JP4986815B2 - 磁歪式トルクセンサの製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は磁歪式トルクセンサの製造方法に関し、特に、車両用電動パワーステアリング装置等におけるステアリングシャフトに付設される操舵トルク検出部として利用される磁歪式トルクセンサの製造方法に関する。
例えば自動車の操舵系として装備される電動パワーステアリング装置では、一般的に、運転者の操舵操作によってステアリングホイールからステアリングシャフトに加えられる操舵トルクを操舵トルク検出部によって検出する。操舵トルク検出部として磁歪式トルクセンサを利用して構成されたものが存する。ステアリングシャフトは、運転者の操舵による回転力を受けて回転する回転軸であり、操舵トルク検出部でその回転軸として機能する。電動パワーステアリング装置は、操舵トルク検出部から検出されたトルク信号に応じて、操舵力補助用のモータを駆動制御し、運転者の操舵力を軽減して快適な操舵フィーリングを与える。
磁歪式トルクセンサでは、図12に示すごとく、ステアリングシャフト(回転軸)101の表面でその円周方向全周に渡ってかつ軸心に沿った2つの箇所で互いに逆向きの磁気異方性103,104を有するように磁歪膜102A,102Bが形成されている。磁歪膜102Aは正の磁歪定数を有し、磁歪膜102Bは負の磁歪定数を有している。磁歪式トルクセンサ100は、ステアリングシャフト101に矢印105のごとくステアリングホイールから入力トルクが作用したときに、ステアリングシャフト101に生じる捩れに応じた磁歪膜102A,102Bの磁歪特性の変化をそれぞれの検出コイル106A,106Bにより非接触で検出するセンサ構成を有している。検出コイル106Aは磁歪膜102Aを囲むようにその周囲に配置されている。検出コイル106Bは磁歪膜102Bを囲むようにその周囲に配置されている。
図13は、磁歪式トルクセンサ100のセンサ構成に基づく入力トルクの検出原理を示す。特性VT1は検出コイル106Aからの出力信号に基づいて作られる入力トルク出力特性であり、特性VT2は検出コイル106Bからの出力信号に基づいて作られる入力トルク出力特性である。磁歪膜102A,102Bでの磁気異方性103,104の方向が逆になっているため、特性VT1と特性VT2の傾きは逆になる。特性VT3は、特性VT1と特性VT2の差をとることにより作られる入力トルク出力特性である。特性VT3に基づいて、ステアリングシャフトに印加された入力トルクが求められる。実際上、特性VT3の点Bを原点として設定し、その右側領域を正領域とし、左側部分を負領域として扱う。特性VT3に基づきステアリングシャフトに印加される入力トルクの回転方向と大きさについての情報が得られる。
磁歪式トルクセンサ100の製造方法では、回転可能な円柱体のステアリングシャフト101の軸心に沿った2箇所で、適宜な軸方向幅で、円周表面に全周に渡って磁歪膜102A,102B(広義には磁歪領域部)を形成し、これらの磁歪膜に磁気異方性103,104を付加する。磁歪式トルクセンサ100の製造方法で、磁歪膜に磁気異方性を付加する従来の方法は、例えば電解めっき処理により磁歪材めっき部(磁歪膜)を形成してシャフト部材(回転軸)に対して捩りトルクを作用させ、当該シャフト部材の円周表面に応力を付与し、当該応力の付与状態で恒温槽において当該シャフト部材を加熱処理するという方法であった(例えば特許文献1参照)。
また特許文献1では、磁気異方性を与える方法として、ステアリングシャフトの表面で円周方向に磁歪膜を40μmの厚みでめっき処理した後に捩りトルクを2kgm作用させて応力を付与し、150〜550℃にて10分から20時間ほど熱処理することが提案されている。
特開2002−82000号公報
上記の従来の磁歪式トルクセンサの製造方法によれば、回転軸上に形成された磁歪膜に捩りトルクを与え、検出コイルでその磁気変化を検出する。磁歪式トルクセンサとして動作点での線形性を確保するため、磁歪膜には回転軸に対して25°〜65°程度の斜め方向の磁気異方性を付加して使用する。一般的に、磁歪式トルクセンサでは、回転軸上に例えば上下の位置関係で2枚(一対)以上の磁歪膜を形成し、各磁歪膜の磁気異方性はその方向がほぼ軸対称となる角度で形成される。
構造鋼材である回転軸の表面上に磁歪膜が形成される際、構造鋼材そのものが磁化していたり、磁歪膜作製時の環境磁場が変化したりすると、外から磁場がかかり、磁歪膜での磁化方向がずれることになる。そのため、磁歪膜を形成するめっき部分の結晶配向が磁場の環境により異なる。なお、環境磁場の変化は、製造地域が変わったり、製造環境、製造設備が変わったりすることにより異なる。この結果、環境磁場毎の磁化容易軸が形成されることになる。一対のめっき部分(磁歪膜を形成する部分)に同方向の磁化容易軸が形成されるが、通常では、軸対称角度に同値のトルクを入力して磁化異方性を付加していたので、磁歪膜特性が非対称になるという問題があった。
すなわち、上側のめっき部分に入力トルク方向に磁化容易軸が形成されている場合、磁化ゼロ状態と同様な捩りトルクを入力した場合に磁化されやすくなり、異なる感度特性を示す。しかし、下側のめっき部分も同じ方向に磁化容易軸が形成されるので、下側めっき部分に印加する捩りトルクによっては磁化が困難になり、磁化ゼロ状態と同じだけのトルクを入力して高周波加熱を行うと、磁化ゼロ状態とは異なる感度特性を示す。
そのため、作業者が、製造された磁歪式トルクセンサを電動パワーステアリング装置に組み付けるとき、磁歪式トルクセンサのセンサ感度特性を調整しなければならない。すなわち、検出コイルの次段にブリッジ回路を組み付けるが、当該ブリッジ回路を非対称の状態に組むことが必要となる。そのため、電動パワーステアリング装置などを製造する組立て工程が複雑になり、その製造コストも増加するという問題が提起される。
本発明の目的は、上記の課題を解決することにあり、構造鋼材で作られた円柱状回転軸の表面に形成された一対以上の磁歪膜と、各磁歪膜の磁気特性変化を検出する検出コイルとから成る磁歪式トルクセンサにおいて、めっき設備等の製造環境や地磁気等の環境磁場や構造材磁化による磁歪膜特性の変動分をキャンセルし、検出特性の安定化を企図した磁歪式トルクセンサの製造方法を提供することにある。
本発明に係る磁歪式トルクセンサの製造方法は、上記の目的を達成するため、次のように構成される。
第1の磁歪式トルクセンサの製造方法(請求項1に対応)は、表面に磁歪膜が形成され、入力トルクに応じて回転する回転軸と、この回転軸が回転するとき磁歪膜の磁気特性変化を検出する検出コイル装置とを備える磁歪式トルクセンサを製造する方法であり、回転軸に磁歪膜に成る部分(磁歪材めっき部)を形成する磁歪膜形成工程と、予め測定された磁歪膜形成工程での環境磁場に応じた捩りトルクを回転軸に加えた状態で高周波加熱により回転軸の磁歪膜に成る部分を加熱する加熱工程と、捩りトルクを解放することにより磁歪膜に成る部分に膜残留捩り応力を付加して磁気異方性を与えるトルク解放工程と、を有する方法である。
上記の製造方法では、磁歪式トルクセンサにおける少なくとも2箇所で磁歪膜が形成された回転軸の製造プロセスの磁気異方性付加工程で、トルク解放後のプリトルク(膜残留捩り応力)が環境磁場に依存することなく所定の一定値になるように、高周波加熱処理時に、入力トルクを環境磁場を加味して補正し、環境磁場に応じた入力トルク(捩りトルク)を印加させる。これにより、膜残留捩り応力が環境磁場に関係なく一定に生じ、特性がばらつくのを防止することが可能となる。
第2の磁歪式トルクセンサの製造方法(請求項2に対応)は、上記の方法において、加熱工程で回転軸に加えられる捩りトルクは、トルク解放工程の後に得られる膜残留捩り応力が一定になるように、磁歪膜形成工程の磁場に応じて入力トルク補正値を算出することによって決定されることを特徴とする。
第3の磁歪式トルクセンサの製造方法(請求項3に対応)は、上記の方法において、入力トルク補正値は、膜残留捩り応力を「Feff(const) [Nm]」、高周波加熱による加熱温度を「T」、予め定められた基準の入力トルクを「Fini m]」、環境磁場を「MagmT」、高周波加熱の温度Tに依存して変化する係数を「α(T) [無次元]」、磁歪膜の組成毎のめっき時の磁化容易軸の配向度を「β [10 A]」とするとき、Feff(const) = −α(T)×Fini+β×Magの式から得られる膜残留捩り応力Feff(const) と、所定の感度との差から算出されることを特徴とする。
本発明に係る磁歪式トルクセンサの製造方法によれば次の効果を奏する。
磁歪式トルクセンサの回転軸における磁歪膜を製造する工程において、磁歪膜形成工程での電解めっき処理時の環境磁場が変化しても磁気異方性工程で環境磁場に応じた高周波加熱時の入力トルク補正を行うようにしたため、回転軸の2以上の磁歪膜の磁気特性を均一化することができ、検出性能を安定化することができる。さらに、これにより製造地域の制約をなくし、コスト低減を実現することができる。
以下に、本発明の好適な実施形態(実施例)を添付図面に基づいて説明する。
最初に、図1と図2を参照して、磁歪式トルクセンサの基本的構成について説明する。図1と図2は、磁歪式トルクセンサの一構造例を示している。図1は磁歪式トルクセンサの基本的構造を示す一部断面側面図を示し、図2は磁歪式トルクセンサの基本的構成(電気回路部を含む)を概念的に示す側面図を示している。
図1と図2に示すように磁歪式トルクセンサ10は、回転軸11と、この回転軸11の周囲に配置される1つの励磁コイル12と2つの検出コイル13A,13Bとから構成されている。回転軸11は、図1と図2では、説明の便宜上、上部および下部を切断し省略して示している。
回転軸11は、例えば操舵系のステアリングシャフトの一部である。回転軸11は、その軸心11aの周りに矢印Aのごとく右回転(時計回り)または左回転(反時計回り)の回転力(トルク)を受ける。回転軸11は例えばクロムモリブデン鋼材(SCM材)等の金属棒(構造鋼材)で形成されている。回転軸11には、軸(軸心)方向に沿って図1中で上下2箇所に磁歪膜14A,14Bが設けられている。磁歪膜14A,14Bの各々は、回転軸11の軸方向にて一定の幅(軸方向幅)を有しかつ回転軸11の円周方向の全周に渡って形成されている。各磁歪膜14A,14Bの軸方向の幅寸法、および2つの磁歪膜14A,14Bの間隔寸法は条件に応じて任意に設定される。磁歪膜14A,14Bは、実際には、電解めっき加工処理等により回転軸11の表面に磁歪材めっき部として形成される。この磁歪材めっき部に磁気異方性加工を施すことにより、磁気異方性を有する磁歪膜14A,14Bが形成される。なお図1等では磁歪膜14A,14Bの膜厚は少し誇張して示している。
2つの磁歪膜14A,14Bの磁歪材には例えばNi(ニッケル)−Fe(鉄)合金材が用いられる。また完成した2つの磁歪膜14A,14Bは、各々の磁気異方性は軸対称となって、互いに逆方向であり、一方の磁歪膜は正の磁歪定数を有し、かつ他方の磁歪膜は負の磁歪定数を有するという特性を有している。2つの磁歪膜14A,14Bでは、それぞれ、所定のFe含有率を持たせることによって各特性を生じさせている。なお以下の説明では、上側の磁歪膜14Aが正の磁歪定数を有し、下側の磁歪膜14Bが負の磁歪定数を有するものとする。
なお以下の説明では、説明の便宜上、「磁歪膜14A,14B」と「磁歪材めっき部(14A,14B)」は同一物を指すが、製造の段階・状況に応じて使い分けている。原則的に、磁気異方性を付加されて完成した段階を「磁歪膜14A,14B」といい、その前の段階では「磁歪材めっき部(14A,14B)」という。「磁歪めっき部」は「磁歪膜」に成る部分である。
上記の励磁コイル12と検出コイル13A,13Bは、図1に示すごとく、回転軸11の表面に形成された2つの磁歪膜14A,14Bのそれぞれに対応して設けられる。すなわち、図1に示されるように、磁歪膜14Aの周囲には隙間を介在させて検出コイル13Aが配置される。リング状の検出コイル13Aは、磁歪膜14Aの全周囲を囲み、かつ検出コイル13Aの軸方向の幅寸法は磁歪膜14Aの軸方向の幅寸法と略等しい。また磁歪膜14Bの周囲には隙間を介在させて検出コイル13Bが配置される。同様に、リング状の検出コイル13Bは、磁歪膜14Bの全周囲を囲み、かつ検出コイル13Bの軸方向の幅寸法は磁歪膜14Bの軸方向の幅寸法と略等しい。さらに、2つの検出コイル13A,13Bのそれぞれの周囲にはリング状の励磁コイル12が配置される。図1では、磁歪膜14A,14Bのそれぞれに対応して個別に励磁コイル12が設けられるように図示されているが、実際には1つの励磁コイル12の2つの部分を分けて示したものである。検出コイル13A,13Bと励磁コイル12は、回転軸11の周囲に回転軸11を囲むように設けられたリング状の支持枠体部15A,15Bを利用して磁歪膜14A,14Bの周囲スペースに巻設されている。
図2では、回転軸11の磁歪膜14A,14Bに対して配置される励磁コイル12と検出コイル13A,13Bを電気的関係として概念的に示している。磁歪膜14A,14Bに対して共通に配置される励磁コイル12には、励磁用交流電流を常時に供給する交流電源16が接続されている。また、磁歪膜14A,14Bのそれぞれに対応して配置される検出コイル13A,13Bの各出力端子からは、検出対象であるトルクに対応する誘導電圧V,Vが出力される。
回転軸11の表面に形成された磁歪膜14A,14Bは、Ni−Feめっきによる電解めっき加工処理で作られた互いに異なる磁気異方性を有する磁歪膜である。2つの磁歪膜14A,14Bの各々は、互いに逆方向の磁気異方性を有するように作られている。回転軸11に対して回転力によるトルクが作用したとき、磁歪膜14A,14Bの各々に生じる逆の磁歪特性を、磁歪膜14A,14Bの周囲に配設した検出コイル13A,13Bを利用して検出する。
図3は2つの磁歪膜14A,14Bのそれぞれの磁歪特性曲線51A,51Bを示す図である。図3で、横軸は、ステアリングシャフトとしての回転軸に加えられた操舵トルク(入力トルク)を意味し、正側(+)が右回転に対応し、負側(−)が左回転に対応している。また図3の縦軸は電圧軸を意味する。
磁歪膜14A,14Bについての上記磁歪特性曲線51A,51Bは同時に検出コイル13A,13Bの検出出力特性を表している。すなわち、磁歪特性曲線51A,51Bを有する磁歪膜14A,14Bに対して共通の励磁コイル12により励磁用交流電流を供給し、この励磁用交流電流に感応して検出コイル13A,13Bは誘導電圧を出力していることから、検出コイル13A,13Bの誘導電圧の変化特性は、磁歪膜14A,14Bの磁歪特性曲線51A,51Bに対応している。磁歪特性曲線51Aは検出コイル13Aから出力される誘導電圧Vの変化特性を示し、磁歪特性曲線51Bは検出コイル13Bから出力される誘導電圧Vの変化特性を示している。
図3で線52は、検出コイル13Aの出力電圧として得られる磁歪特性曲線51Aの各値から、検出コイル13Bの出力電圧として得られる磁歪特性曲線51Bの対応する各値を差し引いた値に基づいて作成されるグラフを示す。線52の特性グラフに関しては、図3の縦軸は差電圧の値を示す軸を意味している。操舵トルク検出部20の検出出力値は前述のごとく検出コイル13A,13Bから出力される誘導電圧の差(V−V)として得られることから、直線52を利用することに基づいて、回転軸11に加えられた操舵トルクの方向と大きさを検出することができる。
次に、図4〜図6を参照して前述した磁歪式トルクセンサ10の製造方法を説明する。図4に示した磁歪式トルクセンサ10の製造方法の主要部は、磁歪式トルクセンサ10の回転軸11(例えばステアリングシャフト等)の製造工程である。
図4において、回転軸11の製造プロセスは、大きく分けると、磁歪膜形成工程P1と磁気異方性付加工程P2と特性安定化工程P3と検査工程P4から構成されている。特性安定化工程P3はさらにアニール工程P31と消磁工程P32から構成されている。また検査工程P4は、製造された回転軸の品質を検査する工程である。なお磁歪式トルクセンサ10として完成するためには、検査工程P4の後に、回転軸11に対して励磁コイル12や検出コイル13A,13B等の検出器を付設する検出器付設工程が設けられている。
最初に、磁歪膜形成工程P1が実行される。この磁歪膜形成工程P1では、電解めっき処理により回転軸11の表面の所定箇所に磁歪材めっき部が磁歪膜の基礎となる部分として形成される。
なお磁歪膜形成工程P1の前段には、通常、図示しない受入検査工程が設けられる。
磁歪膜形成工程P1では、まず、回転軸11の前処理が行われる(ステップS11)。前処理の工程では、例えば、予備洗浄、マスク治具付け、電解脱脂、酸電解等の工程が実施される。その後に電解めっきが行われる(ステップS12)。この電解めっきの処理工程では、回転軸11の上下の箇所で磁歪材が所定の膜厚になるように施される。上下の磁歪材めっき部は、後述する後処理によって磁気異方性を有する磁歪膜14A,14Bになる部分である。その後、図示しない「治具ばらし」を行った後に、乾燥が行われる(ステップS13)。
なお上記の電解めっき工程(ステップS12)においては、電解めっきを行う際に、めっき電流による磁場が回転軸11の磁化に影響を及ぼす。めっき時に回転軸11に影響を及ぼす他の磁場としては、納入シャフト(回転軸11を作るための素材である金属棒)の磁化状態、および地磁気等が存在する。めっき電流による磁場以外で回転軸11の磁化状態に影響を及ぼすこれらの磁場を「環境磁場」と呼ぶ。このような環境磁場によって、回転軸11では、磁歪材めっき部の結晶配向が変わり、磁化容易軸の角度が変化することになる。
本発明の磁歪式トルクの製造方法では、後述するごとく、電気めっき時の各種の磁場の影響、すなわち環境磁場の変動に応じて電解めっき後の磁化特性が変化するので、後段の磁気異方性付加工程P2において、加熱処理の際に印加される捩りトルクを、環境磁場を考慮して適切に調整することにより当該環境磁場の影響を除くようにしている。
上記の磁歪膜形成工程P1では、回転軸11の表面に前述した磁歪膜14A,14Bを形成するために電解めっき処理法を用いた。しかしながら、回転軸11における磁歪膜14A,14Bを形成する基礎部分は、電解めっき法以外の方法、例えばスパッタリング法、イオンプレーティング法等のPVD法、プラズマ溶射法などの方法によって形成することもできる。
次に、磁気異方性付加工程P2が実行される。この磁気異方性付加工程P2は、回転軸11に形成された上下2箇所の磁歪材めっき部に対して磁気異方性を付加し前述の磁歪膜14A,14Bを形成する工程である。磁気異方性付加工程P2は、上側の磁歪材めっき部に対して高周波加熱を行うステップS21と、下側の磁歪材めっき部に対して高周波加熱を行うステップS22とを有している。
図5は、磁気異方性付加工程P2の各ステップS21,S22で実施される処理工程のフローチャートを示す。図6は、磁気異方性付加工程P2の各ステップS21,S22における回転軸11の磁歪材めっき部での軸径方向の温度分布と軸径方向の歪分布を示す図である。
磁気異方性付加工程P2の上側磁歪材めっき部を高周波加熱するステップS21は、図5に示すごとく、最初に実行される、トルク印加装置(図示せず)により回転軸11に所定の捩りトルク(Tq)を印加するステップS201、次に所定の捩りトルク(Tq)を印加した状態の回転軸11の上側磁歪材めっき部に対して所定時間だけ高周波を供給し電磁誘導により加熱処理を行う熱処理ステップS202、次に加熱した回転軸11を自然に冷却するステップS203、最後に捩りトルクを解放することによって上側磁歪材めっき部に磁気異方性を付加して上記磁歪膜14Aを形成するトルク解放ステップS204、から構成されている。
上記の熱処理ステップS202では、トルク印加状態の回転軸11の上側磁歪材めっき部に誘導加熱コイルを配置し、この誘導加熱コイルに高周波電源から所定の高周波を供給して上側磁歪材めっき部のみを高周波加熱する。
図7に、熱処理ステップ202の状態を示す。回転軸11の下部は、支持部材71で固定され、回転軸11の上端に所定の捩りトルク(Tq)が印加されている。回転軸11には上側磁歪材めっき部14Aと下側磁歪材めっき部14Bが形成されている。上側磁歪材めっき部14Aに対応して加熱コイル72が配置され、この加熱コイル72には高周波電源73から高周波電力(例えば、2.0MHz、8kV)が供給される。
上記のステップS201〜S204によって、回転軸11の上側磁歪材めっき部は磁気異方性が付加され、これにより磁気異方性を有する磁歪膜14Aが形成される。
回転軸11の下側磁歪材めっき部に対する高周波加熱ステップS22においても同様に上記のステップS201〜S204が実行され、下側磁歪材めっき部に対して磁気異方性が付加され、これにより磁気異方性を有する磁歪膜14Bが形成される。この場合には、下側磁歪材めっき部に磁気異方性を付加するときに、磁歪膜14Bの磁気異方性とは逆向きになるように、回転軸11に与えるトルクの印加方向を逆向きにする。
さらに図6を参照して、磁記異方性付加工程P2で磁歪材めっき部に磁気異方性を付加し磁歪膜14Aを形成するメカニズムについて詳述する。
図6では、縦方向に示された回転軸11の径方向の温度分布(1)と歪み分布(2)について、横方向に(a)トルク印加状態、(b)誘導加熱状態、(c)めっき部歪み解放状態、(d)トルク解放状態の4つの状態が示されている。トルク印加状態(a)は図5に示したステップS201に対応し、誘導加熱状態(b)は同図のステップS202に対応し、めっき部歪み解放状態(c)は同図のステップS203に対応し、トルク解放状態(d)は同図のステップS204に対応している。また図6の(1)で、軸61は温度を表す軸を示し、(2)で軸62は歪みを表す軸を示す。
図6の(a)では、所定の捩りトルクTqを回転軸11に作用させ、回転軸11の円周表面に応力を与える。これにより捩りトルクTqが作用する。この場合、回転軸11の径方向の歪み分布は、回転軸11の中心に位置する軸心11aから周縁方向に向かって増加した分布ST1となる。ただし、分布ST1では、歪みの分布方向も含めて考えると、軸心11aの右側と左側では反対になるので、右側の歪み分布は正側(+)に示され、左側の歪み分布は負側(−)に示されている。さらに、図6(a)で回転軸11の径方向の温度分布は、破線で示すごとくなり、回転軸11の軸心11aから周縁方向まで室温であって一定の分布T1となる。この室温は回転軸11の温度の基準温度になる。
図6の(b)では、回転軸11に所定の捩りトルクTqを作用させたまま、磁歪材めっき部の周囲を誘導加熱コイルで囲み、この誘導加熱コイルに対して高周波電流を流し、磁歪材めっき部を加熱処理する。図6の(b)で、回転軸11の径方向の歪み分布は、図6(a)の場合と同じである。また回転軸11の径方向の温度分布は、回転軸11の外周縁部に近いところから当該外周縁に向かって急激に増加する分布T2となる。
図6の(c)では、冷却が行われ、その結果、磁歪材めっき部にクリープが生じ、磁歪材めっき部での歪みがゼロとなる。このときの回転軸11の径方向の歪み分布は符号ST2で示される。図6(c)の状態を示すステップは、加熱処理後、自然に冷却させるステップS203である。回転軸11の径方向の温度分布T2の形状については実質的には変化がなく、冷却過程の推移と共に全体に温度は低下する。
図6の(d)では、冷却後、回転軸11に印加されていた捩りトルクTqを解除し、トルク解放を行う。これにより、歪み分布ST3に示されるごとく、回転軸11内での径方向での歪み分布はゼロとなる。他方、反対に、歪み分布ST3に示されるごとく、磁歪材めっき部においてのみ歪み分布が生じる。この結果、当該歪み分布ST3によって磁歪材めっき部に磁気異方性を付加することができ、これにより磁気異方性を有する磁歪膜14Aを形成することができる。なお、図6(d)で温度分布は、T3に示すごとく全体になだらかに分布するように低減する。
なお磁歪膜14Bを作る場合には、磁歪膜14Aに比較して逆向きの磁気異方性を付加するため、上記の捩りトルクTqとは逆方向の時計回りの捩りトルクを与えて前述のプロセスを実行する。
上記の磁気異方性付加工程P2の後に特性安定化工程P3が行われる。特性安定化工程P3では、最初にアニール工程P31が行われる。アニール工程P31では、例えば操舵トルク検出部が使用される状況での使用温度以上の温度で所定時間加熱処理を行う。このアニール工程P31は必須な工程ではなく、省略することもできる。
アニール工程P31の次に消磁工程P32が行われる。消磁工程P32は、回転軸11に対して交流磁場を与えて回転軸11の表面に生じた磁化等を消磁する工程である。この消磁工程P32によれば、回転軸11上の全表面(磁歪膜14A,14Bの表面を含む)に生じたすべての磁化部分等を消磁し、残留磁化を初期化する。
前述した磁歪膜形成工程P1において、電解脱脂などの前処理工程のステップS11、電解めっきのステップS12、磁歪材めっき部に対する磁気異方性付加工程P2などの製造プロセスでは、各種の電磁発生装置が設けられている。そのため、回転軸11の表面(磁歪膜の表面も含む)に意図しない多数の磁化部等が生じる。そこで、上記のような状態の回転軸11に対して、消磁工程P32で消磁処理を行う。これにより、消磁後の回転軸11は、その表面に存在する磁化部や歪み等は初期化され、さらに2つの磁歪膜14A,14Bのそれぞれに互いに逆向きの安定したセンサ出力感度を実現する磁気異方性が形成される。その結果、前述した不安定な検出感度や、センサ出力感度のばらつきの問題は解消される。
以上の回転軸11の製造工程に関して、次に、上記の磁気異方性付加工程P2における熱処理(ステップS202)の際に、印加される所定の捩りトルクTqについて説明する。
上記の所定の捩りトルクTqは、高周波熱処理時に回転軸11に印加される入力トルクであるが、本実施形態では、後述するように「プリトルク」が一定になるように、環境磁場を考慮した入力トルクに対して補正が行われる。ここで「プリトルク」とは、「回転軸11に捩りトルクを印加していったときに磁歪膜のインピーダンスがピーク値を指すときのトルク量」と定義される。また「プリトルク」は、膜に付加された磁気異方性を解放するために必要な「残留捩り応力」ということもできる。
本実施形態による製造工程では、磁気異方性付加工程P2における熱処理(ステップS202)の際に、前述した環境磁場に対応する補正された捩りトルクTqを印加する。これにより、環境磁場に起因する回転軸11の磁歪材めっき部の結晶配向の変化および磁化容易軸の角度の変化をキャンセルすることができる。このようにして環境磁場に対応する捩りトルクTqを用いることにより、回転軸11の磁歪材めっき部に生じる結晶配向および磁化容易軸の角度を適切に補正する。
プリトルク量を一定するために環境磁場を考慮して捩りトルクTqを補正する考え方をさらに詳述する。
図8と図9を参照して、環境磁場の影響と、磁歪材めっき部(磁歪膜相当部)でのZ(インピーダンス)−トルク特性との関係等を説明する。図8の(A)は、回転軸11の素材となる納入シャフトの磁化状態(初期の磁化状態)と電解めっき処理後のZ−トルク特性を示す。Z−トルク特性は、一例として、環境磁場が0mT(最大磁束(Top磁束))である場合の特性81と、環境磁場が−0.4mT(最大磁束(Top磁束))である場合の特性82の2つの例が示されている。このような2つの例に関する納入シャフトすなわち回転軸11に対して、従来より予め定められた基準の捩りトルクを加えて磁気異方性付加工程P2における高周波加熱処理を施すと、作られた磁歪膜についてのZ−トルク特性は図8の(B)に示すごとくなる。特性81Aは上記特性81に対応し、特性82Aは上記特性82に対応する。ほぼ左右対称の山形の特性81A,82Aに関して、それらの頂点(ピーク値)の位置は一致せず、横軸の印加トルク(Nm)においてTq1とTq2となって、ピーク値に対応するトルク量についてずれが生じる。前述した定義に従えば、Z−トルク特性81A,82Aでのピーク値に対応するトルク量であるプリトルクがそれぞれTq1,Tq2となり、異なる状態になる。還元すれば、電解めっき処理の工程における環境磁場の相違に応じて、形成される磁歪膜のZ−トルク特性が異なり、ばらつきが生じることになる。このような状態が生じる製造工程は望ましいものではないので、本発明に係る磁歪式トルクセンサの製造方法によれば、この状態を環境磁場に対応する所定の捩りトルク(Tq)を用い、従来の基準となる入力トルクを利用して補正することにより、磁歪膜のZ−トルク特性のばらつきをキャンセルできる。
図9に示したグラフ座標系において、横軸はめっき前のシャフト磁化(mT)(回転軸11の磁化状態)を示し、縦軸はプリトルク(Nm)を示す。図9に示した直線特性83は、めっき前シャフト磁化の値とプリトルクの関係を示している。すなわち、電解めっきのステップS12における環境磁場と前述のプリトルクの量との間には一次的な相関関係がある。この事実は本発明者等の実験・研究によって知得されたものである。
従って、電解めっきのステップS12における環境磁場を考慮せず、従前通りの予め定められた基準の捩りトルクを、磁気異方性付加工程P2でのトルク印加のステップS201で回転軸11に与え、当該捩りトルクを維持したままで高周波加熱による熱処理のステップS202を実行すると、直線特性83に基づいて高周波加熱後の磁気異方性付加量が決定され、最終的に磁歪膜のZ−トルク特性が変動(ドリフト)し、プリトルク量が変動(ドリフト)することになる。
反対に、電解めっきのステップS12における環境磁場を通常の磁場計測装置により計測し、この環境磁場と高周波加熱での温度条件とを利用した所定の式に基づいて、当該環境磁場に対応する補正された捩りトルク(Tq)を求めることができる。補正された当該捩りトルク(Tq)を、磁気異方性付加工程P2におけるトルク印加のステップS201で回転軸11に与え、当該捩りトルクTqを維持したままで高周波加熱による熱処理のステップS202を実行すると、プリトルク量が一定値になり、高周波加熱後の磁気異方性付加量が適切に決定され、最終的に磁歪膜のZ−トルク特性の変動をキャンセルし、適切に調整することができる。
高周波加熱後のプリトルク量が一定値になるように、環境磁場に対応する補正された捩りトルクTqを用いることにより、磁歪膜のZ−トルク特性を補正する方法について、図10と図11を参照して説明する。図10の(A)は図8の(A)に対応し、図10の(B)は図8の(B)に対応している。図10の(A)と(B)の間には、高周波加熱による熱処理のステップS202における回転軸11の状態84が示されている。この状態84は、回転軸11の上側磁歪材めっき部14Aが高周波加熱される際、回転軸11が特性81(環境磁界なし)を有する場合には基準の捩りトルクTq11が印加され、特性82(環境磁界あり)を有する場合には補正された捩りトルクTq12が印加されることを意味している。すなわち、状態84は、熱処理時の回転軸11の捩りトルクが電解めっき工程での環境磁場に対応させて補正・調整されることを示している。この結果、図10の(B)に示されるように、プリトルク量が制御され、特性81A−1,82A−1においてプリトルク量がほぼ一致するようにされる。還元すれば、トルク解法工程後に得られる膜残留捩り応力がほぼ一定値になるように、回転軸11に印加される捩りトルクが環境磁場を考慮して補正される。
図11は、前述の図9のグラフ座標系に対応し、横軸はめっき前シャフト磁化を示し、縦軸はプリトルク(プリトルク量:Nm)を示している。図11の特性85によれば、電解めっき時の環境磁場が変化しても、高周波加熱時に回転軸11に印加される入力トルクを環境磁場を考慮して補正することにより、最終的にプリトルク量(膜残留捩り応力)を一定値にし、磁歪膜の磁化特性を均一化することができる。
次に、プリトルク量(膜残留捩り応力)を一定にするため、環境磁場を考慮して入力トルク(捩りトルクTq)を補正する補正方法を説明する。
この補正方法は、めっき時の環境磁場(めっき前の回転軸の磁化状態を計測)とプリトルク量との間には前述したごとく一次相関性が存在するため、環境磁場を予め計測し、当該環境磁場と、磁化ゼロ状態(環境磁場がゼロの状態)との差を求め、その差の値から入力トルクの量(値)を決定する。この入力トルクは、環境磁場を考慮に入れて補正された捩りトルク(Tq)となる。
ここで、高周波加熱による加熱温度を「T」、予め定められた基準の入力トルクを「Fini m]、めっき設備等の製造環境において計測された環境磁場を「MagmT」とし、さらに、高周波加熱温度Tに依存して変化する係数を「α(T) [無次元]」、磁歪膜の組成毎のめっき時の磁化容易軸の配向度(磁化容易軸の傾き)を「β」とする。この場合において、入力トルクの補正値は、下記の式(1)によってプリトルク量(膜残留捩り応力)Feff(const) [Nm]を計算し、当該プリトルク量Feff(const)と所望の感度との差とから算出される。つまり、めっき処理の工程で環境磁場の影響を受けた状態である場合、従来通りの基準の入力トルク(捩りトルク)を回転軸11に印加して高周波加熱を行うと、プリトルク量は所定の一定値から相違した値となる。そこで、そのずれ量(プリトルク量Feff(const)と所望の感度との差)を求めて入力トルクの補正値が算出する。この入力トルク補正値に基づいて捩りトルクを印加し、加熱後、トルク解放の後のプリトルク量(膜残留捩り応力)を一定の値にする。
Feff(const) = −α(T)×Fini+β×Mag …(1)
上記の式(1)は実験により求められた式である。式(1)は、回転軸の材料、膜厚、高周波加熱時の周波数等に依存する。上記のプリトルク量Feff(const)は、環境磁場に依存した一定値である。環境磁場以外の条件が同じ場合には、上記の式(1)に基づいてプリトルク量すなわち膜残留捩り応力を計算することができる。
上記の式(1)において、例えば、加熱温度Tが395℃の場合にはαは5/6、βは5.0であり、また加熱温度Tが345℃の場合にはαは4/6、βは同じく5.0である。
上記によって、電解めっき工程におけるめっき処理の際に環境磁場が変化しても、高周波加熱工程の際の回転軸11に印加される入力トルクを補正することによってプリトルク量(膜残留捩り応力)を所定の一定値にすることができ、製造される回転軸11の磁歪膜14A,14Bの磁気特性を均一化することができ、磁歪式トルクセンサ10のトルク検出特性を安定化することができる。その結果、地磁気が異なる製造地域に係る制約を解消することができ、環境磁場の異なる製造設備であっても同じトルク検出特性を有する磁歪式トルクセンサを製造することができ、コストの低減も達成することができる。
以上の実施形態で説明された構成、形状、大きさ、材質、および配置関係については本発明が理解・実施できる程度に概略的に示したものにすぎない。従って本発明は、説明された実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に示される技術的思想の範囲を逸脱しない限り様々な形態に変更することができる。
本発明は、電動パワーステアリング装置の操舵トルク検出部として使用される磁歪式トルクセンサの検出特性を安定化する製造方法に利用される。
本発明の製造方法が適用される磁歪式トルクセンサの基本的構造を示す一部断面側面図である。 磁歪式トルクセンサの基本的構成を概念的に示す側面図である。 磁歪式トルクセンサにおける各検出コイルに関する磁歪特性曲線とセンサ検出特性を示すグラフである。 磁歪式トルクセンサの製造方法であり、回転軸の製造プロセスを示す工程図である。 磁気異方性付加工程のフローチャートである。 磁気異方性付加工程の各ステップ(a)〜(d)での回転軸における径方向の温度分布(1)と歪み分布(2)を示す図である。面図である。 磁気異方性付加工程における捩りトルク(入力トルク)を印加する工程での装置構成の状態を示す側面図である。 環境磁場に対応する膜残留捩り応力(プルトルク)の相違を図解するグラフである。 環境磁場に対応して膜残留捩り応力がドリフトする状態を図解するグラフである。 入力トルクを補正して環境磁場に関係なく膜残留捩り応力(プルトルク)を一致させる状態を図解するグラフである。 環境磁場の変化に関係なく膜残留捩り応力を一定できることを図解するグラフである。 従来の一般的な磁歪式トルクセンサの要部構成を示す側面図である。 磁歪式トルクセンサのセンサ構成における入力トルク検出の原理を説明するための入力トルク・出力特性を示すグラフである。
符号の説明
10 磁歪式トルクセンサ
11 回転軸
12 励磁コイル
13A,13B 検出コイル
14A,14B 磁歪膜(磁歪材めっき部)
P1 磁歪膜形成工程
P2 磁気異方性付加工程
P3 特性安定化工程

Claims (3)

  1. 表面に磁歪膜が形成され、入力トルクに応じて回転する回転軸と、この回転軸が回転するとき前記磁歪膜の磁気特性変化を検出する検出コイル装置とを備える磁歪式トルクセンサを製造する方法であって、
    前記回転軸に前記磁歪膜に成る部分を形成する磁歪膜形成工程と、
    予め測定された前記磁歪膜形成工程での環境磁場に応じた捩りトルクを前記回転軸に加えた状態で高周波加熱により前記回転軸の前記磁歪膜に成る部分を加熱する加熱工程と、
    前記捩りトルクを解放することにより前記磁歪膜に成る部分に膜残留捩り応力を付加して磁気異方性を与えるトルク解放工程と、
    を有することを特徴とする磁歪式トルクセンサの製造方法。
  2. 前記加熱工程で前記回転軸に加えられる前記捩りトルクは、前記トルク解放工程の後に得られる前記膜残留捩り応力が一定になるように、前記磁歪膜形成工程の前記環境磁場に応じて入力トルク補正値を算出することによって決定されることを特徴とする請求項1記載の磁歪式トルクセンサの製造方法。
  3. 前記入力トルク補正値は、
    膜残留捩り応力を「Feff(const) [Nm]」、前記高周波加熱による加熱温度を「T」、予め定められた基準の入力トルクを「Fini m]」、前記環境磁場を「MagmT」、前記高周波加熱の温度Tに依存して変化する係数を「α(T) [無次元]」、磁歪膜の組成毎のめっき時の磁化容易軸の配向度を「β [10 A]」とするとき、
    Feff(const) = −α(T)×Fini+β×Mag
    の式から得られる前記膜残留捩り応力Feff(const) と、所定の感度との差から算出されることを特徴とする請求項2記載の磁歪式トルクセンサの製造方法。
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