JP2004053434A - 磁歪式トルクセンサシャフトの製造方法 - Google Patents

磁歪式トルクセンサシャフトの製造方法 Download PDF

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金田 裕光
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【課題】定格トルクに対して著しく高い過大トルクが入力されても、センサ特性、とりわけ中点出力が変化しない簡易な磁歪式トルクセンサシャフトの製造方法を提供する
【解決手段】磁気異方性部分5を含む磁歪式トルクセンサシャフト2であって、上記磁気異方性部分5にショット強度の条件を複数段階または連続的に変化させたショットピーニング加工を施す工程を含む磁歪式トルクセンサシャフト2の製造方法を提供する。
【選択図】   図1

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、逆磁歪効果を利用した磁歪式トルクセンサに関し、特に、過大トルク入力後の中点出力変動を低減する技術に関する。
【0002】
【従来の技術】
自動車用のトランスミッションや4WDトルクスプリッタ、電動パワーステアリング(EPS)等では、適切な制御を行うためにトルクを検出する必要がある。例えば、EPSとは、自動車等のハンドルに入力されたトルクに応じて電動モータを制御し、アシスト力を発生させるパワーステアリングシステムであり、その制御にはハンドルに加えられたトルクの検出が必須である。従来、このようなトルクの検出にはトルクセンサが用いられている。特に、これらの装置は人間が直接操作するものであり、剛性感や自然なフィーリングといった感覚的性能が要求されるため、歪の検出感度が非常に高く、微小な歪の検出が可能な磁歪式トルクセンサは、この要求に非常に適したセンサである。磁歪式トルクセンサとして、特開平1−169983号公報、特公平8−31636号公報等が知られている。
【0003】
一般の計測用トルクセンサであれば、通常入力されることが期待されるトルクの最大値である定格トルクに対して、センサ特性を保証するトルクである保証トルクはせいぜい数倍程度、トルクセンサが破断しないことを保証するトルクである破断保証トルクはさらにその2〜3倍程度であれば十分に機能を果たすと考えられる。しかし、特にパワーステアリング用トルクセンサでは、走行する自動車が縁石に乗り上げた場合などには、パワーステアリング軸には定格トルクの10倍以上の過大トルクが作用することがあるため、定格トルクに対して10倍〜10数倍もの、著しく高い過大トルクが入力されても、センサ特性、とりわけ中点出力が変化してはならないという、厳しい性能も要求される。
【0004】
中点出力とはトルクがゼロのときの出力のことで、一般に、トルクセンサは、トルクがゼロのとき出力が所定の値になるように、初期状態において中点出力が調節されている。そして前記の中点出力の変動は、トルクがゼロの時の出力の変動であり、これはトルクセンサのヒステリシス特性に他ならない。つまり、定格トルクの10倍〜10数倍の入力トルクに対しても、ヒステリシスを極小にしなければならない。
【0005】
以下、ヒステリシスの大きさとして、ヒステリシスによる出力変化量(片側)を、定格トルクにおける出力で割り、無次元化した数値(%FSと記す。)を用いる。
【0006】
例えば、ヒステリシスの要求性能が1%FS、保証トルクが定格トルクの10倍のセンサを考える。ここでは単純化のため、ヒステリシスの大きさが入力トルクに比例すると仮定する。この場合、定格トルクで1%FSのヒステリシスを持つセンサは、保証最大トルク(定格トルクの10倍)が負荷された場合、そのあと発生するヒステリシス量は、定格トルクに対しては、10%FSにもなってしまう。このため、トルクセンサが定格トルク域のみで使用されている場合には問題はないが、一旦過大なトルクがトルクセンサに入力されると、大きなヒステリシスが生じ、トルクセンサはセンサとしての仕様を満たせないことになる。
【0007】
具体的に述べると、例えば、定格トルクが10N・mのトルクセンサで、要求されるヒステリシス特性を±1%以下とした場合、通常のセンサであれば、せいぜい50〜60N・m程度までのヒステリシス量を保証すれば十分であるが、車のEPS等に用いるトルクセンサの場合には、150〜160N・mまでヒステリシスを±1%以下に保証しなければならない。そして、この場合に重要となるのが、150、160N・mといった保証トルクでの特性のみならず、定格トルクからこの保証トルクに到るまでの、全トルク域において、ヒステリシスを±1%FS以下に保証する必要があるということである。
これを満たそうとすれば、保証最大トルクで、0.1%FSのヒステリシスを持つトルクセンサを実現するしかないが、それにしても、広い範囲のトルク域全域でヒステリシスが同じように小さくなるという保証は無い。
【0008】
以上のように、高感度が特徴である磁歪式トルクセンサを用いても、定格トルクと保証トルクの差が大きいとき、定格トルク以上のトルクが入力されたときのヒステリシスが相対的に大きくなり、中点出力が変化するという問題があった。
【0009】
このような問題の解決法として、特開2000−9558号公報において示される方法が開示されている。これは磁気異方性部分にトルクに対して正のヒステリシスと負のヒステリシスをもつ2層を上下に配置することで過大トルクに対するヒステリシスを見かけ上ゼロにしようとするものである。これはショットピーニング等の製造法を用いて、シャフト表面にヒステリシスが正になる領域と負になる領域の二つを上下に配置し、シャフトにトルクが負荷されたときのそれぞれの領域で発生するヒステリシスの符合が逆であるためその相殺によって、見かけ上のヒステリシスの値を小さくする技術である。
【0010】
しかしながら、発明者らは、この方法では最適な条件を設定した過大トルクに対してはヒステリシスの値を小さくすることができるが、それ以外のトルクでは依然として比較的大きなヒステリシスが発生してしまうことを見出した。つまり、定格トルク値以上、保証最大トルク値以下の、言ってみれば中間の過大トルク域では、依然として無視できない大きさのヒステリシスが存在し、保証最大トルクの場合よりも大きなヒステリシスが生じてしまうのである。
【0011】
一般的に、ヒステリシス特性は、トルクに対して非直線的に変化する。また、正のヒステリシスと負のヒステリシスのトルクに対する特性は同じでない。このため、ある1点でヒステリシス特性を合わせる(ゼロにする)ことはできても、全過大トルク域において、正と負のヒステリシスを打ち消しあわせることは非常に困難である。
【0012】
例えば、保証トルクTでヒステリシスがゼロとなるように製造したトルクセンサシャフトを用いてトルクセンサを構成し、過大トルク域のトルクとヒステリシスの関係をプロットした例を図5に示す。図5に示すように、保証トルク以下の過大トルクで、ヒステリシスが大きくなり、トルクTHmaxにおいてヒステリシスが最大となる。
【0013】
トルクセンサの過大トルク負荷に対する出力変動特性としては、図5のような特性は実用上望ましくない。というのも、過大トルクがかかる可能性の高い領域は、保証最大トルクではなく、それ以下の領域の過大トルク域だからである。つまり、従来、より負荷される可能性の高い領域の方が、出力変動(つまりヒステリシス)が大きくなってしまっていた。
【0014】
なお、本明細書中で、トルクの符号は時計回り(cw)を正、反時計回り(ccw)を負とする。また、本文中でヒステリシスが正とは、時計回りのトルクを入力して、そのトルクを取り除いた後、その時のセンサ出力が元の出力値よりも増加している場合とする。負とは、同様にしてセンサ出力が元の出力値よりも減少している場合である。
【0015】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、上記事情を鑑みてなされたもので、定格トルクに対して著しく高い過大トルクが入力されても、センサ特性、とりわけ中点出力が変化しない簡易な磁歪式トルクセンサを提供することを目的とする。
【0016】
【課題を解決するための手段】
本発明は、磁気異方性部分を含む磁歪式トルクセンサシャフトであって、上記磁気異方性部分にショット強度を3段階以上または連続的に変化させたショットピーニング加工を施す工程を含む磁歪式トルクセンサシャフトの製造方法を提供する。好ましくは、前記ショット強度の条件として、メディア粒径と、空気圧と、ショットメディア流量と、照射距離とからなる群から選ばれる少なくとも1つを変化させる。なお、前記ショット強度を、強い方から弱い方へ変化させると好ましい。
【0017】
ここで、「磁気異方性部分」とは、磁歪式トルクセンサシャフトにおいて、トルクに応じてその磁気的性質が変化する部位を意味する。例えば、強磁性体のトルクセンサシャフト表面の軸方向から45°傾けた溝を設けることで、その形状効果によりトルクセンサシャフトに磁気異方性を付与し、その部分の磁気的性質の変化を検出できるようにすることができる。このような部分を磁気異方性部分という。あるいは、特許第2710165号公報および特許第2965628号公報において提案されているように、トルクセンサシャフト表面に磁歪層を付加することで、磁気異方性部分を設けることができる。あるいは、特開2002−107240号公報に提案されているように、温度変化に応じて磁性を変化させる材料に、局所的な温度処理を施すことで、磁気異方性部分を設けることができる。しかし、本発明にかかる磁気異方性部分は、これらのいずれをも含むものであり、かつ、これらの例に限定されるものではない。
【0018】
本発明によると、定格トルクに対して著しく高い過大トルクが入力されても、センサ特性、とりわけ中点出力が変化しない磁歪式トルクセンサシャフトを得ることができる。これは、以下のように考えられる。
【0019】
一般的に磁歪式トルクセンサは数十kHzの高周波交流磁場で励磁するため、表皮効果により磁気異方性部分の表面近傍(0.1mm程度)のスキンデプスと呼ばれる深さまでの領域を重点的にセンシングしている。このため、トルクセンサシャフトにトルクを負荷した時に発生するヒステリシス(以下、見かけのヒステリシスと記す)の量は、実際には、トルクセンサシャフトの表面からスキンデプスまでの各々の領域で発生する微小なヒステリシス(以下、微小ヒステリシスと記す)の和であると考えられる。
図5に示すように、負荷応力に対して、微小ヒステリシスの和である見かけのヒステリシス量が非直線的に変化する理由として、以下の2つが考えられる。すなわち、スキンデプス内の各々の微小領域で、負荷応力に対するヒステリシス特性の非直線性が同様に大きいために、見かけのヒステリシスが非直線的な特性を持つ。あるいは、スキンデプス内の一部の微小領域で、負荷応力に対するヒステリシス特性の非直線性が特に大きいために、見かけのヒステリシスが非直線的な特性を持つ。
【0020】
ショットピーニングを行うことで、ヒステリシス特性を劇的に改善できることが知られている。同様のことが過大トルクに対しても言えるが、応力レベルが大きいため、ヒステリシスを低減するためには、より強いショットピーニングの影響力が必要になると考えられる。
また、ある微小領域一つを取り出して考えると、ある応力レベルまでは微小ヒステリシスは非常に小さいと考えられる。それにも関わらず、図5に示すように、微小ヒステリシスを足し合わせると見かけのヒステリシスの特性が非直線的になるのは、ショットピーニングの影響が十分に現れている領域とそうでない領域があり、このため、応力に対するヒステリシスの非直線性が大きな領域が存在し、その領域の影響が中間トルクで無視できないほど大きくなるからだと考えられる。
【0021】
以上のことから、発明者等は、負荷応力に対して見かけのヒステリシスが非直線的に変化する理由を、前述した2つの理由のうち後者であると考えた。つまり、スキンデプス内の大部分の領域は負荷応力に対してヒステリシスがあまり変化しないが、負荷応力に対して大きくヒステリシスが変化する領域がスキンデプス内に一部存在するため、見かけのヒステリシスは非直線的に変化すると考えた。
【0022】
以上の考え方に基づけば、スキンデプス内のどの深さにおいてもショットの影響が均一になっていれば、あらゆる微小領域のヒステリシス特性を改善でき、その和である見かけのヒステリシスの特性も改善できると考えられる。
【0023】
本発明によると、ショット強度を連続的に変化させるか、または、実質的に連続的と考えられる程度に多段階にわたってショット強度を変化させて、ショットピーニング処理を施すことにより、スキンデプス内でのショットピーニングの影響度合いを均一にすることができる。特に好ましくはショットピーニングを強い条件から弱い条件へ変えながら施すことにより、スキンデプス内でのショットピーニングの影響度合いを均一にすることができる。
【0024】
連続か多段階にわたってかは必要に応じて選択すれば良い。例えば、ショット粒のメディア粒径を変えることでショット強度を変えることで多段階的にショット強度を変えることができる。この方法によると、比較的簡単な装置構成でショットピーニングの加工強度を変化させることが可能であり、また、ショットピーニングの加工強度をより幅広く条件変化させることが可能である。この場合、後述するように3段階に条件を変化させることが特に好ましい。
また、ショット粒径を変えない場合には、空気圧やショットメディア流量、ショットピーニングの照射距離、照射時間等を連続的に変えることでショット強度を変えることができる。この方法によると、ショット条件を連続的に変化させることが可能であり、このため、1回のショットで加工を完了させることができ、加工工数を削減できる。
【0025】
【発明の実施の形態】
以下に、本発明に係る磁歪式トルクセンサの実施の形態の1例を、添付図面を参照しながら説明する。もっとも、以下に挙げる実施の形態は、本発明を限定するものではない。
図1は本発明に係る磁歪式トルクセンサを概念図的に示した。
図1に示すように、本発明に係る磁歪式トルクセンサ1は、トルクセンサシャフト2と、励磁用ソレノイドコイル3と、検出用ソレノイドコイル4とを主要な要素とする。トルクセンサシャフト2は、応力(歪)に応じてその磁気的性質が変化する磁気異方性部分5および、トルクセンサシャフト2と他の動力伝達軸(図示しない)とを連結するための嵌合部6を有する。
【0026】
磁気異方性部分5は、トルクセンサシャフト2の中心軸に対して約45°傾けた溝(図示しない)を、トルクセンサシャフト2の全周に亘り所定間隔をもって設けることによって形成することができる。なお、トルクセンサシャフト2は、トルクセンサシャフト2の中心軸に対して互いに逆方向に傾いた溝によって形成された磁気異方性部分5の組を1組以上備えると好ましい。
以上の構成により形状磁気異方性を有する磁気異方性部分5は、応力に応じてその透磁率を変化させる。なお、中心軸に対して45°とは、ねじり荷重に対してトルクセンサシャフト表面の引張り方向の応力および圧縮方向の応力が最大となる方向であり、この方向に溝を形成することで、最も効率よくトルクセンサシャフト表面の引張り応力または圧縮方向の応力を検出できる。
【0027】
ここで、ショット強度を連続的に変化させるか、または、実質的に連続的と考えられる程度に多数変化させて、ショットピーニング処理を施す。
ショット強度を変化させる好適例として、メディア粒径、空気圧、ショットメディア流量、照射距離等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
メディア粒径を変化させる好適な範囲は、粒径を0.7mmから0.03mmであり、3段階に変化させると特に好適である。また、空気圧を変化させる好適な範囲は、初期空気圧9kg/cmから最終空気圧2kg/cmであり、連続的に変化させることができる。また、ショットメディア流量を変化させる好適な範囲は、1kg/minから10kg/minであり、連続的に変化させることができる。また、射程距離を変化させる好適な範囲は、80mmから200mmであり、連続的に変化させることができる。なお、これらのショット強度を変える要素および範囲は例示のために挙げられたもので、決してこれらに限定されるものではない。
【0028】
ここで、励磁手段である励磁用ソレノイドコイル3は前記磁気異方性部分5を覆うように配置し、これに交流磁場を与える。検出手段は検出用ソレノイドコイル4と電子回路(図示しない)を含み、検出用ソレノイドコイル4も前記磁気異方性部分5を覆うように配置する。
ここで、励磁用ソレノイドコイル3により前記磁気異方性部分5に沿うように磁力線を流す。前述のように、トルクセンサシャフト2に応力がかかると、磁気異方性部分5はその透磁率を変化させるが、この磁気的変化を検出用ソレノイドコイル4によって検出することができる。
なお、トルクセンサシャフト2の磁気異方性部分である磁気異方性部分5は、励磁用ソレノイドコイル3、検出用ソレノイドコイル4等と共に、外部の磁気の影響を遮蔽するアルミ製のセンサケース7に内包する。
【0029】
【実施例】
以下に、第1の実施例を挙げて本発明を更に詳細に説明する。
JIS SNCM815合金鋼(組成を表1に示す)丸棒から所定寸法の丸棒を旋削し、これに転造を施して、表面に中心軸から45°傾いた溝(磁気異方性部分)を2領域に分けて形成した。
【0030】
【表1】
Figure 2004053434
【0031】
この磁気異方性部に高周波焼入れを施した後、表2に示す条件でショットピーニングを施した。ショットピーニング強度は、アークハイト値とショット粒径で管理した。なお、アークハイト値とはショットピーニングの強度を示す数値であり、試験片にショットピーニングしたときの試験片のそり返り程度を表す。
また、本実験において、ショットピーニングの時間は、全ての条件に亘ってショット時間を合計で120秒となるようにし、複数回ショットピーニングを行う場合には、それぞれの時間は全体の等分としている。ただし、状況に応じて、ショットピーニング強度の調節に、時間をパラメータとして用いても効果的であることは言うまでもない。
【0032】
【表2】
Figure 2004053434
【0033】
条件1では、アークハイト値0.25mmA、粒径0.25mmで60秒、続いてアークハイト値0.16mmA、粒径0.25mmで60秒、ショットピーニングを行った。
条件2では、アークハイト値0.25mmA、粒径0.25mmで40秒、続いてアークハイト値0.20mmA、粒径0.25mmで40秒、続いてアークハイト値0.16mmA、粒径0.25mmで40秒、ショットピーニングを行った。
条件3では、アークハイト値0.25mmA、粒径0.25mmで30秒、続いてアークハイト値0.22mmA、粒径0.25mmで30秒、続いてアークハイト値0.19mmA、粒径0.25mmで30秒、続いてアークハイト値0.16mmA、粒径0.25mmで30秒、ショットピーニングを行った。
【0034】
このトルクセンサシャフトにソレノイドコイル、電気回路等を組付けてトルクセンサを構成し、トルク−ヒステリシス特性を調査した。センサの構成を図1に示す。なお、このセンサの諸元は、定格トルク±10N・m、定格トルクおける出力電圧lV(0.1V/N・m)、保証最大トルク±150N・mである。ちなみに、軸のねじり強さは、340N・m、降伏強さは260N・mである。ヒステリシスの測定は、トルクを加える前後のセンサ出力電圧を計測した。中点出力電圧の測定時には、間違い無くゼロトルクとするために、センサをねじり試験機から外して、完全に機械的にフリーにした状態で行なった。
【0035】
まず、条件1について、定格トルクを超える過大トルク域における入力トルク値とヒステリシスの関係を調査した。すると図2のように、トルク150N・mではヒステリシスはゼロになるものの、それ以外のトルク値では、ヒステリシスが存在し、トルク90N・mでヒステリシスが最大になることが分かった。
【0036】
同様に条件2、条件3についても調査を行った。すると、条件2においては、図3のように、明らかに条件1よりも中間領域でのヒステリシス量を減少させる効果が認められた。条件3でも、ほとんど条件2と同じ傾向が見られた。
現在要求される精度はヒステリシス1%FS以下であり、これは条件2、3で達成されている。これらの実験より、この程度の過大トルク特性に対しては、3回程度ショットピーニング処理を行えば、実質的に十分な効果が得られることが分かった。
【0037】
以下に、第2の実施例を挙げて本発明を更に詳細に説明する。
実施例1と同じ諸元のセンサ軸を作製し、ショットピーニングの条件のみを変えた。本実施例では、空気圧を電気コントロールできるようにしたショット装置を用いて、ショットピーニング条件を連続的に変化させた。本実施例におけるショット条件(条件4)を以下に示す。初期空気圧5kg/cmから最終空気圧3.0kgf/cmで処理時間中、空気圧が線形に変化するように制御した。処理時間は160secとした。アークハイト値は0.25mmAから0.15mmAまで連続的に変化させた。
この条件で製造したセンサ軸を実施例1と同様の方法でヒステリシス特性を調査した。結果、図4に示すように、全過大トルク域で、1%以下のヒステリシス特性を実現することができた。本実験における測定誤差を考慮すると、十分に低く、実質的に無視できるレベルのヒステリシス特性を持つトルクセンサシャフトとすることができた。
【0038】
【発明の効果】
上記したところから明らかなように、定格トルクに対して著しく高い過大トルクが入力されても、センサ特性、とりわけ中点出力が変化しない簡易な磁歪式トルクセンサシャフトの製造方法を提供する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る磁歪式トルクセンサを表す概念図である。
【図2】条件1により作成したトルクセンサシャフトにおける、負荷トルクとヒステリシス量の関係を表すグラフである。
【図3】条件2および条件3により作成したトルクセンサシャフトにおける、負荷トルクとヒステリシス量の関係を表すグラフである。
【図4】条件4により作成したトルクセンサシャフトにおける、負荷トルクとヒステリシス量の関係を表すグラフである。
【図5】従来の磁歪式トルクセンサにおける、負荷トルクとヒステリシス量の関係を表すグラフである。
【符号の説明】
1  磁歪式トルクセンサ
2  トルクセンサシャフト
3  励磁用ソレノイドコイル
4  検出用ソレノイドコイル
5  磁歪部
6  嵌合部
7  センサケース

Claims (3)

  1. 磁気異方性部分を含む磁歪式トルクセンサシャフトであって、上記磁気異方性部分にショット強度を3段階以上または連続的に変化させたショットピーニング加工を施す工程を含む磁歪式トルクセンサシャフトの製造方法。
  2. 前記ショット強度の条件として、メディア粒径と、空気圧と、ショットメディア流量と、照射距離とからなる群から選ばれる少なくとも1つを変化させる請求項1に記載の磁歪式トルクセンサシャフトの製造方法。
  3. 前記ショット強度を、強い方から弱い方へ変化させる請求項1または2に記載の磁歪式トルクセンサシャフトの製造方法。
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