JP3527007B2 - ポリエステル糸条の同時延伸仮撚加工方法及び仮撚装置 - Google Patents

ポリエステル糸条の同時延伸仮撚加工方法及び仮撚装置

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JP3527007B2 JP08827096A JP8827096A JP3527007B2 JP 3527007 B2 JP3527007 B2 JP 3527007B2 JP 08827096 A JP08827096 A JP 08827096A JP 8827096 A JP8827096 A JP 8827096A JP 3527007 B2 JP3527007 B2 JP 3527007B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、ポリエステル未延
伸糸条を同時延伸仮撚加工する方法及びその装置に関
し、さらに詳しくは、低配向ポリエステル未延伸糸条を
特定の摩擦仮撚具に特定の範囲内の走行角で接触走行さ
せて、安定に同時延伸仮撚加工する方法及びその装置に
関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来、合成繊維糸条の同時延伸仮撚加工
に際しては、加撚域の糸条を200℃程度の温度に加熱
し、延伸と加撚熱固定を行った後、解撚する方法が主と
して採用されており、得られた捲縮加工糸は、25〜4
0%という高い捲縮率を有しているのが一般的であっ
た。
【0003】このような延伸仮撚加工には、通常、DT
Y機と称される延伸仮撚装置が用いられ、例えば、図5
に示すように、糸条供給ローラー41と引取ローラー4
2との間に、仮撚ヒーター43と仮撚具44を設けた装
置(日本繊維機械学会発行「フィラメント加工技術マニ
ュアル(上巻)」、第77頁〜第78頁参照)が専ら使
用されている。なお、図5において、45は延伸仮撚に
供する糸条パッケージ、46は糸条パッケージからの糸
条解舒ガイド、47は第2引取ローラー、48は巻取装
置、49、50、51はガイドである。
【0004】しかしながら、このような装置で同時延伸
仮撚加工を行う場合、加工速度を高めようとすると、仮
撚ヒーターが長大化するうえ、加熱域で延伸と加撚が施
されるため、特に低配向未延伸糸条や繊度の小さい未延
伸糸条の加工に際しては、(1)加撚張力の変動により
延伸点や加撚開始点が変動し易く、また、サージング
(糸揺れ)も起こり易いことから、断糸や毛羽が多発し
たり、(2)糸条内部まで熱が十分に伝わらず、加熱斑
による染斑、捲縮斑が生じ易いなどの問題が発生してく
ることがわかってきた。
【0005】例えば、特開昭55―1348号公報に
は、低配向ポリエチレンテレフタレート未延伸糸を摩擦
仮撚加工装置により800m/分の加工速度で同時延伸
仮撚加工する例が示されているが、この方法では、加工
中に断糸が多発し、得られた捲縮加工糸には多くの毛羽
が存在しており、製織時に織機停台の原因となるため不
適当である。
【0006】このような問題を解決するために、本出願
人は、先に、延伸仮撚装置(DTY機)の糸条供給ロー
ラーを加熱ローラーとし、予め非加撚状態で加熱した
後、該加熱終了点を加撚開始点として、直ちに仮撚を行
うことを提案したが、その際、三軸摩擦型ディスク仮撚
具の摩擦円板の硬度、厚さを変更し、糸条の摩擦円板へ
の接触走行角を通常の方法よりも大きくすることによ
り、延伸仮撚加工中の断糸が著しく減少し、得られる捲
縮加工糸の毛羽も大幅に少なくなることを究明した。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、特に低配向
あるいは繊度の小さい未延伸ポリエステル糸条を同時延
伸仮撚加工する際に、断糸や毛羽の発生を伴わず、安定
に延伸仮撚加工を行うことができ、しかも均一で高い捲
縮率の仮撚加工糸を得ることができる同時延伸仮撚加工
方法及びその装置を提供することを課題とするものであ
る。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明によれば、(1)
ポリエステル未延伸糸条を非加撚状態で加熱した後、該
加熱終了点を加撚開始点として同時延伸仮撚加工するに
際し、該非加撚状態での加熱を80〜150℃の加熱ロ
ーラーで行い、該加熱ローラーの下流側に設けた仮撚の
熱固定ヒーターに通した後、硬度が75〜90度、厚さ
が7〜12mmの摩擦円板を3〜7枚設けてなる三軸摩
擦仮撚型ディスク仮撚具のすべての摩擦円板に、回転軸
に対して35〜45度の走行角で接触走行させることを
特徴とするポリエステル糸条の同時延伸仮撚加工方法、
(2)ポリエステル未延伸糸条の複屈折率(Δn)が
0.010〜0.045である上記(1)記載のポリエ
ステル糸条の同時延伸仮撚加工方法、(3)非加撚状態
での加熱前に、ポリエステル未延伸糸条に予め交絡を付
与する上記(1)又は(2)記載のポリエステル糸条の
同時延伸仮撚加工方法、(4)仮撚ヒーターの有効加熱
長が5〜30cm、該ヒーターによる熱処理温度が15
0℃以上、400℃未満である上記(1)、(2)又は
(3)記載のポリエステル糸条の同時延伸仮撚加工方
法、(5)加熱ローラーセパレートローラー、該加熱
ローラーの表面に接して回転する糸押さえローラーから
なる一対のゴデット型糸条供給ローラー、有効加熱長が
5〜30cmの仮撚ヒーター、硬度が75〜90度、厚
さが7〜12mmの摩擦円板を3〜7枚設けてなる三軸
摩擦型ディスク仮撚具及び糸条引取ローラーを、この順
に配設したことを特徴とする同時延伸仮撚加工装置、及
び(6)加熱ローラーの上流側に空気交絡ノズルを設け
た上記(5)記載の同時延伸仮撚加工装置が提供され
る。
【0009】
【発明の実施の形態】以下、本発明を添付図面を参照し
つつ詳細に説明する。
【0010】図1は本発明の一実施態様を示す同時延伸
仮撚加工装置の正面図、図2はその側面図である。
【0011】図1及び図2において、1はポリエステル
未延伸糸条を示し、特に、エチレンテレフタレートを主
たる繰り返し単位とするポリエステル未延伸糸条が好ま
しく例示される。
【0012】上記ポリエステルは、共重合成分としてイ
ソフタル酸、アジピン酸、5―ナトリウムスルホイソフ
タル酸などのジカルボン酸やテトラメチレングリコー
ル、ヘキサメチレングリコール、ヘキサンジオールなど
のジオールを15モル%以下含有してもよい。
【0013】本発明で使用されるポリエステル未延伸糸
条1は、通常、複屈折率(Δn)が0.01〜0.09
(約800m/分〜約6000m/分の紡糸速度に対
応)のものであるが、特に、複屈折率(Δn)が0.0
10〜0.035(約800m/分〜3000m/分の
紡糸速度に対応)の未延伸糸条のような低配向ポリエス
テル未延伸糸条でもサージングの発生がなく、本発明の
効果が顕著に発現する。
【0014】また、加工後の捲縮加工糸の単繊維繊度が
1.0デニール以下、全繊度が10〜80デニールのよ
うな、繊度の小さいポリエステル未延伸糸条の場合に
も、本発明の効果が顕著に発現する。
【0015】上記ポリエステル未延伸糸条1は、糸条解
舒ガイド2及びプリテンションローラー3、4を経て、
加熱ローラー6に供給される。該加熱ローラー6にはセ
パレートローラー7が併設されていて、一対のゴデット
型糸条供給ローラーを構成しており、該セパレートロー
ラー7を介して該加熱ローラー6に複数回捲回された
後、仮撚ヒーター9を通り、三軸摩擦仮撚型ディスク仮
撚具10で加撚、解撚され、引取ローラー11、セパレ
ートローラー12に複数回捲回されて引き取られる。そ
の後、巻取ガイド14を経て、スピンドル式巻取装置1
5でパーン16に巻き取られる。
【0016】上記ポリエステル未延伸糸条1は、加熱ロ
ーラー6とセパレートローラー7からなる一対のゴデッ
ト型糸条供給ローラーと、引取ローラー11とセパレー
トローラー12からなるゴデット型引取ローラーとの間
で、所定の倍率に延伸されると共に、三軸摩擦仮撚型デ
ィスク仮撚具10で加撚された糸条が仮撚ヒーター9で
熱処理されて固定された後、解撚されて、捲縮加工糸と
なる。
【0017】本発明においては、加熱ローラー6とセパ
レートローラー7からなるゴデット型糸条供給ローラー
を使用し、ポリエステル未延伸糸条1を先ず非加撚状態
で加熱しているので、ポリエステル未延伸糸条1が加熱
ローラー6上で解繊され、中心部の構成単糸にも十分な
熱量を付与することができ、加熱斑による染斑、捲縮斑
の発生を回避することができる。
【0018】さらに、上記構成を採用することにより、
加熱ローラー6の出口の加熱終了点が加撚開始点とな
り、加熱された糸条が加撚力によってねじられた際、応
力の集中が起こるので、延伸点や加撚開始点が固定化さ
れ、断糸や毛羽の発生が防止できる。
【0019】上記加熱ローラー6の温度は、80〜15
0℃の範囲内に設定することが必要であり、80℃未満
では、延伸斑が生じて均一な延伸が行えず、断糸、毛羽
も発生し易くなり、150℃を越えると、フロー延伸が
起こって長周期の延伸斑が生じ、糸条の融着や断糸も多
発し易くなるので不適当である。
【0020】この加熱ローラー6の温度は、延伸仮撚に
供するポリエステル未延伸糸条1の複屈折率(Δn)に
応じて変更し、複屈折率(Δn)が高い場合は比較的高
い温度で、また複屈折率(Δn)が低い場合は比較的低
い温度に設定するのが好ましい。
【0021】また、加熱ローラー6への糸条の捲回数
は、使用するポリエステル未延伸糸条の種類や目的とす
る捲縮性能等に応じて、適宜設定すればよいが、糸条の
スリップを防止するためには4回以上捲回することが好
ましい。
【0022】仮撚ヒーター9は、三軸摩擦仮撚型ディス
ク仮撚具10によって付与された仮撚を熱処理によって
固定するものであり、通常、加熱プレートが用いられ
る。
【0023】この仮撚ヒーター9の有効加熱長は5〜3
0cm、該ヒーター9による熱処理温度は150℃以
上、400℃未満であることが好ましい。有効加熱長が
5cm未満では、20%以上の捲縮率を安定に維持する
ことが難しく、30cmを越えると、未延伸糸条の複屈
折率(Δn)が低い場合にサージング(糸揺れ)が生じ
易く、染斑、捲縮斑、断糸、毛羽発生の原因となる。
【0024】また、仮撚ヒーター9による熱処理温度が
150℃未満では、20%以上の高捲縮率を得ることが
困難であり、400℃以上では、融着による断糸、毛羽
が多発する傾向があり、加工糸の断面形状の偏平化が大
きくなるうえ、糸掛け作業が困難になる等の問題が生じ
る。
【0025】なお、本発明では、通常、600m/分以
上の高速で加工するので、仮撚ヒーター9による熱処理
時間は0.03秒以下となる。
【0026】仮撚具10には、延伸仮撚速度を高速化す
るために、三軸摩擦仮撚型ディスク仮撚具が使用され
る。
【0027】図3は、本発明で使用される三軸摩擦仮撚
型ディスク仮撚具の一例を示す正面図であり、ブラケッ
ト34には、3本の回転軸17、18、19がそれぞれ
三角形の頂点に位置するように、平行かつ回転可能に突
設されていて、回転軸17には、プーリー28が、回転
軸18には、プーリー29、30が、また回転軸19に
は、プーリー31がそれぞれ設けられている。
【0028】回転軸18の下端には、駆動ベルト32に
連結する駆動プーリー33が取り付けられており、駆動
ベルト32の駆動によって駆動プーリー33が回転し、
この回転力がプーリー29、30及びタイミングベルト
35、36を介して、プーリー28、31に伝達され、
回転軸17、18、19が同方向に同速度で回転するよ
うに構成されている。
【0029】回転軸17には摩擦円板23、26が、回
転軸18には摩擦円板25が、回転軸19には摩擦円板
24が、それらの一部が互いに重なり合い、交差する形
で止着されている。さらに、回転軸17の糸条入側には
ガイドディスク20が、回転軸18の糸条入側にはガイ
ドディスク22が、回転軸19の糸条入側及び糸条出側
にはガイドディスク21、27が、摩擦円板23、2
4、25、26と同様に、それらの一部が互いに重なり
合い、交差する形で止着されている。
【0030】ガイドディスク20、21、22、27
は、耐摩耗性に優れたものであれば、プラスチック、金
属、セラミックス等の任意の材質で形成することがで
き、各種の表面処理を施したものが利用される。特に、
加工が容易であることから、金属表面に硬質クロムメッ
キ加工を施したものが広く用いられており、さらに梨地
加工によって表面粗度を調整し、摩擦抵抗を低減させた
ものも好適に用いられる。なお、Yは走行糸条を示す。
【0031】本発明においては、摩擦円板23、24、
25、26の硬度が75〜90度の範囲内にあることが
必要である。低配向ポリエステル未延伸糸条を延伸仮撚
する場合は、非晶状態の糸条を高速で、しかも高倍率
で、捩りながら延伸して仮撚するため、通常用いられて
いる硬度が95度前後の硬い摩擦円板では、糸条が損傷
を受けて、断糸、毛羽が発生し易くなる。
【0032】従って、従来用いられている摩擦円板より
も硬度が低くて軟らかい摩擦円板を用いるのである。摩
擦円板23、24、25、26の硬度が75度未満で
は、走行糸条Yを把持する力は大きくなるが、摩擦円板
23、24、25、26の摩耗が激しく、使用寿命が短
くなり、しかも、摩擦円板の摩耗に起因する断糸も発生
し易くなるので不適当である。
【0033】一方、摩擦円板23、24、25、26の
硬度が90度を越えると、耐摩耗性は十分であるが、糸
条把持力が低下し、走行糸条Yと摩擦円板23、24、
25、26との間でスリップが起こり易くなるため、撚
掛け効率が低下し、十分な捲縮性能を付与するのが困難
となり、しかも、前述のように糸条Yが損傷を受けて、
断糸、毛羽が発生し易くなる。
【0034】なお、ここで、摩擦円板23、24、2
5、26の硬度は、JISK6301―1971の方法
により測定したものである。摩擦円板23、24、2
5、26の材質としては、セラミックス、ポリウレタン
等が用いられるが、繊度が小さく、低配向のポリエステ
ル未延伸糸条に仮撚を付与するうえで、施撚性に優れ、
加工糸の強伸度低下や断糸、毛羽の発生も少ないことか
ら、ポリウレタン又はその変性物が好ましく用いられ
る。
【0035】さらに、摩擦円板23、24、25、26
の厚さは、糸条の走行角にも関係してくるものであり、
本発明では、7〜12mmであることが必要である。
【0036】この値は、通常用いられる摩擦円板の厚さ
(5mm前後)よりもかなり厚いものである。厚さが7
mm未満では、撚掛け力が高くなる反面、糸送り力が低
下するため、高速での加工が困難になる。一方、厚さが
12mmを越えると、糸送り力は高くなるものの、解撚
張力が低くなりすぎて、断糸、毛羽の発生が多くなり、
糸掛けも難しくなるので不適当である。
【0037】また、摩擦円板23、24、25、26の
枚数は、3〜7枚であることが必要である。枚数が2枚
以下では、糸条Yの走行状態が不安定となり、逆に、8
枚以上になると、糸条Yと摩擦円板との接触頻度が増大
して、断糸、毛羽が発生し易くなり、加工糸の強伸度の
低下も大きくなるので不適当である。
【0038】さらに、本発明では、回転軸17、18、
19に対して35〜45度の接触角で、糸条Yをすべて
の摩擦円板23、24、25、26に接触走行させるこ
とが必要である。
【0039】ここで、走行角とは、図4に示すように、
回転軸18と、摩擦円板23の外周上を接触走行する糸
条Yとがなす角θを意味する。
【0040】一般に、摩擦仮撚加工においては、摩擦円
板23の回転によって、走行糸条Yに撚りを付与する撚
掛け力(図4においてcosθで示される)と、走行糸
条Yに糸送り効果を与える糸送り力(図4においてsi
nθで示される)とが生ずる。
【0041】撚掛け力は、走行糸条Yに十分な捲縮性能
を付与するのに必要であり、糸送り力は、高速の加工速
度を達成するのに必要不可欠である。通常、加工速度が
高くなるにつれて、糸条の走行状態が不安定になる傾向
があり、加撚張力(摩擦円板への入側の張力に相当)を
高めて、走行状態の安定化をはかる必要が生じてくる
が、それに伴い、必然的に解撚張力(摩擦円板からの出
側の張力に相当)も高くなってくる。その結果、断糸、
毛羽が発生し易くなる。
【0042】この傾向は、本発明のように低配向のポリ
エステル未延伸糸条を延伸仮撚する場合に、サージング
(糸揺れ)として、特に顕著に発現し、さらに摩擦円板
の摩耗の問題も懸念されるようになってくる。
【0043】そこで、本発明では、糸条の走行角θを、
通常の延伸仮撚加工における値(30度前後)よりも大
きくして、35〜45度の範囲内に選定することによ
り、糸送り作用を高めて解撚張力を低下させ、加工糸の
捲縮性能を低下させることなく、高速加工を可能ならし
めたものである。走行角θが35度未満では、撚掛力が
高くなる反面、糸送り力が低下するため、高速での加工
が困難になる。一方、走行角θが45度を越えると、糸
送り力は高くなるものの、撚掛力が低下して、加工糸の
捲縮性能、強伸度が低下し、断糸、毛羽の発生も多くな
るので不適当である。
【0044】走行角θを35〜45度の範囲内に設定す
るには、摩擦円板の直径、厚さ及び摩擦円板の間隔を調
節すればよい。走行角θは、すべての摩擦円板について
上記範囲内になるように設定することが必要であり、そ
のためには前述のガイドディスク20、21、22、2
7を利用するのが好都合である。なお、ガイドディスク
の数、配置は、図3に示した例に限定されるものではな
い。
【0045】また、本発明においては、図1及び2に示
すように、加熱ローラー6の上流側に空気交絡ノズル5
を設け、非加撚状態での加熱前に、ポリエステル未延伸
糸条1に予め交絡を付与するのが好ましい。
【0046】ポリエステル未延伸糸条1に交絡を付与す
るには、該糸条1をオーバーフィードさせながら空気交
絡ノズル5を通過させればよく、空気交絡ノズル5は、
従来公知のインターレースノズルなどが任意に使用でき
る。
【0047】この交絡処理は、単糸がばらけるのを防止
し、均一な延伸を可能とするので、ループ、毛羽の発生
が少なくなり、さらには構成単糸の配列を乱して相間移
動が起こり易くなるようにしているので、十分な捲縮性
能が得られる。
【0048】この交絡処理の効果は、ポリエステル未延
伸糸条1の配向が低いほど、また繊度が小さいほど顕著
になる。交絡数は、10個/m以上であれば十分である
が、特に20個/m〜100個/mであることが好まし
い。
【0049】さらに、加熱ローラー6への撚りの遡及を
防止し、延伸点の固定や加撚開始点の固定を一層確実な
ものとするために、上記加熱ローラー6の表面に糸押え
ローラー8を設けるのが好ましい。該糸押えローラー8
は、特公昭52―38138公報に開示されているよう
に、加熱ローラー6に捲回されている糸条のうち少なく
とも最後の一捲回を加熱ローラー6上に把持し、少なく
とも最初の一捲回は非把持状態とするように配設するの
が好ましい。
【0050】なお、延伸仮撚された糸条を引取ローラー
11とセパレートローラー12に捲回している間に、必
要に応じて、空気交絡ノズル13により交絡を付与する
ようにしてもよい。
【0051】
【実施例】以下、実施例により本発明をさらに具体的に
説明する。なお、実施例中の各特性は、下記の方法によ
り測定した。
【0052】(1)捲縮率(TC) 検尺器を用いて1500デニールの綛を作り、デニール
当たり2mgの軽荷重を掛けて沸水中で20分間処理
し、その後、20℃、65%RHの室内で一昼夜自然乾
燥した。次いで、デニール当たり200mgの重荷重を
掛け、1分後の長さL0 を測定し、さらにその重荷重
を取り除き、軽荷重に変更して、1分後の長さL1 を
測定し、次式で捲縮率(TC)を算出した。
【0053】
【数1】
【0054】(2)断糸数 各条件で、巻量2.5kgのパーンを30本製造し、そ
の間に発生した断糸の回数を数えた。
【0055】(3)毛羽数 東レ(株)製、DT―104型毛羽カウンターを用い、
加工糸を500m/分の速度で20分間連続走行させ
て、毛羽数を測定した。
【0056】(4)摩擦円板寿命 最下段の摩擦円板(走行角を安定化するために設けたガ
イドディスクを除く)の直径が、1.0%減少した月数
で示した。
【0057】(5)交絡度 長さ1mの糸条の端部に、該糸条のデニールの1/30
の荷重(g)を吊るした後、糸条の中心部に、糸条のデ
ニールの1/30の重さ(g)を有するフックを引っ掛
け、1m間を落下させる間に止まった回数を交絡度(個
/m)とした。なお、フックが止まった場合は、止まっ
た位置から2mm下方にフックを引っ掛け、再び落下さ
せて、測定を続けた。
【0058】(6)走行角 摩擦仮撚具上を走行している糸条を写真撮影し、各摩擦
円板上の糸条の走行角θを写真の上で実測して、それら
の測定値の平均値をもって走行角とした。
【0059】[実施例1〜7、比較例1〜6]固有粘度
が0.64のポリエチレンテレフタレートを295℃で
溶融して、1200m/分の紡糸速度で引き取り、85
デニール/36フィラメントの未延伸糸条(複屈折率
(Δn)0.012)を得た。
【0060】この未延伸糸条を、図1及び2に示す延伸
仮撚装置を用いて同時延伸仮撚した。
【0061】交絡ノズル5としては、インターレースノ
ズルを使用し、圧空圧2.0kg/cm2で処理を行
い、処理後の未延伸糸条の交絡度は60個/mであっ
た。
【0062】また、加熱ローラー6の温度は95℃、引
取ローラー11の周速度は800m/分、加工延伸倍率
は2.7倍とし、仮撚ヒーター9としては、有効加熱長
13cmの加熱プレートを用い、熱処理温度を280℃
に設定し、熱処理時間は0.01秒であった。
【0063】さらに、スピンドル式巻取装置15のスピ
ンドル回転数は10000回/分に、巻取張力は10g
に設定した。
【0064】三軸摩擦仮撚型ディスク仮撚具10の摩擦
円板にはウレタンディスクを用い、その硬度、厚さ、枚
数及び糸条の走行角は、表1に示すように変更した。な
お、摩擦円板の周速は1600m/分、加撚張力は10
g、解撚張力は15gとした。
【0065】
【表1】
【0066】結果は表2に示す通りであり、摩擦円板の
硬度が75〜90度、厚さが7〜12mm、枚数が3〜
7枚、糸条の走行角が35〜45度の場合には良好な結
果が得られた(実施例1〜7)が、摩擦円板の硬度が7
5度未満では、摩擦円板の摩耗が激しく、使用寿命が短
くなると共に、摩擦円板の摩耗に起因する断糸も発生し
易くなり(比較例1)、摩擦円板の硬度が90度を越え
ると、撚掛け効率が低下し、十分な捲縮性能を付与する
のが困難となり、しかも、糸条が損傷を受けて、断糸、
毛羽が発生し易くなった(比較例2)。
【0067】また、厚さが7mm未満で、走行角が35
未満の場合は、糸送り力が低下して、断糸、毛羽が多
発し(比較例3)、厚さが12mmを越え、走行角が4
5度を越えると、十分な捲縮性能が得られず、断糸、毛
羽の発生も多くなった(比較例4)。さらに、円板枚数
が2枚以下では、糸条の走行状態が不安定となり、満足
な加工処理が行えず(比較例5)、8枚以上になると、
断糸、毛羽が発生し易くなり、加工糸の強度の低下も大
きくなった(比較例6)。
【0068】
【表2】
【0069】[実施例8〜10、比較例7、8]実施例
2において、加熱ローラー6の温度を表3に示すように
変更した。結果は表3に示す通りであり、加熱ローラー
温度が80〜150℃の範囲内にあるとき(実施例8〜
10)は良好な結果が得られたが、この範囲外では、断
糸、毛羽の発生が多かった(比較例7、8)。
【0070】
【表3】
【0071】[実施例11〜18、比較例9〜16]固
有粘度が0.64のポリエチレンテレフタレートを29
5℃で溶融して、表4に示す紡糸速度で引き取り、85
デニール/24フィラメントの未延伸糸条を得た。得ら
れた未延伸糸条の複屈折率(Δn)は、表4に示す通り
であった。
【0072】これらの未延伸糸条を用いて、実施例2の
方法で、同時延伸仮撚を行った。ただし、加熱ローラー
温度及び加工延伸倍率は、各未延伸糸条にとって最適と
なるように、表4に示すように変更した。
【0073】
【表4】
【0074】一方、比較のために、上記三軸摩擦仮撚型
ディスク仮撚具10に代えて、従来の三軸摩擦仮撚型デ
ィスク仮撚具(摩擦円板の硬度が95度、厚さが5m
m、枚数が4枚、糸条の走行角が30度)を使用し、そ
の他の条件は実施例11〜18と同一にして、同時延伸
仮撚加工を行った。
【0075】結果は表5に示す通りであり、未延伸糸条
の配向が低いほど、すなわち複屈折率(Δn)が小さい
ほど、本発明の効果が大きいことがわかる。
【0076】
【表5】
【0077】[実施例19〜26]実施例2において、
表6に示すように、仮撚ヒーター9の有効加熱長、該ヒ
ーターによる熱処理温度を変更した。
【0078】
【表6】
【0079】結果は表7に示す通りであり、ヒーターの
有効加熱長が5〜30cm、熱処理温度が150℃以
上、400℃未満の場合(実施例20、21、24、2
5)に、特に良好な結果が得られた。
【0080】
【表7】
【0081】
【発明の効果】本発明によれば、ポリエステル未延伸糸
条の非加撚状態での加熱を適正な温度で行い、かつ三軸
摩擦仮撚型ディスク仮撚具の摩擦円板の硬度、厚さ、枚
数及び糸条の走行角を適正化したので、低配向あるいは
繊度の小さい未延伸ポリエステル糸条を同時延伸仮撚加
工する際でも、断糸や毛羽が発生せず、安定に延伸仮撚
加工を行うことができ、しかも均一で高い捲縮率の仮撚
加工糸を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の同時延伸仮撚装置の一例を示す正面図
である。
【図2】図1に示した装置の側面図である。
【図3】本発明で使用する三軸摩擦仮撚型ディスク仮撚
具の一例を示す正面図である。
【図4】摩擦円板の外周上を接触走行する糸条の走行角
を説明するための図である。
【図5】従来の延伸仮撚装置の一例を示す概略側面図で
ある。
【符号の説明】
1 ポリエステル未延伸糸条 2 糸条解舒ガイド 3、4 プリテンションローラー 5 空気交絡ノズル 6 加熱ローラー 7 セパレートローラー 8 糸押えローラー 9 仮撚ヒーター 10 三軸摩擦仮撚型ディスク仮撚具 11 引取ローラー 12 セパレートローラー 13 空気交絡ノズル 14 巻取ガイド 15 スピンドル式巻取装置 16 パーン 17、18、19 回転軸 20、21、22、27 ガイドディスク 23、24、25、26 摩擦円板 28、29、30、31 プーリー 32 駆動ベルト 33 駆動プーリー 34 ブラケット 35、36 タイミングベルト Y 糸条 θ 走行角
フロントページの続き (56)参考文献 特開 昭56−148926(JP,A) 特開 昭49−86658(JP,A) 特開 昭63−28924(JP,A) 特開 昭54−38959(JP,A) 特開 昭55−16936(JP,A) 特公 昭52−38138(JP,B1) 特許3181794(JP,B2) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) D02G 1/00 - 3/48 D02J 1/00 - 13/00

Claims (6)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ポリエステル未延伸糸条を非加撚状態で
    加熱した後、該加熱終了点を加撚開始点として同時延伸
    仮撚加工するに際し、該非加撚状態での加熱を80〜1
    50℃の加熱ローラーで行い、該加熱ローラーの下流側
    に設けた仮撚の熱固定ヒーターに通した後、硬度が75
    〜90度、厚さが7〜12mmの摩擦円板を3〜7枚設
    けてなる三軸摩擦仮撚型ディスク仮撚具のすべての摩擦
    円板に、回転軸に対して35〜45度の走行角で接触走
    行させることを特徴とするポリエステル糸条の同時延伸
    仮撚加工方法。
  2. 【請求項2】 ポリエステル未延伸糸条の複屈折率(Δ
    n)が0.010〜0.035である請求項1記載のポ
    リエステル糸条の同時延伸仮撚加工方法。
  3. 【請求項3】 非加撚状態での加熱前に、ポリエステル
    未延伸糸条に予め交絡を付与する請求項1又は2記載の
    ポリエステル糸条の同時延伸仮撚加工方法。
  4. 【請求項4】 仮撚ヒーターの有効加熱長が5〜30c
    m、該仮撚ヒーターによる熱処理温度が150℃以上、
    400℃未満である請求項1、2又は3記載のポリエス
    テル糸条の同時延伸仮撚加工方法。
  5. 【請求項5】 加熱ローラーセパレートローラー、該
    加熱ローラーの表面に接して回転する糸押さえローラー
    からなる一対のゴデット型糸条供給ローラー、有効加熱
    長が5〜30cmの仮撚ヒーター、硬度が75〜90
    度、厚さが7〜12mmの摩擦円板を3〜7枚設けてな
    る三軸摩擦型ディスク仮撚具及び糸条引取ローラーを、
    この順に配設したことを特徴とする同時延伸仮撚加工装
    置。
  6. 【請求項6】 加熱ローラーの上流側に空気交絡ノズル
    を設けた請求項5記載の同時延伸仮撚加工装置。
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