JP3516412B2 - ガス絶縁静止誘導電器 - Google Patents

ガス絶縁静止誘導電器

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JP3516412B2
JP3516412B2 JP19812994A JP19812994A JP3516412B2 JP 3516412 B2 JP3516412 B2 JP 3516412B2 JP 19812994 A JP19812994 A JP 19812994A JP 19812994 A JP19812994 A JP 19812994A JP 3516412 B2 JP3516412 B2 JP 3516412B2
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【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、SF6 ガスなどの冷媒
を送風機で循環させることにより冷却を行うガス絶縁変
圧器あるいはガス絶縁リアクトルなどのガス絶縁静止誘
導電器に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、ガス絶縁静止誘導電器は、図7お
よび図8に示すように構成されている。即ち、3つのタ
ンク1a,1b,1c内のそれぞれにけい素綱板を積層
した1相分の鉄心2と、この鉄心2の主脚に巻回された
1相分の巻線3から成る機器本体がSF6 ガス等の絶縁
ガス4と共に収納され、巻線3の最外周とタンク1内面
との間にガス止め板5が設置されている。そして、タン
ク外部に前記絶縁ガスを冷却するための複数の冷却器6
と絶縁ガスを循環するための送風機7が設置され、前記
3つのタンク1a,1b,1cと前記複数の冷却器6あ
るいは送風機7の間に共通配管8が設けられ、タンク1
a,1b,1cと共通配管8を接続する配管9aおよび
共通配管8と冷却器・送風機を接続する配管9bが設け
られている。ここで、前記3つのタンクは電気的に接続
されて一台の3相変圧器などを構成することになる。
【0003】複数の冷却器6により冷却された絶縁ガス
4は、送風機7により配管9bから共通配管8に合流
し、それから配管9aに分流してタンク1a,1b,1
cの下部に送られる。ここで、巻線3とタンク1の間は
ガス止め板5で仕切られているため、タンク1a,1
b,1c内に流入した絶縁ガス4は鉄心2および巻線3
の内部に設けられたガス道にそれぞれ分流し、鉄心2お
よび巻線3を冷却しながら上昇し、タンク1a,1b,
1cの上部から配管9aを通って共通配管8に合流し、
配管9bに分流して冷却器6および送風機7に戻ること
になる。これにより、鉄心2と巻線3から成る機器本体
は絶縁ガス4により冷却されると共に絶縁されている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】前記のような共通配管
方式は、例えば変圧器などの負荷状況により送風機の運
転台数を減らした場合でも、各タンクへ比較的均一に絶
縁ガスが流れるようにするため採用されている。しかし
ながら、前記のガス絶縁静止誘導電器においては、複数
の送風機から出たガスが共通配管8内でいったん合流
し、それから各タンクへ分流することになるが、送風機
からの配管9bあるいはタンクからの配管9aが共通配
管8の1箇所に片寄って設置されている場合には、各タ
ンクへの流量バランスが悪化し、あるタンクで流量が減
少する傾向が出てくる。さらに複数の送風機のうち何台
かが故障したような場合には、絶縁ガスの循環する全体
量が減少するだけでなく、故障した送風機の位置により
前記の流量バランスがさらに悪くなるという欠点があ
る。
【0005】このような場合には、最も少ない流量のタ
ンクにおいて、巻線温度が他のタンクに比べて大きくな
るため、これを考慮した冷却設計を行う必要がある。即
ち、巻線を大型化して発熱量を小さくする、送風機の台
数を増やすなどの対策が考えられるが、機器が大型化し
てしまう欠点がある。また、共通配管を大口径化し、共
通配管内の流れの抵抗を小さく均等にし、前記の流量バ
ランスを良くすることも考えられるが、やはり機器が大
型化してしまい、設置面積も大きくなるなどの欠点が生
ずる。
【0006】本発明は上記の従来技術の欠点を取り除
き、何台かの送風機が故障した場合および複数の変圧器
タンクと送風機が片寄って接続されている場合において
も、各タンクに均一なガス流量を流すことができ、かつ
設置面積が小さくコンパクトなガス絶縁静止誘導電器を
得ることを目的とするものである。
【0007】
【課題を解決するための手段】以上の目的を達成するた
めに、請求項1の発明は、複数のタンク内部のそれぞれ
に、けい素綱板を積層した鉄心と、前記鉄心の主脚部分
に銅線を巻回した巻線と、前記巻線の最外周からタンク
内面までタンク内の上下空間を仕切るガス止め板と、絶
縁媒体としてのガスを収納し、前記複数のタンク外部に
複数の冷却器と複数の送風機とを備えたガス絶縁静止誘
導電器において、前記冷却器 1 台と前記送風機1台を1
セットとして各セットを直接前記複数のタンクに接続
し、さらに、前記複数のタンク内の前記ガス止め板に仕
切られる複数の下部空間をそれぞれ連通させ、かつ、前
記ガス止め板に仕切られる複数の上部空間もそれぞれ連
通させたことを特徴とする。
【0008】請求項2の発明は、前記複数の下部空間を
連通する配管および前記複数の上部空間を連通する配管
にそれぞれベローズを設置したことを特徴とする。
【0009】請求項3の発明は、前記複数の下部空間を
連通する配管および前記複数の上部空間を連通する配管
として、それぞれ少なくとも1箇所以上曲がり部を持つ
配管によって構成したことを特徴とする。
【0010】請求項4の発明は、前記複数のタンクのう
ち中央に位置するタンクを基準にした台数が左右対称と
なるように前記複数の冷却器と複数の送風機を配置した
ことを特徴とする。
【0011】請求項5の発明は、前記複数のタンクが3
つの場合、各タンクの下部空間を連通する配管が中央の
タンクを基準として90度付近になるように、また、各
タンクの上部空間を連通する配管が中央のタンクを基準
として90度付近となるように、タンクおよび連通配管
を配置したことを特徴とする。
【0012】
【作用】以上のような請求項1の発明では、何台かの送
風機が故障した場合および複数の変圧器タンクと送風機
が片寄って接続されている場合においても、各タンクに
均一なガス流量を流すことができると共に、それぞれの
タンクを独自に取り外すことが可能で全体の設置面積も
小さくすることができる。
【0013】また、請求項2、請求項3および請求項5
の発明では、前記配管にベローズを設置すること、前記
配管に少なくとも1箇所以上曲がり部をもつ配管を用い
ること、3つのタンクを連通する前記配管のなす角度が
90度付近あるいはそれ以下になるようにタンクと連通
配管を配置したことにより、それぞれのタンクが独自に
取り外し可能となる。
【0014】請求項4の発明では、前記複数のタンクの
うち中央に位置するタンクを基準にした台数が左右対称
となるように前記複数の冷却器と複数の送風機を配置し
たことにより、冷却器と送風機を備えていないタンクが
あったとしても冷却効率のアンバランスが生じない。
【0015】
【実施例】以下、本発明の実施例を図面に基づいて説明
する。図中、図7および図8に示した従来技術と同一の
符号を付した部分は、従来技術と同一または相当部分で
ある。
【0016】(1)第1実施例…図1、図2 本実施例のガス絶縁静止誘導電器は、3つのタンク1
a,1b,1c内のそれぞれにけい素綱板を積層した1
相分の鉄心2と、この鉄心2の主脚に巻回された1相分
の巻線3から成る機器本体がSF6 ガス等の絶縁ガス4
と共に収納されている。各タンク1a,1b,1c内の
巻線3の最外周とタンク内面との間にガス止め板5が設
置されている。さらに、各タンク1a,1b,1cの外
部に前記絶縁ガスを冷却するための複数の冷却器6と絶
縁ガスを循環するための送風機7、および各タンク1
a,1b,1c冷却器を送風機を接続する配管9cを備
えている。すなわち、各タンク1台について、冷却器6
と送風機7が2セットづつ取り付けられている前記3つ
のタンク1a,1b,1c内には、それぞれガス止め板
5に仕切られている下部空間1Aが設けられており、こ
れら各タンクの下部空間1Aが配管10により互いに連
通されている。また、各タンクのガス止め板5よりも上
部の空間1Bも配管11によりそれぞれ連通されてい
る。また、前記配管10,11には位置微調整用のベロ
ーズ12が設置されている。
【0017】このように構成された第1実施例のガス絶
縁静止誘導電器において、複数の冷却器6により冷却さ
れた絶縁ガス4は送風機7によりタンク1a,1b,1
cの下部に送られ、鉄心2および巻線3の内部に設けら
れたガス道に分流し、鉄心および巻線を冷却しながら上
昇し、タンク上部より冷却器6に戻ることになる。ま
た、タンク1台に冷却器と送風機が2セットづつ取り付
けられているため、各タンクのガス流量はほぼ均一であ
り、タンク間の流量のばらつきはほとんど皆無に等し
い。
【0018】また、本実施例において、送風機が1台あ
るいは複数台故障した場合、3つのタンク1a,1b,
1cでガス流入量のバランスが悪化するが、3つのタン
ク下部空間と3つのタンク上部空間がそれぞれ配管によ
り連通されているため、流量の多いタンクから送風機が
故障して流量の少ないタンクへガスが流れることにな
る。この結果、3つのタンク内の下部空間と上部空間の
圧力差は均一に保たれることになり、鉄心や巻線内に流
入するガス流量も均一化されることになる。従って、各
タンクへの流量のばらつきを最小限に抑えることが可能
になる。ここで、配管10,11にベローズ12が設置
されていることにより、前記配管を自由に取り外すこと
が可能になると共に、左右1b,1cのタンクを移動さ
せることなく中央タンク1aを取り外すことも可能にな
る。これにより、何台かの送風機が故障した場合でも、
各タンク1a,1b,1cに均一なガス流量を流すこと
ができ、さらに従来必要であった共通配管が不要になる
ため、設置面積を縮小できる。
【0019】(2)第2実施例…図3 図3は本発明の第2実施例を示すもので、3つの丸形の
誘導電器タンク1a,1b,1cで構成され、左右のタ
ンク1b,1cに冷却器6および送風機7が片寄って接
続されているものである。それぞれのタンク1a,1
b,1cのガス止め板5に仕切られる下部空間1Aおよ
び上部空間1Bは配管10a,11aによって連通され
ている。この配管10a,11aは2箇所の曲がり部を
持っていて、丸いタンク面に対して直角に接続できるよ
うになっている。このような配管を用いることにより、
第1実施例のようにベローズ12を設置しなくても配管
10a,11aを取り外すことが可能になり、左右のタ
ンク1b,1cを移動させることなく中央のタンク1a
を取り外すことも可能になる。
【0020】また、各タンクに均一に冷却器6と送風機
7を配置することができない場合に、第2実施例のよう
に、中央のタンク1aに対して左右対称あるいはそれに
近いように冷却器6と送風機7を配置することにより、
左右のタンク1b,1cから中央のタンク1aへあるい
は中央のタンクから左右のタンクへ流れるようになるた
め、両者の配管に流れるガス量を最小限に抑えることが
可能になり、3つのタンク内の鉄心・巻線に流入するガ
ス量を均一に近づけることができる。
【0021】(3)第3実施例…図4 図4は本発明の第3実施例を示すもので、3つの丸形タ
ンク1a,1b,1c内の前記ガス止め板に仕切られる
複数の下部空間、および前記ガス止め板に仕切られる複
数の上部空間をそれぞれ配管で連通させるに当たり、中
央のタンクと左のタンクを連通する前記配管10bある
いは11bと、中央のタンクと右のタンクを連通する前
記配管10cあるいは11cとのなす角度が90度付近
になるようにタンクおよび連通配管を配置したものであ
る。
【0022】また、この第3実施例では、各タンクに接
続される冷却器6および送風機7は連通配管側にまとめ
て設置している。このように配置することにより、全体
の設置スペース、設置長さなどを最小限にすることが可
能になると共に、左右のタンク1b,1cを移動させる
ことなく中央のタンク1aを取り外すことも可能にな
る。この場合、前記連通配管の角度は90度より小さく
ても左右のタンクを移動させることなく中央のタンクを
取り外すことができ、効果は同様である。
【0023】
【発明の効果】以上、説明したように本発明によれば、
複数のタンクを電気的に組み合わせて1台の変圧器ある
いはリアクトルを構成するガス絶縁静止誘導電器におい
て、各タンク内のガス止め板に仕切られる下部空間と上
部空間を他のタンクの下部空間と上部空間それぞれ連通
させたので、何台かの送風機が故障した場合、あるいは
複数のタンクと送風機が片寄って接続されている場合に
おいても、各タンクに均一なガス流量を流すことができ
る。さらに、共通配管と下部空間を接続する配管も不要
となるので、全体の設置面積も最小限にすることができ
る。その結果、本発明によれば、信頼性に優れ、小型化
されたガス絶縁静止誘導電器を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1実施例を示す平面図。
【図2】図1のAA線の断面図。
【図3】本発明の第2実施例を示す正面断面図。
【図4】本発明の第3実施例を示す平面図。
【図5】従来のガス絶縁変圧器を示す平面図。
【図6】図5の断面側面図。
【符号の説明】
1a,1b,1c…タンク 2…鉄心 3…巻線 4…絶縁ガス 5…ガス止め板 6…冷却器 7…送風機 8…共通配管 9a,9b,9c…配管 10,10a,10b,10c…下部連通配管 11,11a,11b,11c…上部連通配管 12…ベローズ 13,14…配管
フロントページの続き (56)参考文献 特開 平7−161536(JP,A) 特開 平6−84652(JP,A) 特開 昭56−83910(JP,A) 特開 平8−17639(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) H01F 27/08 - 27/22

Claims (5)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 複数のタンク内部のそれぞれに、けい素
    綱板を積層した鉄心と、前記鉄心の主脚部分に銅線を巻
    回した巻線と、前記巻線の最外周からタンク内面までタ
    ンク内の上下空間を仕切るガス止め板と、絶縁媒体とし
    てのガスを収納し、前記複数のタンク外部に複数の冷却
    器と複数の送風機とを備えたガス絶縁静止誘導電器にお
    いて、 前記冷却器 1 台と前記送風機1台を1セットとして各セ
    ットを直接前記複数のタンクに接続し、さらに、 前記複
    数のタンク内の前記ガス止め板に仕切られる複数の下部
    空間をそれぞれ連通させ、かつ、前記ガス止め板に仕切
    られる複数の上部空間もそれぞれ連通させたことを特徴
    とするガス絶縁静止誘導電器。
  2. 【請求項2】 前記複数の下部空間を連通する配管およ
    び前記複数の上部空間を連通する配管にそれぞれベロー
    ズを設置したことを特徴とする請求項1記載のガス絶縁
    静止誘導電器。
  3. 【請求項3】 前記複数の下部空間を連通する配管およ
    び前記複数の上部空間を連通する配管として、それぞれ
    少なくとも1箇所以上曲がり部を持つ配管によって構成
    したことを特徴とする請求項1記載のガス絶縁静止誘導
    電器。
  4. 【請求項4】 前記複数のタンクのうち中央に位置する
    タンクを基準にした台数が左右対称となるように前記複
    数の冷却器と複数の送風機を配置したことを特徴とする
    請求項1記載のガス絶縁静止誘導電器。
  5. 【請求項5】 前記複数のタンクが3つの場合、各タン
    クの下部空間を連通する配管が中央のタンクを基準とし
    て90度付近になるように、また、各タンクの上部空間
    を連通する配管が中央のタンクを基準として90度付近
    となるように、タンクおよび連通配管を配置したことを
    特徴とする請求項1記載のガス絶縁静止誘導電器。
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