JP2852380B2 - 炭素または炭素を主成分とする被膜を形成する方法 - Google Patents

炭素または炭素を主成分とする被膜を形成する方法

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Description

【発明の詳細な説明】 「発明の利用分野」 本発明は光学的エネルギバンド巾が1.0eV以上特に1.5
〜5.5eVを有する炭素または炭素を主成とする被膜を被
形成面上にコーティングすることにより、これら固体の
表面の補強材、または機械ストレスにたいする保護材を
得ようとする複合体に関するものである。
〔従来の技術〕 炭素膜のコーティングに関しては、本発明人の出願に
なる特許願「炭素被膜を有する複合体及びその作製方
法」(特願昭56−146936号昭和56年5月17日出願)が知
られている。
また炭素膜は耐摩耗材であると同時に高平滑性、高熱
伝導性等多くの特性を有しており、電気部品その他に応
用が期待されている。
被形成面上にダイヤモンド類似の硬さを有するアモル
ファス(非晶質)または5〜200Åの大きさの微結晶性
を有するセミアモルファス(半非晶質)構造を有する炭
素または炭素を主成分とする被膜を形成する場合、被形
成面を有する基板を設けた高周波印加電極の近傍におい
て、プラズマ中の電子が高周波印加電極に蓄積されるこ
とによって生じるセルフバイアスにより加速された正イ
オン(例えばH+)を、形成中の炭素または炭素を主成分
とする被膜に衝突させることにより、その炭素または炭
素を主成分とする被膜をより硬度の大きな、ダイヤモン
ドに近い構造を持った炭素膜を作ることを行なってき
た。これは正イオンを衝突させることでC=Cのような
二重結合を有する炭素の割合を減らしてC−Cの結合を
ゆうする炭素を増やしたり、あるいは炭素原子に結合し
ている水素原子をなくすことによりsp2混成軌道をもつ
いわゆる三方炭素やsp混成軌道をもついわゆる二方炭素
を無くしsp3混成軌道をもったいわゆる四方炭素の割合
を増やすことによりダイヤモンド結合を生じやすくする
ためである。
従ってより硬度の大きい炭素または炭素を主成分とす
る被膜を作成しようとするときは、高周波印加電極近傍
に発生するセルフバイアスを大きくして正イオンの加速
を大きくしなければならない。
このセルフバイアスを増加させるために行われている
方法としては、先ず第1に反応圧力を減少させる方法が
ある。これは炭素または炭素を主成分とする被膜形成に
使用する炭化水素化物気体の圧力を減少させることによ
り単位体積中に含まれる炭化水素化物気体分子の個数が
減少するため、相対的に気体を分解するために加えられ
ている高周波エネルギの出力が大きくなりプラズマ中の
電子が増大して高周波印加電極に蓄積されるためセルス
バイアスが増大するということに基づくものである。
また、高周波エネルギの出力を増大させる方法がある
が、これは上述した如く、気体を分解するエネルギが増
大するとプラズマ中の電子が増大するために、高周波印
加電極への電子の蓄積が増大してセルフバイアスが大き
くなることによるものである。
〔従来技術の問題点〕
しかしながら炭素または炭素を主成分とする被膜を形
成する際に水素または酸素等の添加物を加えることによ
りセルフバイアスを大きくして成膜することは全く知ら
れていない。
本発明は炭素または炭素を主成分とする被膜を形成す
る際に水素または酸素等の添加物を加えるとセルフバイ
アスが大きくなるという知見に基づいて成されたもので
あり硬度のおおきな炭素または炭素を主成分とする被膜
を作成することを目的としている。
〔問題を解決すべき手段〕
本発明は上記の知見に基づいて被成形面を有する基板
に接して設けられた第1の電極と第2の電極との間に直
流または高周波エネルギを加えて、発生させたプラズマ
により炭化水素化物気体とまたはこれに加えて添加物気
体とを分解反応せしめて上記被形成面上に炭素膜を形成
する方法において、炭素膜形成の際、水素または酸素を
添加すること、及び被形成面を有する基板に接して設け
られた第1の電極と第2の電極との間に直流または高周
波エネルギを加えて、発生させたプラズマにより炭化水
素化物気体とまたはこれに加えて添加物気体とを分解反
応せしめて上記被形成面上に炭素膜を形成する方法にお
いて、炭素膜形成の際、水素または酸素の添加量を変化
させることにより形成される炭素または炭素を主成分と
する被膜の硬度を被形成面側より炭素膜表面に向かって
増加させることとしたものである。
以下に実施例と共に本発明を具体的に説明する。第1
図は本発明の炭素または炭素を主成分とする被膜を形成
するためのプラズマCVD装置の概要を示す。
図面において、ドーピング系(1)において、添加物
である水素または酸素を(2)より、反応性気体である
炭化水素気体例えばメタン、エチレンを(3)より、II
I価不純物のジボラン(水素希釈)(4)、V価不純物
のアンモニアまたはフォスヒンを(5)よりバルブ
(6)、流量計(7)をへて反応系(8)中にノズル
(9)より導入される。このノズルに至る前に、反応性
気体の励起用にマイクロ波エネルギを(10)で加えて予
め活性化させることは有効である。
反応系(8)は第1の電極(11)、第2の電極(12)
を設けた。一対の電極(11)、(12)間には高周波電源
(13)、マッチングトランス(14)、直流バイヤス電源
(15)より電気エネルギが加えられ、プラズマが発生す
る。排気系(16)は圧力調整バルブ(17)、ターボ分子
ポンプ(18)、ロータリポンプ(19)をへて不用気体を
排気する。
反応性気体には、反応空間(20)における圧力が0.00
1〜10torr代表的には0.01〜0.5torrの下で高周波もしく
は直流によるエネルギにより0.1〜5KWのエネルギが加え
られる。
特に励起源が、1GHz以上、例えば2.45GHzの周波数に
あっては、C−H結合より水素を分離し、さらに周波数
源が0.1〜50MHz例えば13.56MHzの周波数にあってはC−
C結合、C=C結合を分解し、−C−C−結合を作り、
炭素の不対結合手同志を互いに衝突させて共有結合さ
せ、安定なダイヤモンド構造を局部的に有した構造とさ
せ得る。
直流バイアスは−200〜600V(実質的には−400〜+40
0V)を加える。なぜなら、直流バイアスが零のときは自
己バイアスが−200V(第2の電極を接地レベルとして)
を有しているためである。
炭化水素化物気体としては、メタン(CH4)、エタン
(C2H6)、エチレン(C2H4)、メタン系炭化水素(CnH
2n+2)等の気体または珪素を一部に含んだ場合はテトラ
メチルシラン((CH34Si)、テトラエラルシラン
((C2H54Si)のような炭化珪素であっても、また四
塩化炭素(CCl4)のような塩化炭素であってもよい。
第1の電極は冷却手段を有しており、被形成面上の温
度を250〜−100℃に保持させた。
本発明に用いられる被形成面としては、PET(ポリエ
チレンテレフタネート)、PES、PMMA、テフロン、エポ
キシ、ポリイミド等の有機樹脂基体または金属メッシュ
状キャリア、紙等テープ状キャリア、ガラス、金属、セ
ラミック、半導体、磁気ヘッド用部材、磁気ディスク等
がある。
第2図に第1図に示す装置においてメタンを100SCCM
の流量で導入し、高周波エネルギー60Wを加え、反応圧
力10Paの条件で水素または酸素の添加量を変化させた時
のセルフバイアスの変化を示したものである。
水素または酸素を添加した時は明らかにセルフバイア
スが増加していることが示されている。比較としてNF3
の添加を行ってみたがセルフバイアスが逆に小さくなっ
ていることが示されている。
また第3図には第2図同様第1図に示す装置において
メタンを100SCCMの流量で導入し、高周波エネルギ600W
を加え、反応圧力10PAの条件で15分間成膜した場合の水
素または酸素の添加量とビッカース硬度との関係を示
す。水素または酸素の添加によりビッカース硬度の大き
な炭素または炭素を主成分とする被膜が得られることが
しめされている。ここでもNF3の添加によるビッカース
硬度の変化を比較してみたが逆に添加量に伴ってビッカ
ース硬度が小さくなっている。
第4図に第3図に示した条件と同じ条件下で作成した
炭素または炭素を主成分とする被膜の水素または酸素の
添加量と膜厚との関係を示したものである。水素または
酸素の添加により膜厚は薄く成っていることがしめされ
ているが第5図に示したNF3を用いた同じ条件による実
験の結果では添加量と共に膜厚は厚くなっている。
また本発明は被形成面上に炭素または炭素を主成分と
する被膜をコーティングし、その表面での耐摩耗性等の
機械的強度を補強しようというものであり、そのための
ダイヤモンド類似の硬さを有した炭素または炭素を主成
分とする被膜を被形成面上に直接形成させるのではな
く、被形成面に密接する部分から徐々に硬度を上げてゆ
き、所望の膜厚のときに所望の硬度の炭素または炭素を
主成分とする被膜が得られるように添加物気体の添加量
を変化させることに特徴を有する。
被形成面上に直接ダイヤモンド類似の硬さを有した膜
を形成させようとするとセルフバイアスを大きくして炭
素または炭素を主成分とする被膜を形成させることを行
わなければならず、被形成面へのスパッタは避けること
はできないが、被形成面上に密接した炭素または炭素を
主成分とする被膜は、被形成面に損傷を与えない程度の
セルフバイアスで作り得る硬さの炭素または炭素を主成
分とする被膜にしておき、徐々に硬度を上げた膜を積層
させて、表面には所望の硬度を有した炭素または炭素を
主成分とする被膜を形成すれば、被形成面との密接性も
良くしかも大きな硬度を有した炭素または炭素を主成分
とする被膜を形成することができる。
この場合、硬度の小さい膜から硬度の大きい膜を何層
かに別けて積層する方法と硬度を連続的に変えて、単層
の中で硬度が連続的に変化した炭素または炭素を主成分
とする被膜を形成させる方法とがある。
本発明では被形成面をカソード電極に置いた。これは
被形成面をアノード側に置いたときとカソード側に置い
たときとの形成された炭素膜の膜質を比較した場合、カ
ソード側に被形成面を置いたときの方が硬度の大きな炭
素膜が速い成膜速度で得られるからである。
以上のようにしてプラズマにより被形成面上にビッカ
ース硬度2000Kg/mm2以上を有するとともに、熱伝導度2.
5W/cm deg以上のC−C結合を多数形成したアモルファ
ス構造または微結晶構造を有するアモルファス構造の炭
素を生成させた。さらにこの電磁エネルギは50W〜1KWを
供給し、単位面積あたり0.03〜3W/cm2のプラズマエネル
ギを加えた。
〔実施例1〕 第1図に示した装置において、被形成面を有した基板
上に本発明方法により炭素膜を形成した。
先ず反応系にノズルより水素を10SCCM、メタンを100S
CCMの流量で水素の添加されたメタンを導入き、圧力を
0.03torrに保持し、メタンに対し50Wの高周波エネルギ
を加え、セルフバイアス−150Vの条件で室温に保持され
たSi基板上に150分間膜形成を行い、第1の層を形成し
た。次にノズルより水素を50SCCM、メタンを100SCCMの
流量で水素の添加されたメタンを導入し、圧力を0.015t
orrに保持してメタンに対し100Wの高周波エネルギを加
え、セルフバイアス−200Vの条件で被形成面を150℃に
保持して150分間膜形成を行い第2の層とした。そして
第2の層上にノズルより水素を80SCCM、メタンを100SCC
Mの流量で水素の添加されたメタンを導入し、反応系を
0.015torrに保持してメタンに対し200Wの高周波エネル
ギを加え、セルフバイアス−280Vの条件で被形成面を室
温に保持して60分間膜形成を行い第3の層とした。これ
ら3つの層のビッカース硬度を測定したところ第1の層
は2200Kg/mm2第2の層は3500Kg/mm2、第3の層は4200Kg
/mm2、でありダイヤモンド類似の硬さを表面に有した炭
素膜を被形成面との密着性を良く形成させることができ
た。
〔実施例2〕 反応系にノズルより酸素を10SCCM、メタンを100SCCM
の流量で酸素の添加されたメタンを導入し、圧力を0.03
torrに保持し、メタンに対し50Wの高周波エネルギを加
え、セルフバイアス−150Vの条件で室温に保持されたSi
基板上に150分間膜成形を行い、第1の層を形成した、
次にノズルより酸素を50SCCM、メタン100SCCMの流量で
酸素の添加されたメタンを導入し、圧力を0.015torrに
保持してメタンに対し100Wの高周波エネルギを加え、セ
ルフバイアス−200Vの条件で被形成面を150℃に保持し
て150分間膜形成を行い第2の層とした。そして第2の
層上にノズル酸素を80SCCM、メタンを100SCCMの流量で
酸素の添加されたメタンを導入し、反応系を0.015torr
に保持してメタンに対し200Wの高周波エネルギを加え、
セルフバイアス−280Vの条件で被形成面を室温に保持し
て60分間膜形成を行い第3の層とした。これら3つの層
のビッカース硬度を測定したところ第1の層は2000Kg/m
m2、第2の層は3300Kg/mm2、第3の層は4000Kg/mm2、で
ありダイヤモンド類似の硬さを表面に有した炭素膜を被
形成面との密着性を良く形成させることができた。
〔実施例3〕 被形成面を有する基板の置かれた反応系に水素を30SC
CM、メタンを100SCCMの流量で水素の添加されたメタン
を導入し、圧力を0.03torrに保持し、メタンに対し100W
の高周波エネルギを加え、150分間膜形成を行い、第1
の層を形成した。次に第1の層の上に、水素の流量が50
SCCMである以外は第1の層と同じ条件で実施し第2の層
を形成した。そして第2の層上に、水の流量が80SCCMで
ある以外は第1の層と同一条件で実施した。その結果、
2400Kg/mm2、3400Kg/mm2、4200Kg/mm2、のビッカース硬
度を有する第1の層、第2の層、第3の層からなる炭素
膜を形成させることができた。この炭素膜は表面の硬度
が4200Kg/mm2とダイヤモンド類似の硬さを有し、耐摩耗
性、高熱伝導性、高平滑性に優れたものであった。
本実施例においては水素の流量のみを増加させること
により炭素膜の硬度を大きくしたが、メタンの流量の減
少させても同様の効果が得られる。
また本実施例では各炭素膜の層を一つの反応室を用い
て作成したが、反応室を複数接続させることにより各層
をそれぞれ異なる反応室で形成させても良い。
〔実施例4〕 被形成面を有する基板の置かれた反応系に酸素を30SC
CM、メタンを100SCCMの流量で酸素の添加されたメタン
を導入し、圧力を0.03torrに保持し、メタンに対し100W
の高周波エネルギを加え、150分間膜形成を行い、第1
の層を形成した。次に第1の層の上に、酸素の流量が50
SCCMである以外は第1の層と同じ条件で実施し第2の層
を形成した。そして第2の層上に、酸素の流量が80SCCM
である以外は第1の層と同一条件で実施した。その結
果、2200Kg/mm2、3100Kg/mm2、4000Kg/mm2、の、ビッカ
ース硬度を有する第1の層、第2の層、第3の層からな
る炭素膜を形成させることができた。この炭素膜は表面
の硬度が4000Kg/mm2とダイヤモンド類似の硬さを有し、
耐摩耗性、高熱伝導性、高平滑性に優れたものであっ
た。
本実施例においては酸素の流量のみを増加させること
により炭素膜の硬度を大きくしたが、メタンの流量を減
少させても同様の効果が得られる。
また本実施例では各炭素膜の層を一つの反応室を用い
て作成したが、反応室を複数接続させることにより各層
をそれぞれ異なる反応室で形成させても良い。
〔実施例5〕 本実施例においては、被形成面上に硬度の異なる層を
積層させるのではなく、水素の添加量を連続的に増加さ
せることにより硬度が連続的に変化している炭素膜を形
成させた。
先ず、実施例1の第1の層を形成させるのと同一の条
件で膜形成を開始し、その後水素の添加量を0.5〜10SCC
M/minの上昇率で100SCCMになるまで増加させることによ
り被形成面上に炭素膜を形成させた。形成させた炭素膜
は、表面において4200Kg/mm2のビッカース硬度を有す
る、耐摩耗性、高熱伝導性、高平滑性に優れたものであ
った。
本実施例では水素の流量のみを連続的に大きくさせた
が、メタンの流量のみを連続的に減少させても良く、ま
た水素を酸素に変えて実施しても良い。
〔実施例6〕 本実施例は、被形成面上に炭素膜を形成する前に、紫
外光より活性化された酸素原子及び紫外光により生成し
たオゾンの雰囲気に被形成面を配設することにより被形
成面の有機物の汚染物または異物を除去した後に炭素膜
を形成させた。
被形成面上の有機物の汚染物は、この上に形成された
膜との間の密着性を低下させる最大の原因である。本実
施例に使用した装置を第6図に示す。第6図は第1図に
示す反応室(24)と紫外光により活性化された酸素原子
及び紫外光により生成したオゾンの雰囲気を作る予備室
(25)とを結合させたものである。反応室(24)と予備
室(25)との間にはゲート弁(23)が設けられている。
予備室には低圧水銀ランプ(185nm,254nm)(21),シ
ャッタ(22)が設けられている。この予備室(25)にお
いては以下の如く反応により活性の酸素及びオゾンが生
じ、それらが被形成面上の有機物の汚染物の除去を行う
のである。
O2+hν(185nm)→O+O O2+O→O3 O3+hν(254nm)→O+O2 O3+CnHmOk→CO,CO2,H2O O+CnHmOk→CO,CO2,H2O 即ち紫外光エネルギーと紫外光により生成されたオゾ
ン及び活性化された酸素原子の複合作用により被形成面
上の有機物(CnHmOk)を分解除去するものである。
実施に際しては、先ず被形成面を有する基板を予備室
に接地した後、低圧水灯ランプを点灯し、被成形面上の
有機物の分解除去を行った。この低圧水銀灯ランプを予
め点灯しておきシャッタ(22)をひらいても良い。その
後ランプを消灯(シャッタを閉じても良い)して予備室
内を減圧にし、反応室内と同圧になったところで反応室
との間に設けてあるゲート弁(23)を開けて、基板を反
応室に移した。
このような処理をした後被形成面上に実施例1、実施
例2、実施例3、実施例4若しくは実施例5に従って炭
素膜を形成した。
得られた炭素膜は被形成面との密着性に極めて優れた
ものであった。
上記の方法は有機物等の汚染物を除去した後、大気に
触れることなく短時間に反応室において膜形成を行なえ
る点で優れた効果を持つものである。
上記実施例は添加物を1種類に限定して示したものだ
が、2種類以上を混合して添加しても本発明の効果を得
られる。
〔効果〕
以上の如く本発明の方法により作製した炭素または炭
素を主成分とする被膜は、水素または酸素の添加量を変
化させて被形成面に損傷を与えない程度のセルフバイア
スで作り得る硬さの炭素または炭素を主成分とする被膜
にしておき、徐々に硬度を上げた膜を積層させて、表面
には所望の硬度を有した炭素または炭素を主成分とする
被膜を形成しているため、被形成面との密着性に優れた
ダイヤモンドの類似の硬さを有するものであり、磁気ヘ
ッドや磁気ディスク等一部に異種材料がその表面をこす
って走行する電気用部材にきわめて有効であった。特に
得られる炭素または炭素を主成分とする被膜は熱伝導率
が2.5W/cm deg以上、代表的には4.0〜6.0W/cm degとダ
イヤモンドの60W/cm degに近いため摩擦によって生じる
熱を全体に均一に逃すことが可能であり、更に耐摩耗
性、高熱伝導性、炭素膜特有の高平滑性等の特性を有す
るものであった。また本発明の方法は、有機樹脂、ガラ
ス、磁性体、金属、セラミックまたは半導体等を被形成
面として実施することができるため、その応用は計り知
れないものである。
【図面の簡単な説明】
第1図は本発明に使用する装置の概要を示す。 第2図は水素、酸素の添加流量に対するセルフバイアス
を示す図。 第3図は添加流量とビッカース硬度との関係を示す図。 第4図及び第5図は添加流量と膜厚との関係を示す図。 第6図は実施例4で用いた装置を示す図。 1……ドーピング系 6……バルブ 7……流量計 8……反応系 9……ノズル 10……マイクロ波エネルギ 11……第1の電極 12……第2の電極 13……高周波電源 14……マッチングトランス 15……直流バイアス電源 16……排気系 17……圧力調整バルブ 18……ターボ分子ポンプ 19……ロータリーポンプ 20……反応空間
フロントページの続き (56)参考文献 特開 昭63−140083(JP,A) 特開 昭63−259079(JP,A) 特開 昭63−236708(JP,A) 特開 昭60−145995(JP,A) 特開 昭60−200896(JP,A) 特開 昭62−132800(JP,A) 特開 昭62−174378(JP,A) 特開 昭60−65796(JP,A) 特開 昭62−256795(JP,A) 特開 昭62−174379(JP,A) 特開 昭61−183198(JP,A) 特開 昭59−137396(JP,A) 特公 昭60−55480(JP,B2) 「電子材料」編集部編「超LSI時代 のプラズマ化学」p27〜28 第2版 (1984−11−25)工業調査会発行

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】被形成面を有する基板に接して設けられた
    第1の電極と第2の電極との間に、前記第1の電極を高
    周波印加電極となるように高周波エネルギを加えて、発
    生させたプラズマにより炭化水素化物気体を分解反応せ
    しめて上記被形成面上に、炭素または炭素を主成分とす
    る被膜を形成する方法において、前記被膜形成の際、前
    記基板を250℃以下に保持しつつ、水素または酸素を添
    加することによって熱伝導率が2.5W/cm deg以上の炭素
    または炭素を主成分とする被膜を形成することを特徴と
    する被膜形成方法。
  2. 【請求項2】被形成面を有する基板に接して設けられた
    第1の電極と第2の電極との間に、前記第1の電極を高
    周波印加電極となるように高周波エネルギを加えて、発
    生させたプラズマにより炭化水素化物気体を分解反応せ
    しめて上記被形成面上に炭素または炭素を主成分とする
    被膜を形成する方法において、前記被膜形成の際、水素
    または酸素の添加量を変化させることにより形成される
    炭素または炭素を主成分とする被膜の硬度を被形成面側
    より炭素または炭素を主成分とする被膜表面に向かって
    増加させることを特徴とする炭素または炭素を主成分と
    する被膜を形成する方法。
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「電子材料」編集部編「超LSI時代のプラズマ化学」p27〜28 第2版(1984−11−25)工業調査会発行

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