JP3526558B2 - 熱電変換モジュールおよびそれを用いた熱交換器 - Google Patents

熱電変換モジュールおよびそれを用いた熱交換器

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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、熱電変換モジュー
ルおよびそれを用いた熱交換器に関する。
【0002】
【従来の技術】資源の枯渇が予想される今日、如何にエ
ネルギーを有効に利用するかは極めて重要な課題となっ
ており、種々のシステムが考案されている。その中で
も、熱電変換素子は、これまで排熱として無駄に環境中
に捨てられていたエネルギーを回収する手段として期待
されている。
【0003】熱電変換素子は、p型半導体とn型半導体
を互いに直列に接続したモジュールとして使用されてお
り、高い熱電変換効率を達成すべく、多くの熱電変換半
導体材料について研究がなされている。特に、発電効率
の向上に関しては、多大な注力がなされている。
【0004】しかしながら、現在実用に供されている熱
電変換半導体材料は、第3元素としてSb、Seを入れ
たものも含むBi−Te系のみであり、その他の材料
は、特殊用途で作られた実績はあるものの、工業生産さ
れるまでには至っていない。
【0005】ところで、従来、廃熱ボイラーは熱交換器
を通して蒸気あるいは温水を得るのみの目的で設計され
ており、その運転に関わる電力は外部から導入してまか
なわれていた。
【0006】また、近年では、この廃熱ボイラーに熱電
変換素子を用いた熱電変換モジュールを組み込んで廃熱
から電力を取り出す試みがなされている。その場合、よ
り高温の熱源を利用し得るという点から、使用する熱電
変換素子は、その可使温度が高いほど望ましいものとな
り、特に、300℃以上の可使温度を有することが好ま
しいと言える。
【0007】しかしながら、上述したBi−Te系の熱
電変換素子は、その可使温度が200℃程度である為
に、この要求を満たすことが出来ない。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】上述したように、従来
は、廃熱ボイラーから電力を取り出す際など、約300
℃以上の可使温度が必要とされる場合に使用することの
出来る熱伝変換素子を得ることが出来なかった。
【0009】従って本発明は、約300℃以上の温度で
も十分な熱電変換機能を有する熱電変換モジュールおよ
びそれを用いた熱交換器を提供することを目的とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】そこで本発明は、スクッ
テルダイト型結晶構造を有する複数のp型半導体と、こ
のp型半導体と交互に配列されスクッテルダイト型結晶
構造を有する複数のn型半導体と、銀を主成分とし、p
型半導体及びn型半導体に接する第1の面と、この第1
の面に対向しp型半導体及びn型半導体に接する第2の
面とに形成され、p型半導体とn型半導体とを電気的に
直列に接続する複数の電極と、p型半導体もしくはn型
半導体と電極との間に形成される複数の銀−アンチモン
合金層とを具備することを特徴とする熱電変換モジュー
ルを提供する。
【0011】本発明においては、銀−アンチモン合金層
の厚さが1μm以上1mm以下であっても良い。
【0012】また本発明においては、p型半導体及びn
型半導体は、ASb基化合物結晶(ただし、AはC
o、Rh、Irよりなる群から選ばれる少なくとも1種
を含む)中の空隙にLa、Ce、Pr、Nd、Sm、E
u、Gd、Tb、Dy、Ho、Er、Tm、Yb、L
u、Th、Uよりなる群から選ばれる少なくとも1種の
元素を充填したフィルドスクッテルダイト構造を有する
化合物であっても良い。
【0013】さらに本発明においては、第1の面及び第
2の面のうち一方または両方にセラミックスからなる絶
縁性導熱板が形成され、この絶縁性導熱板が電極に接触
するものであっても良い。
【0014】また本発明においては、電極が銀もしくは
銀を主成分とする焼結体又は金属板により構成されても
良い。
【0015】さらに本発明は、加熱面と冷却面を有し、
加熱面及び冷却面が第1の面及び第2の面のどちらか一
方となるように形成されるこれらの熱電変換モジュール
を具備することを特徴とする熱交換器を提供する。
【0016】
【発明の実施の形態】約300℃以上で使用可能な熱電
変換素子としては、スクッテルダイト型結晶構造を有す
る半導体がある。しかしながら従来は、約300℃以上
の高温においてもこの熱電変換素子の性能を劣化させる
ことのない、電極や導熱板、またこれらを接合する手段
がなかった。
【0017】そこで、電極や導熱板およびそれらの接合
手段として様々な材料について検討を行った結果、本発
明においては、電極として銀、もしくは銀を主成分とす
る材料を用い、電極とスクッテルダイト型結晶構造を有
する半導体とを、銀とアンチモンの混合ロウ材を用いて
接合することが最適であることを見出した。ここで、銀
を主成分とするとは、銀を約50%以上含むことを言
う。また、銀以外の成分としては、金、白金等が好まし
い。
【0018】銀、または銀を主成分とする合金は、約6
00℃を超えるとほとんど弾性変形領域を持たなくなる
ので熱応力が発生しない、大気中で熱処理しても酸化物
が約160℃で分解する等、高温における電極としての
使用に適しているといえる。また、その他にも、スクッ
テルダイト型結晶構造を有する半導体の熱電特性に影響
を与えない、導電性が高い為に大きな電力を取り出すこ
とが出来る等の効果もある。
【0019】しかし、この電極材料としての銀、または
銀を主成分とする合金と、スクッテルダイト型結晶構造
を有する半導体との間の結合性はあまりなく、また鉛系
のハンダ等を結着剤として用いても、約300℃以上の
高温時には適さない。
【0020】本発明においては、結着剤として銀とアン
チモンの混合ロウ材を用いることにより、電極とスクッ
テルダイト型結晶構造を有する半導体との間で、組成が
銀からアンチモンに連続的に変化した接合層(銀−アン
チモン合金層)が自動的に形成され、強固に接着する。
その結果、電気的に良好に接続されることから電極とス
クッテルダイト型結晶構造を有する半導体との間の電気
的接触抵抗が小さくなり、熱電変換モジュール全体の内
部抵抗が小さくなる。また、接合層での熱伝導性が向上
するため、熱抵抗が小さくなり、大きな熱起電力を得る
ことも出来る。電極とスクッテルダイト型結晶構造を有
する半導体との間の強固な接着を得る為に、この接合層
(銀−アンチモン合金層)の厚さは、約1μm以上約1
mm以下とすることが好ましい。
【0021】銀の融点は約960℃、アンチモンの融点
は約630℃であり、これら2つを混合すると融点は低
下し、アンチモンを約41mol%とした時に約485
℃となる。アンチモンの銀に対する組成比は約24mo
l%以上、約90mol%以下であることが好ましい。
【0022】以下、本発明を詳細に説明する。
【0023】図1は、本発明の実施形態に係る熱電変換
モジュールを示す概略断面図である。
【0024】図1の熱電変換モジュール10は、スクッ
テルダイト型結晶構造を有する複数のp型半導体11
と、スクッテルダイト型結晶構造を有する複数のn型半
導体12とが交互に並べて配列され、隣接するp型半導
体11とn型半導体12は全てが直列に配列するよう、
第1の電極13と第2の電極14によって接続される。
具体的には、第1の電極13は図中上側の面で隣接する
p型半導体11とn型半導体12とを接続し、第2の電
極14は図中下側の面で隣接するp型半導体11とn型
半導体12とを接続しており、第1の電極13と第2の
電極14とは、互い違いとなるよう配される。また、第
1の電極13が形成された図中上側の面、第2の電極1
4が形成された図中下側の面の夫々には第1の絶縁性導
熱板15、第2の絶縁性導熱板16が設けられる。
【0025】図1の熱電変換モジュール10において、
第1の絶縁性導熱板15側を低温度(L)とし、第2の
絶縁性導熱板16を高温度(H)となるよう、これらの
絶縁性導熱板15、16に温度差を与えると、第1の電
極13と第2の電極14との間に電位差が生じ、これら
の電極13、14や複数のp型半導体11、n型半導体
12の配列の終端(図示せず)に負荷を接続すると、電
力を取り出すことが出来る。
【0026】スクッテルダイト型結晶構造を有するp型
半導体11及びn型半導体12としては、CoSb
RhSb、IrSb等のコバルト−アンチモン系の
半導体を好ましく用いることが出来る。同様の構造をも
つものにCoAsがあるが、有毒性があるために好ま
しくはない。また、p型半導体11においては、Fe、
Ru、Os等のp型不純物で、n型半導体12において
は、Pd、Pt、Ni等のn型不純物で、Coを置換し
ている。
【0027】さらに、これらのp型半導体11、n型半
導体12にはスクッテルダイト型結晶構造内の空孔にL
a、Ce、Pr、Nd、Sm、Eu、Gd、Tb、D
y、Ho、Er、Tm、Yb、Lu、Th、U等の重元
素を充填し、フィルドスクッテルダイト構造とすること
が好ましい。こうすることにより、充填された重元素に
より格子振動が散乱され、熱伝導率が低下することか
ら、熱電変換特性が向上する。
【0028】また、第1の電極13、第2の電極14と
しては、銀、もしくは銀を主成分とする材料を用い、銀
以外の成分としては、金、白金等を添加することが好ま
しい。これらの電極13、14を形成する際は、焼結体
とするか、蒸着あるいは溶射等の手法により形成するこ
とができるが、特に上述した銀、または銀合金の板を用
いることが好ましい。
【0029】図4に一つのp型半導体11を取り出して
詳しく説明した断面図を示す。p型半導体11と、第1
の電極13、第2の電極14とを接続する際には、銀と
アンチモンの混合ロウ材を塗布形成して熱処理する等し
て用いることにより、p型半導体11と各電極13、1
4との間で、組成がアンチモンから銀に連続的に変化し
た接合層17(銀−アンチモン合金層)が自動的に形成
され、強固に接着する。この場合、p型半導体11と各
電極13、14との間は、電気的に良好に接続される。
図示しないがn型半導体も同様に接続される。各半導体
11、12と各電極13、14との間の強固な接着を得
る為に、この接合層17の厚さは、約1μm以上約1m
m以下とすることが好ましい。
【0030】第1の絶縁性導熱板15、第2の絶縁性導
熱板16としては、セラミックス等を用いることが出
来、特に絶縁性が高く熱伝導率の高い、窒化アルミニウ
ムもしくはアルミナを好ましく用いる事が出来る。第1
の電極13、第2の電極14及び第1の絶縁性導熱板1
5、第2の絶縁性導熱板16との間は、フリットガラス
18を用いて良好な接着性を達成できる。
【0031】この熱電変換モジュールを組み込んだ熱交
換器を図2に示す。
【0032】図2の熱交換器20は、高温度側と低温度
側とを有し、図1の熱電変換モジュール10を、この高
温度側と低温度側とが、それぞれ2つの対向する絶縁性
導熱板のどちらか一方となるように組み込んだ構成とす
る。
【0033】この熱交換器20は、中央にガス通路21
を有し、その周りに多数の熱交換フィン22が設置され
ている。この熱交換フィン22に接して熱電変換モジュ
ール10が設けられる。熱電変換モジュール10は熱交
換フィン22とともに外囲器23により囲まれ、外囲器
23と熱電変換モジュール10との間には、導入管25
から排出管26に至る、たとえば水の流路24が規定さ
れる。
【0034】この熱交換器20において、ガス通路21
内には例えばごみ焼却炉からの高温の排ガスが導入さ
れ、他方、流路24内には導入管25を介して冷却水が
導入される。高温ガスの熱は、熱交換フィン22により
奪われて流路24内を流れる水を加熱し、その結果、水
は排出管26から温水となって取り出される。このと
き、熱電変換モジュール10の一方の面は、流路24内
を流れる水により低温度側となり、他方の面は、ガス通
路21内を流れる高温排ガスにより高温度側となる。従
って、上述したように、熱電変換モジュール10から温
度差に対応した電力が取り出される。
【0035】次に、この熱交換器を設けたごみ焼却設備
の一例を示す。図3に示すゴミ焼却設備は、ごみ焼却炉
31、押込送風機32、押込送風機32からごみ焼却炉
31へ供給される燃焼空気を加熱する通常の熱交換器3
3、及び二次押込送風機34と、ごみ焼却炉31からの
排ガスを用いて熱電変換を行う図2の熱交換器20と、
熱交換器20及び通常の熱交換器33より出た排ガスを
清浄化する集塵機35と、排ガスを流通させる為の誘引
通風機36よりなる。
【0036】このごみ焼却設備においては、ごみ焼却炉
31からの高温度の排ガスが、ラインL1及び分岐ライ
ンL2を介して通常の熱交換器33に流入し、押込送風
機32からラインL4を介して通常の熱交換器33に導
入される空気がその高温度の排ガスにより加熱され、ラ
インL3を介してごみ焼却炉31の底部に導入される。
【0037】また、ごみ焼却炉31からの排ガスライン
L1は、熱交換器20に接続され、この熱交換器20で
は、上述したように、排ガスにより温水が発生すると共
に、熱電変換モジュールにより電力が発生する。熱交換
器20及び通常の熱交換器33を経た排ガスは、夫々ラ
インL6及びラインL5を介して集塵機35に流入し、
塵埃が除去される。集塵機35により正常化された排ガ
スは、系外に排出される。なお、ごみ焼却炉31からの
排ガスは、誘引通風機36の作用により系内を流れる。
【0038】さらに、この熱交換器20は、ごみ焼却設
備において用いるだけでなく、汽水火力発電設備のボイ
ラー内水管もしくは水管フィン表面に設置し、高温度側
をボイラー内部、低温度側を水管側とすることで、電力
と蒸気タービンに送られる蒸気とが同時に得られ、汽水
火力発電設備の効率を改善することも出来る。
【0039】以下、本発明の実施形態を詳細に説明する
が、本発明はこれらの実施形態に定されるものではな
い。
【0040】(第1の実施形態) (スクッテルダイト型結晶構造を有するp型半導体の作
成)純度約99.998%のCo、純度約99.999
%のSb、純度約99.99%のCe、及び純度約9
9.99%のFeを原料とし、これを、組成式Ce(F
0.75Co0.25Sb12の配合比となるよ
う、秤量する。ただしSbは、次のアーク溶解工程にお
いて蒸発がある為、所定の配合比より約3重量%多くな
るよう秤量する。
【0041】アーク炉内の水冷されている銅製のハース
に、秤量した上記の原料を装填して、真空度が約2×1
−3Paとなるまで真空引きした後、純度約99.9
99%の高純度Arを約60kPaまで導入して減圧A
r雰囲気とし、アーク溶解する。
【0042】溶解後、水冷されている銅製のハースで急
冷されることにより得られた金属塊を、石英管に約10
−4Pa以下の高真空で真空封入し、約973Kで約3
0時間熱処理する。これを窒素雰囲気中で粉砕し、内径
約20mmの金型を用い、圧力を約100MPaとして
成形する。
【0043】この成形体を内径約20mmのカーボン製
モールドに充填し、Ar雰囲気中、圧力を約100MP
a、温度を約680℃として約1時間加圧焼結し、直径
約20mmの円盤状の焼結体を得、スクッテルダイト型
結晶構造を有するp型半導体とする。このp型半導体の
約400℃での抵抗率は約1.5×10−3Ωcmであ
り、ゼーベック係数は約215μV/Kであり、熱伝導
率は約1.5W/mKであった。
【0044】(スクッテルダイト型結晶構造を有するn
型半導体の作成)純度約99.998%のCo、純度約
99.999%のSb、純度約99.99%のCe、及
び純度約99.99%のPdを原料とし、これを、組成
式Ce .2(Pd0.03Co0.97Sb12
の配合比となるよう、秤量する。ただしSbは、次のア
ーク溶解工程において蒸発がある為、所定の配合比より
約3重量%多くなるよう秤量する。
【0045】アーク炉内の水冷されている銅製のハース
に、秤量した上記の原料を装填して、真空度が約2×1
−3Paとなるまで真空引きした後、純度約99.9
99%の高純度Arを約60kPaまで導入して減圧A
r雰囲気とし、アーク溶解する。
【0046】溶解後、水冷されている銅製のハースで急
冷されることにより得られた金属塊を、石英管に約10
−4Pa以下の高真空で真空封入し、約973Kで約3
0時間熱処理する。これを窒素雰囲気中で粉砕し、内径
約20mmの金型を用い、圧力を約100MPaとして
成形する。
【0047】この成形体を内径約20mmのカーボン製
モールドに充填し、Ar雰囲気中、圧力を約100MP
a、温度を約680℃として約1時間加圧焼結し、直径
約20mmの円盤状の焼結体を得、スクッテルダイト型
結晶構造を有するn型半導体とする。このn型半導体の
約400℃での抵抗率は約1.1×10−3Ωcmであ
り、ゼーベック係数は約−250μV/Kであり、熱伝
導率は約3.6W/mKであった。
【0048】(熱電変換モジュールの作成)上述したp
型半導体、n型半導体の焼結体から、一辺が約2mmで
ある立方体を複数切り出す。そして、開口部の大きさが
約2mm+0.2mm角、高さが約1.5mmのコーデ
ィエライト製のメッシュ中にp型半導体とn型半導体の
組を、p型半導体とn型半導体とが交互に配置されるよ
うに置き、4組の列を8行、計32組の正方形となるよ
うに配列し、熱電変換素子配列体とする。
【0049】次に、325メッシュのAgメタル粉末
と、325メッシュのSbメタル粉末とを、mol比で
Sb:Ag=約41:59(共晶組成)となるように混
合し、有機溶剤を添加してペースト化する。この銀とア
ンチモンの混合ロウ材を、メッシュから現れた熱電変換
素子配列体の両面に塗布する。大きさが約4.3mm×
約2.0mmで、厚さが約0.6mmの銀電極板を、熱
電変換素子配列体の両面に複数貼り付ける。その際、全
てのp型半導体とn型半導体とが、電気的に直列に接続
されるように配列する。
【0050】次に、熱電変換素子配列体の両面に貼り付
けた銀電極板上にフリットガラス粉末を塗布し、これら
を、大きさが約24mm角で、厚さが約1mmのAlN
板2枚で挟み、積層体とする。この積層体に、約3kg
の重しを載せて電気炉中に置き、Ar雰囲気中で約55
0℃の温度で約1時間、熱処理を行う。
【0051】冷却後、この積層体を電気炉より取り出し
たところ、全ての層が十分な強度を有する接合を成して
いる熱電変換モジュールが形成されていた。また、この
熱電変換モジュールは、良好な接合性を有する為に、モ
ジュールの内部抵抗は、約0.8Ωと、十分低かった。
【0052】この熱電変換モジュールについて、高温度
側を約425℃、低温度側を約25℃とし、負荷として
この熱電変換モジュールの内部抵抗と同じ約0.8Ωの
負荷を繋ぐ、整合負荷条件で熱電特性を測定したとこ
ろ、発生した電圧は約2.3Vであり、約2.9Aの電
流が流れ、得られた電力は約6.8Wであった。また、
この条件で約1000時間連続運転した後、室温に戻
し、再び同条件で運転を行った。この繰り返しを10回
行い、合計運転時間約10000時間とした後も性能は
変わらず、また破損したり形状が変化することもなかっ
た。
【0053】(第2〜第5の実施形態)銀とアンチモン
の混合ロウ材の材料としての、325メッシュのAgメ
タル粉末と、325メッシュのSbメタル粉末との配合
比、また、熱電変換素子配列体、銀電極板、AlN板を
積層体とした後の熱処理の温度を、(表1)のようにす
るほかは、第1の実施形態と同様にして、第2〜第5の
実施形態とする。
【0054】
【表1】 第1の実施形態と同様に特性を評価したところ、(表
1)のようになり、銀とアンチモンの混合ロウ材の組成
を共晶組成とした場合以外でも、熱電変換素子配列体と
銀電極板との良好な接合性が得られているといえる。そ
して、低い内部抵抗と、高い熱起電力を得ることが出
来、良好な特性を有する熱電変換モジュールを得ること
ができる。
【0055】また、第1の実施形態と同様に、約100
0時間連続運転した後、室温に戻し、再び同条件で運転
を行った。この繰り返しを10回行い、合計運転時間約
10000時間とした後も性能は変わらず、また破損し
たり形状が変化することもなかった。
【0056】(第6の実施形態)第1の実施形態の熱電
変換モジュールを耐熱鋼平板と耐食鋼平板の間に並べて
配置し両平板で固定した積層板を作製する。この際、各
モジュールから出ている出力端子は直列に接続する。こ
の積層板の耐熱鋼側を高温部、耐食鋼側を冷却部として
熱電変換モジュール付き熱交換器が得られる。この熱電
変換モジュール付き熱交換器は、例えば図2に示すよう
に冷却側に水を流通させる流路24を設け、これを図3
に示すようにごみ焼却炉に設置することにより、蒸気と
熱水が得られかつ発電が行えるボイラーとすることがで
きる。
【0057】(第7の実施形態)第6の実施形態の熱交
換器を汽水火力発電設備のボイラー内水管もしくは水管
フィン表面に設置し、耐熱鋼平板側をボイラー内側、冷
却水を水管側とすることで、電力と蒸気タービンに送ら
れる蒸気とが同時に得られ、かつ効率が改善された汽水
火力発電設備を得ることができる。すなわち、蒸気ター
ビンのみにより発電する汽水火力発電設備の発電効率を
η、熱交換器の熱電変換効率をηとすると、η
η+(1−η)ηであり、ηの発電効率の汽水
火力発電設備にηなる熱電変換効率の熱交換器を設置
することにより、(1−ηTP)η だけ発電効率を向
上することができる。
【0058】以上、本発明を詳しく説明したが、本発明
はそれらに限定されるものではない。例えば、熱電素子
本体は、CrSi、MnSi1.73、FeSi
CoSi、RuSi、OsSi、Rh
、IrSi等のSi系あるいはSi−Ge系合
金に対しても有効である。また、本発明による熱交換器
は実施例のような平板である必要はなく、二重円筒管に
してその中に本発明の熱電変換モジュールを配置するこ
ともでき、そのような熱交換器を用いたボイラーも構成
することができる。
【0059】
【発明の効果】以上詳述したように、本発明によれば、
約300℃以上の温度でも十分な熱電変換機能を有する
熱電変換モジュールおよびそれを用いた熱交換器を得る
ことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の実施形態に係る熱電変換モジュール
を示す概略断面図である。
【図2】 本発明の実施形態に係る熱交換器を示す概略
断面図である。
【図3】 本発明の実施形態に係る熱交換器を設置した
ごみ焼却設備の概略構成図である。
【図4】 本発明の実施形態に係る熱電変換モジュール
の1つのp型半導体の周辺の拡大断面図である。
【符号の説明】
10…熱電変換モジュール 11…p型半導体 12…n型半導体 13…第1の電極 14…第2の電極 15…第1の絶縁性導熱板 16…第2の絶縁性導熱板 17…接合層 18…フリットガラス 20…熱交換器 21…ガス通路 22…熱交換フィン 23…外囲器 24…流路 25…導入管 26…排出管 31…ごみ焼却炉 32…押込送風機 33…通常の熱交換器 34…二次押込送風機 35…集塵機 36…誘引通風機
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI H01L 35/34 H01L 35/34 H02N 11/00 H02N 11/00 A (56)参考文献 特開2002−84005(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) H01L 35/32 H01L 35/14 H01L 35/18 H01L 35/30 H01L 35/34 C22C 12/00 H02N 11/00

Claims (6)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 スクッテルダイト型結晶構造を有する複
    数のp型半導体と、このp型半導体と交互に配列されス
    クッテルダイト型結晶構造を有する複数のn型半導体
    と、銀を主成分とし、前記p型半導体及び前記n型半導
    体に接する第1の面と、この第1の面に対向し前記p型
    半導体及び前記n型半導体に接する第2の面とに形成さ
    れ、前記p型半導体と前記n型半導体とを電気的に直列
    に接続する複数の電極と、前記p型半導体もしくは前記
    n型半導体と前記電極との間に形成される複数の銀−ア
    ンチモン合金層とを具備することを特徴とする熱電変換
    モジュール。
  2. 【請求項2】 前記銀−アンチモン合金層の厚さが1μ
    m以上1mm以下であることを特徴とする請求項1記載
    の熱電変換モジュール。
  3. 【請求項3】 前記p型半導体及び前記n型半導体は、
    ASb基化合物結晶(ただし、AはCo、Rh、Ir
    よりなる群から選ばれる少なくとも1種を含む)中の空
    隙にLa、Ce、Pr、Nd、Sm、Eu、Gd、T
    b、Dy、Ho、Er、Tm、Yb、Lu、Th、Uよ
    りなる群から選ばれる少なくとも1種の元素を充填した
    フィルドスクッテルダイト構造を有する化合物であるこ
    とを特徴とする請求項1記載の熱電変換モジュール。
  4. 【請求項4】 前記第1の面及び前記第2の面のうち一
    方または両方にセラミックスからなる絶縁性導熱板が形
    成され、この絶縁性導熱板は前記電極に接触することを
    特徴とする請求項1記載の熱電変換モジュール。
  5. 【請求項5】 前記電極が銀もしくは銀を主成分とする
    焼結体又は金属板により構成されることを特徴とする請
    求項1記載の熱電変換モジュール。
  6. 【請求項6】 加熱面と冷却面を有し、前記加熱面及び
    前記冷却面が前記第1の面及び前記第2の面のどちらか
    一方となるように形成される請求項1乃至5記載の熱電
    変換モジュールを具備することを特徴とする熱交換器。
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