JP3524245B2 - 液晶表示素子 - Google Patents

液晶表示素子

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JP3524245B2
JP3524245B2 JP32372795A JP32372795A JP3524245B2 JP 3524245 B2 JP3524245 B2 JP 3524245B2 JP 32372795 A JP32372795 A JP 32372795A JP 32372795 A JP32372795 A JP 32372795A JP 3524245 B2 JP3524245 B2 JP 3524245B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【技術分野】本発明は、液晶表示素子に関し、詳しくは
反射型のカラー液晶表示素子に関する。
【0002】
【従来技術】従来、カラー液晶表示素子としてはツイス
テッドネマティック型の液晶と染料ないし顔料を樹脂に
分散させたカラーフィルターを組み合わせた方式が知ら
れている。この方式は液晶を光シャッターとして用い、
カラーフィルターを通過する光の透過率を制御するもの
である。この方式により複数色のカラー表示を行わせる
場合には、複数のカラーフィルターを設け、各々のフィ
ルターに対応する画素をon/offさせる。各カラー
フィルターは一部の波長範囲の光しか透過しないため、
素子の透過率は非常に低いものとなってしまい、消費電
力の大きなバックライトを用いた透過型の表示しか実現
できない。一方、上述のような光の吸収を用いる方式と
は別に、コレステリック液晶の選択反射を用いた方式も
提案されている。図8はこの方式の構成と動作原理を説
明するものである。101は偏光板、102はツイステ
ッドネマティック(TN)型の液晶セル、103は1/
4波長板、104はコレステリック液晶からなるフィル
ター、105は光吸収層である。偏光板の透過軸はTN
セルの偏光板側の液晶配向方向と平行に配置され、1/
4波長板の遅相軸は波長板側の配向方向と45゜ずらし
て配置される。TNセルの中で液晶は45゜ねじれた配
向構造をとっている。液晶に電圧が印加されている場合
と印加されていない場合とでは図に示すように1/4波
長板に入射する直線偏光の角度が90゜異なるので、1
/4波長板を透過後の円偏光のセンス(回転方向)は逆
となる。コレステリック液晶はnP=λなる中心波長の
光であって、ねじれのセンスと同じセンスの光を反射
し、逆のセンスまたは他の波長域の光を透過する波長分
散を持った円偏光二色性を示す。そのため、図1の二つ
の円偏光のうち、一方のセンスの円偏光の特定波長域の
光(例えば緑)が反射し、他の光は透過して光吸収層で
吸収される。結局、黒地に緑または緑地に黒の単色表示
となり、明るい背景や多色表示を得ることはできない。
【0003】
【目的】本発明の目的の第一は、白ないし白に近い色調
の明るい背景にカラー表示を行わせることのできる反射
型の液晶表示素子を提供することにあり、第二の目的と
しては、第一の目的に加えて同一の画素で多色表示可能
な液晶表示素子を提供することにある。
【0004】
【課題を解決するための手段】本発明は、偏光板と、一
対の基板間に挾持され、該偏光板を透過して入射した光
を異なるセンスの円偏光に変調する機能を有する液晶層
と、円偏光二色性を示すフィルター層とを有する液晶表
示素子において、フィルター層が左旋性と右旋性のフィ
ルター層からなり、かつ一方の旋光性のフィルター層が
複数の波長域の光を反射する特性を有し、他方の旋光性
のフィルター層が特定の波長域の光を反射する特性を有
することを特徴とする液晶表示素子を提供することによ
り、前記従来技術の問題点を解消することができた。す
なわち、本発明は偏光板を透過して入射した光を異なる
センスの円偏光に変調する機能を有する液晶層と、左旋
性と右旋性の円偏光二色性を持つ各フィルター層を用
い、かつ一方の旋光性のフィルター層に複数の波長域の
光を反射する特性を持たせ、他方の旋光性のフィルター
層が特定の波長域の光を反射する特性を有するように構
成することによって、前記複数の波長域の光の混色と特
定の波長域の光による色との間で反射カラー表示を行わ
せるものである。本発明と従来のカラーフィルターを用
いたカラー液晶表示素子との大きな違いは、同一の画素
で色変化を行うことができ、しかも、一方の色が複数色
の混色による明るい表示とすることができる点にある。
このため明るい反射表示が可能となる。
【0005】
【実施の態様】以下、図面に基づいて本発明を具体的に
説明する。図1は、本発明の液晶表示素子の1実施例の
断面模式図である。図1に示す一実施例の断面模式図を
用いて本発明を説明する。図1において11は偏光板、
12、14は液晶を保持するためのガラス、ポリマー等
の透光性基板、13は液晶、15は1/4波長板、1
6、17は円偏光二色性を示すフィルター、18は光吸
収層である。基板12、14の内面には液晶を配向させ
るための配向膜と液晶に電圧を印加するための透明電極
を備えるが、本図では省略してある。19は液晶を基板
間に封じるためのスペーサーである。本例は液晶層には
ツイステッドネマティック方式を用いた場合であり、正
の誘電異方性を持つネマティック液晶が上下基板間で9
0゜ねじれた構造をとるように基板12および14が配
向処理がなされている。図2と図3により、前記図1の
液晶表示素子の動作を説明する。図2は液晶セルに電圧
が印加されていない場合、また図3は液晶セルに電圧が
印加されている場合の光の偏光状態を示す図である。液
晶セルに電圧が非印加の図2の場合、波長が異なる二つ
の光、λ1(たとえば500nm)とλ2(たとえば60
0nm)は、偏光板11を通過した後、直線偏光となっ
て液晶セル10に入射する。このとき入射側の液晶の配
向方向を偏光面と平行または垂直とすると入射光の偏光
面は90゜回転されてセルを出射する。この光はついで
1/4波長板15に入射する。このとき、1/4波長板
15の遅相軸(図中の矢印)の方向と液晶セルの出射の
配向処理の方向を略45゜ずらして配置することにより
1/4波長板を出射した光を円偏光とすることができ
る。このときの円偏光のセンスは入射偏光の偏光面の方
向と1/4波長板15の遅相軸との角度関係で決まり、
本例では右回りの円偏光となる。ついでこの光は円偏光
二色性を示す第一のフィルター16に入射する。第一の
フィルター16は特定波長域(この例ではλ1)の左回
り円偏光を反射し、他の波長や右回り円偏光を透過する
特性を有する。入射光はλ1、λ2とも右回り円偏光なの
で、本フィルター16で反射することなく透過し、第二
の円偏光二色性を示すフィルターに入射する。第二のフ
ィルターはλ1およびλ2の波長のいずれの波長の光に対
しても右回り円偏光を反射し、左回り円偏光を透過する
特性を有する。このため第二のフィルターに入射した二
つの波長の光は反射され、入射側すなわち観察者の方向
に戻る。反射光はこれまでの偏光状態の変化を逆に受け
て最終的には直線偏光として偏光板を出射する。したが
って、観察者にはλ1とλ2の混色が観察されることにな
る。液晶セルに電圧が印加されている図3の場合、印加
電圧によって液晶分子が基板面に垂直に配向するために
液晶による偏光面の回転は生じない。このとき、1/4
波長板の遅相軸(図中の矢印)の方向と液晶セルの出射
した直線偏光の間の角度は電圧無印加時とは逆の方向に
45゜となる。そのため出射円偏光のセンスは電圧無印
加時とは逆の左回りの円偏光となる。図に示すように第
一のフィルター16によってλ1の左回り円偏光は反射
されるが、λ2の左回り円偏光は第一のフィルター16
を透過し、第二のフィルター17に入射する。第二のフ
ィルター17は右回り円偏光のみを反射する光学特性で
あるのでこの光を透過する。結局λ2の光は光吸収層で
吸収される。この結果、λ1(500nm)の光のみが
観察されることとなる。以上の説明は簡略化のために二
つの波長域の光について説明したが、第二のフィルター
に3つ以上の波長域の光を反射する特性を持たせること
も可能で、このように構成することによってさらに明る
く、背景が無彩色に近い反射型のカラー表示を行わせる
ことができる。次に、前記第二のフィルターについて説
明する。第二の旋光性のフィルターは特定のセンスの円
偏光であって、複数の波長域の光を反射する特性を持
つ。このような機能は円偏光に対するセンスの選択性が
同じであって、反射波長特性の異なる複数の円偏光二色
性フィルターを用いることができる。例えば、右円偏光
に対して、赤色光に対して円偏光二色性を示すフィルタ
ーと緑色光に対して円偏光二色性を示すフィルターと青
色光に対して円偏光二色性を示すフィルターとを積層す
れば右円偏光に対しては混色である白色光を反射し、左
円偏光を透過するフィルターとなる。各々のフィルター
は第一のフィルターと同様の方法で調製することができ
る。上述のような円偏光二色性を有するフィルターは光
吸収層と液晶セルの間に配置されることが必要である
が、上の説明のように必ずしも特定の波長域の光を反射
する特性を有する第一のフィルターと複数の波長域の光
を反射する特性を有する第二のフィルターの順である必
要はなく、逆であってもよい。また、前記第二のフィル
ターは複数のフィルターによって構成されるが、各々の
フィルターの順番は本質的には影響せず、さらに第二の
フィルターを構成する複数のフィルターの間に第一のフ
ィルターが挿入されることもできる。さらに、第一のフ
ィルターによる反射色の調製のために、第一のフィルタ
ーを複数の波長の光を反射するように構成することもで
きる。本発明の液晶表示素子において、特定の波長域の
光を反射するフィルターが液晶を駆動するための駆動電
極に対応してパターン形成された複数の反射波長特性を
有するフィルター群より形成させることにより、多色の
表示を行わせることができる。図4はこのような構成の
フィルターの例を示したものである。異なる反射波長特
性を有するフィルター16a、16b、16cがストラ
イプ状にパターン形成されて、第二のフィルター17上
に形成されている。本例では、第二のフィルターは17
a、17b、17cの三種の異なる反射波長特性のフィ
ルターの積層体として構成されている。第二のフィルタ
ーの混色による反射光を白とし、第一のフィルターa、
b、cに対応した画素をオンオフさせることにより、1
6a、16b、16cそれぞれに対応した色(たとえば
赤、緑、青)を白背景上に表示することができる。フィ
ルターのパターン形成には印刷によって各フィルターを
形成する方法、フォトレジストを用いてフォトリソグラ
フィー技術を用いてパターン形成する方法などが採用可
能である。特に、配向固定化に光重合を伴う重合性の低
分子コレステリック液晶を配向させた後重合させて配向
を固定化する方法、リオトロピックな液晶とビニルモノ
マーとからなるリオトロピック性液晶組成物を配向させ
た後ビニルモノマーを重合して、コレステリック液晶構
造を固定化する方法は、自己が感光性を有するためにパ
ターン加工工程が簡略化されるため好ましく、特に均一
な配向が得られる点で後者をより好ましく用いる。前述
の第一のフィルターをパターン形成した多色表示の液晶
表示素子に適用した場合には、カラーフィルターを液晶
セルの基板内面に形成して微細表示の場合のフィルター
と液晶層の視差による視覚特性の劣化を防ぐことができ
る。このような構成の素子の断面模式図を図7に示す。
この場合、第二のフィルターはセル内面に形成する必要
はなく、図に示すようにセルの外側に形成する方が工業
的には有利である。他に、円偏光のセンスの切り替えを
行うことができる他の好ましい液晶表示方式には、レタ
ーデーションを1/2波長程度(約220nm)に調整
した垂直配向ないし水平配向のECBモードをあげるこ
とができる。たとえば水平配向のECBモードでは、図
5に示すように電圧無印加時にECB液晶セル20が上
下基板間で平行に配向し(A)、複屈折性を示す。偏光
板の透過軸と配向方向を45゜ずらして配置すると入射
した直線偏光は90゜偏光面を回転させられる。一方、
十分な電圧を印加すると液晶の正の誘電異方性のため液
晶が垂直配向し(B)、複屈折を生じなくなり、偏光面
は回転せずに出射する。このようにして、ツイステッド
ネマティック液晶と同様の偏光面の回転制御が可能とな
り、他は前記図2〜4に示すツイステッドネマティック
方式と同様に1/4波長板15と第一のフィルター1
6、第二のフィルター17、光吸収層を設けることによ
ってカラー表示を行わせることができる。別の円偏光の
センスを用いる好ましい方式としては、液晶層を1/4
波長板として機能させることによってなされる。この典
型的な例が表面安定化強誘電性液晶方式である。この動
作を図6を用いて説明する。よく知られているように、
強誘電性液晶セル21は図示したように基板面に略平行
な二つの安定な配向状態の間を印加電圧の極性によって
スイッチングする。二つの安定状態間の分子の角度(チ
ルト角)は用いる液晶によって異なる。図示したように
偏光板の透過軸ないし吸収軸を中心に二つの配向状態が
左右に傾いたように配置することにより、円偏光のセン
スをきりかえることができる。チルト角は45゜以上1
20゜以下が好ましく、50゜以上100゜以下が好ま
しい。略90゜であることがもっとも好ましい。角度が
この範囲以外であると出射光が楕円偏光となる上、楕円
率が大きくなり、反射率の低下を生ずる恐れがある。液
晶層のレターデーションは100nmから150nmの
範囲が好ましい。また類似の方式として反強誘電性液晶
や、ネマティック液晶のフレクソ分極を用いた双安定動
作方式なども好ましく用いる。なお、ネマティック液晶
の双安定動作については、特表平6−501564にお
いて開示されている。いずれにしても本発明においては
このような基板面に平行な面内での液晶分子軸の実質的
な回転を伴い、それによって出射円偏光のセンスを互い
に逆の方向にスイッチングできるものであれば好適に用
いることができる。この液晶自体を1/4波長板として
作用させる方法においては、別に1/4波長板を必要と
しないため、素子の構成が簡略化されるという別の利点
もある。前記のような強誘電性液晶や反強誘電性液晶、
ネマティック液晶の双安定性動作を利用した本発明の液
晶表示素子は、カラー表示に加えて、時分割駆動性と応
答速度が速いという特性を合わせ持つため本発明の実施
態様としては特に好ましい。
【0006】
【実施例】
実施例1 基板14にポリイミドのラビング膜からなる配向処理を
施し、ラビング方向が直交するようにしてスペーサー1
9を介して上下基板12、14を重ね合わせ、生じた1
0μmの空隙にネマティック液晶13(メルク社製ZL
I2293:n=1.54、Δn=0.132)を注入
し液晶セル10を作製した。第二のセル16には液晶と
してZLI2293に右回りのねじれを誘起する下式
(I)のCB15(メルクリミテッド社製)を33%添
加した液晶を注入した。第三のセルには左回りのねじれ
を誘起する下式(II)のS811(E.メルク社製)を
32%添加したZLI2293を、第四のセルにはS8
11を27%添加したZLI2293を、第五のセルに
はS811を24%添加したZLI2293を注入し
た。第二のセルのフィルター16は右回り円偏光で47
0nmの波長を反射する特性を、第三、第四、第五のセ
ルは左回り円偏光でそれぞれ470nm、550nm、
630nmの波長を反射する特性を有していた。第二の
セルを図1の第一のフィルター16、第三〜第五のセル
を重ね合わせて第二のフィルター17とし、図1に示す
液晶表示素子を構成した。1/4波長板にはレターデー
ションが120nmのポリビニルアルコールの延伸フィ
ルムを、光吸収層には黒色塗装板を用いた。
【化1】
【化2】 この素子は、電圧無印加時には白色で、電圧印加によっ
て鮮やかな青表示となった。
【0007】実施例2 実施例1において配向処理の方向を反平行とし、液晶層
の厚さを2.1μmとしてECB型の液晶セル20を作
製した。この素子を実施例1の第一のセルの代わりに用
い、図5の素子を構成した。液晶の配向処理の方向と偏
光板の透過軸の方向との成す角は45゜とし、他の構成
は実施例1と同様にした。この素子においても実施例1
と同様に白色に青色の反射表示が可能であった。
【0008】実施例3 基板にポリイミドのラビング膜からなる配向処理を施
し、ラビング方向が平行になるようにしてスペーサーを
介して上下基板を重ね合わせ、生じた1μmの空隙に強
誘電性液晶(チッソ社製CS2000:Δn=0.1
4、チルト角=78゜)を注入し液晶セル21を作製し
た。第二のセルには液晶としてZLI2293に右回り
のねじれを誘起するCB15を33%添加した液晶を注
入した。第三のセルには左回りのねじれを誘起するS8
11を32%添加したZLI2293を、第四のセルに
はS811を27%添加したZLI2293を、第五の
セルにはS811を24%添加したZLI2293を注
入した。第二のセルは470nmの波長の右回り円偏光
を反射する特性を、第三、第四、第五のセルは左回り円
偏光でそれぞれ470nm、550nm、630nmの
波長を反射する特性を有していた。第二のセルを図1の
第一のフィルター16、第三〜第五のセルを重ね合わせ
て第二のフィルター17とし、図6に示す液晶表示素子
を構成した。光吸収層には黒色塗装板を用いた。この素
子は、上側基板の電位が±10Vの印加で印加極性によ
って白色と鮮やかな青表示の間で切り替わった。また、
このときの応答速度は1.5msecとツイステッドネ
マティック方式の50msecに比べて高速であった。
【0009】実施例4 コレステリック液晶として配向固定化された高分子化コ
レステリック液晶を用いた例:ポリ(γ−ブチルLグル
タメート)とトリエチレングリコールジメタクリレート
(γ−ブチルLグルタメート濃度:C=55%)の組成
物を約4μm厚にガラス上に塗布し、次いで第二のガラ
ス板を重ねてずり応力を与えて配向させた。第二のガラ
ス板を取り除いた後、30℃で紫外線を照射してトリエ
チレングリコールジメタクリレートを重合させ、コレス
テリック構造を固定化した。このフィルターは470n
mを中心とする右円偏光を反射する特性を有していた。
この上に同じ組成系でCが47%の組成物を塗布し同様
にして紫外線照射を行なった。この処理によってフィル
ターに550nmの右円偏光を反射する特性を付与し
た。さらに、この上にC=43%である組成物を塗布
し、同様の処理を行うことによって630nmの右円偏
光を反射する特性を付与した(フィルター17)。別の
基板にポリ(γ−ブチルDグルタメート)とトリエチレ
ングリコールジメタクリレート(γ−ブチルLグルタメ
ート濃度:C=55%)の組成物を約4μm厚にガラス
上に塗布し、次いで第二のガラス板を重ねてずり応力を
与えて配向させた。第二のガラス板を取り除いた後、3
0℃で紫外線を照射してトリエチレングリコールジメタ
クリレートを重合させ、コレステリック構造を固定化し
た。このフィルターは470nmを中心とする左円偏光
を反射する特性を有していた(フィルター16)。この
ようにして作製したフィルターを実施例1および3のフ
ィルター16、17の代わりに用いて本発明の液晶表示
素子を作製した。このものの表示特性は実施例1、3と
同様であったが、はるかに薄い素子を構成できた。
【0010】実施例5 ポリ(γ−ブチルDグルタメート)とトリエチレングリ
コールジメタクリレート(γ−ブチルLグルタメート濃
度:C=50%)の組成物を約4μm厚に第一のガラス
基板上に塗布し、次いで第二のガラス板を重ねてずり応
力を与えて配向させた後第二のガラス板を取り除いた。
この塗膜に25℃でマスク露光を行い、一部の塗膜を光
重合させた。この部分は470nmを中心とする左円偏
光を反射する特性を有していた(フィルター16)。同
様にして温度を制御しながらマスク露光を行い、35℃
の露光で550nm、50℃の露光で630nmの左円
偏光を反射する特性を有する部位を同一の塗膜に形成
し、図7の16に示すような0.5mm幅でストライプ
状のパターン化されたフィルターを基板14上に形成し
た。この上にエポキシ樹脂からなる保護膜を設けた後透
明電極を形成した。透明電極をフィルターパターンに対
応させてパターン加工後、表面にポリイミドのラビング
膜を形成した。フィルターを形成せずに透明電極パター
ンを形成した第二の基板12とを用いて、実施例3と同
様の液晶セルを作製した。上下基板の電極は0.5mm
幅のストライプ状とし、マトリクスを形成するように配
置した。フィルター17は実施例4と同一のものを用
い、図7のように配置した。この素子をマトリクス駆動
したところ選択画素に応じて白地に青または緑または、
赤の多色表示が可能であった。また、視差による色ずれ
は生じなかった。
【0011】
【効果】
1.請求項1 円偏光二色性を示すフィルター層を有する液晶表示素子
において、フィルター層を左旋性と右旋性のフィルター
層とから形成するとともに、一方の旋光性のフィルター
層に複数の波長域の光を反射する特性を、他方に特定の
波長域の光を反射する特性を付与したことにより、反射
表示において無彩色に近い明るい背景上に鮮明なカラー
表示を行わせることができる。 2.請求項2 前記のような特異なフィルターの光学特性は、反射波長
の異なる複数のフィルター層を複数積層するだけで構成
できることから比較的簡単な工程で上述1のような表示
素子を得ることができる。 3.請求項3 特定の波長域の光を反射するフィルターをパターン形成
して複数の反射波長特性を有するフィルター群として構
成することによっては、無彩色背景上に複数の色を表示
することが可能となり、さらに多彩な表示を行うことが
できる。 4.請求項4 前記3の特定の波長域の光を反射するフィルターを液晶
セル基板内面に形成することによっては視野角の広い液
晶表示素子を提供することができる。 5.請求項5および6 フィルターがコレステリック液晶構造、好ましくは高分
子化されたコレステリック構造で構成することにより、
温度による色変化が少なく、薄型で製造が簡略化された
液晶表示素子を得ることができる。 6.請求項7 円偏光のセンスの切り替えが液晶による直線偏光面の回
転と1/4波長板によってなされる液晶表示素子におい
てはコントラストと明るさに優れた液晶表示素子を提供
することができる。 7.請求項8および9 円偏光のセンスの切り替えが実質的に基板面に平行な面
内での液晶分子軸の回転によってなされる強誘電性液晶
などの方式を用いた本発明の液晶表示素子は、薄膜トラ
ンジスタなどの能動素子なしで時分割駆動が可能で、応
答速度も速い。このため、コンピューター画面などの大
容量高速表示が要求される表示性能を備えた明るい反射
型の液晶表示素子を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の液晶表示素子の一実施例の断面模式図
である。
【図2】図1の液晶表示素子の動作を説明した図である
(電圧がoffの場合)
【図3】図1の液晶表示素子の動作を説明した図である
(電圧がonの場合)
【図4】特定の波長域の光を反射するフィルターが、液
晶駆動電極に対応して形成された複数の反射波長特性を
有するフィルター群より構成されたものの斜視模式図で
ある。
【図5】水平配向のECBモードによる円偏光のセンス
の切り替え動作を説明した図である。
【図6】表面安定化強誘電性液晶方式による円偏光のセ
ンスの切り替え動作を説明した図である。
【図7】実施例5の液晶表示素子の断面模式図である。
【図8】従来のコレステリック液晶の選択反射方式を用
いたカラー液晶表示素子の動作を説明した図である。
【符号の説明】
10 液晶セル 11 偏光板 12 基板 13 液晶 14 基板 15 1/4波長板 16 円偏光2色性を示す第一のフィルター 17 円偏光2色性を示す第二のフィルター 18 光吸収層 19 スペーサー 20 ECB型の液晶セル 21 強誘電性液晶セル 16a ストライプ状にパターン形成された第一のフィ
ルター 16b ストライプ状にパターン形成された第一のフィ
ルター 16c ストライプ状にパターン形成された第一のフィ
ルター 17a 第二のフィルター 17b 第二のフィルター 17c 第二のフィルター 101 偏光板 102 ツイステッドネマティック(TN)型液晶セル 103 1/4波長板 104 コレステリック液晶 105 光吸収層
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) G02F 1/3335 520 G02F 1/3335 505

Claims (9)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 偏光板と、一対の基板間に挾持され、該
    偏光板を透過した光を異なるセンス(回転方向)の円偏
    光に変調する機能を有する液晶層と、円偏光二色性を示
    すフィルター層とを有する液晶表示素子において、フィ
    ルター層が左旋性と右旋性のフィルター層からなり、か
    つ一方の旋光性のフィルター層が複数の波長域の光を反
    射する特性を有し、他方の旋光性のフィルター層が特定
    の波長域の光を反射する特性を有することを特徴とする
    液晶表示素子。
  2. 【請求項2】 複数の波長域の光を反射するフィルター
    層が、同じセンス(回転方向)の旋光性を有し、かつ反
    射波長の異なる複数のフィルター層から構成されること
    を特徴とする請求項1記載の液晶表示素子。
  3. 【請求項3】 特定の波長域の光を反射するフィルター
    層が、液晶を駆動するための駆動電極に対応してパター
    ン形成された複数の反射波長特性を有するフィルター群
    より形成されていることを特徴とする請求項1または2
    記載の液晶表示素子。
  4. 【請求項4】 フィルター層のうち少なくとも特定の波
    長域の光を反射するフィルター層が液晶セル基板内面に
    形成されていることを特徴とする請求項3記載の液晶表
    示素子。
  5. 【請求項5】 パターン化されたフィルター層が光重合
    性のコレステリック液晶の重合反応に伴う配向固定化さ
    れたポリマーフィルムである請求項3または4記載の液
    晶表示素子。
  6. 【請求項6】 フィルター層がコレステリック液晶構造
    を有するポリマー膜である請求項1、2、3、4または
    5記載の液晶表示素子。
  7. 【請求項7】 円偏光のセンスの切り替えが液晶による
    直線偏光面の回転と1/4波長板によってなされる請求
    項1、2、3、4、5または6記載の液晶表示素子。
  8. 【請求項8】 円偏光のセンスの切り替えが実質的に基
    板面に平行な面内での液晶分子軸の回転によってなされ
    ることを特徴とする請求項1、2、3、4、5または6
    記載の液晶表示素子。
  9. 【請求項9】 液晶が強誘電性液晶、反強誘電性液晶お
    よび基板面に平行な面内に二つの双安定な配向方向を有
    するネマティック液晶よりなる群から選ばれたものであ
    る請求項8記載の液晶表示素子。
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