JP3511105B2 - 限外濾過モジュールの洗浄方法 - Google Patents

限外濾過モジュールの洗浄方法

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JP3511105B2 JP23232495A JP23232495A JP3511105B2 JP 3511105 B2 JP3511105 B2 JP 3511105B2 JP 23232495 A JP23232495 A JP 23232495A JP 23232495 A JP23232495 A JP 23232495A JP 3511105 B2 JP3511105 B2 JP 3511105B2
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Description

【発明の詳細な説明】 【0001】 【発明の属する技術分野】本発明は、電着塗装装置に用
いられる限外濾過モジュールの洗浄技術の改良に関す
る。 【0002】 【従来の技術】従来、電着塗装装置の限外濾過モジュー
ルを洗浄する方法として、例えば特公平4−4400号
に開示されているような技術が知られている。この技術
は、電着槽中の電着塗料を供給ポンプで限外濾過モジュ
ールに送り、濾過モジュールによって顔料等の溶質成分
が濃縮された顔料等濃縮液と、溶媒成分としての濾過液
とに分離した後、顔料等濃縮液を電着槽に戻し、濾過液
を濾液タンクに送り込むとともに、この濾過液を、出槽
した直後の被塗物に吹きかけて、被塗物表面に付着する
過剰な電着塗料の洗い落とし及び回収に使用している。
またこの濾過液は、限外濾過モジュールのフィルターの
逆洗洗浄にも使用しており、例えば塗装ラインの稼働を
停止させるような場合は、濾液タンクから限外濾過モジ
ュールに向けて濾過液を逆流させ、フィルター面に析出
硬化する顔料成分等を洗い流して電着槽に送り込み、限
外濾過モジュール内を濾過液で置換するようにしてい
る。 【0003】 【発明が解決しようとする課題】ところで、限外濾過モ
ジュールのフィルター面には、顔料成分のみならず樹脂
成分も析出硬化し、これら析出した顔料成分と樹脂成分
は、濾過液の逆洗洗浄によって洗浄剥離することが可能
であるが、元々濾過液中には8重量%程度の樹脂成分が
含まれているため、いくら限外濾過モジュール内を濾過
液で置換しても置換した濾過液中の樹脂成分を8重量%
以下にすることは出来なかった。このため、従来の技術
では、特に長期間装置を稼働させないような場合にフィ
ルター面に樹脂成分が析出硬化するのを防ぎ得ないとい
う問題があった。 【0004】そこで、限外濾過モジュールのフィルター
の目詰りによる濾過機能の低下を簡便な方法で是正し、
フィルターの寿命向上を図るとともに電着塗料の回収効
率を高めることの出来る技術が望まれていた。 【0005】 【課題を解決するための手段】上記課題を解決するため
本発明は、電着塗装装置の限外濾過モジュールを洗浄す
る洗浄方法において、限外濾過モジュールを濾過液で逆
洗洗浄した後、純水で逆洗洗浄して限外濾過モジュール
内を純水で置換し、この置換した純水中の樹脂成分濃度
が2重量%以下になった時点で純水の逆洗洗浄を停止す
るようにした。 【0006】この際、濾過液の逆洗洗浄で限外濾過モジ
ュールのフィルター面に析出硬化する顔料、樹脂成分が
洗浄剥離され、その後、純水で逆洗洗浄して限外濾過モ
ジュール内の樹脂成分濃度を2重量%以下にすれば、長
期間装置を非稼働にしても樹脂成分が析出しなくなる。 【0007】 【発明の実施の形態】本発明の実施の形態について添付
した図面に基づき説明する。ここで図1は、本発明の限
外濾過モジュールの洗浄方法を説明するための塗料等回
路構成図、図2は本発明の前提となる改良前の限外濾過
モジュールの洗浄方法を説明するための塗料等回路構成
図、図3はモジュールラックの詳細断面図である。本発
明の限外濾過モジュールの洗浄方法は、例えば図2に示
すような自動車の塗装装置における塗料等回路構成の一
部を改良し、限外濾過モジュールの濾過機能の向上を図
ったものであり、まず、本発明の前提となる改良前の塗
料等回路構成について図2に基づき説明する。 【0008】改良前の塗料等回路は、図2に示すよう
に、電着槽1内の電着塗料の一部を供給ポンプ2によっ
てプレフィルター3に圧送し、プレフィルター3で電着
塗料中の異物を除去した後、循環ポンプ4によって塗料
入路5から限外濾過モジュール6に送り込み、この限外
濾過モジュール6で、顔料等の溶質成分が濃縮された顔
料等濃縮液と溶媒成分としての濾過液とに分離し、顔料
等濃縮液を溶質出路7からオーバーフロー槽8に戻し、
濾過液を溶媒出路9、9から逆洗タンク10に送り込む
ようにしている。 【0009】そして逆洗タンク10の濾過液は、回収ポ
ンプ12によって第1濾液タンク13に送り、この第1
濾液タンク13の濾過液を、移送ポンプ14によって第
2濾液タンク15に送り、この第2濾液タンク15の濾
過液を濾液シャワーポンプ16によって不図示の濾液シ
ャワーに送るようにしている。そしてこの濾液シャワー
から吐出される濾過液を、電着槽1から出槽した被塗物
表面に吹き付けて被塗物の表面に過剰に付着する電着塗
料を回収しオーバーフロー槽8に戻すようにしている。 【0010】また、前記限外濾過モジュール6は、複数
のモジュールラック6u、…から構成され、各モジュー
ルラック6u内には、図3に示すように、UF(Ultraf
ilt-ration)フィルター17が内装されている。そして
このモジュールラック6uには1本の塗料入路5と、1
本の溶質出路7と2本の溶媒出路9、9が接続されるよ
うになっている。 【0011】このUFフィルター17には、使用中に顔
料成分等が析出硬化するため所定の時期に逆洗洗浄が行
われる。このため、限外濾過モジュール6と逆洗タンク
10の間には逆洗回路18が設けられ、この逆洗回路1
8の途中に配設した逆洗ポンプ19によって、逆洗タン
ク10内の濾過液を溶媒出路9、9から限外濾過モジュ
ール6内に逆流させることが出来るようにしている。ま
た、この逆洗回路18の途中には酢酸回路21の一端側
を接続し、他端側を酸注入ポンプ22、酢酸タンク23
に接続している。また、前記塗料入路5と溶質出路7の
間には戻し回路24を接続している。 【0012】ところで、以上のような回路の途中には通
路の開閉制御用のバルブを設けているが、主として逆洗
洗浄等を行う時に関係するバルブは、前記塗料入路5に
設けたバルブ25と、戻し回路24に設けたバルブ26
と、溶質出路7に設けたバルブ27と、溶媒出路9の出
口側に設けたバルブ28、29、30と、逆洗タンク1
0側に設けたバルブ31、32、33と、逆洗回路18
の途中に設けたバルブ34、35と、酢酸回路21に設
けたバルブ36等である。 【0013】以上のような回路構成において、当初はバ
ルブ26、34、35、36を閉にしその他のバルブを
開にして電着塗料を濾過する。すなわち、電着槽1内の
電着塗料は、供給ポンプ2によってプレフィルター3に
送られ、塗料中の異物が除去された後、塗料入路5から
各モジュールラック6u、…内に送られる。そして、各
UFフィルター17、…で顔料等濃縮液と濾過液に分離
させられ、顔料等濃縮液は溶質出路7からオーバーフロ
ー槽8に戻され、濾過液は溶媒出路9、9から逆洗タン
ク10に送給される。 【0014】そして逆洗タンク10の濾過液は、回収ポ
ンプ12によって第1濾液タンク13に送給され、次い
で移送ポンプ14で第2濾液タンク15に送給された
後、濾液シャワーポンプ16によって濾液シャワーに供
給される。そしてこの濾液シャワーによって被塗物表面
の過剰な電着塗料を洗い流し回収する。 【0015】ところで、このように限外濾過モジュール
6で電着塗料を濾過していると、UFフィルター6u、
…のフィルター面に電着塗料中の顔料、樹脂成分が付着
し、そのまま使用を継続すると顔料、樹脂成分が析出硬
化する。また、電着塗装工程の前工程である前処理工程
では車体にリン酸を塗布するが、これが車体に付着した
まま電着塗装工程に持込まれるため、フィルター面に
は、顔料、樹脂成分のみならずリン酸塩中に含まれる鉛
成分が炭酸鉛として析出硬化する。このため、析出した
炭酸鉛を除去するため、30分毎に1分間の酢酸による
逆洗洗浄を行い、夜間等においてラインを停止する時
は、濾過液による逆洗洗浄を行って限外濾過モジュール
6内を濾過液で置換する。 【0016】すなわち、酢酸による逆洗洗浄を行う際
は、バルブ34、31、28、25、26を閉とし、バ
ルブ36、35、29、30、27を開として、酸注入
ポンプ22を作動させ、酢酸タンク23内の酢酸を溶媒
出路9、9からモジュールラック6u、…内に流入させ
てフィルター面に析出した炭酸鉛を溶解させ、これをオ
ーバーフロー槽8に送り込む。 【0017】また、夜間等におけるライン停止時の濾過
液による逆洗洗浄は、バルブ36、31、28、25、
26を閉とし、バルブ34、35、29、30、27を
開として逆洗ポンプ19を作動させ、逆洗タンク10内
の濾過液を溶媒出路9、9からモジュールラック6u、
…内に流入させてフィルター面の顔料、樹脂成分を剥離
させオーバーフロー槽8に送り込む。そして、限外濾過
モジュール6内を濾過液で置換し、その後、バルブ27
を閉にして装置を停止する。 【0018】すると、濾過液は、図4の模式図に示すよ
うに、主として限外濾過モジュール6から溶質出路7に
かけての流路内に満たされ、洗浄スタート時と洗浄2分
終了後の入口部xにおける濾過液の樹脂濃度と、出口部
yにおける濾過液の樹脂濃度を測定すると図5のように
なる。すなわち、出口部yの樹脂濃度は、約12重量%
程度に低下しているが、それ以上続けてもあまり効果が
なく、入口部xの樹脂濃度は全く変化がない。そしてこ
の状態で長期間が経過すると、再びフィルター面に樹脂
成分が析出硬化する。ここで、樹脂成分とは、例えばア
ミノ変性エポキシ樹脂である。 【0019】次に、休日等でラインを長期間停止する時
は、塗料入路5側も洗浄される。すなわち、バルブ3
6、31、28を閉とし、バルブ34、35、29、3
0、25、26、27を開として逆洗ポンプ19を作動
させ、逆洗タンク10内の濾過液を溶媒出路9、9から
モジュールラック6u、…内に流入させてフィルター面
の顔料、樹脂成分を剥離させオーバーフロー槽8に送り
込む。そして、限外濾過モジュール6内を濾過液で置換
し、その後、バルブ27を閉にして装置を停止する。 【0020】すると、濾過液は、図6の模式図に示すよ
うに、限外濾過モジュール6から溶質出路7及び塗料入
路5にかけての流路内に満たされ、この時の洗浄スター
ト時と洗浄2分終了後の入口部xにおける濾過液の樹脂
濃度と、出口部yにおける濾過液の樹脂濃度は図7のよ
うになる。すなわち、出口部yの樹脂濃度は、約13重
量%に低下し、入口部xの樹脂濃度は約12重量%程度
に低下するものの、これ以上継続してもあまり効果がな
い。そしてこのように樹脂成分の重量%の低減に限度が
あるのは、元々濾過液中に樹脂成分が約8重量%程度含
まれているからであり、いくら濾過液で置換しても樹脂
成分を8重量%以下にすることは出来ないことになる。
尚、図7の入口部xと出口部yの洗浄開始のタイミング
が異なって表記されているのはまぎらわしさを避けるた
めであり、実際は同時に洗浄開始となる。 【0021】以上のことから従来の場合は、ラインを長
期間停止する時は、UFフィルター17に目詰りが発生
し、濾過液流量が低下して充分な電着塗料の回収が困難
になるため、早期にUFフィルター17を交換しなけれ
ばならず、コスト的に問題があった。そこで、本発明は
図1に示すような回路構成にて上記不具合を是正するよ
うにした。ここで、図1の符号は前記と同様な箇所につ
いては同じ番号を付している。 【0022】図1の回路構成は、従来の回路に純水回路
38を付加したものであり、その他の回路は従来と全く
同様である。すなわち逆洗回路18の途中に純水回路3
8をの一端側を接続し、この純水回路38の途中にバル
ブ37を設けるとともに、他端側に純水ポンプ39と純
水タンク40を接続している。そして、長期間ラインを
停止する時は、前記従来の要領に従って濾過液で逆洗洗
浄を行い、限外濾過モジュール6内を濾過液で置換した
後、バルブ34、36を閉とし、バルブ37を開として
純水ポンプ39を作動させる。そして、純水タンク40
内の純水を溶媒出路9、9からモジュールラック6u、
…内に流入させて溶質出路7と塗料入路5からオーバー
フロー槽8に送り込む。そして、限外濾過モジュール6
内を純水で置換し、その後、バルブ27を閉にして装置
を停止する。因みに、純水は電着槽1に入り込んでも電
着塗装に何等悪影響を与えることはない。 【0023】図9は、純水洗浄によって入口部xにおけ
る濾過液の樹脂濃度と、出口部yにおける濾過液の樹脂
濃度を測定した結果であり、グラフの途中のは純水使
用量50リットル、は純水使用量100リットル、
は純水使用量150リットル、は純水使用量200リ
ットル、は純水使用量250リットルである。この結
果から、UFフィルター25本入りの限外濾過モジュー
ルに対して純水200〜250リットルを使用すれば、
樹脂濃度は2重量%以下になり、2重量%以下にするこ
とで樹脂成分の析出硬化が抑制されることが判った。
尚、図9も入口部xと出口部yの洗浄開始のタイミング
が異なって表記されているが、実際は同時に洗浄開始と
なる。 【0024】そして、図8はUFフィルターを従来の方
法で洗浄した場合の濾過量の経時変化(破線)と、本発
明の方法で洗浄した場合の濾過量の経時変化(実線)を
比較したグラフであるが、従来の方法では約80日でモ
ジュール12本を交換しなければ濾過量が必要量に満た
ないのに対して、本発明ではそれ以上の期間が経過して
も必要な濾過量が確保出来た。 【0025】 【発明の効果】以上のように本発明は、電着塗装用の限
外濾過モジュールを洗浄する際、濾過液で逆洗洗浄した
後、純水で逆洗洗浄を行って限外濾過モジュール内を純
水で置換して樹脂成分濃度が2重量%以下になるように
したため、長期間ラインを停止させてもフィルター面に
樹脂成分が析出することがなく、UFフィルターの交換
頻度を少なくすることが出来る。また、濾過量が低下し
ないため電着塗料の回収効率を高めることが出来る。
【図面の簡単な説明】 【図1】本発明の限外濾過モジュールの洗浄方法を説明
するための塗料等回路図 【図2】本発明の前提となる改良前の限外濾過モジュー
ルの洗浄方法を説明するための塗料等回路図 【図3】モジュールラックの詳細断面図 【図4】逆洗洗浄の状態を説明する説明図 【図5】図4の逆洗洗浄に対応する樹脂成分濃度の経時
的グラフ 【図6】逆洗洗浄の状態を説明する説明図 【図7】図6の逆洗洗浄に対応する樹脂成分濃度の経時
的グラフ 【図8】本発明の洗浄方法と従来の洗浄方法の濾過量を
比較するグラフ 【図9】本発明の洗浄方法の樹脂成分濃度の経時的グラ
フ 【符号の説明】 1…電着槽、6…限外濾過モジュール、10…逆洗タン
ク、40…純水タンク。
フロントページの続き (56)参考文献 特開 昭60−883(JP,A) 特開 昭60−220108(JP,A) 特開 昭60−204898(JP,A) 特公 昭60−25520(JP,B2) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) B01D 61/00 - 71/82 C02F 1/44 C25D 13/24

Claims (1)

  1. (57)【特許請求の範囲】 【請求項1】 電着塗装装置の限外濾過モジュールを洗
    浄する洗浄方法において、前記限外濾過モジュールを濾
    過液で逆洗洗浄した後、純水で逆洗洗浄して限外濾過モ
    ジュール内を純水で置換し、この置換した純水中の樹脂
    成分濃度が2重量%以下になった時点で純水の逆洗洗浄
    を停止することを特徴とする限外濾過モジュールの洗浄
    方法。
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