JP3513811B2 - 炭素または炭素を主成分とする被膜の形成方法 - Google Patents

炭素または炭素を主成分とする被膜の形成方法

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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、炭素または炭素を
主成分とする被膜を形成する装置のクリーニング方法に
関するものである。
【0002】
【従来の技術】炭素膜は、従来より耐摩耗性、高平滑
性、絶縁性及び耐薬品性等に優れており、多くの特性を
有する材料としてその応用が期待されており、その炭素
膜をコーティングする技術としては、特開昭56-146930
号公報が知られている。
【0003】しかし、同一反応器による複数回の成膜
は、真空度の低下、フレークの問題等により困難であり
1回ないし2回成膜後は、反応器内部のクリーニングが
必要となる。従来のクリーニングに用いられる気体は、
固体被膜の成分から、例えば炭素系であればプラズマ反
応によって揮発性ガスとする為、水素、酸素、弗化物気
体があげられる。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】炭素膜または炭素膜を
主成分とする被膜をエッチングする技術は、炭素膜を応
用する上で大きな問題となっている。例えば、エッチン
グの際水素を用いて炭素膜と反応させCxy等を生じさ
せる炭化水素系ガス化反応を行わせる方法は、反応器内
の汚染は低減されるが、エッチング速度が遅く量産性の
面で問題が多い。
【0005】一方、炭素膜のプラズマエッチングに用い
るガスとしては、O2が最も簡便で揮発性ガス化反応に
よりCO、CO2等として排気されるものが大部分であ
るが、未反応の壁でO、O2あるいはCO、CO2として
反応室内壁に吸着し、クリーニング後に成膜する際それ
らが内壁から離脱し、気相中にアウトディフェージョン
し、膜内にオートドーピングあるいは界面にトラップさ
れ、膜質、界面特性(主に密着性)を低下させる原因と
なっていた。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明は上記の問題を解
決する為に従来のエッチングガスによる反応容器内部の
基体、または基板等の被膜成形面以外に堆積している炭
素系被膜の除去後に不活性ガス、例えばArまたは活性
ガス、例えばH2によるプラズマクリーニング処理を行
ない、内壁に残存しているO、O2、CO、CO2等を除
去または置換することにより、反応室内を清浄化するこ
とを特徴とする。
【0007】図1にエッチング用気体であるNF3
2、O2を用いてビッカース硬度1000kg/mm2及び2000k
g/mm2の硬質炭素膜をエッチングした場合のエッチング
速度及び高周波印加電極側に生じるセルフバイアスを示
した。
【0008】図中○は、セルフバイアスを表し、□はビ
ッカース硬度1000kg/mm2、◇はビッカース硬度2000kg
/mm2に対するエッチング速度を表す。この場合、高周
波エネルギーは60w、エッチング用気体の流量は50SC
CM、温度は室温、反応圧力は3Paで行った。
【0009】次に本発明において、反応容器内部のエッ
チングとクリーニング及び置換方法についての組合せの
例を以下に示す。 〔1〕O2プラズマエッチング+Arプラズマクリーニ
ング 〔2〕NF3プラズマエッチング+Arプラズマクリー
ニング 〔3〕O2プラズマエッチング+H2プラズマクリーニン
グ 〔4〕NF3プラズマエッチング+H2プラズマクリーニ
ング 〔5〕H2プラズマエッチング+H2プラズマクリーニン
【0010】
【実施例】 以下に本発明を実施例に従って説明する。
図2に本発明の実施に使用した炭素または炭素を主成分
とする被膜をエッチング除去した後プラズマクリーニン
グするための平行平板形のプラズマ装置の概要を示す。
【0011】図面では、ガス系(1)においてキャリア
ガスである水素を(2)より、反応性気体である炭化水
素気体、例えばメタン、エチレンを(3)より、炭素膜
のエッチング用気体である弗化物気体、例えばNF3
(3)より、またアルゴン、水素、酸素等のエッチング
及びクリーニング用気体を(4)よりバルブ(6)、流
量計(7)をへて反応系(8)中のノズル(9)より導
入する反応系(8)では、減圧下にて炭素膜の成膜また
は炭素膜のエッチング処理を行った。
【0012】反応室(8)では第1の電極(10)、第
2の電極(11)を有し、一対の電極(10)、(1
1)間には高周波電源(12)よりマッチングトランス
(13)、直流バイアス電源(14)より電気エネルギ
ーが加えられ、プラズマが発生する。
【0013】反応性気体のより一層の分析を行なうため
には、2.45GHzのマイクロ波にて200w〜2kwのマ
イクロ波励起(15)を与えてもよい。すると活性の反
応性気体の量を増やすことができ、例えば炭素系被膜の
酸素によるエッチング速度を約4倍に向上することがで
きた。
【0014】これらの反応性気体は、反応空間(16)
で0.01〜1Torr例えば0.1Torrとし、高周波による電磁
エネルギーにより50w〜5kwのエネルギーが加えられ
る。直流バイアスは、被膜形成面上に−200〜600v(実
質的には−400〜400v)を加えられる。なぜなら、直流
バイアスが零のときは、自己バイアスが−200v(第2
の電極を接地レベルとして)を有しているためである。
【0015】基板としてSiウェハを用いたものと、Al
の板に磁気記録媒体であるγFe23をつけたものとを
用いて本発明方法により反応室を清浄化した後、公知の
方法により図3に示すように炭素系被膜を成膜した。本
実施例では反応室の清浄化方法としてエッチング用気体
にH2プラズマのみを用いる方法とエッチング用気体に
2プラズマのみを用いる方法と、エッチング用気体に
2プラズマを用いその後にH2プラズマクリーニングす
る方法とを行った。
【0016】表1に成膜した炭素系被膜に対して粒径1
〜2μmのダイヤモンドペーストを使用したアブレシブ
テストを行った結果を示す。
【0017】評価は○、○△、△、△×、×の5段階で
おこなった。その結果、酸素プラズマエッチッグのみの
場合に比べて顕著な差が見られた。
【0018】
【表1】
【0019】表1の如くγFe23と炭素系被膜は、通
常界面にC−Oボンディングを形成する為、密着性が極
端に低下することがあり、磁気ディスク等の保護膜とし
て応用する場合大きな問題となっている。
【0020】そこで、表1に示すような比較をおこなっ
た結果基本的にはO2を使わないプロセスが良いと思わ
れるが、例え使ってもH2でプラズマ処理して置換する
工程を取り入れれば、密着性は大きく改善されることが
判明した。Siウエハの場合は界面の化学結合がSi−
Cとなる為、大きな差は出ないがSi表面に酸素原子、
分子、ラジカル等が吸着していると密着性を低下させる
原因となる。
【0021】H2プラズマエッチングは、エッチング速
度が極端に遅いのでスループットを上げ、量産性を考え
れば、O2プラズマエッチングとH2プラズマクリーニン
グの併用による方法が現時点では良好と考える。
【0022】
【発明の効果】本発明によれば、炭素または炭素を主成
分とする被膜を除去した後に、クリーニング用気体例え
ばAr、H2を用い、反応室内を清浄化することが可能
になった。また、上記方法にて、清浄化後通常の膜を形
成すると、密着性に大きな改善がみられた。
【0023】このことから、磁気記録媒体である磁気テ
ーブ、磁気ディスク等のファイナルパシベーション膜に
用いることが始めて可能となった。また、半導体集積回
路等のファイナルコーティングの絶縁膜に用いることが
可能となった。
【図面の簡単な説明】
【図1】各エッチング気体におけるエッチング速度及び
セルフバイアスを示した図。
【図2】本発明に使用したプラズマ装置の概略図を示す
図。
【図3】実施例で用いた基板と基板上に形成された炭素
系被膜を示す図。
フロントページの続き (56)参考文献 特開 昭63−4068(JP,A) 特開 昭58−92218(JP,A) 特開 昭58−97826(JP,A) 特開 昭62−177189(JP,A) 特開 昭62−279521(JP,A) 特開 平2−50985(JP,A) 特開 昭63−210275(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) C23C 16/00 - 16/56 C23F 1/00 - 4/04 H01L 21/205 H01L 21/3065

Claims (7)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】反応室内で珪素からなる被形成面に炭素ま
    たは炭素を主成分とする被膜を形成する方法であって、 酸素のプラズマを用いて前記反応室の内壁に付着した炭
    素または炭素を主成分とする被膜を除去した後、水素ガ
    スのプラズマを用いて前記反応室の内壁に付着した酸素
    または酸素を含む化合物を除去し、 前記酸素または酸素を含む化合物を除去した後、前記珪
    素からなる被形成面に 前記炭素または炭素を主成分とす
    る被膜を形成することを特徴とする炭素または炭素を主
    成分とする被膜の形成方法。
  2. 【請求項2】反応室内で珪素からなる被形成面に炭素ま
    たは炭素を主成分とする被膜を形成する方法であって、 弗化物気体のプラズマを用いて前記反応室の内壁に付着
    した炭素または炭素を主成分とする被膜を除去した後、
    水素ガスのプラズマを用いて前記反応室の内壁に付着し
    た弗素または弗素を含む化合物を除去し、 前記弗素または弗素を含む化合物を除去した後、前記珪
    素からなる被形成面に 前記炭素または炭素を主成分とす
    る被膜を形成することを特徴とする炭素または炭素を主
    成分とする被膜の形成方法。
  3. 【請求項3】反応室内で珪素からなる被形成面に炭素ま
    たは炭素を主成分とする被膜を形成する方法であって、 酸素のプラズマを用いて前記反応室の内壁に付着した炭
    素または炭素を主成分とする被膜を除去した後、不活性
    ガスのプラズマを用いて前記反応室の内壁に付着した酸
    素または酸素を含む化合物を除去し、 前記酸素または酸素を含む化合物を除去した後、前記珪
    素からなる被形成面に 前記炭素または炭素を主成分とす
    る被膜を形成することを特徴とする炭素または炭素を主
    成分とする被膜の形成方法。
  4. 【請求項4】反応室内で珪素からなる被形成面に炭素ま
    たは炭素を主成分とする被膜を形成する方法であって、 弗化物気体のプラズマを用いて前記反応室の内壁に付着
    した炭素または炭素を主成分とする被膜を除去した後、
    不活性ガスのプラズマを用いて前記反応室の内壁に付着
    した弗素または弗素を含む化合物を除去し、 前記弗素または弗素を含む化合物を除去した後、前記珪
    素からなる被形成面に 前記炭素または炭素を主成分とす
    る被膜を形成することを特徴とする炭素または炭素を主
    成分とする被膜の形成方法。
  5. 【請求項5】請求項3または請求項4において、前記不
    活性ガスは、アルゴンガスであることを特徴とする炭素
    または炭素を主成分とする被膜の形成方法。
  6. 【請求項6】請求項2または請求項4において、前記弗
    化物気体は、NF 3 ガスであることを特徴とする炭素ま
    たは炭素を主成分とする被膜の形成方法。
  7. 【請求項7】請求項1乃至請求項6のいずれか一におい
    て、前記炭素または炭素を主成分とする被膜の除去は、
    マイクロ波励起のプラズマを用いて行われることを特徴
    とする炭素または炭素を主成分とする被膜の形成方法。
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