JP2730778B2 - トルク検出方法 - Google Patents
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Description
(産業上の利用分野) 本発明は、被測定軸に加えられたねじりトルクを検出
するのに利用される磁歪方式のトルク検出方法に関する
ものである。 (従来の技術) この種の磁歪方式のトルク検出方法としては、例え
ば、第11図に示すような磁歪方式のトルクセンサを用い
て行う方法があった。 第11図に示すトルクセンサ51は、磁気ひずみ効果を有
する被測定軸52の表面部分に、中心軸方向に対して+45
゜方向をなす円周方向に複数の部分らせん状溝部53(53
a)および部分らせん状突部54(54a)と、同じく中心軸
方向に対して−45゜方向をなす円周方向に複数の部分ら
せん状溝部53(53b)および部分らせん状突部54(54b)
とを左右において対称となるように設けることによって
それぞれ第Iトルク検出部(53a,54a)と第IIトルク検
出部(53b,54b)とを形成し、この被測定軸52の近傍
に、前記各部分らせん状溝部53(53a,53b)および部分
らせん状突部54(54a,54b)と対向するようにして励磁
兼検出用のコイル55(55a,55b)を配設し、前記コイル5
5(55a,55b)の外周に、被測定軸52との間で間隙56をお
いて、高透磁率材料よりなるヨーク57を設けた構造をな
すものである(例えば、特開昭62−185136号公報参
照)。 このような構造をなすトルクセンサ51において、被測
定軸52に加えられたトルク(T)を検出するに際して
は、例えば、第12図に示す回路を用いていた。 すなわち、励磁兼検出用のコイル55a,55bは抵抗65a,6
5bと組み合わされてブリッジ回路を構成し、このブリッ
ジ回路にバランス用の可変抵抗66を設けると共に、ブリ
ッジ回路の接続点A−C間に励磁用発振器67を接続して
被測定軸52に対する励磁方向を同一方向に合わせ、接続
点B−B′間には差動増幅器68を接続して、出力端子69
a,69bより検出出力を取り出すようにしている。 そこで、被測定軸52に加えられたトルク(T)を測定
するに際しては、励磁用発振器67よりコイル55a,55bに
一定振幅および周波数の交流を通電する。この通電によ
って、被測定軸52→間隙56→ヨーク57→間隙56→被測定
軸52を磁路とする磁力線がコイル55a,55bを取り囲むよ
うにして発生する。このとき、磁力線は被測定軸52の表
面部分を流れ、部分らせん状溝部53(53a,53b)によっ
て形成された部分らせん状突部54(54a,54b)のところ
で形状磁気異方性の効果があらわれる。 そして、被測定軸52の軸心方向に対して+45゜方向の
部分らせん状溝部53aによって形成された部分らせん状
突部54aのところで最大引張応力+σが作用して正特性
の場合に透磁率が増加し、反対に−45゜方向の部分らせ
ん状溝部53bによって形成された部分らせん状突部54bの
ところでは最大圧縮応力−σが作用して透磁率が減少
し、透磁率が増加した部分のコイル55aのインダクタン
スL1が増加するとともに透磁率が減少した部分のコイル
55bのインダクタンスL2が減少するので、第12図に示し
たブリッジ回路のバランスがくずれ、差動増幅器68を経
て出力端子69a,69b間にトルク(T)に対応した検出出
力が生じる。 また、トルク(T)が逆方向に付加された場合には、
上述したのと逆の作用により、一方のコイル55aのイン
ダクタンスL1が減少するとともに他方のコイル55bのイ
ンダクタンスL2が増加するので、この場合にも第12図に
示したブリッジ回路のバランスがくずれ、差動増幅器68
を経て出力端子69a,69b間にトルク(T)に対応した検
出出力が生じる。 したがって、例えば第13図に示すようなトルクと検出
出力との関係をもつ特性が得られ、このときのヒステリ
シスは(Hmax/Vmax)×100(%)で表わされる。 (発明が解決しようとする課題) このような磁歪方式のトルクセンサ51を用いて行うト
ルク検出方法において、そのトルクセンサ51の出力は被
測定軸52に設けた複数のトルク検出部(53a,54a),(5
3b,54b)の磁歪成分を差動増幅器68によって差動しそし
て増幅したものとして得ているが、この場合、それぞれ
のトルク検出部(53a,54a),(53b,54b)の磁歪成分は
印加トルクTに対して非線形,非対称な出力になること
が多い。 したがって、これらの複数のトルク検出部(53a,54
a),(53b,54b)の磁歪成分がバランスしていない場合
には、差動出力つまりセンサ出力の直線性(印加トルク
に対するセンサ出力のリニアリティ)が損われたり、ヒ
ステリシス(トルク負荷側と除荷側の出力差)が増大し
たりするなどの問題点があり、正確なトルクの検出を安
定的に行うことが難しいという課題があった。 (発明の目的) 本発明は、上述した従来の課題にかんがみてなされた
ものであって、被測定軸に種々の磁性体素材を用いると
きでも、トルク−出力特性図において示されるヒステリ
シスを減少させ、この被測定軸に付加されるトルクの検
出を正確にかつ安定して行うことができるようにするこ
とを目的としている。
するのに利用される磁歪方式のトルク検出方法に関する
ものである。 (従来の技術) この種の磁歪方式のトルク検出方法としては、例え
ば、第11図に示すような磁歪方式のトルクセンサを用い
て行う方法があった。 第11図に示すトルクセンサ51は、磁気ひずみ効果を有
する被測定軸52の表面部分に、中心軸方向に対して+45
゜方向をなす円周方向に複数の部分らせん状溝部53(53
a)および部分らせん状突部54(54a)と、同じく中心軸
方向に対して−45゜方向をなす円周方向に複数の部分ら
せん状溝部53(53b)および部分らせん状突部54(54b)
とを左右において対称となるように設けることによって
それぞれ第Iトルク検出部(53a,54a)と第IIトルク検
出部(53b,54b)とを形成し、この被測定軸52の近傍
に、前記各部分らせん状溝部53(53a,53b)および部分
らせん状突部54(54a,54b)と対向するようにして励磁
兼検出用のコイル55(55a,55b)を配設し、前記コイル5
5(55a,55b)の外周に、被測定軸52との間で間隙56をお
いて、高透磁率材料よりなるヨーク57を設けた構造をな
すものである(例えば、特開昭62−185136号公報参
照)。 このような構造をなすトルクセンサ51において、被測
定軸52に加えられたトルク(T)を検出するに際して
は、例えば、第12図に示す回路を用いていた。 すなわち、励磁兼検出用のコイル55a,55bは抵抗65a,6
5bと組み合わされてブリッジ回路を構成し、このブリッ
ジ回路にバランス用の可変抵抗66を設けると共に、ブリ
ッジ回路の接続点A−C間に励磁用発振器67を接続して
被測定軸52に対する励磁方向を同一方向に合わせ、接続
点B−B′間には差動増幅器68を接続して、出力端子69
a,69bより検出出力を取り出すようにしている。 そこで、被測定軸52に加えられたトルク(T)を測定
するに際しては、励磁用発振器67よりコイル55a,55bに
一定振幅および周波数の交流を通電する。この通電によ
って、被測定軸52→間隙56→ヨーク57→間隙56→被測定
軸52を磁路とする磁力線がコイル55a,55bを取り囲むよ
うにして発生する。このとき、磁力線は被測定軸52の表
面部分を流れ、部分らせん状溝部53(53a,53b)によっ
て形成された部分らせん状突部54(54a,54b)のところ
で形状磁気異方性の効果があらわれる。 そして、被測定軸52の軸心方向に対して+45゜方向の
部分らせん状溝部53aによって形成された部分らせん状
突部54aのところで最大引張応力+σが作用して正特性
の場合に透磁率が増加し、反対に−45゜方向の部分らせ
ん状溝部53bによって形成された部分らせん状突部54bの
ところでは最大圧縮応力−σが作用して透磁率が減少
し、透磁率が増加した部分のコイル55aのインダクタン
スL1が増加するとともに透磁率が減少した部分のコイル
55bのインダクタンスL2が減少するので、第12図に示し
たブリッジ回路のバランスがくずれ、差動増幅器68を経
て出力端子69a,69b間にトルク(T)に対応した検出出
力が生じる。 また、トルク(T)が逆方向に付加された場合には、
上述したのと逆の作用により、一方のコイル55aのイン
ダクタンスL1が減少するとともに他方のコイル55bのイ
ンダクタンスL2が増加するので、この場合にも第12図に
示したブリッジ回路のバランスがくずれ、差動増幅器68
を経て出力端子69a,69b間にトルク(T)に対応した検
出出力が生じる。 したがって、例えば第13図に示すようなトルクと検出
出力との関係をもつ特性が得られ、このときのヒステリ
シスは(Hmax/Vmax)×100(%)で表わされる。 (発明が解決しようとする課題) このような磁歪方式のトルクセンサ51を用いて行うト
ルク検出方法において、そのトルクセンサ51の出力は被
測定軸52に設けた複数のトルク検出部(53a,54a),(5
3b,54b)の磁歪成分を差動増幅器68によって差動しそし
て増幅したものとして得ているが、この場合、それぞれ
のトルク検出部(53a,54a),(53b,54b)の磁歪成分は
印加トルクTに対して非線形,非対称な出力になること
が多い。 したがって、これらの複数のトルク検出部(53a,54
a),(53b,54b)の磁歪成分がバランスしていない場合
には、差動出力つまりセンサ出力の直線性(印加トルク
に対するセンサ出力のリニアリティ)が損われたり、ヒ
ステリシス(トルク負荷側と除荷側の出力差)が増大し
たりするなどの問題点があり、正確なトルクの検出を安
定的に行うことが難しいという課題があった。 (発明の目的) 本発明は、上述した従来の課題にかんがみてなされた
ものであって、被測定軸に種々の磁性体素材を用いると
きでも、トルク−出力特性図において示されるヒステリ
シスを減少させ、この被測定軸に付加されるトルクの検
出を正確にかつ安定して行うことができるようにするこ
とを目的としている。
(課題を解決するための手段) 本発明に係わるトルク検出方法は、被測定軸と、前記
被測定軸を磁路の一部とする磁気回路を形成する励磁手
段と、前記被測定軸の磁歪成分を検出する検出手段をそ
なえ、前記被測定軸に加えられたねじりにより生ずる引
張および圧縮の磁歪成分を同期して検出するべく複数の
トルク検出部を設けた磁歪方式のトルクセンサを用いて
トルクの検出を行うに際し、第1発明においては、前記
トルク検出部が2か所あるものとし、前記各トルク検出
部におけるそれぞれのトルク−出力特性ループが1点で
交差し、しかも両ループの交差するトルクがほぼ一致す
る構成のものとしてそれぞれのトルク−出力特性から差
動検出するようにしたことを特徴としている。 また、他の発明においては、前記磁歪方式のトルクセ
ンサを用いてトルクの検出を行うに際し、前記トルク検
出部が2か所あるものとし、前記各トルク検出部におけ
るそれぞれのトルク−出力特性ループが複数か所で交差
し、しかも両ループのそれぞれにおいて交差するトルク
がほぼ一致する構成のものとしてそれぞれのトルク−出
力特性から差動検出するようにしたことを特徴としてい
る。 さらにまた、他の発明においては、前記磁歪方式のト
ルクセンサを用いてトルクの検出を行うに際し、前記ト
ルク検出部が2か所あるものとし、前記各トルク検出部
におけるそれぞれのトルク−出力特性ループが差動検出
後のトルク−出力特性ループのヒステリシスより大きな
ヒステリシスをもち且つトルク−出力特性ループの回り
方が同じ回り方となる構成のものにしてそれぞれのトル
ク−出力特性から差動検出するようにしたことを特徴と
している。 本発明者らは、この種の磁歪方式のトルクセンサを用
いたトルク検出方法において、被測定軸に種々の磁性体
素材を用いた場合に比較的大きなヒステリシスを生じる
ことがある要因について解析したところ、センサ出力
(つまり差動出力)を構成している複数のトルク検出部
の磁歪成分のバランスが崩れていることが原因であるこ
とを見い出した。 本発明に係わるトルク検出方法において用いられるト
ルクセンサの構造は、第1図に例示するようなものであ
る。 第1図に示すトルクセンサ1は、磁気ひずみ効果を有
する被測定軸2の表面部分に、中心軸方向に対して+45
゜方向をなす円周方向に複数の部分らせん状溝部3(3
a)および部分らせん状突部4(4)aと、同じく中心
軸方向に対して−45゜方向をなす円周方向に複数の部分
らせん状溝部3(3a)および部分らせん状突部4(4b)
とを左右において対称となるように設けることによって
それぞれ第Iトルク検出部(3a,4a)と第IIトルク検出
部(3b,4b)とを形成し、この被測定軸2の近傍に、前
記各部分らせん状溝部3(3a,3b)および部分らせん状
突部4(4a,4b)と対向するようにして励磁手段兼検出
手段となるコイル5(5a,5b)を配設し、前記コイル5
(5a,5b)の外周に、被測定軸2との間で間隙6をおい
て、高透磁率材料よりなるヨーク7を設けた構造をなす
ものである。 このような構造をなすトルクセンサ1において、被測
定軸2に加えられたトルク(T)を検出するに際して
は、先に例示した第12図の回路を用いることができる。 したがって、この場合にも前記励磁手段兼検出手段と
なるコイル5a,5bは抵抗65a,65bと組み合わされてブリッ
ジ回路を構成し、このブリッジ回路にバランス用の可変
抵抗66を設けると共に、ブリッジ回路の接続点A−C間
に励磁用発振器67を接続して被測定軸2に対する励磁方
向を同一方向に合わせ、接続点B−B′間には差動増幅
器68を接続して、出力端子69a,69bより検出出力を取り
出す。 そこで、被測定軸2に加えられたトルク(T)を測定
するに際しては、励磁用発振器67よりコイル5a,5bに一
定振幅および周波数の交流を通電する。この通電によっ
て、被測定軸2→間隙6→ヨーク7→間隙6→被測定軸
2を磁路とする磁力線がコイル5a,5bを取り囲むように
して発生する。このとき、磁力線は被測定軸2の表面部
分を流れ、部分らせん状溝部3(3a,3b)によって形成
された部分らせん状突部4(4a,4b)、すなわち第Iト
ルク検出部(3a,4a)および第2トルク検出部(3b,4b)
のところで形状磁気異方性の効果があらわれる。 そして、被測定軸2の軸心方向に対して+45゜方向の
部分らせん状溝部3aによって形成された部分らせん状突
部4aの第Iトルク検出部(3a,4a)では最大引張応力+
σが作用して正特性の場合に透磁率が増加し、反対に−
45゜方向の部分らせん状溝部3bによって形成された部分
らせん状突部4bの第IIトルク検出部(3b,4b)では最大
圧縮応力−σが作用して透磁率が減少し、透磁率が増加
した部分のコイル5aのインダクタンスL1が増加するとと
もに透磁率が減少した部分のコイル5bのインダクタンス
L2が減少するので、第12図に示したブリッジ回路のバラ
ンスがくずれ、差動増幅器68を経て出力端子69a,69b間
にトルク(T)に対応した検出出力が生じる。 また、トルク(T)が逆方向に付加された場合には、
上述したのと逆の作用により、一方のコイル5aのインダ
クタンスL1が減少するとともに他方のコイル5bのインダ
クタンスL2が増加するので、この場合にも第12図に示し
たブリッジ回路のバランスがくずれ、差動増幅器68を経
て出力端子69a,69b間にトルク(T)に対応した検出出
力が生じる。 次に、このような構造のトルクセンサ1において、第
Iトルク検出部(3a,4a)および第IIトルク検出部(3b,
4b)における磁歪成分出力と差動出力との関係について
説明する。 上記構造のトルクセンサ1において、被測定軸2の第
Iトルク検出部(3a,4a)および第IIトルク検出部(3b,
4b)の出力、すなわち前記第Iトルク検出部(3a,4b)
および第IIトルク検出部(3b,4b)の周りを各々被った
励磁手段兼検出手段であるコイル5(5a,5b)のそれぞ
れ単独のトルク−出力特性(それぞれ単独のトルク−出
力特性ループ)は、第2図中の(A),(B)に例示す
るものとなる。そして、通常のセンサ出力として得てい
る第12図に例示した回路構成による両者の差動出力は、
第2図中の(C)のようになる。 このような第Iトルク検出部(3a,4a)の出力および
第IIトルク検出部(3b,4b)の出力ならびに差動出力の
それぞれにおけるトルク−出力特性ループの挙動は被測
定軸2の材質等により変わってくる。 ここで、差動出力のヒステリシスが小さくなる条件と
して、第Iトルク検出部(3a,4a)と第IIトルク検出部
(3b,4b)とにおけるそれぞれのトルク−出力特性ルー
プの1点または複数か所での交差点トルクがほぼ一致す
るものとなすことが必要である。また、差動出力のヒス
テリシスが小さくなる他の条件として、第Iトルク検出
部(3a,4a)と第IIトルク検出部(3b,4b)とにおけるそ
れぞれのトルク−出力特性ループが差動検出後のトルク
−出力特性ループのヒステリシスより大きなヒステリシ
スをもち且つトルク−出力特性ループの回り方が同じ回
り方となるものとすることも有効である。 したがって、このような磁歪方式のトルクセンサ1を
用いたトルク検出方法において、通常のセンサ出力とし
て得られる差動出力のヒステリシスを小さくするには、
被測定軸2の材料組成や熱処理やショットピーニングな
どの機械的加工や表面状態や消磁,着磁などの磁気的調
整等の各種調整要素を適宜調整することにより、前記第
Iトルク検出部(3a,4a)と第IIトルク検出部(3b,4b)
とにおける磁歪成分出力をバランスさせて差動検出する
ことが重要である。 (発明の作用) 本発明に係わるトルク検出方法では、被測定軸に加え
られたねじりにより生ずる引張および圧縮の磁歪成分を
同期して検出するべく複数のトルク検出部を設けた磁歪
方式のトルクセンサを用いてトルクの検出を行うに際
し、トルク検出部が2か所あるものとし、前記各トルク
検出部におけるそれぞれのトルク−出力特性ループが1
点または複数か所で交差し、しかも両ループの交差する
トルクがほぼ一致する構成のものとしたり、前記各トル
ク検出部におけるそれぞれのトルク−出力特性ループが
差動検出後のトルク−出力特性ループのヒステリシスよ
り大きなヒステリシスをもち且つトルク−出力特性ルー
プの回り方が同じ回り方となる構成のものとしたりし
て、それぞれのトルク−出力特性から差動検出するよう
にしているのでトルク−出力特性のヒステリシスは著し
く小さなものとなる。 (実施例) 実施例1 この実施例1で用いたトルクセンサ1は、第1図に示
したように、被測定軸2の表面部分に、中心軸方向に対
して+45゜方向をなす円周方向に複数の部分らせん状溝
部3(3a)および部分らせん状突部4(4a)と、同じく
中心軸方向に対して−45゜方向をなす円周方向に複数の
部分らせん状溝部3(3b)および部分らせん状突部4
(4b)とを左右において対称となる形状磁気異方性部を
設けることによってそれぞれ第Iトルク検出部(3a,4
a)と第IIトルク検出部(3b,4b)とを形成し、この被測
定軸2の近傍に、前記各第Iトルク検出部(3a,4a)お
よび第IIトルク検出部(3b,4b)と対向するようにして
励磁手段兼検出手段となるコイル5(5a,5b)を配設
し、前記コイル5(5a,5b)の外周に、被測定軸2との
間で間隔6をおいて、高透磁率材料よりなるヨーク7を
設けた構造をなすものであり、この実施例1において
は、被測定軸2の素材としてSCM420鋼を用い、この軸素
材に対して部分らせん状溝部3(3a,3a)を加工して部
分らせん状突部4(4a,4b)を形成したのち、905℃で浸
炭して焼入れし、160℃で焼戻しを施した被測定軸2を
用いた。 この実施例1の場合のトルクセンサ1における第1ト
ルク検出部(3a,4a)の出力と第IIトルク検出部(3b,4
b)の出力は第3図に示したものとなり、第Iトルク検
出部(3a,4a)と第IIトルク検出部(3b,4b)のそれぞれ
におけるトルク−出力特性ループがいずれも1点で交差
し、その交差点トルクTI,TIIはほぼ近いところにあっ
て、差動出力のヒステリシスは4.1%と小さいものであ
った。 実施例2 実施例1と同じ構造のトルクセンサ1において、被測
定軸2の素材としてSCM420鋼を用い、この軸素材に対し
て部分らせん状溝部3(3a,3b)を加工して部分らせん
状突部4(4a,4b)を形成したのち、905℃で浸炭して焼
入れし、270℃で焼戻しを施した被測定軸2を用いた。 この実施例2の場合のトルクセンサ1における第Iト
ルク検出部(3a,4a)の出力と第IIトルク検出部(3b,4
b)の出力は第4図に示したものとなり、第Iトルク検
出部(3a,4a)と第IIトルク検出部(3b,4b)のそれぞれ
におけるトルク−出力特性ループがいずれも1点で交差
し、その交差点トルクTI,TIIはほぼ一致していて、差動
出力のヒステリシスは1.9%と小さいものであった。 実施例3 実施例1と同じ構造のトルクセンサ1において、被測
定軸2の素材としてSCM420鋼を用い、この軸素材に対し
て部分らせん状溝部3(3a,3b)を加工して部分らせん
状突部4(4a,4b)を形成したのち、905℃で浸炭して焼
入れし、160℃で焼戻しを施し、さらに、ショット粒子S
AE#280,アークハイト0.8mm,カバレージ500%の条件で
ショットピーニングを施した被測定軸2を用いた。 この実施例3の場合のトルクセンサ1における第Iト
ルク検出部(3a,4a)の出力と第IIトルク検出部(3b,4
b)の出力は第5図に示したものとなり、第Iトルク検
出部(3a,4a)と第IIトルク検出部(3b,4b)のそれぞれ
におけるトルク−出力特性ループがいずれも1点で交差
し、その交差点トルクTI,TIIはほぼ一致していると共
に、各トルク検出部におけるそれぞれのトルク−出力特
性ループが差動検出後のトルク−出力特性ループのヒス
テリシスより大きなヒステリシスをもち且つトルク−出
力特性ループの回り方が同じ回り方となるものとなって
いて、差動出力のヒステリシスは1.5%と小さいもので
あった。 比較例1 実施例1と同じ構造のトルクセンサ1において、被測
定軸2の素材としてSCM420鋼を用い、この軸素材に対し
て部分らせん状溝部3(3a,3b)を加工して部分らせん
状突部4(4a,4b)を形成したのち、860℃で焼入れし、
160℃で焼戻しを施した被測定軸2を用いた。 この比較例1の場合のトルクセンサ1における第Iト
ルク検出部(3a,4a)の出力と第IIトルク検出部(3b,4
b)の出力は第6図に示したものとなり、いずれもトル
ク−出力特性ループは楕円形となっていて交差しておら
ず、また、トルク−出力特性ループの回り方が互いに反
対の回り方(すなわち、第Iトルク検出部(3a,4a)で
はおおまかにいって反時計方向の回り方であり、第IIト
ルク検出部(3b,4b)ではおおまかにいって時計方向の
回り方である。)となっていて、差動出力のヒステリン
スは21.5%と大きなものであった。 実施例4 実施例1と同じ構造のトルクセンサ1において、被測
定軸2の素材としてSNCM439鋼を用い、この軸素材に対
して部分らせん状溝部3(3a,3b)を加工して部分らせ
ん状突部4(4a,4b)を形成したのち、周波数30KHz,出
力150KWで高周波焼入れし、160℃で焼戻しを施した被測
定軸2を用いた。 この実施例4の場合のトルクセンサ1における第Iト
ルク検出部(3a,4a)の出力と第IIトルク検出部(3b,4
b)の出力は第7図に示したものとなり、それぞれにお
けるトルク−出力特性ループは0トルク付近で交差して
いて、交差点トルクTI,TIIはほぼ一致しており、差動出
力のヒステリシスは1.0%と小さいものであった。 実施例5 実施例1と同じ構造のトルクセンサ1において、被測
定軸2の素材としてS40C鋼を用い、この軸素材に対して
部分らせん状溝部3(3a,3b)を加工して部分らせん状
突部4(4a,4b)を形成したのち、周波数30KHz,出力150
KWで高周波焼入れし、160℃で焼戻しを施したあとさら
に周波数50Hzで電圧100Vから0Vまで下げて交流消磁を施
した被測定軸2を用いた。 この実施例5の場合のトルクセンサ1における第Iト
ルク検出部(3a,4a)の出力と第IIトルク検出部(3b,4
b)の出力は第8図に示したものとなり、それぞれにお
けるトルク−出力特性ループは正負両側で各々1点、合
わせて2か所で交差していると共に、正側の交差点トル
クT1 +とTII -および負側の交差点トルクTI -とTII -は各々
ほぼ一致していて、差動出力のヒステリシスは2.8%と
小さなものであった。 比較例2 実施例1と同じ構造のトルクセンサ1において、被測
定軸2の素材としてS40C鋼を用い、この軸素材に対して
部分らせん状溝部3(3a,3b)を加工して部分らせん状
突部4(4a,4b)を形成したのち、845℃で焼入れし、16
0℃で焼戻しを施した被測定軸2を用いた。 この比較例2の場合のトルクセンサ1における第Iト
ルク検出部(3a,4a)の出力と第2トルク検出部(3b,4
b)の出力は第9図に示したものとなり、それぞれにお
けるトルク−出力特性ループがいずれも1点で交差して
いるものの、その交差点トルクTI,TIIはかなり異なって
おり、差動出力のヒステリシスは14.7%と大きいもので
あった。 実施例6 実施例1と同じ構造のトルクセンサ1において、被測
定軸2の素材としてFe−13重量%Al合金を用い、この軸
素材に対して部分らせん状溝部3(3a,3b)を加工する
ことによって部分らせん状突部4(4a,4b)を形成した
のち、810℃で焼入れした被測定軸2を用いた。 この実施例6の場合のトルクセンサ1における第Iト
ルク検出部(3a,4a)の出力と第IIトルク検出部(3b,4
b)の出力は第10図に示したものとなり、前記各トルク
検出部におけるそれぞれのトルク−出力特性ループが差
動検出後(差動出力後)のトルク−出力特性ループのヒ
ステリシスより大きなヒステリシスをもち且つトルク−
出力特性ループの回り方が同じ回り方(つまり、いずれ
もおおまかにいって時計方向)となるものとなってい
て、差動出力のヒステリシスは0.5%と著しく小さいも
のであった。
被測定軸を磁路の一部とする磁気回路を形成する励磁手
段と、前記被測定軸の磁歪成分を検出する検出手段をそ
なえ、前記被測定軸に加えられたねじりにより生ずる引
張および圧縮の磁歪成分を同期して検出するべく複数の
トルク検出部を設けた磁歪方式のトルクセンサを用いて
トルクの検出を行うに際し、第1発明においては、前記
トルク検出部が2か所あるものとし、前記各トルク検出
部におけるそれぞれのトルク−出力特性ループが1点で
交差し、しかも両ループの交差するトルクがほぼ一致す
る構成のものとしてそれぞれのトルク−出力特性から差
動検出するようにしたことを特徴としている。 また、他の発明においては、前記磁歪方式のトルクセ
ンサを用いてトルクの検出を行うに際し、前記トルク検
出部が2か所あるものとし、前記各トルク検出部におけ
るそれぞれのトルク−出力特性ループが複数か所で交差
し、しかも両ループのそれぞれにおいて交差するトルク
がほぼ一致する構成のものとしてそれぞれのトルク−出
力特性から差動検出するようにしたことを特徴としてい
る。 さらにまた、他の発明においては、前記磁歪方式のト
ルクセンサを用いてトルクの検出を行うに際し、前記ト
ルク検出部が2か所あるものとし、前記各トルク検出部
におけるそれぞれのトルク−出力特性ループが差動検出
後のトルク−出力特性ループのヒステリシスより大きな
ヒステリシスをもち且つトルク−出力特性ループの回り
方が同じ回り方となる構成のものにしてそれぞれのトル
ク−出力特性から差動検出するようにしたことを特徴と
している。 本発明者らは、この種の磁歪方式のトルクセンサを用
いたトルク検出方法において、被測定軸に種々の磁性体
素材を用いた場合に比較的大きなヒステリシスを生じる
ことがある要因について解析したところ、センサ出力
(つまり差動出力)を構成している複数のトルク検出部
の磁歪成分のバランスが崩れていることが原因であるこ
とを見い出した。 本発明に係わるトルク検出方法において用いられるト
ルクセンサの構造は、第1図に例示するようなものであ
る。 第1図に示すトルクセンサ1は、磁気ひずみ効果を有
する被測定軸2の表面部分に、中心軸方向に対して+45
゜方向をなす円周方向に複数の部分らせん状溝部3(3
a)および部分らせん状突部4(4)aと、同じく中心
軸方向に対して−45゜方向をなす円周方向に複数の部分
らせん状溝部3(3a)および部分らせん状突部4(4b)
とを左右において対称となるように設けることによって
それぞれ第Iトルク検出部(3a,4a)と第IIトルク検出
部(3b,4b)とを形成し、この被測定軸2の近傍に、前
記各部分らせん状溝部3(3a,3b)および部分らせん状
突部4(4a,4b)と対向するようにして励磁手段兼検出
手段となるコイル5(5a,5b)を配設し、前記コイル5
(5a,5b)の外周に、被測定軸2との間で間隙6をおい
て、高透磁率材料よりなるヨーク7を設けた構造をなす
ものである。 このような構造をなすトルクセンサ1において、被測
定軸2に加えられたトルク(T)を検出するに際して
は、先に例示した第12図の回路を用いることができる。 したがって、この場合にも前記励磁手段兼検出手段と
なるコイル5a,5bは抵抗65a,65bと組み合わされてブリッ
ジ回路を構成し、このブリッジ回路にバランス用の可変
抵抗66を設けると共に、ブリッジ回路の接続点A−C間
に励磁用発振器67を接続して被測定軸2に対する励磁方
向を同一方向に合わせ、接続点B−B′間には差動増幅
器68を接続して、出力端子69a,69bより検出出力を取り
出す。 そこで、被測定軸2に加えられたトルク(T)を測定
するに際しては、励磁用発振器67よりコイル5a,5bに一
定振幅および周波数の交流を通電する。この通電によっ
て、被測定軸2→間隙6→ヨーク7→間隙6→被測定軸
2を磁路とする磁力線がコイル5a,5bを取り囲むように
して発生する。このとき、磁力線は被測定軸2の表面部
分を流れ、部分らせん状溝部3(3a,3b)によって形成
された部分らせん状突部4(4a,4b)、すなわち第Iト
ルク検出部(3a,4a)および第2トルク検出部(3b,4b)
のところで形状磁気異方性の効果があらわれる。 そして、被測定軸2の軸心方向に対して+45゜方向の
部分らせん状溝部3aによって形成された部分らせん状突
部4aの第Iトルク検出部(3a,4a)では最大引張応力+
σが作用して正特性の場合に透磁率が増加し、反対に−
45゜方向の部分らせん状溝部3bによって形成された部分
らせん状突部4bの第IIトルク検出部(3b,4b)では最大
圧縮応力−σが作用して透磁率が減少し、透磁率が増加
した部分のコイル5aのインダクタンスL1が増加するとと
もに透磁率が減少した部分のコイル5bのインダクタンス
L2が減少するので、第12図に示したブリッジ回路のバラ
ンスがくずれ、差動増幅器68を経て出力端子69a,69b間
にトルク(T)に対応した検出出力が生じる。 また、トルク(T)が逆方向に付加された場合には、
上述したのと逆の作用により、一方のコイル5aのインダ
クタンスL1が減少するとともに他方のコイル5bのインダ
クタンスL2が増加するので、この場合にも第12図に示し
たブリッジ回路のバランスがくずれ、差動増幅器68を経
て出力端子69a,69b間にトルク(T)に対応した検出出
力が生じる。 次に、このような構造のトルクセンサ1において、第
Iトルク検出部(3a,4a)および第IIトルク検出部(3b,
4b)における磁歪成分出力と差動出力との関係について
説明する。 上記構造のトルクセンサ1において、被測定軸2の第
Iトルク検出部(3a,4a)および第IIトルク検出部(3b,
4b)の出力、すなわち前記第Iトルク検出部(3a,4b)
および第IIトルク検出部(3b,4b)の周りを各々被った
励磁手段兼検出手段であるコイル5(5a,5b)のそれぞ
れ単独のトルク−出力特性(それぞれ単独のトルク−出
力特性ループ)は、第2図中の(A),(B)に例示す
るものとなる。そして、通常のセンサ出力として得てい
る第12図に例示した回路構成による両者の差動出力は、
第2図中の(C)のようになる。 このような第Iトルク検出部(3a,4a)の出力および
第IIトルク検出部(3b,4b)の出力ならびに差動出力の
それぞれにおけるトルク−出力特性ループの挙動は被測
定軸2の材質等により変わってくる。 ここで、差動出力のヒステリシスが小さくなる条件と
して、第Iトルク検出部(3a,4a)と第IIトルク検出部
(3b,4b)とにおけるそれぞれのトルク−出力特性ルー
プの1点または複数か所での交差点トルクがほぼ一致す
るものとなすことが必要である。また、差動出力のヒス
テリシスが小さくなる他の条件として、第Iトルク検出
部(3a,4a)と第IIトルク検出部(3b,4b)とにおけるそ
れぞれのトルク−出力特性ループが差動検出後のトルク
−出力特性ループのヒステリシスより大きなヒステリシ
スをもち且つトルク−出力特性ループの回り方が同じ回
り方となるものとすることも有効である。 したがって、このような磁歪方式のトルクセンサ1を
用いたトルク検出方法において、通常のセンサ出力とし
て得られる差動出力のヒステリシスを小さくするには、
被測定軸2の材料組成や熱処理やショットピーニングな
どの機械的加工や表面状態や消磁,着磁などの磁気的調
整等の各種調整要素を適宜調整することにより、前記第
Iトルク検出部(3a,4a)と第IIトルク検出部(3b,4b)
とにおける磁歪成分出力をバランスさせて差動検出する
ことが重要である。 (発明の作用) 本発明に係わるトルク検出方法では、被測定軸に加え
られたねじりにより生ずる引張および圧縮の磁歪成分を
同期して検出するべく複数のトルク検出部を設けた磁歪
方式のトルクセンサを用いてトルクの検出を行うに際
し、トルク検出部が2か所あるものとし、前記各トルク
検出部におけるそれぞれのトルク−出力特性ループが1
点または複数か所で交差し、しかも両ループの交差する
トルクがほぼ一致する構成のものとしたり、前記各トル
ク検出部におけるそれぞれのトルク−出力特性ループが
差動検出後のトルク−出力特性ループのヒステリシスよ
り大きなヒステリシスをもち且つトルク−出力特性ルー
プの回り方が同じ回り方となる構成のものとしたりし
て、それぞれのトルク−出力特性から差動検出するよう
にしているのでトルク−出力特性のヒステリシスは著し
く小さなものとなる。 (実施例) 実施例1 この実施例1で用いたトルクセンサ1は、第1図に示
したように、被測定軸2の表面部分に、中心軸方向に対
して+45゜方向をなす円周方向に複数の部分らせん状溝
部3(3a)および部分らせん状突部4(4a)と、同じく
中心軸方向に対して−45゜方向をなす円周方向に複数の
部分らせん状溝部3(3b)および部分らせん状突部4
(4b)とを左右において対称となる形状磁気異方性部を
設けることによってそれぞれ第Iトルク検出部(3a,4
a)と第IIトルク検出部(3b,4b)とを形成し、この被測
定軸2の近傍に、前記各第Iトルク検出部(3a,4a)お
よび第IIトルク検出部(3b,4b)と対向するようにして
励磁手段兼検出手段となるコイル5(5a,5b)を配設
し、前記コイル5(5a,5b)の外周に、被測定軸2との
間で間隔6をおいて、高透磁率材料よりなるヨーク7を
設けた構造をなすものであり、この実施例1において
は、被測定軸2の素材としてSCM420鋼を用い、この軸素
材に対して部分らせん状溝部3(3a,3a)を加工して部
分らせん状突部4(4a,4b)を形成したのち、905℃で浸
炭して焼入れし、160℃で焼戻しを施した被測定軸2を
用いた。 この実施例1の場合のトルクセンサ1における第1ト
ルク検出部(3a,4a)の出力と第IIトルク検出部(3b,4
b)の出力は第3図に示したものとなり、第Iトルク検
出部(3a,4a)と第IIトルク検出部(3b,4b)のそれぞれ
におけるトルク−出力特性ループがいずれも1点で交差
し、その交差点トルクTI,TIIはほぼ近いところにあっ
て、差動出力のヒステリシスは4.1%と小さいものであ
った。 実施例2 実施例1と同じ構造のトルクセンサ1において、被測
定軸2の素材としてSCM420鋼を用い、この軸素材に対し
て部分らせん状溝部3(3a,3b)を加工して部分らせん
状突部4(4a,4b)を形成したのち、905℃で浸炭して焼
入れし、270℃で焼戻しを施した被測定軸2を用いた。 この実施例2の場合のトルクセンサ1における第Iト
ルク検出部(3a,4a)の出力と第IIトルク検出部(3b,4
b)の出力は第4図に示したものとなり、第Iトルク検
出部(3a,4a)と第IIトルク検出部(3b,4b)のそれぞれ
におけるトルク−出力特性ループがいずれも1点で交差
し、その交差点トルクTI,TIIはほぼ一致していて、差動
出力のヒステリシスは1.9%と小さいものであった。 実施例3 実施例1と同じ構造のトルクセンサ1において、被測
定軸2の素材としてSCM420鋼を用い、この軸素材に対し
て部分らせん状溝部3(3a,3b)を加工して部分らせん
状突部4(4a,4b)を形成したのち、905℃で浸炭して焼
入れし、160℃で焼戻しを施し、さらに、ショット粒子S
AE#280,アークハイト0.8mm,カバレージ500%の条件で
ショットピーニングを施した被測定軸2を用いた。 この実施例3の場合のトルクセンサ1における第Iト
ルク検出部(3a,4a)の出力と第IIトルク検出部(3b,4
b)の出力は第5図に示したものとなり、第Iトルク検
出部(3a,4a)と第IIトルク検出部(3b,4b)のそれぞれ
におけるトルク−出力特性ループがいずれも1点で交差
し、その交差点トルクTI,TIIはほぼ一致していると共
に、各トルク検出部におけるそれぞれのトルク−出力特
性ループが差動検出後のトルク−出力特性ループのヒス
テリシスより大きなヒステリシスをもち且つトルク−出
力特性ループの回り方が同じ回り方となるものとなって
いて、差動出力のヒステリシスは1.5%と小さいもので
あった。 比較例1 実施例1と同じ構造のトルクセンサ1において、被測
定軸2の素材としてSCM420鋼を用い、この軸素材に対し
て部分らせん状溝部3(3a,3b)を加工して部分らせん
状突部4(4a,4b)を形成したのち、860℃で焼入れし、
160℃で焼戻しを施した被測定軸2を用いた。 この比較例1の場合のトルクセンサ1における第Iト
ルク検出部(3a,4a)の出力と第IIトルク検出部(3b,4
b)の出力は第6図に示したものとなり、いずれもトル
ク−出力特性ループは楕円形となっていて交差しておら
ず、また、トルク−出力特性ループの回り方が互いに反
対の回り方(すなわち、第Iトルク検出部(3a,4a)で
はおおまかにいって反時計方向の回り方であり、第IIト
ルク検出部(3b,4b)ではおおまかにいって時計方向の
回り方である。)となっていて、差動出力のヒステリン
スは21.5%と大きなものであった。 実施例4 実施例1と同じ構造のトルクセンサ1において、被測
定軸2の素材としてSNCM439鋼を用い、この軸素材に対
して部分らせん状溝部3(3a,3b)を加工して部分らせ
ん状突部4(4a,4b)を形成したのち、周波数30KHz,出
力150KWで高周波焼入れし、160℃で焼戻しを施した被測
定軸2を用いた。 この実施例4の場合のトルクセンサ1における第Iト
ルク検出部(3a,4a)の出力と第IIトルク検出部(3b,4
b)の出力は第7図に示したものとなり、それぞれにお
けるトルク−出力特性ループは0トルク付近で交差して
いて、交差点トルクTI,TIIはほぼ一致しており、差動出
力のヒステリシスは1.0%と小さいものであった。 実施例5 実施例1と同じ構造のトルクセンサ1において、被測
定軸2の素材としてS40C鋼を用い、この軸素材に対して
部分らせん状溝部3(3a,3b)を加工して部分らせん状
突部4(4a,4b)を形成したのち、周波数30KHz,出力150
KWで高周波焼入れし、160℃で焼戻しを施したあとさら
に周波数50Hzで電圧100Vから0Vまで下げて交流消磁を施
した被測定軸2を用いた。 この実施例5の場合のトルクセンサ1における第Iト
ルク検出部(3a,4a)の出力と第IIトルク検出部(3b,4
b)の出力は第8図に示したものとなり、それぞれにお
けるトルク−出力特性ループは正負両側で各々1点、合
わせて2か所で交差していると共に、正側の交差点トル
クT1 +とTII -および負側の交差点トルクTI -とTII -は各々
ほぼ一致していて、差動出力のヒステリシスは2.8%と
小さなものであった。 比較例2 実施例1と同じ構造のトルクセンサ1において、被測
定軸2の素材としてS40C鋼を用い、この軸素材に対して
部分らせん状溝部3(3a,3b)を加工して部分らせん状
突部4(4a,4b)を形成したのち、845℃で焼入れし、16
0℃で焼戻しを施した被測定軸2を用いた。 この比較例2の場合のトルクセンサ1における第Iト
ルク検出部(3a,4a)の出力と第2トルク検出部(3b,4
b)の出力は第9図に示したものとなり、それぞれにお
けるトルク−出力特性ループがいずれも1点で交差して
いるものの、その交差点トルクTI,TIIはかなり異なって
おり、差動出力のヒステリシスは14.7%と大きいもので
あった。 実施例6 実施例1と同じ構造のトルクセンサ1において、被測
定軸2の素材としてFe−13重量%Al合金を用い、この軸
素材に対して部分らせん状溝部3(3a,3b)を加工する
ことによって部分らせん状突部4(4a,4b)を形成した
のち、810℃で焼入れした被測定軸2を用いた。 この実施例6の場合のトルクセンサ1における第Iト
ルク検出部(3a,4a)の出力と第IIトルク検出部(3b,4
b)の出力は第10図に示したものとなり、前記各トルク
検出部におけるそれぞれのトルク−出力特性ループが差
動検出後(差動出力後)のトルク−出力特性ループのヒ
ステリシスより大きなヒステリシスをもち且つトルク−
出力特性ループの回り方が同じ回り方(つまり、いずれ
もおおまかにいって時計方向)となるものとなってい
て、差動出力のヒステリシスは0.5%と著しく小さいも
のであった。
本発明によれば、被測定軸と、前記被測定軸を磁路の
一部とする磁気回路を形成する励磁手段と、前記被測定
軸の磁歪成分を検出する検出手段をそなえ、前記被測定
軸に加えられたねじりにより生ずる引張および圧縮の磁
歪成分を同期して検出するべく複数のトルク検出部を設
けた磁歪方式のトルクセンサを用いてトルクの検出を行
うに際し、トルク検出部が2か所あるものとし、前記各
トルク検出部におけるそれぞれのトルク−出力特性ルー
プが1点または複数か所で交差し、しかも両ループの交
差するトルクがほぼ一致する構成のものとしたり、前記
各トルク検出部におけるそれぞれのトルク−出力特性ル
ープが差動検出後のトルク−出力特性ループのヒステリ
シスより大きなヒステリシスをもち且つトルク−出力特
性ループの回り方が同じ回り方となる構成のものとした
りして、それぞれのトルク−出力特性から差動検出する
ようにしたから、被測定軸の素材として種々の磁性体材
料の中から適宜選んで用いたときでも、トルク検出の際
のヒステリシスを大幅に減少させることが可能であり、
トルクの検出を正確にそして安定して行うことができる
ようになるという非常に優れた効果がもたらされる。
一部とする磁気回路を形成する励磁手段と、前記被測定
軸の磁歪成分を検出する検出手段をそなえ、前記被測定
軸に加えられたねじりにより生ずる引張および圧縮の磁
歪成分を同期して検出するべく複数のトルク検出部を設
けた磁歪方式のトルクセンサを用いてトルクの検出を行
うに際し、トルク検出部が2か所あるものとし、前記各
トルク検出部におけるそれぞれのトルク−出力特性ルー
プが1点または複数か所で交差し、しかも両ループの交
差するトルクがほぼ一致する構成のものとしたり、前記
各トルク検出部におけるそれぞれのトルク−出力特性ル
ープが差動検出後のトルク−出力特性ループのヒステリ
シスより大きなヒステリシスをもち且つトルク−出力特
性ループの回り方が同じ回り方となる構成のものとした
りして、それぞれのトルク−出力特性から差動検出する
ようにしたから、被測定軸の素材として種々の磁性体材
料の中から適宜選んで用いたときでも、トルク検出の際
のヒステリシスを大幅に減少させることが可能であり、
トルクの検出を正確にそして安定して行うことができる
ようになるという非常に優れた効果がもたらされる。
第1図は本発明が適用される磁歪方式のトルクセンサの
構造を例示する説明図、第2図は第1図の構造を有する
従来のトルクセンサのトルク−出力特性を示すグラフ、
第3図,第4図および第5図は各々本発明の実施例1,実
施例2および実施例3におけるトルクセンサのトルク−
出力特性を示すグラフ、第6図は比較例1におけるトル
クセンサのトルク−出力特性を示すグラフ、第7図およ
び第8図は各々本発明の実施例4および実施例5におけ
るトルクセンサのトルク−出力特性を示すグラフ、第9
図は比較例2におけるトルクセンサのトルク−出力特性
を示すグラフ、第10図は本発明の実施例6におけるトル
クセンサのトルク−出力特性を示すグラフ、第11図は従
来の磁歪方式のトルクセンサの構造を例示する説明図、
第12図は第11図のトルクセンサの出力を検出する回路を
例示する説明図、第13図は第11図のトルクセンサの第12
図の回路によるトルク−出力特性を例示するグラフであ
る。 1……トルクセンサ、2……被測定軸、3(3a,3b)…
…らせん状溝部,4(4a,4b)……らせん状突部、(3a,4a
……第Iトルク検出部)、(3b,4b……第IIトルク検出
部)、5(5a,5b)……コイル(励磁手段兼検出手
段)。
構造を例示する説明図、第2図は第1図の構造を有する
従来のトルクセンサのトルク−出力特性を示すグラフ、
第3図,第4図および第5図は各々本発明の実施例1,実
施例2および実施例3におけるトルクセンサのトルク−
出力特性を示すグラフ、第6図は比較例1におけるトル
クセンサのトルク−出力特性を示すグラフ、第7図およ
び第8図は各々本発明の実施例4および実施例5におけ
るトルクセンサのトルク−出力特性を示すグラフ、第9
図は比較例2におけるトルクセンサのトルク−出力特性
を示すグラフ、第10図は本発明の実施例6におけるトル
クセンサのトルク−出力特性を示すグラフ、第11図は従
来の磁歪方式のトルクセンサの構造を例示する説明図、
第12図は第11図のトルクセンサの出力を検出する回路を
例示する説明図、第13図は第11図のトルクセンサの第12
図の回路によるトルク−出力特性を例示するグラフであ
る。 1……トルクセンサ、2……被測定軸、3(3a,3b)…
…らせん状溝部,4(4a,4b)……らせん状突部、(3a,4a
……第Iトルク検出部)、(3b,4b……第IIトルク検出
部)、5(5a,5b)……コイル(励磁手段兼検出手
段)。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 島田 宗勝 神奈川県横浜市神奈川区宝町2番地 日 産自動車株式会社内 (72)発明者 青木 博幸 神奈川県横浜市神奈川区宝町2番地 日 産自動車株式会社内 (72)発明者 矢萩 慎一郎 愛知県大府市大府町矢戸46―1 (72)発明者 斉藤 貴伸 愛知県岡崎市板屋町216 (56)参考文献 特開 昭64−68982(JP,A) 特開 平1−257231(JP,A)
Claims (3)
- 【請求項1】被測定軸と、前記被測定軸を磁路の一部と
する磁気回路を形成する励磁手段と、前記被測定軸の磁
歪成分を検出する検出手段をそなえ、前記被測定軸に加
えられたねじりにより生ずる引張および圧縮の磁歪成分
を同期して検出するべく複数のトルク検出部を設けた磁
歪方式のトルクセンサを用いてトルクの検出を行うに際
し、トルク検出部が2か所あるものとし、前記各トルク
検出部におけるそれぞれのトルク−出力特性ループが1
点で交差し、しかも両ループの交差するトルクがほぼ一
致する構成のものとしてそれぞれのトルク−出力特性か
ら差動検出することを特徴とするトルク検出方法。 - 【請求項2】被測定軸と、前記被測定軸を磁路の一部と
する磁気回路を形成する励磁手段と、前記被測定軸の磁
歪成分を検出する検出手段をそなえ、前記被測定軸に加
えられたねじりにより生ずる引張および圧縮の磁歪成分
を同期して検出するべく複数のトルク検出部を設けた磁
歪方式のトルクセンサを用いてトルクの検出を行うに際
し、トルク検出部が2か所あるものとし、前記各トルク
検出部におけるそれぞれのトルク−出力特性ループが複
数か所で交差し、しかも両ループのそれぞれにおいて交
差するトルクがほぼ一致する構成のものとしてそれぞれ
のトルク−出力特性から差動検出することを特徴とする
トルク検出方法。 - 【請求項3】被測定軸と、前記被測定軸を磁路の一部と
する磁気回路を形成する励磁手段と、前記被測定軸の磁
歪成分を検出する検出手段をそなえ、前記被測定軸に加
えられたねじりにより生ずる引張および圧縮の磁歪成分
を同期して検出するべく複数のトルク検出部を設けた磁
歪方式のトルクセンサを用いてトルクの検出を行うに際
し、トルク検出部が2か所あるものとし、前記各トルク
検出部におけるそれぞれのトルク−出力特性ループが差
動検出後のトルク−出力特性ループのヒステリシスより
大きなヒステリシスをもち且つトルク−出力特性ループ
の回り方が同じ回り方となる構成のものにしてそれぞれ
のトルク−出力特性から差動検出することを特徴とする
トルク検出方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP1301619A JP2730778B2 (ja) | 1989-11-20 | 1989-11-20 | トルク検出方法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP1301619A JP2730778B2 (ja) | 1989-11-20 | 1989-11-20 | トルク検出方法 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH03162642A JPH03162642A (ja) | 1991-07-12 |
JP2730778B2 true JP2730778B2 (ja) | 1998-03-25 |
Family
ID=17899126
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP1301619A Expired - Fee Related JP2730778B2 (ja) | 1989-11-20 | 1989-11-20 | トルク検出方法 |
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Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP2730778B2 (ja) |
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Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
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JP7502136B2 (ja) * | 2020-09-30 | 2024-06-18 | 日本精工株式会社 | トルク負荷部材及びその製造方法、トルク測定装置 |
Family Cites Families (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
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JP2697846B2 (ja) * | 1988-04-07 | 1998-01-14 | 日産自動車株式会社 | トルクセンサ |
-
1989
- 1989-11-20 JP JP1301619A patent/JP2730778B2/ja not_active Expired - Fee Related
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JPH03162642A (ja) | 1991-07-12 |
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