JP3518533B2 - ショートアーク型超高圧放電ランプ - Google Patents
ショートアーク型超高圧放電ランプInfo
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Description
圧が150気圧以上となるショートアーク型超高圧放電
ランプに関し、特に、液晶ディスプレイ装置やDMD
(デジタルミラーデバイス)を使ったDLP(デジタル
ライトプロセッサ)などのプロジェクター装置のバック
ライトとして使うショートアーク型超高圧放電ランプに
関する。
のスクリーンに対して、均一にしかも十分な演色性をも
って画像を照明させることが要求され、このため、光源
としては、水銀や金属ハロゲン化物を封入させたメタル
ハライドランプが使われている。また、このようなメタ
ルハライドランプも、最近では、より一層の小型化、点
光源化が進められ、また電極間距離の極めて小さいもの
が実用化されている。
ハライドランプに代わって、今までにない高い水銀蒸気
圧、例えば150気圧、を持つランプが提案されてい
る。これは、水銀蒸気圧をより高くすることで、アーク
の広がりを抑える(絞り込む)とともに、より一層の光
出力の向上を図るというものである。このような超高圧
放電ランプは、例えば、特開平2−148561号、特
開平6−52830号に開示されている。
は、発光管内の圧力が点灯時に極めて高くなるので発光
管部の両側に延在する側管部においては、当該側管部を
構成する石英ガラスと電極および給電用の金属箔を十分
かつ強固に密着させる必要がある。密着性が悪いと封入
ガスが抜けたり、あるいはクラック発生の原因になるか
らである。このため、側管部の封止工程では、例えば、
2000℃もの高温で石英ガラスを加熱して、その状態
において、厚肉の石英ガラスを徐々に収縮したり、ある
いは、石英ガラスをピンチシールすることで側管部の密
着性を上げている。
を焼き込むと、石英ガラスと、電極あるいは金属箔との
密着性は向上するものの、それでもなお、放電ランプ完
成後に側管部が破損し易くなるという問題が発生した。
この問題は、加熱処理後の側管部の温度が徐々に下がる
段階において、電極を構成する材料(タングステン)と
側管部を構成する材料(石英ガラス)との膨張係数の違
いによって相対的な伸縮量が異なり、これが原因して両
者の接触部分にクラックが発生する。このクラックは、
ごく小さいものではあるが、ランプ点灯中において点灯
時の超高圧状態とも相俟ってクラックの成長を導き、こ
れが原因となり放電ランプの破損を導くものと考えられ
る。
が提案されている。この図は放電ランプ1の発光管部2
に側管部3が繋がり、発光管部2内の電極6,7は各々
側管部3の中で金属箔8と接合される。そして、側管部
8に埋設される電極棒6a、7aにはコイル部材10が
巻き付けられている。この構造は電極棒に巻回させたコ
イル部材10によって、電極(棒)の熱膨張に起因する
石英ガラスへの応力を緩和させるものであり、例えば、
特開平11−176385号に記載されている。
の熱膨張を緩和させたとしても、現実には、電極6(6
a)、7(7a)やコイル部材10の周辺にクラックが
残るものであった。このクラックは、非常に微小なもの
ではあるが、発光管部2の水銀蒸気圧が150気圧程度
というような場合には、時として、側管部3の破損につ
ながる場合がある。また、近年、200気圧、さらには
300気圧という非常に高い水銀蒸気圧が要求されてお
り、このような高い水銀蒸気圧においては、ランプ点灯
中に、クラックの成長が促進され、結果として、側管部
3の破損が顕著に起こるという問題があった。つまり、
クラックの存在が最初は微少なものであったとしても、
高い水銀蒸気圧におけるランプの点灯において次第に大
きく成長してしまうということである。これは50〜1
00気圧程度の点灯時蒸気圧を有する水銀ランプにおい
ては決して存在しない新規な技術的課題であるといえ
る。
問題を解決するためになされたものであって、極めて高
い水銀蒸気圧で点灯する超高圧水銀ランプにおいて、十
分に高い耐圧力性を有する構造を提供することである。
にこの発明のショートアーク型超高圧放電ランプは、内
部に一対の電極が対向配置され、かつ、0.15mg/
mm3以上の水銀を封入した発光管部と、その両側に延
在して電極の一部を封止するとともに電極と金属箔を溶
接する側管部からなるショートアーク型超高圧放電ラン
プにおいて、前記金属箔は、全体が矩形状であって、前
記電極と接合する部分は当該電極の直径値より幅の小さ
い先端部を有することを特徴とする。
高圧放電ランプは、請求項1の構成において、前記金属
箔は、前記電極との溶接部を中心として、溶接されてい
ない部分が当該電極に巻き付けられていることを特徴と
する。
は、上記構成を採用することにより、側管部における空
隙そのものを小さくすることで、微少クラックの発生、
成長を抑えようとするものである。具体的には、放電ラ
ンプは、図5に示すように、金属箔8と電極軸7aの間
に空隙Xが不可避的に発生してしまう。この空隙Xに発
光管部の超高圧が印加されることでクラックの発生が助
長されるものであることを突き止めた。つまり、前記の
ように電極軸にコイル部材を巻きつけ、両者の熱膨張率
の違いを良好に緩和させたとしても、このような空隙X
の存在そのものがクラックの発生、成長、助長を導いて
いることを見出した。そして、本願発明は上記構成を新
たに採用することで、側管部において電極を金属箔に良
好に溶接できるとともに、空隙Xをきわめて小さく、現
実にはほとんど発生しない程度にまで抑えることができ
るのである。
(以下、単に「放電ランプ」ともいう)の全体構成を示
す。放電ランプ1は、石英ガラスからなる放電容器によ
って形成された大略球形の発光管部2を有し、この発光
管部2内には、陰極6と陽極7が互いに対向するよう配
置されている。また、発光管部2の両端部から伸びるよ
う各々側管部3が形成され、これらの側管部3内には、
通常モリブデンよりなる導電用金属箔8が、例えばピン
チシールにより気密に埋設されており、陰極6および陽
極7の各々を先端に有する電極棒6a、7aの端部が、
金属箔8の一端部に配置された状態で溶接されて電気的
に接続される。また、金属箔8の他端には、外部に突出
する外部リード9が溶接されている。なお、陰極6、陽
極7はその電極棒6a、7aまで含めて「電極」と称す
ることもある。
ロゲンガスが封入されている。水銀は、必要な可視光波
長、例えば、波長360〜780nmという放射光を得
るためのもので、0.15mg/mm3以上封入されて
いる。この封入量は、温度条件によっても異なるが、点
灯時150気圧以上で極めて高い蒸気圧となる。また、
水銀をより多く封入することで点灯時の水銀蒸気圧20
0気圧以上、300気圧以上という高い水銀蒸気圧の放
電ランプを作ることができ、水銀蒸気圧が高くなるほど
プロジェクター装置に適した光源を実現することができ
る。希ガスは、例えば、アルゴンガスが約13kPa封
入され、点灯始動性を改善するためのものである。ハロ
ゲンは、沃素、臭素、塩素などが水銀その他の金属との
化合物の形態で封入され、ハロゲンの封入量は、例え
ば、10−6〜10−2μmol/mm3の範囲から選
択できるものであって、その機能はハロゲンサイクルを
利用した長寿命化であるが、本発明の放電ランプのよう
に極めて小型で高い内圧を有するものは、このようなハ
ロゲンを封入することも、後述する放電容器の破損、失
透という現象に影響を及ぼしていることが考えられる。
例えば、発光部の最大外径9.5mm、電極間距離1.
5mm、発光管内容積75mm3、管壁負荷1.5W/
mm 3、定格電圧80V、定格電力150Wである。そ
して、この放電ランプは、前記したプロジェクター装置
やオーバーヘッドプロジェクターのようなプレゼンテー
ション用機器に搭載され、演色性の良い放射光を提供す
ることができる。
根元部分の説明用拡大図を示す。(a)は接合前の陽極
7と金属箔8を示すもので、(b)は陽極7と金属箔8
を接合した後の状態を示す。(c)は(b)におけるA
―A’の断面図を示す。金属箔8は全体矩形状である
が、電極と接合する部分に対応して幅の狭い先端部8a
を有している。この先端部8aの幅8a1は、電極
(軸)7aの直径値7a1より小さいことを特徴として
いる。これにより、電極軸7aと金属箔8の接合部分に
おいて不可避的に生じる空隙Xをなくすことができ、あ
るいは、劇的に小さいものとすることが可能となる。結
果として、この空隙Xより発生するクラックそのものを
良好に防止することができる。なお、(b)(c)は、
電極軸7aと金属箔8の接合状態を示しているが、幅狭
の先端部8aのほぼ全域において電極軸7aとの溶接、
例えば、抵抗溶接が行われる。
0.3〜1.5mmの範囲から選ばれ、例えば、φ0.8mmで
あり、金属箔先端部8aの幅は0.3〜1.5mmの範囲から
選ばれ、例えば、0.8mmである。そして、金属箔から
電極への給電作用という観点からは、金属箔先端部8a
の幅は大きい方が良く、電極軸7aの直径値の70%以上
を有することが好ましい。金属箔先端部の長さ方向の大
きさ8a2は溶接代を除いて、0〜5mmの範囲から選ば
れ、例えば、1.5mmである。この領域の中で電極軸は
配置されて金属箔との接合が行われることが好ましい。
すなわち、電極軸は先端部8aを超えて幅広の部分まで
伸びてしまうと、当該部分において不可避的に生じる空
間が発生しかねないからである。
のように、金属箔8の先端部8aに近接する部分8a3
は、直角なカドを設けるのではなくテーパ状にすること
もできる。
発明(請求項2に係る発明)を説明するための拡大図を
示し、図2と同様に、(a)は接合前の陽極7と金属箔
8を示すもので、(b)は陽極7と金属箔8を接合した
後の状態を示す。(c)は(b)におけるA―A’の断
面図を示す。図2と異なる点は、図2における幅狭の先
端部8aを有していないことである。(a)において、
金属箔8は全体矩形状であるが、電極と接合する領域8
bと接合後に電極軸に対して巻きつけられる領域8cが
存在する。なお、図においては点線で領域を区分してい
るが、これは説明の便宜上のもので、現実の金属箔には
このような区分を設ける必要はない。金属箔の電極と接
合する領域8bは、電極軸7aの直径値を同等の幅で形
成され、抵抗溶接などの溶接工程において形成される。
金属箔の電極軸に対して巻き付けられる領域8cは、接
合領域8bの両サイドに形成される領域であり、溶接後
に領域8cを、例えば手作業により電極に巻き付ける。
〜1.5mmの範囲から選ばれ、例えば、0.8mmであり、
金属箔の領域8bの幅は0.3〜1.0mmの範囲から選ば
れ、例えば、0.5mmであり、長手方向溶接代は1〜3m
mの範囲から選ばれ、例えば、2mmである。
陽極に限定されるものではなく、陰極にも適用すること
ができる。また、電極の構造として、図1に示される陽
極のように先端の太径部とそれを支える電極棒から構成
されるものと、図1に示される陰極のように同一径の電
極棒のまま先端まで伸びる形状が存在するが、本発明の
金属箔と電極の接合構造は、陽極、陰極を問うことな
く、いずれの構造の電極においても採用することができ
る。
ランプに関する数値例を紹介する。 側管部の外径 : 6.0mm ランプ全長 : 65.0mm 側管の長さ : 25.0mm 発光管の内容積: 0.08cc 電極間距離 : 2.0mm 定格点灯電圧 : 200w 定格点灯電流 : 2.5A 封入水銀量 : 0.15mg/mm3 希ガス : アルゴンを100Torr
軸と金属箔の接合構造を採用した放電ランプが120本
中1本もランプの性能に支障をきたすレベルのクラック
を発生させていないのに対し、従来の構造、すなわち、
図6に示す構造の放電ランプは120本中51本のラン
プが性能に支障をきたすクラックを発生させた。
ーク型超高圧水銀ランプは、点灯時内気圧が150気圧
を超える超高圧であり、その点灯条件極めて厳しいもの
であるが、金属箔の幅を電極との溶接部分において電極
の直径値以下に小さくするという構成や、金属箔を電極
との溶接部を中心として、溶接されていない部分を電極
に巻き付けるという構成を採用することにより、クラッ
ク防止機能を良好に発揮することができる。
全体図を示す。
部分図を示す。
部分図を示す。
部分図を示す。
す。
Claims (2)
- 【請求項1】内部に一対の電極が対向配置され、かつ、
0.15mg/mm3以上の水銀を封入した発光管部
と、その両側に延在して電極の一部を封止するとともに
電極と金属箔を溶接する側管部からなるショートアーク
型超高圧放電ランプにおいて、前記金属箔は、全体が矩形状であって、前記電極と接合
する部分は当該電極の直径値より幅の小さい先端部を有
する ことを特徴とするショートアーク型超高圧放電ラン
プ。 - 【請求項2】前記金属箔は、前記電極との溶接部を中心
として、溶接されていない部分が当該電極に巻き付けら
れていることを特徴とする請求項1のショートアーク型
超高圧放電ランプ。
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