JP3528977B2 - シアノエチル化セラミックス粒子およびこれを用いたセラミックス含有繊維とその製造方法 - Google Patents

シアノエチル化セラミックス粒子およびこれを用いたセラミックス含有繊維とその製造方法

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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、溶剤あるいは有機高分
子への分散性、および有機高分子との密着性に優れ、有
機高分子と無機化合物の複合材料を得るために好適なシ
アノエチル化セラミックス粒子と、これを用いることに
より単繊維物性に優れ、紙や不織布、織布、編織物等と
するのに十分な加工性を有し、且つ優れたセラミックス
効能発現能力を有するセラミックス含有繊維、及び該繊
維の製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】これまで、セラミックス粒子を含有した
有機系複合材料を得るためにセラミックス表面を改質す
る種々の方法が提案されてきた。それらの代表的な方法
としては、(1)セラミックス粒子の表面を、溶剤ある
いは有機高分子との相溶性の良い界面活性剤で被覆する
方法、(2)有機高分子によりセラミックス粒子をマイ
クロカプセル化する方法、3)シランあるいはチタネー
ト系等のカップリング剤によりセラミックス粒子表面を
処理する方法などが知られている。
【0003】例えば、(1)の方法としては、酸化鉄あ
るいは酸化アルミにオレイン酸あるいはステアリン酸を
吸着させることにより酸化鉄あるいは酸化アルミからな
る顔料の分散安定性を発現させる方法がある。また
(2)の例としては、塩化ビニル系あるいは塩化ビニリ
デン系高分子を結合剤として用いることにより塗料中へ
の分散性を向上させる方法(特開昭59ー81365号
公報)、あるいは親水性の官能基を有する有機高分子を
用いることにより、セラミックス表面との親和性を高め
たものとして、カルボキシル基あるいはスルホン酸基を
含有する高分子の酸化鉄表面への吸着によるポリマー被
覆(中前勝彦、高分子論文集、Vol.46,P33
5)を行ったものなどがある。また、(3)の例として
シランカップリング剤を用いたものでは、磁性体超微粒
子表面をシランカップリング剤で処理し、しかる後に重
合性単量体を重合させることにより高分子被覆層を形成
するマイクロカプセル化法(特開昭62ー83034号
公報)などが提案されている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】セラミックス粒子に表
面処理を施すばあい、その表面処理剤をセラミックス粒
子と結合させる方法には、水素結合、共有結合、イオン
結合およびファンデルワールス力によるものなどがあ
る。そして、この中でも特に結合の強さの最も強い共有
結合が好ましい。この点において、前述の2つの方法
は、水素結合あるいはファンデルワールス力に基づくも
のであり、結合力が弱いために、セラミックス表面と表
面処理層が剥離しやすく、分散安定性が低下する、セラ
ミックスと有機高分子との密着性が低下するといった欠
点がある。また、表面処理を有効に行うためには、表面
処理剤の吸着あるいは結合量を上げなければならず、セ
ラミックスの特性を発現させるためには、有効ではな
い。
【0005】また、3番目の方法のカップリング剤処理
は、シランあるいはチタネート等のカップリング剤のコ
ストが高いこと、また、カップリング剤を用いる場合、
カップリング剤自体の被覆する基材への選択性が高いこ
とから基材の選択の巾が狭まり、実用的に用いることが
困難な場合が多いといった問題がある。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明者は、溶剤あるい
は有機高分子等への分散性を改良させるため、セラミッ
クス粒子の表面処理について鋭意研究を行ってきた結
果、セラミックス粒子をシアノエチル化処理することに
より目的の機能を発現させ得ることを見いだし本発明を
完成させるに至った。さらに、このシアノエチル化セラ
ミックス粒子を用い新しいセラミックス含有繊維とその
製造方法を確立するに至った。
【0007】即ち本発明は、セラミックス粒子からなる
芯材と、この芯材の表面と化学結合したシアノエチル基
よりなる被覆層とで構成されることを特徴とするシアノ
エチル化セラミックス粒子、および該シアノエチル化セ
ラミックス粒子を含有するセラミックス含有繊維、さら
に該シアノエチル化セラミックス粒子を繊維形成性の有
機高分子、または繊維形成性の有機高分子を含む溶液中
に分散させ、しかる後に紡糸することを特徴とするセラ
ミックス含有繊維の製造方法にある。
【0008】さらに、本発明のセラミックス含有繊維
は、繊維形成性の有機高分子が、アクリロニトリル系重
合体を含むことが望ましい。
【0009】以下本発明を詳細に説明する。本発明のシ
アノエチル化セラミックス粒子は、セラミックス粒子か
らなる芯材と、この芯材の表面と化学結合したシアノエ
チル基よりなる被覆層とで構成される必要がある。
【0010】一般に、セラミックス表面には水酸基が存
在することが知られている(永井正幸、表面、Vol.
31、P244、1993)。本発明は、この水酸基と
アクリロニトリルをアルカリ条件下に反応させることに
より、セラミックスの酸素原子にシアノエチル基を共有
結合の形で導入することによりセラミックスのシアノエ
チル化を行うものである。そして、そのシアノエチル化
による表面処理は、共有結合によるものであるためその
結合強度は、他のいずれの結合方法によるものよりも強
く有効である。
【0011】また、セラミックス表面には物理吸着水が
存在し、前述のシアノエチル化の際、この吸着水もアク
リロニトリルと反応するため、セラミックス表面の物理
吸着水へもシアノエチル基が導入される。このセラミッ
クス表面の物理吸着水は水素結合によりセラミックス表
面の水酸基と結合しているが、セラミックス表面におい
ては結晶水としての形態をとっているため一般の水素結
合より強い結合であることが知られている。従って、セ
ラミックス表面の吸着水を介したシアノエチル基も、強
固にセラミックス表面に結合しており、本発明のセラミ
ックスの表面処理を構成するものである。
【0012】本発明に用いることのできるセラミックス
としては、成形、焼成などの工程をへて得られる無機材
料であり、その表面に水酸基あるいは物理吸着水を有す
るものである限り特に限定はない。例えば、酸化鉄、酸
化アルミ、酸化スズ、酸化チタン、酸化クロム、酸化
銅、酸化マンガン、酸化亜鉛、酸化バナジウム、酸化カ
ドミウム、酸化ケイ素、酸化ジルコニウム、酸化マグネ
シウム、炭化ケイ素、窒化ホウ素、窒化チタン、硫化亜
鉛、炭化タングステン、炭化ホウ素等があげられ、なか
でも酸化化合物が好ましい。
【0013】また、本発明のシアノエチル化反応に用い
られるアルカリとしては、無機系および有機系いずれで
もよく特に限定は無い。例えば、ORGANIC RE
ACTIONS Volume Vにみられる通り、水
酸化ナトリウム、水酸化カリウム、ナトリウムメトキシ
ド、トリトンB、金属ナトリウム、ナトリウムエトキシ
ド、カリウムエトキシド、ピペリジン、シアン化ナトリ
ウム、炭酸カリウム、水酸化カルシウム等があげられ
る。
【0014】本発明のセラミックス含有繊維のセラミッ
クスは、前述のシアノエチル化処理により得られたシア
ノエチル化セラミックス粒子である必要がある。本発明
のシアノエチル化セラミックス粒子を用いたセラミック
ス含有繊維は、セラミックスの繊維中への分散性が向上
し、また繊維形成性有機高分子との密着性も向上するた
め、セラミックスの含有率を上げた場合でも、繊維形成
性の高分子の本来有している物性を発現させることがで
きる。
【0015】本発明のセラミックス含有繊維において、
そのセラミックスの含有量に限定は無く、必要とされる
セラミックス特性と繊維物性との関係より任意にその含
有量を決定することができるが、概ね繊維重量に対し
0.1〜85%程度が用いられる。
【0016】本発明におけるセラミックス含有繊維の製
造方法としては、前述のシアノエチル化セラミックス粒
子を繊維形成性の有機高分子、または、繊維形成性の有
機高分子を含む溶液中に分散させ、しかる後、紡糸する
必要がある。
【0017】本発明に用いられる有機高分子としては、
繊維形成性を有する限り特に限定は無く例えば、ポリエ
ステル、ポリアクリロニトリル、ポリアマイド、ポリオ
レフィン、ポリエ−テル、ポリビニル系ポリマ−等が挙
げられ、特にシアノエチル化セラミックス粒子表面にシ
アノ基を有していることよりアクリロニトリル系重合体
を含むものが好ましく用いられる。このアクリロニトリ
ル系重合体としては、アクリロニトリル単独または、5
0重量%以上、好ましくは85%以上のアクリロニトリ
ルと残部が少なくとも一種の他のエチレン系不飽和化合
物からなる単量体混合物の重合体が繊維物性の点から望
ましい。
【0018】尚、アクリロニトリルに共重合させる他の
エチレン系不飽和化合物としては、例えばハロゲン化ビ
ニル及びハロゲン化ビニリデン類、エチレン系不飽和カ
ルボン酸及びその塩類、アクリル酸エステルおよびメタ
クリル酸エステル類、ビニルエステル類、不飽和炭化水
素スルホン酸およびその塩類、スチレンおよびそのアル
キル又はハロゲン置換体等のビニル化合物類、ジメチル
アミノエチルメタクリレート等の塩基性基を含有するビ
ニル化合物類等があげられ、これらの中から1種または
それ以上を任意に採用することができる。
【0019】次に本発明に採用し得る紡糸方法に関して
は、溶融紡糸、湿式紡糸あるいは乾式紡糸等のいずれの
方式でも可能であり、有機高分子の性状から判断し、適
宜選択できる。本発明により得られたシアノエチル化セ
ラミックス粒子は、その表面が比較的親水性であるた
め、水系の溶媒、あるいは、水との相溶性の良い有機溶
媒、例えばジメチルホルムアミド、ジメチルスルフォキ
シド、ジメチルアセトアミド、Nーメチルピロリドンな
どを用い湿式紡糸する方法が良好な結果を与える。
【0020】
【作用】本発明は、セラミックス粒子の表面水酸基およ
び物理吸着水にアクリロニトリルをアルカリ触媒下で反
応させることにより、結合力の強い共有結合あるいは結
晶水の水素結合を有するシアノエチル基を導入し、セラ
ミックス粒子表面の溶剤あるいは有機高分子との親和性
を高めることに成功した。その結果として、溶剤中ある
いは有機高分子中への分散性が向上し、また、有機高分
子との密着性が向上した。さらに、本発明により得られ
たシアノエチル化セラミックス粒子を用いることによ
り、粒子表面のシアノエチル基の保護作用と有機高分子
との良好な密着性により、セラミックス粒子の含有量が
高いにもかかわらず、良好な繊維物性を有するセラミッ
クス含有繊維を製造する技術を見いだした。
【0021】
【実施例】以下、実施例によって本発明を具体的に説明
するが、本発明の要旨はこれによって限定されるもので
はない。まず各種の評価事項の測定方法を説明する。
【0022】表面処理セラミックス粒子の溶剤への分散
性は、被測定粒子10重量部をジメチルホルムアミド1
00重量部に添加し、室温で1時間撹拌後、該分散液
を、被測定粒子の未処理の際の1次粒子径の100倍に
相当する目開きを有するメッシュに通し、もとの添加粒
子重量に対するメッシュ通過粒子重量の割合を溶剤分散
率として表した。したがって、この溶剤分散率の値の大
きなものほど、溶剤中への分散が良好であると判断でき
る。
【0023】表面処理セラミックス粒子の繊維中への分
散性は、セラミックス含有繊維の繊維軸垂直断面を透過
型電子顕微鏡で測定、あるいはX線マイクロアナライザ
ーを用いて、セラミックス粒子を構成する金属元素の面
分析を行い、1次粒子として分散しているものか、凝集
しているものかを判定し、セラミックス含有繊維の直径
が10μm以上の場合10平方マイクロメートルあたり
の、またセラミックス含有繊維の直径が10μm未満の
場合繊維軸垂直全断面の1次粒子と凝集粒子の個数を測
定し、「繊維軸垂直断面の単位面積あるいは全繊維断面
における完全分散した1次粒子および凝集粒子の個数」
とした。また、同一面分析画面で10平方マイクロメー
トルあるいは繊維全断面の中における凝集粒子について
は、各々の凝集粒子を構成する1次粒子の個数を測定し
分散している1次粒子の個数との和をとり「繊維軸垂直
断面の単位面積あるいは全繊維断面における完全分散し
た1次粒子、および凝集粒子中の個々の1次粒子の個
数」とし、数1に基づいてポリマー分散率を計算した。
このポリマー分散率は、数値の大きいものほどポリマー
中へのセラミックス粒子の分散性が良好なことをあらわ
し、理想的な完全1次分散の場合のポリマー分散率は、
1.0である。
【0024】
【数1】
【0025】ポリマーとセラミックス粒子との密着性の
評価は、セラミックス含有繊維の単繊維強度保持率によ
り行った。即ち、セラミックス無添加の場合の単繊維強
度に対し、セラミックスを添加した場合の単繊維強度の
割合を単繊維強度保持率として表し、この値が大きいも
のほど密着性が良好であると判断した。これは、繊維形
成性のポリマーとセラミックスの密着性が良好な場合、
ポリマーマトリックスとセラミックス粒子は、連続した
マトリックスとなるためポリマー自体の強度が保持され
るが、密着性が不良な場合は、不連続なマトリックスと
なるため単繊維強度が低下し、単繊維強度保持率も低下
するからである。
【0026】また、ポリマーと表面処理セラミックス粒
子との密着性の評価は、JISL1095に基づいた繊
維の磨耗テストを実施後、この被測定サンプルの表面を
走査型電子顕微鏡で観測し、セラミックス粒子のはがれ
がないかどうかによっても判断した。ここで、密着性が
良好なことより粒子のはがれが無いものを○、密着性が
不良なため観測される繊維表面において、顕著な粒子の
はがれがあるものを×とした。
【0027】実施例1ー1 1次粒子平均径0.3μmの立方状NiーZn系フェラ
イト粒子250重量部をアクリロニトリル2500重量
部に加え分散させ、これに40%水酸化カリウム溶液1
3重量部を加え50℃で18時間シアノエチル化反応を
行った。得られた粒子は、脱溶剤、溶剤による洗浄後乾
燥し、シアノエチル化フェライト粒子を得た。該粒子を
熱分析で測定したところ、5%のシアノエチル基に基づ
く重量減を確認した。
【0028】実施例1ー2 実施例1ー1と同じフェライト粒子250重量部を40
%水酸化ナトリウム溶液1000重量部に加え、1時間
室温で撹拌後、遠心脱水によりアルカリ処理したフェラ
イト粒子を得た。該粒子320重量部をアクリロニトリ
ル2500重量部に加え分散させ、50℃で18時間シ
アノエチル化反応を行った。得られた粒子は、脱溶剤、
溶剤による洗浄後乾燥し、シアノエチル化フェライト粒
子を得た。該粒子を熱分析で測定したところ、4%のシ
アノエチル基に基づく重量減を確認した。
【0029】実施例1ー1、実施例1ー2で得られたシ
アノエチル化フェライト粒子および未処理フェライト粒
子の溶剤分散率を測定したところ、それぞれ、96%、
94%および3%であった。このことより、シアノエチ
ル化処理により溶剤への分散性が改良されたことが確認
された。また、実施例1ー2で得られたシアノエチル化
フェライト粒子10重量部をジメチルホルムアミド溶剤
100重量部中へ添加し、12000rpmの撹拌速度
で室温で1時間撹拌後、溶剤分散率を測定したところ、
95%であり、分散率の低下は認められなかった。この
ことは、セラミックスの表面に導入されたシアノエチル
基は強力な撹拌下においても剥離せず、強固に結合して
おり、これが分散に寄与していると考えられる。
【0030】実施例1ー3 実施例1ー1と同じフェライト粒子250重量部をステ
アリン酸10重量部を含む水2000重量部中に加え、
5時間室温で撹拌後、遠心脱水することによりステアリ
ン酸処理したフェライト粒子を得た。該粒子10重量部
をジメチルホルムアミド溶剤100重量部中へ添加し、
100rpmの撹拌速度で室温で撹拌後、溶剤分散率を
測定したところ、61%であり、ある程度の分散効果は
認められた。
【0031】実施例1ー4 実施例1ー3で得られたステアリン酸処理したフェライ
ト粒子10重量部をジメチルホルムアミド溶剤100重
量部中へ添加し、12000rpmの撹拌速度で室温で
撹拌後、溶剤分散率を測定したところ、溶剤分散率は6
%であり、分散の改良効果は認められなかった。このこ
とは、セラミックスの表面に吸着したステアリン酸が強
力な撹拌により剥離し、分散のために働かなくなったた
めと考えられる。このことからも本発明のシアノエチル
化処理が、強力な結合をしているかが理解される。
【0032】実施例2ー1 1次粒子平均径0.2μmの酸化チタン粒子250重量
部をアクリロニトリル2500重量部に加え分散させ、
これに40%水酸化カリウム溶液13重量部を加え50
℃で18時間シアノエチル化反応を行った。得られた粒
子は、脱溶剤、溶剤による洗浄後乾燥し、シアノエチル
化酸化チタン粒子を得た。該粒子を熱分析で測定したと
ころ、6%のシアノエチル基に基づく重量減を確認し
た。また、FTーIRで該粒子を分析したところ、シア
ノエチル基のメチレン基およびニトリル基の吸収を確認
することができた。
【0033】実施例2ー2 実施例2ー1で用いたものと同じ酸化チタン粒子25重
量部とγー(2ーアミノエチル)アミノプロピルトリメ
トキシシラン15重量部をトルエン2500重量部に添
加し、75℃で40分間反応を行った。得られた粒子
は、洗浄、乾燥することによりシランカップリング処理
酸化チタンを得た。
【0034】実施例2ー1および実施例2ー2で得られ
た表面処理酸化チタンの溶剤分散率を測定したところ、
それぞれ98%および94%であり、いずれも有効な表
面処理がなされており、分散が良好であった。
【0035】実施例3ー1 1次粒子平均径0.35μmの酸化アルミ粒子250重
量部をアクリロニトリル2500重量部に加え分散さ
せ、これに40%水酸化カリウム溶液13重量部を加え
50℃で18時間シアノエチル化反応を行った。得られ
た粒子は、脱溶剤、洗浄後乾燥し、シアノエチル化酸化
アルミ粒子を得た。該粒子を熱分析で測定したところ、
5%のシアノエチル基に基づく重量減を確認した。
【0036】実施例3ー2 実施例3ー1で用いたものと同じ酸化アルミ粒子25重
量部とγー(2ーアミノエチル)アミノプロピルトリメ
トキシシラン15重量部をトルエン2500重量部に添
加し、75℃で40分間反応を行った。得られた粒子
は、洗浄、乾燥することによりシランカップリング処理
酸化アルミ粒子を得た。
【0037】実施例3ー1および実施例3ー2で得られ
た粒子の溶剤分散率を測定したところ、それぞれ、89
%および9%であった。即ち、酸化アルミへのシアノエ
チル化の表面処理は有効に機能しているが、シランカッ
プリング処理は酸化アルミに対しては有効な表面処理で
はないという結果が得られた。この結果および、実施例
2ー1と2ー2の溶剤分散性の評価結果より、シアノエ
チル化による表面処理は、シランカップリング表面処理
に比べて基材の選択性が低く表面処理の適応範囲が広い
ことが確認された。
【0038】実施例4 実施例1ー1で得られたシアノエチル化フェライト粒子
10重量部と固有粘度0.75のポリエチレンテレフタ
レート90重量部を混合し、紡糸温度280℃で直径
0.20mmのオリフィスから紡出し、冷却、オイリン
グしながら800m/minの速度で巻き取り、更に9
0℃で延伸倍率2.5に延伸し、150℃で緊張熱処理
し、シアノエチル化フェライト含有繊維を得た。
【0039】実施例5ー1 実施例1ー1で得られたシアノエチル化フェライト粒子
10重量部と重量平均分子量89000のアクリロニト
リル/アクリル酸メチル共重合体90重量部をチオシア
ン酸ナトリウムの55%水溶液670重量部に73℃で
溶解および撹拌分散することにより紡糸原液を得た。該
紡糸原液を孔径0.07mm、孔数100の紡糸ノズル
を用いてー2℃、15%のチオシアン酸ナトリウム水溶
液中に紡出した後、水洗、延伸(総延伸倍率12倍)、
乾燥緻密化、捲縮処理、緩和熱処理及び油剤処理を施し
てシアノエチル化フェライト含有繊維を得た。なお、紡
糸の際には、ノズル詰まり、糸切れ等のトラブルは発生
せず、作業性は良好であった。
【0040】実施例5ー2 実施例2ー1で得られたシアノエチル化酸化チタン粒子
を用いた以外は、実施例5ー1と同様な方法で、シアノ
エチル化酸化チタン含有繊維を得た。
【0041】実施例5ー3 実施例3ー1で得られたシアノエチル化酸化アルミ粒子
を用いた以外は、実施例5ー1と同様な方法で、シアノ
エチル化酸化アルミ含有繊維を得た。
【0042】実施例5ー4 実施例1ー3で得られたステアリン酸処理フェライト粒
子を用いた以外は、実施例5ー1と同様な方法で、ステ
アリン酸処理フェライト含有繊維を得た。
【0043】実施例5ー5 実施例1ー1で用いたものと同じフェライト粒子を用
い、フェライト粒子12重量部、水20重量部およびア
クリロニトリル5重量部を混合したものを40℃とし、
この混合溶液に0.01モル/リットルの亜硫酸水溶液
40重量部を加え2時間反応を行った。この反応では、
フェライト粒子からの酸化鉄と、亜硫酸がレドックス反
応し、粒子表面に開始ラジカルを生成、その結果粒子表
面にポリマーが形成されるもので、ポリマーがセラミッ
クス粒子表面に物理吸着した粒子が得られる。得られた
粒子は、溶剤で洗浄後、乾燥し、ポリアクリロニトリル
マイクロカプセル化フェライト粒子を得た。該粒子を熱
分析で測定したところ、12%のポリアクリロニトリル
に基づく重量減を確認した。
【0044】該アクリロニトリルマイクロカプセル化フ
ェライト粒子を用いた以外は、実施例5ー1と同様な方
法で、ポリアクリロニトリルマイクロカプセル化フェラ
イト含有繊維を得た。
【0045】実施例4から実施例5ー5までの粒子含有
繊維の評価結果を表1にまとめる。実施例5ー4で得ら
れたステアリン酸処理フェライト含有繊維は、ポリマー
分散率の値が低く、特にフェライトとポリマーの密着性
がきわめて悪い。これは、フェライト表面への界面活性
剤の吸着力が弱いためであると考えられる。
【0046】
【表1】
【0047】実施例5ー5で得られたポリアクリロニト
リルマイクロカプセル化フェライト含有繊維において、
ポリマー分散率が低いのは、紡糸用原液作成の際、紡糸
用溶剤と被覆ポリマーとの相溶性が良いため、被覆ポリ
マーが溶剤に溶けだし、セラミックス表面からはがれた
ため分散に寄与しなかったものと考えられる。
【0048】表1の結果より、シアノエチル化処理を施
したセラミックス粒子は、他の表面処理方法に比べて、
ポリマー中への分散性が優れており、また、ポリマーマ
トリックスとの密着性も優れていることが確認された。
【0049】
【発明の効果】本発明のシアノエチル化セラミックス粒
子は、溶剤および有機高分子中への分散性に優れ、また
有機高分子との密着性に優れるため様々な用途に使用す
ることが可能であり、特に限定はされないが、フィル
ム、シート、塗料等の樹脂あるいはゴム等への複合材料
に広く適応することができる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 昭60−141679(JP,A) 特開 平7−197311(JP,A) 特開 昭60−112657(JP,A) 特開 昭63−152413(JP,A) 特開 平1−306607(JP,A) 特開 平2−160915(JP,A) 特開 平2−300315(JP,A) 特開 昭59−112018(JP,A) 特開 平2−264013(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) C04B 35/00 C04B 41/82 D01F 1/10 D01F 6/54 JICSTファイル(JOIS)

Claims (4)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 セラミックス粒子からなる芯材と、この
    芯材の表面と化学結合したシアノエチル基よりなる被覆
    層とで構成されることを特徴とするシアノエチル化セラ
    ミックス粒子。
  2. 【請求項2】 請求項1記載のシアノエチル化セラミッ
    クス粒子を含有することを特徴とするセラミックス含有
    繊維。
  3. 【請求項3】 請求項1記載のシアノエチル化セラミッ
    クス粒子を繊維形成性の有機高分子、または、繊維形成
    性の有機高分子を含む溶液中に分散させ、しかる後に、
    紡糸することを特徴とするセラミックス含有繊維の製造
    方法。
  4. 【請求項4】 繊維形成性の有機高分子が、アクリロニ
    トリル系重合体を含むことを特徴とする、請求項3記載
    のセラミックス含有繊維の製造方法。
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