JP3515372B2 - 酸化物ガス濃度検出装置及びそれに用いられる記憶媒体 - Google Patents

酸化物ガス濃度検出装置及びそれに用いられる記憶媒体

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JP3515372B2
JP3515372B2 JP17502298A JP17502298A JP3515372B2 JP 3515372 B2 JP3515372 B2 JP 3515372B2 JP 17502298 A JP17502298 A JP 17502298A JP 17502298 A JP17502298 A JP 17502298A JP 3515372 B2 JP3515372 B2 JP 3515372B2
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稔明 近藤
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】本発明は、酸化物ガスの濃度を検出するた
めの酸化物ガス濃度検出装置関する。
【0002】
【従来の技術】従来より、酸化物ガス濃度検出装置とし
て、例えば、特開平2−122255号公報に開示され
ているように、第1拡散律速層を介して被測定ガス側に
連通された第1測定室と、この第1測定室に第2拡散律
速層を介して連通された第2測定室とを、酸素イオン伝
導性の固体電解質層にて形成し、第1測定室には、固体
電解質層を多孔質の電極で挟むことにより第1酸素ポン
ピングセルと酸素濃度測定セルとを形成し、更に、第2
測定室には、同じく固体電解質層を多孔質の電極で挟む
ことにより第2酸素ポンピングセルを形成することによ
り構成されたセンサを用いて、内燃機関等の排気中の酸
化物(例えばNOx)の濃度を検出するようにしたもの
が知られている。
【0003】この種の酸化物ガス濃度検出装置において
は、第1酸素ポンピングセルに通電して、第1測定室か
ら酸素を汲み出すことにより、第1測定室内の酸素濃度
を実質的にゼロにしつつ、第2酸素ポンピングセルに一
定電圧を印加して、第2測定室で酸化物を解離させて発
生させた酸素を汲み出す。そして、この第2酸素ポンピ
ングセルに流れる電流から、被測定ガス中の酸化物ガス
濃度を検出する。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】このような酸化物ガス
濃度検出装置では、第2酸素ポンピングセルに流れる電
流に基づいて酸化物ガス濃度を求めるのであるが、この
電流は通常μAオーダーであり、第1酸素ポンピングセ
ルに流れる電流に比べてかなり小さい。具体的には、第
2ポンピングセルに流れる電流が1μA変化すると、セ
ンサが測定値とする酸化物ガス濃度は100〜200p
pm変化してしまう。このため、外界からの電気的ノイ
ズや熱的影響を受けやすく、センサが使用不能な状態に
なることもある。
【0005】また、被測定ガス中の酸化物ガス濃度は、
第1酸素ポンピングセルを流れる電流と第2酸素ポンピ
ングセルを流れる電流と被測定ガス中の酸化物ガス濃度
との関係を表す特性に基づいて検出されるが、この特性
はセンサごとに微妙に異なるため、多数のセンサにつき
同じ特性に基づいて酸化物ガス濃度を求めたのでは十分
高い精度が得られないおそれがあった。
【0006】本発明は上記課題に鑑みなされたものであ
り、その目的は、どのセンサを使っても酸化物ガス濃度
を高分解能で精度よく測定できる酸化物ガス濃度検出装
置を提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段及び発明の効果】上記課題
を解決するため、本発明は、センサを介して測定される
パラメータに基づいて被測定ガス中の酸化物ガス濃度を
演算回路で算出する酸化物ガス濃度検出装置において、
前記パラメータから酸化物ガス濃度を算出する過程にお
いて用いる補正データを記憶した補正データ記憶媒体を
備えている。
【0008】この酸化物ガス濃度検出装置では、異なる
センサを用いて同じ被測定ガスの酸化物ガス濃度を測定
したとしても、各センサごとのバラツキは補正データに
よって補正される。例えば、被測定ガス中の酸化物ガス
濃度を算出する際に用いるパラメータにつき、そのセン
サのパラメータ(実測したパラメータ)を、予め定めた
標準パラメータ(例えば特定のセンサ本体を標準品とし
たときのパラメータ)に一致させるような補正データを
補正データ記憶媒体に記憶すれば、異なるセンサを用い
て同じ被測定ガスの酸化物ガス濃度を測定したとして
も、各センサごとのバラツキは補正データによって補正
される。このため、いずれのセンサによっても同様の測
定結果が精度よく得られる。このように本発明によれ
ば、簡素な構成で、しかもどのセンサを使っても酸化物
ガス濃度を高分解能で精度よく測定できるという効果が
得られる。なお、この酸化物ガス濃度検出装置は、例え
ば車載用として適している。
【0009】本発明において、請求項2に記載したよう
に、前記センサ及び前記補正データ記憶媒体は、着脱可
能に装着されていてもよい。この場合、例えば故障など
によりセンサを交換する必要が生じたときには、新たな
センサに交換したうえで補正データ記憶媒体もそのセン
サについての補正データを記憶したものに交換すれば、
再びNOx濃度を検出することができる。なお、センサ
は例えばコネクタにより着脱可能としてもよい。また、
補正データ記憶媒体は、例えば、フレキシブルディスク
(フロッピィディスクなど)、光ディスク、光磁気ディ
スクなどの記憶媒体として、ドライバを介して着脱可能
としてもよい。なお、記憶媒体はその記録内容がセンサ
に固有のものであるため、センサごとに添付しておくこ
とが望ましい。また、このような記憶媒体として、請求
項3に記載したように、マウントによって着脱可能に装
着された略ボタン状の記憶媒体であってもよい。このよ
うな記憶媒体としては、例えば、ダラス・セミコンダク
ター・コーポレーション製の商品名タッチメモリボタン
(DS1995)があり、そのマウントとしては同社製
の商品名タッチメモリマウントプロダクツ(DS909
3x)がある。この場合、記憶媒体が小型であるため、
センサに添付しやすい。
【0010】本発明において、請求項4に記載したよう
に、前記センサは、コネクタを介して着脱可能に装着さ
れており、前記補正データ記憶媒体は、前記コネクタに
内蔵されていてもよい。例えば、コネクタに内蔵可能な
記憶媒体としては、例えば、ダラス・セミコンダクター
・コーポレーション製の商品名タッチメモリプローブ
(DS9092)、商品名アッドオンリメモリ(DS2
505)がある。この場合、記憶媒体は、センサと一体
のコネクタに内蔵されているため必ずセンサに添付され
る。
【0011】本発明において、請求項5に記載したよう
に、前記センサは、周囲の少なくとも一部が固体電解質
で形成された第1測定室と第2測定室を有し、前記第1
測定室から前記第2測定室に流入する被測定ガスの酸素
濃度を前記第1測定室の被測定ガスの酸化物がある程度
分解する濃度となるように前記第1測定室に設けられた
第1酸素ポンピングセルを使って酸素を汲み出しあるい
は汲み入れ、また、前記第2測定室内の酸化物を解離さ
せて酸素を発生させ、この酸素を前記第2測定室内の第
2酸素ポンピングセルを使って前記第2測定室から汲み
出し、前記演算回路は、少なくとも第1ポンプ電流と第
2ポンプ電流に基づいて被測定ガス中の酸化物ガス濃度
を算出し、前記補正データ記憶媒体は、第1ポンプ電流
と第2ポンプ電流と被測定ガス中の酸化物ガス濃度との
関係を表す前記センサの特性を標準的な特性に一致させ
る補正データを記憶していてもよい。
【0012】この場合、演算回路が被測定ガス中の酸化
物ガス濃度を算出する上で重要な特性、即ち第1ポンプ
電流と第2ポンプ電流と被測定ガス中の酸化物ガス濃度
との関係を特性につき、センサの特性を標準的な特性
(例えば特定のセンサ本体を標準品としたときの特性)
に一致させるための補正データを記憶している。このた
め、どのセンサを使っても酸化物ガス濃度を高分解能で
精度よく測定できるという効果が顕著に得られる。
【0013】ところで、演算回路は、通常、被測定ガス
中の酸素濃度と第1ポンプ電流との関係に基づいて、第
1ポンプ電流から被測定ガス中の酸素濃度を検出する。
このように検出した酸素濃度から、被測定ガス中の酸素
濃度と第2ポンプ電流との関係に基づいて、オフセット
電流を検出する。そして、第2ポンプ電流からオフセッ
ト電流を差し引いた値に対応する酸化物ガス濃度を、被
測定ガス中の酸化物ガス濃度とする。ここで、オフセッ
ト電流とは、被測定ガス中の酸化物ガス成分がゼロのと
きの第2ポンプ電流をいう。第1測定室から第2測定室
に流れ込む被測定ガス(以下、第2測定室流入ガスとい
う)の酸素濃度を第1測定室の酸化物ガスがある程度分
解する程度の低濃度に制御している訳だが、低濃度とい
えどもわずかながら酸素は残留する。このため、たとえ
被測定ガス中の酸化物ガス成分がゼロであっても、上記
少量残留する酸素によって第2酸素ポンピングセルには
電流が流れる。このとき流れる電流は酸化物ガス濃度に
依存するものではないため、オフセット電流値として第
2ポンプ電流値から差し引くのである。
【0014】このため、本発明において、請求項6に記
載したように、上記特性には、少なくとも、被測定ガス
中の酸素濃度と第1ポンプ電流との関係、被測定ガス中
の酸化物ガス濃度と第2ポンプ電流との関係、被測定ガ
ス中の酸素濃度と第2ポンプ電流(つまりオフセット電
流)との関係が含まれることが好ましい。つまり、これ
ら3つの関係は、演算回路において酸化物ガスを算出す
るうえで重要となる関係であり、測定精度に大きな影響
を及ぼすからである。
【0015】また、上記特性のうち、請求項7に記載し
たように、被測定ガス中の酸化物ガス濃度と第2ポンプ
電流との関係には、被測定ガス中の酸素濃度と、被測定
ガス中の酸化物ガス濃度に対する第2ポンプ電流の変化
率との関係が含まれることが好ましい。被測定ガス中の
酸化物ガス濃度と第2ポンプ電流との関係は通常リニア
であるため、酸化物ガス濃度に対する第2ポンプ電流の
変化率は略一定でこれをIp2ゲインと称する。このI
p2ゲインは被測定ガス中の酸素濃度によって微妙に変
化するため、これを補正すれば、より測定精度を高める
ことができるのである。
【0016】また、上記特性には、請求項8に記載した
ように、センサの温度と第2ポンプ電流との関係が含ま
れることが好ましい。第2ポンプ電流はセンサの温度に
よって影響を受けるため、センサの温度に応じて第2ポ
ンプ電流を補正すれば、より測定精度を高めることがで
きるのである。なお、センサの温度を一定に制御する構
成を採用するのが好ましいが、この場合でも被測定ガス
の温度に追従しきれずセンサの温度が変動してしまうこ
とがあるため、やはりセンサの温度に応じて第2ポンプ
電流を補正するのが好ましい。
【0017】本発明において、請求項9に記載したよう
に、前記酸化物は窒素酸化物であり、前記センサは、周
囲の少なくとも一部が固体電解質で形成された第1測定
室と第2測定室を有し、前記第1測定室から前記第2測
定室に流入する被測定ガスの酸素濃度を前記第1測定室
の被測定ガスの一酸化窒素がある程度分解する濃度とな
るように前記第1測定室に設けられた第1酸素ポンピン
グセルを使って酸素を汲み出しあるいは汲み入れ、ま
た、前記第2測定室内の窒素酸化物を解離させて酸素を
発生させ、この酸素を前記第2測定室内の第2酸素ポン
ピングセルを使って前記第2測定室から汲み出し、前記
演算回路は、少なくとも第1ポンプ電流と第2ポンプ電
流に基づいて被測定ガス中の酸化物ガス濃度を算出する
ようにしてもよい。
【0018】この場合、酸化物ガス濃度検出装置は内燃
機関等の各種燃焼機器から排出される有害成分である窒
素酸化物の濃度を検出する。また、センサは、第1測定
室から第2測定室に流入する被測定ガスの酸素濃度を、
第1測定室の被測定ガスの窒素酸化物における一酸化窒
素がある程度分解する濃度となるように、第1酸素ポン
ピングセルを使ってポンピングを行う。
【0019】
【発明の実施の形態】以下に、本発明の好適な実施例を
図面に基づいて説明する。 [第1実施例]図1は本発明が適用された実施例の窒素
酸化物濃度検出装置全体の内部構成を表す概略構成図、
図2は同じく外部構成を表す概略構成図、図3はこの窒
素酸化物濃度検出装置において用いられるNOxセンサ
2の分解斜視図である。
【0020】図1に示す如く、窒素酸化物濃度検出装置
は、NOxセンサ2と、NOxセンサ2を構成する第1
酸素ポンピングセル(以下、第1ポンプセルという)4
及び酸素濃度測定セル(以下、Vsセルという)6への
通電及び通電経路の切り換えを行なうための駆動回路4
0と、NOxセンサ2を構成する第2酸素ポンピングセ
ル(以下、第2ポンプセルという)8に定電圧を印加し
てそのとき流れる電流(以下、第2ポンプ電流という)
IP2を検出する検出回路42と、NOxセンサ2に設け
られた一対のヒータ12,14へ通電して各セル4,
6,8を加熱させるヒータ通電回路44と、駆動回路4
0及びヒータ通電回路44を駆動制御すると共に、検出
回路42からの検出信号VIP2 に基づき被測定ガス中の
NOx濃度を演算する、マイクロコンピュータからなる
電子制御回路(以下、ECUという)50とから構成さ
れている。
【0021】尚、駆動回路40、検出回路42、ヒータ
通電回路44は、図2に示す制御ボックス45内に収納
されている。また、ECU50はフロッピィディスク5
2(本発明のパラメータ記録媒体に相当)に記録された
データを読み取り可能なフロッピィディスクドライバ5
1を備えたパソコン60として構成されている。この制
御ボックス45とパソコン60とはケーブル46によっ
て電気的に接続されている。一方、制御ボックス45は
先端にコネクタ48aを備えた接続用ケーブル48を有
しており、NOxセンサ2も先端にコネクタ21aを備
えた接続用ケーブル21を有している。そして、両方の
コネクタ21a、48aが接合されて互いに電気的に接
続されている。このため、コネクタ21a、48aを外
せばNOxセンサ2を容易に交換することができる。
【0022】図3に示す如く、NOxセンサ2におい
て、第1ポンプセル4は、板状に形成された固体電解質
層4aの両側に、夫々、矩形状の多孔質電極4b,4c
及びそのリード部4bl,4clを形成し、更に、多孔質電
極4b,4cの中心部分を貫通するように固体電解質層
4aに丸孔を穿設して、その丸孔に多孔質の充填材を詰
めることにより、拡散律速層4dを形成したものであ
る。
【0023】またVsセル6は、第1ポンプセル4の固
体電解質層4aと同形状の固体電解質層6aの両側に、
夫々、円形状の多孔質電極6b,6c及びそのリード部
6bl,6clを形成し、更に、多孔質電極6b,6cの中
心部分を貫通するように固体電解質層6aに丸孔を穿設
して、その丸孔に多孔質の充填材を詰めることにより、
拡散律速層6dを形成したものである。
【0024】そして、このVsセル6の多孔質電極6
b,6cと第1ポンプセル4の多孔質電極4b,4cと
は、固体電解質層4a,6a上での中心位置が略一致
し、Vsセル6と第1ポンプセル4とを積層した際、各
拡散律速層6d,4dが互いに対向するようにされてい
る。また、Vsセル6に形成される円形状の多孔質電極
6b,6cは、第1ポンプセル4に形成される矩形状の
多孔質電極4b,4cよりも小さくなっている。また、
Vsセル6の表裏面には、リード部6bl,6clからの電
流リークを防止するために、リード部6bl,6clを外側
から覆うようにアルミナ等からなる絶縁膜が形成されて
おり、しかも各リード部6bl,6cl間には、後述の通電
制御によって多孔質電極6c側に汲み込まれた酸素の一
部を多孔質電極6b側に漏出させる漏出抵抗部6fが形
成されている。
【0025】このように形成された第1ポンプセル4及
びVsセル6は、上記各固体電解質層4a,6aと同形
状の固体電解質層18を介して積層される。そして、こ
の固体電解質層18の各多孔質電極4c,6bとの対向
位置には、多孔質電極4cよりも大きな矩形状の孔が穿
設されており、この孔が第1測定室20として機能す
る。
【0026】またVsセル6の多孔質電極6c側にも、
上記各固体電解質層4a,6aと同形状の固体電解質層
22が積層される。そして、この固体電解質層22に
は、Vsセル6の拡散律速層6dと同位置に同寸法の丸
孔を穿設して、その丸孔に多孔質の充填材を詰めること
により、拡散律速層22dが形成されている。
【0027】一方、第2ポンプセル8は、第1ポンプセ
ル4と同様、板状に形成された固体電解質層8aの両側
に、夫々、矩形状の多孔質電極8b,8c及びそのリー
ド部8bl,8clを形成したものである。そして、この第
2ポンプセル8は、固体電解質層18と全く同様に形成
された固体電解質層24を介して、Vsセル6に積層さ
れた固体電解質層22に積層される。この結果、固体電
解質層24に穿設された矩形状の孔が第2測定室26と
して機能することになる。
【0028】またこのように積層される第1ポンプセル
4,Vsセル6,第2ポンプセル8の積層体の両側、つ
まり、第1ポンプセル4と第2ポンプセル8の外側に
は、夫々、スペーサ28,29により所定間隔を開け
て、ヒータ12,14が積層される。
【0029】このヒータ12,14は、上記各固体電解
質層4a,6a,…と同形状のヒータ基板12a,12
c,14a,14cと、ヒータ基板12aと12cとの
間及びヒータ基板14aと14cとの間に夫々挟まれ、
各ヒータ基板内に埋設されて形成された、ヒータ配線1
2b,14b及びそのリード部12bl,14blとからな
り、スペーサ28,29は、このヒータ12,14が、
第1ポンプセル4及び第2ポンプセル8の多孔質電極4
b及び8cと、夫々、間隙を介して互いに対向するよう
に、ヒータ12,14と第1ポンプセル4及び第2ポン
プセル8との間に配置されている。
【0030】ここで、上記各固体電解質層4a,6a,
…を構成する固体電解質としては、ジルコニアとイット
リアの固溶体やジルコニアとカルシアの固溶体が代表的
なものであるが、他にハフニアの固溶体、ペロブスカイ
ト型酸化物固溶体、3価金属酸化物固溶体等も使用でき
る。また各固体電解質層4a,6a,8aの表面に設け
る多孔質電極には、触媒機能を有する白金やロジウム或
はその合金を使用するのが好ましい。そして、その形成
方法としては、たとえば、白金粉末に固体電解質層と同
じ材料の粉末を混合したものをペースト状とし、固体電
解質層上にスクリーン印刷し、次いで焼結する厚膜形成
方法や、溶射による被膜形成方法が知られている。ま
た、拡散律速層4d,6d,22dは、細い貫通孔を有
するセラミックスや多孔質セラミックスを使用するのが
好ましい。
【0031】一方、ヒータ12,14のヒータ配線12
b,14bは、セラミックスと白金又は白金合金の複合
材料とし、そのリード部12bl,14blは、抵抗値を低
下してリード部での電気ロスを低減するために、白金又
は白金合金とすることが好ましい。また、ヒータ基板1
2a,12b,14a,14c及びスペーサ28,29
には、アルミナ、スピネル、フォルステライト、ステア
タイト、ジルコニア等を用いることができる。
【0032】そして、特に、ヒータ基板及びスペーサの
材質にジルコニアを用いた場合は、ヒータと各ポンプセ
ルを同時に一体化して焼結することができるので、NO
xセンサ2を作製する上で好適である。尚、この場合に
は、ヒータ配線12b及びそのリード部12blとヒータ
基板12a,12cとの間、及び、ヒータ配線14b及
びそのリード部14blとヒータ基板14a,14cとの
間に、夫々、絶縁層(アルミナ等からなる)を設ける。
【0033】また、ヒータ基板にアルミナを用いた場合
には、各ポンプセルとの焼結時の収縮率差や熱膨張率差
によるクラックの発生等を防止するために、スペーサと
しては多孔質体を用いるとよい。また、ヒータと各ポン
プセルは別々に焼結して、後で、セメント等の無機質材
料をスペーサを兼ねた接合材として用いて接合する、と
いう方法で作ることも可能である。
【0034】次に、図1に示すように、NOxセンサ2
の第1ポンプセル4及びVsセル6の第1測定室20側
の多孔質電極4c,6bは、抵抗器R1を介して接地さ
れており、他方の多孔質電極4b及び6cは、駆動回路
40に接続されている。駆動回路40は、一端に定電圧
VCPが印加され、他端が開閉スイッチSW1を介してV
sセル6の多孔質電極6cに接続された抵抗器R2と、
−側入力端子に開閉スイッチSW1を介してVsセル6
の多孔質電極6c及びコンデンサCpの一端が接続さ
れ、+側入力端子に基準電圧VCOが印加され、出力端子
が抵抗器R0を介して第1ポンプセル4の多孔質電極4
bに接続された差動増幅器AMPと、からなる制御部4
0aを備える。尚、コンデンサCpの他端は接地されて
いる。
【0035】この制御部40aは、開閉スイッチSW1
がオン状態にあるときに次のように動作する。まず、抵
抗器R2を介してVsセル6に一定の微小電流iCPを流
すことにより、第1測定室20内の酸素をVsセル6の
多孔質電極6c側に汲み込む。この多孔質電極6cは、
固体電解質層22により閉塞されると共に、漏出抵抗部
6fを介して多孔質電極6b側と連通していることか
ら、微小電流iCPの通電により多孔質電極6c内の閉塞
空間は一定の酸素濃度となり、内部酸素基準源として機
能する。
【0036】またこのようにVsセル6の多孔質電極6
c側が内部酸素基準源として機能すると、Vsセル6に
は、第1測定室20内の拡散律速層6d付近の酸素濃度
(換言すれば第1測定室20から拡散律速層6dを介し
て第2測定室26に流入する被測定ガスの酸素濃度)と
内部酸素基準源側の酸素濃度との比に応じた起電力が発
生し、多孔質電極6c側電圧Vsは、第1測定室20か
ら第2測定室26に流入する被測定ガス(以下、第2測
定室流入ガスという)の酸素濃度に応じた電圧となる。
そしてこの電圧は、差動増幅器AMPに入力されること
から、差動増幅器AMPからは、基準電圧VCOとその入
力電圧との偏差(VCO−入力電圧)に応じた電圧が出力
され、この出力電圧が、抵抗器R0を介して第1ポンプ
セル4の多孔質電極4bに印加される。
【0037】この結果、第1ポンプセル4には、電流
(以下、第1ポンプ電流という)IP1が流れ、この第1
ポンプ電流IP1により、Vsセル6に発生した起電力が
一定電圧となるように(換言すれば第2測定室流入ガス
の酸素濃度が一定濃度となるように)制御される。つま
り、この制御部40aは、第2測定室流入ガスの酸素濃
度が一定濃度となるように、第1測定室20から外部に
酸素を汲み出す制御を実行する。
【0038】なお、第2測定室流入ガス中の酸素を少な
くすればする程、第2ポンプセル8によるNOx濃度の
検出精度が向上できることから、第2測定室流入ガスの
酸素濃度を、第1ポンプ電流IP1の通電により第1測定
室20内の被測定ガス中のNOx成分がある程度(例え
ば1〜30%)分解する濃度となるように、第1測定室
20内の酸素をポンピングしている。具体的には、この
酸素濃度を決定する基準電圧VCOを、例えば300〜4
00mV程度に設定することにより(本実施例では30
0mVとする)、第1ポンプセル4に、第1測定室20
内のNOx成分を分解する程度の第1ポンプ電流IP1を
流し、第2測定室流入ガス中の酸素濃度を十分小さくし
ている。また、差動増幅器AMPの出力と多孔質電極4
bとの間に設けられた抵抗器R0は、第1ポンプ電流I
P1を検出するためのものであり、その両端電圧VIP1
は、第1ポンプ電流IP1の検出信号としてECU50に
入力される。
【0039】次に、駆動回路40には、上記制御部40
aに加えて、開閉スイッチSW2を介してVsセル6の
多孔質電極6cに接続され、多孔質電極6b−6c間に
上記微小電流iCPとは逆方向に定電流を流す定電流回路
40bと、開閉スイッチSW3を介してVsセル6の多
孔質電極6cに接続され、多孔質電極6b−6c間に上
記微小電流iCPと同方向に定電流を流す定電流回路40
cとが備えられている。
【0040】これら各定電流回路40b,40cは、V
sセル6の内部抵抗RVSを検出するためのものである。
そして、この定電流の通電によりVsセル6の内部抵抗
RVSをECU50側で検出できるようにするために、多
孔質電極6c側電圧VsはECU50に入力される。な
お、各定電流回路40b,40cが流す定電流は、電流
方向が異なるだけで同じ電流に設定されている。そし
て、この電流は、抵抗器R2を介してVsセル6に供給
される微小電流iCPよりも大きい。
【0041】また、制御部40a,定電流回路40b及
び40cと、Vsセル6の多孔質電極6cとの間に夫々
設けられた開閉スイッチSW1〜SW3は、ECU50
からの制御信号によりオン・オフされ、NOx濃度の検
出動作を行なう通常時には、開閉スイッチSW1のみが
オン状態となって制御部40aが動作し、Vsセル6の
内部抵抗RVSを検出する場合にのみ、開閉スイッチSW
1がオフ状態となって、開閉スイッチSW2,SW3が
順にオン状態に制御される。
【0042】一方、NOxセンサ2の第2ポンプセル8
の多孔質電極8b,8c間には、上記検出回路42を構
成する抵抗器R3を介して、定電圧VP2が印加される。
この定電圧VP2の印加方向は、第2ポンプセル8におい
て多孔質電極8cから8b側に電流が流れて、第2測定
室26内の酸素が外部に汲み出されるように、多孔質電
極8c側が正極,多孔質電極8b側が負極となるように
設定されている。また、この定電圧VP2は、第1測定室
20から拡散律速層6d,22dを介して流入してくる
第2測定室内の被測定ガス中のNOx成分を分解して、
その酸素成分を汲み出すことができる電圧、例えば45
0mVに設定されている。
【0043】なお、抵抗器R3は、この定電圧VP2の印
加によって第2ポンプセル8に流れる第2ポンプ電流I
P2を電圧VIP2 に変換し、第2ポンプ電流IP2の検出信
号としてECU50に入力するためのものである。この
ように構成された本実施例の窒素酸化物濃度検出装置に
おいては、駆動回路40内の開閉スイッチSW1をオン
し、開閉スイッチSW2,SW3をオフしておけば、制
御部40aの動作によって、第2測定室流入ガスの酸素
濃度が一定酸素濃度に制御され、その一定酸素濃度に制
御された第1測定室20内の被測定ガスが拡散律速層
(第2拡散律速層)6d,22dを介して第2測定室2
6に流入するため、第2ポンプセル8に流れる第2ポン
プ電流IP2は、NOx濃度に応じて変化するようにな
り、ECU50側で第2ポンプ電流IP2の検出信号VIP
2を読み込み、所定の演算処理を実行することにより、
この検出信号VIP2(換言すれば第2ポンプ電流IP2)
から被測定ガス中のNOx濃度を検出することができ
る。
【0044】ところで、NOx濃度の検出精度を確保す
るには、上記各セル4,6,8の温度、特に第1測定室
20内の酸素濃度を検出するVsセル6の温度を、一定
に制御する必要があり、このためには、ヒータ通電回路
44から各ヒータ12,14への通電電流量を、Vsセ
ル6の温度が目標温度となるように制御する必要があ
る。そこで、本実施例では、ECU50において、上記
開閉スイッチSW1〜SW3のオン・オフ状態を切り換
えることによりVsセル6の温度をその内部抵抗RVSか
ら検出し、この検出した内部抵抗RVSが一定値(つまり
Vsセル6の温度が目標温度)となるように、ヒータ通
電回路44からヒータ12,14への通電量を制御す
る。
【0045】次に、本実施例の窒素酸化物濃度検出装置
において、NOx濃度を検出する手順を説明する。図4
はNOxセンサを用いたときのNOx濃度を検出する手
順を表す説明図である。まず、予めNOxセンサ2につ
き標準品を定め、この標準品について酸素を含まない試
験用ガスを被測定ガスとしたときの、NOx濃度に対す
る第2ポンプ電流IP2の特性(以下、IP2特性という)
を測定し、これを標準IP2特性(図4参照)としてEC
U50の図示しないROMに記憶しておく。そして、E
CU50は、第2ポンプ電流IP2を検出し、この第2ポ
ンプ電流IP2から標準IP2特性に基づいて被測定ガス中
のNOx濃度を求めるのである。なお、酸素を含まない
試験用ガスを被測定ガスとしたときの、NOx濃度に対
する第2ポンプ電流の変化率は略一定であり、これをI
P2ゲインと称する。
【0046】ところで、本実施例では、上記駆動回路4
0によるポンプ電流制御によって、第2測定室流入ガス
中の酸素濃度を第1測定室20の一酸化窒素がある程度
解離する程度の低濃度に制御している訳だが、低濃度と
いえどもわずかながら酸素は残留しており、第2ポンプ
電流には第2測定室流入ガス中の窒素酸化物だけでなく
残留した酸素の濃度も影響する。そして、実験からこの
酸素濃度は制御設定値を示すVs電圧と被測定ガス中の
酸素濃度によって変化することがわかっている。このた
め、上記標準品としてのNOxセンサ2について、NO
x成分がゼロの試験用ガスを被測定ガスとしたときの、
Vs電圧と酸素濃度に対する第2ポンプ電流(以下、オ
フセット電流という)の特性(以下、オフセット特性と
いう)を予め測定しておき、これを標準オフセット特性
(図4参照)としてECU50の図示しないROMに記
録しておく。そして、検出された第2ポンプ電流IP2か
ら、そのときのVs電圧と酸素濃度に対応したオフセッ
ト電流IP2OFFを差し引いた値から、上記標準IP2特性
に基づいてNOx濃度を求めるのである。なお、オフセ
ット電流IP2OFFによる補正をオフセット補正と称す
る。
【0047】このようなオフセット電流IP2OFFを検出
するには被測定ガス中の酸素濃度を検出する必要があ
る。この酸素濃度は第1ポンプ電流IP1から求めること
ができる。即ち、ポンプ電流制御の際の第1ポンプ電流
IP1は被測定ガス中の酸素濃度に依存して変化するた
め、上記標準品としてのNOxセンサ2について、NO
x成分がゼロの試験用ガスを被測定ガスとしたときの、
酸素濃度に対する第1ポンプ電流の特性(以下、IP1特
性という)をVs電圧を様々に変化させて予め測定して
おき、これを標準IP1特性(図4参照)としてECU5
0の図示しないROMに記録しておく。そして、検出さ
れた第1ポンプ電流IP1から標準IP1特性に基づいて酸
素濃度を検出するのである。この酸素濃度から上述の通
りオフセット電流IP2OFFを求めることができる。
【0048】NOx濃度を検出するに当たり、第2ポン
プ電流IP2はNOxセンサ2の温度(以下、素子温度と
いう)の変化に伴って変化するため、検出された第2ポ
ンプ電流IP2は素子温度に応じて修正するのが好まし
い。この点に関し、本実施例では、Vsセル6の内部抵
抗RVSを検出して、その内部抵抗RVSが所定値となるよ
うに(換言すれば素子温度が所定の目標温度となるよう
に)、ヒータ12,14への通電を制御するのである
が、被測定ガスの温度が急変したような場合には、温度
制御を被測定ガスの温度変化に追従させることができ
ず、素子温度が被測定ガスの温度変化によって変化する
ことがあり、この場合、その素子温度に伴って第2ポン
プ電流IP2が変化する。このため、上記標準品としての
NOxセンサ2につきその温度に対する第2ポンプ電流
IP2の特性(以下、温度特性という)を予め測定し、こ
れを標準温度特性(図4参照)としてECU50の図示
しないROMに記憶しておく。そして、内部抵抗RVSか
ら求めた素子温度から、標準温度特性に基づいて補正量
を求め、検出された第2ポンプ電流IP2につき温度補正
を行う。
【0049】また、NOx濃度を検出するに当たり、I
P2ゲインは被測定ガス中の酸素濃度によって変化するた
め、標準IP2特性は酸素濃度に応じて修正するのが好ま
しい。本実施例では、上記標準品としてのNOxセンサ
について、ある酸素濃度(例えばゼロ)におけるIP2ゲ
インと、別の酸素濃度におけるIP2ゲインとを予め測定
することにより、酸素濃度に対するIP2ゲインの1次関
数的な特性(以下、IP2ゲイン特性という)を演算し、
これを標準IP2ゲイン特性(図4参照)として、ECU
50の図示しないROMに記憶している。そして、第1
ポンプ電流IP1から検出された酸素濃度から、標準IP2
ゲイン特性に基づいてIP2ゲインの補正量を求め、検出
された第2ポンプ電流IP2につきIP2ゲイン補正を行
う。
【0050】上述した各特性即ちIP1特性、オフセット
特性、温度特性、IP2ゲイン特性、IP2特性は、NOx
センサ2ごとに微妙に異なる。このため、どのNOxセ
ンサに対しても絶えず上記各標準特性を用いてNOx濃
度を検出していたのでは、十分な検出精度が得られな
い。そこで、本実施例では、NOxセンサごとに上記各
特性を予め測定し、その測定した各特性が上記各標準特
性と一致するような各補正データ(IP1特性補正デー
タ、オフセット特性補正データ、温度特性補正データ、
IP2ゲイン特性補正データ)を作成し、それをフロッピ
ィディスク52に格納してそのNOxセンサ2に添付し
てある。
【0051】次に、NOx濃度を検出する手順につき、
図4及び図5に基づいて説明する。図5はNOx濃度検
出処理を表わすフローチャートである。このNOx濃度
検出処理では、まずS100(Sはステップを表わす)
にて、当該検出装置の起動後、ヒータ12,14への通
電によってNOxセンサ2が活性化したか否かを判断す
ることにより、NOxセンサ2が活性化するのを待つ、
活性化判定処理を実行する。
【0052】この活性化判定処理は、例えば、Vsセル
6の内部抵抗RVSが予め設定された活性化判定値以下に
なったか否かを判断することにより実行される。つま
り、Vsセル6の内部抵抗RVSは、素子温度が上昇して
Vsセル6が活性化するに従い減少するので、S100
では、ヒータ12,14への通電開始後、Vsセル6の
内部抵抗RVSが活性化判定値以下になったか否かを判断
することにより、素子温度が所定の活性化温度に達した
か否かを判断するのである。
【0053】また、当該検出装置の起動直後は、図示し
ない初期化処理によって、駆動回路40内の開閉スイッ
チSW1がオン状態、開閉スイッチSW2,SW3がオ
フ状態に制御されるが、上記S100の活性化判定処理
によってNOxセンサ2が活性化温度近傍にまで上昇す
るまでの間は、駆動回路40内の差動増幅器AMPの動
作は停止される。
【0054】次に、S100にてNOxセンサ2が活性
化したと判断されると、S110に移行し、Vsセル6
の内部抵抗RVSを読み込み、続くS115では、ECU
50に入力される電圧Vsを読み込む。また、続くS1
20では、検出回路42の抵抗器R3から入力される検
出信号VIP2 を読み込むことにより、第2ポンプ電流I
P2を検出すると共に、駆動回路40の抵抗器R0から入
力されるの検出信号VIP1 を読み込むことにより、第1
ポンプ電流IP1を検出する。そして、続くS130で
は、S110において読み込んだ内部抵抗RVSに基づ
き、第2ポンプ電流IP2に対する温度補正量を算出し、
温度補正を行う。即ち、被測定ガスの温度が急変して
も、第2ポンプ電流IP2からNOx濃度を正確に検出で
きるようにするために、Vsセル6の内部抵抗RVSから
Vsセル6の温度つまり素子温度を求め、この素子温度
に対応する温度補正量を、図示しないROMに記憶され
た標準温度特性に基づいて求める。そして、このように
して求めた温度補正量につき、フロッピィディスク52
から読み出した温度特性補正データで補正して補正済み
温度補正量とし、これを用いて温度補正を行うのであ
る。なお、NOxセンサ2が標準品の場合、補正済み温
度補正量と標準温度特性によって求めた温度補正量とが
一致する。
【0055】こうして温度補正が行われると、今度はS
140に移行し、温度補正後の第2ポンプ電流IP2に対
してオフセット補正を行う。即ち、フロッピィディスク
52に格納されたIP1特性補正データを読み出し、第1
ポンプ電流IP1をこのIP1特性補正データで補正して補
正済み第1ポンプ電流IP1とすることにより、その補正
第1ポンプ電流IP1から、S115で読み込んだ電圧V
sに対応する標準IP1特性(図4参照)をそのまま用い
て被測定ガス中の酸素濃度を求める。次いで、この酸素
濃度から、S115で読み込んだ電圧Vsに対応する標
準オフセット特性(図4参照)をそのまま用いてオフセ
ット電流値IP2OFFを求め、このオフセット電流値IP2O
FFをフロッピィディスク52から読み出したオフセット
特性補正データで補正して、補正済みオフセット電流値
IP2OFFとし、これを用いて温度補正後の第2ポンプ電
流IP2のオフセット補正を行う。なお、NOxセンサ2
が標準品の場合、補正済みオフセット電流値と標準オフ
セット特性によって求めたオフセット電流値とが一致す
る。
【0056】続くS150ではオフセット補正後の第2
ポンプ電流IP2に対してIP2ゲイン補正を行う。即ち、
S140において第1ポンプ電流IP1から求めた酸素濃
度から、S115で読み込んだ電圧Vsに対応する標準
IP2ゲイン特性(図4参照)をそのまま用いてIP2ゲイ
ンを求め、このIP2ゲインをフロッピィディスク52か
ら読み出したIP2ゲイン補正データで補正して補正済み
IP2ゲインとし、これからIP2ゲイン補正係数(たとえ
ば、補正済みIP2ゲイン/標準IP2特性におけるIP2ゲ
イン)を求め、この補正係数を用いてオフセット補正後
の第2ポンプ電流IP2のIP2ゲイン補正を行う。なお、
NOxセンサ2が標準品の場合、補正済みIP2ゲインと
標準IP2ゲイン特性から求めたIP2ゲインとが一致する。
【0057】そして、続くS160では、このIP2ゲイ
ン補正後の第2ポンプ電流IP2(即ち補正済み第2ポン
プ電流IP2)から、標準IP2特性を用いてNOx濃度を
求め、これを被測定ガス中のNOx濃度として出力す
る。なお、標準IP2特性ではNOx濃度と第2ポンプ電
流IP2は比例関係にあるため、この標準IP2特性を特に
用いなくてもNOx濃度を求めることができる。即ち、
標準IP2ゲイン特性からIP2ゲインを取得したあと、こ
れをIP2ゲイン補正データで補正した値を補正済みIP2
ゲインとし、この補正済みIP2ゲインに基づいて、オフ
セット補正後の第2ポンプ電流IP2からNOx濃度を求
めてもよい。
【0058】以上のような各補正データは、各NOxセ
ンサに固有のものであるため、NOxセンサごとに1枚
のフロッピィディスク52が添付される。そして、コネ
クタ21aを外して別のNOxセンサ2に交換する場合
には、そのNOxセンサ2に添付されたフロッピィディ
スク52に差し替えた上で、窒素酸化物濃度を検出す
る。
【0059】以上詳述したように、本実施例によれば、
異なるNOxセンサ2を用いて同じ被測定ガスのNOx
濃度を測定したとしても、各NOxセンサ2ごとのバラ
ツキは固有の補正データによって補正されるため、いず
れのNOxセンサ2によっても同様の測定結果が精度良
く得られる。また、各NOxセンサ2ごとに各種特性
(IP1特性、オフセット特性、温度特性、IP2ゲイン特
性)を記憶しているのではなく、標準的な特性の他には
補正データを記憶しているのみなので、記憶容量が小さ
くて済む。更に、NOxセンサ2ごとに添付する補正デ
ータをフロッピィディスク52(フレキシブルディス
ク)に格納したため、持ち運びが便利であり、汎用性も
高い。
【0060】上記実施例では補正データ記憶媒体として
フロッピィディスク52を用いたが、光ディスク、光磁
気ディスクなどを用いてもよく、いずれも場合も持ち運
び等の利便性に優れるうえ、各NOxセンサ2ごとに補
正データを添付しやすいという利点がある。一方、補正
データ記憶媒体としてハードディスクなどの固定記憶媒
体を用いても良く、この場合には持ち運び等の利便性に
は欠けるものの、各NOxセンサ2に応じた補正データ
をハードディスクから読み出すようにすれば、十分使用
することができる。
【0061】なお、本実施例の窒素酸化物濃度検出装置
は例えば室外ガス計測器、室内ガス計測器などに用いる
のに適している。 [第2実施例]第2実施例は、第1実施例と同様の内部
構成であるが、外部構成を変更したものである。図6は
本実施例の外部構成を表す概略説明図である。即ち、制
御ボックス145は、図1に示した駆動回路40、検出
回路42、ヒータ通電回路44、電子制御回路50、フ
ロッピィディスクドライバ52を収納しており、この制
御ボックス145とNOxセンサ2は第1実施例と同
様、コネクタ21a,48aにより接合されたケーブル
21、48を介して電気的に接続されている。この第2
実施例は、第1実施例と同様の作用効果を奏する。
【0062】[第3実施例]第3実施例は、第2実施例
とほぼ同様の構成であるが、フロッピィディスクの代わ
りに略ボタン状の半導体記憶媒体を用いた点が相違す
る。図7は本実施例の外部構成を表す概略説明図であ
る。即ち、制御ボックス245は、図1に示した駆動回
路40、検出回路42、ヒータ通電回路44、電子制御
回路50を収納している。本実施例では、NOxセンサ
2に固有の各補正データ(第1実施例参照)は、略ボタ
ン状の半導体記憶媒体252(例えば、ダラス・セミコ
ンダクター・コーポレーション製の商品名タッチメモリ
ボタン(DS1995))に記録されている。この半導
体記憶媒体252は、直径2cm足らずの小型のもので
あり、略ひし形のマウント153(同社製の商品名タッ
チメモリマウントプロダクツ(DS9093x))には
め込まれ、このマウント253が制御ボックス245の
外面にビス止めされている。このため、半導体記憶媒体
252は着脱可能に制御ボックス245に取り付けられ
ている。制御ボックス245とNOxセンサ2は第1実
施例と同様、コネクタ21a、48aにより接合された
ケーブル21、48を介して電気的に接続されている。
【0063】ところで、第1実施例において詳述したと
おり、NOxセンサ2は各製品ごとに異なる補正データ
が必要となるため、その補正データを格納した記憶媒体
をNOxセンサ2に添付しておくことが好ましい。この
点に関し、本実施例では記憶媒体としてフロッピィディ
スク52よりも小型の略ボタン状の半導体記憶媒体25
2を使用しているため、NOxセンサ2に添付したとき
に嵩ばらない。
【0064】この第3実施例は、第1実施例と同様の作
用・効果を奏するうえ、半導体記憶媒体252はフロッ
ピィディスクよりも小型のため、NOxセンサ2ごとに
添付したとしてもほとんど邪魔にならず持ち運び等に一
層便利になるという効果が得られる。
【0065】[第4実施例]第4実施例は、第2実施例
とほぼ同様の構成であるが、フロッピィディスクの代わ
りにコネクタに内蔵された半導体記憶媒体を用いた点が
相違する。図8は本実施例の外部構成を表す概略説明図
である。即ち、図8(a)の制御ボックス345は、図
1に示した駆動回路40、検出回路42、ヒータ通電回
路44、電子制御回路50を収納している。本実施例で
は、NOxセンサ2に固有の各補正データ(第1実施例
参照)は、NOxセンサ2側のコネクタ21aに内蔵さ
れた半導体記憶媒体352(例えば、ダラス・セミコン
ダクター・コーポレーション製の商品名タッチメモリプ
ローブ(DS9092)、商品名アッドオンリメモリ
(DS2505))に記録されている。この半導体記憶
媒体352は、NOxセンサ2のコネクタ21aが雄型
の場合には図8(b)のように取り付け、雌型の場合に
は図8(c)のように取り付ける。いずれの場合も、コ
ネクタ21aに設けられた複数のピン(図示せず)のう
ち、未使用のピンに接続して、コネクタ21aを介して
制御ボックス345に電気的に接続されるように取り付
けられている。この場合、補正データが記録された半導
体記憶媒体352はNOxセンサと2一体のコネクタ2
1aに内蔵されているため、必ずNOxセンサ2に添付
される。このため、嵩ばらないばかりでなく、NOxセ
ンサ2を交換すれば必然的にその補正データも交換され
るという利点がある。本実施例の窒素酸化物濃度検出装
置は車載用などに適している。
【0066】以上、本発明の実施例について説明した
が、本発明は上記実施例に限定されるものではなく、種
々の態様を採ることができる。例えば、上記実施例で
は、NOxセンサ2において、Vsセル6の多孔質電極
6b、6cは、板状に形成された固体電解質層6aの両
側に形成するものとして説明したが、Vsセル6は、第
1測定室20から第2測定室26に流入する被測定ガス
の酸素濃度を検出できればよいため、必ずしも上記実施
例のように構成する必要はなく、例えば図9(a),
(b)に示す如く構成してもよい。
【0067】即ち、図9(a)に示すNOxセンサは、
Vsセル6の第1測定室20側に配置される多孔質電極
6bを、第1測定室20に面する固体電解質層6aの板
面から拡散律速層6dに至る領域に形成したものであ
り、図9(b)に示すNOxセンサは、同じく多孔質電
極6bを、拡散律速層6dが形成される固体電解質層6
aの中空部内壁面に形成したものであるが、Vsセル6
の多孔質電極6bをこのように配置しても、Vsセル6
の両電極6b−6c間には、第1測定室20から第2測
定室26側に流入する被測定ガスの酸素濃度に対応した
電圧が発生することから、上記実施例と同様にNOx濃
度を検出できる。よって、図9(a)、(b)のように
構成されたNOxセンサであっても、上記実施例と同様
に本発明を適用することにより、上記実施例と同様の効
果を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 第1実施例の窒素酸化物濃度検出装置全体の
内部構成を表わす概略構成図である。
【図2】 第1実施例の窒素酸化物濃度検出装置全体の
外観構成を表す概略構成図である。
【図3】 NOxセンサの構成を表わす分解斜視図であ
る。
【図4】 NOx濃度を検出する手順を表す説明図であ
る。
【図5】 ECUにおいて繰返し実行されるNOx濃度
検出処理を表わすフローチャートである。
【図6】 第2実施例の窒素酸化物濃度検出装置全体の
外観構成を表す概略構成図である。
【図7】 第3実施例の窒素酸化物濃度検出装置全体の
外観構成を表す概略構成図である。
【図8】 第4実施例の窒素酸化物濃度検出装置全体の
外観構成を表す概略構成図である。
【図9】 本発明を適用可能なNOxセンサの他の構成
例を表す断面図である。
【符号の説明】
2・・・NOxセンサ、4・・・第1ポンプセル、4
a、6a、8a、18、22、24・・・固体電解質
層、4b、4c、6b、6c、8b、8c・・・多孔質
電極、4d、6d、22d・・・拡散律速層、6f・・
・漏出抵抗部、6・・・Vsセル、8・・・第2ポンプ
セル、12、14・・・ヒータ、20・・・第1測定
室、21、48・・・ケーブル、21a、48a・・・
コネクタ、26・・・第2測定室、40・・・駆動回
路、40a・・・制御部、40b、40c・・・定電流
回路、42・・・検出回路、44・・・ヒータ通電回
路、45・・・制御ボックス、50・・・ECU、51
・・・フロッピィディスクドライバ、52・・・フロッ
ピィディスク、60・・・パソコン、AMP・・・差動
増幅器、IP1・・・第1ポンプ電流、IP2・・・第2ポ
ンプ電流、IP2OFF・・・オフセット電流、R0、R
1、R2、R3・・・抵抗器、SW1、SW2、SW3
・・・開閉スイッチ。
フロントページの続き (56)参考文献 特開 平8−304319(JP,A) 特開 平3−115963(JP,A) 特開 平11−64276(JP,A) 特開 昭59−170723(JP,A) 特開 平2−61545(JP,A) 実開 昭61−170957(JP,U) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) G01N 27/00 - 27/49

Claims (9)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 センサを介して測定されるパラメータに
    基づいて、被測定ガス中の酸化物ガス濃度を演算回路で
    算出する酸化物ガス濃度検出装置において、 前記パラメータから酸化物ガス濃度を算出する過程にお
    いて用いる補正データを記憶した補正データ記憶媒体を
    備えた酸化物ガス濃度検出装置。
  2. 【請求項2】 前記センサ及び前記補正データ記憶媒体
    は、着脱可能に装着されている請求項1記載の酸化物ガ
    ス濃度検出装置。
  3. 【請求項3】 前記補正データ記憶媒体は、マウントに
    よって着脱可能に装着された略ボタン状の記憶媒体であ
    る請求項1又は2記載の酸化物ガス濃度検出装置。
  4. 【請求項4】 前記センサは、コネクタを介して着脱可
    能に装着されており、前記補正データ記憶媒体は、前記
    コネクタに内蔵されている請求項1〜3のいずれかに記
    載の酸化物ガス濃度検出装置。
  5. 【請求項5】 前記センサは、周囲の少なくとも一部が
    固体電解質で形成された第1測定室と第2測定室を有
    し、前記第1測定室から前記第2測定室に流入する被測
    定ガスの酸素濃度を前記第1測定室の被測定ガスの酸化
    物がある程度分解する濃度となるように前記第1測定室
    に設けられた第1酸素ポンピングセルを使って酸素を汲
    み出しあるいは汲み入れ、また、前記第2測定室内の酸
    化物を解離させて酸素を発生させ、この酸素を前記第2
    測定室内の第2酸素ポンピングセルを使って前記第2測
    定室から汲み出し、 前記演算回路は、少なくとも第1酸素ポンピングセルに
    流れる電流(以下、第1ポンプ電流という)と前記第2
    酸素ポンピングセルに流れる電流(以下、第2ポンプ電
    流という)に基づいて被測定ガス中の酸化物ガス濃度を
    算出し、 前記補正データ記憶媒体は、前記第1ポンプ電流と前記
    第2ポンプ電流と被測定ガス中の酸化物ガス濃度との関
    係を表す前記センサの特性を標準的な特性に一致させる
    補正データを記憶している請求項1〜4のいずれかに記
    載の酸化物ガス濃度検出装置。
  6. 【請求項6】 前記第1ポンプ電流と前記第2ポンプ電
    流と被測定ガス中の酸化物ガス濃度との関係を表す特性
    には、少なくとも、 被測定ガス中の酸素濃度と前記第1ポンプ電流との関
    係、 被測定ガス中の酸化物ガス濃度と前記第2ポンプ電流と
    の関係、 被測定ガス中の酸素濃度と前記第2ポンプ電流との関係
    が含まれる請求項5記載の酸化物ガス濃度検出装置。
  7. 【請求項7】 前記被測定ガス中の酸化物ガス濃度と前
    記第2ポンプ電流との関係には、被測定ガス中の酸素濃
    度と、被測定ガス中の酸化物ガス濃度に対する前記第2
    ポンプ電流の変化率との関係が含まれる請求項6記載の
    酸化物ガス濃度検出装置。
  8. 【請求項8】 前記第1ポンプ電流と前記第2ポンプ電
    流と被測定ガス中の酸化物ガス濃度との関係を表す特性
    には、前記センサ本体の温度と前記第2ポンプ電流との
    関係が含まれる請求項6又は7記載の酸化物ガス濃度検
    出装置。
  9. 【請求項9】 前記酸化物は窒素酸化物であり、 前記センサは、周囲の少なくとも一部が固体電解質で形
    成された第1測定室と第2測定室を有し、前記第1測定
    室から前記第2測定室に流入する被測定ガスの酸素濃度
    を前記第1測定室の被測定ガスの一酸化窒素がある程度
    分解する濃度となるように前記第1測定室に設けられた
    第1酸素ポンピングセルを使って酸素を汲み出しあるい
    は汲み入れ、また、前記第2測定室内の窒素酸化物を解
    離させて酸素を発生させ、この酸素を前記第2測定室内
    の第2酸素ポンピングセルを使って前記第2測定室から
    汲み出し、前記演算回路は、少なくとも第1ポンプ電流
    と第2ポンプ電流に基づいて被測定ガス中の酸化物ガス
    濃度を算出する請求項1〜8のいずれかに記載の酸化物
    ガス濃度検出装置。
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