JP3519902B2 - 塩素含有重合体用安定剤及びその製造方法 - Google Patents

塩素含有重合体用安定剤及びその製造方法

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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、新規な塩基性フタル酸
硫酸鉛から成る塩素含有重合体用安定剤及びその製造方
法に関するもので、より詳細には初期着色が少なく、向
上した熱安定性を有する塩素含有重合体用安定剤及びそ
の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、三塩基性硫酸鉛、二塩基性フタル
酸鉛、三塩基性マレイン酸鉛等の塩基性鉛塩は、塩素含
有重合体、特にポリ塩化ビニル樹脂の安定剤として、広
く用いられている。
【0003】高温での耐熱性を要求される電線被覆等の
用途には、可塑剤の揮発を防止すべく、ポリエステル型
の可塑剤が広く使用されている。鉛系安定剤として最も
代表的な三塩基性硫酸鉛は、ポリエステル系可塑剤を加
水分解する傾向があり、この用途には二塩基性フタル酸
鉛が優れていることが知られている。
【0004】例えば、特開昭56−67354号公報に
は、塩基度40%以上の塩基性鉛化合物、特に二塩基性
フタル酸鉛をポリ塩化ビニル組成物の熱安定剤として用
いることが記載されている。また、特開昭57−117
549号公報には、塩素化ポリエチレン組成物の脱塩化
水素防止剤として二塩基性フタル酸鉛が使用されること
が記載されている。更に、特開昭60−278552号
公報には、ポリ塩化ビニル樹脂100重量部に安定剤、
可塑剤、充填剤と、二塩基性フタル酸鉛1重量部以上を
添加してなるポリ塩化ビニル樹脂組成物が記載されてい
る。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、公知の
二塩基性フタル酸鉛は、黄色への着色傾向があり、電線
被覆等に使用した場合、電線被覆が既に劣化していると
いう誤認を与えるトラブルがある。また、塩素含有重合
体に配合した際、初期着色傾向があると共に、熱老化性
も未だ十分満足するものではなかった。
【0006】本発明者らは、一酸化鉛の水性スラリー
に、フタル酸を或る量で反応させ、次いで反応後のスラ
リーに硫酸を添加して続いて反応を行う場合には、文献
未載の塩基性フタル酸硫酸鉛が得られ、この塩基性フタ
ル酸硫酸鉛は、従来の二塩基性フタル酸鉛に比して、初
期着色傾向が顕著に改善され、しかも熱安定性や熱老化
性にも優れていることを見出した。
【0007】即ち、本発明の目的は、新規な化学組成の
塩基性フタル酸硫酸鉛から成り、初期着色傾向が顕著に
改善され、しかも熱安定性や熱老化性にも優れている塩
素含有重合体用安定剤及びその製造方法を提供するにあ
る。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明によれば、下記式
(1) nPbO・PbMx(SO4 )y・mH2 0 ‥(1) 式中、nは1.5乃至2.5の数てあり、Mはフタル酸
根を表わし、xは0.5乃至0.95の数であり、yは
0.05乃至0.5の数であって、xとyの合計は1で
あるものとし、mは1以下の数である。で表わされる化
学組成を有する塩基性フタル酸硫酸鉛から成ることを特
徴とする塩素含有重合体用安定剤が提供される。
【0009】本発明の安定剤においては、 1.塩基性フタル酸硫酸鉛が、塩基性フタル酸鉛と塩基
性硫酸鉛との混晶から成るか、或いは下記のX線回折像 面間隔(dÅ) ピーク強度 12.3 100 3.03 10 2.42 9 6.05 8 4.03 3 2.02 3 と実質上同一のX線回折像を有するものであること、 2.塩基性フタル酸硫酸鉛が、電子顕微鏡で観察して5
乃至30のアスペクト比を有すること、 3.レーザー回折式粒度分布測定で、0.35乃至2μ
mの体積基準メジアン径と、が好ましい。
【0010】本発明によればまた、一酸化鉛及び触媒量
の一塩基酸或いはそのアンモニウム塩を含有する水性ス
ラリーに、フタル酸乃至その塩を添加して両者を反応さ
せ、反応後のスラリーに硫酸を添加して続いて反応を行
い、この際、フタル酸乃至その塩と硫酸のモル比を5
0:50乃至95:5の範囲、一酸化鉛とフタル酸乃至
その塩のモル比を2.5:1乃至3.5:1の範囲とす
ることを特徴とする塩基性フタル酸硫酸鉛から成る塩素
含有重合体用安定剤の製造方法が提供される。本発明の
方法において、反応を60℃乃至95℃の温度で行うこ
とが好ましい。
【0011】
【発明の実施形態】
[作用]本発明は、既に述べたとおり、一定の条件下に
一酸化鉛にフタル酸を先ず反応させ、次いで硫酸を反応
させて得られる複合物は、公知の二塩基性フタル酸鉛や
塩基性フタル酸鉛と塩基性硫酸鉛との単なる混合物に比
して、顕著に改善された初期着色傾向と熱老化性を示す
という知見に基づくものである。
【0012】下記表1は、後述する実施例の結果の一部
を抜粋して示したものである。
【表1】 試料 黄色度 熱老化性(日) 熱安定持続時間(min) A 二塩基性フタル酸鉛 10.5 3 317 B 三塩基性硫酸鉛 −1 2 234 C A:B=9:1の混合物 9.4 2 315 D 塩基性フタル酸硫酸鉛 1.1 3 320
【0013】即ち、二塩基性フタル酸鉛は三塩基性硫酸
鉛に比して熱老化性には優れているものの、黄色への初
期着色傾向が大きく、また、二塩基性フタル酸鉛と三塩
基性硫酸鉛とを本発明の塩基性フタル酸硫酸鉛と同様の
比率でブレンドした混合物は、その比率に対応して黄色
度が若干小さい値となり、また熱老化性が低下している
のに対して、本発明に用いる塩基性フタル酸硫酸鉛で
は、黄色への着色傾向が著しく小さく、しかも熱老化性
も顕著に向上していることが明らかである。
【0014】本発明において、塩基性フタル酸硫酸鉛
が、二塩基性フタル酸鉛や塩基性フタル酸鉛と塩基性硫
酸鉛との単なる混合物とは異なる作用を示すのは、本発
明に用いる塩基性フタル酸硫酸鉛では、塩基性フタル酸
鉛と塩基性硫酸鉛とが混晶或いは固溶体として存在して
いるためと認められる。
【0015】[塩基性フタル酸硫酸鉛]本発明に用いる
塩基性フタル酸硫酸鉛は、前記一般式(1)で示される
化学組成を有する。この塩基性フタル酸硫酸鉛は、包括
的に一般式(1)の組成を有するということであり、例
えばフタル酸鉛及び硫酸鉛は、混晶乃至固溶体の形で存
在するという範囲内で、一塩基性塩、二塩基性塩、三塩
基性塩、それよりも塩基性の大きい塩基性塩或いはそれ
らの組合せの任意の塩基性塩の形て存在し得る。
【0016】この塩基性フタル硫酸鉛における塩基成分
(PbO)の量比nは、熱安定性と初期着色性乃至色相
(白色度)との両方に関連しており、nが前記範囲より
も小さい場合には、熱安定性が不満足なものとなり、n
が前記範囲よりも大きい場合には色相(自色度)が不満
足なものとなる。本発明においては、上記特性の組合せ
からは、nが1.5乃至2.5の範囲内にあることが望
ましい。
【0017】一方、フタル酸と硫酸とのモル比(x:
y)が前記範囲内にあることは、初期着色防止と耐熱老
化性熱安定性の点で重要であり、xの値が上記範囲より
も大きい場合、通常の二塩基性フタル酸鉛を使用する場
合に比して初期着色防止の点で格別の利点がなくなり、
xの値が上記範囲よりも小さい場合、耐熱老化性が低下
する傾向がある。これらのバランスの点で、x:yの比
は9.5乃至0.5:8乃至2の範囲にあることが望ま
しい。
【0018】前記一般式(1)において、結晶水の量
(m)は、ほぼ硫酸根(SO4 )の含有量に依存して変
化し、mの値は1以下、特に0.3乃至1の数である。
【0019】本発明に用いる塩基性フタル酸硫酸鉛は、
塩基性フタル酸鉛と塩基性硫酸鉛との混晶或いは固溶体
からなる。混晶が生成するか、或いは固溶体が生成する
かは反応温度に依存する。一般に後述する反応温度の内
でも高温側では混晶が生成し、低温側では固溶体が生成
する。
【0020】図1は、本発明に用いる式(2) 2PbO・PbM0.9(SO4 0.1・0.5H2 0 ‥(2) の組成の混晶型塩基性フタル酸硫酸鉛のX線回折像であ
る。一方、図2は二塩基性フタル酸鉛のX線回折像であ
り、また図3は三塩基性酸硫酸鉛のX線回折像である。
これらの比較から、混晶型塩基性フタル酸硫酸鉛は、二
塩基性フタル酸鉛のX線回折ピークと三塩基性硫酸鉛の
X線回折ピークとを有していることが明らかである。
【0021】図4は、本発明に用いる式(2) 1.9PbO・PbM0.9(SO4 0.1・0.6H2 0 ‥(2) の組成の固溶体型塩基性フタル酸硫酸鉛のX線回折像で
ある。図2のX線回折像から、二塩基性フタル鉛に帰属
する大きな回折ピークと、二塩基性フタル酸鉛や三塩基
性酸硫酸鉛の何れにも帰属しない下記のX線回折ピーク
とを有していることが明らかである。このことは、二塩
基性フタル酸鉛の結晶相に三塩基性硫酸鉛が侵入或いは
置換していることを物語っている。
【0022】本発明に用いる塩基性フタル酸硫酸鉛は、
種々の粒径で用いることができるが、レーザー回折式粒
度分布で測定して0.35乃至2μmとなるような粒度
分布を有することが、塩素含有重合体に対する分散性と
熱安定性との点で好ましい。また、粒子形状としては、
電子顕微鏡で観察して、1乃至20のアスペクト比を有
することが、塩素含有重合体に配合し、成形したときの
配向傾向を防止するために好ましい。
【0023】図5は混晶型塩基性フタル酸硫酸鉛の走査
型電子顕微鏡写真(倍率3000倍)であり、図6は固
溶体型塩基性フタル酸硫酸鉛の走査型電子顕微鏡写真
(倍率3000倍)である。
【0024】[塩基性フタル酸硫酸鉛の製造]この塩基
性フタル酸硫酸鉛の製造に際しては、一酸化鉛のスラリ
ーに対して先ずフタル酸成分を反応させることが重要で
あり、フタル酸分と硫酸分とを同時に反応させることも
できるが、この場合には、生成物の熱安定剤の作用や耐
熱老化性が本発明のものよりもかなり劣るようになる。
また、一酸化鉛に対して硫酸分を先に反応させ、次にフ
タル酸分を反応させた場合には、初期着色の改善は得れ
ない。
【0025】反応に際して、一酸化鉛の水性スラリー
は、一般に50乃至200g/Lの濃度で用いるのがよ
い。触媒としての一塩基酸としては、酢酸等の有機モノ
カルボン酸や硝酸等の無機の一塩基酸が使用され、その
アンモニウム塩も使用できる。これらの触媒は、一酸化
鉛一モル当り0.001乃至0.05モルの割合で使用
する。
【0026】反応温度は、特に制限はないが、フタル酸
成分の溶解性の点から、一般に60乃至95℃の温度範
囲が好適であり、この内でも、固溶体の製造の場合に
は、60乃至80℃未満の範囲が、また混晶の製造の場
合には80乃至95℃の温度範囲が好適である。
【0027】反応は、所定量のフタル酸或いはその塩
を、好適には水に稀釈した状態で、一酸化鉛及び触媒を
含有する水性スラリー中に添加し、撹拌することにより
行われる。フタル酸の塩としては、アンモニウム塩やナ
トリウム等のアルカリ金属塩が使用される。配合樹脂の
電気絶縁性の点ではアンモニウム塩が好適である。これ
らの塩は、フタル酸の溶解を促進させる作用を有する。
全てのフタル酸を塩の形で用いる必要は必ずしもなく、
一般にフタル酸成分の内、0.01乃至0.1モル%が
塩であれば、上記の目的を達成できる。
【0028】反応時間は、温度によつても相違するが、
一般に1乃至5時間の範囲が適当である。フタル酸成分
との反応に続いて、このスラリー中に所定量の硫酸を、
必要により稀釈した状態で添加し、同様な条件下に撹拌
下に反応させる。
【0029】反応後のスラリーは、三塩基性硫酸鉛製造
の場合とほぼ同様の条件下で熟成を行つて、結晶粒子サ
イズの調節を行うことができる。また、この反応系中に
高級脂肪酸アンモンや高級脂肪酸鉛等の金属石ケン、或
いはビスフエノールA等のポリヒドロキシ化合物等を配
合して被覆処理を行い得る。得られた生成物は、炉過、
水洗、乾燥等の処理を行つて製品とする。
【0030】[用途]本発明に用いる塩基性フタル酸硫
酸鉛は、単独で、粉末或いは粒状の塩素含有重合体用熱
安定剤として使用し得る他、各種金属石齢、金属水酸化
物、炭酸塩、ケィ酸塩等の安定助剤、抗酸化剤、紫外線
吸収剤、可塑剤、滑剤、電気絶縁性向上剤、着色料等を
配合して、粉末或いは粒状の複合安定剤としても使用し
得る。
【0031】本発明の安定剤を配合する塩素含有重合体
としては、例えば、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデ
ン、塩素化ポリ塩化ビニル、塩素化ポリエチレン、塩素
化ポリプロピレン、塩素化ゴム、塩化ビニル−酢酸ビニ
ル共重合体、塩化ビニル−エチレン共重合体、塩化ビニ
ル−プロピレン共重合体、塩化ビニル−スチレン共重合
体、塩化ビニル−イソブチレン共重合体、塩化ビニル−
塩化ビニリデン共重合体、塩化ビニル−スチレン−無水
マレイン酸三元共重合体、塩化ビニル−スチレン−アク
リロニトリル共重合体、塩化ビニル−ブタジエン共重合
体、塩素化ビニル−塩化プロピレン共重合体、塩化ビニ
ル−塩化ビニリデン−酢酸ビニル三元共重合体、塩化ビ
ニル−アクリル酸エステル共重合体、塩化ビニル−マレ
イン酸エステル共重合体、塩化ビニル−メタクリル酸エ
ステル共重合体、塩化ビニル−アクリロニトリル共重合
体、内部可塑化ポリ塩化ビニル等の重合体、及びこれら
の塩素含有重合体とポリエチレン、ポリプロピレン、ポ
リブテン、ポリ−3−メチルブテンなどのα−オレフィ
ン重合体又はエチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン
−プロピレン共重合体、などのポリオレフィン及びこれ
らの共重合体、ポリスチレン、アクリル樹脂、スチレン
と他の単量体(例えば無水マレイン酸、ブタジエン、ア
クリロニトリルなど)との共重合体、アクリロニトリル
−ブタジエン−スチレン共重合体、アクリル酸エステル
−ブタジエン−スチレン共重合体、メタクリル酸エステ
ル−ブタジエン−スチレン共重合体とのブレンド品など
を挙げることができる。
【0032】上記塩素含有重合体組成物には、本発明の
安定剤と共に、それ自体公知の塩素含有重合体用配合剤
をそれ自体公知の処方に従って、配合することができ
る。例えば、本発明の組成物には、可塑剤、滑剤、絶縁
性向上剤、充填剤、着色剤、耐候安定剤、老化防止剤、
光安定剤、紫外線吸収剤、帯電防止剤、改質用樹脂乃至
ゴム、等の公知の樹脂配合剤を、それ自体公知の処方に
従って配合できる。
【0033】可塑剤としては、フタル酸エステル系可塑
剤、アジピン酸エステル系可塑剤等のエステル系可塑
剤、ポリエステル系可塑剤、燐酸エステル系可塑剤、塩
素系可塑剤、テトラヒドロフタール酸系可塑剤、アゼラ
イン酸系可塑剤、セバチン酸系可塑剤、ステアリン酸系
可塑剤、クエン酸系可塑剤、トリメリット酸系可塑剤、
ピロメリット酸系可塑剤などがあげられる。これらの内
でも、高温での耐熱老化性が要求される電線被覆、例え
ばエンジンルーム用の電線被覆の用途には、ポリエステ
ル系可塑剤、トリメリット酸系可塑剤、ピロメリット酸
系可塑剤を用いることが推奨される。
【0034】滑剤としては、(イ)流動、天然または合
成パラフィン、マイクロワックス、ポリエチレンワック
ス、塩素化ポリエチレンワックス等の炭化水素系のも
の、(ロ)ステアリン酸、ラウリン酸等の脂肪酸系のも
の、(ハ)ステアリン酸アミド、バルミチン酸アミド、
オレイン酸アミド、エシル酸アミド、メチレンビスステ
アロアミド、エチレンビスステアロアミド等の脂肪酸モ
ノアミド系またはビスアミド系のもの、(ニ)ブチルス
テアレート、硬化ヒマシ油、エチレングリコールモノス
テアレート等のエステル系のもの、(ホ)セチルアルコ
ール、ステアリルアルコール等のアルコール系のもの、
(ヘ)ステアリン酸鉛、ステアリン酸カルシウム等の金
属石ケンおよび(ト)それらの混合系が一般に用いられ
る。
【0035】
【実施例】下記に本発明の実施例を例示する。本実施例
で用いられる試験方法は下記の通りである。
【0036】(1)平均粒径測定 平均粒径(メジアン径;μm)はコールターカウンター
社製のレーザー回折型粒子サイズアナライザー(コール
ターR LS130)を用いて測定した。 (2)X線回折測定 理学電機(株)製のRAD−IBシステムを用いて、C
u−Kαにて測定した。 ターゲット Cu フィルター 湾曲結晶グラファイトモノクロメーター 検出器 SC 電圧 40KVP 電流 20mA カウントフルスケール 700c/s スムージングポイント 25 走査速度 2°/min ステップサンプリング 0.02° スリット DS1° RS0.15mm SS1° 照角 6° (3)黄色度試験(N値) 下記に示す配合1の組成物を温度150℃、5分間混練
ロールで混練を行い、厚さ1mmのPVCシートを作成し
た。プレスシートを色差計(日本電色1001DP)で
黄色度を示すN値を測定した。標準白色度板(Y、X、
Z=94.1,92.1,110.5)を使用した。N=100(1.28
X−106Z/Y) <配合1> PVC(重合度=1050) 100部 DOP 50部 試料 3部 ステアリン酸 0.2部 (4)熱老化性試験 下記に示す配合2の組成物を温度150℃、5分間混練
ロールで混練を行い、厚さ1mmのPVCシートを作成
し、158℃のオーブン中に入れ黒化するまでの日数を
測定した。 <配合2> PVC(重合度=1050) 100部 TOPM 50部 試料 3部 (5)熱安定性試験(HT) JIS6723に準拠し、配合1の軟質塩化ビニルシー
トを1.0mm×1mmに裁断し、コンゴーレッド紙を
装着した試験管に試料チップ2gを充填、180℃に加
熱し、塩化ビニルの熱分解による塩化水素脱離時間を測
定した。 (6)ギアオーブン耐熱試験 配合1の組成物を温度150℃、5分間混練ロールで混
練を行い、厚さ1mmのPVCシートを作成した。このシ
ートを185℃のオーブン中に入れ60分ごとの色相変
化を目視にて測定した。評価については下記の通り。 1 白色 2 淡薄黄色 3 薄黄色 4 黄色 5 濃黄色 6 茶色 7 黒色
【0037】(実施例1)市販のリサージ(一酸化鉛)
粉末79.2gに水を加えてそのスラリー濃度が12w
%となるように調製した、このスラリーに17.5N酢
酸0.14mlを添加しリサージスラリー液を得る。こ
れとは別に95℃の水にフタル酸16g、アンモニア水
(3.34N)2.6mlを加えフタル酸溶液を得る。
このリサージスラリー液を攪拌しながらフタル酸溶液を
1時間かけて注加し90℃に保ちながら反応させる、反
応終了後1時間熟成する(モル比は硫酸:フタル酸=
2:8)。次にこの溶液に12.83Nの硫酸1.8m
lを加え攪拌し、30分熟成する。この反応終了液にス
テアリン酸鉛を0.5g添加し、均一に分散して表面処
理を行った。水洗、濾過後110℃で乾燥、アトマイザ
ーで粉砕し塩基性フタル酸硫酸鉛(試料1)を得た、こ
の試料の体積平均粒径は0.9μmであった。更に試料
1のX線回折像を図7に、走査型電子顕微鏡写真を図8
に示す。この試料1の組成式を下記に示す。 2.2PbO・Pb(C8440.8(SO40.2・0.6H2
【0038】(実施例2)実施例1の反応温度を75℃
に変更した以外は同様にして二塩基性フタル酸硫酸鉛
(試料2)を得た、この試料の体積平均粒径は0.5μ
mであった。更に試料2のX線回折像を図9に示す。
【0039】(実施例3)実施例1の硫酸とフタル酸の
モル比を1:9に変更した以外は同様にして二塩基性フ
タル酸硫酸鉛(試料3)を得た、この試料の体積平均粒
径は0.8μmであった。更に試料3のX線回折像を図
1に示す。この試料3の組成式を下記に示す。 2.2PbO・Pb(C8440.9(SO40.1・0.2H2
【0040】(実施例4)実施例2の硫酸とフタル酸の
モル比を1:9に変更した以外は同様にして塩基性フタ
ル酸硫酸鉛(試料4)を得た、この試料の体積平均粒径
は0.8μmであった。更に試料4のX線回折像を図2
に示す。
【0041】(比較例1)実施例1の硫酸の添加を省略
しフタル酸の量を19.2gとし、他は同様にして二塩
基性フタル酸鉛の粉末を得た(試料5)。この試料の粒
径は0.8μmであった、更にX線回折像を図3に示
す。
【0042】(比較例2)実施例1の硫酸の添加を省略
し、他は同様にして得た塩基性フタル酸鉛の粉末3.8
gに市販の三塩基性硫酸鉛(水澤化学工業製:スタビネ
ックスTC)を1.2g加え、混合物(試料6)を得
る。この試料の粒径は0.8μmであった。
【0043】(比較例3)実施例1の硫酸の添加を省略
し、他は同様にして得た二塩基性フタル酸鉛の粉末4.
4gに市販の三塩基性硫酸鉛(水澤化学工業製:スタビ
ネックスTC)を0.6g加え、混合物(試料7)を得
る。この試料の粒径は0.8μmであった。
【0044】(比較例4)実施例1の硫酸とフタル酸の
モル比を4:6に変更した以外は同様にして塩基性フタ
ル酸硫酸鉛(試料8)を得た、この試料の体積平均粒径
は0.9μmであった。更に試料のX線回折像を図10
に示す。
【0045】(応用例1)実施例1で製造した試料1を
含む組成物について、150℃で5分間混練し厚さ1.
0mmのシートを作成した、このシートについて黄色度試
験、ギヤオーブン耐熱試験及び熱安定性試験(HT)を行
った。その結果を表2に示す。
【0046】(応用例2〜8)応用例1と同様に試料2
〜8を含むシートを作成し、黄色度試験、ギヤオーブン
耐熱試験及び熱安定性試験(HT)を行った。その結果を
表2に示す。
【0047】
【表2】
【0048】
【発明の効果】本発明によると、一酸化鉛の水性スラリ
ーに、フタル酸を或る量で反応させ、次いで反応後のス
ラリーに硫酸を添加して続いて反応を行う場合には、従
来の文献には記載されていない塩基性フタル酸硫酸鉛が
得られ、この塩基性フタル酸硫酸鉛は、従来の二塩基性
フタル酸鉛に比して、初期着色傾向が顕著に改善され、
しかも熱安定性や熱老化性にも優れている。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に用いる混晶型塩基性フタル酸硫酸鉛の
X線回折像である。
【図2】本発明に用いる固溶体型塩基性フタル酸硫酸鉛
のX線回折像である。
【図3】二塩基性フタル酸鉛のX線回折像である。
【図4】三塩基性硫酸鉛のX線回折像である。
【図5】本発明に用いる混晶型塩基性フタル酸硫酸鉛の
粒子構造を示す電子顕微鏡写真である。
【図6】本発明に用いる固溶体型塩基性フタル酸硫酸鉛
の粒子構造を示す電子顕微鏡写真である。
【図7】実施例1で得られた混晶型塩基性フタル酸硫酸
鉛のX線回折像である。
【図8】実施例1で得られた混晶型塩基性フタル酸硫酸
鉛の粒子構造を示す電子顕微鏡写真である。
【図9】実施例2で得られた固溶体型塩基性フタル酸硫
酸鉛のX線回折像である。
【図10】比較例4で得られた硫酸とフタル酸のモル比
を4:6のフタル酸硫酸鉛のX線回折像である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 須貝 和人 東京都中央区日本橋室町四丁目1番21号 水澤化学工業株式会社内 (56)参考文献 特開 平4−161442(JP,A) 特開 昭56−70045(JP,A) 特開 昭54−68793(JP,A) 特開 昭50−28548(JP,A) 特公 昭49−36821(JP,B1) 特公 昭49−20474(JP,B1) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) C08L 27/04 - 27/08

Claims (7)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 下記式(1) nPbO・PbMx(SO4 )y・mH2 0 ‥(1) 式中、nは、1.5乃至2.5の数てあり、Mはフタル
    酸根を表わし、xは0.5乃至0.95の数であり、y
    は0.05乃至0.5の数であって、xとyの合計は1
    であるものとし、mは1以下の数である。で表わされる
    化学組成を有する塩基性フタル酸硫酸鉛から成ることを
    特徴とする塩素含有重合体用安定剤。
  2. 【請求項2】 塩基性フタル酸硫酸鉛が塩基性フタル酸
    鉛と塩基性硫酸鉛との混晶から成る請求項1記載の塩素
    含有重合体用安定剤。
  3. 【請求項3】 塩基性フタル酸硫酸鉛が下記のX線回折
    像 面間隔(dÅ) ピーク強度 12.3 100 3.03 10 2.42 9 6.05 8 4.03 3 2.02 3 と実質上同一のX線回折像を有するものである請求項1
    記載の塩素含有重合体用安定剤。
  4. 【請求項4】 塩基性フタル酸硫酸鉛が、電子顕微鏡で
    観察して1乃至20のアスペクト比を有する請求項1乃
    至3の何れかに記載の塩素含有重合体用安定剤。
  5. 【請求項5】 レーザー回折式粒度分布測定で、0.3
    5乃至2μmの体積基準メジアン径を有する請求項1乃
    至4の何れかに記載の塩素含有重合体用安定剤。
  6. 【請求項6】 一酸化鉛及び触媒の一塩基酸或いはその
    アンモニウム塩を含有する水性スラリーに、フタル酸乃
    至その塩を添加して両者を反応させ、反応後のスラリー
    に硫酸を添加して続いて反応を行い、この際、フタル酸
    乃至その塩と硫酸のモル比を50:50乃至95:5の
    範囲、一酸化鉛とフタル酸乃至その塩のモル比を2.
    5:1乃至3.5:1の範囲とすることを特徴とする塩
    基性フタル酸硫酸鉛から成る塩素含有重合体用安定剤の
    製造方法。
  7. 【請求項7】 反応が60℃乃至95℃の温度で行われ
    る請求項6記載の塩素含有重合体用安定剤の製造方法。
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