JP5230072B2 - ろ過膜の逆洗方法と装置 - Google Patents

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Description

この発明は、上水道、下水道、工業用水または廃水処理水など、原水中に含まれる汚濁物質をろ過膜により分離除去して浄化処理する、膜ろ過による水処理装置に関わり、特に、ろ過膜の逆洗方法および逆洗装置に関する。
被処理水中の汚濁物質を除去する方法として、膜ろ過を利用した水処理方法がよく知られている。この膜ろ過を用いた水処理においては、運転の継続に伴い、ろ過膜の表面に汚濁物質の付着層が生じ、目詰まり、固形物による流路閉塞などのファウリングが起こり、ろ過性能が低下する問題がある。
そのため運転サイクルにおいて、所定時間のろ過工程後に、物理洗浄または薬品洗浄を実施し、ファウリングを低減するようにしている。物理洗浄には、膜ろ過後の処理水を逆流させる逆流洗浄(逆洗)、膜の一次側での水流によるフラッシング、空気により膜を振動させるエアースクラビングなどがあり、物理的な作用によって付着物質を取り除いている。一方、薬品洗浄は、物理洗浄では除去しきれない物質を薬品によって分解または溶解させて除去する方法で、例えば次亜塩素酸ナトリウム、硫酸、塩酸などの薬品を添加した逆洗を用いた水処理方法が提案されている(特許文献1参照)。
図5は、本発明の対象とする従来の薬品添加逆洗(CEB:Chemical Enhanced Back Wash)方式による一般的なろ過膜の洗浄方法の一例の概略システム系統図を示し、次亜塩素酸ナトリウム添加逆洗を行なう洗浄方法の一例を示す。
図5において、1は原水、2は原水タンク、3は主ポンプ、4は原水供給弁、5は膜入口圧力計、6は水温計、7は膜モジュール(又は膜ろ過ユニット)、8は膜出口圧力計、9は流量センサー、10はろ過水出口弁、11はろ過水タンク入口弁、12はろ過水タンク、13は処理水、14は逆洗ポンプ、15は逆洗水供給弁、16は排水弁、17は次亜塩素酸ナトリウムタンク、18は次亜塩素酸ナトリウム添加ポンプ、19は次亜塩素酸ナトリウム添加バルブである。なお、図5においては、次亜塩素酸ナトリウム添加量制御装置の図示を省略している。
次に、図5に示すろ過膜の水処理方法および洗浄方法等について説明する。原水タンク2に流入した原水1は、主ポンプ3により原水供給弁4を介して、膜モジュール7へ供給され、ろ過される(ろ過工程)。ここで、ろ過流量は、流量センサー9の値が一定となるように主ポンプ3をインバータ制御することにより行われる。ろ過された水は流量センサー9、ろ過水出口弁10、ろ過水タンク入口弁11を介して、ろ過水タンク12へ流入される。ろ過水タンク12で容量を越えたろ過水が処理水13として次工程へと通水される。所定時間のろ過が行われたところで、逆洗が実施される(逆洗工程)。逆洗工程は、ろ過水タンク12の水(もしくはろ過水タンクとは別に設けた図示しない逆洗水槽の水)を、逆洗ポンプ14により逆洗水供給弁15を介して、膜モジュール7の二次側から一次側へ流すことによりなされ、逆洗後の水は、排水弁16を介して排水される。
ろ過工程および逆洗工程の所定回数が終了した後に、薬品を添加して逆洗を実施する(薬品添加逆洗工程)。図5の場合、次亜塩素酸ナトリウム添加逆洗として、前記ろ過水による逆洗に続けて、次亜塩素酸ナトリウムタンク17に貯留された次亜塩素酸ナトリウムを、次亜塩素酸ナトリウム添加ポンプ18を用いて次亜塩素酸ナトリウム添加バルブ19を介して逆洗水に添加し、所定濃度の残留塩素濃度とした水を膜モジュールに注入する。
なお、薬品添加逆洗(CEB)工程においては、薬品による効率的かつ安全性を重視した洗浄の観点から、通常の逆洗工程に比較して逆洗流量が低く、例えば、約1/2程度の定流量で行われる。また、前記通常逆洗工程や薬品添加逆洗工程における逆洗水の流量制御方法としては、一般に、インバータを用いたPID制御により定流量制御が行われている。
次に、膜モジュール7内が所定濃度の残留塩素水で満たされたところで一旦逆洗ポンプ14を停止し、各バルブを閉じて、所定時間膜モジュール7を残留塩素水に浸漬する(薬液浸漬工程)。所定時間浸漬後に再度逆洗ポンプを起動してろ過水にて逆洗を実施することにより膜モジュール内の塩素水を洗い流すリンスが実施される(リンス工程)。
上記のように、逆洗工程、薬品添加逆洗工程、薬液浸漬工程およびリンス工程を含むろ過膜の洗浄方式を、薬品添加逆洗方式と称する。なお、膜面へのファウリング物質の洗浄薬品としては、上記の次亜塩素酸ナトリウム以外に、硫酸、塩酸、その他の薬品が使われる場合もある。さらに、前記特許文献1に開示されたように複数の薬品が使われる場合もある。
なお、上記図5は、縦型の膜モジュールの例について説明したが、ろ過膜による水処理装置としては、横型の膜モジュールが使用される場合もある。また、ろ過膜への通水方式としては内圧式と外圧式とがあり、さらに、ろ過処理の運転方式としては全ろ過方式とクロスフロー方式とがあり、ニーズに応じて適宜選定される。
特開2004−41935号公報
ところで、上記のような従来のろ過膜の逆洗方法においては、インバータ制御による逆洗ポンプの始動時におけるポンプ圧力の立ち上がりが遅く、またポンプ容量が大きい場合でもインペラの慣性力が大きいので、始動時の逆洗水通流配管内部の圧力が速やかに上昇せず、そのために、膜モジュール一次側の汚れの初期剥離が遅く、かつ剥離が不均一となる問題があった。
また、ポンプ圧力の立ち上がりを早くするために、ポンプの定格より大容量のインバータを用いて駆動することも考えられるが、圧力の立ち上がりが十分早いとはいえず、この場合には、インバータが大型化し、またインバータの故障の危険性も高まる問題もある。
この発明は、上記のような点に鑑みてなされたもので、この発明の課題は、逆洗に有効な初期圧を速やかに得て汚れの初期剥離を容易にし、初期剥離後、均一な剥離が可能であって、かつ逆洗に必要な逆洗水流量が容易に供給可能なろ過膜の逆洗方法および逆洗装置を提供することにある。
前述の課題を解決するため、この発明は、原水をろ過膜により浄化処理してろ過水を得る膜ろ過ユニットと、ろ過工程後に、前記ろ過水の一部を逆洗水として、逆洗ポンプにより逆洗水槽から前記膜ろ過ユニットに通流してろ過膜の逆洗工程を行う逆洗水通流ラインとを備えた水処理装置における前記ろ過膜の逆洗方法において、前記逆洗水通流ラインは、前記膜ろ過ユニットと逆洗ポンプとの間に開閉弁(逆洗水入口弁)を備え、ろ過工程後に逆洗工程を行う際に、前記逆洗水入口弁を閉とした状態で逆洗ポンプを起動し、ポンプ圧が逆洗に有効な所定圧力に到達するために必要な所定時間後に、前記逆洗水入口弁を開として逆洗工程を行うことを特徴とする(請求項1)。
また、上記課題は下記の発明によっても達成できる。即ち、原水をろ過膜により浄化処理してろ過水を得る膜ろ過ユニットと、ろ過工程後に、前記ろ過水の一部を逆洗水として、逆洗ポンプにより逆洗水槽から前記膜ろ過ユニットに通流してろ過膜の逆洗工程を行う逆洗水通流ラインとを備えた水処理装置における前記ろ過膜の逆洗方法において、前記逆洗水通流ラインは、前記膜ろ過ユニットと逆洗ポンプとの間に開閉弁(逆洗水入口弁)を備え、かつ前記逆洗ポンプと逆洗水入口弁との間から分岐して前記逆洗水槽に逆洗水を還流する還流ラインを備え、この還流ラインは開閉弁と絞り手段とを有し、ろ過工程後に逆洗工程を行う少なくとも前段階においては、前記還流ラインの開閉弁を開の状態で逆洗ポンプを運転して、逆洗水通流ラインにおける前記逆洗水入口弁の入口部の水圧を逆洗に有効な所定圧力に維持し、且つ水の運動エネルギーを高めた後に、前記逆洗水入口弁を開として逆洗工程を行うことを特徴とする(請求項2)。さらに、前記請求項2に記載のろ過膜の逆洗方法において、前記絞り手段はオリフィスまたは流量調節機能付開閉弁とする(請求項3)。
また、原水をろ過膜により浄化処理してろ過水を得る膜ろ過ユニットと、ろ過工程後に、前記ろ過水の一部を逆洗水として、逆洗ポンプにより逆洗水槽から逆洗水入口弁を介して前記膜ろ過ユニットに通流してろ過膜の逆洗工程を行う逆洗水通流ラインとを備えた水処理装置における前記ろ過膜の逆洗方法において、前記逆洗ポンプは、主ポンプおよび主ポンプに比較して小容量の補助ポンプの少なくとも2台のポンプとからなり、ろ過工程後に逆洗工程を行う際に、前記主ポンプの下流に位置する逆洗水入口弁を閉とした状態で前記補助ポンプを起動して逆洗工程を開始し前記主ポンプ圧が逆洗に有効な所定圧力に到達するために必要な所定時間後に、前記逆洗水入口弁を開として前記主ポンプの通水により逆洗工程を行うことを特徴とする(請求項4)。
また、前記請求項4に記載のろ過膜の逆洗方法において、前記2台のポンプは、容量の異なる2台のポンプに代えて、同一容量の主ポンプおよび補助ポンプからなる少なくとも2台のポンプとし、ろ過工程後に逆洗工程を行う際に、逆洗水入口弁を閉とした状態で前記2台のポンプを起動し、ポンプ圧が逆洗に有効な所定圧力に到達するために必要な所定時間後に、前記逆洗水入口弁を開として逆洗工程を開始し、その後、前記補助ポンプを停止して主ポンプ1台の通水により逆洗工程を行うことも可能である。
さらに、上記課題は下記の発明によっても達成できる。即ち、原水をろ過膜により浄化処理してろ過水を得る複数の膜ろ過ユニットを有する多モジュールユニットを複数個(n個)と、少なくとも1台のポンプにより逆洗水槽から前記多モジュールユニットに通流してろ過膜の逆洗工程を行う逆洗水通流主管と、この逆洗水通流主管から分岐して前記複数個(n個)の多モジュールにそれぞれ接続されたn個の逆洗水通流枝配管と、この逆洗水通流枝配管にそれぞれ設けられ前記主ポンプに比して小容量の補助ポンプおよび開閉弁と、前記逆洗水通流主管から分岐して前記逆洗水通流枝配管の補助ポンプの後段にそれぞれ接続された開閉弁(逆洗水入口弁)を有する逆洗水通流切替え配管とを備えた水処理装置における前記ろ過膜の逆洗方法であって、ろ過工程後に前記多モジュールユニットn個の逆洗工程を行う際に、主ポンプを運転した状態で、前記逆洗水入口弁を閉とした状態で前記補助ポンプを起動して逆洗工程を開始し前記主ポンプ圧が逆洗に有効な所定圧力に到達するために必要な所定時間後に、前記逆洗水入口弁を開として前記主ポンプの通水により逆洗工程を行うことを特徴とする(請求項5)。
また、前記請求項1に記載のろ過膜の逆洗方法において、逆洗工程終了の際に、逆洗ポンプを継続運転中に逆洗水入口弁を閉とし、逆洗水入口弁と逆洗ポンプ下流側に配設した逆止弁との間の逆洗水通流ライン内の圧力を締め切り圧とした状態で逆洗ポンプを停止して次の工程に移り、再度、ろ過工程後に逆洗工程を行なう際に、前記逆洗水入口弁を開とし、かつ逆洗ポンプを起動して逆洗工程を行なうことを特徴とする(請求項6)。
これにより、逆洗水入り口弁と逆止弁との間の逆洗水通流ライン内に閉じこめられていた高圧の水が一気に開放され、圧力波が膜モジュールへ到達して汚れの初期剥離が容易となる。
また、ろ過膜の洗浄装置の発明としては、下記請求項7ないし9の発明が好ましい。即ち、前記請求項2に記載のろ過膜の逆洗方法を実施するための逆洗装置であって、膜ろ過ユニットと、逆洗ポンプにより逆洗水槽から逆洗水入口弁を介して前記膜ろ過ユニットに通流してろ過膜の逆洗工程を行う逆洗水通流ラインと、前記逆洗ポンプと逆洗水入口弁との間から分岐して前記逆洗水槽に逆洗水を還流する還流ラインと、この還流ラインに設けた開閉弁と絞り手段とを備えることを特徴とする(請求項7)。
さらに、前記請求項4に記載のろ過膜の逆洗方法を実施するための逆洗装置であって、膜ろ過ユニットと、逆洗ポンプにより逆洗水槽から逆洗水入口弁を介して前記膜ろ過ユニットに通流してろ過膜の逆洗工程を行う逆洗水通流ラインとを備え、前記逆洗ポンプは、主ポンプおよび主ポンプに比較して小容量の補助ポンプの少なくとも2台のポンプとからなることを特徴とする(請求項8)。
また、請求項に記載のろ過膜の逆洗方法を実施するための逆洗装置であって、複数個(n個)の多モジュールユニットと、少なくとも1台の主ポンプにより逆洗水槽から前記多モジュールユニットに通流してろ過膜の逆洗工程を行う逆洗水通流主配管と、この逆洗水通流主配管から分岐して前記複数個(n個)の多モジュールユニットにそれぞれ接続されたn個の逆洗水通流枝配管と、この逆洗水通流枝配管にそれぞれ設けられ前記主ポンプに比較して小容量の補助ポンプおよび開閉弁と、前記逆洗水通流主配管から分岐して前記逆洗水通流枝配管の補助ポンプの後段にそれぞれ接続され開閉弁(逆洗水入口弁)を有する逆洗水通流切替え配管とからなることを特徴とする(請求項9)。
上記各発明の作用効果および実施形態の詳細は後述するが、いずれの発明も、要するに、逆洗開始時に、逆洗水通流ラインにおける逆洗水入口弁の入口部の水圧を逆洗に有効な所定圧力に速やかに高めることにより、初期剥離を容易にし、いわば一発剥離の後に、通常の逆洗水流量にして、膜全体にわたる均一剥離の容易化と短時間化を図るものである。
この発明によれば、逆洗に有効な初期圧を速やかに得て汚れの初期剥離を容易にし、初期剥離後、均一な剥離が可能であって、かつ逆洗に必要な逆洗水流量が容易に供給可能なろ過膜の逆洗方法および逆洗装置が提供できる。
本発明の実施例について、図1ないし図4に基づき、以下に述べる。図1は本発明のろ過膜の逆洗方法および装置の実施例に係るシステム系統図、図2および図3は図1とは異なる本発明の実施例に係るシステム系統図、図4は複数個の多モジュールユニットを備える逆洗方法および装置の本発明の実施例に係るシステム系統図を示す。なお、本発明はこの実施例によって限定されるものではない。図1ないし図4において、同一機能部材には同一符号を付し、重複説明は省略する。
図1は、前記請求項7の発明に係る逆洗装置のシステム系統図を示す。図1に示すろ過膜の逆洗装置は、膜ろ過ユニット21と、逆洗ポンプ23により逆洗水槽22から逆洗水入口弁25を介して前記膜ろ過ユニット21に通流してろ過膜の逆洗工程を行う逆洗水通流ライン24と、逆洗ポンプ23と逆洗水入口弁25との間から分岐して逆洗水槽22に逆洗水を還流する還流ライン26と、この還流ライン26に設けた開閉弁27と絞り手段(例えば、オリフィス28)とを備える。なお、20は薬液注入ライン、29は流量計を示す。
前記請求項2の発明の逆洗方法は、上記図1の装置を用いて下記により実施できる。即ち、ろ過工程後に逆洗工程を行う少なくとも前段階においては、前記還流ラインの開閉弁27を開の状態で逆洗ポンプ23を運転して、逆洗水通流ライン24における逆洗水入口弁25の入口部の水圧を逆洗に有効な所定圧力に維持した後に、前記逆洗水入口弁25を開として逆洗工程を行う。なお、還流ラインにおける逆洗水の還流運転は、ろ過工程後に逆洗工程を行う直前のタイミングで還流運転することには限定されず、ろ過工程中に圧力を高めた状態を準備するスタンバイ運転とすることもできる。
ところで、前記請求項1の発明の逆洗方法の場合には、上記図1の装置における還流ライン26、開閉弁27およびオリフィス28は不要であり、ろ過工程後に逆洗工程を行う際には、逆洗水入口弁25を閉とした状態で逆洗ポンプ23を起動し、ポンプ圧が逆洗に有効な所定圧力に到達するために必要な所定時間後に、前記逆洗水入口弁25を開として逆洗工程を行う。この逆洗方法の方が、前記還流運転を行う逆洗方法に比較して、装置がシンプルとなる。
図2は、前記請求項6の発明に係る方法を説明するための装置構成図である。図2においては、逆洗工程の終了直前では、まず先に逆洗水入口弁25を閉じ、次いで逆洗ポンプ23を止める。これにより、図2中の点線部すなわち逆洗水入口弁25と逆洗ポンプ23出口付近に設けられた逆止弁35との間が高圧の状態で密閉され、ろ過工程中も維持される。ろ過工程はろ過水タンク入口弁11を開け、図に現れている他のバルブは閉じる。図示しない、ろ過ポンプを運転し、濾過された水はろ過ラインを通過して逆洗水槽22へ向かう。そして再び逆洗工程になったとき、ろ過水タンク入口弁11を閉じた後、排水ライン上のバルブを全て開け、最後に逆洗水入口弁25を開ける。このとき閉じこめられていた高圧の水が一気に開放され、圧力波が膜モジュールへ到達し、膜1次側に付着している汚れを均一に剥離させる効果を奏する。
次に、図3について述べる。図3は前記請求項8の発明に係る逆洗装置のシステム系統図を示す。図3に示すろ過膜の逆洗装置は、複数の膜ろ過ユニット(21a…21n)と、逆洗ポンプにより逆洗水槽22から逆洗水入口弁(25a,25b)を介して前記膜ろ過ユニットに通流してろ過膜の逆洗工程を行う逆洗水通流ラインとを備え、前記逆洗ポンプは、逆洗ポンプ(主ポンプ)23aおよび主ポンプに比較して小容量の逆洗ポンプ(補助ポンプ)23bの少なくとも2台のポンプとからなる。なお、30は複数の膜ろ過ユニット(21a…21n)を有する多モジュールである。また、逆洗ポンプは、フェールセーフの観点から、主ポンプおよび補助ポンプ共に、それぞれ2台ずつ設けることができる。
前記請求項4の発明の逆洗方法は、上記図3の装置を用いて下記により実施できる。即ち、ろ過工程後に逆洗工程を行う際に、逆洗水入口弁(25a,25b)を閉とした状態で前記補助ポンプ23bを起動し、ポンプ圧が逆洗に有効な所定圧力に到達するために必要な所定時間後に、前記逆洗水入口弁25bを開として逆洗工程を開始し、その後、前記主ポンプ23aの通水により逆洗工程を行う。
この時、補助ポンプ23bが極めて短時間で揚程が上昇する特性を持つポンプであれば、補助ポンプ23bの起動前に逆洗水入口弁25bは開の状態にしておいても良く、または逆洗水入口弁25bを配置しなくても良い。
図3の装置による上記逆洗方法は、主として比較的大型の逆洗ポンプを必要とする多モジュールがある場合に好適である。大型ポンプは起動が遅いので、ろ過膜の中の堆積物は、剥がれる部分と剥がれない部分ができる。これに対して、上記逆洗方法によれば、補助ポンプ23bにより一発剥離を行い、その後に主ポンプ23aにより、所定流量での安定した逆洗ができる。なお、2台のポンプを同一容量とする場合には、前記請求項5の発明のような逆洗方法とするのが好ましい。
次に、図4について述べる。図4は前記請求項9の発明に係る逆洗装置のシステム系統図を示す。図4に示すろ過膜の逆洗装置は、複数個(n個)の多モジュールユニット(30a,30b,…30n)と、少なくとも1台(フェールセーフを考慮すると2台)の主逆洗ポンプ51により逆洗水槽22から前記多モジュールユニットに通流してろ過膜の逆洗工程を行う逆洗水通流主配管40と、この逆洗水通流主配管40から分岐して前記複数個(n個)の多モジュールユニットにそれぞれ接続されたn個の逆洗水通流枝配管41と、この逆洗水通流枝配管41にそれぞれ設けられ主逆洗ポンプ51に比較して小容量の補助ポンプ(52a,52b,…52n)および開閉弁(62a,62b,…62n)と、前記逆洗水通流主配管42から分岐して前記逆洗水通流枝配管の補助ポンプの後段にそれぞれ接続され開閉弁(逆洗水入口弁)(61a,61b,…61n)を有する逆洗水通流切替え配管42とからなる。なお、図4において、逆洗水通流枝配管41および逆洗水通流切替え配管42は、a,b,n等の符号を付すのを省略している。
前記請求項5の発明の逆洗方法は、上記図4の装置を用いて下記により実施できる。即ち、ろ過工程後に前記多モジュールユニットn個の逆洗工程を行う際に、主ポンプを運転した状態において、逆洗水入口弁(61a,61b,…61n)を閉とした状態で前記補助ポンプ(52a,52b,…52n)を起動し、ポンプ圧が逆洗に有効な所定圧力に到達するために必要な所定時間後に、前記逆洗水入口弁を開として逆洗工程を開始し、その後、前記主ポンプ51の通水により逆洗工程を行う。前記補助ポンプの起動は、n個同時に行ってもよいが、必要に応じて順次行ってもよい。
本発明のろ過膜の逆洗方法および装置の実施例に係るシステム系統図。 図1とは異なる本発明の実施例に係るシステム系統図。 図1とは異なる本発明の実施例に係るシステム系統図。 複数個の多モジュールユニットを備える逆洗方法および装置の本発明の実施例に係るシステム系統図。 従来の薬品添加逆洗方式による一般的なろ過膜の洗浄方法の一例の概略システム系統図。
20:薬液注入ライン、21,21a,21n:膜ろ過ユニット、22:逆洗水槽、23:逆洗ポンプ、23a,51:逆洗ポンプ(主ポンプ)、23b,52a,52b,52n:逆洗ポンプ(補助ポンプ)、24:逆洗水通流ライン、25,25a,25b:開閉弁(逆洗水入口弁)、26:還流ライン、27,31,32,33,60,61a,61b,61n,62a,62b,62n:開閉弁、28:オリフィス、30:多モジュール、30a,30b,30n:多モジュールユニット、40:逆洗水通流主配管、41:逆洗水通流枝配管、42:逆洗水通流切替え配管。

Claims (9)

  1. 原水をろ過膜により浄化処理してろ過水を得る膜ろ過ユニットと、ろ過工程後に、前記ろ過水の一部を逆洗水として、逆洗ポンプにより逆洗水槽から前記膜ろ過ユニットに通流してろ過膜の逆洗工程を行う逆洗水通流ラインとを備えた水処理装置における前記ろ過膜の逆洗方法において、
    前記逆洗水通流ラインは、前記膜ろ過ユニットと逆洗ポンプとの間に開閉弁(逆洗水入口弁)を備え、ろ過工程後に逆洗工程を行う際に、前記逆洗水入口弁を閉とした状態で逆洗ポンプを起動し、ポンプ圧が逆洗に有効な所定圧力に到達するために必要な所定時間後に、前記逆洗水入口弁を開として逆洗工程を行うことを特徴とするろ過膜の逆洗方法。
  2. 原水をろ過膜により浄化処理してろ過水を得る膜ろ過ユニットと、ろ過工程後に、前記ろ過水の一部を逆洗水として、逆洗ポンプにより逆洗水槽から前記膜ろ過ユニットに通流してろ過膜の逆洗工程を行う逆洗水通流ラインとを備えた水処理装置における前記ろ過膜の逆洗方法において、
    前記逆洗水通流ラインは、前記膜ろ過ユニットと逆洗ポンプとの間に開閉弁(逆洗水入口弁)を備え、かつ前記逆洗ポンプと逆洗水入口弁との間から分岐して前記逆洗水槽に逆洗水を還流する還流ラインを備え、この還流ラインは開閉弁と絞り手段とを有し、ろ過工程後に逆洗工程を行う少なくとも前段階においては、前記還流ラインの開閉弁を開の状態で逆洗ポンプを運転して、逆洗水通流ラインにおける前記逆洗水入口弁の入口部の水圧を逆洗に有効な所定圧力に維持した後に、前記逆洗水入口弁を開として逆洗工程を行うことを特徴とするろ過膜の逆洗方法。
  3. 請求項2に記載のろ過膜の逆洗方法において、前記絞り手段はオリフィスまたは流量調節機能付開閉弁とすることを特徴とするろ過膜の逆洗方法。
  4. 原水をろ過膜により浄化処理してろ過水を得る膜ろ過ユニットと、ろ過工程後に、前記ろ過水の一部を逆洗水として、逆洗ポンプにより逆洗水槽から逆洗水入口弁を介して前記膜ろ過ユニットに通流してろ過膜の逆洗工程を行う逆洗水通流ラインとを備えた水処理装置における前記ろ過膜の逆洗方法において、
    前記逆洗ポンプは、主ポンプおよび主ポンプに比較して小容量の補助ポンプの少なくとも2台のポンプとからなり、ろ過工程後に逆洗工程を行う際に、前記主ポンプの下流に位置する逆洗水入口弁を閉とした状態で前記補助ポンプを起動して逆洗工程を開始し前記主ポンプ圧が逆洗に有効な所定圧力に到達するために必要な所定時間後に、前記逆洗水入口弁を開として前記主ポンプの通水により逆洗工程を行うことを特徴とするろ過膜の逆洗方法。
  5. 原水をろ過膜により浄化処理してろ過水を得る複数の膜ろ過ユニットを有する多モジュールユニットを複数個(n個)と、少なくとも1台のポンプにより逆洗水槽から前記多モジュールユニットに通流してろ過膜の逆洗工程を行う逆洗水通流主管と、この逆洗水通流主管から分岐して前記複数個(n個)の多モジュールにそれぞれ接続されたn個の逆洗水通流枝配管と、この逆洗水通流枝配管にそれぞれ設けられ前記主ポンプに比して小容量の補助ポンプおよび開閉弁と、前記逆洗水通流主管から分岐して前記逆洗水通流枝配管の補助ポンプの後段にそれぞれ接続された開閉弁(逆洗水入口弁)を有する逆洗水通流切替え配管とを備えた水処理装置における前記ろ過膜の逆洗方法であって
    ろ過工程後に前記多モジュールユニットn個の逆洗工程を行う際に、主ポンプを運転した状態で、前記逆洗水入口弁を閉とした状態で前記補助ポンプを起動して逆洗工程を開始し
    前記主ポンプ圧が逆洗に有効な所定圧力に到達するために必要な所定時間後に、前記逆洗水入口弁を開として前記主ポンプの通水により逆洗工程を行うことを特徴とするろ過膜の逆洗方法。
  6. 請求項1に記載のろ過膜の逆洗方法において、逆洗工程終了の際に、逆洗ポンプを継続運転中に逆洗水入口弁を閉とし、逆洗水入口弁と逆洗ポンプ下流側に配設した逆止弁との間の逆洗水通流ライン内の圧力を締め切り圧とした状態で逆洗ポンプを停止して次の工程に移り、再度、ろ過工程後に逆洗工程を行なう際に、前記逆洗水入口弁を開とし、かつ逆洗ポンプを起動して逆洗工程を行なうことを特徴とするろ過膜の逆洗方法。
  7. 請求項2に記載のろ過膜の逆洗方法を実施するための逆洗装置であって、膜ろ過ユニットと、逆洗ポンプにより逆洗水槽から逆洗水入口弁を介して前記膜ろ過ユニットに通流してろ過膜の逆洗工程を行う逆洗水通流ラインと、前記逆洗ポンプと逆洗水入口弁との間から分岐して前記逆洗水槽に逆洗水を還流する還流ラインと、この還流ラインに設けた開閉弁と絞り手段とを備えることを特徴とするろ過膜の逆洗装置。
  8. 請求項4に記載の記載のろ過膜の逆洗方法を実施するための逆洗装置であって、膜ろ過ユニットと、逆洗ポンプにより逆洗水槽から逆洗水入口弁を介して前記膜ろ過ユニットに通流してろ過膜の逆洗工程を行う逆洗水通流ラインとを備え、前記逆洗ポンプは、主ポンプおよび主ポンプに比較して小容量の補助ポンプの少なくとも2台のポンプとからなることを特徴とするろ過膜の逆洗装置。
  9. 請求項に記載のろ過膜の逆洗方法を実施するための逆洗装置であって、複数個(n個)の多モジュールユニットと、少なくとも1台の主ポンプにより逆洗水槽から前記多モジュールユニットに通流してろ過膜の逆洗工程を行う逆洗水通流主配管と、この逆洗水通流主配管から分岐して前記複数個(n個)の多モジュールユニットにそれぞれ接続されたn個の逆洗水通流枝配管と、この逆洗水通流枝配管にそれぞれ設けられ前記主ポンプに比較して小容量の補助ポンプおよび開閉弁と、前記逆洗水通流主配管から分岐して前記逆洗水通流枝配管の補助ポンプの後段にそれぞれ接続され開閉弁(逆洗水入口弁)を有する逆洗水通流切替え配管とからなることを特徴とするろ過膜の逆洗装置。
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