JPH07284355A - 養殖生簀のための海水濾過装置 - Google Patents

養殖生簀のための海水濾過装置

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Publication number
JPH07284355A
JPH07284355A JP6102087A JP10208794A JPH07284355A JP H07284355 A JPH07284355 A JP H07284355A JP 6102087 A JP6102087 A JP 6102087A JP 10208794 A JP10208794 A JP 10208794A JP H07284355 A JPH07284355 A JP H07284355A
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JP
Japan
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seawater
cage
layer
fish
main body
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Pending
Application number
JP6102087A
Other languages
English (en)
Inventor
Riichi Ogura
理一 小倉
Akira Kato
瞭 加藤
Shigeki Hata
茂喜 秦
Shinji Fujimoto
真二 藤本
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Molten Corp
Original Assignee
Molten Corp
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Filing date
Publication date
Application filed by Molten Corp filed Critical Molten Corp
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Abstract

(57)【要約】 (修正有) 【目的】 密閉空間とされた養殖生簀に清浄な海水を供
給する海水濾過装置を提供する。 【構成】 上面に取水口31が底面に海水導入口32が
設けられた枠体33内に、玉砂利層36、粒子の大きい
砂層37、粒子の小さい砂層38の順で積み重ねられ、
海水は水圧で下層から最上層表面へ浸透してくる。この
浸透途中で、動・植物プランクトン、雑菌類、海藻類の
胞子、貝殻の卵等の相当部分が除去される。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、魚類の飼育、育成に使
用する養殖生簀のための海水濾過装置に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、この種養殖生簀にあっては、図9
に示す構造のものが広く使用されている。図中1は四角
形に組み立てられた木製或いは鉄製のフレーム、2はこ
のフレーム1に固定されたフロート、3はフレーム1に
その上端が固定された魚網又は金網よりなる網で、海水
中に垂下、かつ張りわたされ、上方のみ開放され、側面
及び底面をおおっている。4,4─は網3の側面下端に
取りつけられた複数の沈子である。網3で囲まれた海水
領域に養殖魚が放たれ、飼育される。網3で囲まれた海
水領域は、網3外の領域と連続しており、海水は網3内
外を交流している。
【0003】このような構造の生簀では、生簀内に投下
された餌のうち、魚によって食べ残された餌が生簀底部
の網を抜けて海底へ落下し、堆積する。通常、養殖魚の
餌歩留まりは約50〜70%であり、約半分の餌が溶
解、懸濁を含めて無駄に消費される。海底に堆積した残
餌は、腐敗し海底付近の海水を汚しかつ酸素を消費し、
貧酸素或いは無酸素状態とし、底質環境を悪化させる。
長期間一定水域でこのような養殖を行うと水質悪化によ
る病気の多発、成長速度の遅延化等養殖効率の低下のみ
ならず、最悪の場合、養殖自体不可能になる場合もあ
る。また近時、かかる環境悪化は、生簀付近のみでな
く、周囲海域の環境にも悪影響を及ぼし、自然破壊とい
う問題をもひき越こしつつある。
【0004】また従来構造の生簀は、常時外界海水と交
流しており、かつ海水表面に設置されることが多いた
め、赤潮発生時その影響を回避することができない場
合、養殖魚に大きな被害を受けることが屡々あった。通
常赤潮は、昼間は海水面から下方約2m付近まで、夜間
は4〜10mまでに拡がって分布するが、従来の生簀は
この海面水域に設置されるので、直接被害を受けるので
ある。
【0005】このような問題を対処するため、外海との
海水交流をなくし、独立した環境で養殖を行うという提
案が、既に本発明者等によりなされている(例えば、特
願平5−92608号)。これは生簀を密閉空間とし、
外部より海水、空気、餌を供給し、生簀内に滞留した残
餌、魚の糞は回収し、内部海水を常に清浄に保つと同時
に周囲環境を汚染しない構成としたものである。
【0006】
【発明を解決しようとする課題】一般に海水中には、微
生物、海藻類等の海洋生物、動・植物プランクトン、種
々の雑菌、有機物等が多数含まれているため、上述の如
く密閉空間内で魚の養殖を行う場合、生簀を構成する隔
膜内面にそれらが付着、成長して生簀としての機能を損
なうという問題が発生する。例えば、密閉構造の生簀で
は、海水の供給、空気の供給、餌の供給さらに旋回流の
発生、残餌、糞の回収等を人為的に行う必要があるが、
フジツボ、海藻類に代表される上記海洋生物の生長はこ
れらの作業及び機能を防害或いは低下させるのである。
また雑菌類により魚の罹病率が上がり、養殖効率が低下
するおそれもある。
【0007】本発明は、このような事情に鑑みてなされ
たものであり、生簀内に清浄な海水を供給する濾過装置
を提供するものである。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明は、外部海水と遮
断された空間を有する養殖生簀内に濾過された清浄な海
水を供給する海水濾過装置であって、上面に取水口が底
面に海水導入口がそれぞれ設けられた枠体と、該枠体底
部に配設されたネット部と、該枠体内において上層にい
くにしたがって粒度の小さい粒子よりなる複数の濾材層
とを有するものである。
【0009】本発明においては、上記濾材層を形成する
粒子として砂及び玉砂利を使用することができる。
【0010】また本発明においては、上記枠体が、その
外側周囲にフロートが取りつけられて海面に浮上せしめ
られ、かつ濾材層表面が外海海水面より低い位置となる
よう上記フロートの浮力が調整されるものである。
【0011】
【作用】外部海水は、海水導入口より濾過装置内へ浸入
し、粒度の大きい濾材層から上層の粒度の小さい濾材層
へ移動し、濾材層表面へ浸透してくる。この浸透の間に
海水中に含まれて雑菌類、微生物、動・植物性プランク
トン海藻類の胞子、貝殻の卵、さらに塵芥等が相当の割
合で除去される。
【0012】
【実施例】以下、海水面に浮揚静止せしめられ、内部に
海水がみたされる生簀について実施例を説明する。図1
及び図2において、1は、外形が多面体、本例の場合2
6面体に形成された生簀本体で、多面体の辺の部分が、
鉄、ステンレス等の金属又は繊維強化プラスチック等の
硬質樹脂よりなるフレーム2にて形成される。フレーム
2を鉄で形成する場合、防錆塗装が施される。多面体の
面の部分は軟質可撓性樹脂よりなる隔膜3にて形成され
る。フレーム2は、断面くの字形又は円形とし、これに
ネジ止めされた金属板又は樹脂板との間に隔膜3が狭持
される。
【0013】この生簀本体1の頂部には、金属製又は樹
脂製の塔部4が形成されており、この塔部4に後述する
各種パイプが固定される。塔部4は、上面を閉鎖され、
下端が生簀本体1に固定されて、生簀本体1の密閉構造
を維持する。塔部4の側壁は、2重構造とされ、壁面間
に円輪状のフロート室5が形成される。このフロート室
5は、バルブ6を介して外部空間に連通しており、外部
より図示しないポンプにより海水の供給、排出が可能で
ある。即ち、このフロート室5内の海水量即ち空気量を
増減することにより、生簀本体1の浮力が可変調整され
る。フロート室5は塔部4の側面に配置されることによ
り、塔部4を生簀の頂部に位置させるべく、その姿勢を
保つ作用もなす。
【0014】7は、この塔部4の側面中間位置に、その
2重壁を貫通して形成された通水孔であり、生簀内部の
海水及び空気を外部へ排出するための通水及び通気手段
として作用する。生簀内には、後述する如く、海水、空
気が常時連続して供給されるから、この通水孔7を介し
て余剰の海水及び空気は常時外部へ放出される。それ
故、この通水孔7から外界の海水が生簀本体1内へ逆流
することはなく、通水孔7の存在にもかかわらず生簀内
は外部と遮断された空間が保持されるのである。通水孔
7は、高さ約2mの塔部4の側面中間部分例えば約1m
の高さに形成される。こうすると、この通水孔7より上
方の塔部4部分が空気領域8となり、生簀内海面Wは、
この通水孔7のレベル以上には上昇しない。ここで生簀
本体1の大きさにつき一例をあげると、多面体の最大径
約10m、その容量約520m3、塔部4の直径約4.5
m、フロート室5の容量約18m3、通水孔7の直径約2
0cmとすることができる。
【0015】隔膜3を形成する軟質可撓性樹脂として
は、ナイロン繊維、ポリエステル繊維、アラミド繊維等
の織布を基布として、その両面に軟質塩化ビニル樹脂を
被覆した約1mm厚の可撓性樹脂膜を使用することができ
る。この隔膜3の厚さは、約1ないし3mmの範囲とする
ことができる。隔膜3の材料としては、上記樹脂のほか
上記織布で補強したポリウレタン樹脂、飽和ポリエステ
ル樹脂、ナイロン樹脂、ポリ酢酸ビニル樹脂等が使用で
きる。この隔膜4表面は、海藻、貝殻類、海洋生物の付
着を抑制するために、シリコーン被膜又はテフロン被膜
にて覆うことができる。これら隔膜3の縁部は、フレー
ム2に固着され、それ故生簀本体1内部と外部空間との
海水の交流は阻止される。隔膜3は、フレーム2に若干
の弛みをもって張りわたされる。それ故この隔膜3は潮
流或いは波浪により揺動する。またこの隔膜3は、着色
する等して遮光性をもたせることが望ましい。通常マダ
イ等の魚は水深約50m付近に棲息しており、この領域
には日光は届かない。このような魚を海面下数mの領域
で養殖すると所謂日焼けをおこし、魚の色合いが天然魚
と異なったものになるからである。
【0016】生簀本体1には、海水が満たされ、海水領
域9とその上方に空気領域8が形成される。海水領域9
の海水面Wは、通水孔7の位置に一致する。即ち通水孔
7のレベルまで達した海水は、この通水孔7より外部へ
排水されるから、海水領域9のレベルWは一定に保た
れ、その上部の空気領域8の空気量も一定となる。尚、
図示の例は、海水面Wと、外部海水面wと一致している
例を示す。海水領域9に養殖魚10,10─が放たれ、
飼育される。11,11─はフレーム2に鎖12を介し
て連結された固定シンカーで、生簀本体1を所定海域に
固定しておくものである。13,13─は、鎖12の途
中に連結された中間シンカーで、生簀本体1に沈降力を
与えるものである。生簀本体1には、塔部4内の空気に
よる一定の浮力と、フロート室5による浮力が与えら
れ、一方中間シンカー13,13─と生簀本体1自身の
重量により沈降力が与えられる。フロート室5の海水量
をバルブ6を介して接続されたポンプ(図示せず)によ
り増減することにより、浮力を増減すれば、生簀本体1
は、海面及び海底間の任意の場所に浮遊静止させること
ができる。
【0017】図3は、フロート室5の空気量を増し、生
簀本体1を浮上した状態を示す。浮上状態は、通常使用
状態である。図4は、フロート室5に海水を導入し、浮
力を減少させ、沈潜状態とした例を示す。かかる状態
は、台風到来時において、緊急避難した状態である。1
4は、各種パイプ類を配設する浮桟橋であり、パイプ類
Pの中間部分は可撓性パイプにて形成されている。
【0018】図1及び図2にもどって説明すると、生簀
本体1は、浮桟橋14の一端に係留され、浮桟橋14の
他端に配設したコントロールバージ15により管理、制
御される。コントロールバージ15上には、海水供給手
段16、オゾン供給手段17、空気供給手段18、給餌
手段19、残餌及び糞回収手段20の主要部が配置され
る。
【0019】給餌手段19により、コントロールバージ
15において、配合調整されたペレット状の固形餌2
1,21─は、海水に分散された状態で給餌パイプ22
を介して生簀本体1内へ導入され、投下される。海水領
域9に投下された餌21,21─は、海水中を自重によ
り沈降し、その間に魚10によって食べられる。
【0020】海水供給手段16は、図5に示すように海
水濾過装置23と、この濾過装置23を海面上に浮遊静
止させるフロート24と、濾過された海水を汲み上げる
ポンプ25と、汲み上げられた海水を生簀本体1に送出
する海水供給ポンプ26よりなる。この海水供給パイプ
26は、二手に分割され、一方は、バルブ27を介し
て、残餌及び糞回収手段20の流水として使用される回
収パイプ28へ、また他方は、生簀本体1内へ海水を供
給する海水供給パイプ29へ接続される。海水供給パイ
プ29は、生簀本体1の側面より生簀本体1内に導入さ
れ、その先端は生簀本体1内壁に沿って屈曲され、生簀
本体1底部まで達せしめられる。この海水供給パイプ2
9の生簀本体1内部分には、多数の小孔30,30─が
所定位置に形成されており、それ故海水は、この小孔3
0,30─から常時連続して矢印a方向に吹き出し、生
簀本体1内の海水に一定方向の旋回流aを発生させる。
この旋回流aを伴う清浄な海水の供給は、常時なされ、
余剰の海水は、通水孔7より外部へ排出される。旋回流
の発生により養殖魚10は一定方向へ回遊することとな
り、互いにぶつかり合うことは少なくなり、空間効率が
増し、単位容積中の魚の密度を上げることができる。ま
た魚に運動させることにより病気が少なくなり、また肉
がしまって味がよくなる。
【0021】濾過装置23は、上面に取水口31が底面
に海水導入口32が設けられた筒状枠体33と、この枠
体33内に層状に濾材を充填して形成された濾過層34
よりなる。濾過層34は、底部に設けたネット35上に
直径2〜4mmの玉砂利を厚さ約20cmに敷きつめた玉砂
利層36、この玉砂利層36上の粒度の粗い厚さ約30
cmの硅砂層37、さらにこの硅砂層37上に粒度の小さ
い厚さ約30cmのアンスラサイト層38の3層を積み重
ねて形成される。この枠体33はフロート24により、
アンスラサイト層38の表面が海水面wより低い位置に
なるよう浮力調整されており、従って海水は、底面のネ
ット35を通り、玉砂利層36、硅砂層37及びアンス
ラサイト層38を通過してアンスラサイト層38上へ浸
透して来、その清浄海水面wは、外部の海水面wと一致
する。この濾過された海水がポンプ25にて汲み上げら
れる。39は、フロート24の浮力を調整するためのポ
ンプで、フロート24内の海水を給排水する。
【0022】上記構造の濾過装置23により海水に含ま
れるプランクトン類の除去率は、実験によれば約40%
であった。残り約60%のプランクトン類は、生簀本体
1内へ流入してくることとなるが、生簀本体1が外光に
対し閉鎖型であるため、内部での光合成が困難である。
それ故、植物性プランクトンは死滅、捕食者である動物
性プランクトンも生存できなくなる。このため、生簀内
では、プランクトン類は生存できず、同様に光合成によ
り生育する藻類も生育できない。また、フジツボ類につ
いては、濾過により大部分の胞子が除去されると考えら
れる。しかしながら多少生簀本体1内に流入したとして
も、捕食すべきプランクトンが存在しないために生存は
困難であり、生簀本体1内壁への生物付着の可能性は極
めて低いと推定される。
【0023】かかる構造の濾過装置23は、定期的に濾
過層34を洗浄する必要があるが、この場合取水口31
から海水を流し込み、濾過層34内を逆流させることに
より層内の滞留物、付着物を海水導入口32より外部へ
流出させることができる。この濾過装置23は、コント
ロールバージ15に隣接して配置される。
【0024】上記構造の濾過装置23においては、海面
下数mの表層水を汲み上げて使用する場合につき説明し
たが、この汲み上げる海水は、海面下約15m以上の深
さの中層海水或いは深層海水を利用する方が望ましい。
この場合海水導入口32には、10数mに長さのパイプ
が連結される。特に海面下約15m付近の海水である中
層水は、夏期は海面水温より2〜3℃低く、また冬期に
は逆に海面水温より2〜3℃高く、四季を通じて約13
〜25℃の温度で安定している。かかる温度水域は魚の
養殖に最適である。変温動物である魚類の養殖において
は、水温はその生産性に重大な影響を及ぼす要素であ
り、例えば水温が低くなると活発さを失い、餌も食べず
成長が鈍化し、同様に水温が高すぎても餌を食べない。
特に水温が約30℃を越えると病気が発生し易くなると
いう問題がある。また中層水は、赤潮発生時にもその影
響を受けず、汚染されない、きれいな状態に保たれると
いう利点がある。このような事情から中層水は魚の養殖
に適した海水といえるのである。
【0025】回収パイプ28を介して供給された海水
は、図6に示すように生簀本体1の外壁に沿って、生簀
本体1底部に導かれ、パイプ先端に設けたノズル40よ
り勢いよく噴出せしめられる。ノズル40の対向面には
近接して他の回収パイプ41の開口部42が配置せしめ
られており、従ってノズル40から噴出した海水は、他
の回収パイプ41の下端開口部42に勢いよく注ぎ込ま
れる。生簀本体1底部に溜まった魚の糞、残餌は、ノズ
ル40から噴出する海水に巻き込まれて、矢印bで示す
如く回収パイプ41に吹き込まれる。回収物が糞であれ
ば、バルブ43を閉じ、バルブ48を開いて海水ととも
に回収し、また回収物が残餌であればバルブ48を閉
じ、バルブ43を開くことにより、塔部4より生簀本体
1内へ再度落下させる。このようにして残餌は回収と再
供給を数回繰返して行うことができる。
【0026】糞の回収と残餌の回収、再供給は同一の回
収パイプ28,41にて行われるから、実施時刻を分け
る必要がある。給餌は、通常1日1〜2回行われるか
ら、糞の回収は、その直前に行われることとなる。まず
糞を回収した後、給餌作業を行い、一定量の餌の供給が
なされた後は、数回餌の回収、再供給を繰り返すのであ
る。ノズル40からの海水噴出力は、海水が回収パイプ
41中を上昇し、再度生簀本体1塔部4より流下せしめ
られるようその強さが設定される。尚、回収パイプ41
下端の開口部42に魚が吸い込まれないよう、開口部4
2の上方位置に糞、残餌のみを通過させる金属製の網4
4を張っておくことが望ましい。
【0027】空気供給手段18は、コントロールバージ
15上に設置されたエアポンプ(図示せず)にて構成さ
れ、これより送出される空気は、空気供給パイプ45を
介して生簀本体1の底部より生簀本体1内に放出せしめ
られる。空気供給パイプ45の生簀側先端にはスポンジ
等の多孔質物質46が取りつけられ、これにより空気は
微小気泡となって海水中に放出され、酸素が海水に溶存
せしめられる。尚、上記スポンジ等の多孔質物質46に
代えて、微小孔を多数形成した散気管を使用してもよ
い。生簀内への空気供給は常時連続して行われる。
【0028】オゾン供給手段17は、海水供給パイプ2
9を流れる清浄な海水にオゾンを供給し、海水の殺菌を
行うものである。オゾンを含む海水は、この海水供給パ
イプ29を通って、生簀本体1内へ供給される。
【0029】通常多くの有機物、殺菌及びバクテリアを
含む海水中では、オゾンは複雑な反応をする。投入され
たオゾンは約2〜2.5時間後には殆ど全てが臭素と反応
して臭素酸(オキシダント)に変わる。この臭素酸は更
にアンモニア、有機物と反応する。臭素酸がアンモニア
と反応して無害な窒素を生成することは、この種密閉構
造の生簀には、極めて有益である。すなわち養殖魚の尿
には魚に有害なアンモニアが含まれ、これを放置してお
くと、魚類の生育を妨げ、最悪の場合死に到らしめるこ
とも起こり得るからである。生簀内の海水内に送り込ま
れたオゾンは、下記の反応式で示されるように海水中の
臭素と反応して臭素酸を生成し、さらにアンモニアと反
応して窒素に変換され、かくして海水中の有害物質は除
去されるのである。
【0030】
【化1】
【0031】実験によれば、アンモニア27mg/リット
ルを分解するのに要したオゾン量は、 145mg/リットル
であり、その比は約5倍であった。上記反応式によれ
ば、アンモニア1mg/リットルを分解するに要するオゾ
ン量は5.14mg/リットルと計算される。これは、上記実
験結果と略同一の値である。これより生簀本体内で養殖
されている魚の大きさ、数よりその尿に含まれるアンモ
ニアの量を算出し、その約5倍のオゾンを海水中に供給
すればよいことになる。実験によれば、海水交換量1日
約1/2とした密閉生簀(容積500m3)にて、フグ1
5,000kgを飼育した場合、アンモニアの排出量は約250g
/日(濃度約0.5ppm/日)であった。従って、約1,250g
/日のオゾン投与があれば毒性のあるアンモニアを無害
化できることとなる。これは、1時間当たり約52gの
オゾン量となり、その濃度は約0.1ppmである。それ故上
記養殖環境では、0.1ppm/時の発生能力をもつオゾン発
生装置を準備すればよいこととなる。オゾンは、約2〜
2.5時間後に臭素酸に変わるが、実験では0.1ppm濃度の
臭素酸は約1時間で全量窒素に変換された。それ故オゾ
ンを約0.1ppm/時連続して供給すれば、海水中には常に
約0.1ppmの臭素酸が存在することとなる。尚、この程度
の臭素酸では養殖魚に害を与えることはない。自然海水
中には、上記反応に十分な量の天然臭素が含まれている
ため(約60mg/リットル) 、外部から臭素を投入する必
要はない。
【0032】海水に投与されるオゾンの量は、前述のよ
うに養殖魚が排泄する尿に含まれるアンモニアの量の約
5倍が望ましい。これより少ないと、すべてのアンモニ
アを窒素に変化できず、アンモニアが海水中に残留する
から、その毒性は完全には解消されず、逆に約5倍を越
えて投入されると全てのアンモニアを窒素に変換した後
にも臭素酸は残り、これは魚にとって有毒だからであ
る。
【0033】上記実施例にあっては、生簀本体1の形状
として26面体を採用した場合につき説明した。これは
8個の4角形と16個の台形と2個の8角形とで構成さ
れる。通常台形を含む4角形は、製造がし易く、かつユ
ニット化し易いためにこれらを多く含み、かつ海水中で
均等な強度が得られる球体に近い構造として、上記26
面体が採用された。しかしながら、海水中において、水
圧、波浪に関し全面にわたって均等な強度を得ようとす
れば、球体に近い他の多面体も採用可能であり、数学上
の多面体例えば正12面体、正20面体、準正26面
体、準正32面体、準正38面体、準正62面体、準正
92面体等が使用でき、このほか数学上定義される他面
体以外の多面体も使用可能である。前述の実施例の如
く、これらの多面体の辺の部分には直線状の金属製パイ
プ等がフレームとして使用され、これらが連結、組合わ
されて全体のフレームが形成され、かつフレームで囲ま
れる多面体の面の部分に軟質樹脂膜が隔壁として張りわ
たされる。また上記実施例では、海水面に配置され、海
水が充填される生簀につき説明したが、湖等の淡水面に
浮遊静止させ、淡水を満たして淡水魚の養殖に使用する
こともできる。それ故、海洋に比べて汚染され易い湖に
おいても、周囲水域を汚染することなく生簀による魚の
養殖が可能となる。また生簀を海水面に浮遊させ、内部
に淡水を満たして淡水魚の養殖を行うことも可能であ
る。
【0034】図7は、1基のコントロールバージ15を
中心に8個の生簀本体1,1─を放射状に配列した構造
を示し、コントロールバージ15と各生簀本体1,1─
は、浮桟橋14,14─により連結されている。給餌手
段、海水供給手段、空気供給手段は、コントロールバー
ジ15上に配列され、すべての生簀本体1,1─にそれ
ぞれ餌、海水、空気を供給する。尚、図中パイプ類は省
略してある。図8に示す例は、中央にコントロールバー
ジ15配され、その左右に直線状に浮桟橋14,14が
張りわたされて、その上下に合計8個の生簀本体1,1
─が連結された構造を示す。この場合も、各々の生簀本
体1,1─の制御は、コントロールバージ15にて行わ
れる。コントロールバージ15において各制御手段を駆
動する動力源として太陽光発電、風力発電等の利用も可
能である。このような複数の生簀本体1,1─を連結し
た場合、隣接する生簀本体1,1─は、互いに接触し合
わない程度に近接配置せしめられる。即ち従来の外界と
海水が交流する構造の生簀では、生簀周囲の海水汚染を
考慮して相当間隔離間せしめられなければならず、全体
として広い面積の海面を使用する必要があったが、上記
構造によれば、前述のような問題が生じるおそれはない
から、生簀を高密度で配置でき、その結果全体が占める
海面領域も最小限のものとすることができる。容積約 5
00m3の開放型生簀(従来例)と、密閉型生簀(実施例)
を比較すると、密閉型生簀は、従来の1/3の海水面で
足りると推定される。
【0035】
【発明の効果】本発明によれば、海水中に含まれる微生
物、海藻類等の海洋生物、動・植物プランクトン、種々
の雑菌等を相当割合除去した清浄な海水が得られる。か
かる清浄な海水は、外部と遮断された空間を有する生簀
に供給されて、生簀内での海洋生物の生育を抑制し、し
たがってこれらが生簀としての機能を阻害することはな
く、生簀としての耐久性を向上させることができる。
【0036】また本発明によれば、生簀内に海水ととも
に導入される病原菌も少なくなるから、魚の罹病率も低
下する。その結果単位容積当たりの魚の飼育数の向上と
相俟って、魚の養殖効率を格段に向上させることができ
る。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明実施例に係る養殖生簀の概略を示す構成
図である。
【図2】同例養殖生簀の断面図である。
【図3】同例養殖生簀の通常使用状態を示す正面図であ
る。
【図4】同例養殖生簀の避難状態を示す正面図である。
【図5】濾過装置を示す断面図である。
【図6】生簀本体の一部を示す断面図である。
【図7】同例養殖生簀を複数放射状に配置連結した状態
を示す平面図である。
【図8】同例養殖生簀を複数平行に配置、連結した状態
を示す平面図である。
【図9】従来例に係る養殖生簀を示す斜視図である。
【符号の説明】
1 生簀本体 2 フレーム 3 隔膜 4 塔部 5 フロート室 7 通水孔 11 固定シンカー 13 中間シンカー 14 浮桟橋 15 コントロールバージ 16 海水供給手段 17 オゾン供給手段 18 空気供給手段 19 給餌手段 20 残餌及び糞回収手段 23 濾過装置
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 B01D 35/027

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 外部海水と遮断された空間を有する養殖
    生簀内に濾過された清浄な海水を供給する海水濾過装置
    であって、上面に取水口が底面に海水導入口がそれぞれ
    設けられた枠体と、該枠体底部に配設されたネット部
    と、該枠体内において上層にいくにしたがって粒度の小
    さい粒子よりなる複数の濾材層とを有することを特徴と
    する養殖生簀のための海水濾過装置
  2. 【請求項2】 上記濾材層を形成する粒子が砂及び玉砂
    利であることを特徴とする請求項1の養殖生簀のための
    海水濾過装置
  3. 【請求項3】 上記枠体は、その外側周囲にフロートが
    取りつけられて海面に浮上せしめられ、かつ濾材層表面
    が、外界海水面より低い位置となるよう上記フロートの
    浮力が調整せしめられてなることを特徴とする請求項1
    又は2の養殖生簀のための海水濾過装置
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