JP3506572B2 - 弾性糸の給糸方法 - Google Patents

弾性糸の給糸方法

Info

Publication number
JP3506572B2
JP3506572B2 JP26841496A JP26841496A JP3506572B2 JP 3506572 B2 JP3506572 B2 JP 3506572B2 JP 26841496 A JP26841496 A JP 26841496A JP 26841496 A JP26841496 A JP 26841496A JP 3506572 B2 JP3506572 B2 JP 3506572B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
yarn
elastic yarn
elastic
guide
tension
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Expired - Fee Related
Application number
JP26841496A
Other languages
English (en)
Other versions
JPH10121342A (ja
Inventor
正明 柳原
博 村上
公夫 吉弘
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Teijin Fibers Ltd
Original Assignee
Teijin Fibers Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Teijin Fibers Ltd filed Critical Teijin Fibers Ltd
Priority to JP26841496A priority Critical patent/JP3506572B2/ja
Publication of JPH10121342A publication Critical patent/JPH10121342A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP3506572B2 publication Critical patent/JP3506572B2/ja
Anticipated expiration legal-status Critical
Expired - Fee Related legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Yarns And Mechanical Finishing Of Yarns Or Ropes (AREA)

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、弾性糸をパッケー
ジから解舒して、低張力を安定的に付加した状態で、糸
加工域へ導入する弾性糸の給糸方法に関する。
【0002】
【従来の技術】糸条をパッケージから解舒する方法とし
ては、大別して2通りある。その1は、パッケージを静
置し、軸方向に糸を引出すオーバーエンド解舒であり、
その2は、パッケージをその軸を中心に回転させ、軸に
垂直にかつパッケージの接線方向に糸条を引出す横解舒
である。
【0003】通常、非弾性糸では、前者のオーバーエン
ド解舒が採用され、ゴム状弾性糸では横解舒が採用され
ている。オーバーエンド解舒が弾性糸の解舒に使用され
ない理由は、弾性糸固有の性質に由来して、糸条がスム
ースに解舒されず、また、小さな張力で糸条が伸びるの
で、糸加工装置に供給される糸条に繊度変動、伸度変動
を持ち込み、その変動を持った弾性糸が非弾性糸と混
繊、混合仮撚、タスランなどの糸加工で複合されると、
製品に染着カスリ斑、引きつり、弾性糸被覆不良による
目むきなどの問題を生じるからである。
【0004】これに対して、横解舒で、かつ、パッケー
ジを一定速度で回転させるフリクション駆動装置を設け
て解舒する場合には、弾性糸を一定解舒張力で一定量安
定して解舒することができるが、その反面、フリクショ
ン駆動装置を設置する為の費用がかかり、またパッケー
ジが回転している為に、トランスファーテールを利用し
て原糸を途切れることなく供給して連続加工するという
ことができず、弾性糸のパッケージが空になると一旦機
械を止め新しいパッケージを供給し、再度糸掛けをして
加工を再開しなければならないという問題がある。
【0005】以上のような事から、弾性糸にオーバーエ
ンド解舒を採用し、安定した張力下に糸加工域へ給糸す
る方法が種々検討されてきたが、未だ満足できる方法は
提案されていない。
【0006】例えば、非弾性糸の場合には、解舒張力を
安定化させる効果的な方法として、張力補償機能を持つ
噛み込み方式のコンペンセーターを使用する。非弾性糸
のパッケージと供給ローラの間にコンペンセーターを設
けると、パッケージからの解舒張力の変動に応じて、コ
ンペンセーターと供給ローラの間の張力が高くなればそ
の張力でコンペンセーターの噛み込み押し広げて浅く
し、糸条を通過し易くし、張力が低くなるとコンペンセ
ーターの噛み込みが深くなって糸条に張力を付加し、安
定した張力で供給ローラを通過するようになる。
【0007】ところが、このようなコンペンセーターを
弾性糸に使った場合には、弾性糸特有の小さな力で大変
形を起し易い性質の為、コンペンセーターと供給ローラ
の間で張力が高くなれば、コンペンセーターと供給ロー
ラの間で弾性糸を引張り伸すことになり、張力安定の効
果は全くなく、むしろコンペンセーターを設けると逆に
張力変動が大きくなってしまって、非弾性糸で効果的な
張力安定化の手段が、弾性糸には役立たない。
【0008】このようなことから、弾性糸をオーバーエ
ンド解舒した場合の張力安定化手段の開発が望まれてい
た。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、弾性
糸をパッケージから解舒して糸加工域に導入するに際
し、特にオーバーエンド解舒で、安定した張力を付加し
て給糸する方法を提供することにある。
【0010】
【課題を解決するための手段】本発明は、弾性糸をパッ
ケージから解舒し、ヤーンガイドを経て、供給ローラを
介して糸加工域に導入するに際し、糸条パッケージと供
給ローラとの間に設けた、糸条と間歇接触してその接触
摩擦により回転するガイドによって、解舒された弾性糸
に張力を付加した状態で供給ローラに案内することを特
徴とする弾性糸の給糸方法である。
【0011】
【発明の実施の形態】以下、本発明の添付図面を参照し
つつ詳細に説明する。図1は、本発明の一実施態様を説
明する為の工程の模式図である。本発明に使用する弾性
糸は、ゴム状弾性を有する糸であり、ゴム糸、ポリウレ
タン弾性糸またはブロック共重合ポリエーテル・エステ
ル弾性糸である。
【0012】弾性糸2はパッケージ1から解舒され、ヤ
ーンガイド3を通って、糸条と間歇接触してその接触摩
擦により回転するガイド4によって、解舒された弾性糸
に張力を付加した状態で、供給ローラ5を介して糸加工
域6へ導入される。
【0013】弾性糸2はパッケージ1から解舒される時
ガイド3との間で解舒バルーニングを起す。この解舒バ
ルーニングは、実撚カバリング加工のような数m/mi
n以下の解舒の時は比較的影響が少いが、複合仮撚加
工、混繊インターレース加工、そして複合タスラン加工
のように数+m/min以上の解舒の時は、大きな張力
変動を起す。バルーニングが脹むときには弾性糸が引張
られ、バルーニングが萎むときには弾性糸が緩む。この
緩みが供給ローラ5を介して糸加工域6へ導入される
と、糸加工が不均一になり、弾性糸を他の糸で被覆する
カバリング性不良部(所謂目むき)を生じてしまう。
【0014】回転するガイド4はヤーンガイド3と供給
ローラ5との間で、前記のような現象によって弾性糸2
の張力が大幅に変動している場所に設けられる。
【0015】回転するガイド4は糸条2と間歇接触して
いるので、その回転速度は入力される張力の変動に応じ
てそのまま速度変化することはなく、糸条2と回転する
ガイド4との間でスリップを起こし、回転速度が適度の
範囲内に維持され、糸条の張力をコンペンセートするよ
うに作用する。そして、回転するガイド4は糸条との接
触摩擦により自由回転するので、糸条に安定化した低い
水準の張力が付加される。
【0016】弾性糸の場合、前記したように噛み込み式
のコンペンセーターは全く役に立たなかったのに対し
て、本発明の回転するガイドによれば、うまくコントロ
ールされ、かつ低い張力を付加することができる。
【0017】ここでガイド3は、弾性糸との摩擦力が出
来るだけ小さいものが良く、梨地クロームメッキガイド
や粒子が丸味を帯びたセラミックガイドを使用するのが
好ましい。ガイドの形状は環状のものが好適で、閉じた
環状、一部が開いた環状、筒状、スネールガイド等が適
している。
【0018】その際、糸条と間歇接触し、その接触摩擦
により回転するガイド4は、その平均回転周速度(V′
G )が、供給ローラ5の回転周速度(VR )に対して、
0.55VR ≦V′G ≦0.95VR の関係で回転する
ことが好ましく、更に好ましくは0.65VR ≦V′G
≦0.85VR である。ここでVG ≦0.95VR とす
るのは、弾性糸に低張力ではあるが、張力を付加する為
であり、目むき欠点を防止する為である。
【0019】V′G >0.95VR では緩み張力の影響
で糸加工が不均一になることがあり、特にV′G ≧VR
では、緩みが糸加工域に入り糸加工が不均一になり目む
き欠点を生じやすくなる。
【0020】逆にV′G <0.55VR では弾性糸にか
かる張力が高くなり、伸張変形を伴うのでこの場合も張
力が不安定になる。
【0021】回転するガイド4の平均回転周速度(V′
G )を供給ローラの回転周速度(VR )に対して、0.
55VR ≦V′G ≦0.95VR として、低張力ではあ
るが、張力を付加し、更に、該回転するガイド4の回転
周速度(VG )を平均回転周速度(V′G )の周りに±
0.12VR (但し、V′G +0.12VR <VR )の
範囲内で変化させて、弾性糸の張力を安定化させる。V
G が、VG >V′G +0.12VR 或はVG <V′G
0.12VR の範囲まで回転速度の変化を起こすと張力
を安定化させ難い。
【0022】前記のように、該回転するガイド4の回転
速度(VG )及び平均回転速度(V′G )を供給ローラ
の回転速度(VR )に対して、0.55VR ≦V′G
0.95VR 及びVG =V′G ±0.12VR の関係を
満足させるには、回転ガイド4の使用を以下のようにす
る。
【0023】回転するガイド4は、糸条と接触する部分
の長さ(L1 )と糸条と接触しない部分の長さ(L2
との比を1:0.8〜1:2.5として、糸条と間歇接
触させ、その接触摩擦により回転させる。接触する部分
の長さの(L1 )比率が多くなりすぎると、パッケージ
1から解舒されたときに生じるバルーニング張力の変化
の幅に対して回転するガイド4の回転周速度VG がその
まま呼応して変化するので、弾性糸の張力を安定化させ
ることが困難となり、全てが接触する部分となった回転
ガイドでは、本発明の効果は得られない。また、逆に接
触する部分の長さ(L2 )の比が少なくなりすぎると、
弾性糸と回転するガイドとの摩擦が小さくなりすぎて必
要な回転周速度が得られず、過大な張力がかかり張力変
動も大きくなってしまう。
【0024】L1 とL2 との比が1:0.8〜1:2.
5の場合は、弾性糸2のパッケージ1からの解舒張力が
高くなりすぎた時には、弾性糸2と回転するガイド4と
の接触摩擦が高くなり、回転するガイド4は速く回転し
ようとするが、L1 とL2 との比率で間歇接触するの
で、回転するガイド4の周上で糸がスリップを起こし、
ガイド4がVG =V′G ±0.12VR を満足する範囲
内で回転して、張力変動を少なくしようとする。逆に解
舒張力が低くなりすぎた時には、弾性糸2と回転するガ
イド4との接触摩擦が低くなり、ガイド4は遅く回転し
ようとするが、間歇接触するので、回転するガイド4の
周上で糸がスリップを起こし、同様にガイド4がVG
V′G ±0.12VR を満足する範囲内で回転して、張
力変動を少なくしようとする。
【0025】以上のようにして、弾性糸2の張力は供給
ローラ5の直前で、平均張力が7×10-3g/de〜5
0×10-3g/deの範囲でコントロールされ、特別解
舒性の悪い糸でない限り、14×10-3g/de〜38
×10-3g/deの範囲でコントロールされる。平均張
力が7×10-3未満では、張力変動で緩みが糸加工域に
入り弾性糸が他の糸で被覆されない所謂目むき欠点を生
じる。逆に平均張力が50×10-3g/deを越えると
弾性糸が伸張され、張力変動が弾性糸の繊度変動、伸度
変動として問題を起こす。
【0026】更に、回転するガイド4について例をあげ
て詳しく説明する。図2に例示するガイドは、2枚の円
板7、7′の間に、糸条ガイド溝(糸条が接触する部
分)8を有する多数の糸条接触片9を円周上に配置した
ものである。この他、図3に示すように角12と窪13
とを交互に有する多角形体や、図4(イ)に示したよう
な接触片14を図4(ロ)に示すように円板に同心円上
に配置して取付、それを2枚用意して対面させ図4
(ハ)のように接触片14、14′を噛み合わせ糸条が
接触するガイド溝16を形成させたものでもよい。図4
(ハ)において、接触片14、14′は接触させてもよ
いし、または、その間に糸が接触しない空間を設けて交
互に配置してもよい。
【0027】回転するガイドが間歇接触する部分の材質
は、弾性糸との摩擦力が小さいものがよく、丸味を帯び
た粒子或は平板状の粒子からなるセラミック、梨地クロ
ムメッキされた金属等が好ましい。
【0028】回転するガイドの直径(D)と重量(W)
は、弾性糸に低い張力を安定して付加する目的から、直
径(D)は糸条が接触する部分を結んで形成される円の
直径で15〜100mmが好ましく、20〜40mmが
より好ましい。重さ(Wg)は弾性糸の繊度(Deデニ
ール)との関係で、5×10-2De≦W≦20×10-2
Deが好ましく、更に8×10-2De≦W≦15×10
-2Deがより好ましい。
【0029】回転するガイドの軸にはベアリングを使用
し、出来るだけ軽く回転し、糸条の接触摩擦に追随して
回転速度が変化するものが適している。
【0030】糸条が間歇接触する接触片での接触長は1
片当たり0.5〜3mmが好ましく、0.8〜1.3m
mがより好ましい。
【0031】また、接触部(接触片)の数は、ガイドの
直径との関係で、10〜50個の範囲から選べばよく、
通常20〜40個が好ましい。
【0032】回転するガイドへの糸条の接触長は、ガイ
ドの全周を一周させてもよいが、通常1/4〜1/2接
触させるのが糸の走行性がよい。
【0033】回転するガイド4を設ける位置は、低張力
を安定して付加する点から図1に例示したようにパッケ
ージの軸の略中心位置に置いたヤーンガイド3の直後に
設けるのが最も好ましい。もし、ヤーンガイド3の後に
別のヤーンガイドを置いて糸道を屈曲させる場合には、
ヤーンガイド3と回転するガイド4との間で合計90度
以下の屈曲に止めることが好ましい。
【0034】次に、本発明の弾性糸の給糸方法が効果的
に使用される糸加工域について説明する。この弾性糸の
給糸方法は、弾性糸を芯として、被弾性糸を側糸として
被覆する糸加工に効果を発揮し、複合仮撚加工、複合タ
スラン加工、複合混繊加工等に適用できる。
【0035】その中でも、複合仮撚加工においては、弾
性糸の瞬間的な緩みが仮撚の撚張力バランスの関係から
弾性糸が複合仮撚加工糸の側糸より外側に現われ、所謂
目むき現象を起こし織編物の品質欠点になるので、その
解決策として本発明の方法の適用が有効である。
【0036】以下、弾性糸を芯とし、ポリエステルフィ
ラメントを側糸とする複合仮撚加工を例にあげて説明す
る。
【0037】図5において、弾性糸2は、パッケージ1
から解舒され、ヤーンガイド3を通って、糸条と間歇接
触し、その接触摩擦により回転するガイド4によって、
解舒された弾性糸に低い張力を付加した状態で、供給ロ
ーラ5を介して糸加工域へ導入される。
【0038】弾性糸2は、ローラ5をローラ18の間で
予備延伸され緊張状態とした後、熱可塑性非弾性糸の未
延伸糸Aと半延伸糸Bとを合糸した糸条17と引揃え、
ローラ20との間に設けたインターレースノズル19に
通して交絡を付与される。次いで、ローラ20とローラ
23との間に設けたヒーター21と仮撚具22との間で
同時延伸仮撚、熱固定、解撚を行なった後、巻取機24
で巻取って嵩高弾性加工糸を得る。
【0039】また、別の複合仮撚加工の例を図6によっ
て説明する。弾性糸2は図5の場合と同様に解舒され
て、ローラ5と段付ローラ26の大径部との間で予備延
伸し緊張状態とした後、熱可塑性非弾性糸の未延伸糸A
と半延伸糸Bとを合糸した糸条25と引揃えて段付ロー
ラ26の大径部にセパレートローラ27を介して4回捲
回しつつ該段付ローラ26の小径部にセパレートローラ
27を介して移行し4回捲回させ、その際、両糸が大径
部から小径部に移行する間にそれら糸条をインターレー
スノズル28を用いて混繊・交絡する。
【0040】ここで、該段付ローラの少なくとも小径部
は、熱可塑性非弾性糸のガラス転位点温度以上に加熱
し、該混繊・交絡された糸条を、段付ローラの小径部の
ローラの周上で加熱した後、仮撚具31、ヒーター30
を用いて、加熱された段付ローラ小径部の加熱終了点を
加撚開始点として仮撚、熱固定、解撚を施し、引取ロー
ラ32で引取って嵩高弾性加工糸をパーン33に巻取
る。なお、段付ローラ小径部の加熱終了点に押えローラ
29を設けて、撚遡及をそこで止め加撚開始点を固定す
ると加工が安定する。
【0041】
【実施例】
[実施例1]弾性糸として、ポリブチレンテレフタレー
トをハードセグメントとし、ポリオキシブチレングリコ
ールをソフトセグメントとするブロック共重合ポリエー
テルエステル未延伸糸モノフィラメント(繊度70デニ
ール、伸度800%)を用い、図1の工程で、弾性糸2
をそのパッケージ1から解舒し、糸条と間歇接触し、そ
の接触摩擦により回転するガイド4によって、解舒した
弾性糸に低い張力を付加した後、速度90m/minで
回転する供給ローラ5で糸加工域へ導入した。
【0042】その際、回転するガイド4としては、図2
に示した形状のものを用いた。ガイドの直径(糸条がガ
イドと間歇接触する点を結んで形成される円の直径)は
25mm、糸条接触片9の材質はセラミックとし、その
糸条との接触部での厚さを1mmとして、円周上に32
個を配置した。回転するガイド4の回転軸にはベアリン
グを設け、重量は8gとした。また、弾性糸2をガイド
4に接触させる長さは周長の1/4とした。
【0043】その時、回転するガイド4の平均回転周速
度(V′G )は供給ローラ5の回転周速度(VR )に対
してV′G =0.75VR の関係にあり、経時的な回転
周速度(VG )の変化はV′G ±0.12VR の範囲で
コントロールされていた。
【0044】その結果、供給ローラ(5)の直前の弾性
糸の張力は、平均張力1.5g(21×10-3g/d
e)で、張力変動幅は0.7g(10×10-3g/d
e)と、低い張力を安定して付加して、糸加工域へ供給
することができ、糸加工域で複合仮撚加工した所、目む
き欠点のない嵩高弾性糸を得た。
【0045】[比較例1]実施例1と同じ弾性糸を用い
て、図1の工程で回転するガイド4を間歇接触するもの
でなく、全体的に接触する回転ガイドとして、供給ロー
ラ5で糸加工域へ導入した。
【0046】その時、V′G =0.52VR であり、V
G =V′G ±0.45の範囲で大きく変動し、その結
果、供給ローラ(5)の直前の弾性糸の張力は平均55
×10-3g/deで、張力変動幅は32×10-3g/d
eとなり、張力レベルも変動幅も過大となってしまっ
た。糸加工域へ導入して実施例1と同様に加工した所、
図7(ロ)のように弾性糸が側糸の外へ出た目むき欠点
の混在する嵩高弾性糸であった。
【0047】[実施例2]弾性糸として、ポリブチレン
テレフタレートをハードセグメントとし、ポリオキシブ
チレングリコールをソフトセグメントとするブロック共
重合ポリエーテルエステル未延伸糸モノフィラメント
(繊度70デニール、伸度800%)を用い、図1の工
程で、弾性糸2をそのパッケージ1(巻径20cm、巻
幅5cm)からガイド3(梨地クロムメッキを施した金
属ガイド、穴径2mm)を通して解舒し、糸条と間歇接
触し、その接触摩擦により回転するガイド4によって、
解舒した弾性糸に低い張力を付加した後、速度90m/
minで回転する供給ローラ5で糸加工域へ導入した。
【0048】その際、回転するガイド4としては、図2
に示した形状のものを用いた。ガイドの直径(糸条がガ
イドと間歇接触する点を結んで形成される円の直径)は
25mm、糸条接触片9の材質はセラミックとし、その
糸条との接触部での厚さを1mmとして、円周上に32
個を配置した。回転するガイド4の回転軸にはベアリン
グを設け、重量は8gとした。また、弾性糸2をガイド
4に接触させる長さは周長の1/4とした。
【0049】その時、回転するガイド4の平均回転周速
度(V′G )は供給ローラ5の回転周速度(VR )に対
してV′G =0.75VR の関係にあり、経時的な回転
周速度(VG )の変化はV′G ±0.12VR の範囲で
コントロールされていた。
【0050】その結果、供給ローラ(5)の直前の弾性
糸の張力は、平均張力1.5g(21×10-3g/d
e)で、張力変動幅は0.7g(10×10-3g/d
e)と、低い張力を安定して付加して、糸加工域へ供給
することができ、糸加工域で複合仮撚加工した所、目む
き欠点のない嵩高弾性糸を得た。
【0051】[実施例3]弾性糸として、切断伸度が8
00%の、ポリブチレンテレフタレートをハードセグメ
ントとし、ポリオキシブチレングリコールをソフトセグ
メントとするブロック共重合ポリエーテルエステル未延
伸モノフィラメント(70デニール)を用い、熱可塑性
非弾性糸として、切断伸度が135%の、ポリエステル
マルチフィラメント半延伸糸(115デニール/10フ
ィラメント)および切断伸度が330%の、ポリエステ
ルマルチフィラメント未延伸糸(150デニール/48
フィラメント)を用いて図5の工程で加工した。
【0052】弾性糸2は、回転するガイド4によって、
実施例1と同様にして、供給ローラ5によって糸加工域
へ導入した。
【0053】弾性糸2をローラ5とローラ18で4倍に
延伸した後、ローラ18の上流側で前記2種類のポリエ
ステルマルチフィラメントと引揃え、ローラ20との間
に設けたインターレースノズル19に通して圧空圧4k
g/cm2 、オーバーフィード率2.5%で約60ケ/
mの交絡を付与した。次いで、ローラ20と延伸ローラ
23との間に設けた加熱板21と仮撚ディスク22との
間で同時延伸仮撚、熱固定、解撚を行なった後、巻き取
り機24で巻き取って嵩高弾性糸を得た。この時の延伸
倍率は1.6倍、加熱板の温度は160℃、仮撚ディス
クの周速度は600m/分、延伸ローラ速度は300m
/分であった。
【0054】この嵩高弾性糸に150t/mのS撚をか
けて、経100本/インチ、緯60本/インチの密度で
平織に製織した後、常法に従い精練、プレセット、染
色、ファイナルセットを行なった。得られた織物は、ソ
フトでスパンライクな風合と外観を有しており、良好な
伸縮性能を示した。また、該織物の経および緯方向にそ
れぞれ30%の伸張を与えた時の外観を観察した結果、
目むきの発生は全く見られなかった。
【0055】[実施例4]弾性糸として、切断伸度が6
00%の、ポリブチレンテレフタレートをハードセグメ
ントとし、ポリオキシブチレングリコールをソフトセグ
メントとするブロック共重合ポリエーテルエステル未延
伸モノフィラメント(20デニール)を用い、熱可塑性
非弾性糸として、切断伸度が135%の、ポリエステル
マルチフィラメント半延伸糸(50デニール/10フィ
ラメント)および切断伸度が330%の、ポリエステル
マルチフィラメント未延伸糸(50デニール/24フィ
ラメント)を用いて図6の工程で加工した。
【0056】弾性糸2は、回転するガイド4によって、
実施例1と同様にして、供給ローラ5によって糸加工域
へ導入した。
【0057】ローラ5によって導入された弾性糸2は、
ローラ5と段付ローラ26の大径部(直径91.8m
m)との間で2.0倍延伸し、緊張状態にある弾性糸
と、前記2種類のポリエステルマルチフィラメント糸と
を合糸して、合糸引揃え状態で段付ローラ26の大径部
にセパレートローラを介して4回捲回しつつ、120℃
に加熱された段付ローラの小径部(直径90.0mm)
にセパレートローラを介して移行し4回捲回させ、その
際、両糸が大径部から小径部に移行する間にそれら糸条
をインターレースノズルを用いて、オーバーフィード率
2%、圧空圧2kg/cm2 で混繊・交絡(交絡数74
個/m)し、引き続いて、該加熱された段付ローラの小
径部のローラの周上で加熱した後、フリクション仮撚装
置31(フリクションディスクの表面速度/糸速度=
1.9)、熱板ヒーター30(長さ20cm、温度20
0℃)を用いて、加熱された段付ローラ小径部の加熱終
了点を加撚開始点として仮撚、熱固定、解撚を施し、4
00m/minの速度で引取ローラ32で引取って、巻
取装置33により嵩高弾性糸をパーンとして巻取った。
【0058】得られた嵩高弾性糸を実施例3と同様にし
て評価した所、目むき欠点のない品質レベルの高いもの
であった。
【0059】
【発明の効果】本発明によれば、弾性糸をパッケージか
ら解舒して糸加工域に導入するに際し、特にオーバーエ
ンド解舒で、低張力を安定的に付加して給糸することが
できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施態様を説明する為の工程の模式
図である。
【図2】回転するガイドの一例を示す図。
【図3】回転するガイドの他の例を示す図。
【図4】回転するガイドの他の例を示す図であり、
(イ)は接触片、(ロ)はそれを円板に同心円上に配置
して取付けた状態、(ハ)は接触片を噛み合わせ糸条が
接触するガイド溝を形成させた状態を示す図である。
【図5】糸加工域が複合仮撚加工である工程の一例を示
す図。
【図6】糸加工域が複合仮撚加工である工程の他の例を
示す図。
【図7】弾性糸を芯糸とし、非弾性糸を側糸として弾性
糸を被覆した嵩高弾性糸の断面図で、(イ)は良糸、
(ロ)は不良糸(所謂目むき糸)である。
【符号の説明】
1……弾性糸パッケージ 2……弾性糸 3……ヤーンガイド 4……回転するガイド 5……供給ローラ 6……糸加工域 7、7′……円板 8……糸条ガイド溝(接触部) 9……糸条接触片 10……空間(糸条非接触部) 11……回転軸 12……糸条接触部 13……糸条非接触部 14、14′……接触片 15、15′……接触片の円板への取付面 16……接糸部 17……熱可塑性非弾性糸 18、20、23……ローラ 19……インターレースノズル 21……ヒーター 22……仮撚具 24……巻取機 25……熱可塑性非弾性糸 26……段付ローラ 27……セパレートローラ 28……インターレースノズル 29……押えローラ 30……ヒーター 31……仮撚具 32……引取ローラ 33……巻取装置 34……弾性糸 35、36……非弾性糸 A、B……熱可塑性非弾性糸
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 昭47−16752(JP,A) 特開 平6−316826(JP,A) 特開 平6−10226(JP,A) 特開 平8−120533(JP,A) 特公 昭49−40017(JP,B1) 実公 昭45−27304(JP,Y1) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) D02G 1/00 - 3/48 D02J 1/00 - 13/00

Claims (8)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 弾性糸をパッケージから解舒し、ヤーン
    ガイドを経て、供給ローラを介して糸加工域に導入する
    に際し、糸条パッケージと供給ローラとの間に設けた、
    糸条と間歇接触してその接触摩擦により回転するガイド
    によって、解舒された弾性糸に張力を付加した状態で供
    給ローラに案内することを特徴とする弾性糸の給糸方
    法。
  2. 【請求項2】 糸条と間歇接触してその接触摩擦により
    回転するガイドが、弾性糸が糸条パッケージから解舒さ
    れて最初に通過するヤーンガイドの直後に設けられた請
    求項1記載の弾性糸の給糸方法。
  3. 【請求項3】 糸条と間歇接触してその接触摩擦により
    回転するガイドの平均回転周速度(V′G )が供給ロー
    ラの回転周速度(VR )に対して、0.55VR ≦V′
    G ≦0.95VR の関係にある請求項1または2記載の
    弾性糸の給糸方法。
  4. 【請求項4】 糸条と間歇接触してその接触摩擦により
    回転するガイドの回転周速度(VG )が平均回転周速度
    (V′G )の周りに±0.12VR (但しV′G +0.
    12VR <VR )の範囲内で変化して、弾性糸の張力を
    安定化させる請求項1または3記載の弾性糸の給糸方
    法。
  5. 【請求項5】 糸条と間歇接触してその接触摩擦により
    回転するガイドの、糸条と接触する部分の長さと接触し
    ない部分の長さとの比が1:0.8〜1:2.5の範囲
    にある請求項1、2、3または4記載の弾性糸の給糸方
    法。
  6. 【請求項6】 弾性糸の張力が供給ローラの直前で平均
    張力が7×10-3g/de〜50×10-3g/deであ
    る請求項1、2、3、4または5記載の弾性糸の給糸方
    法。
  7. 【請求項7】 糸加工域が、緊張状態にある弾性糸と、
    伸度差を有する少なくとも2種以上の熱可塑性合成繊維
    とを同時に混繊・交絡した後、仮撚、熱固定および解撚
    する加工域である請求項1記載の弾性糸の給糸方法。
  8. 【請求項8】 糸加工域が、緊張状態にある弾性糸と、
    伸度差を有する少なくとも2種以上の熱可塑性合成繊維
    とを同時に混繊・交絡した後、該混繊・交絡糸を非加撚
    状態で、加熱された仮撚域供給ローラの周上で加熱した
    後、該加熱終了点を加撚開始点として仮撚、熱固定およ
    び解撚する加工域である請求項1記載の弾性糸の給糸方
    法。
JP26841496A 1996-10-09 1996-10-09 弾性糸の給糸方法 Expired - Fee Related JP3506572B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP26841496A JP3506572B2 (ja) 1996-10-09 1996-10-09 弾性糸の給糸方法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP26841496A JP3506572B2 (ja) 1996-10-09 1996-10-09 弾性糸の給糸方法

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JPH10121342A JPH10121342A (ja) 1998-05-12
JP3506572B2 true JP3506572B2 (ja) 2004-03-15

Family

ID=17458157

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP26841496A Expired - Fee Related JP3506572B2 (ja) 1996-10-09 1996-10-09 弾性糸の給糸方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP3506572B2 (ja)

Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US9156648B2 (en) 2009-12-28 2015-10-13 Unicharm Corporation Elastic thread supply device
KR101804931B1 (ko) 2016-10-05 2017-12-05 주식회사 에스케이 신축사와 비신축사를 포함한 복수개의 합사로 형성되는 교락사 제조방법 및 이에 의해 제조된 교락사

Families Citing this family (5)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP4563611B2 (ja) * 2001-04-26 2010-10-13 旭化成せんい株式会社 伸縮性複合糸の製造方法
KR100659798B1 (ko) * 2005-12-02 2006-12-19 주식회사 효성 탄성사용 oeto 해사장치 및 이에 의한 해사방법
JP6109263B2 (ja) * 2015-08-25 2017-04-05 ユニ・チャーム株式会社 使い捨ておむつの製造装置及び使い捨ておむつの製造方法
KR102527204B1 (ko) * 2021-03-31 2023-05-02 케이에이치넷케미칼(주) 망제조용 경편기의 실안내구
CN114232159B (zh) * 2021-12-24 2023-04-14 江苏恒力化纤股份有限公司 一种黑色仿棉纤维的制备方法

Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US9156648B2 (en) 2009-12-28 2015-10-13 Unicharm Corporation Elastic thread supply device
KR101804931B1 (ko) 2016-10-05 2017-12-05 주식회사 에스케이 신축사와 비신축사를 포함한 복수개의 합사로 형성되는 교락사 제조방법 및 이에 의해 제조된 교락사

Also Published As

Publication number Publication date
JPH10121342A (ja) 1998-05-12

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP3087853B2 (ja) 混紡繊維およびその製造方法
US4501046A (en) Method and apparatus for producing synthetic multifilament yarn
US4033103A (en) Process and apparatus for producing a variable diameter alternate twist yarn
US4103481A (en) Variable diameter yarn
US4346553A (en) Helically wrapped yarn
JP3506572B2 (ja) 弾性糸の給糸方法
JPS6119737B2 (ja)
US4329841A (en) Method for the production of a synthetic crepe yarn
JPS633049B2 (ja)
JP3527007B2 (ja) ポリエステル糸条の同時延伸仮撚加工方法及び仮撚装置
JP3253685B2 (ja) 不均一複合加工糸及びその製造方法
JPH10259535A (ja) 弾性糸の給糸方法
US3816989A (en) Yarn driven friction falsetwister
JPH0262611B2 (ja)
JPS6140771B2 (ja)
JPS5936009B2 (ja) 毛羽加工糸及びその製造方法
US3546744A (en) Method for dephasing textured yarn
JP3073585B2 (ja) ポリエステル嵩高交絡糸の製造方法
JPS5837415B2 (ja) ネツカソセイゴウセイセンイマルチフイラメントトクシユカコウイトノ セイゾウホウホウ
US4382992A (en) Potentially bulky yarn
JP4563611B2 (ja) 伸縮性複合糸の製造方法
JPS626012B2 (ja)
JPS62170541A (ja) スパンライク調複合加工糸の製造方法
JPS626010B2 (ja)
JPH0248656B2 (ja) Juchakukarinenshinoseizohoho

Legal Events

Date Code Title Description
A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20031216

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20071226

Year of fee payment: 4

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20081226

Year of fee payment: 5

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20081226

Year of fee payment: 5

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20091226

Year of fee payment: 6

LAPS Cancellation because of no payment of annual fees