JP3522935B2 - 容器詰め飲料の製造方法及び装置 - Google Patents

容器詰め飲料の製造方法及び装置

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  • Filling Of Jars Or Cans And Processes For Cleaning And Sealing Jars (AREA)

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は容器詰め飲料の製造
方法及び装置、特に高温短時間殺菌処理における脱気機
構の改良に関する。
【0002】
【従来の技術】缶詰、瓶詰等の飲料については、貯蔵中
の腐敗を避けるため殺菌処理を行うことが必須である。
この殺菌処理には、ごく特殊な例ではフィルターなどを
用いた非加熱殺菌を採用することもあるが、通常は加熱
殺菌が行われる。飲料の加熱殺菌法としては、飲料を缶
詰、瓶詰等に充填、密封した後に加熱するレトルト殺菌
法、飲料を高温状態で缶などに充填し高温状態のまま直
ちに密封するホットパック法、及び充填前に飲料を例え
ば百数十℃で短時間(数十秒程度)維持して殺菌する高
温短時間殺菌法がある。
【0003】前記レトルト殺菌法及びホットパック法
は、缶詰状態で殺菌されるため、充填時に多少の菌汚染
が生じたとしてもレトルト殺菌中に死滅することから、
充填前後における工程管理が容易であるという利点があ
る。しかしながら、何れの方法も、殺菌終了後に缶詰、
瓶詰という比較的容量の大きい容器中の高温の飲料を急
速に冷却することは極めて困難であり、飲料が比較的長
時間(数十分間)にわたり高温に維持され、味、香りが
変わるなどの欠点がある。
【0004】一方、高温短時間殺菌法は、飲料を細管式
熱交換機、プレート式熱交換機などに通し、短時間で高
温にし、さらに短時間の内に冷却し、無菌雰囲気下で殺
菌済みの容器に充填・密封して、充填・密封後のレトル
ト殺菌をなくすことにより味、香りのよい缶飲料が得ら
れるという利点を有し、最近の飲料缶の殺菌法として注
目されている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】一方、飲料の変質は溶
存酸素濃度にも大きく依存しており、例えば容器詰め茶
飲料は、溶存酸素によって経時的に変色するため、殺菌
と共に溶存酸素の低減が強く要望されている。一般に溶
液の温度が上がることにより溶存酸素量は低下するた
め、前記ホットパック法にあっては、飲料を充填前に高
温槽中に滞留させることにより脱気されるが、高温短時
間殺菌法にあっては加圧下に高温処理されるため殺菌中
での脱気は行われず、溶存酸素に基づく色素、香気成分
などの酸化変性が大きな問題となっている。
【0006】従来より、例えば特開平1−317586
号に示されるように原料水の脱気は行われているが、飲
料調合時に酸素が再度とけ込む可能性がある。ところ
が、調合済み飲料の脱気は行われておらず、また、特に
茶飲料など、酸化による変色が生じやすい飲料において
は、溶存酸素2ppm以下程度が品質保持のため要望され
ている。しかし、前記従来の一般的な減圧脱気法ではこ
の要望を達成することは到底不可能であった。本発明は
前記従来技術の課題に鑑みなされたものであり、その目
的は高温短時間殺菌法において脱気効率の高い容器詰め
飲料の製造方法及び装置を提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】前記目的を達成するため
に本発明にかかる容器詰め飲料の製造方法は、被処理飲
料を略常圧下で送給する送給工程と、該送給工程で送給
する被処理飲料を狭路中で熱交換によりその沸点近傍の
温度まで急速加熱する予熱工程と、上部にヘッドスペー
スを有する一時貯留槽内に前記予熱工程で予熱された被
処理飲料を常圧下に数秒〜十数秒間保持し、そのヘッド
スペースガスを除去する脱気工程と、該脱気工程で脱気
された被処理飲料を圧送する圧送工程と、該圧送工程に
より圧送される被処理飲料を狭路中で熱交換により10
0℃以上の高温、加圧下で短時間殺菌処理する殺菌工程
と、殺菌が終了した被処理飲料を直ちに急速冷却する冷
却工程と、前記冷却された被処理飲料を、実質的に酸素
との接触を絶ちつつ無菌雰囲気下で殺菌済みの容器に無
菌充填し、密封する無菌充填工程と、を備えたことを特
徴とする。
【0008】また、本発明にかかる装置は、被処理飲料
を略常圧下で送給する送給手段と、該送給手段により送
給される被処理飲料をその沸点近傍の温度まで急速加熱
する熱交換器と、加熱された被処理飲料をヘッドスペー
ス部を保持した状態で数秒〜十数秒間貯留し得る一時貯
留槽と、該貯留槽のヘッドスペース部から排気を行う手
段とから成る脱気手段と、該脱気手段により脱気された
被処理飲料を圧送する圧送手段と、該圧送手段により圧
送される被処理飲料を加圧下で高温短時間殺菌処理する
熱交換器と、殺菌済みの被処理飲料を急速に冷却する熱
交換器と、冷却済みの被処理飲料を、実質的に酸素との
接触を絶ちつつ無菌雰囲気下で殺菌済みの容器に充填・
密封する無菌雰囲気形成手段を有する無菌室と無菌室内
に配置されている充填装置及び密封装置とから構成され
る無菌充填手段と、を備えたことを特徴とする。
【0009】
【発明の実施の形態】本発明にかかる容器詰め飲料の脱
気・殺菌・充填・密封方法及び装置は、前述したように
予熱手段により略常圧下で被処理飲料をその沸点近傍ま
で急速加熱する。この状態で被処理飲料中の溶存酸素の
溶解度は急激に低下し、過飽和ないし場合により気泡と
して出現する。そして、脱気手段の一時貯留槽に至る
と、前記液中酸素はヘッドスペース部分に放出され、該
ヘッドスペースガスが除去されることにより液中酸素は
一時貯留槽から放出される。
【0010】そして、脱酸素が行われた被処理飲料は圧
送手段により加圧状態で送給され、殺菌手段により加圧
下に100℃以上の高温下で短時間に殺菌が行われる。
なお、一時貯留槽に貯留される時間は短時間、すなわ
ち、数秒〜十数秒程度である。従って、予熱手段、脱気
手段、及び殺菌手段で被処理飲料が高温に維持される時
間は短く、この間の被処理飲料の変性は最小限に抑えら
れる。しかも、高温、加圧下に殺菌処理する殺菌手段に
おいては、脱気された被処理飲料が加熱対象であるの
で、加熱効率がよい。
【0011】以下、図面に基づき本発明の好適な実施態
様について説明する。図1は本発明の一実施態様にかか
る容器詰め飲料の製造装置の概略構成が示されている。
同図に示す容器詰め飲料製造装置10は、飲料調合装置
12と、飲料の脱気・殺菌・充填・密封装置14とから
なる。
【0012】そして、前記飲料調合装置12は、イオン
交換水が貯留された密閉脱気槽16と、該密閉脱気槽1
6を減圧下に置く真空ポンプ18と、前記密閉脱気槽1
6に貯留されたイオン交換水を送給するサニタリーポン
プ20と、該サニタリーポンプ20により送給される脱
気イオン交換水を切換弁21を介して一方は50〜80
℃に加温する熱交換器22に送給し、前記熱交換器22
から送給される加温イオン交換水を茶葉抽出装置23に
給送し、前記茶葉抽出装置23で抽出された濃厚茶葉抽
出液が貯留された原液タンク26と、前記切換弁21を
介して他方に送給される脱気イオン交換水を貯留する調
合タンク24とを含む。そして、調合タンク24には脱
気されたイオン交換水と濃厚茶葉抽出液が順次供給さ
れ、所望の茶飲料が調整される。
【0013】一方、本発明において特徴的な容器詰め飲
料の脱気・殺菌・充填・密封装置14は、送給手段を構
成する送給ポンプ30と、予熱手段を構成する第1プレ
ート式熱交換器32と、脱気手段を構成する一時貯留槽
34と、圧送手段を構成する圧送ポンプ36と、殺菌手
段を構成する第2プレート式熱交換器38と、冷却手段
を構成する第3プレート式熱交換器40と、圧力制御弁
42と、無菌充填手段を構成する無菌雰囲気形成手段を
もつ無菌室と該無菌室内に配置されている充填装置及び
密封装置とから成る無菌充填装置44とを含む。
【0014】そして、前記送給ポンプ30は、調合タン
ク24に貯留された調合済み茶飲料を略常圧下で第1プ
レート式熱交換器32へ送給する。該第1プレート式熱
交換器32は、送給ポンプ30より送給される茶飲料を
狭路中で熱交換によりその沸点近傍の温度まで急速加熱
する。ここで、茶飲料の場合には例えば95℃程度まで
加熱することが好適であり、熱交換器32での加熱は沸
点以下であるので、加圧を行う必要はなく常圧のまま昇
温すればよい。
【0015】また、前記一時貯留槽34はヘッドスペー
スを有するタンクよりなり、該貯留槽34には前記熱交
換器32で予熱された茶飲料が常圧下に短時間保持され
る。そして、該貯留槽34のヘッドスペースガスは図示
を省略した吸引ポンプ等により該貯留槽34内が常圧よ
りも高圧にならないように除去される。なお、該貯留槽
34への茶飲料の滞留時間は数秒〜十数秒であることが
好適であり、数十秒ないし数分貯留させるように構成す
ると該貯留槽34の必要容量が大きくなるばかりでな
く、茶飲料が高温に維持される時間がそれだけ長くな
り、茶飲料の変質が進む原因ともなる。一方、貯留槽3
4の容量が余りに小さいと、圧送ポンプ36の送給量と
熱交換器32からの供給量のバランスが崩れた場合にオ
ーバーフローを生じたりあるいは熱交換器38へ空気が
進入してしまう等の不具合を生じるおそれがある。
【0016】圧送ポンプ36は、貯留槽34に貯留され
た予熱茶飲料を加圧下に第2プレート式熱交換器38へ
送給する。該交換器38では茶飲料の殺菌に必要な温
度、例えば140℃で数秒ないし数十秒保持するように
構成されている。この交換器38を経た殺菌済茶飲料
は直ちに第3プレート式熱交換器40により略常温、例
えば50℃以下まで急速冷却される。従って、茶飲料が
百数十度の高温にさらされる時間は長くても数十秒であ
り、すでに十分に脱酸素された状態で短時間高温にさら
されるのみであるので、茶飲料の香気成分あるいは色素
成分に与える影響は極めて小さいものとなる。
【0017】前記熱交換器40を経た冷却茶飲料は熱交
換器38,40内の圧力を高圧に維持する圧力制御弁4
2を介して無菌充填装置44に供給される。この無菌充
填装置44は、圧力制御弁42を介して供給される冷却
済茶飲料を無菌かつ実質的な無酸素雰囲気下で缶に充填
すると共に、缶蓋の巻締めを行う。むろん、茶飲料が充
填される前に缶胴および缶蓋共に少なくとも内面側が殺
菌されている。
【0018】次に、図2および図3を参照して本実施態
様に用いられるプレート式交換器について簡単に説明
する。図2にはプレート式交換器32の概念図が示さ
れている。同図より明らかなように、茶飲料は流路50
を介して流れ、一方スチーム等の熱媒体は流路52を介
して流れている。
【0019】また、両流路50,52の間には、熱伝導
率の高い伝熱プレート54が介在している。そして、熱
媒体流路52を流れる高温熱媒体より伝熱プレート54
を介して茶飲料ルート50を流れる茶飲料に熱交換が行
われ、熱媒体流路52の出口からは温度の下がった熱媒
体が、また茶飲料流路50の出口からは昇温された茶飲
料がそれぞれ流出される。
【0020】図3には本実施態様に用いられる熱交換器
のより詳細な構造が示されている。同図より明らかなよ
うに、茶飲料は流路入口50aより熱交換器32内に流
入し、流路出口50bより流出される。一方、高温スチ
ームは熱媒体流路入口52aより熱交換器32内に進入
し、流路出口52bより吐出される。そして、熱交換器
32は微細な間隔をあけて密閉配置された伝熱プレート
54が多数配置されており、例えば伝熱プレート54
a,54bの間隙で形成される狭路には下部の入口側茶
飲料流路より茶飲料が供給され、該茶飲料は狭路を図中
上方に流れ、上部の出口側茶飲料流路に流れ込む。
【0021】一方、該伝熱プレート54bと、その反対
側に隣接した電熱プレート54cの間にも狭い間隙が形
成されており、この狭路には上部の入口側熱媒体流路5
2より高温熱媒体が供給され、該高温熱媒体は狭路を図
中下方に流れ、出口側熱媒体流路52bに流れ込む。従
って、茶飲料と熱媒体は薄い伝熱プレート54bにより
隔てられているのみであり、茶飲料と熱媒体が伝熱プレ
ート54bを介して熱交換しつつ逆方向に進行すること
となる。
【0022】本実施態様において用いられる熱交換器
は、前述したように茶飲料が流れる狭路と熱媒体が流れ
る狭路が交互に多数配置された構造となっており、大量
の茶飲料について短時間で均一かつ効率的な昇温を行わ
せることができる。本実施態様に係る容器詰め飲料の製
造装置は概略以上のように構成されており、これらを次
のように運転して容器詰め飲料を製造する。
【0023】前述したように、本実施態様に係る容器詰
め飲料の製造方法は、第1プレート式熱交換器32によ
り被処理飲料をその沸点近傍の温度にまで急速に加熱す
る。この際、水溶液中における気体の溶解度は温度の上
昇とともに減少するため、熱交換器32による加熱によ
り溶存酸素のほとんどが過飽和ないし微細気泡の状態と
なる。この状態の茶飲料が一時貯留槽34へ放出される
ことにより、前記液中酸素が該貯留槽34上部のヘッド
スペース部分に放出される。従って、該ヘッドスペース
ガスを除去することにより、茶飲料中の溶存酸素のほと
んどが除去されることとなる。
【0024】例えば、図4にはイオン交換水の溶存酸素
と温度の関係が示されている。同図より明らかなよう
に、20℃で9ppm 程度の溶存酸素が存在していたもの
が、温度60℃では5ppm 、温度95℃では溶存酸素濃
度が1ppm 程度となる。従って、調合タンク24内の茶
飲料の温度が60℃であると溶存酸素が5ppm であった
のが、熱交換器32中で茶飲料が95℃まで昇温される
と溶存可能酸素が1ppm となるのであるから、差分4pp
m の余剰溶存酸素は過飽和ないし微細気泡状となる。溶
存酸素2ppm 以下は茶類缶詰の品質上大きな意義をもっ
ており、特に1ppm 以下というのは例えば茶飲料等にお
いても長期にわたり変質が極めて生じにくく、保存性向
上に非常に効果的な酸素濃度である。この状態で一時貯
留槽34に注入されると、前記余剰溶存酸素は該貯留槽
34のヘッドスペース部分に放出される。
【0025】一方、貯留槽34内には窒素ボンベ60か
らフィルターで除菌された無菌の窒素ガスが供給されて
おり、前記ヘッドスペース部分へ茶飲料中から放出され
た空気(酸素)は窒素ガスとともに開口34aから系外
へ排出される。そして、溶存酸素が例えば2ppm 以下ま
で低減された茶飲料は、圧送ポンプ36により第2プレ
ート式熱交換器38に送給される。該熱交換器38は前
記第1プレート式熱交換器32と同様の熱交換器から構
成されるが、茶飲料の常圧沸点以上の高温とするため、
ポンプ36は茶飲料が沸騰しないように加圧を行ってい
る。
【0026】以上のようにして得られた溶存酸素濃度2
ppm以下の茶飲料は、直ちに第3プレート式熱交換器4
0により冷却された後、圧力制御弁42を介して無菌充
填装置44に供給される。該無菌充填装置44は無菌室
及び該無菌室内に設置された充填装置及び密封装置で構
成され、無菌容器に茶飲料を充填・密封する。なお、前
記無菌充填装置44にも前記窒素ンベ60から途中の
フィルターを通過し除菌された無菌の窒素ガスが供給さ
れており、実質的に酸素との接触が絶たれた状態で茶飲
料は缶に充填され、缶蓋で密封される。
【0027】以上説明したように、本実施態様に係る容
器詰め飲料の製造方法によれば、常圧下で被処理飲料を
その沸点近傍で滞留させ、この間に脱気を行い、さらに
加圧、高圧下で十分な殺菌を行うため、無菌充填装置4
4により充填される茶飲料は十分に殺菌、脱気されたも
のとなる。なお、本実施態様においては無菌の窒素ガス
は貯留槽34のヘッドスペース部分に供給されたが、例
えば一時貯留槽34内でバブリングすることも好適であ
る。また、より脱気の完全を図るために、本実施態様に
おいては無菌の窒素ガスを調合タンク24内にも供給し
ている。
【0028】また、本実施態様においては一時貯留槽3
4および無菌充填装置44に酸素濃度計64を設け、各
工程における酸素濃度が一定以上とならないように窒素
ガス供給量を制御することにより、さらに安定した脱気
効果を得ている。なお、本実施態様において一時貯留槽
34としては例えば図5に示すような構造のものを用い
ることが好適である。
【0029】すなわち、同図に示す一時貯留槽34は、
貯留槽34下部に流入路70、およびその反対側の下部
に流出路72を設け、両流路70,72の間には隔壁7
4が設けられている。このため、流入路70から流入す
る飲料は隔壁74に妨げられて一度液面(ヘッドスペー
スとの接触面)に至り、十分な脱気が行われたのち流出
路72から第2プレート式熱交換器38へ送給される。
このため、一時貯留槽34内部で液溜まりが生じること
なく、しかも脱気効率も高くなる。
【0030】
【実施例】以下、図6に基づき本発明の一実施例につい
て説明する。同図に示す実施例においては、溶存酸素濃
度0.9ppm のイオン交換水に煎茶を1.25%添加
し、70℃で5分間抽出処理を行った後、濾過、冷却、
重曹およびL−アスコルビン酸の添加を行って茶飲料が
調合される。この調合済茶飲料は、脱気イオン交換水を
使ったにも関わらず、溶存酸素濃度は6.0ppm となっ
ている。これに対して、従来一般的に用いられているレ
トルト殺菌法を用いて殺菌を行った場合(従来技術1)
には、ホットパツク(充填温度90℃)時の溶存酸素濃
度は1.6ppm 、さらにレトルト殺菌(121℃×10
分)の後の溶存酸素濃度は0.4ppm であった。
【0031】また、前記調合済茶飲料をそのまま高温短
時間殺菌し常温充填した場合(従来技術2)には、充填
後の溶存酸素濃度は5.1ppm であり、溶存酸素濃度が
極めて高く保存中の酸化が予想される。一方、前記調合
済茶飲料を、本発明に係る方法で缶に充填しヘッドスペ
ースを窒素ガスで置換した場合、一時貯留槽34におけ
る溶存酸素濃度は1.8ppm 、さらに高温・高圧殺菌を
行い常温充填した後の溶存酸素濃度は0.9ppm であっ
た。
【0032】以上の様にして製造した茶飲料について、
a値およびL−アスコルビン酸の変化量をそれぞれ調合
時(殺菌前)、製造時(殺菌後)、室温1カ月保存時、
室温3カ月保存時に調査した。その結果を次の表1およ
び表2に示す。
【0033】
【表1】 なお、a値はLab測色系で、色相(赤−緑)を表し、
a値が増加することにより褐変度合いが増加したことを
示している。
【0034】
【表2】
【0035】
【表3】 *** :危険率0.1%で有意差有り。 ** :危険率1.0%で有意差有り。 * :危険率5.0%で有意差有り。
【0036】なお、官能検査は発明者の所属する研究所
の日常的に訓練された研究員20人で1人3回繰り返し
テストを行った。前記表1および表2より明らかなよう
に、レトルト殺菌法を用いた従来技術1はa値およびL
−アスコルビン酸の変化量とも極めて大きく、さらに前
記表3に示すとおりフレーバーテストの結果によっても
著しく飲料の劣化が進んでいることが明らかとなった。
なお、前記図6を参照すると、従来技術1においては充
填後の溶存酸素濃度が0.4ppm とかなり低いが、これ
は溶存酸素が殆どレトルト殺菌中に反応・消費されたこ
とを示唆するものであり、さらに充填後の溶存酸素が少
ないにもかかわらず貯蔵中の変質が急速に進むことが明
らかとなった。
【0037】一方、従来技術2においては、a値の変化
を見ると、前記従来技術1ほどの大幅な変化量は示さな
いが、図6に示したように充填後の溶存酸素濃度が著し
く高いことから貯蔵中におけるL−アスコルビン酸の消
費が著しく、またa値も漸増することが理解される。こ
れらの従来技術1,2に対して本発明は充填後の溶存酸
素濃度も低く、さらにa値およびL−アスコルビン酸の
変化量共に前記従来技術に比較して著しく小さく、品質
の大幅な改善および維持が図られていることが明らかで
ある。
【0038】なお、前記実施態様および実施例において
は茶飲料を例に取り説明したが、本発明はこれに限られ
るものではなく、コーヒー(ミルク入り、ブラック
共)、茶類飲料(煎茶、ウーロン茶、紅茶)、麦茶、各
種混合茶、ココア、ミルクセーキ、スープ、牛乳(乳飲
料)、豆乳、甘酒、味噌汁等の現在レトルト殺菌の対象
となっている飲料、さらには果実飲料、スポーツ飲料、
殺菌乳酸菌飲料、トマト・野菜ジュース等の高温短時間
殺菌およびホットパック法の対象となっている缶飲料に
ついても適用可能であることは言うまでもない。さら
に、前記実施態様においては熱交換器としてプレート式
熱交換器を用いたが、例えば細管式熱交換器を用いるこ
とも可能である。
【0039】
【発明の効果】以上説明したように本発明に係る容器詰
め飲料の製造方法によれば、被処理飲料の沸点近傍まで
余熱した後常圧下に保持して脱気し、さらにその後高
温、加圧下に十分な殺菌を行うこととしたので、高温短
時間殺菌において十分な脱気を行うことが可能となる。
従って、本発明方法により飲料の調合時の色調、フレー
バーを殆ど損なわずに製造でき、また容器詰め飲料の貯
蔵中においても溶存酸素が少ないため上記の成分を安定
して保存することが可能となる。また、本発明に係る容
器詰め飲料の製造装置によれば、調合時の色調、フレー
バーを殆ど損なわずに容器詰め飲料が製造できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施態様に係る容器詰め飲料の製造
方法に用いられる缶飲料製造装置の概略構成図である。
【図2】図1に示す予熱手段、殺菌手段、冷却手段に用
いられる熱交換器の概念の説明図である。
【図3】図1に示した装置に用いられるプレート式熱交
換器の説明図である。
【図4】イオン交換水の温度と溶存酸素濃度の関係の説
明図である。
【図5】図1に示した装置に用いられる一時貯留槽の説
明図である。
【図6】本発明と従来技術の煎茶缶詰製造工程および溶
存酸素濃度の比較図である。
【符号の説明】
14 飲料脱気・殺菌・充填・密封装置 30 送給ポンプ(送給手段) 32 第1プレート式熱交換器(予熱手段) 34 一時貯留槽(脱気手段) 36 圧送ポンプ(圧送手段) 38 第2プレート式熱交換器(殺菌手段) 40 第3プレート式熱交換器(冷却手段) 44 無菌充填装置(無菌充填手段)
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) B67C 3/00 B65B 55/14

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 被処理飲料を略常圧下で送給する送給工
    程と、 該送給工程で送給する被処理飲料を狭路中で熱交換によ
    りその沸点近傍の温度まで急速加熱する予熱工程と、 上部にヘッドスペースを有する一時貯留槽内に、前記予
    熱工程で予熱された被処理飲料を常圧下に数秒〜十数秒
    間保持し、そのヘッドスペースガスを除去する脱気工程
    と、 該脱気工程により脱気された被処理飲料を圧送する圧送
    工程と、 該圧送工程で圧送される被処理飲料を狭路中で熱交換に
    より100℃以上の高温、加圧下で短時間殺菌処理する
    殺菌工程と、 殺菌が終了した被処理飲料を直ちに急速冷却する冷却工
    程と、 冷却された被処理飲料を、実質的に酸素との接触を絶ち
    つつ無菌雰囲気下で殺菌済みの容器に無菌充填し、密封
    する無菌充填工程と、 を備えたことを特徴とする容器詰め飲料の製造方法。
  2. 【請求項2】 被処理飲料を略常圧下で送給する送給手
    段と、 該送給手段により送給される被処理飲料をその沸点近傍
    の温度まで急速加熱する熱交換器と、 加熱された被処理飲料をヘッドスペース部を保持した状
    態で数秒〜十数秒間貯留し得る一時貯留槽と、該一時
    留槽のヘッドスペース部から排気を行う手段とから成る
    脱気手段と、 該脱気手段により脱気された被処理飲料を圧送する圧送
    手段と、 該圧送手段により圧送される被処理飲料を加圧下で高温
    短時間殺菌処理する熱交換器と、 殺菌済みの被処理飲料を急速に冷却する熱交換器と、 冷却済みの被処理飲料を、実質的に酸素との接触を絶ち
    つつ無菌雰囲気下で殺菌済みの容器に充填・密封する無
    菌雰囲気形成手段を有する無菌室と、無菌室内に配置さ
    れている充填装置及び密封装置とから構成される無菌充
    填手段と、 を備えたことを特徴とする容器詰め飲料の製造装置。
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