JP3522049B2 - 液体噴射ノズル - Google Patents

液体噴射ノズル

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JP3522049B2 JP15580096A JP15580096A JP3522049B2 JP 3522049 B2 JP3522049 B2 JP 3522049B2 JP 15580096 A JP15580096 A JP 15580096A JP 15580096 A JP15580096 A JP 15580096A JP 3522049 B2 JP3522049 B2 JP 3522049B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、研磨粒子や研削粒
子を含んだ液体を高圧下で噴射させて加工を行うウオー
タージェット加工装置用のノズルや、インクを噴射させ
て印字を行うインクジェットプリンタ装置のヘッドノズ
ル、セラミックスラリー等の硬質物質を含む液体を型内
に射出して成形する射出成形用のノズルなどに使用され
る液体噴射ノズルに関するものである。
【0002】
【従来技術】一般に、流動体と接する面には少なからず
摩耗が生じ、特に流動体を高速で流したり、流動体中に
硬度の高い物質が含まれている場合には、摩耗は加速度
的に進行する。
【0003】例えば、ウオータージェット加工装置にお
けるノズルは、高圧の水を細径のノズルにて噴出させる
ために摩耗が激しく、アルミナやガーネットなどの研削
粒子を含む場合にはさらに摩耗は増大する。このため、
ウオータージェット加工装置のノズルは、従来より金属
やセラミックス等の材料によって形成されてきたが、そ
の加工速度や加工力を高めるために流動体の高速化等が
進むにつれてさらに高い耐摩耗性が要求され、最近で
は、管内部に粒径0.1〜2μmの柱状晶の微細なダイ
ヤモンド層を化学蒸着させたもの(特開平6−8146
号)、円柱状の基体にCVDダイヤモンドを析出させ基
体を溶解除去し、得られたダイヤモンドチューブの外周
を超硬合金で強度補強したもの(実公平6−34936
号)、環状基体の内面にCVD法ダイヤモンド層を形成
したもの(特開昭63−315597号)等が提案され
ている。
【0004】また、液体インクに圧力を付与してノズル
より噴射させて印字を行うインクジェットプリンタのノ
ズルにおいても、ノズル部端面の耐摩耗性や耐インク性
を向上させるために、オリフィス端部にダイヤモンド状
カーボンを被覆することが提案されている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、従来の
ダイヤモンド膜は、膜表面にダイヤモンド粒による1〜
20μmの凹凸が存在する。このような表面の凹凸は、
流動体との接触によって流動体の流れが乱されたり、そ
れと同時に膜に過度の応力が加わりダイヤモンド膜が剥
離する等の問題が生じるために、ダイヤモンド膜面を研
磨して平滑性を高める必要があった。ところが、ダイヤ
モンド膜はそもそも高硬度であるために、研磨加工が難
しく、しかも微細なノズル内面を研磨加工するのは困難
であった。
【0006】また、従来のダイヤモンド膜は、表面の凹
凸に加え、ダイヤモンド結晶粒間や膜内部にボイドが存
在しており、流動体との接触によって表面が研磨されて
ボイドが表面に露出すると、流動体の流れが変化した
り、印字性能が低下するなど長期にわたり安定した性能
が発揮できない等の問題があった。しかも、ダイヤモン
ド結晶の配列が柱状であると、膜の強度に異方性が生
じ、膜の厚み方向へのクラックが発生しやすい等の問題
があった。
【0007】このような問題に対しては、例えば、ダイ
ヤモンド膜を形成する基板に特定の傷つけ処理を行いダ
イヤモンド膜の密着性を高めたり(特開昭61−201
698号公報)、基体の表面にダイヤモンド層を介して
ダイヤモンド状カーボン膜を形成して膜表面のボイドを
無くしたり(特開平3−28373号公報)、ダイヤモ
ンドとグラファイトで構成される硬質炭素膜を形成して
表面の平滑性と摺動性を高める(特開平5−27780
7号公報)などが提案されている。
【0008】また、ダイヤモンド膜の研磨方法として、
例えば、ダイヤモンド膜と金属体とを接触させ非酸化性
雰囲気中で加熱し摺動させる方法(特開昭63−144
940号公報)、ダイヤモンド膜を加熱下で流動性金属
と接触させる方法(特開平2−160700号公報)等
も提案されている。
【0009】しかしながら、上記の先行技術によれば、
密着性を高めるために成膜前に別途処理が必要でありな
がら、充分な密着性が得られておらず,また,膜質をダ
イヤモンド中にグラファイトやダイヤモンド状カーボン
などを混入させる場合,ダイヤモンド膜そのものの硬度
が低下しダイヤモンドの優れた特性が発揮されないとい
う問題があった。
【0010】また、研磨方法として金属体や流動性金属
と接触させる方法では、研磨するための装置が複雑にな
り、しかも細径のノズル内面の研磨には適さない等の問
題があった。
【0011】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記課題
を解決するための方法について検討を重ねた結果、ラマ
ン分光スペクトルにおいて1340±40cm-1と11
60±40cm-1にピークが存在する硬質炭素膜は、成
膜状態において表面が平滑で従来のようなダイヤモンド
結晶粒による凹凸がなく、しかも膜表面および内部にボ
イドが存在しないという特性を有することから、内部を
流動体が流れる管部を具備し、その管部先端から高圧に
付勢された流動体を噴射するためのノズル内面に前記硬
質炭素膜を形成することにより、高圧印加状態での流動
体と接触した場合においても、膜剥離等の発生がなく、
高い耐摩耗性を実現することができることを知見し、本
発明に至った。
【0012】即ち、本発明の液体噴射ノズルは、内部を
流動体が流れる管部を具備し、該管部から高圧に付勢さ
れた流動体を噴射するためのノズルにおいて、前記流動
体と接触する管部内壁をラマン分光スペクトルにおいて
1340±40cm-1と1160±40cm-1にピーク
が存在し、且つ1160±40cm-1に存在するピーク
のうち最も強度の強いピーク強度をH1 、1340±4
0cm-1に存在するピークのうち最も強度の強いピーク
強度をH2 とした時、H1 /H2 で表されるピーク強度
比が0.05乃至2の硬質炭素膜により被覆したことを
特徴とするものであり、また、前記硬質炭素膜は、非柱
状組織からなること、さらには、前記管部と前記硬質炭
素膜との間に、少なくともダイヤモンドと金属炭化物を
含有する中間層が存在することを特徴とするものであ
る。
【0013】
【発明の実施の形態】本発明における液体噴射ノズルと
しては、具体的には、研磨粒子や研削粒子を含んだ液体
を高圧下で噴射させて加工を行うウオータージェット加
工装置用のノズルのように、非常に過酷な条件に晒され
る場合の他、インクを噴射させて印字を行うインクジェ
ットプリンタ装置のヘッド、セラミック粉末などの硬質
物質を含むスラリーを型内に射出して成形する射出成形
機における射出ノズルなどに適用されるものである。
【0014】本発明における液体噴射ノズルの典型的な
構造を図1に示した。図1によれば、噴射ノズル1は、
流動体が流れる管部2を具備するもので、管部2の端部
3から高圧に付勢された流動体が噴射される。本発明に
よれば、図1のノズルにおいて、高圧に付勢された流動
体と直接接触するノズル1内面に、ダイヤモンドを主と
する硬質炭素膜4を形成したものである。
【0015】一般に知られるダイヤモンド膜は、高純度
ダイヤモンドからなり、炭素原子間がSP3 混成で結合
された構造からなり、ラマン分光スペクトルにおいて、
1340±40cm-1にのみピークを有するものであ
り、場合によってSP2 混成で結合されたグラファイト
構造の炭素等を含む場合は、1500〜1600cm-1
付近にブロードなピークを有する場合もある。また、こ
のダイヤモンド膜は、ダイヤモンド結晶粒が大きいこと
により、結晶の自形による成膜後の表面の凹凸が大き
く、結晶粒界が存在し、また薄膜内部にボイドが多量に
存在する。
【0016】これに対して、本発明において形成された
硬質炭素膜は、ラマン分光スペクトルにおいて、134
0±40cm-1に加え、1160±40cm-1にピーク
を有するものである。この1160±40cm-1のピー
クは、ダイヤモンド構造からなるものの、その粒子径が
0.1μm以下、特に0.08μm以下の極めて微細な
結晶のダイヤモンド粒子からなるためにその結晶の周期
が短いことを意味するものと考えられる。
【0017】従って、本発明における硬質炭素膜は、ダ
イヤモンド結晶が極めて微細な粒子により構成されるた
めに従来のようなダイヤモンド結晶自形による膜表面に
凹凸がなく成膜された表面はボイドもなく非常に平滑性
に優れているために、あらゆるノズル内面形状に整合し
た平滑で緻密な膜面を形成でき、しかも研磨を行う必要
がない。仮に、高精度の表面が要求され、膜表面を研磨
する必要がある時も、従来のダイヤモンド膜に比較して
わずかな研磨で平滑なボイドのない膜面を形成できる。
【0018】そのために、本発明の液体噴射ノズルは、
ダイヤモンドの優れた硬度を損なうことなく、流動体と
の接触において優れた耐摩耗性を発揮し、ノズル内面の
摩耗を防止することができる。しかも、膜表面に凹凸が
なく、膜表面や膜内部にボイドがないために、流動体と
の接触において過度の応力が膜に付与されることがない
ために膜の剥離がなく、しかも流動体が膜表面に凝着す
ることなく、また流動体の流れに影響を与えることがな
い等の効果を奏するものである。
【0019】本発明における硬質炭素膜のラマン分光ス
ペクトルにおける1160±40cm-1のピーク強度に
ついて具体的に説明する。図1に示すように得られたラ
マンスペクトルの曲線において、1100cm-1と17
00cm-1の位置間で斜線を引き、これをベースライン
として、1160±40cm-1に存在するピークのうち
最も強度の高いピーク強度をH1 、1340±40cm
-1に存在するピークのうち最も強度の高いピーク強度を
2 とする。このときH1 /H2 で表されるピーク強度
比が0.05乃至2であることが重要である。
【0020】このピーク強度比が小さすぎると、ダイヤ
モンド結晶粒子が大きく成長し過ぎ、膜中にボイドが発
生したり膜表面に凹凸が生じることとなり、耐摩耗性が
低下したり膜剥離が発生したり、さらには流動体の流れ
に影響を及ぼす可能性がある。また、ピーク強度比が大
きすぎると非晶質ダイヤモンドの存在が増加し、硬質炭
素膜自体の硬度が低下し耐摩耗性が低下する場合があ
る。このピーク強度比は特に0.1乃至1.0であるこ
とが望ましい。
【0021】本発明の液体噴射ノズルによれば、上記硬
質炭素膜は、所定の管基体の表面に被覆されたものであ
ることが望ましい。その場合、硬質炭素膜は、基体との
密着性が高いことが要求される。硬質炭素膜を形成し得
る基体材種としては、例えば、窒化ケイ素、炭化ケイ
素、アルミナ、ジルコニアなどのセラミックス、チタン
合金、超硬合金、サーメット、ステンレス鋼などの金属
が挙げられる。これらの中でも膜との密着性の点で、窒
化ケイ素や炭化ケイ素を主とする焼結体、Ti合金、W
C基超硬合金、サーメットからなることが最も望まし
い。
【0022】また、本発明によれば、基体表面と硬質炭
素膜との間に、少なくともダイヤモンドと金属炭化物と
の複合体からなる中間層を介在させることにより、さら
に硬質炭素膜と基体との密着性を高めることができる。
【0023】このような中間層の介在によって硬質炭素
膜と母材との密着強度が向上する理由は次のように考え
られる。原子同士は電子を介在することにより結合され
ているが、一般に、原子間の電子が一方に存在して電気
的な結び付きにより結合しているイオン結合よりも、電
子を双方の原子で共有している共有結合の方が強い結合
力を持つ。ダイヤモンドは炭素の共有結合により構成さ
れているので強い結合力を有している。したがって、ダ
イヤモンドと異種化合物との密着強度を向上させるため
には類似の結合様式である共有結合性の化合物であるこ
とが望ましいと考えられる。またダイヤモンドの成分で
ある炭素を含む化合物の方がより整合性がよいと思われ
る。金属炭化物は数多く存在するがその多くはイオン性
結合を主体としたものである。共有結合性炭化物として
は炭化ケイ素や炭化ホウ素があるが、本発明の液体噴射
ノズルにおいては炭化ケイ素が最も望ましい。
【0024】さらに、この硬質炭素膜は、ノズル基体の
表面に1〜10μmの厚みで形成されることが望まし
く、しかも硬質炭素膜表面は、表面粗さ(Rmax)が
1μm以下であることが望ましく、本発明に従えば、硬
質炭素膜を成膜段階で1μm以下、特に0.5μm以下
の表面粗さに制御できる。
【0025】本発明において、液体噴射ノズルの内面に
硬質炭素膜を作製する方法としては、従来より炭素膜を
生成手段として、マイクロ波や高周波によりプラズマを
発生させて所定の基体表面に炭素膜を形成する、いわゆ
るプラズマCVD法あるいは熱フィラメント法が主流で
ある。しかしながら、プラズマCVD法では、600〜
1000℃の比較的高温で成膜する必要があるために、
ダイヤモンド粒が大きくなりやすくダイヤモンド結晶の
自形による凹凸が発生しやすい。しかも、プラズマCV
D法では、成膜時の圧力が高く、プラズマ発生領域が小
さく、プラズマ密度が低すぎるために、基体が複雑な構
造を有する場合や曲面構造を有する場合、その構造に沿
った均一なプラズマが得られず、膜厚分布が不均一にな
りやすい。一方、熱フィラメントCVD法でも、フィラ
メントが切れやすく、また膜厚のバラツキを抑制するた
めに母材の形状に合わせてフィラメントを設置する必要
があり、装置が汎用性に欠けるなどの欠点を有してい
る。
【0026】これに対して、プラズマCVD法における
プラズマ発生領域に磁界をかけた、いわゆる電子サイク
ロトロン共鳴プラズマCVD法によれば、150〜70
0℃の比較的低温で成膜し、低圧下(1torr以下)
で高密度のプラズマを得ることができるために、プラズ
マを広い領域に均一に発生させることができ、通常のプ
ラズマCVD法に比較して約10倍程度の面積に均一に
膜の形成を行うことができる。
【0027】本発明における硬質炭素膜は、この電子サ
イクロトロン共鳴プラズマCVD法(ECRプラズマC
VD法)によって形成される。この方法では、内部に所
定の母材が設置された反応炉内に反応ガスを導入すると
同時に2.45GHzのマイクロ波を導入する。それと
同時にこの領域に対して875ガウス以上のレベルの磁
界を印加する。これにより電子はサイクロトロン周波数
f=eB/2πm(但し,m:電子の質量、e:電子の
電荷,B:磁束密度)にもとづきサイクロトロン運動を
起こす。この周波数がマイクロ波の周波数(2.45G
Hz)と一致すると共鳴し、電子はマイクロ波のエネル
ギーを著しく吸収して加速され、中性分子に衝突、電離
を生じせしめて高密度のプラズマを生成するようにな
る。この時の母材の温度は150〜700℃、炉内圧力
1×10-2〜1torrに設定されるのがよい。
【0028】かかる方法によれば、成膜時の母材温度、
炉内圧力および反応ガス濃度を変化させることにより成
膜される硬質炭素膜の成分や組織等が変化する。具体的
には、炉内圧力が高くなるとプラズマの領域が小さくな
り、膜の成長速度が下がるが結晶性は向上する傾向にあ
る。また、反応ガス濃度が高くなると、膜を構成する粒
子の大きさが小さくなり、結晶性が悪くなる傾向にあ
る。これらの条件を具体的には後述する実施例に記載さ
れるように適宜制御することにより、前述したH1 /H
2 比を制御することができる。また、上記のようにして
作製されるH1 /H2 比が0.05以上の硬質炭素膜
は、従来のダイヤモンド膜とは異なり、非柱状組織から
なるものであり、柱状組織に比較して強度の異方性がな
く、厚み方向へのクラックの発生も抑制される。
【0029】上記の成膜方法において、本発明における
硬質炭素膜を形成する場合、硬質炭素膜は、原料ガスと
して水素と、炭素含有ガスを用いる。用いる炭素含有ガ
スとしては、例えば、メタン、エタン、プロパンなどの
アルカン類、エチレン、プロピレンなどのアルケン類、
アセチレンなどのアルキン類、ベンゼンなどの芳香族炭
化水素類、シクロプロパンなどのシクロパラフィン類、
シクロペンテンなどのシクロオレフィン類などが挙げら
れる。また一酸化炭素、二酸化炭素、メチルアルコー
ル、エチルアルコール、アセトンなどの含酸素炭素化合
物、モノ(ジ、トリ)メチルアミン、モノ(ジ、トリ)
エチルアミンなどの含窒素炭素化合物なども炭素源ガス
として使用することができる。これらは一種単独で用い
ることもできるし、二種以上で併用することもできる。
【0030】また、前述したようなダイヤモンドと炭化
ケイ素の混合物からなる中間層を形成するには、所望に
より基体表面にダイヤモンド生成条件で1〜5時間程度
保持してダイヤモンド核発生処理を行った後、反応ガス
として、水素と、炭素含有ガスおよびケイ素含有ガスを
導入する。前記ケイ素含有ガスとしては、四フッ化ケイ
素、四塩化ケイ素、四臭化ケイ素などのハロゲン化物、
二酸化ケイ素などの酸化物の他に、モノ(ジ、トリ、テ
トラ、ペンタ)シラン、モノ(ジ、トリ、テトラ)メチ
ルシランなどのシラン化合物、トリメチルシラノールな
どのシラノール化合物などが挙げられる。これらは一種
単独で用いることもできるし、二種以上で併用すること
もできる。
【0031】上記のようにして形成される中間層は、ダ
イヤモンドと金属炭化物が層状に分離して存在している
のではなく、ダイヤモンドの周りを金属炭化物が取り囲
むような構造を呈するもので、ダイヤモンドが島状に分
布した構造となるためにいわゆるアンカー効果によって
も密着性が向上すると考えられる。
【0032】なお、本発明に基づきノズル内面に硬質炭
素膜を形成するには、プラズマ発生領域に設置されたノ
ズル基体の管内に強制的にダイヤモンド生成用ガスを導
入して成膜を行うか、またはノズルを管を縦割りの2分
割構造体とし、分割されたノズルの管内面に硬質炭素膜
を形成した後、それらを張り合わせて接合することによ
ってノズルを形成することもできる。また、硬質炭素膜
を形成する箇所としては、必ずしもノズルの管内の全面
に施す必要はなく、ノズル内の特にオリフィス部分等の
ように耐摩耗性が特に要求される部分にのみ形成するこ
とも当然可能である。
【0033】
【実施例】
(実施例)電子サイクロトロン共鳴プラズマCVD装置
の炉内に、ノズル基体として、窒化ケイ素質焼結体(Y2
O33重量%、Al2O3 4重量%含有)、Ti合金(Ti−
6%Al−4%V)からなるジェットノズル(内径2m
m)を設置した。
【0034】そして、H2 297sccm、CH4 3s
ccmのガスを用いてガス濃度1%で、ノズル管内に強
制的に導入し、基体温度650℃、炉内圧力0.1to
rrで3時間処理して、ダイヤモンド核を発生させた
後、原料ガスとしてH2 ガス、CH4 ガスおよびSi
(CH3 4 ガスを用いて、 H2 297sccm CH4 3sccm Si(CH3)4 0.3sccm の割合でガス濃度1%、母材温度650℃、炉内圧力
0.05torrの条件で電子サイクロトロン共鳴(E
CR)プラズマCVD法により最大2kガウスの強度の
磁場を印加させ、マイクロ波出力3.0kWの条件で1
0時間成膜して、ダイヤモンドと炭化ケイ素が混在した
厚さ1.0μmの中間層を形成した。
【0035】また、表1中、試料No.4,10について
は、中間層形成を H2 ガス 300sccm Si(CH3)4ガス 0.3sccm のガス比とする以外は前記と全く同様にして、炭化ケイ
素からなる中間層を1μmの厚みで形成し、同様に評価
を行った。
【0036】次に、中間層の上に、純度99.9%以上
のH2 ガス、CH4 ガス、CO2 ガスを用いて、表1に
示すガス比、ガス濃度、母材温度、炉内圧力で成膜を行
い、5μmの硬質炭素膜を形成した。
【0037】成膜した硬質炭素膜に対して、膜表面のラ
マン分光スペクトル分析を行い、ラマン分光スペクトル
チャートから1100cm-1と1700cm-1の位置間
で線を引き、これをベースラインとし、1160±40
cm-1に存在する最大ピークのピーク強度をH1 、13
40±40cm-1に存在する最大ピークのピーク強度を
2 として、H1 /H2 で表される強度比を算出した。
尚、表1中、試料No.3と試料No.8についてチャート
を図2、図3に示した。なお、ラマン分光分析における
発振源として、レーザーはArレーザー(発振線48
8.0nm)を用いた。
【0038】得られたジェットノズルをウオータージェ
ット加工装置に取付け、ジェット圧力3000kg/c
2 、水に対して混入砥粒として#80(80メッシュ
通過粉末)のアルミナ粉末を添加し、砥粒0.3kg/
分の噴射条件で5分間噴射させた。そして、試験前後の
ノズル噴出口の内径変化を測定し、径の変化量を摩耗量
として表1に示した。
【0039】(比較例1)硬質炭素膜を被覆しない超硬
合金(WC90重量%−TiC4重量%−Co6重量
%)および焼結ダイヤモンドからなるノズルを用いて、
実施例1と同様の試験を行いその結果を表1の試料No.
14、No.15に示した。
【0040】(比較例2)ノズル基体として実施例にお
いて用いたTi合金を用いて、マイクロ波CVD法によ
って、中間層形成を実施例と同じガス比で、ガス濃度1
%、母材温度950℃、炉内圧力30torrの条件で
10時間成膜した後、さらに表1に示す条件で成膜し5
μmの硬質炭素膜を形成した。これらのノズルについて
も、実施例1と同様の試験を行い、その結果を表1試料
No.8に示した。
【0041】
【表1】
【0042】表1の結果によれば、H1 /H2 が0.0
5〜2の硬質炭素膜を形成した本発明のノズル(試料N
o.2〜6、9〜11、13)は、いずれも非柱状組織か
らなるもので、表面粗さがRmax0.2μm以下の平
滑性に優れるもので膜中にはボイドなどの発生も全くな
いものであった。そして、試験においても耐摩耗性に優
れ膜の剥離等の発生もほとんど観察されなかった。
【0043】また、比較例として超硬合金では、摩耗量
が大きく、焼結ダイヤモンドにおいても摩耗が大きいも
のであった。また、マイクロ波CVD法等で作製された
硬質炭素膜や、成膜条件によってH1 /H2 の比率が
0.05よりも小さい試料No.1、8では、いずれも柱
状組織からなるもので表面に凹凸が観察され、いずれも
表面粗さがRmax1μmを越えるものであり、試験に
おいて一部に膜剥離が観察された。またH1 /H2 の比
率が2よりも大きい試料No.7、12では、硬質炭素膜
の硬度が低下し耐摩耗性が低いものであった。
【0044】
【発明の効果】以上詳述したように、本発明の液体噴射
ノズルは、硬質炭素膜がボイドがなく平滑性に優れるた
めに、流動体の接触において耐摩耗性に優れるととも
に、膜の剥離等を防止できる。しかも、流動体の流れに
影響がなく、耐久性に優れたノズルを提供できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の液体噴射ノズルの典型的な構造を示す
概略図である。
【図2】本発明における硬質炭素膜(表1中、試料No.
3)のラマン分光スペクトル図である。
【図3】従来の硬質炭素膜(表1中、試料No.8)のラ
マン分光スペクトル図である。
【符号の説明】
1 液体噴射ノズル 2 管部 3 端部 4 硬質炭素膜
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 平3−184800(JP,A) 特開 昭60−123203(JP,A) 特開 平4−236779(JP,A) 特開 平2−212310(JP,A) 特開 平8−92744(JP,A) 実開 平4−33949(JP,U) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) B05B 1/00 B24C 5/04 B41J 2/135 B29C 45/20

Claims (3)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】内部を流動体が流れる管部を具備し、該管
    部から圧力付勢された流動体を噴射するためのノズルに
    おいて、前記流動体と接触する管部内壁をラマン分光ス
    ペクトルにおいて1340±40cm-1と1160±4
    0cm-1にピークが存在し、且つ1160±40cm-1
    に存在するピークのうち最も強度の強いピーク強度をH
    1 、1340±40cm-1に存在するピークのうち最も
    強度の強いピーク強度をH2 とした時、H1 /H2 で表
    されるピーク強度比が0.05乃至2の硬質炭素膜によ
    り被覆したことを特徴とする液体噴射ノズル。
  2. 【請求項2】前記硬質炭素膜は、非柱状組織からなるこ
    とを特徴とする請求項1記載の液体噴射ノズル。
  3. 【請求項3】前記管部と前記硬質炭素膜との間に、少な
    くともダイヤモンドと金属炭化物を含有する中間層が存
    在することを特徴とする請求項1記載の液体噴射ノズ
    ル。
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