JP3519239B2 - 対象物の回転角度検出方法 - Google Patents

対象物の回転角度検出方法

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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、2次元撮像装置に
より生産ライン上の製品等の対象物を撮像し、そのデジ
タル画像を基に、対象物の外観上の欠陥を検出する自動
外観検査装置などにおいて、対象物に回転ズレがある場
合に、その対象物の回転角度を検出する方法に関する。
【0002】なお以下各図において同一の符号は同一も
しくは相当部分を示す。
【0003】
【従来の技術】対象物の回転角度を検出する手法として
は、種々の方法が提案されているが、対象物の外形が円
形状の場合については、例えば本出願人の先願になる、
特願平7−43727号の方法がある。この先願におい
ては、対象物の撮像画像上において対象物の中心から所
定半径のサーチ円に沿って2値画像情報を読み出し、そ
の時のサーチ円の円周上の画素値の並びから特徴をなす
円弧セグメントを決定し、その円弧セグメントの方向を
求めて対象物の回転角度を検出する方法が提案されてい
る。
【0004】
【発明が解決しようする課題】しかしながら上述した先
願の回転角度の検出方法には次のような問題がある。例
えば図5において、11が撮像された対象物の画像にお
ける対象物の外形、12が同じく対象物の中心13から
所定の距離にある特徴パタ−ンの画像、44が特徴パタ
−ン12を横切るように中心13から所定半径に設定さ
れた、円周上の画像の並びを調べるための前記したサー
チ円であるとする。そしてたまたま、サーチ円44が4
1,42のようなノイズ画像を横切るものとする。
【0005】ここで、サーチ円44上の2値画像の並び
のみを調べた場合、ノイズ画像41,42と特徴パタ−
ン12との区別は困難で、ノイズ画像41あるいは42
を特徴パタ−ン12と誤判別するおそれがある。さら
に、この先願の回転角度の検出方法では、円周上の画像
の並びをソフトウェアにより1画素ずつ読み出して検出
するために処理時間が長くなり、現実的に許容される処
理時間からは、円周上のせいぜい幅1〜2画素の画像し
か読み出せず、このことからも、ノイズ画像の影響を受
けやすいという問題がある。なお、後者の問題は例えば
円形走査をする回路を用意することによって解決できる
が、この場合には回路規模が大きくなる。
【0006】そこで本発明は、ノイズ画像の影響を受け
難く、また回路規模を大きくすることなく高速に回転角
度の検出ができる、対象物の回転角度検出方法を提供す
ることを課題とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】前記の課題を解決するた
めに請求項1の回転角度検出方法では、(対象物中心1
3を持つ)ほぼ円形の所定の外形(11)を持ち、その
外形の一部又は内部の一部の所定位置に所定の特徴パタ
−ン(12)を持つ対象物を2次元撮像装置(撮像部
1)を用いて撮像し、その映像より(A/D変換部2を
介して)得られる対象物のデジタル画像(以下対象物画
像という)から対象物の回転角度を検出する方法におい
て、前記対象物画像の円形の外形とほぼ同心で、特徴パ
タ−ンを横切るリング状の領域(リング状領域外周円2
1及びリング状領域内周円22によって定まるリング状
マスク領域14)を設定すると共に、このリング状領域
と同心の所定の径を持つ円(以下基円という)を設定
し、所定のしきい値で2値化された前記リング状領域内
の対象物画像(特徴部分2値画像24)をリング状領域
の中心方向に、且つ前記基円上に投影し、得られた投影
データの高さ及びリング状領域の中心に対する角度幅と
に基づいて、回転角検出の基準となる特徴パターン部分
とノイズ画像との区別を行なうと共に、この基円上に並
ぶ投影データ(25)の、基円の円周方向の変化から、
前記リング状領域内の特徴パタ−ンの位置を求め、この
特徴パタ−ンの位置とリング状領域の中心とを結ぶ直線
の傾度から、対象物の回転角度を検出する。
【0008】また請求項2の対象物の回転角度検出方法
では、請求項1に記載の回転角度検出方法において、前
記基円を前記リング状領域の中心円(リング状領域中央
円23)とする。また請求項3の対象物の回転角度検出
方法では、請求項1又は2に記載の回転角度検出方法に
おいて、前記特徴パタ−ンの位置を、前記投影データが
基円の円周方向において所定のしきい値(L0)を越え
る立上がり点(座標X1点など)と、このしきい値を下
回る立下がり点(座標X2点など)との中点によって定
めるようにする。
【0009】また請求項4の対象物の回転角度検出方法
では、請求項1ないし3のいずれかに記載の回転角度検
出方法において、前記投影データが、前記リング状領域
を上,下,左,右の4つの領域(上部走査領域15,下
部走査領域17,左部走査領域16,右部走査領域1
8)に等分割し、前記2値化されたリング状領域内の対
象物画像について、前記上,下の分割領域においては夫
々X方向に、また左,右の分割領域においては夫々Y方
向に各々走査したときの各走査線上の2値画像を前記基
円に投影して得られるようにする。
【0010】
【発明の実施の形態】図4は本発明の一実施例としての
画像処理装置の構成を示すブロック図である。同図にお
いて1は図外の対象物を撮像するTVカメラなどの2次
元撮像装置としての撮像部、1aは撮像部1からその撮
像した映像をラスタ走査して出力される映像信号、2は
映像信号1aをディジタル化するA/D変換部、4はA
/D変換部2によりディジタル化された画像データを前
記撮像映像に対応するディジタル画像(多値画像)とし
て記憶する画像メモリである。なお、ここでは対象物は
円形の外形を持つものとする。
【0011】3はA/D変換部2の出力または画像メモ
リ4を走査して得られる画像データ信号を入力し、対象
物の中心位置を検出する中心位置検出部である。ここ
で、対象物の中心位置を検出する方法としては、上記画
像データの水平,垂直方向への投影により夫々対象物の
上下,左右の端を求め、その中心を求める方法、或いは
上記画像データから対象物の重心位置を求め、これを対
象物の中心位置とする等の方法がある。
【0012】次に5は中心位置検出部3で検出された中
心位置を中心とする所定のリング状のマスク領域を発生
する領域発生部、6は画像メモリ4からこのリング状マ
スク領域によりマスクされた画像メモリ4の部分領域を
走査して読み出す画像メモリ制御部である。また7,
8,9は夫々後述する2値化部,変化点検出部,投影抽
出部である。
【0013】図2は本発明の一実施例としての対象物画
像のマスク領域と走査領域を示す図である。同図におい
て、11は画像メモリ4に格納された画像における対象
物の外形、12は同じく対象物の中心から所定の距離に
ある所定形状の特徴パタ−ン(の画像)で、対象物の回
転角検出の基準となる部分である。13は図4の中心位
置検出部3により検出された対象物の中心位置、14は
図4の領域発生部5により発生される、対象物中心13
を中心としたリング状マスク領域である。
【0014】図4の画像メモリ制御部6は、画像メモリ
4上の画像の内、リング状マスク領域14内の画像の読
出しを、図2に示す上部走査領域15,左部走査領域1
6,下部走査領域17,右部走査領域18の4領域に分
けて行う。ここで各走査領域15,16,17,18
は、リング状マスク領域14をその周に沿って上,左,
下,右に等分割する矩形領域である。
【0015】図4の2値化部7は、画像メモリ制御部6
によって、この各走査領域15〜18別に画像メモリ4
から読出された画像を所定のしきい値で2値化し、次に
図4の変化点検出部8は、各走査領域15〜18別に定
めた方向の走査ライン上で、前記読出された画像の立上
がり点(即ち画素値が“0”から“1”に変化する点)
及び立下がり点(即ち画素値が“1”から“0”に変化
する点)の座標を検出する。なお、ここで上記走査ライ
ンの方向は上部走査領域15及び下部走査領域17では
水平(X)方向とし、左部走査領域16及び右部走査領
域18では垂直(Y)方向とする。
【0016】図1は本発明の一実施例としての対象物の
回転角度検出方法の要部の説明図であり、同図の(a)
は上部走査領域15において2値化された特徴パタ−ン
12の画像の例を拡大して示す。同図において21はリ
ング状マスク領域14の外周円(の一部)、22は同じ
くリング状マスク領域14の内周円(の一部)、24は
このリング状マスク領域14内の特徴パタ−ン12の2
値画像(特徴部分2値画像という)である。なお、23
は外周円21と内周円22との中央に位する円(の一
部)で、ここではリング状領域中央円と呼ぶ。
【0017】図4の投影抽出部9は、前記した変化点検
出部8により検出された立上がり点及び立下がり点の座
標より、特徴部分2値画像24についての、対象物中心
13の方向の、且つ、この例ではリング状領域中央円2
3上の投影データを抽出する。図1の(b)の25はこ
のようにして抽出される投影データの例を示す。次に図
1により、この投影データの抽出方法を説明する。ここ
では上部走査領域15で水平走査が行われて、例えば水
平走査ラインYi上ではPrが立上がり点として、また
Pfが立下がり点として検出されたものとする。いま、
立上がり点Prの座標を(Xr,Yr)、立下がり点P
fの座標を(Xf,Yf)、リング状マスク領域14の
図外の中心(Oとする。なお、これは対象物中心13と
一致する)の座標を(Xo,Yo)、前記リング状領域
中央円23の半径をRoとすると、線分PrOと中央円
23との交点Pr’の座標(Xr’,Yr’)、及び線
分PfOと中央円23との交点Pf’の座標(Xf’,
Yf’)の夫々のX座標Xr’,Xf’は次式(1),
(2)で計算される。
【0018】
【数1】 Xr’=Xo+(Xr−Xo)×Ro /〔(Xr−Xo)2 +(Yr−Yo)2 1/2 ・・・(1) Xf’=Xo+(Xf−Xo)×Ro /〔(Xf−Xo)2 +(Yf−Yo)2 1/2 ・・・(2) この場合、特徴部分2値画像24の投影データ25とし
ては座標X=Xr’からX=Xf’−1の範囲の各座標
点について一様に1画素が加算される。こうして上部走
査領域15の全ての走査ラインについて同様の処理が終
了すると、図1の(b)に示した投影データ25が得ら
れる。
【0019】なお、この方法で得られた投影データ25
の高さは、特徴パタ−ン12が垂直方向を向いた場合は
夫々特徴部分2値画像24の高さに一致するが、特徴パ
タ−ン12が例えば角度θ°傾くと、投影データ25の
高さはcosθだけ低くなる。そこで、例えば投影デー
タの高さを次式(3)で表される値Dを用いてD倍とす
れば、特徴パタ−ン12の傾きによる投影データの高さ
の違いを補正することができる。
【0020】
【数2】 D=1/cosθ =〔(Xr−Xo)2 +(Yr−Yo)2 1/2 /(Yr−Yo) ・・・(3) 次に、投影抽出部9は投影データ25が予め定められた
しきい値L0より小さな値から大きな値に変化する座標
X1、及び同じくしきい値L0より大きな値から小さな
値に変化する座標X2を求める。そして、リング状領域
中央円23上の座標X1,X2の点のリング状領域の中
心Oに対する各方向θ1,θ2を次式(4),(5)に
よって求める。
【0021】
【数3】 θ1=sin-1〔(X1−Xo)/Ro〕 ・・・(4) θ2=sin-1〔(X2−Xo)/Ro〕 ・・・(5) ここでリング状領域の中心Oに対する特徴部分の角度幅
|θ2−θ1|を、予め同様の方法で基準となる対象物
の特徴部分に対して算出された基準角度幅θwと比較
し、例えば次式(6)が満たされれば、判別対象の特徴
部分が正しく基準の特徴部分であると見做す。
【0022】
【数4】 θw−k<|θ2−θ1|<θw+k (但しkは定数) ・・・(6) 判別対象の特徴部分について、この(6)式が満たされ
るならば、この対象物の特徴パタ−ン12の方向θsは
次式(7)で求められる。
【0023】
【数5】 θs=90°−(θ1+θ2)/2 ・・・(7) 一般には左部走査領域16,下部走査領域17,右部走
査領域18でも同様の処理を行うことにより、最終的に
特徴パタ−ン12の存在する走査領域が判明し、特徴パ
タ−ン12の方向θsが確定する。
【0024】特徴パタ−ン12が基準となる方向を向い
ている時に上記の方法で算出された特徴パタ−ン12の
方向をθ0とすると、特徴パタ−ン12の方向がθsの
場合における対象物の回転角はθs−θ0で求められ
る。次に、図3により、上述した本発明の処理がノイズ
画像の影響を受けにくい理由を説明する。同図(b)は
図5と同様に特徴パタ−ン12が垂直方向を向いた場合
の対象物の2値画像、同図(a)は同図(b)に対応す
る投影データである。
【0025】そして同図(b)において、24は特徴部
分2値画像、31,32は夫々図5のノイズ画像41,
42に対応するようなノイズの2値画像であり、また同
図(a)において25Cは図1の25と同様に求められ
た特徴部分2値画像24に対応する投影データ、25N
1,25N2は同じく夫々ノイズの2値画像31,32
に対応して求められた投影データである。
【0026】この場合、特徴部分の投影データ25Cと
ノイズ画像の投影データ25N1とは幅は変わらないが
高さが異なるため、高さに対するしきい値により両者の
区別は可能である。他方、特徴部分の投影データ25C
とノイズ画像の投影データ25N2とは高さだけでな
く、投影データの幅も異なるため、リング状領域の中心
Oに対する投影データの角度幅にしきい値を設けること
により区別が可能である。
【0027】このように投影データの高さに対するしき
い値とリング状領域の中心に対する角度幅についてのし
きい値を設けることにより、特徴パタ−ン12と様々な
ノイズ画像との区別が可能である。
【0028】
【発明の効果】本発明によれば、ほぼ円形の外形を持
ち、その外形又は内部の一部に特徴パタ−ンを持つ対象
物の画像の円形の外形と同心に、特徴パタ−ンを横切る
リング状のマスク領域を設定し、このリング状領域内の
特徴パタ−ンの2値画像についての対象物の中心方向の
投影抽出を行い、対象物の回転角度を検出するようにし
たので、ノイズ画像と回転角検出の基準となる画像部分
(特徴パタ−ン部分)との区別が容易にでき、ノイズの
多い画像でも確実に回転角を検出することができる。ま
た、走査ライン上の2値画像部分の立上がり,立下がり
の変化点の検出までを簡単なハードウェアで構成できる
ため、小さな回路規模で高速に対象物の回転角度を検出
することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施例としての対象物の回転角度検
出方法の要部の説明図
【図2】本発明の一実施例としての対象物画像のマスク
領域と走査領域を示す図
【図3】本発明に基づく特徴部分の投影データとノイズ
画像の投影データとの対比例を示す図
【図4】本発明の一実施例としての画像処理装置のブロ
ック図
【図5】従来技術におけるノイズ画像の影響を説明する
【符号の説明】
1 撮像部 1a 映像信号 2 A/D変換部 3 中心位置検出部 4 画像メモリ 5 領域発生部 6 画像メモリ制御部 7 2値化部 8 変化点検出部 9 投影抽出部 11 対象物外形 12 特徴パタ−ン 13 対象物中心 14 リング状マスク領域 15 上部走査領域 16 左部走査領域 17 下部走査領域 18 右部走査領域 21 リング状領域外周円 22 リング状領域内周円 23 リング状領域中央円 24 特徴部分2値画像 25 投影データ 31,32 ノイズの2値画像 25C 特徴部分の投影データ 25N1 ノイズ画像の投影データ 25N2 ノイズ画像の投影データ

Claims (4)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ほぼ円形の所定の外形を持ち、その外形
    の一部又は内部の一部の所定位置に所定の特徴パタ−ン
    を持つ対象物を2次元撮像装置を用いて撮像し、その映
    像より得られる対象物のデジタル画像(以下対象物画像
    という)から対象物の回転角度を検出する方法におい
    て、前記対象物画像の円形の外形とほぼ同心で、特徴パ
    タ−ンを横切るリング状の領域を設定すると共に、この
    リング状領域と同心の所定の径を持つ円(以下基円とい
    う)を設定し、所定のしきい値で2値化された前記リン
    グ状領域内の対象物画像をリング状領域の中心方向に、
    且つ前記基円上に投影し、得られた投影データの高さ及
    びリング状領域の中心に対する角度幅とに基づいて、回
    転角検出の基準となる特徴パターン部分とノイズ画像と
    の区別を行なうと共に、この基円上に並ぶ投影データ
    の、基円の円周方向の変化から、前記リング状領域内の
    特徴パタ−ンの位置を求め、この特徴パタ−ンの位置と
    リング状領域の中心とを結ぶ直線の傾度から、対象物の
    回転角度を検出することを特徴とする対象物の回転角度
    検出方法。
  2. 【請求項2】請求項1に記載の回転角度検出方法におい
    て、 前記基円を前記リング状領域の中心円とすることを特徴
    とする対象物の回転角度検出方法。
  3. 【請求項3】請求項1又は2に記載の回転角度検出方法
    において、 前記特徴パタ−ンの位置を、前記投影データが基円の円
    周方向において所定のしきい値を越える立上がり点と、
    このしきい値を下回る立下がり点との中点によって定め
    ることを特徴とする対象物の回転角度検出方法。
  4. 【請求項4】請求項1ないし3のいずれかに記載の回転
    角度検出方法において、 前記投影データが、 前記リング状領域を上,下,左,右の4つの領域に等分
    割し、 前記2値化されたリング状領域内の対象物画像につい
    て、前記上,下の分割領域においては夫々X方向に、ま
    た左,右の分割領域においては夫々Y方向に各々走査し
    たときの各走査線上の2値画像を前記基円に投影して得
    られることを特徴とする対象物の回転角度検出方法。
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