JP3958920B2 - 主軸制御装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、ベルトやギアなどの動力伝達手段を介して連結された誘導電動機の回転速度を制御することによって、工作機械等の主軸を制御する主軸制御装置に関するものであって、特に誘導電動機に速度検出器などを必要とせずに主軸の制御を行なうことのできる主軸制御装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
近年、工作機械の主軸駆動などの用途において直流電動機に代わって構造が簡単かつ堅牢でブラシ交換の不要な誘導電動機が多く用いられており、すべり周波数型ベクトル制御と呼ばれる制御方式によって速度制御を行なう制御装置が多く用いられる傾向にある。このようなすべり周波数型ベクトル制御による従来の制御装置のブロック図の一例を図3に示す。このすべり周波数型ベクトル制御装置を用いて工作機械の主軸駆動を行う場合においては、誘導電動機5に取り付けた速度検出器6によって誘導電動機の回転速度を検出してベクトル制御を行うと共に、主軸7に取り付けた回転位置検出器8によって主軸の回転位置を検出し、回転位置のフィードバック制御を行うことによって主軸定位置停止機能や同期タッピング機能などを実現している。
一方、誘導電動機の制御方式として近年、速度検出器を使用せずに誘導電動機の速度制御を行なう速度センサレスベクトル制御なる制御方式が考案され、実用化されている。このような速度センサレスベクトル制御方式の従来技術による制御装置のブロック図の一例を図4に示す。この方式においては、誘導電動機5の端子電圧や電流を用いてモータ回転速度の推定値を算出しており、例えば図4の例では励磁電流指令値id*と励磁電流検出値idとの偏差、もしくはトルク電流指令値iq*とトルク電流検出値iqとの偏差に基づいてセンサレス速度検出部9がロータの回転速度ωmを推定演算している。そして、このωmを用いてベクトル制御を行うとともに、上述したすべり周波数型ベクトル制御と同様に主軸に取り付けた回転位置検出器8を用いて主軸の回転位置制御を実現している。なお、すべり周波数型と速度センサレスベクトル制御とについては、「交流モータのベクトル制御」,中野孝良著,日刊工業新聞社,1996年3月初版発行に詳しい説明がある。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
従来のすべり周波数型ベクトル制御、並びに速度センサレスベクトル制御による主軸制御装置においては、以下に示すような課題を有している。
すなわち、すべり周波数型ベクトル制御を用いた主軸制御装置においては、誘導電動機の速度検出器が必要であるためシステム全体の価格が高く、また比較的、高温状態となる誘導電動機に直接、速度検出器を取り付ける必要があるため信頼性の点で課題を有している。
【0004】
また、速度センサレスベクトル制御を用いた主軸制御装置においては、すべり周波数推定値の演算においてモータ内部の磁束密度およびモータの二次抵抗値を使用する必要があり、これらは完全に正確な値を得ることが困難であるため、特に誘導電動機の回転速度が低速である場合においては、すべり周波数推定値の誤差が回転速度の推定値に与える影響が大きくなり、高精度に出力トルクを制御することができない傾向にある。この結果、主軸定位置停止機能や同期タッピング機能など、主軸の回転位置制御を必要とする機能において十分な性能を実現できない。
本発明は上記課題を解決するためになされたものであり、工作機械の主軸を駆動する誘導電動機に速度センサを用いることなく高精度に主軸の速度制御を実現し、安価で信頼性の高い主軸制御装置を提供することを目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】
上述した課題を解決するために本発明にかかる主軸制御装置は、
動力伝達手段を介して主軸に接続された誘導モータの速度を速度指令値に応じてフィードバック制御する主軸制御装置において、
モータ電流の瞬時値iu、iv、iwを入力として前記モータの励磁電流成分であるd軸電流検出値と、前記モータのトルク電流成分であるq軸電流検出値を出力する3相2相変換手段と、
前記モータに対する磁束密度指令に応じてd軸電流指令値を出力する励磁電流指令発生手段と、
モータ速度検出値と前記速度指令値との偏差に基づいてq軸電流指令値を算出するトルク電流指令発生手段と、
前記q軸電流指令値と前記q軸電流指令値との偏差、もしくは前記d軸電流指令値と前記d軸電流検出値との偏差に基づいて前記モータの速度推定値である第1速度検出値を算出する第1速度推定手段と、
主軸に連結された検出器から得た主軸速度検出値に動力伝達手段の変速比を乗じた第2速度検出値を算出する第2速度検出手段と、
前記第1速度検出値と前記第2速度検出値との差が所定値以下である場合には、前記第1速度検出値と前記第2速度検出値に基づいて前記モータ速度検出値を算出して出力し、前記第1速度検出値と前記第2速度検出値との差が所定値以上である場合には、前記第1速度検出値を前記モータ速度検出値として出力するモータ速度検出手段とを備えることを特徴とする。
さらに、前記第1速度検出値と前記第2速度検出値との差が所定値以上であり、かつ前記第1速度検出値が所定値以下である場合には、減速方向のトルクを発生するq軸電流指令値を予め定めた所定値に制限するリミッタ回路を備えることを特徴とする。
【0006】
【作用】
本発明による誘導電動機の制御装置においては、3相2相変換手段によってモータ電流の瞬時値iu、iv、iwからモータ内部の励磁電流idおよびトルク電流iqを直流量として検出している。これら励磁電流検出値idおよびトルク電流検出値iqは、それぞれ励磁電流指令値id*およびトルク電流指令値iq*との偏差に応じてフィードバック制御されている。第1速度推定手段はモータ速度の推定値に誤差がある場合には、トルク電流検出値iqとトルク電流指令値iq*との偏差、もしくは励磁電流検出値idと励磁電流指令値id*との偏差が大きくなることを利用して第1速度検出値を算出している。この第1速度検出値は低い周波数成分においては検出誤差を多く含む性質があるが、高周波成分については比較的精度の高い検出値が得られる。
一方、主軸に取り付けられた検出器から算出した第2のモータ回転速度推定値つまり第2速度検出値は、比較的高い周波数成分において誤差を多く含む性質があるが、低周波数成分については比較的精度の高い検出値が得られる。従って、第1速度検出値と主軸に取り付けられた検出器による第2速度検出値の双方の精度の良い周波数成分を、それぞれ組み合わせて使用することによって高精度の速度検出を行うことができ、安定でかつ精度の良い速度制御を行うことができる。
【0007】
【発明の実施の形態】
図1は本発明に係る主軸制御装置の一実施形態のブロック図である。図3および図4に示す従来の制御装置と同じ構成要素は同一符号で示してあり、その説明は重複するので省略する。
3相2相変換器1はモータ電流の瞬時値iu、iv、iwと積分器2の出力した電気角ωtを基にして以下の演算によって励磁電流検出値idおよびトルク電流検出値iqを演算している。
【数1】
id=iu・sinωt+iv・sin(ωt−120°)+iw・sin(ωt+120°)
【数2】
iq=iu・cosωt+iv・cos(ωt−120°)+iw・cos(ωt+120°)
これら[数1][数2]の意味について説明する。sinωt信号およびcosωt信号は後述する2相3相変換器3がモータ端子電圧指令の演算に使用するものと同じであって、sinωt信号の位相を基準として3相のモータ電流を直交する2軸座標に投影するものである。このようにして得られたid、iqを用いて誘導電動機の電圧、電流の関係を以下に説明する。
誘導電動機の等価回路を図5に示す。図中のE1、I1、I2はそれぞれ、1次端子電圧、1次巻線電流、2次巻線電流を表したものであり、交流量である。これらの各電流、電圧は[数1][数2]によって得られたid、iqを用いて以下のように表記できる。
【数3】
I1=id・sinωt+iq・cosωt
【数4】
I2=i2d・sinωt+i2q・cosωt
【数5】
E1=ed・sinωt+eq・cosωt
【0008】
ここでωはモータ電流の角周波数であるから、id、iq、i2d、i2q、ed、eqの各値は時間によらず一定となる直流量かつスカラ量として算出される。なお、この直交する座標軸をそれぞれd軸、q軸と称する。
上記id、iq、i2d、i2q、ed、eqを用いて図6の等価回路の電圧、電流を表すと次式を得る。ただし微分演算子(d/dt)をpで表す。
【数6】
【数7】
【0009】
次に2次回路の電圧、電流について図6の等価回路を用いて説明する。この図から、誘導電動機はロ−タが1次電圧の角周波数ωに対してωs=s・ωというすべり周波数を持って回転することによって速度起電力のみ1:sの比率で伝達する変圧器として考えることができる。このように考えて2次回路の電圧方程式は次のように表すことができる。
【数8】
r2・i2d+p・M・i2d+s・ω・M(iq−i2q)−p・M・id=0
【数9】
r2・i2q+p・M・i2q−s・ω・M(id−i2d)−p・M・iq=0
ここで、この座標軸の回転位置について誘導電動機内部の磁束ベクトルΦの位置とd軸の位置が一致していると仮定すると磁束ベクトルΦは次のように表される。
【数10】
Φ=φ・sinωt (ただしφはスカラ量)
【数11】
φ=M・id−M・i2d
すなわち図5の等価回路において励磁インダクタンスMに流れる励磁電流imは[数12]のように表され、また、q軸成分の電流が励磁電流imには関与しないことから、q軸成分について[数13]を得る。
【数12】
im=id−i2d
【数13】
iq=i2q ∴iq−i2q=0
これら[数12][数13]を[数9]に代入することによって[数14]を得られ、さらにこれを変形して[数15]を得る。
【数14】
r2・iq=s・ω・M・im
【数15】
ωs=r2・iq/(M・im) ただしωs=ω−ωm(ωm:モータ回転数)
また[数12][数13]を[数8]に代入すると[数16]が得られる。
【数16】
im={r2/(r2+p・M)}id
すなわちimはidの一次遅れに等しく、idが一定であるという条件の元ではidに等しい。
【0010】
以上のように誘導電動機内部の磁束ベクトルΦの位置とd軸の位置が一致していると仮定すると、[数15]からすべり周波数ωsはiqに比例していることがわかり、逆に言えば磁束ベクトルΦの位置とd軸の位置を一致させるためにはすべり周波数ωsをiqに比例して制御する必要がある。この[数15]はベクトル制御条件と呼ばれ、この条件を満足するすべり周波数ωsを与えるとき[数12]および[数13]が成立することによって、磁束密度φは[数16]に示すようにidによって任意に制御できるとともにトルクを発生するiqは磁束密度に影響を与えることなく任意に制御することが可能となる。
【0011】
次に[数6][数7]に基づいてモータの1次電流id、iqを制御する制御系を考える。まず、[数6]に[数12][数13]を代入すると[数17]を得る。
【数17】
ed=(r1+p・Lσ)id−ω・Lσ・iq+p・M・im
この式のうち第3項はimの変化が十分に緩やかであることから無視できる。よって次の[数18]を得る。
【数18】
ed=(r1+p・Lσ)id−ω・Lσiq
今、idを所望の指令値id*に等しくするという制御系を考えたとき、id*とidとの誤差Δid(=id*−id)をもとに次の[数19]のようにd軸電圧指令ed*を出力する制御系を考えることができる。
【数19】
ed*=Gd・Δid−ω・Lσ・iq*
なお、Gdは比例積分アンプなどを用いた増幅率であり十分に大きな値である。また第2項はq軸からの干渉項としてフィ−ドフォワ−ド補償として加算される。
【0012】
同様に[数7]に[数12][数13]を代入すると[数20]を得る。
【数20】
eq=ω・Lσ・id+(r1+p・Lσ)iq+ω・M・im
上記と同様にiqを指令値iq*に等しく制御するという系を考えるとき、[数20]より次の[数21]のような制御系を考えることができる。なおGqはGdと同様に十分に大きな値であり、またid=一定という仮定のもとではimはidに等しいのでimをid*に置き換えている。
【数21】
eq*=Gq・Δiq+ω(Lσ+M)id*
この第2項は[数19]の第2項と同様にd軸からの干渉項としてフィ−ドフォワ−ド補償される。
【0013】
上述した[数19][数21]に従って誘導電動機の1次巻線に印加されるd軸電圧すなわち励磁電流同相電圧の指令値ed*、およびq軸電圧すなわちトルク電流同相電圧の指令値eq*が決定される。
これら指令値は2相3相変換器3によって以下の変換が行なわれ、誘導電動機の1次巻線に印加される3相交流電圧の指令値eu*、ev*、ew*となる。
【数22】
eu*=ed*・sinωt+eq*・cosωt
【数23】
【数24】
インバータ4はこれらの指令値eu*、ev*、ew*に相当する電圧を誘導電動機5に印加することによって1次電流id、iqはそれぞれ所望の値に制御することが可能となる。
【0014】
上記[数18][数20]は1次電流id、iqを1次電圧を操作することによって任意に制御できることを示すものであるが、前提条件として[数12][数13]が成り立つ必要があり、そのためには[数15]を満たすすべり周波数ωs(=ω−ωm)を与える必要がある。しかしながらモータ回転速度ωmは速度検出器を使用しないために正確な検出値は得られず、推定値ωm^を使用する。このため速度推定値ωm^と実際の回転速度ωmに誤差があった場合にはid、iqを正確に制御することができなくなり、電流指令値id*、iq*との間に偏差が生じることになる。そこで図1のセンサレス速度検出部9において、これらの電流指令値id*、iq*と電流検出値id、iqとの偏差を利用して正確な速度推定値ωm^を得ることが可能である。
【0015】
電流指令値id*、iq*と電流検出値id、iqとの偏差を利用して速度推定値ωm^を得る方法については、既に様々な方法が公知技術として報告されており、それらの何れにも本発明を適用できる。ここでは、その一手法としてq軸電流指令値iq*とq軸電流検出値iqとの偏差を利用する手法について示す。まず、速度推定値ωm^と実際の回転速度ωmとの誤差Δωmを次のように定義する。
【数25】
Δωm=ωm−ωm^
次に電流角周波数ωは図1の実施例においては、[数15]のベクトル制御条件を満たすようにq軸電流指令値iq*から次のように算出している。なお、[数15]におけるimは[数16]に示したようにd軸電流idの一次遅れであり、その時定数は数100ms程度であるのでモータ回転速度に対して変化が緩慢なため一定と近似できる。
【数26】
ωs*=r2・iq*/(M・im)
【数27】
ω=ωm^+ωs*
上記の[数25][数27]から実際の誘導電動機に発生するすべり周波数ωs(=ω−ωm)は次のように表される。
【数28】
ωs=ωs*−Δωm
この[数28]と[数26][数15]の関係から次式を得る。
【数29】
Δωm=r2(iq*−iq)/(M・im)
すなわちq軸電流指令値iq*とq軸電流検出値iqとの偏差は、速度推定値ωm^の誤差Δωmを表しており、比例積分アンプ等を用いて(iq*−iq)を増幅してωm^を次のように算出する。
【数30】
ωm^=Gw(iq*−iq)
このときGwは比例積分アンプの増幅率であり、これを十分に大きな値に設定すればΔωm=0となるようにフィードバックが作用し、速度推定値ωm^は実際の回転速度ωmに等しくなる。
【0016】
前記のように第1速度推定手段としてのセンサレス速度検出部9が算出する速度推定値つまり第1速度検出値としてのセンサレス速度検出値ωm^は、その入力に電流検出値を使用しており、電流制御系に含まれるインバータのデッドタイムなどの誤差要因によって検出精度が悪化する。そこで、本発明においては図1に示すように工作機械の主軸7に連結された回転位置検出器8から検出した回転位置を位置・速度変換器10によって主軸回転速度に変換するとともにベルト等動力伝達手段の変速比を乗算して、モータ速度と等価な第2速度検出値ωLを得る。しかし、この第2速度検出値ωLはベルトの伸縮などの影響によって、また動力伝達手段としてギアを使用する場合はギアのバックラッシュなどの影響によって過渡的には正確なモータ速度を得ることができない。例えば動力伝達手段がベルトである場合にはベルトのバネ定数と主軸およびモータの慣性モーメントによって、一般的に主軸とモータ間の機械的結合は100〜200Hz程度の共振周波数を持った二慣性共振系の特性を示す。このため、誘導電動機5の速度変化に対して主軸7は100〜200Hz程度の周波数で振動的な挙動を示し、第2速度検出値ωLには、この振動による検出誤差が多く含まれる。つまり、第2速度検出値ωLはモータ速度に対して低周波成分の検出誤差は十分に少ないが、高周波成分の検出誤差を含んでいる。
【0017】
また一方、センサレス速度検出値ωm^は過渡的な検出精度は比較的に良好であるが[数29]に示すように算出式に励磁電流imやq軸電流検出値iq、二次抵抗値r2を使用しているため、静的な検出精度は低い。例えば、インバータのデッドタイム等によってモータ電流に制御偏差が生じた場合には、この偏差を増幅して速度検出誤差を生じてしまう。また、モータの温度変化等による二次抵抗値r2の変動も速度検出値に誤差を生じさせてしまう。これらの誤差要因は比較的周波数成分の低いものである。そこで図1のハイパスフィルタ11はωm^の低周波成分を除去している。またローパスフィルタ12は第2速度検出値ωLの高周波成分を除去しており、これらフィルタの出力を加算器13で加算合成することによってセンサレス速度検出値ωm^と第2速度検出値ωLの双方から検出精度の高い成分のみを抽出した速度検出値を得ている。
【0018】
なお、比較器14はセンサレス速度検出値ωm^と第2速度検出値ωLの差が所定値以上になった場合に動作して、ベルト等の変速機構が故障したものと判定する。変速機構が故障したと判定すると、第2速度検出値ωLはモータの速度検出値としては使用することができないため、切換器15がセンサレス速度検出値ωm^をそのままモータ速度検出値として出力する。
【0019】
変速機構が故障したと判定し、センサレス速度検出値ωm^を用いてベクトル制御を行う際、モータ速度が低速の領域においては、特に減速方向のトルクを正確に制御することができない。その結果、実際にはモータが回転しているにも係わらずセンサレス速度検出値ωm^がゼロ速度を検出してしまい、モータを停止させることができない。その理由は低速の領域において、特に減速方向のトルクを出力する際には負のすべり周波数が発生するために電流周波数が小さくなり、モータ端子電圧が低くなるためである。このため、インバータのデッドタイムなどによる電圧誤差成分がモータ電流に与える影響が相対的に大きくなり、モータ内部における実際の磁束が正確に制御できなくなってベクトル制御条件が崩れるためである。そこで本発明においては、センサレス速度検出値ωm^を用いてベクトル制御を行う際にはリミッタ16によってq軸電流指令値を予め定めた所定のリミット値に制限している。このリミット値は、一例としては図2に示すようにモータ速度の関数として与えており、回転速度が低い領域ではq軸電流値を小さくしている。このようにq軸電流を小さくすることによって、モータに通電される電流のうちd軸電流成分つまり励磁電流が相対的に大きくなり、安定にモータ内部の磁束を制御することができ、上記不具合の発生を防止することができる。つまり、このリミッタ16は比較器14が、変速機構が故障したと判定していない間は、除算器22が出力するq軸電流指令値をそのまま出力し、比較器14が、変速機構が故障したと判定すると、除算器22が出力するq軸電流指令値を予め定めた所定のリミット値に制限する。
【0020】
【発明の効果】
以上の本発明によれば、誘導電動機に速度検出器を取り付けることなく高精度に工作機械の主軸を速度制御することができ、安価で信頼性の高い主軸制御装置を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明による主軸制御装置の一実施例のブロック図である。
【図2】 本発明におけるq軸電流指令値のリミット値の設定例である。
【図3】 従来のすべり周波数型ベクトル制御による主軸制御装置のブロック図である。
【図4】 従来のセンサレスベクトル制御による主軸制御装置のブロック図である。
【図5】 誘導電動機の等価回路の第1の形態である。
【図6】 誘導電動機の等価回路の第2の形態である。
【符号の説明】
1 3相2相変換器、2 積分器、3 2相3相変換器、4 インバータ、5誘導電動機、6 速度検出器、7 主軸、8 回転位置検出器、9 センサレス速度検出部、10 位置・速度変換器、11 ハイパスフィルタ、12 ローパスフィルタ、13 加算器、14 比較器、15 切換器、16 リミッタ、17 電流制御器、18 磁束密度指令発生器、19 励磁電流指令発生器、20 減算器、21 Pi増幅器、22 除算器、23 除算器、24 乗算器、25 加算器、26 直流電圧源、27 電流検出器、28 位置検出回路。
Claims (1)
- 動力伝達手段を介して主軸に接続された誘導モータの速度を速度指令値に応じてフィードバック制御する主軸制御装置において、
モータ電流の瞬時値iu、iv、iwを入力として前記モータの励磁電流成分であるd軸電流検出値と、前記モータのトルク電流成分であるq軸電流検出値を出力する3相2相変換手段と、
前記モータに対する磁束密度指令に応じてd軸電流指令値を出力する励磁電流指令発生手段と、
モータ速度検出値と前記速度指令値との偏差に基づいてq軸電流指令値を算出するトルク電流指令発生手段と、
前記q軸電流指令値と前記q軸電流検出値との偏差、もしくは前記d軸電流指令値と前記d軸電流検出値との偏差に基づいて前記モータの速度推定値である第1速度検出値を算出する第1速度推定手段と、
主軸に連結された検出器から得た主軸速度検出値に前記動力伝達手段の変速比を乗じた第2速度検出値を算出する第2速度検出手段と、
前記第1速度検出値と前記第2速度検出値との差が所定値以下である場合には、前記第1速度検出値と前記第2速度検出値に基づいて前記モータ速度検出値を算出して出力し、前記第1速度検出値と前記第2速度検出値との差が所定値以上である場合には、前記第1速度検出値を前記モータ速度検出値として出力するモータ速度検出手段と、
前記第1速度検出値と前記第2速度検出値との差が所定値以上であり、かつ前記第1速度検出値が所定値以下である場合には、減速方向のトルクを発生するq軸電流指令値を予め定めた所定値に制限するリミッタ回路と、
を備えることを特徴とする主軸制御装置。
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JP2002051594A (ja) | 2002-02-15 |
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