JP3513413B2 - 誘導電動機の制御装置 - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】本発明は工作機械の主軸駆動
などに利用され、巻線切替可能な誘導電動機の巻線を高
速に切替制御する誘導電動機の制御装置に関するもので
ある。

【０００２】

【従来の技術】工作機械の主軸駆動などの用途には、す
べり周波数型ベクトル制御によって駆動される誘導電動
機が多く用いられている。また、特に広域定出力が必要
な主軸用途には、マグネットスイッチ等により結線をΔ
結線またはＹ結線に切替え使用する巻線切替用誘導電動
機がしばしば使用される。前記Δ結線およびＹ結線は、
巻線切替指令により結線切替を行なう。

【０００３】図５に巻線切替え可能な誘導電動機の制御
装置の一例を示す。この制御装置に対して外部からの入
力指令として、速度指令値ω*および巻線切替指令が入
力される。演算器１は、速度指令値ω*から磁束密度指
令値φ*を演算する磁束密度指令演算器である。変換器
２は、前記磁束密度指令値φ*から励磁電流指令値id*を
算出する励磁電流指令変換器である。減算器３は、速度
指令値ω*と誘導電動機の回転速度ωmから速度の偏差を
算出する。演算器４は、前記減算器３の出力からトルク
指令Ｔ*を算出するトルク指令演算器である。除算器５
は、トルク電流指令発生手段を構成し、入力されたトル
ク指令Ｔ*を入力された磁束密度指令φ*で除算する。誘
導電動機の出力トルクは磁束密度とトルク電流値との積
に比例することから、除算器５の出力がトルク電流指令
値iq*として出力される。ｄｑ軸電圧指令算出部６は、
前記励磁電流指令と励磁電流検出値および、前記トルク
電流指令とトルク電流検出値から下記数式（１）、
（２）に基づき励磁電流同相電圧指令ｅd*，トルク電流
同相電圧指令ｅq*を演算する。

【０００４】

【数１】 ｅd*＝Ｇd・(id*−id)−ωＬσ・iq*＋ｒ1・id* ・・・（１）

【数２】 ｅq*＝ωＬσ・id*＋Ｇq・(iq*−iq)＋ｒ1・iq*＋ωＭ・id* ・・・（２） ここで、ｒ1は一次巻線抵抗、Ｌσは漏れインダクタン
ス、Ｍは励磁インダクタンスである。また、Ｇd,Ｇqは
十分に大きなゲインであり、ｐi演算増幅器などを用い
て実現する。

【０００５】ｄｑ軸電圧指令算出部６の出力した励磁電
流同相電圧指令ｅd*，トルク電流同相電圧指令ｅq*は、
三相電圧指令発生手段を構成する図５の二相三相変換器
７によって三相の交流電圧指令ｅu*，ｅv*，ｅw*に変換
され、インバータ１６に入力される。インバータ１６は
直流電源１５をエネルギー源として、この三相の交流電
圧指令ｅu*，ｅv*，ｅw*に応じた電圧を誘導電動機１８
に印加することによって三相交流電流iu，iv，iwが流れ
る。この三相交流電流iu，iv，iwは電流検出器１７a，
１７b，１７cによって検出され、三相二相変換器９によ
って励磁電流検出値idおよびトルク電流検出値iqに変換
される。なお、二相三相変換器７と三相二相変換器９と
が座標変換に使用する信号sinωｔ，cosωｔは、角周波
数指令ωを基に二相正弦波発生器１０によって出力され
る。この角周波数指令ωは、位置検出器１９によって検
出された誘導電動機１８の回転位置を微分器２０で微分
することによって得た回転速度ωmに、すべり角周波数
演算器８によりトルク電流指令値iq*と磁束密度指令φ*
および二次抵抗ｒ2から演算したすべり角周波数ωsを加
算する角周波数指令算出手段１１によって得られてい
る。巻線切替制御器１２は、巻線切替指令が入力される
と、電圧指令遮断器１３に電圧指令遮断指令を出力し、
また、ある一定の時間（巻線切替待ち時間）経過後、巻
線切替用マグネットスイッチ１４にＯＮ／ＯＦＦ信号を
出力する。前記巻線切替待ち時間は、タイマー等により
構成する。電圧指令遮断器１３は、前記電圧遮断指令に
基づき前記インバータ１６へ入力される前記電圧指令を
遮断し、モータへの通電を遮断する。巻線切替完了後、
巻線切替制御器１２は、電圧指令遮断器１３へ電圧指令
遮断指令をＯＦＦする指令を出力し誘導電動機１８への
通電を開始する。

【０００６】図６に加速中における巻線切替指令がある
場合の各指令および検出値の波形を示す。T0、T1、T2、
T3は、時間を示し、T0で回転速度指令ω*がωLからωH
へ指令変更した場合について各指令および検出値の波形
について説明する。ωLはＹ結線の回転速度指令であ
り、ωHはΔ結線の回転速度指令で、ωCHGは、Ｙ結線と
Δ結線の境界回転速度である。T1とT2間の時間が巻線切
替時間に相当する。T1の時点で電圧指令を遮断し、誘導
電動機への通電を遮断する。T2の直前にＹ結線からΔ結
線に切り替えT2の時点で電圧指令遮断信号をＯＦＦしモ
ータへの通電を開始する。T1で電圧を遮断し、電流制御
を行なわないためモータに流れる電流id、iqおよびモー
タ内部に発生している誘起電圧ｅmはモータ固有の電気
時定数で減衰する。トルク電流指令iq*は、回転速度指
令と回転速度検出値の偏差をｐi演算等を用い、トルク
電流指令を演算するため図６に示す様に速度偏差が零に
なる時点T3でiq*＝0となる。励磁電流指令id*は、Ｙ結
線とΔ結線では指令値が異なるためT2の時点で指令値が
id*Lからid*Hに変更される。

【０００７】

【発明が解決しようとする課題】工作機械の主軸等に巻
線切替用誘導電動機を使用する場合、頻繁に巻線を切替
使用する。工作機械の加工サイクルを短縮するために
は、前記巻線切替用誘導電動機の巻線切替時間を短縮す
る必要がある。巻線切替時間には、マグネットスイッチ
がＯＮ／ＯＦＦする時間と電圧指令遮断後もパワー素子
のダイオードを通して還流電流が存在するため、還流電
流が無くなるのを待つための前記巻線切替待ち時間とが
ある。マグネットスイッチのＯＮ／ＯＦＦ時間は、数１
０msecと短いが、巻線切替待ち時間が５００msec〜１se
c程度と長い。この待ち時間を短縮することにより巻線
切替時間を短縮することができる。しかし、巻線切替待
ち時間を短縮すると電流が完全に無くなる前に前記マグ
ネットをＯＮ／ＯＦＦするためマグネットの接点が熔着
する不具合が発生した。また、誘導電動機内部の残電圧
により巻線切替後の制御において電流制御が正しく行な
われず特にΔ結線からＹ結線への巻線切替時に過電流ア
ラーム等が発生した。上記不具合を発生させず巻線切替
時間を短縮するためには、使用する誘導電動機毎に、上
記巻線切替待ち時間を測定し設定する必要がある。

【０００８】

【課題を解決するための手段】上述した課題を解決する
ために本発明にかかる誘導電動機の制御装置は、直流電
流から変換された三相交流電流によって駆動される誘導
電動機の制御装置であって、トルク指令と磁束密度指令
の二相指令を前記誘導電動機の１次電流を制御するため
の三相電圧指令に変換し、前記誘導電動機の三相の１次
電流検出値をトルク電流検出値と励磁電流検出値の二相
の検出値に変換し、フィードバック制御を行う巻線切替
可能な誘導電動機の制御装置において、前記磁束密度指
令に基づき励磁電流指令値を算出する励磁電流指令演算
手段と、前記励磁電流指令と前記励磁電流検出値に基づ
き励磁電流誤差を算出し、該励磁電流誤差に基づき、励
磁電流と同相の励磁電流同相電圧指令を算出するｄ軸電
圧指令算出手段と、前記トルク指令と前記磁束密度指令
に基づきトルク電流指令を算出するトルク電流指令発生
手段と、前記トルク電流指令と前記トルク電流検出値に
基づきトルク電流誤差を算出し、該トルク電流誤差に基
づき、トルク電流と同相のトルク電流同相電圧指令を算
出するｑ軸電圧指令算出手段と、二次抵抗値と前記トル
ク電流指令および前記磁束密度指令とに基づきすべり角
周波数を算出するすべり角周波数算出手段と、前記すべ
り角周波数と実際の誘導電動機の回転角周波数に基づき
角周波数指令を算出する角周波数指令算出手段と、前記
励磁電流同相電圧指令および前記トルク電流同相電圧指
令と、前記角周波数指令とに基づき誘導電動機に印加す
る三相電圧指令を算出する三相電圧指令発生手段と、前
記誘導電動機の巻線切替指令に基づき前記励磁電流指令
を零とする手段と、前記誘導電動機の巻線切替指令に基
づき前記トルク電流指令を零とする手段と、前記トルク
電流と前記励磁電流に基づき電圧指令を遮断する電圧指
令遮断手段と、を有し、前記電圧指令遮断手段は、前記
トルク電流と前記励磁電流が零となったことにより、電
圧指令を遮断し巻線切替を実行することを特徴とする。

【０００９】また、本発明にかかる誘導電動機の制御装
置は、直流電流から変換された三相交流電流によって駆
動される誘導電動機の制御装置であって、トルク指令と
磁束密度指令の二相指令を前記誘導電動機の１次電流を
制御するための三相電圧指令に変換し、前記誘導電動機
の三相の１次電流検出値をトルク電流検出値と励磁電流
検出値の二相の検出値に変換し、フィードバック制御を
行う巻線切替可能な誘導電動機の制御装置において、前
記磁束密度指令と磁束推定値に基づき励磁電流指令値を
演算する励磁電流指令演算手段と、前記励磁電流指令と
励磁インダクタンスと二次抵抗とに基づき磁束密度推定
値を演算する磁束密度推定手段と、前記励磁電流指令と
前記励磁電流検出値に基づき励磁電流誤差を算出し、該
励磁電流誤差に基づき、励磁電流と同相の励磁電流同相
電圧指令を算出するｄ軸電圧指令算出手段と、前記トル
ク指令と前記磁束密度指令に基づきトルク電流指令を算
出するトルク電流指令発生手段と、前記トルク電流指令
と前記トルク電流検出値に基づきトルク電流誤差を算出
し、該トルク電流誤差に基づき、トルク電流と同相のト
ルク電流同相電圧指令を算出するｑ軸電圧指令算出手段
と、二次抵抗値と前記トルク電流指令および前記磁束密
度指令とに基づきすべり角周波数を算出するすべり角周
波数算出手段と、前記すべり角周波数と実際の誘導電動
機の回転角周波数に基づき角周波数指令を算出する角周
波数指令算出手段と、前記励磁電流同相電圧指令および
前記トルク電流同相電圧指令と、前記角周波数指令とに
基づき誘導電動機に印加する三相電圧指令を算出する三
相電圧指令発生手段と、前記誘導電動機の速度指令およ
び巻線切替指令に基づき前記磁束密度指令を演算する磁
束密度指令演算手段と、前記誘導電動機の巻線切替指令
に基づき前記トルク電流指令を零とする手段と、前記ト
ルク電流と前記磁束密度推定値に基づき電圧指令を遮断
する電圧指令遮断手段と、を有し、前記電圧指令遮断手
段は、前記トルク電流と前記磁束密度推定値が零となっ
たことにより、電圧指令を遮断し巻線切替を実行するこ
とを特徴とする。

【００１０】

【作用】本発明による誘導電動機の制御装置によれば、
巻線切替え指令によりトルク電流と励磁電流指令、また
はトルク電流と磁束密度指令を零に指令することによ
り、誘導電動機の三相の１次電流検出値をトルク電流検
出値と励磁電流検出値の二相の検出値に変換する三相二
相変換手段によって、電動機電流の３つの瞬時値（例え
ばiu、iv、iw）から誘導電動機内部の励磁電流（例えば
id）およびトルク電流（例えばiq）を直流量として検出
し、これらを磁束密度指令から変換した励磁電流指令
（例えばid*）およびトルク指令を変換したトルク電流
指令（例えばiq*）のそれぞれに対してフィードバック
制御を行なうため、素早く誘導電動機に流れる電流を零
にし、誘導電動機内部の誘起電圧を素早く減少させるこ
とができる。

【００１１】

【発明の実施の形態】図１は本発明に係る誘導電動機の
制御装置の一実施形態のブロック図である。図５に示す
従来の誘導電動機の制御装置と同じ構成要素は同一符号
で示してあり、その説明は重複するので省略する。図１
中の２１は、励磁電流指令切替器であり、図１中の２２
はトルク電流指令切替器である。巻線切替制御器１２
は、巻線切替指令に従い、前記励磁電流指令切替器２１
および前記トルク電流指令切替器２２にそれぞれ電流指
令切替信号を出力する。巻線切替えを行なう場合、前記
励磁電流指令切替器２１は、前記電流指令切替信号に従
い励磁電流指令を零（id*＝0に）設定する。トルク電流
指令切替器２２は、前記指令切替信号に従いトルク電流
指令を零（iq*＝0）に設定する。励磁電流idおよびトル
ク電流iqは、ｄｑ軸電圧指令算出部６によりフィードバ
ック制御されid＝0、iq＝0となる。電流検出器１７a，
１７b，１７cおよび三相二相変換器９により検出変換さ
れた励磁電流検出値idおよびトルク電流検出値iqを前記
巻線切替制御器１２に入力する。前記巻線切替制御器１
２は、励磁電流検出値とトルク電流検出値が共に零（id
=0、iq＝0）になったとき前記電圧指令遮断器１３へ電
圧遮断ＯＮ信号を出力する。前記電圧指令遮断器１３
は、前記電圧遮断指令に基づき電圧指令を遮断し、誘導
電動機への通電を遮断する。前記巻線切替制御器１２は
前記電圧遮断指令出力後、巻線切替用マグネットスイッ
チ１４にＯＮ／ＯＦＦ信号を出力し、前記電圧指令遮断
器１３に電圧遮断ＯＦＦ信号を出力する。前記電圧遮断
指令に基づき前記電圧指令遮断器１３が電圧指令の遮断
を解除し、誘導電動機への通電を開始する。図１に示す
実施形態の各指令および検出値の波形を図３を用いて説
明する。

【００１２】図６で説明した内容については重複するの
で省略する。T1の時点でトルク電流指令値iq*および励
磁電流指令値id*をそれぞれ零に指令変更する。トルク
電流検出値iqおよび励磁電流検出値idは、ｄｑ軸電圧指
令算出部６のｐi演算器の特性によりiq＝0、id＝0に収
束し、収束する時間は、１msec以下である。誘導電動機
内部に発生している誘起電圧ｅmは、下記数式（３）に
より求まる電気的時定数Ｔでｅm＝０に収束する。

【００１３】

【数３】 Ｔ＝Ｍ／ｒ2 ・・・（３） ここで、ｒ2は二次抵抗、Ｍは励磁インダクタンスＭで
あり、電気的時定数Ｔは１００msec〜３００msec程度で
ある。

【００１４】図２は本発明に係る誘導電動機の制御装置
の別の実施形態のブロック図である。図５に示す従来の
誘導電動機の制御装置と同じ構成要素は同一符号で示し
てあり、その説明は重複するので省略する。図２中の演
算器２４は、ｐi演算器とリミット器で構成される励磁
電流指令演算器である。図２中の推定器２５は、励磁電
流指令id*と励磁インダクタンスＭより誘導電動機内部
に発生する磁束密度を推定する磁束密度推定器であり、
下記数式（４）に示す演算式により磁束密度φ＾を推定
する。

【００１５】

【数４】 φ＾＝Ｍ・id*／（１＋ＴＳ） ・・・（４） 前記磁束密度指令φ*と前記磁束密度推定値φ＾の差を
減算器２３により算出する。前記減算器２３の出力から
励磁電流指令演算器２４により励磁電流指令値id*を演
算する。図２中の２２は、トルク電流切替器である。巻
線切替制御器１２は、巻線切替指令に従い、前記磁束密
度指令演算器１および前記トルク電流切替器２２にそれ
ぞれ指令切替信号を出力する。巻線切替えを行なう場
合、前記磁束密度指令演算器１は、前記電流指令切替信
号に従いφ*＝0に設定する。トルク電流指令切替器２２
は、前記電流指令切替信号に従いiq*＝0に設定する。減
算器２３と励磁電流指令演算器２４により演算された励
磁電流指令id*とトルク電流指令iq*に従いｄｑ軸電圧指
令算出部６によりフィードバック制御される。電流検出
器１７a，１７b，１７cおよび三相二相変換器９により
検出変換されたトルク電流検出値iqおよび磁束推定器２
５により推定した磁束密度推定値φ＾を前記巻線切替制
御器１２に入力する。前記巻線切替制御器１２は、トル
ク電流検出値と磁束密度推定値が零（iq＝0、φ＾=0）
となったとき前記電圧指令遮断器１３に電圧遮断ＯＮ信
号を出力する。前記電圧指令遮断器１３は、前記電圧遮
断指令に基づき前記インバータ１６に入力される電圧指
令を遮断し、誘導電動機への通電を遮断する。前記巻線
切替制御器１２は前記電圧遮断指令出力後、巻線切替用
マグネットスイッチ１４にＯＮ／ＯＦＦ信号を出力し、
前記電圧指令遮断器１３に電圧遮断ＯＦＦ信号を出力す
る。前記電圧遮断指令に基づき前記電圧指令遮断器１３
が電圧指令の遮断を解除し、誘導電動機への通電を開始
する。

【００１６】図２に示す実施形態の各指令および検出値
の波形を図４を用いて説明する。図６で説明した内容に
ついては重複するので省略する。T1の時点でトルク電流
指令値iq*および磁束密度指令φ*をそれぞれ零に指令変
更する。トルク電流検出値iqは、ｄｑ軸電圧指令算出部
６のフィードバック制御によりiq＝0に収束する。励磁
電流指令id*は、下記数式（５）により演算されるためT
1の時点で励磁電流指令負リミット値の値が算出され、
磁束密度推定値φ＾が零になるまで図の様に負の値とな
る。

【００１７】

【数５】 id*＝Ｇφ・（φ*ーφ＾） ・・・（５） ここでＧφはｐi演算増幅器により実現させるゲインで
ある。

【００１８】励磁電流idはｄｑ軸電圧指令算出部６によ
りフィードバック制御されるため、前記励磁電流指令id
*に一致し零（id＝0）に収束する。

【００１９】また、前記磁束密度推定値φ＾は、前記数
式（４）に示す様に、励磁電流指令id*に対して一次遅
れであり、その時定数は数式（４）で示される。よって
磁束密度推定値φ＾は、T2-T1の時間でφ＾＝０に収束
する。また、前記誘起電圧ｅmは下記数式（６）で表さ
れるため磁束密度推定値φ＾が零（φ＾＝０）となると
誘起電圧ｅmも零（ｅm＝０）となる。

【００２０】

【数６】ｅm＝Ｋ・φ・ω ここでＫは係数である。よって前記誘起電圧ｅmもT2-T1
の時間でｅm＝０に収束する。T2-T1の時間は１００msec
程度である。

【００２１】

【発明の効果】以上、説明したように本発明による誘導
電動機の制御装置によれば、巻線切替指令によりトルク
電流と励磁電流指令、またはトルク電流と磁束密度指令
を零に指令することにより、誘導電動機の三相の１次電
流検出値をトルク電流検出値と励磁電流検出値の二相の
検出値に変換する三相二相変換手段によって、電動機電
流の３つの瞬時値から誘導電動機内部の励磁電流および
トルク電流を直流量として検出し、これらを磁束密度指
令から変換した励磁電流指令およびトルク指令を変換し
たトルク電流指令のそれぞれに対してフィードバック制
御を行なうため、素早く誘導電動機に流れる電流を零に
することができ、誘導電動機内部の誘起電圧を素早く減
少させることができる。その結果、巻線切替時間が短縮
できる。また、トルク電流と励磁電流またはトルク電流
と磁束密度推定値がそれぞれ零になることを検出し、巻
線切替を実行するため使用する誘導電動機毎に、巻線切
替待ち時間を測定し設定する必要が無くなる。

【図面の簡単な説明】

【図１】 本発明による誘導電動機の制御装置の一実施
形態のブロック図である。

【図２】 本発明による誘導電動機の制御装置の他の実
施形態のブロック図である。

【図３】 図１に示す誘導電動機の制御装置の各指令お
よび検出値の波形図である。

【図４】 図２に示す誘導電動機の制御装置の各指令お
よび検出値の波形図である。

【図５】 従来の誘導電動機の制御装置のブロック図で
ある。

【図６】 図５に示す誘導電動機の制御装置の各指令お
よび検出値の波形図である。

【符号の説明】

１，４，８，２４ 演算器、２ 変換器、３，２３ 減
算器、２１，２２ 切替器、５ 除算器、６ ｄｑ軸電
圧指令算出部、７ 二相三相変換器、９ 三相二相変換
器、１０ 二相正弦波発生器、１１ 加算器、１２ 巻
線切替制御器、１３ 電圧指令遮断器、１４ 巻線切替
用マグネットスイッチ、１５ 直流電源、１６ インバ
ータ、１７a，１７b，１７c 電流検出器、１８ 誘導
電動機、１９ 位置検出器、２０ 微分器。

───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 昭64−5397（ＪＰ，Ａ) 特開 昭63−190576（ＪＰ，Ａ) 特開 平11−69897（ＪＰ，Ａ) 特開 平８−289600（ＪＰ，Ａ) 特開 平６−253594（ＪＰ，Ａ) 特開 平６−217584（ＪＰ，Ａ) 特開 平５−3694（ＪＰ，Ａ) (58)調査した分野(Int.Cl.⁷，ＤＢ名) H02P 21/00

Claims (2)

(57)【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】直流電流から変換された三相交流電流によ
   って駆動される誘導電動機の制御装置であって、トルク
   指令と磁束密度指令の二相指令を前記誘導電動機の１次
   電流を制御するための三相電圧指令に変換し、前記誘導
   電動機の三相の１次電流検出値をトルク電流検出値と励
   磁電流検出値の二相の検出値に変換し、フィードバック
   制御を行う巻線切替可能な誘導電動機の制御装置におい
   て、 前記磁束密度指令に基づき励磁電流指令値を算出する励
   磁電流指令演算手段と、 前記励磁電流指令と前記励磁電流検出値に基づき励磁電
   流誤差を算出し、該励磁電流誤差に基づき、励磁電流と
   同相の励磁電流同相電圧指令を算出するｄ軸電圧指令算
   出手段と、 前記トルク指令と前記磁束密度指令に基づきトルク電流
   指令を算出するトルク電流指令発生手段と、 前記トルク電流指令と前記トルク電流検出値に基づきト
   ルク電流誤差を算出し、該トルク電流誤差に基づき、ト
   ルク電流と同相のトルク電流同相電圧指令を算出するｑ
   軸電圧指令算出手段と、 二次抵抗値と前記トルク電流指令および前記磁束密度指
   令とに基づきすべり角周波数を算出するすべり角周波数
   算出手段と、 前記すべり角周波数と実際の誘導電動機の回転角周波数
   に基づき角周波数指令を算出する角周波数指令算出手段
   と、 前記励磁電流同相電圧指令および前記トルク電流同相電
   圧指令と、前記角周波数指令とに基づき誘導電動機に印
   加する三相電圧指令を算出する三相電圧指令発生手段
   と、 前記誘導電動機の巻線切替指令に基づき前記励磁電流指
   令を零とする手段と、 前記誘導電動機の巻線切替指令に基づき前記トルク電流
   指令を零とする手段と、 前記トルク電流と前記励磁電流に基づき電圧指令を遮断
   する電圧指令遮断手段と、を有し、 前記電圧指令遮断手段は、前記トルク電流と前記励磁電
   流が零となったことにより、電圧指令を遮断し巻線切替
   を実行 することを特徴とする誘導電動機の制御装置。
2. 【請求項２】直流電流から変換された三相交流電流によ
   って駆動される誘導電動機の制御装置であって、トルク
   指令と磁束密度指令の二相指令を前記誘導電動機の１次
   電流を制御するための三相電圧指令に変換し、前記誘導
   電動機の三相の１次電流検出値をトルク電流検出値と励
   磁電流検出値の二相の検出値に変換し、フィードバック
   制御を行う巻線切替可能な誘導電動機の制御装置におい
   て、 前記磁束密度指令と磁束密度推定値に基づき励磁電流指
   令値を演算する励磁電流指令演算手段と、 前記励磁電流指令と励磁インダクタンスと二次抵抗とに
   基づき磁束密度推定値を演算する磁束密度推定手段と、 前記励磁電流指令と前記励磁電流検出値に基づき励磁電
   流誤差を算出し、該励磁電流誤差に基づき、励磁電流と
   同相の励磁電流同相電圧指令を算出するｄ軸電圧指令算
   出手段と、 前記トルク指令と前記磁束密度指令に基づきトルク電流
   指令を算出するトルク電流指令発生手段と、 前記トルク電流指令と前記トルク電流検出値に基づきト
   ルク電流誤差を算出し、該トルク電流誤差に基づき、ト
   ルク電流と同相のトルク電流同相電圧指令を算出するｑ
   軸電圧指令算出手段と、 二次抵抗値と前記トルク電流指令および前記磁束密度指
   令とに基づきすべり角周波数を算出するすべり角周波数
   算出手段と、 前記すべり角周波数と実際の誘導電動機の回転角周波数
   に基づき角周波数指令を算出する角周波数指令算出手段
   と、 前記励磁電流同相電圧指令および前記トルク電流同相電
   圧指令と、前記角周波数指令とに基づき誘導電動機に印
   加する三相電圧指令を算出する三相電圧指令発生手段
   と、 前記誘導電動機の速度指令および巻線切替指令に基づき
   前記磁束密度指令を演算する磁束密度指令演算手段と、 前記誘導電動機の巻線切替指令に基づき前記トルク電流
   指令を零とする手段と、 前記トルク電流と前記磁束密度推定値に基づき電圧指令
   を遮断する電圧指令遮断手段と、を有し、 前記電圧指令遮断手段は、前記トルク電流と前記磁束密
   度推定値が零となったことにより、電圧指令を遮断し巻
   線切替を実行 することを特徴とする誘導電動機の制御装
   置。