JP3525794B2 - 浴室の排水構造 - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】本発明は、浴室の排水構造に
関し、詳しくは、浴槽設置部を洗い場よりも低くして浴
槽の立ち上がり高さを抑えた浴室の排水構造に関し、更
に詳しくは、低くした浴槽設置部側への排水の流入を防
止しながら、浴槽側排水孔の点検を楽におこなえるよう
にしようとする技術に係るものである。

【０００２】

【従来の技術】浴室の床パンにおいて浴槽設置部を洗い
場よりも低くして浴槽の立ち上がり高さを抑える等した
いわゆるバリアフリー構造の浴室においては、浴槽設置
部と洗い場との間に堰を形成し、浴槽設置部に浴槽側排
水孔を、洗い場に洗い場側排水孔を形成するのである
が、洗い場側の排水が堰を越えて低くなっている浴槽設
置部側に溢流する傾向が強いものである。

【０００３】このように、洗い場側からの排水が浴槽設
置部に流入すると、浴槽設置部側が汚れるとともに浴槽
設置部側の排水孔の詰まりが生じやすくなるものであ
る。

【０００４】そこで、従来においては、堰に切除部を形
成して切除部から手を入れて浴槽側排水孔の点検を可能
にしているものであった。

【０００５】

【発明が解決しようとする課題】ところで、堰に切除部
を形成する従来のものにおいては、切除部から一層、排
水が流入することになり、点検を度々おこなわなければ
ならないものとなっていた。

【０００６】本発明はこのような問題に鑑みてなされた
ものであり、浴槽設置部を洗い場よりも低くして浴槽の
立上がりを低く抑えながら、低くした浴槽設置部側への
排水の流入を阻止し、それでいて、浴槽側排水孔の点検
を楽におこなえる浴室の排水構造を提供することを課題
とするものである。

【０００７】

【課題を解決するための手段】請求項１においては、浴
室床パン１２に形成した洗い場３とこれより低くした浴
槽設置部２との間に全長にわたって堰４を形成し、堰４
に浴槽エプロン１５を載置し、浴槽設置部２に浴槽側排
水孔５を、洗い場３に洗い場側排水孔６を形成し、浴槽
側排水孔５の近くの上記堰４を浴槽エプロン１５を載置
している堰４部分よりも洗い場３側に突出させて突出堰
部８を形成し、洗い場側排水孔６の点検蓋７の奥部を延
出して覆い片１１を形成し、覆い片１１にて突出堰部８
と浴槽側排水孔５との間の点検スペースＳを覆っている
ことを特徴とするものである。このような構成によれ
ば、浴槽設置部２を洗い場３よりも低くして浴槽１の高
さを抑える構成として洗い場３の排水が浴槽設置部２側
に流入しやすいものでありながら、洗い場３と浴槽設置
部２との間には全長にわたって堰４が形成されていて、
洗い場３からの排水が浴槽設置部２側に流入するのを防
止することができ、それでいて、堰４の一部を洗い場３
側に突出させて突出堰部８を形成し、洗い場側排水孔６
の点検蓋７の覆い片１１にて突出堰部８と浴槽側排水孔
５との間の点検スペースＳを覆っているから、点検蓋７
を外すことで、洗い場３側に突出した突出堰部８と浴槽
側排水孔５との間の点検スペースＳを開放することがで
き、この点検スペースＳから手を入れることで、浴槽側
排水孔５の点検を楽におこなうことができる。

【０００８】請求項２においては、突出堰部８は、他の
堰４部分よりも低くしてあることを特徴とするものであ
る。このような構成によれば、突出堰部８は他に比べて
低くて、一層、浴槽側排水孔５の点検を楽におこなうこ
とができる。

【０００９】請求項３においては、点検蓋７の裏面で突
出堰部８よりは洗い場３側の位置に溢流阻止片９を垂下
してあることを特徴とするものである。このような構成
によれば、突出堰部８の外側にあって点検蓋７側から垂
下している溢流阻止片９によって堰４に沿って流れる洗
い場３側の排水が突出堰部８を越えて浴槽設置部２へと
流入することを阻止することができ、洗い場３側から浴
槽設置部２側への排水の流入を確実に阻止することがで
きる。

【００１０】請求項４においては、浴槽側排水孔５と突
出堰部８との間にヘアーキャッチャー１０を設けている
ことを特徴とするものである。このような構成によれ
ば、洗い場３側から浴槽設置部２に流入する排水のヘア
ーを捕捉することができ、浴槽側排水孔５の詰まりを低
減することができる。

【００１１】

【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態を説明
する。図１（ａ）は分解斜視図、図２は洗い場側排水孔
６の点検蓋を外した斜視図、図３は全体概略断面図であ
る。

【００１２】図３に示すように、浴室床パン１２には洗
い場３とこれより低くした浴槽設置部２とが形成され、
洗い場３側にはドア１３、カラン１４等が配設され、浴
槽設置部２には浴槽１が設置される。浴室床パン１２に
は洗い場３と浴槽設置部２との間に全長にわたって堰４
を形成して洗い場３からの排水が浴槽設置部２側に流入
するのを阻止している。堰４の上には浴槽エプロン１５
が浴槽１のフランジ１６との間に立設されている。浴槽
設置部２に浴槽側排水孔５を、洗い場３に洗い場側排水
孔６を形成している。洗い場側排水孔６は洗い場３の面
よりも凹入された排水凹部１７に形成されている。排水
凹部１７は浴槽設置部２と略同レベルになっている。

【００１３】図１（ａ）及び図２に示すように、浴槽側
排水孔５及び洗い場側排水孔６の近くの上記堰４を洗い
場３側に突出させて突出堰部８を形成している。具体的
には、堰４を浴槽側排水孔５及び洗い場側排水孔６の近
傍において分断して浴槽側排水孔５の近傍に点検スペー
スＳを形成している。又、突出堰部８によって、排水凹
部１７内の排水が浴槽設置部２側に流入するのを阻止し
ている。堰４の手前には排水溝１８が形成され、堰４に
当たった排水が排水溝１８を経て排水凹部１７に流入し
て洗い場側排水孔６から排水できるようにしている。

【００１４】排水凹部１７を覆う点検蓋７は、側壁１
９，１９及び前壁２０を備えて箱型に形成され、点検蓋
７の奥部を延出して覆い片１１を一連に形成している。
側壁１９及び前壁２０には切欠き２１を形成している。
覆い片１１の奥縁には起立片２２が形成されている。

【００１５】しかして、点検蓋７を排水凹部１７に挿入
して洗い場側排水孔６を覆うとともに覆い片１１にて突
出堰部８と浴槽側排水孔５との間の点検スペースＳを覆
っているのであり、浴槽設置部２を洗い場３よりも低く
して浴槽１の高さを抑える構成として洗い場３の排水が
浴槽設置部２側に流入しやすくしながら、洗い場３と浴
槽設置部２との間には全長にわたって堰４が形成されて
いて、洗い場３からの排水が浴槽設置部２側に流入する
のを防止することでき、それでいて、堰４の一部を洗い
場３側に突出させて突出堰部８を形成し、洗い場側排水
孔６の点検蓋７の覆い片１１にて突出堰部８と浴槽側排
水孔５との間の点検スペースＳを覆っていることから、
点検蓋７を外すことで、洗い場３側に突出した突出堰部
８と浴槽側排水孔５との間の点検スペースＳを開放する
ことができ、この点検スペースＳから手を入れること
で、浴槽側排水孔５の点検を楽におこなうことができる
のである。

【００１６】つまり、浴槽設置部２を低くしたバリアフ
リー形態にしながら、浴槽設置部２側に排水が流入する
のを全長にわたる堰４によって防止し、それでいて、堰
４の改良によって浴槽側排水孔５の点検を浴槽エプロン
１５を外すことなく洗い場３側から楽におこなえるので
ある。

【００１７】ところで、突出堰部８は、他の堰４部分よ
りも低くしてあって、手の挿入が容易となり、一層、浴
槽側排水孔５の点検を楽におこなうことができるもので
ある。

【００１８】更に、点検蓋７の裏面で突出堰部８よりは
洗い場３側の位置において溢流阻止片９を垂下してあっ
て、図１（ｂ）に示すように、溢流阻止片９が突出堰部
８の外側にあって堰４の手前の排水溝１８に沿って流れ
る洗い場３側の排水が突出堰部８を越えて浴槽設置部２
へと流入することを阻止するのであり、洗い場３側から
浴槽設置部２側への排水の流入を確実に阻止することが
できるのである。この場合、排水は点検蓋７の側壁１９
と排水凹部１７の側壁の間の隙間から流入し、側壁１９
の切欠き２１を経て排水凹部１７に流入するのである。
又、点検蓋７の起立片２２が分断した堰４，４間を塞い
でいて、排水が浴槽設置部２側に流入するのを阻止して
いる。

【００１９】図２に示すように、浴槽側排水孔５と突出
堰部８との間にヘアーキャッチャー１０を設けていて、
洗い場３側から浴槽設置部２に流入する排水のヘアーを
捕捉することができ、浴槽側排水孔５の詰まりを低減す
ることができるのである。ヘアーキャッチャー１０はケ
ースとともに洗い場３側から取出すことができるもので
ある。

【００２０】図５は浴室床パン１２に設置される排水部
材２３を示していて、洗い場側排水孔６と浴槽側排水孔
５とを一連の部材にて形成しているものであり、洗い場
側排水孔６及び浴槽側排水孔５とに流入した排水は上記
排水部材２３を経て下水側に排水される。洗い場側排水
孔６にはヘアーキャッチャー２４がセットされ、トラッ
プ２５が構成されている。又、浴槽側排水孔５にもトラ
ップが形成されている。

【００２１】

【発明の効果】請求項１においては、浴室床パンに形成
した洗い場とこれより低くした浴槽設置部との間に全長
にわたって堰を形成し、堰に浴槽エプロンを載置し、浴
槽設置部に浴槽側排水孔を、洗い場に洗い場側排水孔を
形成し、浴槽側排水孔の近くの上記堰を浴槽エプロンを
載置している堰部分よりも洗い場側に突出させて突出堰
部を形成し、洗い場側排水孔の点検蓋の奥部を延出して
覆い片を形成し、覆い片にて突出堰部と浴槽側排水孔と
の間の点検スペースを覆っているから、浴槽設置部を洗
い場よりも低くして浴槽の高さを抑える構成として洗い
場の排水が浴槽設置部側に流入しやすくしながら、洗い
場と浴槽設置部との間には全長にわたって堰が形成され
ていて、洗い場からの排水が浴槽設置部側に流入するの
を防止することでき、それでいて、堰の一部を洗い場側
に突出させて突出堰部を形成し、洗い場側排水孔の点検
蓋の覆い片にて突出堰部と浴槽側排水孔との間の点検ス
ペースを覆うことから、点検蓋を外すことで、洗い場側
に突出した突出堰部と浴槽側排水孔との間の点検スペー
スを開放することができ、この点検スペースから手を入
れることで、浴槽側排水孔の点検を楽におこなうことが
できるという利点がある。

【００２２】即ち、請求項１の発明においては、浴槽設
置部を低くしたバリアフリー形態にしながら、浴槽設置
部側に排水が流入するのを全長にわたる堰によって防止
し、それでいて、堰の改良によって浴槽側排水孔の点検
をエプロンを外すことなく洗い場側から楽におこなえる
ことを特徴とするものである。

【００２３】請求項２においては、突出堰部は、他の堰
部分よりも低くしてあるから、請求項１の効果に加え
て、突出堰部は他に比べて低くて、一層、浴槽側排水孔
の点検を楽におこなうことができるという利点がある。

【００２４】請求項３においては、点検蓋の裏面で突出
堰部よりは洗い場側の位置において溢流阻止片を垂下し
てあるから、請求項１又は２の効果に加えて、突出堰部
の外側にあって点検蓋側から垂下している溢流阻止片に
よって堰に沿って流れる洗い場側の排水が突出堰部を越
えて浴槽設置部へと流入することを阻止することがで
き、洗い場側から浴槽設置部側への排水の流入を確実に
阻止することができるという利点がある。

【００２５】請求項４においては、浴槽側排水孔と突出
堰部との間にヘアーキャッチャー設けているから、請求
項１の効果に加えて、洗い場側から浴槽設置部に流入す
る排水のヘアーを捕捉することができ、浴槽側排水孔の
詰まりを低減することができるという利点がある。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明の実施の一形態を示し、（ａ）は分解斜
視図、（ｂ）は部分断面図である。

【図２】同上の洗い場側排水孔の点検蓋を外した斜視図
である。

【図３】同上の全体概略断面図である。

【図４】同上の点検蓋を外した概略斜視図である。

【図５】同上の排水部の断面図である。

【符号の説明】

２ 浴槽設置部 ３ 洗い場 ４ 堰 ５ 浴槽側排水孔 ６ 洗い場側排水孔 ７ 点検蓋 ８ 突出堰部 ９ 溢流阻止片 １０ ヘアーキャッチャー １１ 覆い片 １２ 浴室床パン １５ 浴槽エプロン

Claims (4)

(57)【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 浴室床パンに形成した洗い場とこれより
   低くした浴槽設置部との間に全長にわたって堰を形成
   し、堰に浴槽エプロンを載置し、浴槽設置部に浴槽側排
   水孔を、洗い場に洗い場側排水孔を形成し、浴槽側排水
   孔の近くの上記堰を浴槽エプロンを載置している堰部分
   よりも洗い場側に突出させて突出堰部を形成し、洗い場
   側排水孔の点検蓋の奥部を延出して覆い片を形成し、覆
   い片にて突出堰部と浴槽側排水孔との間の点検スペース
   を覆って成ることを特徴とする浴室の排水構造。
2. 【請求項２】 突出堰部は、他の堰部分よりも低くして
   成ることを特徴とする請求項１記載の浴室の排水構造。
3. 【請求項３】 点検蓋の裏面で突出堰部よりは洗い場側
   の位置において溢流阻止片を垂下して成ることを特徴と
   する請求項１又は２記載の浴室の排水構造。
4. 【請求項４】 浴槽側排水孔と突出堰部との間にヘアー
   キャッチャー設けて成ることを特徴とする請求項１記載
   の浴室の排水構造。