JP3524791B2 - 含フッ素(メタ)アクリル酸エステルの製造方法 - Google Patents

含フッ素(メタ)アクリル酸エステルの製造方法

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JP3524791B2 JP00042799A JP42799A JP3524791B2 JP 3524791 B2 JP3524791 B2 JP 3524791B2 JP 00042799 A JP00042799 A JP 00042799A JP 42799 A JP42799 A JP 42799A JP 3524791 B2 JP3524791 B2 JP 3524791B2
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  • Organic Low-Molecular-Weight Compounds And Preparation Thereof (AREA)
  • Low-Molecular Organic Synthesis Reactions Using Catalysts (AREA)

Description

【発明の詳細な説明】 【0001】 【発明の属する技術分野】本発明はエステル交換法によ
って、含フッ素(メタ)アクリル酸エステルを製造する
方法に関する。 【0002】 【従来の技術】エステル交換法による(メタ)アクリル
酸エステルの製造法としては、チタン系触媒やスズ系触
媒を使用する方法などが知られている。テトラアルキル
チタネート触媒を用いる方法として、例えば特開平1−
258642号公報には立体障害フェノールを重合防止
剤として組み合わせる方法が開示され、特開平4−66
555号公報にはアルコールのアルキル基と同一のアル
キル基を持つテトラアルキルチタネートを用いる方法が
開示されている。また、特開平5−320205号公報
および特開平5−320217号公報では、特定のN−
オキシル化合物が単独であるいはその他の重合防止剤と
併せて用いる重合防止方法が提案されている。 【0003】 【発明が解決しようとする課題】含フッ素(メタ)アク
リル酸エステルは、光学材料に用途に使用されることが
多く、不純物の少ない製造方法が望まれていた。しかし
ながら、特開平1−258642号公報に記載の方法は
高い反応率で反応を行うと、触媒由来のアルコール又は
そのエステルが反応系に混入するという問題があった。
また、重合防止剤として、バルキーな基を導入して反応
性を小さくした立体障害フェノールを用いている。これ
は重合防止剤が系内に過剰にあるメチル(メタ)アクリ
レートと反応することで重合防止効果が低下しないよう
にしたものであるが、十分な重合防止効果を得るには大
量の使用が必要で、製品である(メタ)アクリル酸エス
テル中に立体障害フェノールが混入する恐れがあった。 【0004】また、特開平4−66555号公報に記載
の方法は、原料アルコールに応じて触媒を用意する必要
があり、アルコールの種類によっては市販品が存在しな
いために、その都度触媒から製造しなければならないと
いう問題があった。 【0005】本発明は、このような従来の問題点に鑑み
てなされたものであり、入手が容易な触媒を用いて高い
反応率で高純度の含フッ素(メタ)アクリル酸エステル
を製造する方法を提供することを目的とする。 【0006】 【課題を解決するための手段】本発明は、メチル(メ
タ)アクリレートと、一般式Y(CX2a(CH2b
H(但し、X、Yは、独立に水素又はフッ素を表し、a
は1〜15の整数、bは1または2を表し、分子中に少
なくとも3個以上がフッ素が含有されるようにX、Yお
よびaが定められる。)で表される含フッ素アルコール
とを、触媒としてテトラメチルチタネートを用い、重合
防止剤として下記一般式(1)で示されるN−オキシル
化合物の存在下でエステル交換反応させることを特徴と
する一般式CH2=C(R7)COO(CH2b(C
2aY(但し、R7は水素またはメチル基を表し、
X、Y、aおよびbは前記と同義である。)で表される
含フッ素(メタ)アクリル酸エステルの製造方法に関す
る。 【0007】 【化2】 ここで、式中、R1、R2、R3、R4はアルキル基、R5
はH、OH、OR、OCOR、NHCORまたはO−
[(EO)n+(PO)m]−H、R6はH、またはR5
6は一緒になって=Oを表す。ただし、Rは置換基を
有していてもよい炭素数1〜18のアルキル基、アルケ
ニル基またはアリール基であり、EOはエチレンオキシ
基を、POはプロピレンオキシ基を示し、nおよびmは
同一または異なる0〜10の整数であってnおよびmが
同時に0になることはない。 【0008】一般に、チタン系触媒はビニルエステル等
の重合触媒としても用いられるため、使用量が少ないこ
とが好ましい。本発明で触媒として用いるテトラメチル
チタネートは、他のテトラアルキルチタネートと比較し
て分子量が最も小さいため、同一モル比で反応した場
合、テトラメチルチタネート(分子量172)は最も少
ない量で反応する利点を有する。また、テトラメチルチ
タネート以外のテトラアルキルチタネートを使用した場
合、不純物として触媒に由来するアルコールまたはその
エステルが生成する。しかし本発明のように、テトラメ
チルチタネートを触媒として使用した場合、触媒に由来
するメタノールはエステル交換反応の副生物でもあり、
原料のメチル(メタ)アクリレートとの共沸により系外
に容易に取り除くことができるため、触媒に由来する不
純物が発生しない利点がある。従って、後述するような
アルコール類とメチル(メタ)アクリレートとのエステ
ル交換反応に際して、触媒として極めて好ましく使用す
ることができる。また、たとえば一般的なチタン系触媒
であるn−ブチルチタネートを用いた場合、副生するn
−ブチル(メタ)アクリレートと、目的生成物の含フッ
素(メタ)アクリル酸エステルとの分離が必要となり、
操作面で煩雑となるばかりでなく、生産性が低下する。 【0009】本発明で用いる重合防止剤N−オキシル化
合物は、系内に過剰にあるメチル(メタ)アクリレート
と反応しても、重合防止効果が全く損なわれることがな
い。従って、特開平1−258642号公報のようにバ
ルキーな基を導入して反応性を少なくした立体障害フェ
ノールを用いる必要がない。また、少量で優れた重合防
止効果が得られるので、重合防止剤の製品への混入を少
なくすることができる。 また、N−オキシル化合物を
重合防止剤として用いることにより、反応温度を高く保
つことができ反応上有利である。反応温度を上昇させて
も、N−オキシル化合物を加えることで重合を効果的に
押さえることが可能になり、アルコールに対するメチル
(メタ)アクリレートの仕込みモル比を下げることによ
る原料アルコール仕込み量の増加、および反応温度上昇
による反応時間の短縮とあいまって生産性が著しく向上
する。 【0010】このように、テトラアルキルチタネートの
中でも分子量が最も小さい触媒テトラメチルチタネート
と、重合防止剤としてN−オキシル化合物とを組み合わ
せた本発明は、反応、重合防止、着色防止、生産性の向
上において優れた利点があり、含フッ素(メタ)アクリ
ル酸エステルの製造に極めて適した方法である。 【0011】 【発明の実施の形態】本発明の含フッ素(メタ)アクリ
ル酸エステルの製造方法において原料であるメチル(メ
タ)アクリレートとは、慣用されるようにメチルアクリ
レートまたはメチルメタクリレートをいう。 【0012】本発明において、原料として用いられる含
フッ素アルコールは、Y(CX2a(CH2bOHで表
され、ここで、X、Yは、独立に水素又はフッ素を表
し、aは1〜15の整数、bは1または2を表し、分子
中に少なくとも3個以上がフッ素が含有されるように
X、Yおよびaが定められる。特に、炭素数が2〜10
のものが好ましい。 【0013】具体的には、2,2,2−トリフルオロエ
タノール、2,2,3,3−テトラフルオロプロパノー
ル、2,2,3,3,3−ペンタフルオロプロパノー
ル、2,2,3,3,4,4―ヘキサフルオロブタノー
ル、2,2,3,3,4,4,5,5−オクタフルオロ
ペンタノール、2,2,3,3,4,4,5,5,5―
ノナフルオロペンタノール、3,3,4,4,5,5,
6,6,7,7,8,8,9,9,10,10―ヘキサ
デカフルオロデカノール、3,3,4,4,5,5,
6,6,7,7,8,8,9,9,10,10,10―
ヘプタデカフルオロデカノールなどが挙げられるがこれ
に限定されるものではない。 【0014】メチル(メタ)アクリレートと含フッ素ア
ルコールとの仕込み混合比率は、含フッ素アルコール1
モルに対して、通常メチル(メタ)アクリレート1.0
〜6.0モル、好ましくは2〜5モルである。 【0015】本発明において、触媒として用いるテトラ
メチルチタネートは市販品を用いることができる。テト
ラメチルチタネートの使用量は、仕込み含フッ素アルコ
ール1モルに対して、通常0.0001〜0.1モル、
好ましくは0.0004〜0.03モル、より好ましく
は0.0005〜0.015モルである。使用量が少な
すぎると(メタ)アクリル酸エステルの収率が低下した
り、未反応物の回収量が増えたり、反応時間が長くなっ
て生産性が低下するなどの欠点がある。また、多すぎて
も、(メタ)アクリル酸エステルの収率や、反応時間等
が大きく変化することはなく、ただ単に触媒使用量の増
大をもたらすばかりでなく、釜残成分の増大を招くだけ
である。 【0016】また、本発明で用いられるN−オキシル化
合物は、前記一般式(1)中で、R 1、R2、R3、R4
アルキル基、R5はH、OH、OR、OCOR、NHC
ORまたはO−[(EO)n+(PO)m]−H、R6
H、またはR5とR6は一緒になって=Oを表す。ただ
し、Rは置換基を有していてもよい炭素数1〜18のア
ルキル基、アルケニル基またはアリール基であり、EO
はエチレンオキシ基を、POはプロピレンオキシ基を示
し、nおよびmは同一または異なる0〜10の整数であ
ってnおよびmが同時に0になることはない。 【0017】なお、一般式(1)において基O−[(E
O)n+(PO)m]−Hについては、エチレンオキシ基
とプロピレンオキシ基の配列は自由に選択することがで
きる。例えば、エチレンオキシ基とプロピレンオキシ基
とが相互にランダムに配列しているような場合、それぞ
れがいくつかのブロックに分かれて配列しているような
場合であっても、エチレンオキシ基の数の和がnであっ
てプロピレンオキシ基の数の和がmである場合は、この
表記に含まれるものである。 【0018】R1、R2、R3、R4としては、炭素数1〜
5の直鎖または分岐アルキル基が好ましく、メチル、エ
チル、プロピル、ブチル等を挙げることができる。この
中でもメチルおよびエチルが好ましい。 【0019】また、前記Rが、置換基を有していてもよ
いアルキル基である場合には、アルキル基は直鎖状であ
っても分岐していてもよく、置換基としてはアリール
基、アルケニル基を挙げることができる。Rが置換基を
有していてもよいアルケニル基である場合の置換基とし
ては、アルキル基およびアリール基を挙げることができ
る。さらに、Rが置換基を有していてもよいアリール基
である場合の置換基としては、アルキル基およびアルケ
ニル基を挙げることができる。 【0020】R5としては、H;OH;Rがメチル、エ
チル、プロピル、フェニル、ベンジル等のOR;Rがメ
チル、エチル、ベンジル、ビニル、アリル等のOCO
R;Rがメチル、エチル、ビニル、プロピル等のNHC
OR;およびジエチレングリコール、トリエチレングリ
コール、テトラエチレングリコール、ジプロピレングリ
コール等の水酸基の水素を除いたO−[(EO)n
(PO)m]−Hを挙げることができる。また、R6とし
ては、Hが好ましい。 【0021】具体的には、例えば2,2,6,6−テト
ラメチルピペリジン−N−オキシル、4−ヒドロキシ−
2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−N−オキシ
ル、4−アセチルオキシ−2,2,6,6−テトラメチ
ルピペリジン−N−オキシル、4−アクリロイルオキシ
−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−N−オキ
シル、4−メタクリロイルオキシ−2,2,6,6−テ
トラメチルピペリジン−N−オキシル、4−ベンゾイル
オキシ−2,2,6,6−テトラメチル−ピペリジン−
N−オキシル、4−メトキシ−2,2,6,6−テトラ
メチルピペリジン−N−オキシル、4−エトキシ−2,
2,6,6−テトラメチルピペリジン−N−オキシル、
4−フェノキシ−2,2,6,6−ピペリジン−N−オ
キシル、4−ベンジルオキシ−2,2,6,6−テトラ
メチルピペリジン−N−オキシル、4−アセチルアミノ
−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−N−オキ
シル、4−アクリロイルアミノ−2,2,6,6−テト
ラメチルピペリジン−N−オキシル、4−メタクリロイ
ルアミノ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−
N−オキシル、4−ベンゾイルアミノ−2,2,6,6
−テトラメチルピペリジン−Nーオキシル、4−シンナ
モイルアミノ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジ
ン−N−オキシル、4−クロトニルアミノ−2,2,
6,6−テトラメチルピペリジン−N−オキシル、4−
プロピオニルアミノ−2,2,6,6−テトラメチルピ
ペリジン−N−オキシル、4−ブチリルアミノ−2,
2,6,6−テトラメチルピペリジン−N−オキシル、
2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジン−N−
オキシル、4−[H−(EO)2−O]−2,2,6,
6−テトラメチルピペリジン−N−オキシル、4−[H
−(EO)4−O]−2,2,6,6−テトラメチルピ
ペリジン−N−オキシル、4−[H−(EO)6−O]
−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−N−オキ
シル、4−[H−(EO)8−O]−2,2,6,6−
テトラメチルピペリジン−N−オキシル、4−[H−
(EO)10−O]−2,2,6,6−テトラメチルピペ
リジン−N−オキシル、4−[H−[(EO)2+(P
O)4]−O]−2,2,6,6−テトラメチルピペリ
ジン−N−オキシル、4−[H−[(EO)4+(P
O)3]−O]−2,2,6,6−テトラメチルピペリ
ジン−N−オキシル、4−[H−[(EO)6+(P
O)3]−O]−2,2,6,6−テトラメチルピペリ
ジン−N−オキシル、4−[H−(PO)10−O]−
2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−N−オキシ
ル、4−[H−(PO)6−O]−2,2,6,6−テ
トラメチルピペリジン−N−オキシル、4−[H−
[(EO)5+(PO)10]−O]−2,2,6,6−
テトラメチルピペリジン−N−オキシル等が挙げられる
がこれに限定されるものではない。表1および表2にこ
れらおよびその他のオキシル化合物の代表例を示した。 【0022】 【表1】 【0023】 【表2】また、N−オキシル化合物は、単独でも使用できるが、
2種類以上併用してもよく、さらに、他の重合防止剤を
併用することによって、これらの重合防止剤による相乗
効果により、より優れた重合防止効果が得られることも
ある。 【0024】本発明において使用する、N−オキシル化
合物の重量は、原料メチル(メタ)アクリレートの重量
に対して通常30〜5000ppm、好ましくは50〜
3000ppm、より好ましくは100〜500ppm
である。N−オキシル化合物が少なすぎると充分な重合
防止効果を得るのが困難となり、製品である含フッ素
(メタ)アクリル酸エステルの収率が低下する。一方、
多すぎても、使用しても重合防止効果に大きな差は認め
られない。 【0025】エステル交換反応をさせるには、メチル
(メタ)アクリレート、含フッ素アルコール、テトラメ
チルチタネートおよびN−オキシル化合物を、必要によ
り適当な溶媒を用いて温度60〜150℃で混合すれば
よい。 【0026】原料としてメチル(メタ)アクリレートを
使用するので、反応の進行とともにメタノールが副生す
るが、この副生メタノールはメチル(メタ)アクリレー
トとの共沸混合物として反応系外に容易に取り出すこと
ができる。また、n−ヘキサンなどの溶媒を使用して共
沸混合物として反応系外に取り出すことも可能である。
反応の終了はさらに共沸混合物が留出しなくなること
によって知ることができるが、反応系内の仕込みアルコ
ールが完全に消費されることによって知ることもでき
る。 【0027】上記反応で得られた反応生成物中には、目
的生成物である含フッ素(メタ)アクリル酸エステルと
未反応のメチル(メタ)アクリレート、触媒および重合
防止剤が含まれるので、減圧下に蒸留精製または水洗す
ることにより含フッ素(メタ)アクリル酸エステルを高
純度、高品質で得ることができる。 【0028】 【実施例】以下、本発明を実施例および比較例をあげて
説明する。使用したN−オキシル化合物は表1または表
2に示した化合物番号で表示した。なお、メチルメタク
リレートはMMAと、メチルアクリレートはMAと、テ
トラメチルチタネートはTMTと略記する。また、得ら
れた(メタ)アクリル酸エステルは、ガスクロマトグラ
フを用いて純度(重量%)を分析した。 【0029】[実施例1]20段オルダーショウ蒸留塔
を備えた還流装置を用い、1L容の側管付き四つ口フラ
スコに、MMA300g(3モル)、2,2,3,3−
テトラフルオロプロパノール132g(1モル)、TM
T1.7g(0.01モル)および0.06g(200
ppm対MMA)のN−オキシル化合物1をフラスコ内
に仕込み、空気気流下に攪拌して8時間エステル交換反
応を行った。この間、反応で生成するメタノールはMM
Aとの共沸で系外に除去した。このとき反応液の温度は
104℃から122℃まで上昇した。次にこの反応液を
減圧下で蒸留し、まず、MMAを除去し、ついで3時間
かけて目的生成物を蒸留することにより純度99.8%
の2,2,3,3−テトラフルオロプロピルメタクリレ
ート195gを得た。また、得られた2,2,3,3−
テトラフルオロプロピルメタクリレートを分析した結
果、触媒および重合防止剤由来の重金属および窒素化合
物は全く含まれていなかった。また、釜および塔には重
合物の残渣や付着物は全くなかった。 【0030】尚、以下に説明する実施例2〜8において
も、得られた含フッ素(メタ)アクリル酸エステルの分
析結果では、触媒および重合防止剤由来の重金属および
窒素化合物は全く検出されず、また、釜および塔には重
合物の残渣や付着物は全くなかった。 【0031】また、表3に各実施例および各比較例の条
件と結果をまとめて示した。 【0032】[実施例2、実施例3]N−オキシル化合
物1に代えて、N−オキシル化合物2(実施例2)、N
−オキシル化合物5(実施例3)をそれぞれ0.06g
(200ppm対MMA)用いた以外は実施例1と同様
の操作により、それぞれ2,2,3,3−テトラメチル
フルオロプロピルメタクリレート195gを得た。 【0033】[比較例1]N−オキシル化合物1に代え
て3,5−ジターシャリーブチル−4−ヒドロキシトル
エンを0.06g(200ppm対MMA)用いた他
は、実施例1と同様にして空気気流下に攪拌してエステ
ル交換反応を行った。この間、反応で生成するメタノー
ルをMMAとの共沸で系外に除去しようとしたが、反応
2時間で釜液が重合して粘性が増大したため、反応を継
続することができなくなった。 【0034】[比較例2]TMT触媒に代えて触媒とし
てテトラn−ブチルチタネートを0.01モル用いた他
は、実施例1と同様にして空気気流下に攪拌し、8時間
エステル交換反応を行った。反応で生成するメタノール
をMMAとの共沸で系外に除去した反応液から、蒸留で
2,2,3,3−テトラフルオロプロピルメタクリレー
ト(沸点147.5℃)を取りだそうとした。しかし、
触媒テトラn−ブチルチタネートから副生するn−ブチ
ルメタクリレート(沸点163.5℃)を分離するため
に蒸留操作に10時間要した。2,2,3,3−テトラ
フルオロプロピルメタクリレート194gが得られた。 【0035】[実施例4]20段オルダーショウ蒸留塔
を備えた還流装置を用い、1L容の側管付き四つ口フラ
スコに、MMA400g(4モル)、2,2,3,3−
テトラフルオロプロパノール132g(1モル)、TM
T1.7g(0.01モル)および0.08g(200
ppm対MMA)のN−オキシル化合物1をフラスコ内
に仕込み、空気気流下に攪拌して14時間エステル交換
反応を行った。 【0036】この間、反応で生成するメタノールはMM
Aとの共沸で系外に除去した。このとき反応液の温度は
104℃から108℃まで上昇した。次にこの反応液を
減圧下で蒸留し、まず、MMAを除去し、ついで製品を
蒸留することにより純度99.8%の2,2,3,3−
テトラフルオロプロピルメタクリレート195gを得
た。また、得られた2,2,3,3−テトラメチルフル
オロプロピルメタクリレートを分析した結果、触媒およ
び重合防止剤由来の重金属および窒素化合物は全く含ま
れていなかった。また、釜および塔には重合物の残渣や
付着物は全くなかった。 【0037】[実施例5]2,2,3,3−テトラフル
オロプロパノールに代えて2,2,3,3,4,4,
5,5−オクタフルオロペンタノールを232g(1モ
ル)、またN−オキシル化合物1に代えてN−オキシル
化合物8を0.06g(200ppm対MMA)用いた
他は、実施例1と同様にして8時間エステル交換反応を
行った。このとき反応液の温度は108℃から128℃
まで上昇した。次にこの反応液から減圧下でMMAを除
去後4時間蒸留して、純度99.8%(ガスクロマトグ
ラフでの分析結果)の2,2,3,3,4,4,5,5
−オクタフルオロペンチルメタクリレート293gを得
た。 【0038】[実施例6]2,2,3,3,4,4,
5,5−オクタフルオロペンタノール232g(1モ
ル)、MA258g(3モル)、TMT1.7g(0.
01モル)および0.084g(300ppm対MA)
のN−オキシル化合物4を実施例5と同様に反応させた
結果、純度100%の2,2,3,3,4,4,5,5
−オクタフルオロペンチルアクリレート278gを得
た。 【0039】[比較例3]N−オキシル化合物8に代え
てトリス(3,5−ジターシャリーブチル−4−ヒドロ
キシベンジル)イソシアヌレートを0.09g(300
ppm対MMA)用いた他は、実施例5と同様にして空
気気流下に攪拌してエステル交換反応を行った。この
間、反応で生成するメタノールはMMAとの共沸で系外
に除去しようとしたが、反応1.5時間で釜液が重合し
て粘性が増大したため、反応を継続することができなく
なった。 【0040】[比較例4]TMT触媒に代えて触媒にテ
トラn−ブチルチタネートを0.01モル用いた他は、
実施例5と同様にして空気気流下に攪拌し、8時間エス
テル交換反応を行った。反応で生成するメタノールをM
MAとの共沸で系外に除去した反応液から、蒸留で2,
2,3,3,4,4,5,5−オクタフルオロペンチル
メタクリレート(沸点180℃)を取りだそうとした。
しかし、触媒n−ブチルチタネートから副生するn−ブ
チルメタクリレート(沸点163.5℃)を分離するた
めに蒸留操作に10時間要した。2,2,3,3,4,
4,5,5−オクタフルオロペンチルメタクリレート2
93gが得られた。 【0041】[実施例7]3,3,4,4,5,5,
6,6,7,7,8,8,9,9,10,10,10―
ヘプタデカフルオロデカノール464g(1モル)、M
MA300g(3モル)、TMT1.4g(0.008
モル)および0.09g(300ppm対MMA)のN
−オキシル化合物20を実施例5と同様に反応させた。
反応温度は105℃から134℃まで上昇したが反応は
重合もなく4時間で完結した。この反応液からMMAを
回収後蒸留して純度100%の3,3,4,4,5,
5,6,6,7,7,8,8,9,9,10,10,1
0―ヘプタデカフルオロデシルメタクリレート525g
(沸点110℃/4hPa)を得た。 【0042】[実施例8]3,3,4,4,5,5,
6,6,7,7,8,8,9,9,10,10,10―
ヘプタデカフルオロデカノール464g(1モル)、M
MA500g(5モル)、TMT1.4g(0.008
モル)および0.15g(300ppm対MMA)のN
−オキシル化合物20を実施例5と同様に反応させた。
反応温度は103℃から108℃まで上昇した。反応
時、重合も認められなかったが反応完結に12時間を要
した。この反応液からMMAを回収後蒸留して純度10
0%の3,3,4,4,5,5,6,6,7,7,8,
8,9,9,10,10,10―ヘプタデカフルオロデ
シルメタクリレート525g(沸点110℃/4hP
a)を得た。 【0043】[比較例5]3,3,4,4,5,5,
6,6,7,7,8,8,9,9,10,10,10―
ヘプタデカフルオロデカノール464g(1モル)、M
MA400g(4モル)、TMT1.7g(0.01モ
ル)および1,3,5−トリメチル−2,4,6−トリ
ス(3,5−ジターシャリーブチル−4−ヒドロキシベ
ンジル)ベンゼン0.12g(300ppm対MMA)
を実施例7と同様に反応させた。反応温度112℃にな
った時点で、釜液が重合して粘性が増大したため、反応
を継続することができなくなった。 【0044】 【表3】 表中の略記の説明: 化合物:N−オキシル化合物の略記である。 MMA:メチルメタクリレート; MA:メチルアクリレート; 4FOH:2,2,3,3−テトラフルオロプロパノー
ル; 8FOH:2,2,3,3,4,4,5,5−オクタフ
ルオロペンタノール; 17FOH:3,3,4,4,5,5,6,6,7,
7,8,8,9,9,10,10,10―ヘプタデカフ
ルオロデカノール; TMT:テトラメチルチタネート; TBT:テトラn−ブチルチタネート; ヒンダードフェノールA:3,5−ジターシャリーブチ
ル−4−ヒドロキシトルエン; ヒンダードフェノールB:トリス(3,5−ジターシャ
リーブチル−4−ヒドロキシベンジル)イソシアヌレー
ト; ヒンダードフェノールC:1,3,5−トリメチル−
2,4,6−トリス(3,5−ジターシャリーブチル−
4−ヒドロキシベンジル)ベンゼン; 4FM:2,2,3,3−テトラフルオロプロピルメタ
クリレート; 8FM:2,2,3,3,4,4,5,5−オクタフル
オロペンチルメタクリレート; 8FA:2,2,3,3,4,4,5,5−オクタフル
オロペンチルアクリレート; 17FM:3,3,4,4,5,5,6,6,7,7,
8,8,9,9,10,10,10―ヘプタデカフルオ
ロデシルメタクリレート; BMA:n−ブチルメタクリレート; 【0045】 【発明の効果】本発明によれば、入手が容易な触媒と重
合防止能の優れたN−オキシル化合物を併用することに
より、高い反応率で、高純度の含フッ素(メタ)アクリ
ル酸エステルを容易に製造することができる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 平11−222462(JP,A) 特開2000−169429(JP,A) 特開 平1−258642(JP,A) 特開 昭63−196544(JP,A) 特開 平4−66555(JP,A) 特開 昭52−128338(JP,A) 特開 昭53−147040(JP,A) 特表 平5−502666(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) C07C 67/03 C07C 69/653

Claims (1)

  1. (57)【特許請求の範囲】 【請求項1】 メチル(メタ)アクリレートと、一般式
    Y(CX2a(CH 2bOH(但し、X、Yは、独立に
    水素又はフッ素を表し、aは1〜15の整数、bは1ま
    たは2を表し、分子中に少なくとも3個以上がフッ素が
    含有されるようにX、Yおよびaが定められる。)で表
    される含フッ素アルコールとを、触媒としてテトラメチ
    ルチタネートを用い、重合防止剤として下記一般式
    (1)で示されるN−オキシル化合物の存在下でエステ
    ル交換反応させることを特徴とする一般式CH2=C
    (R7)COO(CH2b(CX2aY(但し、R7は水
    素またはメチル基を表し、X、Y、aおよびbは前記と
    同義である。)で表される含フッ素(メタ)アクリル酸
    エステルの製造方法。 【化1】 (式中、R1、R2、R3、R4はアルキル基、R5はH、
    OH、OR、OCOR、NHCORまたはO−[(E
    O)n+(PO)m]−H、R6はH、またはR5とR 6
    一緒になって=Oを表す。ただし、Rは置換基を有して
    いてもよい炭素数1〜18のアルキル基、アルケニル基
    またはアリール基であり、EOはエチレンオキシ基を、
    POはプロピレンオキシ基を示し、nおよびmは同一ま
    たは異なる0〜10の整数であってnおよびmが同時に
    0になることはない。)
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