JP3526750B2 - 磁歪式トルクセンサ - Google Patents
磁歪式トルクセンサInfo
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Description
に関する。
許第4933580号や同第5520059号に開示さ
れる磁歪式のトルクセンサが知られている。この磁歪式
のトルクセンサは、検出しようとするトルクが伝達され
ることで透磁率が変化する磁気異方性部を備えたトルク
センサ軸と、このトルクセンサ軸を励磁する励磁手段と
を備える。この励磁手段は磁気異方性部の周囲に配置さ
れたソレノイドコイルや磁気ヘッドなどによって構成さ
れるのが通例であり、この励磁手段によって励磁状態と
されている磁気異方性部の透磁率の変化をソレノイドコ
イルや磁気ヘッドなどの検出手段で検出することで、そ
のトルクの大きさを検出可能である。
能な分野として、自動車のパワーステアリングの分野が
ある。この分野では、パワーステアリング軸に磁歪式の
トルクセンサを設置して、このパワーステアリング軸に
作用するトルクを検出することで、さまざまなステアリ
ング制御が行われる。このパワーステアリング軸におい
ては、計測定格トルクは一般に10Nm程度である。
た場合などには、パワーステアリング軸には計測定格ト
ルクの10倍以上のオーバーロードトルクが作用するの
が一般的である。このため、パワーステアリング軸の軸
材は、このような過酷なオーバーロードトルクに耐える
強度を有した構成が必要とされる。したがって、パワー
ステアリング軸に介装されるトルクセンサも、同様に計
測定格トルクの10倍以上のオーバーロードトルクに耐
えるものであることが要求される。
ドトルクに耐えられるトルク容量(許容オーバーロード
トルク)のトルクセンサを設置して、その許容オーバー
ロードトルクの10分の1以下の軽負荷を、使用時の計
測定格トルクとしている。
用時の計測定格トルクを10Nmとするとともに、15
0Nmのオーバーロードトルクに耐えるトルクセンサを
設計するときには、上述のアメリカ特許第493358
0号のような磁歪式トルクセンサでは、センサ軸に通常
の構造用鋼(SCM、SNCM材など)を使用している
ので、その構造用鋼の強度を考えて、150Nmのオー
バーロードトルクの印加時でも充分弾性域内にあること
を保証するため、この150Nmのオーバーロードトル
クが印加されたときに、センサ軸の磁気異方性部の表面
応力が10kg/mm2 程度となるように設計すること
が望ましい。このときに、磁歪式トルクセンサに特有の
ヒステリシスは、アメリカ特許第4933580号のよ
うな技術を用いた場合、150Nmのオーバーロードト
ルク印加・除荷時において、この150Nmのオーバー
ロードトルク印加時のセンサ出力の0.3%程度とする
ことができる。
ルク印加時のトルクセンサのヒステリシスが、この15
0Nmを印加したときのセンサ出力の0.3%であって
も、その計測定格トルクを10Nmと印加オーバーロー
ドトルクの1/15にした場合には、オーバーロード印
加時のヒステリシスは、計測定格トルク(FS)である
10Nmに対しては、 0.3×(150/10)=4.5%(FS) にもなってしまうという問題点がある。
パワーステアリング制御のために用いられる磁歪式のト
ルクセンサなどのように、要求されるオーバーロードト
ルクに耐える大容量のトルクセンサを、使用時の軽負荷
を計測定格トルクとして使用する場合において、そのヒ
ステリシスを大幅に低減できるように、理想的にはゼロ
にできるようにすることを目的とする。
グ制御などの特殊な用途に供されるもの以外の、通常の
用途に供される磁歪式トルクセンサについても、同様に
ヒステリシスを理想的にゼロにできるようにすることを
も目的とする。
本発明は、トルクセンサ軸とヒステリシス相殺手段とを
有し、前記トルクセンサ軸は、第1のヒステリシス特性
を持つ部分と、この第1のヒステリシス特性とは極性が
逆の第2のヒステリシス特性を持つ部分とを備え、前記
ヒステリシス相殺手段は、前記トルクセンサ軸を励磁す
る励磁手段にて構成され、前記トルクセンサ軸は、第1
の励磁条件のもとで正の値の第1のヒステリシス特性を
呈するとともに、第2の励磁条件のもとで負の値の第2
のヒステリシス特性を呈するように構成され、前記励磁
手段を、前記第1の励磁条件を作り出す第1の励磁周波
数帯と、前記第2の励磁条件を作り出す第2の励磁周波
数帯との間の特定の周波数帯であって、センサのヒステ
リシスを実質的にゼロにし得る、第3の励磁周波数帯で
励磁を行うように構成されていることで、前記トルクセ
ンサ軸における第1のヒステリシス特性を持つ部分で生
じるヒステリシスと第2のヒステリシス特性を持つ部分
で生じるヒステリシスとを相殺させるように構成したも
のである。
における第1のヒステリシス特性を持つ部分と第2のヒ
ステリシス特性を持つ部分とでヒステリシスの極性すな
わち正負が逆になるため、ヒステリシス相殺手段によっ
てこれら逆極性のヒステリシス特性を持つ部分で生じる
ヒステリシスを相殺させることで、センサのヒステリシ
スを実質的にゼロにすることが可能となる。
ルクセンサ軸を、第1の励磁条件を作り出す第1の励磁
周波数帯のもとで正の値の第1のヒステリシス特性を呈
するとともに、第2の励磁条件を作り出す第2の励磁周
波数帯のもとで負の値の第2のヒステリシス特性を呈す
るように構成した場合には、励磁条件としての励磁周波
数帯を変化させることで、このトルクセンサ軸にて構成
されるトルクセンサのヒステリシスを、正の値と負の値
との間で変動させることができる。よって、特定の第3
の励磁周波数帯を選択すれば、センサのヒステリシス
を、上述の正の値と負の値との間の実質的にゼロとなる
ところに設定することができる。
トルクセンサの概略構成を示す。ここで11はトルクセ
ンサ軸で、所要の強度と磁歪特性とを兼備した材料にて
形成されており、具体的にはJISのSNCM815材
などによって形成されている。このトルクセンサ軸11
の外周面には、軸心方向に距離をおいた一対の位置に、
軸心方向に対し±45度の方向で形成された互いに逆特
性の磁気異方性部12、13が設けられている。これら
磁気異方性部12、13はナーリング溝によって形成さ
れているのが好適であり、互いに逆特性とするために、
磁気異方性部12と磁気異方性部13とでナーリング溝
が軸心方向に対し互いに±45度の逆方向に傾斜するよ
うに構成されている。これらナーリング溝は、具体的に
は、軸11の外周面に切削加工を施したり、軸11の外
周面に転造加工を施したりすることによって、形成する
ことができる。
れら磁気異方性部12、13をそれぞれ励磁するための
励磁コイル14、14と、励磁状態で軸11にトルクが
印加されたときの各磁気異方性部12、13の透磁率の
変化を検出するための検出コイル15、15とが、それ
ぞれ同心状に配置されている。励磁コイル14、14
は、交流電源16に接続されている。各検出コイル1
5、15には出力V1、V2が現れるが、これらの出力
V1、V2を、減算器17および整流回路18によって
V1−V2の形にしたうえで、出力端子19に出力させ
るように構成されている。Tは軸11への印加トルクを
表す。
もとで正の値の第1のヒステリシス特性を呈するととも
に、第2の励磁条件のもとで負の値の第2のヒステリシ
ス特性を呈するように構成されている。すなわち、この
トルクセンサ軸11によって構成されるトルクセンサ
は、上記の第1の励磁条件のもとでは正の値のヒステリ
シスが生じるとともに、第2の励磁条件のもとで負の値
のヒステリシスが生じるように特徴づけられている。以
下、この点について詳細に説明する。
ス特性を有するのが普通である。すなわち、図2は、図
1の構成の理想的なトルクセンサにトルクが印加された
ときのセンサの出力電圧を概念的に示すものであり、横
軸はトルクT、縦軸は出力電圧Vである。出力電圧V
は、図1のトルクセンサより、V=V1−V2によって
与えられる。図示のように、トルクTがゼロから徐々に
印加されるとそれに対応して出力電圧Vもゼロから徐々
に増大し、ある時点でトルクTが減少すると、それにつ
れて出力電圧Vも減少する。しかし、この減少の段階に
おいては、印加トルクTがゼロになっても出力電圧Vは
ゼロにはならず、一定の正の値となる。すなわち正のヒ
ステリシス21が生じる。
うに定義する。すなわち一般にトルクゼロの状態から時
計方向または半時計方向にトルクを印加し、そのうえで
再度トルクゼロの状態に戻したときには、トルクセンサ
の出力または検出コイルの出力は、トルクゼロのときの
元の値(V0)から増加方向あるいは減少方向に変化し
た後に、この元の値(V0)とは異なる別の値(VH)
に戻る。ここでは、トルクの印加によって出力が元の値
(V0)から増加したうえで別の値(VH)に減少する
方向に戻ったときに、VH>V0なら「正のヒステリシ
ス」が生じていると定義し、またVH<V0なら「負の
ヒステリシス」が生じていると定義する。
テリシス」特性は、次の原因によって発生するものであ
ると考えることができる。すなわち、励磁により磁化さ
れている材料は、トルクが印加されることによってその
磁化の状態が変化を受け、磁壁移動あるいは磁化回転を
行う。しかし、このときに材料内部の不純物や結晶粒界
などにミクロな磁気的ピン中心(pinning ce
nter)が存在することから、印加トルクが除荷され
ても磁化の状態が元に戻らなくなる。これによって、ヒ
ステリシス21が発生すると考えることができる。ここ
では、この現象を「磁気効果によるヒステリシス」と称
することができる。
ルクセンサ軸11に図示のように時計方向(CW)のト
ルクTを印加すると、軸心方向に対し+45度の方向に
ナーリング溝が形成された磁気異方性部12からの出力
V1は図3のようになり、軸心方向に対し−45度の方
向にナーリング溝が形成された磁気異方性部13からの
出力V2は図4のようになる。ΔV1は図3における正
のヒステリシス、ΔV2は図4における正のヒステリシ
スである。すなわち、ΔV1およびΔV2は、いずれ
も、トルクゼロの状態(出力がゼロであるとは限らな
い)からのトルクの印加によって出力が増加した場合に
おいて、再びトルクゼロの状態に戻ったときには、出力
は元の値よりも大きくなっている。
ンサ出力VがV=V1−V2となるようにすると、図2
の出力電圧が得られるのである。このとき、正のヒステ
リシス21の大きさは、ΔV1もΔV2も同一極性の
「正のヒステリシス」であるため、|ΔV1|+|ΔV
2|となる。
1は、一般にミクロな磁気的ピン中心よりも大きな機械
的な欠陥を持たない場合に、このミクロな磁気的ピン中
心の存在によるヒステリシス現象が支配的となり、図1
に示すトルクセンサに図2に示すような正のヒステリシ
ス21を発生させることになると考えられる。
うな負のヒステリシス特性を付与することも可能であ
る。たとえば、図1に示されるトルクセンサ軸11の磁
気異方性部12、13を転造加工により形成し、その後
にこの加工部に浸炭焼入焼戻の熱処理を施せば、それに
よって得られるトルクセンサは、図5に示す負のヒステ
リシス特性を呈する。さらに、センサ特性を向上させる
ために、熱処理後のセンサ軸に、磁気異方性部のナーリ
ング溝の底部のアールよりも小さな粒径のショット粒に
よりショットピーニング処理を施した場合も、それによ
ってヒステリシスの大きさは小さくなるものの、やはり
負のヒステリシス特性を示す。これによって、図5に示
すような負のヒステリシス22を発生させることになる
と考えられる。
図4に示されるヒステリシスの説明と同様に、図1に示
すトルクセンサ軸11に図示のように時計方向(CW)
のトルクTを印加すると、軸心方向に対し+45度の方
向にナーリング溝が形成された磁気異方性部12からの
出力V1は図6のようになり、軸心方向に対し−45度
の方向にナーリング溝が形成された磁気異方性部13か
らの出力V2は図7のようになる。ΔV1は図6におけ
る負のヒステリシス、ΔV2は図7における負のヒステ
リシスである。その結果、図1の回路構成によりトルク
センサ出力VがV=V1−V2となるようにすると、図
5の出力電圧が得られるのである。このとき、負のヒス
テリシス22の大きさは、ΔV1もΔV2も同一極性の
「負のヒステリシス」であるため、|ΔV1|+|ΔV
2|となる。
は、次の通りであると考えることができる。すなわち、
ナーリング溝の形成のためにセンサ軸11の表面が切削
加工あるいは転造加工された場合には、その部分の軸表
面に多数の微小なクラックつまり機械的な欠陥が発生す
る。その欠陥の深さは、軸表面から、ナーリング溝の深
さの2倍程度にまで達する。そして、このような機械的
な欠陥が存在する状況のもとでセンサ軸が製造され、そ
のセンサ軸にて形成されたトルクセンサにトルクが印加
された場合には、この欠陥によって、磁壁移動や磁化回
転の磁化過程が阻害される。その結果、印加トルクが解
除されたときに、それまで機械的な欠陥によって阻害さ
れていた磁壁移動や磁化回転が、機械的な欠陥の少ない
ところにあるまわりの磁化の動きに引きずられて、元の
状態を越えて後戻りすることになる。これにより、図5
に示すような負のヒステリシス22を発生させることに
なると考えられる。したがって、ここではこの現象を
「磁気−機械的効果によるヒステリシス」と称すること
ができる。
て形成され、かつ特定の制御された機械的欠陥を有する
トルクセンサ軸を用いれば、正のヒステリシス特性と負
のヒステリシス特性とを兼備させることが可能になると
予測することができる。
である。このように、一つのトルクセンサ軸において正
のヒステリシス特性と負のヒステリシス特性とを兼備さ
せた場合には、本発明の一つの実施の形態として図8に
示すように、このトルクセンサ軸によって構成されるト
ルクセンサの励磁条件としての励磁周波数f1〜f4を
任意に変化させることで、センサに正のヒステリシスh
3、h4と負のヒステリシスh1、h2とのいずれかを
発生させることができる。またこのとき、励磁周波数f
1〜f4を変化させることによって、各ヒステリシスh
1〜h4の大きさを変化させることができる。
発生させる励磁周波数f3、f4と、負のヒステリシス
h1、h2を発生させる励磁周波数f1、f2との間の
特定の励磁周波数f0を選択すれば、正のヒステリシス
も負のヒステリシスも生じない状態を作り出すことがで
きる。つまり、センサのヒステリシスを、正の値と負の
値との間の実質的にゼロとなるところに設定することが
できる。
ステリシス特性とを兼備するようにトルクセンサ軸を構
成するために、たとえば図1に示されるトルクセンサ軸
11の磁気異方性部12、13において、その最外表面
層の磁歪特性のヒステリシスの方向と、その直近下部層
の磁歪特性のヒステリシスの方向とが、互いに逆方向に
なるように構成することができる。
溝にて形成された磁気異方性部に、ショット粒の粒径を
変えた2段階のショットピーニング処理を施すことが挙
げられる。すなわち、図9において、24はトルクセン
サ軸の磁気異方性部12、13を構成するナーリング溝
の山部である。いま、この山部24に、この山部24を
機械加工したことなどに起因する機械的な欠陥としての
クラック25が発生していたとする。
とえば0.3mmのナーリング溝の山部24を含む磁気
異方性部の全体に、粒径の比較的大きなショツト粒を用
いて、具体的にはたとえば中心粒径が250μmの鋼製
のショット粒26を用いて、ショットピーニングを施
す。すると、この第1段階のショットピーニング処理に
よって、クラック25すなわち機械的な欠陥が、マクロ
的にみると全体として改善される。このようにショツト
ピーニング処理を施して機械的な欠陥をマクロ的にみて
全体的に改善させることで、もともと大きかった負のヒ
ステリシス特性を、所要の程度の負のヒステリシス特性
に抑えることができる。
な、具体的にはたとえば中心粒径が50μmの鋼製のシ
ョット粒27を用いて、ショットピーニングを施す。す
ると、このように粒径の小さなショット粒27を用いる
ことによって、クラック25における特に軸表面部の欠
陥がさらに改善されることになる。
センサ軸を励磁コイルによって交流励磁した場合におい
て、その励磁周波数を変化させたときには、磁気異方性
部における磁束の通り方は、次のようになる。すなわ
ち、磁束の表皮効果により、励磁周波数が低い場合には
磁束は軸における表面から深い所まで入り込み、反対に
励磁周波数が高い場合には磁束は軸の最外表面層に集中
する。
施されることで機械的な欠陥が全体的に改善され、特に
軸表面部の欠陥が著しく改善された磁気異方性部を有す
るトルクセンサ軸を励磁すると、励磁周波数が比較的低
い場合は、上述の全体的に改善されてはいるが内部に一
部分機械的な欠陥をもつ部分を磁束が通過する。このた
め、センサは図5に示すような負のヒステリシス特性を
呈する(前述の「磁気−機械的効果によるヒステリシ
ス」)。その値は、励磁周波数によって変化する。これ
に対し、励磁周波数が比較的高い場合は、上述の欠陥が
著しく改善されてほとんど無欠陥の最外表面部のみをフ
ラックスが通過するため、センサは図2に示すような正
のヒステリシス特性を呈する(前述の「磁気効果による
ヒステリシス」)。その値は、同様に励磁周波数によっ
て変化する。
について、励磁周波数を調節すれば、正のヒステリシス
も負のヒステリシスも生じない状態、すなわち、センサ
のヒステリシスを正の値と負の値との間の実質的にゼロ
となるところに設定することができる。
を施すことで、つまり、軸の最外表面層すなわち軸表面
から深さ10μm程度までの範囲を、ほとんど機械的欠
陥を有しない健全な構成として「磁気効果によるヒステ
リシス」を発現させるようにするとともに、この健全な
最外表面層の直近下部すなわち深さ10μmから100
μm程度までの範囲を、制御された機械的欠陥層とし
て、「磁気−機械的効果によるヒステリシス」を発現さ
せるようにすることで、励磁周波数の選択によりセンサ
のヒステリシスを実質的にゼロにすることができる。
近下部の制御された機械的欠陥層とを有した構成を得る
ための別の手法として、ナーリング溝を形成するための
転造速度を遅くするなど、転造プロセスを制御すること
によって、制御された機械的欠陥層をも同時に形成し、
その後に微細なショット粒を用いたショットピーニング
を施すことによって健全な最外表面層を形成することも
可能である。
上述の機械的欠陥を粒径の大きなショット粒により改善
する方法や、ナーリング溝を制御された転造加工によっ
て形成する方法のほかの、適宜の方法によって形成する
ことができる。また、健全な最外表面層は、上述の粒径
の小さなショット粒によるショットピーニング処理のほ
かに、メッキやCVDなどによる化学的形成方法や、溶
射、PVD、イオンプレーティングなどによる物理的形
成方法や、レーザ照射などの熱処理による形成方法など
によって、形成することができる。
のヒステリシス特性とを兼備させるための処置として
は、上述の制御された機械的欠陥層からなる直近下部層
と健全な最外表面層とを形成することに代えて、他の手
法を採用することも可能である。
て、正のヒステリシス特性と負のヒステリシス特性とを
付与することが可能である。本発明者の知見によれば、
たとえばナーリング溝方式のトルクセンサの軸材がSN
CM815である場合には、ナーリング溝を転造しただ
けで熱処理を行わない場合や、転造後に浸炭窒化焼入焼
戻を行った場合には、センサ出力(V=V1−V2)に
正のヒステリシス特性を付与することができる。これに
対し、転造後の上記軸材に、浸炭焼入焼戻や、浸炭焼入
とそれに続く高周波焼入焼戻や、浸炭防止焼入焼戻や、
浸炭窒化防止焼入焼戻や、高周波焼入焼戻を行った場合
には、センサ出力(V=V1−V2)に負のヒステリシ
ス特性を付与することができる。
深さの異なるそれぞれの部分に、正のヒステリシス特性
を付与可能な第1の熱処理と、負のヒステリシス特性を
付与可能な第2の熱処理とを施すことで、正負のヒステ
リシス特性を兼備させることができる。
現するための他の手法として、たとえば、図1に示すト
ルクセンサ軸11における一対の磁気異方性部12、1
3で熱処理の方法を変えて、一方の磁気異方性部が正の
ヒステリシス特性を呈すると共に、他方の磁気異方性部
が負のヒステリシス特性を呈するように構成することも
できる。
ける一方の磁気異方性部12のナーリング溝に浸炭窒化
防止焼入焼戻処理を施して負のヒステリシス特性を付与
するとともに、他方の磁気異方性部13のナーリング溝
に浸炭窒化焼入焼戻処理を施して正のヒステリシス特性
を付与することによって、前記と同様のセンサの合成出
力につき、ヒステリシス特性を実質的にゼロにすること
ができる。
止焼入焼戻処理を施すためには、熱処理の前にその部分
に浸炭窒化防止めっきやアルミメタリコン処理などを行
い、また熱処理後にこれらの表面処理材料を取り除けば
よい。
が印加された場合の、負のヒステリシス特性を呈する磁
気異方性部の出力V1の特性例を図10に示し、そのと
きの正のヒステリシス特性を呈する磁気異方性部の出力
V2の特性例を図11に示す。正のヒステリシス特性を
発現させるために上述の浸炭窒化焼入焼戻処理を施す
と、その部分の軸表面が硬くなり、そのため図示のよう
にトルク検出感度が低くなる。図12は、トルクセンサ
の出力V、すなわちV=V1−V2の特性を示す。
処理を施して、互いに極性の異なるヒステリシス特性を
有した一対の磁気異方性部を形成する場合には、図10
および図11に示し、また上述したように、一方の磁気
異方性部の出力V1の特性と他方の磁気異方性部の出力
V2の特性とが揃わないことがある。すなわち、図10
と図11との線図では、同一のトルクが印加されたとき
の出力V1、V2の大きさ(絶対値)が相違し、また線
図の傾きも互いに相違している。このような場合には、
図1に示される演算回路としての減算器17の特性を調
節することなどによって、図12に示すようにセンサの
ヒステリシスを実質的にゼロにすることができる。
とにより磁気異方性部を形成する構成であって、この磁
歪スリーブが、正のヒステリシス特性を備えた第1の層
と、負のヒステリシス特性を備えた第2の層とを有した
多層構造であるようにしても、同様に両方のヒステリシ
ス特性を兼備させることができる。
スリーブを外ばめした構成のトルクセンサを例示する。
この図13のトルクセンサは、前述のアメリカ特許第5
520059号のトルクセンサを改良したものである。
ルクセンサは、たとえばセンサ軸としての非磁性のステ
ンレス軸材に軟磁性磁歪材料であるニッケルマルエージ
ング鋼からなる磁歪スリーブをきつく外ばめし、その後
にこの磁歪スリーブを円周方向に磁化し、そして、この
磁歪スリーブの外側に、軸への印加トルクに比例した磁
歪スリーブからの漏れ磁束を検出するためのホール素子
などのピックアップ素子を配したものである。このよう
な構成において、センサ軸にトルクが印加されていない
無負荷状態では、磁歪スリーブに導入されている円周方
向の磁化は、周りには漏れ出さない。したがってこの状
態ではホール素子からのトルク出力は発生しない。とこ
ろが、センサ軸にトルクが印加されると、磁歪スリーブ
に誘導されている円周方向磁化が、印加トルクの方向に
対応して+45度方向もしくは−45度方向に磁化の向
きを変える。これによって、トルクの大きさに比例した
漏れ磁束が磁歪スリーブから発生し、ホール素子がこの
漏れ磁束を検出することによってトルク出力が発生する
ことになる。
ードトルクが印加されると、それによって磁歪スリーブ
の磁歪現象のヒステリシスが発生し、それにもとづき検
出出力にヒステリシス、換言すると過負荷後のゼロエラ
ーが発生することになる。
クセンサは、このようなゼロエラーの発生の防止を図っ
たものである。すなわち、非磁性材料にて形成されたト
ルクセンサ軸31に第1の層としての第1の磁歪スリー
ブ32をきつく外ばめし、さらにこの第1のスリーブ3
2に、第2の層としての第2の磁歪スリーブ33をきつ
く外ばめしたものである。34はホール素子で、第2の
磁歪スリーブ33の外面に近接して設けられている。
2の磁歪スリーブ33とは、それぞれ磁歪現象のヒステ
リシスの正負が逆になるように構成されている。こうす
ることで、内外の磁歪スリーブの一方に正のヒステリシ
ス特性を付与するとともに、他方に負のヒステリシス特
性を付与することができる。なお、第1の磁歪スリーブ
32と第2の磁歪スリーブ33とのヒステリシス特性を
逆にすることは、任意の手段によって達成することがで
きる。すなわち、ショットピーニング、熱処理、機械加
工、物理的処理、化学的処理などのいかなるものによる
かは不問である。また、このような内外の二つのスリー
ブ構造に代えて、一つのスリーブの最外表面層とその直
近下部層とでヒステリシス特性の正負を逆にした構成と
することも可能である。
2の磁歪スリーブ33とを内外に配することに代えて、
上述の熱処理の場合と同様にトルクセンサ軸31の軸心
方向に距離をおいた一対の位置に第1の磁歪スリーブ3
2と第2の磁歪スリーブ33とをそれぞれきつく外ばめ
し、それらのヒステリシス特性の正負を制御することに
よって、そのセンサの合成出力のヒステリシス特性を実
質的にゼロにすることもできる。
示す。すなわち、トルクセンサ軸41には、ナーリング
溝によって形成された第1の磁気異方性部42と第2の
磁気異方性部43とが、軸心方向に距離をおいた一対の
位置に形成されている。そして、第1の磁気異方性部4
2のナーリング溝の角度すなわちナーリング溝がトルク
センサ軸41の軸心44となす角をαとし、同様に第2
の磁気異方性部43のナーリング溝がトルクセンサ軸4
1の軸心44となす角をβとして、これらの角α、βの
大きさを互いに異ならせることによって、第1の磁気異
方性部42と第2の磁気異方性部43とでヒステリシス
の正負の特性が逆になるように構成されている。その他
の部材については、図1に示したものと同様の構成であ
るので、同様の参照番号を付してその詳細な説明は省略
する。
である。すなわち、たとえばトルクセンサ軸に転造加工
によりナーリング溝を形成し、その後に浸炭処理を施
し、そしてさらに高周波焼入焼戻を行い、最後にその表
面にショットピーニングを施して磁気異方性部を形成し
た場合において、センサ軸の軸心方向に対しナーリング
溝がなす角を変化させたときには、その磁気異方性部の
ヒステリシス特性は、特開平4−50741号公報にも
記載されているように、図15に示すように変化する。
ら小さくするにしたがい、センサの負のヒステリシス
(図5に示されるもの)が小さくなり、角度が15度と
なったときには、センサに正ヒステリシス(図2に示さ
れるもの)が生じる。
1の磁気異方性部42のナーリング溝のなす角αを+1
5度と設定するとともに、第2の磁気異方性部43にお
いて第1の磁気異方性部42とは正負が逆で大きさの等
しいヒステリシスが生じるように、そのナーリング溝の
なす角βを−33度と設定すると、図14の回路によっ
て形成される合成出力V=V1−V2のヒステリシスを
実質的にゼロにすることができる。
4となす角α、βが互いに相違した一対の磁気異方性部
を形成する場合には、図10および図11の場合と同様
に、一方の磁気異方性部の出力V1の特性と他方の磁気
異方性部の出力V2の特性とが揃わないことがある。し
かし、その場合も、図14に示される回路の特性を調節
することによって、センサのヒステリシスを実質的にゼ
ロにすることができる。
負のヒステリシス特性とを発現させる際に、それぞれの
特性を、上述の各処置を重複して行うことで発現させる
こともできる。たとえば、正負いずれかのヒステリシス
特性を発現させる際に、熱処理とショットピーニング処
理とを併用することもできる。
とソレノイドコイルとの組み合わせにより構成されるも
のの他に、磁気センサ軸と磁気ヘッドとにより構成され
るものであっても差し支えない。
m、オーバーロードトルクが150Nmのトルクセンサ
軸を製造するために、JISのSNCM815材で機械
加工した直径15mmの軸の外周に、磁気異方性部とし
て、45度の角度でナーリング溝を転造により形成し
た。溝底の半径Rは0.3mmとした。そして、この軸
材に高周波焼入焼戻処理により熱処理を行った。次に、
第1段階のショットピーニング処理として、中心粒径が
約250μmの鋼製のショット粒を用いた処理を行っ
た。さらに、第2段階のショットピーニング処理とし
て、中心粒径が約50μmの鋼製のショット粒を用いた
処理を行った。
おける磁気異方性部の周囲に励磁コイルと検出コイルと
を配置して、自動車のパワーステアリング軸用の、計測
定格トルクが10Nmの磁歪式トルクセンサを構成し
た。
5、45kHzと変化させたときのセンサの出力(V=
V1−V2)のヒステリシス特性を図16に示す。ここ
で、横軸は励磁周波数である。縦軸は、計測定格トルク
の10Nmをフルスケール(FS)として、150Nm
のオーバーロードを印加後の、この計測定格フルスケー
ルに対するヒステリシスすなわちゼロエラーを百分率で
表したものである。この縦軸の上側は正のヒステリシス
を表し、その下側は負のヒステリシスを表す。この図1
6に示すように、励磁周波数が20および30kHzの
場合には、負のヒステリシス特性を示した。また励磁周
波数が35kHzおよび45kHzの場合には、正のヒ
ステリシス特性を呈した。そして、図16の線図に示す
ように、励磁周波数を32.5kHzとしたときには、
ヒステリシスを実質的にゼロにすることができた。
のオーバーロードトルクと−150Nmのオーバーロー
ドトルクとを交互に繰り返し作用させたときの、ヒステ
リシス特性を示す。ここで横軸は時間である。縦軸は、
計測定格トルクの10Nmをフルスケール(FS)とし
て、このフルスケール(FS)に対するヒステリシスす
なわちゼロエラーを百分率で表したものである。また、
黒い四角印はゼロエラーすなわちオーバーロード印加・
除荷後のヒステリシスのデータを示し、黒い菱形印は時
計方向の150Nmのオーバーロードトルクを印加した
タイミングを示し、黒い三角印は反時計方向の−150
Nmのオーバーロードトルクを印加したタイミングを示
す。この図17に示すように、計測定格トルク10Nm
の15倍のオーバーロードトルクを印加した後において
も、ヒステリシスを、計測定格トルク10Nmをフルス
ケールとしたときの0.5%未満に抑えることができ
た。
定格トルクが10Nm、オーバーロードトルクが150
Nmのトルクセンサ軸を製造するために、軸材に同様の
ナーリング溝を転造により形成した。そして、この軸材
のナーリング溝の部分はセンサ特性を向上するために浸
炭防止処理を施し、またナーリング溝以外の部分、特に
軸端部は、他の機械要素との結合に必要な強度と硬さと
を付与するために浸炭防止処理を施さずに、軸全体に浸
炭焼入焼戻し熱処理を行った。
理として中心粒径が約250μmの鋼製のショット粒を
用いた処理を行い、第2段階のショットピーニング処理
として中心粒径が約50μmの鋼製のショット粒を用い
た処理を行った。つまり、熱処理とショットピーニング
処理とを併用して、所要のヒステリシス特性を発現させ
た。
周囲に同様に励磁コイルと検出コイルとを配置して、自
動車のパワーステアリング軸用の、計測定格トルクが1
0Nmの磁歪式トルクセンサを構成した。
サについて励磁周波数を変化させたときの、オーバーロ
ード印加・除荷後の、計測定格トルクに対するヒステリ
シス特性を示す。また図19は、図17と同様の繰り返
しオーバーロードを作用させたときのヒステリシス特性
を示す。図示のように、図18、図19とも、図16、
図17と同様の結果を達成することができた。
トルクが10Nm、オーバーロードトルクが150Nm
のトルクセンサ軸を製造するために、軸材に同様のナー
リング溝を転造により形成した。そして、実施例2と同
じように、この軸材のナーリング溝の部分はセンサ特性
を向上するために浸炭防止処理を施し、またナーリング
溝以外の部分、特に軸端部は、他の機械要素との結合に
必要な強度と硬さとを付与するために浸炭防止処理を施
さずに、軸全体に浸炭焼入焼戻し熱処理を行った。さら
に、中心粒径が約50μmの鋼製のショット粒を用いた
ショットピーニング処理を1回だけ施した。
周囲に同様に励磁コイルと検出コイルとを配置して、自
動車のパワーステアリング軸用の、定格トルクが10N
mの磁歪式トルクセンサを構成した。
サについて励磁周波数を変化させたときの、オーバーロ
ード印加・除荷後の、計測定格トルクに対するヒステリ
シス特性を示す。図21は、図17と同様の繰り返しオ
ーバーロードを作用させたときのヒステリシス特性を示
す。図示のように、図20、図21とも、図16、図1
7と同様の結果を達成することができた。
なとおり、実施例1および実施例2のように大径ショッ
ト粒と小径ショット粒とを組み合わせて2段階のショッ
トピーニング処理を施す方が、実施例3のようにショッ
トピーニング処理を1回だけしか行わなかった場合に比
べ、ヒステリシスをゼロにすることができる周波数を低
くすることができる。
ンサ軸とヒステリシス相殺手段とを有し、前記トルクセ
ンサ軸は、第1のヒステリシス特性を持つ部分と、この
第1のヒステリシス特性とは極性が逆の第2のヒステリ
シス特性を持つ部分とを備え、前記ヒステリシス相殺手
段は、前記トルクセンサ軸を励磁する励磁手段にて構成
され、前記トルクセンサ軸は、第1の励磁条件のもとで
正の値の第1のヒステリシス特性を呈するとともに、第
2の励磁条件のもとで負の値の第2のヒステリシス特性
を呈するように構成され、前記励磁手段を、前記第1の
励磁条件を作り出す第1の励磁周波数帯と、前記第2の
励磁条件を作り出す第2の励磁周波数帯との間の特定の
周波数帯であって、センサのヒステリシスを実質的にゼ
ロにし得る、第3の励磁周波数帯で励磁を行うように構
成されていることで、前記トルクセンサ軸における第1
のヒステリシス特性を持つ部分で生じるヒステリシスと
第2のヒステリシス特性を持つ部分で生じるヒステリシ
スとを相殺させるように構成したため、トルクセンサ軸
における第1のヒステリシス特性を持つ部分と第2のヒ
ステリシス特性を持つ部分とでヒステリシスの極性すな
わち正負が逆になり、このため、ヒステリシス相殺手段
によってこれら逆極性のヒステリシス特性を持つ部分で
生じるヒステリシスを相殺させることで、センサのヒス
テリシスを実質的にゼロにすることができる。
アリング制御のために用いられる場合などにおいて、要
求されるオーバーロードトルクに耐える大容量のトルク
センサを、使用時の軽負荷を計測定格トルクとして使用
するときに、そのヒステリシスを大幅に低減でき、理想
的にはゼロにすることができる。さらに、上述の自動車
のパワーステアリング制御などの特殊な用途に供される
もの以外の、通常の用途に供されるトルクセンサにおい
ても、同様にヒステリシスを理想的にゼロにすることが
できる。
略構成図である。
シス特性を説明するための図である。
ついての正のヒステリシス特性を説明するための図であ
る。
ついての正のヒステリシス特性を説明するための図であ
る。
シス特性を説明するための図である。
ついての負のヒステリシス特性を説明するための図であ
る。
ついての負のヒステリシス特性を説明するための図であ
る。
シスとの関係を説明するための図である。
ことによる機械的欠陥の改善について説明するための図
である。
についての負のヒステリシス特性の例を示す図である。
についての正のヒステリシス特性の例を示す図である。
部を有する本発明のトルクセンサの出力特性の例を示す
図である。
サの斜視図である。
クセンサの概略構成図である。
てのナーリング角度とヒステリシスとの関係を示す図で
ある。
ての励磁周波数とヒステリシスとの関係を示す図であ
る。
性を示す図である。
ての励磁周波数とヒステリシスとの関係を示す図であ
る。
性を示す図である。
ての励磁周波数とヒステリシスとの関係を示す図であ
る。
性を示す図である。
Claims (9)
- 【請求項1】トルクセンサ軸とヒステリシス相殺手段と
を有し、 前記トルクセンサ軸は、第1のヒステリシス特性を持つ
部分と、この第1のヒステリシス特性とは極性が逆の第
2のヒステリシス特性を持つ部分とを備え、 前記ヒステリシス相殺手段は、前記トルクセンサ軸を励
磁する励磁手段にて構成され、 前記トルクセンサ軸は、第1の励磁条件のもとで正の値
の第1のヒステリシス特性を呈するとともに、第2の励
磁条件のもとで負の値の第2のヒステリシス特性を呈す
るように構成され、 前記励磁手段は、前記第1の励磁条件を作り出す第1の
励磁周波数帯と、前記第2の励磁条件を作り出す第2の
励磁周波数帯との間の特定の周波数帯であって、センサ
のヒステリシスを実質的にゼロにし得る、第3の励磁周
波数帯で励磁を行うように構成されていることで、 前記
トルクセンサ軸における第1のヒステリシス特性を持つ
部分で生じるヒステリシスと第2のヒステリシス特性を
持つ部分で生じるヒステリシスとを相殺させるように構
成されていることを特徴とする磁歪式トルクセンサ。 - 【請求項2】トルクセンサ軸の外周にナーリング溝が形
成され、このナーリング溝が形成された部分における軸
の最外表面層とその直近下部層とで、ヒステリシス特性
の正負が互いに逆になるように構成されていることを特
徴とする請求項1記載の磁歪式トルクセンサ。 - 【請求項3】直近下部層は、この直近下部層を所要のヒ
ステリシス特性とするための機械的な欠陥を有し、最外
表面層は、この最外表面層のヒステリシス特性が前記直
近下部層のヒステリシス特性と正負が逆になる程度に機
械的な欠陥の少ない状態で形成されていることを特徴と
する請求項2記載の磁歪式トルクセンサ。 - 【請求項4】直近下部層は、低速で転造加工されたナー
リング溝などの、制御された機械的欠陥層によって形成
されていることを特徴とする請求項2または3記載の磁
歪式トルクセンサ。 - 【請求項5】第1のヒステリシス特性を持つ部分は第1
の熱処理によって形成され、第2のヒステリシス特性を
持つ部分は、前記第1の熱処理とは相違する第2の熱処
理によって形成されていることを特徴とする請求項1記
載の磁歪式トルクセンサ。 - 【請求項6】トルクセンサ軸の外周にナーリング溝が形
成され、このナーリング溝が形成された部分における軸
の最外表面層とその直近下部層とに第1の熱処理と第2
の熱処理とが施されることで第1のヒステリシス特性を
持つ部分と第2のヒステリシス特性を持つ部分とが形成
され、ヒステリシス相殺手段は前記ナーリング溝が形成
されかつ第1および第2の熱処理が施された部分を励磁
する励磁手段にて構成され、前記ナーリング溝が形成さ
れかつ第1および第2の熱処理が施された部分は、第1
の励磁条件のもとで正の値の第1のヒステリシス特性を
呈するとともに、第2の励磁条件のもとで負の値の第2
のヒステリシス特性を呈するように構成され、前記励磁
手段は、前記第1の励磁条件を作り出す第1の励磁周波
数帯と、前記第2の励磁条件を作り出す第2の励磁周波
数帯との間の特定の周波数帯であって、センサのヒステ
リシスを実質的にゼロにし得る、第3の励磁周波数帯で
励磁を行うように構成されていることを特徴とする請求
項5記載の磁歪式トルクセンサ。 - 【請求項7】トルクセンサ軸の外周に第1のナーリング
溝が形成され、この第1のナーリング溝から軸心方向に
距離をおいた位置におけるトルクセンサ軸の外周に第2
のナーリング溝が形成され、前記第1のナーリング溝が
形成された部分に第1の熱処理が施されることによって
第1のヒステリシス特性を持つ部分が構成され、前記第
2のナーリング溝が形成された部分に第2の熱処理が施
されることによって第2のヒステリシス特性を持つ部分
が構成され、ヒステリシス相殺手段は、前記第1のナー
リング溝に対応して得られる第1の出力に含まれる第1
のヒステリシス成分と、前記第2のナーリング溝に対応
して得られる第2の出力に含まれる第2のヒステリシス
成分とを加減算することによって、これら第1のヒステ
リシス成分と第2のヒステリシス成分とを相殺させるよ
うに構成されていることを特徴とする請求項5記載の磁
歪式トルクセンサ。 - 【請求項8】トルクセンサ軸に磁歪スリーブが外ばめさ
れ、この磁歪スリーブにおいて最外表面層とその直近下
部層とでヒステリシス特性の正負が互いに逆になるよう
に構成されることで、第1のヒステリシス特性を持つ部
分と第2のヒステリシス特性を持つ部分とが形成されて
いることを特徴とする請求項1記載の磁歪式トルクセン
サ。 - 【請求項9】トルクセンサ軸に一対の磁歪スリーブが互
いに軸心方向に距離をおいて外ばめされ、一方のスリー
ブと他方のスリーブとのヒステリシス特性がヒステリシ
ス相殺手段によって互いに相殺されるように構成されて
いることを特徴とする請求項1記載の磁歪式トルクセン
サ。
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ID=16097923
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Cited By (2)
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US8036338B2 (en) | 2005-03-28 | 2011-10-11 | Tokyo Gakugei University | Method and device for simultaneous measurement of magnetostriction and magnetization |
CN108548622A (zh) * | 2018-04-23 | 2018-09-18 | 哈尔滨工业大学 | 基于逆磁致伸缩效应的非接触式机器人关节扭矩测量装置 |
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DE102020134513A1 (de) * | 2020-12-21 | 2022-06-30 | Methode Electronics Malta Ltd. | Vorrichtung zur Korrektur einer sich auf ein ferromagnetisches Bauteil auswirkenden Überbelastung der Außenbeanspruchung |
-
1998
- 1998-06-29 JP JP18127998A patent/JP3526750B2/ja not_active Expired - Lifetime
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Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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