JP3532702B2 - 微細セルロース含有野菜ジュース - Google Patents
微細セルロース含有野菜ジュースInfo
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Description
含有する野菜ジュースに関する。即ち、本発明の微細セ
ルロース含有野菜ジュースは、微細セルロースを含有す
ることにより、野菜ジュースに含まれるパルプ分等の不
溶性成分の沈降が抑制され、分散安定性が著しく高いこ
とが特徴である。 【0002】 【従来の技術】人参ジュースなどの野菜ジュースを店頭
で観察すると、パルプ分等の不溶性成分が沈降している
のが常であり、外観上良くないとともに、均質にしよう
とすると飲む前に強く振る必要があるなど、商品価値を
著しく下げている。パルプ分の沈降を防止するために、
特開平6−189724号公報では、特定のプロピレン
グリコールアルギン酸エステルおよびナトリウムカルボ
キシメチルセルロースを配合することが記載されてい
る。しかし、これらの水溶性高分子を配合してもパルプ
分の沈降防止効果は十分ではなかった。 【0003】また、特開平5−336936号公報に
は、人参ジュースにセルロースを配合する例が記載され
ているが、セルロースの物性について何も記載が無く、
また、パルプ等の不溶性成分の沈降防止に関しても何も
記載がない。 【0004】 【発明が解決しようとする課題】本発明は、人参ジュー
スなどの野菜ジュースにおいて、人参ジュースなどに含
まれるパルプ分等の不溶性成分の沈降が抑制され、分散
安定性が著しく高い野菜ジュースを提供することを目的
とする。 【0005】 【課題を解決するための手段】本発明は、平均粒径20
μm以下の微細セルロースを含有することを特徴とする
微細セルロース含有野菜ジュースに関する。以下、詳細
に本発明を説明する。本発明で言う野菜ジュースとは、
原料として、人参、セロリ、パセリ、レタス、ホウレン
草、アスパラガス、キャベツ、トマト等を使用するもの
で、常法により原料を搾汁するなどして得られるもので
ある。また、これらの2種以上を混合したミックスジュ
ースであっても良い。特に人参汁を含有する場合は、不
溶性成分の沈降が甚だしいので、本発明の効果が著し
い。必要に応じて、食塩、糖類、香辛料、レモン等の果
汁、キサンタンガム、カラヤガム、カラギーナン、CM
C−Na等の増粘多糖類等を添加しても良い。 【0006】本発明に使用する微細セルロースは、水中
で適度に攪拌して分散させたときの平均粒径が20μm
以下である。このときの粒度分布における10μm以上
の留分は70%以下であることが好ましい。好ましくは
平均粒径が12μm以下であって、10μm以上の留分
が60%以下である。さらに好ましくは平均粒径が8μ
m以下であって、10μm以上の留分が40%以下であ
る。特に好ましくは平均粒径が4μm以下であって、1
0μm以上の留分が10%以下である。平均粒径が20
μmを超えると、パルプ等の沈降防止は難しくなる。平
均粒径が小さいほど沈降防止効果は大きくなるが、その
下限は、磨砕、粉砕の技術及び装置により自ずから限度
があり、現在のところは通常0.05μm程度と考えら
れる。 【0007】本発明に使用する微細セルロースを具体的
に説明すると、木材パルプ、精製リンター、再生セルロ
ース、穀物又は果実由来の植物繊維等のセルロース系素
材を酸加水分解、アルカリ酸化分解、酵素分解、スチー
ムエクスプロージョン分解等、あるいはそれらの組み合
わせにより解重合処理して平均重合度30〜375と
し、次いで、必要に応じてキサンタンガム、カラヤガ
ム、カラギーナン、CMC−Na等の増粘多糖類等を添
加して、機械的なシェアをかけて磨砕し、必要に応じて
乾燥することによって得ることができる。あるいはセル
ロース系素材を化学的処理を施さずに、機械的なシェア
をかけ湿式磨砕することによって得ることができる微小
繊維状セルロースであっても良い。 【0008】湿式磨砕機械は、系に存在する水分量、セ
ルロースの微細化の程度により自由に選択される。例え
ば、平均粒径が8μm以下の微細セルロースを得るよう
な充分な機械的シェアーをかける場合は、媒体攪拌ミル
類、例えば、湿式振動ミル、湿式遊星振動ミル、湿式ボ
ールミル、湿式ロールミル、湿式コボールミル、湿式ビ
ーズミル、湿式ペイントシェーカー等の他、高圧ホモジ
ナイザー等がある。高圧ホモジナイザーとしては、約5
00kg/cm2 以上の高圧で、スラリーを微細オリフ
ィスに導き高流速で対面衝突させるタイプが効果的であ
る。これらのミルを使用した場合の最適磨砕濃度は機種
により異なるが、概ね、3〜15重量%程度の固形分濃
度が適している。また、平均粒径が5〜20μmの微細
セルロースを得るような機械的シェアーをかける場合に
おいて、スラリー様の系ではコロイドミル、連続式ボー
ルミル、ホモジナイザーなどの磨砕機が使用できるし、
それより水分の少ないケーク状のものを磨砕するには、
ニーダー、ライカイ機、押出機などが使用できる。ま
た、微小繊維状セルロースは、セルロース系素材懸濁液
を高圧ホモジナイザーで200kg/cm2 以上の圧力
で数回パスして、繊維径を約0.01〜1μmにまでバ
ラバラにすることで得られる。あるいは、セルロース系
素材懸濁液を媒体攪拌ミル類で数回処理することによっ
て得られる。 【0009】本発明の目的のためにはこれらの機種を単
独で用いることもできるが、二種以上の機種を組み合わ
せて用いることも出来る。これらの機種は、種々の用途
における粘性要求等により適宜選択すれば良い。それら
の製造法の例としては、特公昭40−12174号公
報、及び特公昭57−14771号公報、特開平7−2
68129号公報、特開昭56−100801号公報、
特開平3ー163135号公報等に記載がある。 【0010】微細セルロースの添加量は、野菜ジュース
に対して固形分換算で0.05〜3.0重量%が好まし
い。0.05重量%未満では効果が必ずしも十分とはい
えず、また、3.0重量%を超えると増粘により喉越し
が悪くなる場合がある。特に好ましくは0.1〜1.0
重量%である。さらに好ましくは0.1〜0.5重量%
である。 【0011】微細セルロースを野菜ジュースに添加する
方法は特に制限はない。例えば、予め作成した野菜ジュ
ースに、微細セルロースを分散した懸濁液を混合する方
法でも良いし、野菜ジュースを作成する際に、微細セル
ロースを添加して攪拌する方法でも良い。 【0012】 【発明の実施の形態】次に、実施例によって本発明をさ
らに具体的に説明する。なお、測定は以下のとおり行っ
た。 <平均粒径、10μm以上の粒子の割合> (1)サンプルを固形分で3.0gを、蒸留水を入れた
エースホモジナイザー(日本精機製AM−T)に入れ全
量を300gとする。 (2)15000rpmで5分間分散する。 (3)堀場レーザー回折式粒度分布測定装置(LA−5
00)を用いて粒度分布を測定する。平均粒径は積算体
積50%の粒径であり、10μm以上の粒子の割合は体
積分布における割合(%)で表す。 【0013】 【実施例1】まず、特開平3−163135号公報に準
じて、微細セルロースのペースト状物を作成した。市販
DPパルプを裁断後、7%塩酸中で105℃で20分間
加水分解して得られた酸不溶性残渣をろ過、洗浄した
後、固形分10%のセルロース分散液を調製した。この
加水分解セルロースの平均粒径は25μmであった。こ
のセルロース分散液を媒体撹拌湿式粉砕装置(コトブキ
技研工業株式会社製アペックスミル、AM−1型)で、
媒体として直径1mmφのジルコニアビーズを用いて、
撹拌翼回転数1800rpm、セルロース分散液の供給
量0.4l/minの条件で、2回通過で粉砕処理を行
い、微細セルロースAのペースト状物を得た。この微細
セルロースAの平均粒径は3.1μmで、10μm以上
の粒子の割合は2.8%であった。 【0014】市販人参ジュース(カゴメ(株)製)28
7g、微細セルロースAペースト状物13g(微細セル
ロース固形分としては1.3g、ジュース中では0.4
3%)を秤り取り、エースホモジナイザーを用いて50
00rpmで2分間攪拌して、人参ジュースを得た。2
日間冷蔵保存したが、パルプ分の沈降はなく、安定な分
散状態を示した。 【0015】 【実施例2】まず、特開平7−268129号公報、実
施例5に準じて、微細セルロースの複合体を作成した。
実施例1の微細セルロースAと、キサンタンガム、澱粉
加水分解物を配合組成がそれぞれ固形分比で75/5/
20とした総固形分濃度が8.0%の分散液を調整し
た。次にこのペースト状組成物をドラムドライヤー(株
式会社楠木機械製作所製KDD−1型)で、ドラムの表
面を食品用シリコーン離型剤で処理した後、水蒸気圧力
1.2Kg/cm2 、回転数1.0rpmで乾燥して微
細セルロース複合体Bを得た。得られた複合体を水に再
分散した時、平均粒径は2.8μmで、10μm以上の
粒子の割合は1.0%であった。 【0016】微細セルロース複合体B25gに蒸留水4
75gを加え、TKホモミキサー(特殊機化工業製)を
用い、10000rpmで5分間攪拌混合した。この混
合液12g(微細セルロース固形分として0.45g、
ジュース中では0.15%)、実施例1で用いた市販の
人参ジュース288gを秤り取り、エースホモジナイザ
ーを用いて5000rpmで2分間攪拌して、人参ジュ
ースを得た。 【0017】2日間冷蔵保存したが、パルプ分の沈降は
なく、安定な分散状態を示した。 【0018】 【実施例3】まず、特公昭57−14771号公報に準
じて、微細セルロースの複合体を作成した。まず、実施
例1と同様に、市販DPパルプを裁断後、7%塩酸中で
105℃で20分間加水分解して得られた酸不溶性残渣
をろ過、洗浄し、加水分解セルロースのウェットケーク
を得た。次に、この加水分解セルロースと、カラギーナ
ン、澱粉加水分解物を配合組成がそれぞれ固形分比で6
0/10/30として、ニーダーを用いて2時間磨砕混
練した。続いて、オーブンで乾燥した後、粉砕して、微
細セルロース複合体Cを得た。得られた複合体を水に再
分散した時、平均粒径は8.7μmで、10μm以上の
粒子の割合は45%であった。 【0019】微細セルロース複合体C25gに蒸留水4
75gを加え、TKホモミキサー(特殊機化工業製)を
用い、10000rpmで5分間攪拌混合した。この混
合液40g(微細セルロース固形分として1.2g、ジ
ュース中では0.4%)、実施例1で用いた市販の人参
ジュース160g及び市販野菜ジュース(カゴメ(株)
製)100gを秤り取り、エースホモジナイザーを用い
て5000rpmで2分間攪拌して、人参を含有する野
菜ジュースを得た。 【0020】2日間冷蔵保存したが、パルプ分の沈降は
なく、安定な分散状態を示した。 【0021】 【比較例1】市販人参ジュース300gのみを用いて、
実施例1と同条件で攪拌した。この人参ジュースは、冷
蔵保存の結果、1日未満でパルプ分と思われる沈降が発
生した。 【0022】 【比較例2】実施例1の中間工程で得られた平均粒径2
5μmの加水分解セルロースを用いて、実施例1と同様
に操作して、加水分解セルロース含有人参ジュースを作
成した。この人参ジュースは、冷蔵保存の結果、1日未
満でパルプ分および加水分解セルロースと思われる沈降
が発生した。 【0023】 【発明の効果】本発明の微細セルロース含有野菜ジュー
スは、分散安定性機能に優れる微細セルロースを含有す
ることにより、人参ジュースなどの野菜ジュースに含ま
れるパルプ分等の不溶性成分の沈降が抑制され、分散安
定性が著しく高い。
Claims (1)
- (57)【特許請求の範囲】 【請求項1】 平均粒径20μm以下の微細セルロース
を含有することを特徴とする微細セルロース含有野菜ジ
ュース。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP18599596A JP3532702B2 (ja) | 1996-07-16 | 1996-07-16 | 微細セルロース含有野菜ジュース |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP18599596A JP3532702B2 (ja) | 1996-07-16 | 1996-07-16 | 微細セルロース含有野菜ジュース |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH1028565A JPH1028565A (ja) | 1998-02-03 |
JP3532702B2 true JP3532702B2 (ja) | 2004-05-31 |
Family
ID=16180533
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP18599596A Expired - Lifetime JP3532702B2 (ja) | 1996-07-16 | 1996-07-16 | 微細セルロース含有野菜ジュース |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP3532702B2 (ja) |
Families Citing this family (4)
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---|---|---|---|---|
JP3710285B2 (ja) * | 1998-04-24 | 2005-10-26 | カゴメ株式会社 | 甘藷ジュース含有飲料の製造方法 |
JP4861443B2 (ja) * | 2009-03-13 | 2012-01-25 | 株式会社 伊藤園 | 野菜汁及び果汁入り炭酸飲料、野菜汁及び果汁入り容器詰炭酸飲料、野菜汁及び果汁入り炭酸飲料の製造方法、並びに野菜汁及び果汁入り炭酸飲料における沈殿抑制方法 |
JP2012125179A (ja) * | 2010-12-15 | 2012-07-05 | Kao Corp | 野菜汁及び/又は果汁の製造方法 |
JP6721227B2 (ja) | 2018-06-08 | 2020-07-08 | 株式会社Mizkan Holdings | 微粒子複合体含有油脂組成物及びその製造法 |
-
1996
- 1996-07-16 JP JP18599596A patent/JP3532702B2/ja not_active Expired - Lifetime
Also Published As
Publication number | Publication date |
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JPH1028565A (ja) | 1998-02-03 |
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