JP3128950B2 - 仮撚加工糸の製法 - Google Patents

仮撚加工糸の製法

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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、仮撚加工糸の製法の改
善に関し、さらに詳しくは、仮撚加工糸の製法の加工安
定化および品質を維持した高速化に関するものである。
【0002】
【従来技術】従来、仮撚加工糸の製法は、糸条を仮撚ス
ピンドルで加撚し、加熱体で糸条を加熱し、室温の空気
と接触して冷却し加撚された糸条の形態を熱固定(熱セ
ット)し、仮撚スピンドルを通って解撚され、捲縮をも
つ仮撚加工糸とする方法が採用されてきた。
【0003】かかる方法において、加工速度を上げて生
産性を向上しようとすると、同時に仮撚加工の加熱時間
と冷却時間が短くなり、仮撚加工の熱セットが不十分に
なってしまうという欠点があった。そこで、加熱域と冷
却域を延長し、熱セット性を従来と同等に保とうとする
と、糸条を高速で加撚することとなり、そのために糸条
が振動し、加熱板と糸条との接触が間欠的になり、加熱
効率が低下し、やはり熱セットが不十分になるという欠
点が発現した。次にかかる糸条の振動を抑えるために、
加熱板をU字型あるいはV字型の溝にし、加熱板長手方
向に糸条を押さえるように曲率をつけた。冷却域にもU
字型あるいはV字型の溝で、長手方向に曲率をつけ、糸
条を押さえる接糸板(冷却板)を設ける方法が提案され
た。この方法において、当初糸条の振動を抑えるために
加熱板と冷却板の曲率は十分大きな値が採用されてい
た。この頃、仮撚スピンドルがピンスピンドルから摩擦
仮撚方式に改良され、加工速度が飛躍的に向上された。
しかし、加工速度の向上とともに加熱板と冷却板の大き
な曲率が原因で糸切れと毛羽が発生するという問題が出
現した。そのため、加熱板や冷却板の曲率を糸条が振動
しない程度に小さくする試みがなされ、その結果、加熱
板の長さ約2.5m、冷却板の長さ約2mで、曲率半径
約30mという条件で、加工速度の限界を約1000m
/min まで向上させることができた。
【0004】以上のような仮撚加工装置では、上述の加
工速度をさらに高速化すると、同様な問題、すなわち、
加撚糸条が振動し、接糸板による毛羽発生や糸切れが多
発し、熱セット時間が短いため、得られる仮撚加工糸の
糸質が不十分であり、織り編み等の工程通過性も悪化す
るという欠点が出現した。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】本発明者らは、上記従
来仮撚加工糸の製法を改善し、仮撚加工速度をさらに高
速化するに際し、発生する仮撚の加撚糸条の振動を抑
え、糸切れ、毛羽発生のない加工安定性を高め、良質な
仮撚加工糸を得るために鋭意検討を重ねた結果、本発明
に到達した。
【0006】本発明の目的は、仮撚加工糸の製法に関
し、糸条の振動、糸切れおよび毛羽発生をなくし、しか
も高速で優秀な糸質を得るための仮撚加工方法を提供せ
んとするものである。
【0007】
【課題を解決するための手段】上記した目的を達成する
ために、本発明は以下の構成からなる。
【0008】すなわち、本発明の仮撚加工糸の製法は、
仮撚加工の糸速度が17 m/sec 以上で、加撚張力が
0.6 g/デニール以下で、かつ撚数が(1)式を満た
す加撚糸条を形成しつつ、接糸体を用いて仮撚加工する
方法において、該接糸体として(2)および(3)式を
満たす曲率半径の接糸部を有するものを用い、かつJISL
1090-1977に準じて求められる仮撚加工糸の捲縮復元率
(CR)を30%以上にすることを特徴とするものであ
る。
【0009】 T≧24.0/(D/ρ)1/2 ………………… (1) R≦4200/(V×T×(D/ρ)1/2 ) ………… (2) 1000/(V×T×(D/ρ) 1/2 )≦R ………… (3) 式中、Dは仮撚加工後の糸の繊度(デニール)、ρは仮
撚加工後の糸の密度(g/ m3 )、Tは糸1mあたりに
挿入する仮撚数(回/m )、Vは仮撚加工の糸速度( m
/sec )、Rは接糸板の接糸部の曲率半径(m)であ
る。
【0010】
【0011】
【0012】
【作用】以下、本発明をさらに詳しく説明する。
【0013】本発明は、仮撚加工の糸速度が17 m/se
c 以上の高速で、加撚張力が0.6g/デニール以下の
低張力で、高い撚数で、加撚部糸条の軌跡の振動を押さ
えるために加撚部を積極的に支持する接糸体を用い、捲
縮復元率CR%の高い仮撚加工糸を得る仮撚加工の製法
において、高い加工安定性を得るために小さな曲率半径
の接糸部を持つ接糸体を用いて仮撚加工することであ
り、接糸部の曲率半径が、加撚糸条の振動やバルーニン
グを抑制し、糸切れ、毛羽発生をおさえ、工程通過性の
問題のない均一で良質な加工糸を、従来以上の高速で生
産する際に重要な作用を有することを確認したものであ
る。
【0014】すなわち、本発明は従来知られているもの
より小さい曲率半径の接糸部を有する接糸体を採用する
ことにより、高速においても加撚糸条を安定に走行させ
ることができることを究明したものである。
【0015】かかる加撚糸条の振動やバルーニングを抑
制し、糸切れ、毛羽発生をおさえ、工程通過性の問題の
ない均一で良質な加工糸を得るために、加撚糸条表面の
円周長さに反比例する仮撚数で仮撚加工すると、捲縮復
元率30%以上の高い捲縮特性をもつ仮撚加工糸になる
ことを見つけた。すなわち、仮撚数Tが、24.0を加
撚糸条の円周長さをあらわす(D/ρ)1/2 で除した以
上の値にすると、具体的には下記式(1)を満たすこと
である。
【0016】 T≧24.0/(D/ρ)1/2 ………………………… (1) かかる加撚糸条の振動やバルーニングを起こす限界を調
べたところ、接糸体の接糸部の曲率半径と加撚糸条の表
面速度とが反比例の関係にあることを発見し、接糸体の
接糸部の曲率半径Rと加撚糸条の表面速度(V×T×
(D/ρ)1/2 )の積が4200以下であれば、加撚糸
条に振動やバルーニングは発生しない。したがって、糸
切れや毛羽発生をおさえ、高速でしかも、しかも0.6
g/デニール以下の低張力で仮撚加工するためには、下
記式(2)を満たすことである。
【0017】 R≦4200/(V×T×(D/ρ)1/2 ) …………………… (2) 好ましくは、 R≦3150/(V×T×(D/ρ)1/2 ) さらに好ましくは、 R≦2100/(V×T×(D/ρ)1/2 ) を満たすことである。これにより、仮撚加工の糸速度V
を17 m/sec 以上の高速度に改善でき、さらに、得ら
れる仮撚加工糸の捲縮復元率CRを30%以上に改善す
ることができる。
【0018】すなわち、曲率半径が、たとえば30m以
上の従来常識的なものの場合には、加撚糸条の受ける接
糸体との摩擦力が小さくなるので、糸張力を下げること
ができる。しかし、このような場合でも、加工速度を従
来常識以上にすると加撚糸条の振動やバルーニングを十
分抑制することができない。
【0019】したがって、かかる接糸体を使用しても、
仮撚加工速度を高速化すると糸条の振動やバルーニング
が発生しやすくなり、毛羽発生や糸切れが生産において
多発し、結局、本発明の目的である仮撚加工の高速化を
達成することはできない。
【0020】また、該接糸部の曲率半径が極端に小さい
と、加撚糸条に発生する振動やバルーニングは十分抑制
できるが、加撚糸条が接糸体より受ける摩擦力が糸張力
に影響する程度に大きくなり、毛羽発生や糸切れが増え
る。さらに糸条上流への撚伝播が妨げられ、捲縮復元
率、カサ高性および伸縮性などが低下し、熱水収縮率が
高くなり、結局、本発明の目的である良好な糸質の加工
糸を得ることも、従来より高速化した仮撚加工を達成す
ることもできない。そこで、検討を重ねた結果、該接糸
部の曲率半径Rの下限界を発見したのである。
【0021】すなわち、仮撚加工の撚数が、下記式
(1) T≧24.0/(D/ρ)1/2 ………………………… (1) を満たす高い撚数で、加撚張力が0.6 g/デニール以
下の低張力、仮撚加工の糸速度Vが17 m/sec 以上の
高速度であるという条件で、得られる仮撚加工糸の捲縮
復元率CRが30%以上の良質な糸質の仮撚加工糸を得
るためには、該接糸体の接糸部の曲率半径Rは、下記式
(3) 1000/(V×T×(D/ρ)1/2 )≦R ………… (3) 好ましくは、 1300/(V×T×(D/ρ)1/2 )≦R 特に好ましくは、 1600/(V×T×(D/ρ)1/2 )≦R を満たす必要がある。すなわち、式(2)により接糸体
の接糸部の曲率半径Rを小さくしていくと、接糸部と加
撚糸条の摩擦力が大きくなり、仮撚加工糸の毛羽発生が
多くなり、強伸度も低下するが、仮撚加工速度が17m
/min.以上の場合には上述式(3)のように該曲率半径
Rと加撚糸条の表面速度の積を1000以上にすれば、
かかる問題は惹起しないのである。
【0022】次に、本発明において高い生産性を得るた
めに、仮撚加工速度と加撚糸条の円周長さを表す(D/
ρ)1/2 の積を一定以上にすることが、加工糸繊度に依
存しない糸切れや毛羽発生の限界を示す加工安定性であ
ることを発見した。すなわち、繊度Dをその糸の密度ρ
で割った値に対して仮撚加工の糸速度Vが、下記式
(4) V≧0.125/(D/ρ)1/2 ………………………… (4) を満たすことが好ましい。ここで糸速度とは、通常デリ
ベリローラの表面速度:厳密には、仮撚加工中の加撚糸
条の移動速度である。
【0023】さらに、加撚糸条の振動とバルーニングの
ない状態でも、仮撚加工速度と糸道長さの積を同じにす
れば、糸切れと毛羽発生の起こる確率が同じであること
を発見した。すなわち、高い加工安定性を得るために、
仮撚加工の糸道の長さL(Lは仮撚域へ糸を供給するロ
ーラから仮撚を挿入するツイスタまでの糸道長さ:m)
と糸速度の積が一定値以上にする下記式(5) L≦70/V ………………………… (5) を満たす条件下で仮撚加工するのが好ましい。
【0024】すなわち、糸の繊度と密度より、仮撚加工
の糸速度を高速に限定することが生産性を高める。さら
にこの糸速度から、糸道長さを短く限定すると加撚糸条
の糸道長さが短くなり、糸の回転による振動やバルーニ
ングが起きにくくなり、仮撚加工の加工安定性を高める
ことができる。
【0025】本発明において、好ましくは接糸体が静止
していることが、加撚糸条を安定に走行させることがで
き、仮撚加工の加工安定性を高める傾向がある。すなわ
ち、接糸体がローラなどの回転体で、その回転体に加撚
糸条を沿わせて加熱や冷却をすると、糸条の撚り回転の
ために回転体表面で糸条の軌跡は動き、振動やバルーニ
ングを起こす傾向があり、したがって、仮撚加工の安定
性は悪くなり、本発明の目的である従来より高速化した
仮撚加工を達成することができにくくなる。
【0026】さらに、本発明によれば、仮撚加工の糸速
度を好ましくは25 m/sec 以上、さらに好ましくは2
7 m/sec 以上、特に好ましくは30 m/sec 以上とす
ることができ、仮撚加工の生産性を従来にくらべて改善
することができる。すなわち、仮撚加工の糸速度を高め
ると糸速度に比例して生産性を向上させることができ
る。 また、本発明において仮撚加工に適する繊維は、
ポリエステルやポリアミドなどの熱可塑性合成繊維等で
あり、繊度は、好ましくは5〜300デニール、さらに
好ましくは7〜200デニールのものを使用することが
できる。
【0027】本発明でいう接糸体とは、主として加撚糸
条を加熱あるいは冷却するための部材であって、たとえ
ば、U字型あるいはV字型の溝または中空構造にし、加
熱体の長手方向に糸条を押さえるように曲率をつけた構
造のもの(図3)であり、好ましくは板材、特に金属製
の板材が加熱板または冷却板として好ましく使用され
る。本発明は、かかる部材の曲率半径が、上述の如く特
に小さくしたものを用いる点に特徴を有する。すなわ
ち、接糸体により抑制されて形づくられる仮撚加工の加
撚部の加撚糸条の軌跡の曲率半径の小さいものを使用す
るものである。
【0028】図1は、本発明の仮撚加工糸の製法を実施
するための仮撚加工機の一例である。1は供給ローラ、
2は本発明の加熱接糸板、3は本発明の冷却接糸板、4
は摩擦式3軸外接ツイスタ、5と5’は引取ローラ、6
は巻取ローラ、7はトラバース装置、8と8’は糸道ガ
イド、PはPOY(高配向未延伸糸)、Yは仮撚加工中
の糸条、Tは仮撚加工糸である。上述において、Pとし
てPOYを示したが、別に通常の延伸糸でもよい。もち
ろん通常の未延伸糸を延伸しながら仮撚加工してもよ
い。
【0029】図2は、本発明の仮撚加工方法を実施する
ための他の仮撚加工機の例であり、1は供給ローラ、
2' は本発明の加熱接糸板、3は本発明の冷却接糸板、
4は摩擦式3軸外接ツイスタ、5と5’は引取ローラ、
6は巻取ローラ、7はトラバース装置、8と8’は糸道
ガイド、Pは高配向未延伸糸、Yは仮撚加撚中の糸条、
Tは仮撚加工糸、9は蒸気加熱装置、10は糸道の蒸気
シール装置である。
【0030】図3は、本発明でいう接糸体(2または
3)の構造を示す一例であり、11が加撚糸条Yが接触
する接糸部であり、Rが該接糸部11の曲率半径であ
る。この例ではU字型の溝を湾曲して形成した板部材か
らなる接糸体2(又は3)が示されているが、この部材
のU字の底部が加撚糸条Yとの接触部(接糸部)11と
なる。接糸体2(又は3)は溝のみに限らず筒状のもの
でもよく、要するに加撚糸条Yを加熱または冷却する機
能を有するものであればよく、その曲率半径が前述の如
く特定な小さいものを使用するところに特徴を有する。
【0031】
【実施例】以下、本発明を実施例によりさらに詳しく説
明する。
【0032】実施例1、2、比較例1〜4 複屈折Δn=0.042、破断伸度168%、丸断面の
125デニール、36フィラメントのポリエステルマル
チフィラメント糸条を、次の仮撚加工機で仮撚加工し
た。
【0033】すなわち、供給ローラ、加熱接糸板、冷却
接糸板、摩擦式3軸外接ツイスタ、引取ローラおよび巻
取装置を順にそなえてなる図1に示す仮撚加工機を使用
した。 実施例とその比較例の共通条件は、 加熱接糸板の表面温度:220℃、 加熱接糸板の長さ:2.5m、 冷却接糸体を冷却する水の温度:25℃、 冷却接糸体の長さ:1.2m、 糸道長さ:4.0m とし、さらに摩擦式3軸外接ツイスタの構成を糸道上流
より、金属ディスク3枚、ウレタンディスク7枚、金属
ディスク1枚、ディスクの外径51mmとする。
【0034】表1に、実施例1、2と比較例1〜4の個
々の仮撚加工条件、得られた加工糸の物性、加工中のバ
ルーニングおよび糸切れ発生の有無についてまとめた。
【0035】
【表1】 表1の捲縮復元率(%)は、得られた仮撚加工糸をパッ
ケージのまま1週間以上放置し、その後次の条件で処理
したサンプルについてJIS規格L1090−1977
の伸縮復元率の試験方法に基づいて求める。
【0036】 カセをつくり、このカセを標準状態で
12時間以上放置して水分平衡とする。
【0037】 カセに2mg/デニールの初荷重を掛け
る。
【0038】 次に初荷重を掛けたままのカセを98
±1℃の熱水中に20分間浸す。
【0039】 浸したカセを取り出して初荷重を除
き、標準状態で12時間以上放置して水分平衡とする。 熱水収縮率は、JISL1090−1977に規定のB
法により測定した。また、毛羽は、東レエンジニアリン
グ社製毛羽カウンタ(モデルDT−104)を用い、糸
速度400m/min.でパッケージより解舒して2000
m当りの毛羽の個数を5回の平均値で示した。
【0040】表1から明らかなように、実施例1から得
られた加工糸の糸質は良好で、毛羽発生、糸切れ等の問
題もなかった。それに対して比較例1は、毛羽発生が多
く織編物工程での工程通過性が不良であった。比較例
1,3,4,5,6は、仮撚加工中の糸切れが発生し、
加工安定性が低い。さらに比較例2は、仮撚加工が不安
定で加工糸を得ることができなかった。
【0041】実施例3、4、5と比較例3、4 複屈折Δn=0.042、破断伸度170%、丸断面の
125デニール、36フィラメントのポリエステルマル
チフィラメント糸条を、供給ローラ、加熱接糸板、蒸気
により直接加熱する装置(蒸気加熱装置)、冷却接糸
体、摩擦式3軸外接式ツイスタ、引取ローラ、および巻
取装置を順にそなえた図2に示す仮撚加工機を用いて仮
撚加工を行った。
【0042】実施例3、4、5とその比較例の共通条件
は、 引取ローラ速度:1500m/min 、 供給ローラ速度:805m/min 、 加熱接糸板表面温度:220℃、 蒸気加熱装置条件 蒸気:飽和蒸気、 圧力:20.5 Kgf/ m2 G 、 蒸気の温度:215℃、 冷却接糸体上で糸条に付与する水の温度:20℃、 冷却接糸体と糸条との接触する長さ:200mm、 摩擦式3軸外接式ツイスタの構成:糸道上流より金属デ
ィスク3枚、ウレタンディスク8枚、金属ディスク1枚 該ツイスタのディスク外径:51mm 次に、表2に実施例3〜5と比較例の個々の仮撚加工条
件、得られた加工糸の物性、加工中のバルーニングおよ
び糸切れ発生の有無についてまとめた。
【0043】表2の捲縮復元率(%)、熱水収縮率およ
び毛羽の個数は表1の物性値と同等の測定方法を用い
た。
【0044】
【表2】 表2から明らかなように、実施例3〜5で得られた加工
糸の糸質は良好で、毛羽発生、糸切れ等の問題もなかっ
た。それに対して比較例5〜10は、毛羽発生が多く織
編物工程での工程通過性が不良であった。比較例6、
7,9,12は、仮撚加工中の糸切れが発生し、加工安
定性が低い。さらに比較例11〜13は、仮撚加工が不
安定で加工糸の物性を調べるだけの加工糸が得られなか
った。
【0045】
【発明の効果】本発明の仮撚加工方法によれば、従来法
にくらべ、仮撚加工を高速化するに際し発生する仮撚加
撚糸条の振動とバルーニングを抑え、毛羽発生、糸切れ
のない加工安定性を高め、さらに操業性も安定して良好
な物性の加工糸を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】は、本発明を実施するための仮撚加工機の概略
図の一例である。
【図2】は、本発明を実施するための仮撚加工機の概略
図の他の一例である。
【図3】は、本発明でいう接糸体の構造を示す一例であ
る。
【符号の説明】 1:供給ローラ 2:加熱接糸体(板) 3、3′:冷却接糸体 4:3軸外接ツイスタ 5、5′:引取ローラ 6:巻取ローラ 7:トラバース装置 8、8′:糸道ガイド 10:糸道の蒸気シール装置 11:接糸体の接糸部 P:高配向未延伸糸(POY) Y:仮撚加撚中の糸条 T:仮撚加工糸 R:接糸部の曲率半径

Claims (5)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 仮撚加工の糸速度が17 m/sec 以上
    で、加撚張力が0.6 g/デニール以下で、かつ撚数が
    (1)式を満たす加撚糸条を形成しつつ、接糸体を用い
    て仮撚加工する方法において、該接糸体として(2)
    よび(3)式を満たす曲率半径の接糸部を有するものを
    用いることを特徴とする仮撚加工糸の製法。 T≧24.0/(D/ρ)1/2 ………………… (1) R≦4200/(V×T×(D/ρ)1/2 ) ………… (2) 1000/(V×T×(D/ρ) 1/2 )≦R ………… (3) 式中、Dは仮撚加工後の糸の繊度(デニール)、ρは仮
    撚加工後の糸の密度(g/ m3 )、Tは糸1mあたりに
    挿入する仮撚数(回/m )、Vは仮撚加工の糸速度( m
    /sec )、Rは接糸板の接糸部の曲率半径(m)であ
    る。
  2. 【請求項2】 糸速度が(4)式を満たし、かつ糸道長
    さ(L)が(5)式を満たす条件下で仮撚加工すること
    を特徴とする請求項1記載の仮撚加工糸の製法。 V≧0.125/(D/ρ)1/2 ……………………… (4) L≦70/V …………………………………… (5) ここで、Lは仮撚域へ糸を供給するローラから仮撚を挿
    入するツイスタまでの糸道長さ(m)である。
  3. 【請求項3】 接糸体が静止していることを特徴とする
    請求項1記載の仮撚加工糸の製法。
  4. 【請求項4】 仮撚加工の糸速度が、25 m/sec 以上
    であることを特徴とする請求項1記記載の仮撚加工糸の
    製法。
  5. 【請求項5】 仮撚加工糸が、JIS L1090-1977に準じて
    求められる捲縮復元率(CR)が30%以上であること
    を特徴とする請求項1記載の仮撚加工糸の製法。
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