JP3523852B2 - サケ・マス肉を用いたハム様食品の製造方法 - Google Patents

サケ・マス肉を用いたハム様食品の製造方法

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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明はサケ・マス肉を高圧
処理して、サケ・マス肉の鮮赤色を保持しながら畜肉ハ
ム様の食感を持つ食品を製造する方法に関するものであ
る。近年、食品産業に高圧処理技術が導入されている。
食品に高圧処理を行う利点として、加熱することなく物
性を変えることができる、殺菌ができる、栄養素の損失
が少ない等があげられる。農産物ではジャム、ジュー
ス、米飯等に広く応用されているが、水産物では応用例
が極めて少ないのが現状である。
【0002】
【従来の技術】サケ・マスからハム様食品を製造する方
法として、サケ・マスの背肉の一部をブロック状に調理
し、これを調味後、400MPaで高圧処理する方法を
本発明者らは既に提案している(北海道立網走水産試験
場,平成6年度事業報告書)。しかし、この方法(従来
法)はブロック状の魚肉を高圧処理する方式であるため
製品形状が原料魚の大きさに制約されるという欠点があ
る。畜肉のプレスハムのように小片肉を集めて大型化す
るといった方式でないため、調理の段階で除かれた小片
肉は未利用部位にならざるを得ない。さらに従来法では
畜肉ハム様の十分な食感を得るためには400MPaの
高圧処理を必要としているが、これには次のような問題
点が存在する。
【0003】現在、加圧容器容積50〜100リットル
の実用機レベルの高圧処理装置は加圧能力の上限は約2
00MPaである。200MPaまでの加圧容器は鉄板
を溶接する方式で製造可能である。これに対して200
MPa以上の圧力で使用する加圧容器は鉄塊をくり抜く
方式が必要となり、前者に比べ後者の設備費用は約3倍
となる。つまり、従来法は(1)製品形状の統一化が難し
い、(2)原料魚肉に未利用部位が出るため生産性が悪
い、(3)通常の実用機では圧力が不足し、加圧能力を高
める場合は莫大な設備投資費用を必要とするといった欠
点を有する。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】従って、本発明の目的
は高圧処理によるサケ・マス肉を用いたハム様食品の製
造において、製品形状の統一化と生産性の向上を図ると
ともに、200MPa前後の圧力で小片肉を結着し十分
な食感を与える方法の提供にある。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明者らはサケ・マス
肉を細断して調味料及び高圧条件下で結着効果を示す結
着剤を必須成分として加え、これらを原料肉に浸透さ
せ、加圧温度−10〜−15℃、圧力180〜220M
Pa、加圧時間20〜60分の範囲で高圧処理すること
によりサケ・マス肉を結着させ、サケ・マスの風味と畜
肉ハムの食感を併せ持つハム様食品を製造することに成
功して本発明を完成した。
【0006】すなわち、本発明は以下の(1)〜(4)
のハム様食品の製造方法を提供するものである。 (1)サケ及び/またはマス原料肉に、調味料として原
料魚肉に対して食塩1.0〜3.0質量%及び糖類1.0
〜2.0質量%、結着剤として食添用カルシウム剤をカ
ルシウム換算で0.05〜0.15質量%添加して混和し
た後、ハム製造用のケーシングに充填し、ケーシングを
真空包装し、−30〜−45℃の温度で凍結後−10〜
−15℃の温度にて180〜220MPaの圧力で処理
することを特徴とするハム様食品の製造方法。 (2)1〜3cm角に細断したサケ及び/またはマス原
料肉に、調味料及び結着剤を添加して混和した後、5〜
10℃の温度で3〜6時間放置し、ケーシングに充填し
両端を結さくした後、ケーシングを真空包装し、−30
〜−45℃の温度で凍結後−10〜−15℃の温度で1
80〜220MPaの圧力で20〜60分間処理する請
求項1記載のハム様食品の製造方法。 (3)食添用カルシウム剤の添加量が、カルシウム換算
で0.08〜0.10質量%である請求項1に記載のハム
様食品の製造方法。 (4)食添用カルシウム剤が、塩化カルシウムまたは乳
酸カルシウムである請求項1に記載のハム様食品の製造
方法。
【0007】図1に本発明によるハム様食品の製造方法
の工程を示す。原料となるサケ・マスは、食用となるシ
ロサケ、カラフトマス、ベニザケ、サクラマス等どのよ
うな魚種でも良く、また、1種あるいは2種以上の魚種
を混合して用いることができる。また、生鮮品でも冷凍
品を解凍して用いても良い。予め、原料魚から頭、内
臓、皮、鰭、骨などを除き、ミートチョッパーにより細
断した肉がそのまま用いられる。
【0008】本発明においてはサケ・マス肉の塩溶性タ
ンパク質の溶出および塩味の付与のために、食塩が細断
肉に対し1.0〜3.0質量%用いられる。1.0質量%未満だ
と肉の結着性が弱いため充分な食感が得られない。ま
た、3.0質量%を超えると塩味が必要以上に強く呈味性
が不良となる。また、食味向上のために糖類を1.0〜2.0
質量%用いることができる。糖の種類は一般的に食品に
添加されるショ糖、ソルビトール、トレハロース、オリ
ゴ糖などを用いることができる。糖類の添加量が1.0質
量%未満だと呈味性の向上に効果がなく、また2.0質量
%を超えると甘みが必要以上に強く感じられるととも
に、高圧処理後のハム様食品の硬さが減少する。
【0009】本発明においてはサケ及び/またはマス原
料肉の結着性を促進するために結着剤が用いられる。一
般にハム・ソーセージの製造において結着剤として使用
されるピロリン酸ナトリウムやポリリン酸ナトリウムな
どのリン酸塩および粉末卵白、デンプンなどは、本発明
のような高圧処理条件においては結着効果が無い。本発
明において有効に使用し得る結着剤は、食添用カルシウ
ム剤、トランスグルタミナーゼ及び鶏卵蛋白質等であ
る。これらは、単独でもまた2種以上を併用することも
できる。
【0010】食添用カルシウム剤としては、塩化カルシ
ウム、乳酸カルシウムなど食品添加物として認められた
ものであればどれでも良く、カルシウムとして細断肉に
対し0.05〜0.15質量%、好ましくは0.08〜0.10質量%用
いることができる。カルシウム添加量として0.05質量%
未満の場合、肉の結着性の向上に効果がなく、また0.15
質量%を超える場合はハム様食品の食感がしなやかさに
欠けたものになると同時に呈味的に苦みもしくは収斂味
が感じられる。トランスグルタミナーゼとしては市販品
(例えば、味の素(株)製,アクティバTG−K)を細
断肉に対し0.2〜0.5質量%用いることができる。鶏卵蛋
白質も市販品(例えば、千葉製粉(株)製,パールミー
トFYA)を細断肉に対し2〜3質量%用いることがで
きる。これら結着剤の中でも特に食添用カルシウム剤が
好ましい。本発明においては、その他の食品添加物、例
えば香辛料、防腐剤、着色料などを適宜添加することも
できる。
【0011】次に本発明におけるハム様食品の詳細な製
造方法を説明する。まず、原料魚から頭、内臓、皮、
鰭、骨などを除く。次にサケ・マス肉を細断する。細断
はミートチョッパーを用い、プレートの目合いは直径6.
4mm〜16.0mmのものを用いることができる。また、
必要であれば1〜3cm角に機械あるいは手切りで切断
したものを用いることができる。1〜3cm角に切断し
た肉を用いる場合は、ミートチョッパーを用いた場合に
比べ、高圧処理後においてサケ・マス肉の繊維感がより
強調される。次に、細断した肉に調味料(食塩、糖)、
結着剤(食添用カルシウム)を添加する。添加する順序
は特に限定されないが、予め所定量混合したものを用意
しておくことができる。市販の混和機(ミキサー)にて
低速(例えば1分間に10回転程度)で混和し、添加物
を徐々に加える。混和は3〜5分程度で終了する。
【0012】混和の終了したサケ・マス肉は15℃以
下、好ましくは5〜10℃程度の低温にて3〜6時間程
放置し、添加物の浸透をはかった後、ケーシングに充填
する。ケーシングとしては、一般的にハム・ソーセージ
等に用いられている塩化ビニリデン製やコラーゲン製の
ものを用いることができる。ケーシングの直径および長
さは、この後に行う高圧処理工程において、加圧容器内
に入る大きさであれば自由に選択できる。ケーシングの
充填は市販の充填機で行い、綿糸あるいはクリップでチ
ューブの両端を結さくする。
【0013】次に高圧処理を行うが、この工程はマイナ
スの温度域で行う必要があるため、まずケーシング詰め
したサケ・マス肉を−30〜−45℃で凍結する。凍結
後、さらにサケ・マス肉の品温を高圧処理温度と同じ温
度(−10〜−15℃)に保った後に高圧処理を行う。
この高圧処理に際して、サケ・マス肉に含まれる脂質や
カロチノイド色素の酸化を防止するとともに、サケ・マ
ス肉が圧力媒体から汚染されるのを防止するために、ケ
ーシング詰めしたサケ・マス肉を真空包装した後加圧処
理を行う。加圧条件は、加圧温度が−10〜−20℃、
好ましくは−10〜−15℃であり、圧力が180〜2
20MPa、好ましくは200〜220MPaであり、
処理時間は20〜60分、好ましくは20〜30分で行
う。圧力媒体としては、例えば所定温度(−10〜−1
5℃)に保持した水とプロピレングリコールの混合液が
用いられる。高圧処理終了後、結さくしたサケ・マス肉
を圧力媒体から取り出し、真空包装の表面に付着した圧
力媒体を拭き取って製造は終了する。
【0014】
【実施例】以下、参考例、実施例及び試験例により本発
明を具体的に説明するが、これらの例により本発明が限
定されるものではない。なお、以下の実施例では(株)
神戸製鋼製の食品高圧処理装置を用いた。
【0015】参考例1 市販畜肉ハムの硬さを表1に示した。硬さの測定は次の
ような方法で行った。レオメーター:フドー工業のNR
M−3005D、プランジャー:直径5mm円柱型、試
料高:12mm、クリアランス:5mm、テーブルスピ
ード:6cm/min、停止時間:20秒。測定時の試
料温度は約20℃、以上の条件による最大応力を硬さと
した。市販畜肉ハムの硬さは400〜800gwの範囲
にある。ハム様の食感を得るためには、400gw以上
の硬さが必要と考えられる。
【0016】
【表1】
【0017】実施例1:加圧温度・時間と硬さとの関係 実施例における試料の調製方法は次のように行った。原
料魚はカラフトマスまたはサケを用いた。まず、原料魚
から頭、内臓、皮、鰭、骨を除いた。次にサケ・マス肉
をミートチョッパーを用いて細断した。プレートの目合
いは直径9.6mmのものを用いた。次に、細断した肉に
食塩を2.5質量%添加するとともに人手により混和し
た。混和の終了したサケ・マス肉を、充填機にて折径4
3mmの塩化ビニリデン製ケーシングに1本あたり80
〜100gになるように充填した。さらに、ケーシング
の両端を綿糸で結さくした。結さくは、できるだけ空気
がケーシング内に混入しないようにして行った。結さく
終了後、5℃にて4時間放置し、添加物の浸透をはかっ
た。さらに、ケーシング詰めしたサケ・マス肉を1本毎
に真空包装し、高圧処理を行った。なお、高圧処理はケ
ーシング詰めしたサケ・マス肉の品温を加圧温度と同一
温度にしてから行った。
【0018】1)加圧温度と硬さとの関係(圧力200
MPa) 図2に5℃および−15℃で200MPa、30分間高
圧処理したときのサケ・マス肉の硬さを示した。サケ・
マス肉に食塩を2.5質量%添加すると粘性が生じるが、
高圧処理を行わない場合、硬さは極めて小さく測定は不
可能であった。これを加圧温度5℃、圧力200MPa
で加圧処理するとサケ・マス肉は結着し、硬さは200
gw台を示した。しかし、この状態は食感が生の魚肉に
近く、高圧処理によるタンパク質の変性が十分でないと
判断された。このため、よりタンパク質の変性を促進す
るために、−15℃で高圧処理を行った。この結果、サ
ケ・マス肉の結着がより促進され硬さが400gw台ま
で増大した。
【0019】2)加圧時間と硬さとの関係(温度−15
℃。圧力:180MPa、200MPa、220MP
a) 図3に、−15℃における圧力および加圧時間と硬さの
関係を示した。180MPaおよび200MPaの場合
は30分、また、220MPaの場合は20分以上高圧
処理することで400gw以上の硬さが得られた。
【0020】3)加圧時間と硬さとの関係(温度−10
℃。圧力:180MPa、200MPa、220MP
a) さらに図4に−10℃における圧力および加圧時間と硬
さの関係を示した。180MPaの場合は60分、ま
た、200MPaおよび220MPaの場合は−15℃
と同様にそれぞれ30分および20分の加圧で400g
w以上の硬さが得られた。
【0021】実施例2:添加物の添加量と硬さとの関係 1)食塩の添加量と硬さ(−15℃、200MPa、3
0分) 図5にサケ・マス肉を−15℃、200MPaで30分
高圧処理したときの食塩の添加量と硬さの関係を示し
た。食塩の添加量の増加とともに硬さは増大し、サケ・
マス肉に対し2.0〜2.5質量%の添加で最大となった。通
常、細断した畜肉に食塩を加えて混和すると粘性が生じ
互いに接着する。この接着力は比較的弱く、外力に対し
て脆いが熱を加えることに強まり外力に対しても抵抗を
示すようになる。これが畜肉ハムの結着性と呼ばれるも
のであるが、本発明においては、サケ・マス肉に1.5〜
2.5質量%の食塩を加え、加熱ではなく加圧することに
より、比較的強い結着性を得ることができた。この食塩
濃度は魚肉の塩溶性タンパク質であるミオシンが溶出し
やすい濃度であり、ミオシンの溶出は高圧処理によるサ
ケ・マス肉の結着性に強い関連があることを示唆する。
【0022】2)塩化カルシウム添加量と硬さ(−15
℃、200MPa、30分) 図6に塩化カルシウム(2水塩)の添加量と硬さの関係
を示した。畜肉ハムではカルシウム塩はマグネシウム塩
とともにミオシンのゲル形成を高める2価塩として知ら
れている。塩化カルシウム0.3〜0.4質量%をサケ・マス
肉に添加することによって、高圧処理後の硬さをさらに
増加させることができた。しかし、塩化カルシウムは呈
味的に若干の苦みを伴うと同時に、0.5質量%以上では
しなやかさに欠けた食感となった。このため、0.3〜0.4
質量%が適切な添加量であった。このときのカルシウム
としての添加量は0.08〜0.10質量%である。また、デー
ターは示さないが、乳酸カルシウム(5水塩)でもカル
シウム含量が同じであれば、同様の効果が得られた。
【0023】3)ソルビトール添加量と硬さ(−15
℃、200MPa、30分) 図7にソルビトールの添加量と硬さの関係を示した。一
般に糖類は肉に甘みを与えるとともに、食塩、カルシウ
ム等の塩類の収斂身を緩和する作用がある。本実施例の
場合、1〜2質量%の添加により呈味性の向上が得られ
た。しかし、3質量%以上添加すると甘みが必要以上に
強く感じられるとともに、高圧処理したサケ・マス肉の
硬さが減少した。これらはショ糖、トレハロース、オリ
ゴ糖でも同様の結果が得られた。
【0024】実施例3及び比較例1:歩留り 次に従来法および本発明によるサケ・マス肉の処理歩留
りの一例を説明する。ここに示す処理歩留りとは、無処
理のサケ・マス質量(ラウンド)に対して、添加物を加
える直前まで処理したサケ・マス肉の割合を指す。ラウ
ンド100%に対し頭、内臓、皮、鰭、骨を除去したサ
ケ・マス肉の処理歩留りは35.8%である。従来法はこれ
をブロック状に整形して用いる。このため、歩留りは2
8.4%とさらに低下する。一方、本発明はこの全部を細
断して用いる。このことから、本発明は従来法に比べ7
%以上高い歩留りが得られることがわかる。
【0025】試験例: 1)表2に本発明によるハム様食品の一般成分およびド
コサヘキサエン酸の値を示した。本発明によるハム様食
品は魚肉を原料としているため畜肉ハムに比べ高タンパ
ク質、低脂肪である。また、サケ・マス肉に由来するド
コサヘキサエン酸(DHA)を豊富に含んでいる。ドコ
サヘキサエン酸は血中脂質の低下作用、学習機能の向上
作用などの作用を持つ脂肪酸として知られている。
【0026】
【表2】
【0027】2)図8に10℃で保管したハム様食品の
一般生菌数を示した。19日まで1gあたり1万個以下
であった一般生菌数は、28日目で1gあたり10万個
を越えた。このことから、10℃の場合、14日程度が
本発明のハム様食品の品質保持期限と考えられる。な
お、高圧処理前のサケ・マス肉からは大腸菌群が検出さ
れたが、高圧処理を経た製品からは30日以上に渡る保
管期間中、大腸菌群が検出されなかった。大腸菌群は圧
力に対する耐性が比較的低いことが知られており、本実
施例の高圧処理により死滅するものと考えられる。
【0028】
【発明の効果】以上、説明したように本発明によって、
小片肉を高圧処理により結着させ、ハム様の食品を得る
ことができた。同時にサケ・マス肉の全てを用いること
ができ、廃棄する部位を約7%少なくすることができ
た。さらに、圧力は従来必要とされていた400MPa
のおよそ半分である180〜220MPaでハム様食品
が製造可能になり、省エネルギー化を図ることができ
た。サケ・マスの特徴のひとつは肉の鮮赤色である。鮮
赤色は加熱によって失われるが、加熱を行わない本発明
により鮮赤色を保持したハム様食品とすることができ
た。本発明はサケ・マスの加工適性に合致した加工方法
の一つと考えられる。さらに、本発明により得られるハ
ム様食品は栄養的にも高タンパク質、低脂肪でドコサヘ
キサエン酸を豊富に含んでおり、美味にして健康的な食
品といえる。本発明により製造されるハム様食品の普及
は、魚食による健康な食生活作りと、サケ・マスひいて
は水産物の消費拡大に貢献すると考えられる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明によるハム様食品の製造方法の工程を
示す。
【図2】 5℃および−15℃で200MPa、30分
間高圧処理したときのサケ・マス肉の硬さを示すグラフ
である。
【図3】 −15℃における圧力および加圧時間とサケ
・マス肉の硬さを硬さの関係を示すグラフである。
【図4】 −10℃における圧力および加圧時間と硬さ
の関係を示すグラフである。
【図5】 サケ・マス肉を−15℃、200MPaで3
0分高圧処理したときの食塩の添加量と硬さの関係を示
すグラフである。
【図6】 塩化カルシウム(2水塩)の添加量とサケ・
マス肉の硬さの関係を示すグラフである。
【図7】 ソルビトールの添加量とサケ・マス肉の硬さ
の関係を示した。
【図8】 10℃で保管したハム様食品の一般生菌数を
示す。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 阪本 正博 北海道紋別市港町7丁目8番5号 北海 道立網走水産試験場紋別支場内 (72)発明者 今村 琢磨 北海道釧路市仲浜町4番25号 北海道立 釧路水産試験場分庁舎内 (72)発明者 福士 暁彦 北海道余市郡余市町浜中町238番地 北 海道立中央水産試験場内 (56)参考文献 特開 平11−253136(JP,A) 特開 平7−177867(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) A23L 1/325 A23L 1/025

Claims (4)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 サケ及び/またはマス原料肉に、調味料
    として原料魚肉に対して食塩1.0〜3.0質量%及び糖
    類1.0〜2.0質量%、結着剤として食添用カルシウム
    剤をカルシウム換算で0.05〜0.15質量%添加して
    混和した後、ハム製造用のケーシングに充填し、ケーシ
    ングを真空包装し、−30〜−45℃の温度で凍結後−
    10〜−15℃の温度にて180〜220MPaの圧力
    で処理することを特徴とするハム様食品の製造方法。
  2. 【請求項2】 1〜3cm角に細断したサケ及び/また
    はマス原料肉に、調味料及び結着剤を添加して混和した
    後、5〜10℃の温度で3〜6時間放置し、ケーシング
    に充填し両端を結さくした後、ケーシングを真空包装
    し、−30〜−45℃の温度で凍結後−10〜−15℃
    の温度で180〜220MPaの圧力で20〜60分間
    処理する請求項1記載のハム様食品の製造方法。
  3. 【請求項3】 食添用カルシウム剤の添加量が、カルシ
    ウム換算で0.08〜0.10質量%である請求項1に記
    載のハム様食品の製造方法。
  4. 【請求項4】 食添用カルシウム剤が、塩化カルシウム
    または乳酸カルシウムである請求項1に記載のハム様食
    品の製造方法。
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