものを使用する。 【0029】上記のように構成されたシステムを用いた
真珠養殖方法について、図4のフローチャートを参照し
て説明する。まず、母貝育成過程(#1)においては、
稚貝が母貝に成長するまでの母貝育成期間中、稚貝は籠
26に所定の手順でセットされ、図3に示したように、
稚貝をセットした籠26を支持棒25によって稚貝育成
・仕立て用プール4内に垂下させ、母貝に成長させる。
この間、稚貝が酸欠によって被害を受けないよう、図2
に示すように、コンプレッサ20から送られてくる圧縮
空気によって空気供給用パイプ22から気泡を発生さ
せ、空気中の酸素を溶解させ、酸素を深層水に供給す
る。 【0030】次の仕立て作業過程(#2)においては、
稚貝育成・仕立て用プール4で所定の期間が経過して稚
貝から母貝まで成長すると、稚貝育成・仕立て用プール
4内の深層水にコンプレッサ20からの圧縮空気の供給
を断ち、深層水中の溶存酸素量を減少させると共に水の
流れを極端に遅くしてアコヤ貝の生態活動を鈍化させ、
いわゆる冬眠状態に入らせる。この過程は、挿核手術に
よる母貝のショック死を防止するために設けられてい
る。 【0031】挿核手術過程(#3)においては、ビニー
ルハウス23内の室温を稚貝育成・仕立て用プール4の
水温と同温度に維持して、稚貝育成・仕立て用プール4
から取出した母貝にピースを挿入する作業が稚貝育成・
仕立て用プール4外で行われる。稚貝育成・仕立て用プ
ール4から取出した母貝に急激な温度変化を与えないた
めに、室温を水温と同一温度に維持する必要がある。 【0032】養生過程(#4)においては、稚貝を入れ
る籠26の網目よりも粗い籠27内に挿核手術過程(#
3)を終えた母貝を入れ、再度、稚貝育成・仕立て用プ
ール4に支持棒25によって垂下させ、挿核手術後の母
貝の回復を図る。稚貝育成・仕立て用プール4の深層水
には緩やかな水流を生じさせておく。この養生過程で、
異常のない母貝のみが選別され、選別された母貝が珠貝
育成用プール5に、急激な温度変化を与えないように移
し変えられる。 【0033】珠貝生育過程(#5)においては、母貝を
育成して、母貝に真珠を生育させる過程である。養生過
程(#4)を終えた母貝を珠貝育成用プール5にピース
が挿入された母貝を所定の間隔おいて配置した籠27を
支持棒25により垂下させ、真珠を生育する。また、こ
の珠貝育成用プール5には、真珠貝の巻きを良くするた
めに、流速10〜20cm/秒の流れを形成させてい
る。さらに、この養育期間の長短によって真珠の大きさ
が異なり、大きい真珠を得たい場合には養育期間を長く
する。 【0034】最終の浜揚げ過程(#6)においては、珠
貝育成用プール5での母貝養殖期間が一定期間経過して
真珠の巻きが良くなった時に珠貝育成用プール5から取
り出し、母貝から真珠を採る。この浜揚げ過程を行う前
に低温の深層水を珠貝育成用プール5に加えて水温を低
下させ、真珠の表面の光沢が増し、色が白色系になって
きてから浜揚げを行う。これにより高品質な真珠を得る
ことができる。なお、図4では、稚貝育成用プールと仕
立て用プールとが別のものであるように記したが、これ
らプールは、本実施形態では図1に示したように、1つ
のプールで兼用している。 【0035】次に、飼育槽(上述の稚貝育成・仕立て用
プール4と珠貝育成用プール5とに相当)の他の実施形
態について、図5乃至図7を参照して説明する。図5、
図6は、飼育槽を段階状の水槽により構成した例を示
す。この水槽30は、上方から下方に向けて段階的に深
層水を流す槽31,32,33,34,35から成り、
深層水循環のために、吸入配管36、フイルタ37、ポ
ンプ38、吐出配管39を備えている。深層水を網掛け
で示している。珠貝40は籠(網又はネット)27に保
持させて移動を抑制する。 【0036】このような構成により、容易に深層水の潮
流を十分に得ることができる。貝の糞も下流に流れる。
図7は、図6の構成に加えて、深層水を各槽に個々に送
出するようにした例を示す。この飼育槽30において
は、分岐させた吐出配管39を各槽31,32,33,
34,35に臨ませ、各槽に対して深層水を噴出させる
ようにしている。これにより、潮流の勢いが強いものと
なり、深層水内に気泡を発生させることができる。な
お、飼育槽は、稚貝育成・仕立て用飼育槽と珠貝育成用
飼育槽とが別に設けられる構成の他に、1つの水槽で稚
貝育成・仕立て用飼育槽と珠貝育成用飼育槽の両方の機
能を奏するような構成としてもよい。 【0037】図8、図9は、飼育槽(稚貝育成・仕立て
用プール4と珠貝育成用プール5とに相当、特に後者)
のさらに他の実施形態による構成を示す。図8に示した
飼育槽51は、珠貝用の籠27が吊り下げ可能な放射状
に延びる支持バー53を中心軸周りに回転させるモータ
等の駆動機構52(駆動手段)を備えた水槽である。こ
のように珠貝を回転移動させることで、相対的に深層水
の水流を容易に得ることができ、前述の水槽内にジェッ
ト水流を流すものと同等の作用が得られる。図9に示し
た飼育槽51は、支持バー53の中心軸54に風車羽根
55を設けて、風力により回転駆動力を得る水槽であ
る。水槽は屋内に設けられ、風車羽根55は屋根を突き
抜けて屋外に設置される。この構成においては、省エネ
ルギーにて上記と同等の作用が得られる。 【0038】上述したような方法またそのシステムを採
用することにより、温度管理槽2、貯水槽3、稚貝育成
・仕立て用プール4及び珠貝育成用プール5などの各設
備はビニールハウスなどの建屋内に設置され、建屋内は
外気温による影響を防止すべく温度管理制御を行うこと
によって、プールから取り出した籠を別のプールに移し
替えても、アコヤ貝の生育適性環境を損なわず、高品質
な真珠を工業的に生産可能となる。 【0039】本発明は、上記実施形態の構成に限られる
ことなく種々の変形が可能である。例えば、複数列の水
槽を並列に配し、上記過程毎に稚貝あるいは母貝を移動
させるようにしてもよい。また、上記では主として、貯
水槽と飼育槽とを別の構成としたものを示したが、飼育
槽自体が貯水槽の機能をも兼ねるようにしてもよい。ま
た、母貝育成を水の流れのない稚貝育成用プールにて行
うものを示したが、母貝育成の後半では、緩やかな水流
のある状態としてもよい。また、潮流を生じさせる水槽
の形態としては、上記の他に、円盤形水槽を中央付近の
支点の回りに側面視で左右に交互に傾ける構成や、樋状
で上下方向に螺旋形に巻かれた水槽に上方から深層水を
流す構成であってもよい。 【0040】 【発明の効果】以上説明したように本発明の真珠養殖方
法及びシステムによれば、汲み上げた深層水で真珠を陸
上の一箇所の固定設備で行えるので、気象変動による影
響を受けず、泥土、赤潮、細菌および化学物質による汚
染にも影響されず、付着生物をも防止でき、かつ、漁場
移動に伴う輸送コストの削減が可能となり、工業的に高
い生産性をもって安価に良質な真珠を養殖することがで
きる。 【0041】また、深層水は一定温度であり、設備は固
定であることから、温度管理が容易となり、水温変動に
伴う種々の弊害を除去でき、仕立てや挿核時期が年中可
能となる。また、深層水の水流を生じさせていること
で、母貝から良好な真珠を生成させることが可能とな
り、さらに、深層水の成分変動が少なく、植物性プラン
クトンも豊富であり、塩分濃度の維持や飼料の確保もや
り易く温度管理のみの管理で済む。 【0042】また、真珠養殖システムにおける飼育槽
を、稚貝育成・仕立て用の飼育槽と珠貝生育用の飼育槽
とを別々に設けた場合には、真珠養殖過程で生育環境条
件が相違することがあっても容易に対処でき、かつ、異
なる養殖過程であっても貝を配置する手段を移動させる
だけで済み、また、両飼育槽が同一建屋内にあって、建
屋内を温度管理しておけば、飼育槽からの取出しによる
外気温との差がない故に温度の変動による悪影響も受け
ず、高品質な真珠を工業的に生産することが可能とな
る。 【0043】また、飼育槽内の深層水にエアレーション
手段で気泡を供給する構成とした場合には、飼育槽内の
深層水の溶存酸素量の不足を補い、アコヤ貝と真珠の健
全な育成が図れる。また、珠貝生育用の飼育槽に、円形
状の水槽が用いられることにより、水の流れを円滑に環
流させ真珠層の巻きを向上させることができ、高品質な
真珠を得ることができ、かつ、養生させる場合にも傷付
いたアコヤ貝の回復期間を早めることができる。さらに
は、飼育槽に水の流れを形成するよう深層水が貯水槽か
ら供給され続けることにより、真珠層の巻きが向上し、
良質な真珠を得ることができる。 【0044】また、飼育槽を階段状の水槽により構成
し、上方から下方に向けて段階的に深層水を流すことで
潮流を生じさせるものとしてもよい。これにより、深層
水の水流を十分に取ることができる。飼育槽は、稚貝育
成・仕立て用飼育槽と珠貝育成用飼育槽とを兼ねたもの
であっても別体のものであってもよい。さらには、飼育
槽に珠貝保持用部材を回転させる駆動手段を備え、珠貝
を回転移動させることで珠貝に相対潮流を生じさせるも
のとしてもよい。これにより、深層水を動かすことな
く、比較的簡単な構成で容易に珠貝に対する深層水の水
流を得ることができる。
【図面の簡単な説明】 【図1】 本発明の一実施形態による真珠養殖システム
の斜視図である。 【図2】 同真珠養殖システムのエアレーション手段の
側面図である。 【図3】 同真珠養殖システムのアコヤ貝の養殖状態を
示す正面図である。 【図4】 同真珠養殖養殖方法のフローチャート図であ
る。 【図5】 本発明の他の実施形態による真珠養殖システ
ムに用いられる飼育槽の斜視図である。 【図6】 同平面図である。 【図7】 さらに他の例による斜視図である。 【図8】 飼育槽のさらに他の実施形態による斜視図で
ある。 【図9】 さらに他の例による斜視図である。 【符号の説明】 1 真珠養殖システム 2 温度管理槽 3 貯水槽 4 稚貝育成・仕立て用(プール)飼育槽 5 珠貝育成用(プール)飼育槽 30 飼育槽 51 飼育槽 52 駆動機構(駆動手段)
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 昭63−317030(JP,A) 特開2000−4709(JP,A) 登録実用新案3049277(JP,U) 宮崎一老,二枚貝の養殖,いさな書 房,1957年 6月20日,107−112頁 (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) A01K 61/00 A01K 63/00 A01K 63/04 JICSTファイル(JOIS)

Claims (1)

  1. (57)【特許請求の範囲】 【請求項1】 汲み上げられた深層水をアコヤ貝の生育
    適性温度まで暖め、均一に暖まった深層水を供給した飼
    育槽でアコヤ貝の稚貝から母貝まで育成する母貝育成過
    程と、 前記母貝育成過程で成長した母貝を飼育槽内の水流を遅
    くして生態活動を鈍化させる仕立て作業過程と、 前記仕立て作業で生態活動が鈍化した母貝にピースを挿
    入する挿核手術過程と、 前記挿核手術過程でピースが挿入された母貝の回復を図
    る養生過程と、 前記養生過程を終えた母貝を水流を生じさせた飼育槽内
    に入れ、母貝から真珠を生育させる珠貝生育過程とを含
    み、 飼育槽でアコヤ貝の育成から真珠の生育までを一貫して
    行うことを特徴とする真珠養殖方法。
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