JP3526087B2 - フェノール樹脂成形材料 - Google Patents

フェノール樹脂成形材料

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Description

【発明の詳細な説明】 【0001】 【産業上の利用分野】本発明は、強度、耐摩耗性、耐熱
性等に優れるガラス繊維充填フェノール樹脂成形材料に
関するものである。 【0002】 【従来の技術】近年自動車、電機部品をはじめとする構
造・機構部品の小型化、軽量化及び高性能化要求に従い
強度、耐熱性、寸法安定性、応力緩和特性等に優れるガ
ラス繊維充填フェノール樹脂成形材料が金属代替材とし
て注目を集めている。しかし、ガラス繊維は強度、耐熱
性の向上には優れた効果が得られるが、その添加量に反
比例して摩耗特性は低下する。特に自動車分野では、元
来鉄、アルミニウム等が使用されていた部位に置き換え
て使用されることが多く、成形物の摩耗のみならず相手
材である鉄、アルミニウムを大きく摩耗させるという問
題がある。 【0003】従来よりパルプ、粉砕布等の有機天然繊維
を配合すると摩耗特性が向上することが知られている
が、その反面ガラス繊維充填フェノール樹脂成形材料の
特長である耐熱性、強度の低下は避けられなかった。一
方、有機天然繊維、シリカ粉末、及び熱可塑性樹脂を配
合することにより耐熱性、強度を損なわずに摩耗特性を
向上できることが見いだされている(特開昭60−12
4646号公報、特願平4−214199号明細書)
が、更なる向上が望まれていた。 【0004】 【発明が解決しようとする課題】かかる欠点を解消する
ため種々の検討を行った結果、フェノール樹脂を従来に
比べ多量に配合し、ガラス繊維の配合をその同量分減ら
すことによりガラス繊維充填フェノール樹脂成形材料の
優れた機械的強度を損なうことなく摩耗特性が著しく向
上し、相手材の摩耗量も減少することを見いだし、本発
明を完成するに至ったものである。 【0005】 【課題を解決するための手段】本発明は、フェノール樹
脂(硬化剤を含む)の含有率が成形材料全量に対して6
0〜70重量%であり、ガラス繊維、有機天然繊維、シ
リカ粉末、及び酢酸ビニル樹脂と潤滑性熱可塑性樹脂と
からなる熱可塑性樹脂の合計量が成形材料全量に対し2
5重量%以上40重量%未満であり、前記4成分の各成
分が、それぞれ成形材料全量に対して、ガラス繊維が1
0〜30重量%、有機天然繊維が3〜10重量%、シリ
カ粉末が3〜10重量%、及び熱可塑性樹脂が3〜10
重量%となるように配合されてなることを特徴とするフ
ェノール樹脂成形材料である。 【0006】ここで用いられるフェノール樹脂は、ノボ
ラック樹脂とヘキサメチレンテトラミンの混合物でもレ
ゾール樹脂でもよく、これらを変性したものを用いても
よく、あるいは必要に応じてこれら二種以上の併用も可
能である。成形材料の生産性及び成形性の点から、フェ
ノール樹脂の溶液粘度は70〜400cstが好まし
い。70cst未満では低分子分が多く、成形材料の成
形性が低下するし、400cstを越えると粘度が高す
ぎて成形材料化の際の生産性が低下する。なお、溶液粘
度はDMF50%溶液を用い、温度25℃で毛細管法
(VISCOMETER、草野科学器械製作所製)により測定し
た。 【0007】次に充填材について説明する。ここで用い
るガラス繊維は、通常成形材料に用いられているチョッ
プドストランドであれば如何なるものでもよいが、成形
材料化した際の均一分散性より1〜6mmの繊維長のも
のが望ましい。 【0008】本発明では成形材料中のガラス繊維の含有
量を従来のガラス繊維を高充填した成形材料に比べ減少
させることにより摩耗特性を向上し、代わりにフェノー
ル樹脂の含有量を増加させ靱性を持たせることにより機
械的強度の低下を抑えていることが特長のひとつであ
る。摩耗、強度特性のバランスを考慮すると、成形材料
全量に対して、フェノール樹脂の配合割合は60〜70
重量%であり、また、ガラス繊維の配合割合は10〜3
0重量%である。 【0009】本発明では有機天然繊維と併用したとき耐
摩耗性向上に効果のあるシリカ粉末をガラス繊維以外の
無機質充填材として用いるが、天然シリカ、合成シリカ
いずれを用いてもよく、好ましくは粒子径が20μm以
下の細かいものがよい。有機天然繊維としては、解綿パ
ルプ、原綿パルプ、粉末パルプ、粉砕布等を使用するこ
とができるが、成形材料化した際の解繊度、分散度、成
形材料のかさばり等により、繊維長は1mm以下の細か
いものが望ましい。 【0010】これらの配合による曲げ強度、引っ張り強
度等の静的強度の低下を防ぐため、本発明では熱可塑性
樹脂として酢酸ビニルを配合している。酢酸ビニル樹脂
は重合度200以下の液状のもの、それ以上の固形状の
ものいずれも使用でき、また、エチレン共重合、アクリ
ル共重合等の変性の有無は問わない。しかし成形材料化
する際の作業性を考慮すると、重合度5000前後の固
形状酢酸ビニル樹脂を粉末状に粉砕したものが望まし
い。 【0011】他の熱可塑性樹脂として、ポリエチレン等
のポリオレフィン又は四フッ化エチレン樹脂などのフッ
素樹脂である潤滑性熱可塑性樹脂を配合する。かかる潤
滑性熱可塑性樹脂は、成形品表面に皮膜を形成し摩耗係
数を低下させる働きが大きいものである。いずれも分子
量及び粒度は特に限定しないが、フェノール樹脂との相
溶性、分散性、材料化の際の作業性を損なわない程度の
分子量及び粒度のものが効果ある。例えばポリエチレン
樹脂は融点120℃以下、粒径50μm以下、四フッ化
エチレン樹脂は融点400℃以下、粒径50μm以下の
ものがこれにあてはまる。配合量としては、成形材料全
体を100重量部とすると5重量部以下が望ましい。そ
れ以上では滑りすぎて材料化が困難となるし、材料コス
トも増大するからである。 【0012】上記の有機天然繊維、シリカ粉末及び熱可
塑性樹脂の3成分の配合量は、摩耗及び強度特性のバラ
ンスから成形材料全量に対して、それぞれ3〜10重量
%であり、それぞれ等量ないし熱可塑性樹脂成分を若干
多くなるように配合することが望ましい。 【0013】本発明に於けるフェノール樹脂成形材料は
これらの他に硬化助剤、離型剤、顔料等を配合し熱ロー
ル等により混練、粉砕し製造する。 【0014】 【実施例】以下、本発明を実施例及び比較例に基づいて
説明する。実施例及び比較例の配合を表1に、得られた
特性を表2にそれぞれ示す。なお、ノボラック樹脂は汎
用品である住友ベークライト(株)製A−1082を使
用した。 【0015】 【表1】 【0016】(測定方法)摩耗特性は鈴木式摩耗試験機
(荷重5kg/cm2、滑り速度100mm/s、試験時間1時
間)を用いて測定した。他の特性は JIS K 6911 に準じ
て測定した。 【0017】 【表2】 【0018】表2の結果より実施例、特に実施例2は従
来例である比較例1と比較して強度及び耐熱性を劣化さ
せずに摩耗特性を向上させている。比較例2はガラスを
クレーに置換したものであるが、比較例1と比べると摩
耗特性は向上しているものの、強度、耐熱性がともに劣
っている。 【0019】 【発明の効果】実施例及び比較例より明らかなように、
本発明のフェノール樹脂成形材料は、高強度、耐熱性等
の特性を保持しながら、得られた成形物自身の摩耗、及
び鉄、アルミニウム等相手材の摩耗が非常に少ない成形
材料である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI C08L 31:04) C08L 27:12 (C08L 61/06 27:12 31:04) (56)参考文献 特開 昭62−209159(JP,A) 特開 昭60−124646(JP,A) 特開 平1−172446(JP,A) 特開 平6−322232(JP,A) 特開 平5−86261(JP,A) 特開 平4−63858(JP,A) 特開 平2−69510(JP,A) 特開 平3−174465(JP,A) 特開 平2−127460(JP,A) 特開 昭61−266455(JP,A) 特開 昭56−74147(JP,A) 特開 平4−103654(JP,A) 特開 平5−19442(JP,A) 特開 平6−25499(JP,A) 特開 昭63−291944(JP,A) 特開 昭61−185564(JP,A) 特公 昭45−4618(JP,B1) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) C08L 61/04 - 61/16 C08L 23/00 - 23/36 C08L 27/12 - 27/20 C08L 31/04 WPI/L(QUESTEL)

Claims (1)

  1. (57)【特許請求の範囲】 【請求項1】 フェノール樹脂成形材料において、フェ
    ノール樹脂(硬化剤を含む)の含有率が成形材料全量に
    対して60〜70重量%であり、ガラス繊維、有機天然
    繊維、シリカ粉末、及び酢酸ビニル樹脂と、ポリエチレ
    ン等のポリオレフィン又は四フッ化エチレン樹脂などの
    フッ素樹脂である潤滑性熱可塑性樹脂とからなる熱可塑
    性樹脂の合計量が成形材料全量に対し25重量%以上4
    0重量%未満であり、前記4成分の各成分が、それぞれ
    成形材料全量に対して、ガラス繊維が10〜30重量
    %、有機天然繊維が3〜10重量%、シリカ粉末が3〜
    10重量%、及び熱可塑性樹脂が3〜10重量%となる
    ように配合されてなることを特徴とするフェノール樹脂
    成形材料。
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