JP3507852B2 - アレルギー診断法および抗アレルギー性治療剤のスクリーニング法 - Google Patents

アレルギー診断法および抗アレルギー性治療剤のスクリーニング法

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Description

【発明の詳細な説明】 発明の背景 本発明の分野 この発明はアレルギー性疾患診断の分野に関し、また
アレルギー性疾患処置用治療剤のスクリーニング法に関
する。
背景および関連技術の記載 アレルギー性疾患の診断には主に皮膚反応、IgE血清
水準検定、およびヒスタミン放出検査の3種の技術が使
用されてきた。皮膚反応は1865年に導入されて以来、ア
レルギーの第一次診断用手段を代表してきた。アトピー
の古典的な皮膚反応は皮膚に導入した抗原が予め形成さ
れていた伝達物質の放出、血管透過性の亢進、局所浮腫
およびカユミを起こすI型膨疹および紅斑反応である。
このような皮膚反応は臨床的基礎の上に立つ特異的アレ
ルギーの診断用に有用な確証を提供できる。しかしなが
ら、不適正に行なうと、皮膚反応は誤陽性または誤陰性
の結果を招来することがある。皮膚反応の主な限界は、
非アレルギー性個体の一部がアレルギー性の症候なしに
皮膚反応に対して膨疹および紅斑反応を起こす特異的Ig
E抗体を持つために、陽性反応が必ずしもその病気がア
レルギー的な性格であることを意味しないことである。
皮膚反応で観察されるIgE媒介誤陽性現象は患者血清
中のアレルゲン特異的IgEを検定する試験管内法では観
察されない(HomburgerとKatzmann、「Methods in Labo
ratory Immunology:Principles and Interpretation of
Laboratory Tests for Allergy(実験的免疫学方法
論:アレルギー用各種実験的検査の原理および解
釈)」、Middletonなど編、「Allergy Principles and
Practice(アレルギー、原理および実際)」、Mosby出
版、4版、第1巻、21章、554〜572頁(1993年)参
照)。典型的には、アレルゲン特異的IgE水準は患者血
清を抗原被覆吸着剤粒子とともにインキュベーション
し、それに続いて標識抗体で抗原に結合した特異的IgE
を検出する放射性アレルゲン吸着法(RAST)により測定
する(たとえば、Schellenbergなど、J.Immunol.、115
巻:1577〜1583頁(1975年)参照)。
全血清IgE水準もアレルギーの診断に使用する。全IgE
水準はHomburgerとKatzmann、前出、に記載のラジオイ
ムノアッセイまたはイムノメトリー検定法によって測定
できる。IgE水準はしばしばアレルギー性疾患で上昇
し、寄生体侵襲により著しく高める。アトピー性疾患の
存在について小人または成人を評価する時、正常な全Ig
E水準はアトピーを排除しないのだが、上昇したIgE水準
は診断の助けになる。臨床的兆候の発現に重要な寄与を
する遺伝子的および環境的因子が存在するので、全IgE
の測定のみではアレルギー状態を予測しない。アレルギ
ー診断における血清IgE水準の価値には健康個体でのIgE
血清濃度範囲の広さという限界もある。健康成人におけ
るIgE濃度の頻度分布は95%限界が広く、低IgE値の数が
不相応なので顕著に歪曲される。従って、正常IgE水準
の95%限界算出に当って、多くの研究者は算術的方法と
比較して正常血清IgE上限が非常に高く出る対数変換に
よってデータを処理している。正常血清IgEの上限が高
いことは臨床的アレルギーについてのスクリーニングに
よる血清IgE検査の診断的価値を低減する。
ヒスタミン放出検査は患者血清中の機能的でアレルゲ
ン特異的なIgEの検出方法を提供する。典型的には、ヒ
スタミン放出検査は患者で起きるようなアレルゲン特異
的反応を模倣する(たとえば、under van der Zeeな
ど、J.Allergy Clin.Immunol.、82巻:270〜281頁(1988
年)参照)。患者の血液と様々なアレルゲンとを混合す
ることによってこの反応を試験管内で発生させ、その
後、後続する各アレルギー反応の間に放出されるヒスタ
ミン量を測定する。試験管内ヒスタミン放出検定法では
本来全血から白血球分離および/または遊離ヒスタミン
の様々な抽出法が必要であった。後に、白血球ヒスタミ
ン放出検査法が改良され、自動化されて、血球分離とヒ
スタミン抽出とが回避された(たとえば、Siraganianな
ど、J.Allergy Clin.Immunol.、57巻:525〜540頁(1976
年)参照)。現在では、商業的に購入できる白血球ヒス
タミン放出検査のキットによれば、2.5mLの全血で100回
までの異なる測定が可能である。しかしながら、血液標
本は検定の前24時間以上保存できない。これに加え、こ
の検査では、アレルゲン抽出物の毒性や他の因子によっ
て起きる非特異的ヒスタミン放出に起因する誤陽性の結
果が出る。また、品質管理研究からヒスタミンの測定に
はかなりの研究室間変動があるという報告がある(Glei
chとHull、J.Allergy Clin.Immunol.、66巻:295〜298頁
(1980年))。
アレルギー症候、陽性皮膚反応および明瞭に検出可能
なIgE抗体を持つ患者の中の少数では、患者好塩基球と
アレルゲンとからの試験管内ヒスタミン放出が観察でき
ない。もし陽性対照が入手できないと、この現象はヒス
タミン放出検査結果を解釈不能にし、アレルギー性疾患
診断でのこの検査の有用性を限定する。LevyとOsler、
J.Immunol.、99巻:1062〜1067頁(1967年)は、非アレ
ルギー性個体の僅かに20%から30%までの白血球だけが
試験管内でアレルゲン特異的IgEでの受動感作とそれに
続くアレルゲンチャレンジによるヒスタミン放出を示す
ことを報告した。Ishizakaなど、J.Immunol.、111巻:50
0〜511頁(1973年)は白血球を酸化重水素(D2O)とと
もにインキュベーションすると、抗ブタクサ血清での白
血球の受動感作およびブタクサ抗原によるチャレンジに
よって誘導されるヒスタミン放出を強化することを証明
することによって、この検査の有用性を拡大した。Prah
lなど、Allergy、43巻:442〜448頁(1988年)は非アレ
ルギー性個体から分離したIgE欠落白血球で非放出性ア
レルギー性患者血清での受動感作と、それに続くアレル
ゲンの誘導によるヒスタミン放出を報告した。しかしな
がら、Prahlなどの方法は非アレルギー性提供者全血か
らの対照白血球分離と、それに続く提供者血球に結合し
たIgEの移動と、が必要である。これに加えて、Levyな
ど、Ishizakaなど、およびPrahlなどの操作は前記他種
ヒスタミン放出検査法の有用性を限定するヒスタミン検
定変動と同じ変動の対象である。
従って、本発明の目的の一つは便利で再現性があり、
広範に適用できるアレルギー性疾患診断用試験管内検査
法を提供することである。
アレルギー性疾患処置用治療剤の生物活性検定用試験
管内操作法を提供することがもう一つの目的である。
IgE拮抗剤スクリーニング用試験管内操作法を提供す
ることが別の目的の一つである。
これらおよび他の目的は当業者には自明になるものと
思われる。
発明の要約 従って、本発明は患者におけるアレルギー性疾患診断
用試験管内検査法を提供するものであって、ここに、Ig
E拮抗剤の存在下および不在下の双方でアレルゲン特異
的IgEを非アレルギー性提供者からのFcεRI+免疫細胞と
相互作用(で感作)させることにより患者血清内のアレ
ルゲン特異的IgEを検出する。
本発明の一側面は放出混合物中での薬理学的伝達物質
の放出と遮断放出混合物中での薬理学的伝達物質の放出
とを比較することを含む患者におけるアレルギー性疾患
の診断法であって、ここに、放出混合物は患者からの血
清標本およびナイーブ提供者からの組織標本を含み、お
よびここに、遮断放出混合物は患者からの血清標本、ナ
イーブ提供者からの組織標本、およびIgE拮抗剤を含
み、およびここに、放出混合物と遮断放出混合物との双
方を目的アレルゲンと混合するものである。
本発明はもう一つのアレルギー診断用試験管内検査法
をも提供するものであって、ここに、アレルゲン特異的
IgEを、患者IgEおよびアレルゲンとの接触に際してその
宿主細胞の薬理学的伝達物質放出をさせることができる
FcεRIα−サブユニットの表面発現を展示するように遺
伝子工学的に処理した好塩基球または肥満細胞宿主と、
IgE拮抗剤の存在下および不在下の両方で、相互作用さ
せることにより患者血清内のアレルゲン特異的IgEを検
出する。このアレルゲン特異的IgE/FcεRI相互作用はア
レルゲンを添加することおよびヒスタミンまたはその他
の薬理学的伝達物質の即時放出を測定することによって
検定する。この検定中で使用するには、FcεRI受容体へ
の結合についてIgEと競合するものであるIgE拮抗剤およ
びIgEへの結合についてFcεRI受容体と競合するIgE拮抗
剤を含む、いかなるIgE拮抗剤も適当である。IgE拮抗剤
のこの新規な使用は薬理学的伝達物質1種またはそれ以
上の非特異的放出に起因する誤陽性結果を削減する。
本発明の一側面は患者におけるアレルギー性疾患の診
断法であって、 (a)反応混合物中での薬理学的伝達物質の放出と遮断
した反応混合物中での薬理学的伝達物質の放出とを比較
すること、ここに、 (1)反応混合物および遮断した反応混合物は患者血
清IgEおよびアレルゲンによる誘導に際して薬理学的伝
達物質の宿主細胞による放出を媒介できるFcεRIα−サ
ブユニットの表面発現を示すように遺伝子工学的に処理
したいずれかの肥満細胞宿主および患者血清IgEおよび
アレルゲンによる誘導に際して薬理学的伝達物質の宿主
による放出を媒介できるFcεRIα−サブユニットの表面
発現を展示するよう遺伝子工学的に処理したいずれかの
好塩基球から構成される群から選択した共通親細胞の子
孫である細胞を含み、 (2)反応混合物および遮断した反応混合物各々はさ
らにその患者からの単一血清標本の一部であって、血清
標本中での目的アレルゲン特異的IgEの存在または不在
が未知であるものを含み、 (3)遮断した反応混合物はさらにIgE拮抗剤を含
み、および (4)反応混合物と遮断反応混合物とを両方ともアレ
ルゲンと混合すること、および (b)段階(a)での比較に基づいてアレルゲンに特異
的IgEの血清標本内での存在または不在を決定すること を含む診断法である。
本発明は抗アレルギー性治療剤としての薬剤の生物活
性用およびIgE拮抗剤としての薬剤の生物活性用の試験
管内検査法も提供するものであって、その薬剤の存在下
または不在下に、アレルゲン特異的IgEをFcεRI+免疫細
胞と接触することによってその薬剤がアレルゲン特異的
IgEとFcεRI受容体との間の相互作用を遮断する性能を
検定する。このアレルゲン特異的IgE/FcεRI相互作用は
アレルゲンの添加とヒスタミンその他の薬理学的伝達物
質の即時的放出の測定とによって検定する。
本発明の一側面は薬剤がIgE誘導免疫細胞感作を遮断
する生物活性検定の方法であって、放出混合物中での薬
理学的伝達物質の放出と遮断された放出混合物中での薬
理学的伝達物質の放出との比較からなり、ここにその放
出混合物はナイーブ提供者からの組織標本および血清標
本を含み、またここに、その遮断された放出混合物はナ
イーブ提供者からの組織標本、血清標本およびその薬剤
を含み、およびここに、その放出混合物および遮断され
た放出混合物を目的アレルゲンと混合するものである。
本発明の別の側面は免疫細胞脱顆粒反応を阻止する性
能について薬剤をスクリーニングする方法である。この
方法では、その薬剤で処置した患者免疫細胞または試験
管内でその薬剤とともにプレインキュベーションした提
供者免疫細胞を、まずIgE拮抗剤の存在下または不在下
にアレルゲン特異的IgEと混合し、その混合物をそのア
レルゲンでチャレンジする。ヒスタミン放出を減少する
IgE拮抗剤の性能はその薬剤が免疫細胞脱顆粒反応を阻
止する性能を示す。
図面の簡単な説明 図1はrhuMAbE25のヒスタミン放出始動不能性を示す
グラフ描写でる。ナイーブ提供者12名からの血液標本を
10%RSHPで前感作し、HBSS/1%BSA、ブタクサ0.1μg/m
L、10μg/mLのMAE1、または10μg/mLのrhuMAbE25で37℃
で30分間チャレンジした。様々な反応混合物の上清液に
放出されたヒスタミン(nM)を次の通りに示した:HBSS/
1%BSA混合物は白色正方形で表示し、ブタクサ混合物は
黒色正方形で表示し、MAE1混合物は白色三角形で表示
し、rhuMAbE25混合物は黒色円形で表示した。
図2はブタクサ特異的ヒト血漿のスクリーニングを示
すグラフ描写である。ナイーブ提供者1名からの全血を
1μg/mLのrhuMAbE25の存在(陰影柱)下または不在
(黒色柱)下にブタクサにアレルギー性であることが知
られた提供者から採取した相異なるヒト血漿(A〜G)
7個で個別に前感作した後に、ブタクサアレルゲン0.1
μg/mLでチャレンジした。HBSS/1%BSA単独で前感作し
た混合物は白色柱で表示した。各柱は測定2回の平均値
を表示する。血漿B(ロット42−365054)を次の検定で
の好塩基球感作のために選択した。各誤差線は測定値2
個の範囲を表示する。
図3は10%RSHPでの前感作が全血のブタクサ誘導ヒス
タミン放出に及ぼす効果を示すグラフ描写である。ヘパ
リン化血液標本をPBS/0.1%BSA(白色柱)か、または10
%RSHP、ロット42−365054(陰影柱)かとともに37℃で
2時間プレインキュベーションした後に、0、1、10お
よび100ng/mLのブタクサアレルゲンでチャレンジした。
誘導ヒスタミン放出を定量し、様々な反応上清液中濃度
(nM)の値として表現する。各柱は測定2回の範囲を表
示する(白色円形)。
図4は様々なナイーブ提供者血液のヒスタミン放出性
能を示すグラフ描写である。ナイーブ提供者血液をrhuM
AbE25の生物活性検定で使用するために適当なヒスタミ
ン放出性能についてスクリーニングした。提供者血液を
10μg/mLのrhuMAbE25の存在(陰影柱)下または不在
(黒色柱)下に10%RSHPとともに2時間37℃でインキュ
ベーションして感作した後に、ブタクサアレルゲン0.1
μg/mLでチャレンジした。HBSS/1%BSAチャレンジに反
応してのヒスタミン放出を白色柱で表示する。誘導ヒス
タミン放出を細胞中全ヒスタミンに対する百分率として
表示する。各柱は測定2回の平均値を表示する。
図5はヒスタミン放出機序を示すグラフ描写である。
0.5μg/mLのrhuMAbE25(白色正方形)、1μg/mLのrhuM
AbE25(白色三角形)、またはrhuMAbE25なし(白色円
形)の存在下に10%RSHPで前感作したナイーブ提供者血
液をブタクサアレルゲン0.1μg/mLでチャレンジし、所
定時間インキュベーションした。10%RSHPで前感作し、
HBSS/1%BSAでチャレンジしたナイーブ提供者血液を
(白色円形)陰性対照に用いた。誘導したヒスタミン放
出を定量し、様々な反応上清液中の濃度(nM)として表
現した。誤差線は測定値2個の範囲を表示する。
図6はインキュベーション培地内におけるCa+2および
Mg2+欠落に起因するヒスタミン放出減少を示すグラフ描
写である。ナイーブ提供者のヘパリン化全血をハンク緩
衝液(白色円形)またはCa+2およびMg2+が欠落したハン
ク緩衝液(HBSS--)(黒色円形)で希釈し、様々な濃度
のrhuMAbE25と共に2時間インキュベーションした後、3
7℃で30分間ブタクサアレルゲン(0.1μg/mL)でチャレ
ンジした。各点は測定2回の平均値を表示する。
図7はインキュベーション培地のCa+2およびMg2+濃度
がヒスタミン放出に及ぼす効果を示すグラフ描写であ
る。ナイーブ提供者全血を様々な濃度のCaCl2・2H2O
(白色円形)、MgCl2・6H2O(黒色円形)、またはCaCl2
・2H2OプラスMgCl2・6H2O(白色正方形)を含有するHBS
S--で希釈して10%RSHPによって2時間感作した後に、3
7℃で30分間ブタクサアレルゲン(0.1μg/mL)でチャレ
ンジした。上清液中ヒスタミン放出を定量し、細胞中全
ヒスタミンの百分率として表現した。各点は測定2回の
平均値を表示する。
図8はブタクサ誘導ヒスタミン放出に及ぼすrhuMAbE2
5濃度の効果を示すグラフ描写である。ナイーブ提供者
血液を様々な濃度のrhuMAbE25の存在下に10%RSHPとと
もに37℃で2時間インキュベーションして感作した後
に、37℃で30分間ブタクサアレルゲン0.1μg/mLでチャ
レンジした。誘導したヒスタミン放出を定量し、様々な
反応上清液中での濃度(nM)として表現する。各点は測
定2回の平均値を表示する。
図9はチリダニに対してアレルギー性の個体からの血
漿が起こすナイーブ提供者好塩基球のヒスタミン放出に
及ぼすrhuMAbE25の効果を示すグラフ描写である。ナイ
ーブ提供者1名からのヘパリン化全血をハンクス緩衝液
で1:7に希釈し、rhuMAbE25の存在(1μg/mL)下または
不在下にチリダニにアレルギー性である個体から採取し
た血漿(AからGまで)7個とともに2時間プレインキ
ュベーションし、37℃で30分間緩衝液(HBSS/1%BSA)
およびチリダニアレルゲン(0.1μg/mL)でチャレンジ
した。誘導したヒスタミン放出を定量し、様々な反応上
清液中での濃度(nM)として表現する。rhuMAbE25不在
下でのヒスタミン放出は白色柱で表示し、1μg/mLのrh
uMAbE25存在下でのヒスタミン放出は陰影柱で表示す
る。各柱は測定2回の平均値を表示する(円形)。
図10はヒトIgEのRBL48細胞への結合に対するrhuMAbE2
5による阻止を示すグラフ描写である。RBL48細胞を4000
0細胞/ウェルで接種し、5%CO2培養器中一夜37℃で培
養した後にアルコールで固定した。固定した細胞を次の
培地の一つの中で1時間37℃でインキュベーションし
た:(1)10%ウシ胎児血清、2mM−グルタミンおよび
活性ゲネティシン(sIMDM)(Gibco BRL#11811−031)
500μg/mL添加Iscove修正ダルベッコ培地、(2)sIMDM
/10%RHSP、または(3)sIMDM/10%RHSP/10μg/mLrhuM
AbE25。インキュベーション後に、細胞をPBS/0.05%ト
ゥイーン20で6回洗浄し、次にセイヨウワサビペルオキ
シダーゼ(HRP)結合ヤギ抗ヒトIgE(1/10000倍希釈)
と37℃で30分間反応させ、続いてo−フェニレンジアミ
ン二塩酸塩(OPD)基質と常温で30分間インキュベーシ
ョンした。各柱は測定2回の平均値を表示する。
図11はRBL48細胞中でのブタクサ誘導ヒスタミン放出
に及ぼす温度およびCa+2濃度の効果を示すグラフ描写で
ある。RBL48細胞を40000細胞/ウェルで接種し、5%CO
2培養器中、一夜37℃で培養した。細胞を10%(v/v)RS
HPを含むsIMDM中、37℃で2時間プレインキュベーショ
ンし、次に室温で50%D2O(白色円形)、37℃で50%D2O
(黒色円形)、37℃でSIMDM(黒色正方形)、または37
℃で50%D2O/2.5mM−EDTA(白色正方形)中のブタクサ
アレルゲン0μg/mL、0.001μg/mL、0.01μg/mL、0.1μ
g/mL、1μg/mL、または10μg/mLでチャレンジした。各
点は測定2回の平均値を表示する。
図12は50%D2O存在下、RBL48細胞によるブタクサ誘導
ヒスタミン放出の時間的経過を示すグラフ描写である。
RBL48細胞を40000細胞/ウェルで接種し、5%CO2培養
器中、一夜37℃で培養した。細胞をsIMDMまたはsIMDM/1
0μg/mLrhuMAbE25とともに10%(v/v)RSHPの存在下に3
7℃で2時間プレインキュベーションした。sIMDMで3回
洗浄後、細胞を下記混合物の一つでチャレンジした:
(1)ヒスタミン放出緩衝液(HRB)(50%D2O、0.8%N
aCl、1.3mM−CaCl2、sIMDM)(白色円形)、(2)HRB
およびブタクサアレルゲン0.1μg/mL(黒色円形)、
(3)HRB、ブタクサアレルゲン0.1μg/mL、および0.5
μg/mLのrhuMAbE25(黒色正方形)、または(4)HRB、
ブタクサアレルゲン0.1μg/mL、および1μg/mLのrhuMA
bE25(白色正方形)。各点は測定2回の平均値を表示す
る。
図13はRBL48細胞中のブタクタ誘導ヒスタミン放出に
対するrhuMAbE25による阻害を示すグラフ描写である。R
BL48細胞を40000細胞/ウェルで接種し、5%CO2培養器
中、一夜37℃で培養した。細胞を0.078、0.156、0.31
3、0.625、1.25、2.5、5、および10μg/mL濃度でのrhu
MAbE25とともに10%(v/v)RSHP存在下に37℃で2時間
プレインキュベーションした。sIMDMで3回洗浄後、細
胞をHRB、ブタクサアレルゲン0.1μg/mL、50%D2Oによ
り37℃で30分間チャレンジした。各点は測定2回の平均
値を表示する。
図14はヒト好塩基球ヒスタミン検定(HBHA)結果とラ
ット肥満細胞ヒスタミン検定(RMCHA)結果との間の相
関関係を示すグラフ描写である。15標本のrhuMAbE25を
各々2用量でHBHAおよびRMCHAの双方でブタクサ誘導ヒ
スタミン放出阻止性能について検査した。各標本のrhuM
AbE25濃度は各検定法のrhuMAbE25標準曲線から決定し
た。回収したrhuMAbE25濃度(希釈係数に対して補正
後)をプロットした。StatView4.0プログラムを使用し
て95%信頼区間による単純回帰分析を行った。
図15はアレルゲンパネルに対するアレルギー性個体か
らのヒト血漿標本のRMCHAスクリーニングを示すグラフ
4個を開示する。RBL48細胞を40000細胞/ウェルで接種
し、5%CO2培養器中、一夜37℃で培養した。細胞を異
なるアレルギー性提供者4名から分離した血漿標本
(P1、P2、P3、P4)で個別に感作し、HRB(A)、HRBお
よび標準化したダニ(D.farinae)アレルゲン0.1μg/mL
(B)、HRBおよびハウスダスト混合アレルゲン0.1μg/
mL(C)、HRBおよびブタクサ抗原E−BおよびE−C0.
1μg/mL(D)、HRBおよび標準化したネコ毛皮アレルゲ
ン0.1μg/mL(E)、またはHRBおよびアルテルナリア属
真菌(Alternaria tenius)のアレルゲン0.1μg/mL
(F)でチャレンジした。アレルゲン誘導ヒスタミン放
出は1μg/mLのrhuMAbE25存在(黒色柱)下または不在
(白色柱)下に感作した標本に対する細胞中全ヒスタミ
ンの百分率として決定した。各柱は測定2回の平均値を
表示する。
図16はHBHA検定で測定したブタクサアレルゲンおよび
ブタクサアレルゲン/33%D2Oにより誘導されたヒスタミ
ン放出量の比較を示すグラフ描写である。提供者血液を
10%RSHPとともに37℃で2時間インキュベーションし、
次に33%D2Oの存在下または不在下に37℃で30分間ブタ
クサアレルゲン0.1μg/mLでチャレンジした。異なるナ
イーブ提供者全部で27名を用いた。各点は測定2回の平
均値を表示する。
図17はRBL48細胞のブタクサ誘導ヒスタミン放出に及
ぼすD2Oの効果を示すグラフ描写である。RBL48細胞を40
000細胞/ウェルで接種し、5%CO2培養器中、一夜37℃
で培養した。細胞をsIMDMまたはsIMDM/10μg/mLのrhuMA
bE25とともに10%(v/v)RSHP存在下に37℃で2時間プ
レインキュベーションした。sIMDMで3回洗浄後、細胞
を次の混合物中、様々な濃度(0%、30%、50%、70
%、100%)のD2Oで個別にチャレンジした:(1)HRB
(黒柱)、(2)HRBおよびブタクサアレルゲン(白色
柱)、および(3)HRB、ブタクサアレルゲン0.1μg/m
L、および10μg/mLのrhuMAbE25(陰影柱)。各点は測定
2回の平均値を表示する。
好適な態様の詳細な記載 A.定義 用語「IgE拮抗剤」はここではIgEと免疫細胞上の高親
和性受容体FcεRIまたはアレルゲン刺激に反応して薬理
学的伝達物質単数または複数を放出しないよう遺伝子工
学的に処理した細胞との間の相互作用を分裂または阻害
できる化合物を意味する。好ましくは、このIgE拮抗剤
は免疫細胞または遺伝子工学的に処理した細胞の特定薬
理学的伝達物質単数または複数の誘導不能性によっても
特徴付けられる。IgE拮抗剤は、たとえばIgG、IgA、Ig
M、IgDおよびIgEのような、いかなる免疫グロブリン型
の抗IgE抗体およびその断片、可溶性FcεRI受容体およ
びその断片、抗FcεRI抗体およびその断片、IgE変異体
およびその断片、IgE結合性ペプチド、FcεRI受容体結
合性ペプチド、およびIgEに結合することができるかま
たはFcεRI受容体へのIgEの結合についてIgEと競合する
ことができる非蛋白質性低分子を含む。
「抗IgE抗体」はここでは結合したIgEがFcεRI受容体
と相互作用する性能を削減または除去するようにIgEに
結合することができる抗体のいずれかとして定義する。
「抗IgE抗体断片」はここでは結合したIgEがFcεRI受
容体と相互作用する性能を削減または除去するようにIg
Eに結合することのできる抗IgE抗体分子のいずれかの部
分として定義する。
「可溶性FcεRI受容体」はここではFcεRIα鎖の細胞
外ドメイン(エキソドメイン)にIgE結合部位を含み、
ここに、結合IgEがFcεRI受容体と相互作用する能力を
削減または除去するようにその分子がIgEに結合するこ
とができる分子のいずれかとして定義する。
用語「IgE変異体」はここでは、IgE分子が免疫細胞を
感作する性能を削減するか除去し、ここに、変化したIg
E分子がFcεRI受容体への結合についてIgEと競合するこ
とができる、単数または複数のアミノ酸置換および/ま
たは単数または複数のアミノ酸欠失のような変化を持つ
IgE分子のいずれかとして定義する。
用語「IgE変異体断片」と「IgE変異体の断片」とはこ
こではFcεRI受容体への結合についてIgEと競合するこ
とのできるIgE変異体の断片のいずれかとして定義す
る。
用語「IgE−結合性ペプチド」はここでは可溶性FcεR
I受容体および抗IgE抗体およびその断片を含む、IgEへ
の結合についてFcεRI受容体と競合することのできるペ
プチドのいずれかとして定義する。
用語「FcεRI受容体結合性ペプチド」はここではIgE
変異体およびその他の抗体およびその断片を含み、Fcε
RI受容体への結合についてIgEと競合することのできる
ペプチドのいずれかとして定義する。
用語「アレルゲン」はここでは、たとえば花粉、ブタ
クサ、チリダニ、および牛乳抗原のような、ある抗原に
対する患者の第2回または後続する接触に際して患者に
I型過敏反応を発生することのできる抗原のいずれかを
示す。
用語「薬理学的伝達物質」はここでは、FcεRI+免疫
細胞により放出され、たとえばヒスタミン、ロイコトリ
エン、プロスタグランジンおよび血小板活性化因子のよ
うに炎症反応を媒介することのできる化合物のいずれか
を意味する。
用語「FcεRI+免疫細胞」はここではFcεRI高親和性
受容体を発現する細胞であって、IgE誘導感作および目
的抗原との接触に際して薬理学的伝達物質単数または複
数を放出することのできる、たとえば肥満細胞および好
塩基球のような細胞を示すことを意図している。
用語「遺伝子工学的に処理した」はここでは外因性ま
たは追加的内因性DNAの導入によって天然の状態から変
えられている細胞とこのような変化された細胞の子孫と
を示す。遺伝子工学的に処理した肥満細胞の例には、宿
主細胞に異種であるFcεRIα鎖をコードする外因性DNA
を発現する肥満細胞、宿主細胞と同族であるFcεRIα鎖
をコードする外因性DNAを発現する肥満細胞、および宿
主細胞によるFcεRIα鎖をコードする内因性DNAの発現
を強化する外因性DNAを含む肥満細胞などを包含する。
遺伝子工学的に処理した好塩基球の例には、宿主細胞に
異種であるFcεRIα鎖をコードする外因性DNAを発現す
る好塩基球、宿主細胞と同族であるFcεRIα鎖をコード
する外因性DNAを発現する好塩基球、宿主細胞によるFc
εRIα鎖をコードする内因性DNAの発現を強化する外因
性DNAを含む好塩基球などを包含する。
用語「患者血清」および「患者から採取した血清標
本」はここではIgEを含有し、FcεRI+免疫細胞を欠落す
る患者血液の画分のいずれかであるとして定義する。
用語「血清標本」および「目的アレルゲンに特異的な
IgEを含有する血清」はここでは感作したFcεRI+免疫細
胞を目的アレルゲンによるチャレンジによって、薬理学
的伝達物質単数または複数の放出を誘導するようにFcε
RI+免疫細胞を感作することができるIgE含有処理物のい
ずれかを示す。
用語「提供者」、「ナイーブ提供者」、「健常提供
者」、および「非アレルギー性提供者」はここでは互換
的に使用され、目的アレルゲンに対してアレルギーを持
たない個体を示すことを意図している。
用語「ナイーブ提供者からの組織標本」と「提供者組
織」とはここではナイーブ提供者から採取した、FcεRI
+免疫細胞を含有する肺臓組織、全血、および血液分画
を包含する組織のいずれかとして定義する。
用語「ナイーブ提供者からの血液標本」と「提供者血
液」とはここではナイーブ提供者から採取し、FcεRI+
免疫細胞を含有する、全血を包含する血液分画として定
義する。
用語「放出混合物」、「感作混合物」、「感作免疫細
胞」、および「感作提供者血液」はここでは患者血清ま
たはその他の血清標本および提供者組織との混合物を示
し、ここでは、患者の血清または血清標本中に存在する
アレルゲン特異的なIgEのいずれかを提供者組織に存在
するFcεRI+免疫細胞と相互作用させる。
用語「遮断放出混合物」および「遮断した感作混合
物」はここでは患者血清またはその他の血清標本、提供
者組織、およびIgE拮抗剤であるか、またはIgE拮抗剤候
補であるか、または抗アレルギー性治療剤候補である薬
剤との混合物を示す。IgE拮抗剤の場合には、その薬剤
を好ましくは患者血清または血清標本内に存在するアレ
ルゲン特異的IgEのいずれかと提供者組織の中に存在す
るFcεRI+免疫細胞との間の相互作用を減少させるに十
分な濃度で存在させる。IgE拮抗剤候補または抗アレル
ギー性治療剤候補の場合には、薬剤は好ましくはIgEとF
cεRI+免疫細胞との相互作用を分裂または遮断する該薬
剤の性能を検定するに十分な濃度で存在させる。
用語「IgE誘導免疫細胞感作を遮断する薬剤の生物活
性」はここではIgEのFcεRI+免疫細胞への相互作用を分
裂または遮断するその薬剤の性能として定義する。この
定義にはFcεRI+とIgEへの結合について競合することに
よってIgE/免疫細胞相互作用を遮断または分裂する生物
活性およびFcεRIへの結合についてIgEと競合すること
によってIgE/免疫細胞相互作用を遮断または分裂する生
物活性を包含する。
用語「抗アレルギー性治療剤候補」はここではアレル
ギー性疾患の処置での使用について評価すべき薬剤のい
ずれかとして定義する。
用語「IgE拮抗剤候補」はここではIgE拮抗剤としての
使用について評価すべき薬剤のいずれかとして定義す
る。
用語「FcεRI+免疫細胞とのIgEの相互作用」、「IgE
誘導免疫細胞感作」、「FcεRI+免疫細胞感作」、「免
疫細胞感作」、および「FcεRI受容体とのIgEの相互作
用」は、ここではアレルゲン特異的IgEの免疫細胞FcεR
I受容体への結合であって、これに後続するアレルゲン
のFcεRI受容体結合性IgEへの結合が免疫細胞による薬
理学的伝達物質単数または複数の放出を誘導するような
ものとして定義する。
B.一般的方法 I.ナイーブFcεRI+細胞によるアレルゲン特異的IgEの検
出 一側面では、本発明はアレルギー性疾患の診断法を提
供する。一般的に、この方法はFcεRI+免疫細胞を使用
するアレルギー性患者血清内アレルゲン特異的IgEの検
出を含む。さらに特定的には、アレルギー性患者血清中
のアレルゲン特異的IgEをIgE拮抗剤の存在下または不在
下に好塩基球および/または肥満細胞上での開放された
FcεRI受容体とそのアレルゲン特異的IgEとを、相互作
用(感作)させることによって検出する。このアレルゲ
ン特異的IgE/FcεRI相互作用をアレルゲン添加およびヒ
スタミンまたはその他の薬理学的伝達物質の即時放出の
測定によって検定する。IgE拮抗剤はIgE/FcεRI相互作
用を遮断するので、IgE拮抗剤を含有する反応混合物中
でのヒスタミンの低濃度は患者血清中におけるアレルゲ
ン特異的IgEの存在を指摘する。ヒスタミンは下記論議
の多くでアレルゲンが誘導し、IgEが媒介する免疫細胞
の炎症反応関連化合物の放出を示すために使用できる薬
理学的伝達物質の例として役立つけれども、本発明はこ
こに定義し、論議し、請求する方法において、ロイコト
リエン、プロスタグランジンおよび血小板活性化因子を
包含するかかる薬理学的伝達物質いずれかの使用をも包
含することが認識されるであろう。
a.ナイーブFcεRI+免疫細胞の調製 一態様において、本方法は患者血清をナイーブ提供者
から採取したFcεRI+免疫細胞と接触することを包含す
る。IgE感作およびアレルゲンチャレンジに反応して薬
理学的伝達物質単数または複数を放出することのできる
FcεRI+免疫細胞を包含する、ナイーブ提供者から採取
した組織標本のいずれも患者血清中におけるアレルゲン
特異的IgEの存在を検出するために使用できる。例え
ば、好塩基球を含む組織標本を使用できる。個体の約15
%は試験管内でヒスタミンを放出しない好塩基球を持っ
ているので、提供者候補を本方法での使用に適する好塩
基球のヒスタミン放出性能についてスクリーニングすべ
きである。好ましくは、アレルゲン特異的IgEで前感作
した提供者好塩基球はアレルゲンチャレンジに際して細
胞中全ヒスタミンの7%またはそれ以上、さらに好まし
くは10%またはそれ以上を放出する。いずれのアレルゲ
ンおよび対応するIgEによるヒスタミン放出について
も、下記実施例に記載するブタクサ誘導ヒスタミン放出
に関する提供者スクリーニング法に従えば、提供者をス
クリーニングできる。許容可能な放出性を持つ潜在的な
提供者の群は、提供者細胞を酸化重水素(D2O)存在下
に提供者細胞をインキュベーションすることによって増
加する。実施例に示すように、インキュベーション培地
中のD2Oの存在はアレルゲン誘導性ヒスタミン放出を増
大する。インキュベーション培地における最終濃度約10
%から50%、好ましくは約20%から40%、最も好ましく
は約33%でD2Oを効果的に使用できる。
好適な態様では、ナイーブ提供者からの全血標本を使
用する。全血使用は好塩基球の検定前処理を有益に減
じ、細胞分離操作に起因する細胞機能の破壊を回避す
る。全血標本は検定で使用する前に抗凝固処理し、緩衝
塩溶液で希釈できる。インキュベーション培地内Ca2+
存在はヒスタミン放出に実質的な影響を及ぼす(MacGla
shanとBotana、J.Immunol.、150巻:980〜991頁(1993
年))での、希釈緩衝液はCa2+を含有するものが好適で
ある。その他に、希釈緩衝液は下記実施例に記載するよ
うに、ヒスタミン放出を増加するためにMg2+も含有でき
る。約1:2から1:10、より好ましくは約1:5から1:7まで
の比率での1.3mM−Ca2+および0.9mM−Mg2+を含有するハ
ンク平衡塩緩衝液(HBSS)による血液標本の希釈はヒス
タミン放出について良い環境を提供する。
その他に、ナイーブ提供者からの分離白血球も使用で
きる。白血球はGillespieなど、J.Clin.Invest.、51巻:
2941〜2947頁(1972年)の方法に従って分離し、調製で
きる。
もう一つの態様では、提供者細胞にある開放FcεRI受
容体数を好塩基球の細胞表面からIgEを除去することに
よって増加できる。この技術は検定用に適当な受容体数
を持つ潜在的提供者集団を増加する。Prahlなど、前
出、が記載のように血液を洗浄し、血球を4℃で約5分
間燐酸緩衝液(pH3.6)中に懸濁することにより、またP
ruzanskyなどがJ.Immunol.、13巻:1949〜1954頁(1983
年)に記載のような乳酸洗浄により好塩基球細胞表面か
ら結合したIgEを除去できる。
さらに別の態様では、肥満細胞からなる提供者組織標
本を使用できる。肥満細胞を含む組織標本はナイーブ提
供者の肺臓組織から入手できる。肺臓組織はMaroneな
ど、J.Invest.Dermatol.93巻:246〜252頁(1989年)に
記載のように細胞懸濁液として採取調製できる。
b.患者血清の調製 IgEを含有し、および/またはFcεRI+免疫細胞を欠落
する患者血液画分はいずれも本発明によるアレルギー診
断での使用に適当である。容易に得られるので患者血清
標本は分析用に便利な画分である。
c.患者血清によるナイーブFcεRI+免疫細胞の感作 患者血清をIgE拮抗剤の存在下または不在下にナイー
ブ提供者組織標本に添加するとそれぞれ遮断感作混合物
または感作混合物を得る。提供者組織が血液標本である
時は、混合物中の患者血清と提供者血液との望ましい比
率は提供者血液の画分および使用すべき血液の希釈率お
よび検査および患者血清の希釈率に従って変化する。提
供者全血をHBSS/1%BSAで1:7で希釈し、非希釈患者血清
と混合する場合は、提供者血液と患者血清との適当な比
率は約2:1から20:1、好ましくは約4:1から15:1、さらに
好ましくは約9:1である。
患者血清/ナイーブ提供者FcεRI+免疫細胞の混合物
少なくとも2個を並行して比較する。一方の混合物では
患者血清IgEがナイーブ提供者FcεRI+免疫細胞に結合す
るのをIgE拮抗剤を使用して遮断する。第二の混合物で
は患者血清をナイーブ提供者FcεRI+免疫細胞とIgE拮抗
剤の不在下に接触する。好適な態様では、IgEに結合す
るIgE拮抗剤を患者血清/提供者組織混合物中で患者血
清中アレルゲン特異的IgEを力価検定するための濃度範
囲で使用する。IgE拮抗剤濃度範囲の効果の分析は患者
のアレルギー症状の重篤度評価に強力な手段が得られ
る。要すれば、アレルゲン特異的IgEを含有することが
判明している血清標本もIgE拮抗剤の存在下または不在
下に本発明に従って検査してそれぞれ陰性および陽性対
照を提供する。
遮断感作混合物のIgE拮抗剤の望ましい濃度は使用す
るIgE拮抗剤の型に従って変化する。IgEへの結合につい
てFcεRI受容体と競合するIgE拮抗剤の場合には、IgE拮
抗剤の好適な濃度はIgE拮抗剤およびFcεRI受容体のIgE
への相対的親和性に依存する。IgE/FcεRI受容体相互作
用の完全な遮断を所望する時は、遮断感作混合物中に存
在するIgEの飽和に十分な濃度のIgE拮抗剤を使用するの
が好ましい。FcεRI受容体への結合についてIgEと競合
するIgE拮抗剤の場合には、IgE拮抗剤の好適な濃度はIg
EとIgE拮抗剤とのFcεRI受容体への相対的親和性に依存
する。IgE/FcεRI受容体相互作用の完全な遮断を所望す
る時は、遮断感作混合物中に存在するFcεRI受容体の飽
和に十分なIgE拮抗剤濃度を使用するのが好ましい。
抗IgEモノクローナル抗体をIgE拮抗剤として使用する
時およびナイーブ提供者FcεRI+免疫細胞の源泉として
血液を使用する時は、患者血清/提供者血液混合物中に
ある抗体の有用な濃度範囲は好ましくは約0.001から10
μg/mL、さらに好ましくは約0.005から5μg/mL、より
好ましくは約0.01から2μg/mLである。
IgE拮抗剤は、患者血清を提供者組織混合物に添加す
る前か、または同時かに提供者組織と混合できる。ある
いは、患者血清をIgE拮抗剤とを前混合し、次に提供者
組織と混合できる。
提供者組織/患者血清混合物はIgEのFcεRI受容体へ
の結合に適当な条件下にインキュベーションする。提供
者血液/患者血清混合物の場合には、好適な条件は下記
実施例に記載するように、加湿5%CO2培養器での37℃
で約2時間のインキュベーションから構成される。
d.感作FcεRI+免疫細胞のアレルゲンチャレンジ インキュベーションに続いて、感作混合物と遮断感作
混合物との適量を目的アレルゲンでチャレンジする。好
ましくは、感作混合物および遮断感作混合物の適量、約
50から200μL、さらに好ましくは100から150μLの大
きさ、をアレルゲンチャレンジのために使用する。感作
混合物および遮断感作混合物の適量をマイクロタイター
プレートのウェルに入れて、好都合なアレルゲンとの反
応および分析ができる。各ウェルにアレルゲン充分量を
添加し、反応混合物をヒスタミン放出に適当な緩衝液で
希釈できる。必要なアレルゲン量はIgE結合性FcεRI受
容体の濃度とIgEのアレルゲン特異的結合への親和性と
に依存する。反応混合物中で過剰のアレルゲンを使用で
きるが、アレルゲンの高濃度はヒスタミン放出の非特異
的誘導を起こしうる。アレルゲン濃度約0.01μg/mLから
100μg/mL、より好ましくは約0.05μg/mLから15μg/m
L、さらにより好ましくは約0.1μg/mLから1μg/mLは本
発明で殆どのアレルゲンと感作免疫細胞との反応に適当
である。
アレルゲン反応混合物のインキュベーション条件はヒ
スタミン放出が誘導されるよう選択する。好適な態様で
は、反応混合物を温度低くとも32℃で約20から30分間、
さらに好ましくは低くとも37±1℃でインキュベーショ
ンする。
e.ヒスタミン放出の検定 アレルゲン反応混合物中のヒスタミン放出は反応容器
温度を鋭く低下させる、たとえばマイクロタイタープレ
ートを氷上に置くようないずれの好都合な方法でもよい
が、ことにより停止できる。各標本について細胞中全ヒ
スタミンは細胞を破壊し、細胞破砕物からヒスタミンを
分離し、分離したヒスタミンを定量することによって測
定できる。細胞は、たとえば超音波処理、Manton−Gaul
in圧縮または浸透圧および凍結解凍のような、いかなる
好都合な方法によっても破壊でき、ヒスタミンを細胞破
砕物から、たとえば濾過または遠心分離によって、容易
に分離する。ヒスタミン濃度はNolteなど、Allergy、42
巻:366〜373頁(1987年)に記載の分光光学的螢光測定
法、Peyretなど、J.Immunol.Methods、90巻:39〜45頁
(1986年)に記載のラジオイムノアッセイ、および、た
とえばヒスタミンをヒスタミン複合酵素と固体担体に固
定した抗体への結合について競合させ、それに続いて発
色団基質を持つ結合酵素の検出によって結合競合イムノ
アッセイを行うような、酵素イムノアッセイを包含する
多数の方法で測定できる。下記実施例に記載するように
本発明ではAMAC社、Westbrook、MEから購入できるヒス
タミンのイムノアッセイキットを使用してヒスタミン水
準を測定できる。
本発明のさらなる態様では、ガラス繊維存在下にヒス
タミン放出反応を行い、続いてガラス繊維に結合したヒ
スタミンを検出することによりヒスタミン濃度を測定で
きる。マイクロタイタープレートはNolteなどが記載し
たようにしてガラスミクロ繊維を層積できる。血球がミ
クロ繊維に捕捉されるのを回避するため、Nolteなどの
方法に従ってPipes−AMCをウェルに添加できる。次に、
提供者血液および患者血清をIgE拮抗剤存在下または不
在下にウェルに添加し、続いて前記方法におけるように
アレルゲンと反応する。妨害物質はプレートを洗浄する
ことによってミクロ繊維に結合したヒスタミンから分離
できる。ヒスタミンを、たとえばNolteなどが記載したH
ClO4/o−フェニレンジアミン混合物のような適当な溶媒
の添加によりミクロ繊維から放出し、ヒスタミン含有量
は前記方法のいずれかによっても測定できる。
最後に、IgE拮抗剤に起因するヒスタミン放出の阻害
百分率を算出する。IgE拮抗剤の特定濃度に起因する阻
害百分率はIgE拮抗剤不在下のヒスタミン放出量からIgE
拮抗剤存在下のヒスタミン放出量を減算し、この差をIg
E拮抗剤不在下のヒスタミン放出量で除算することによ
って算出できる。ヒスタミン放出を減少するIgE拮抗剤
の性能は、患者血清内にアレルゲン特異的IgEの存在を
示すので、その特定のアレルゲンに対するアレルキー反
応が認定される。ヒスタミン放出を減少するために必要
なIgE拮抗剤の量は、アレルギー症状の臨床的な強度お
よび重篤度の指標である。
II.ナイーブFcεRI+免疫細胞による患者血清中のアレル
ゲン特異的IgE検出用キット 本発明の検査システムをキットの形で供給でき、その
内容はナイーブ提供者のFcεRI+免疫細胞を含むバイア
ル、IgE拮抗剤を含むバイアルおよび目的アレルゲンを
含むバイアル単数または複数を包含する。ナイーブ提供
者FcεRI+免疫細胞は全血、血液画分、洗浄白血球懸濁
液、またはナイーブ提供者に由来する肥満細胞懸濁液の
形で提供でき、冷蔵庫中に貯蔵するのが便利である。前
記のI aに記載したように感作放出混合物中の薬理学的
伝達物質の放出を促進するに適当な緩衝塩溶液を含むバ
イアルをキットに包含することもできる。
所望ならば、目的アレルゲンに特異的なIgEを含むバ
イアル1個またはそれ以上を陽性対照として提供でき
る。陽性対照アレルゲン特異的IgEは被検患者と同じ動
物種に由来する。陽性対照アレルゲン特異的IgEは患者
血清中のアレルゲン特異的IgEの力価測定に有用な標準
曲線の構築を促進するために所定濃度で提供できる。
態様の一つでは、このキットには提供者のナイーブFc
εRI+免疫細胞が放出する薬理学的伝達物質の分析に使
用する薬剤を含むバイアルを包含する。
別の態様では、このキットには包装ラベルまたは前記
Iに記載した方法のいずれかによるキットの使用に関す
る指示を提供する包装挿入物を包含する。
III.遺伝子工学的に処理した細胞による患者血清中のア
レルゲン特異的IgEの検出 本発明はさらに患者血清中のアレルゲン特異的IgEと
遺伝子工学的に処理した細胞の感作およびアレルゲンと
の接触に際して、薬理学的伝達物質単数または複数の宿
主細胞による放出を媒介できるFcεRIα鎖の表面発現を
示すように遺伝子工学的に処理した肥満細胞または好塩
基球に患者血清を接触することによる患者血清標本のア
レルゲン特異的IgEの検出法を包含する。このシステム
においては、遺伝子工学的に処理した肥満細胞宿主また
は好塩基球宿主が発現するFcεRIα鎖は患者血清中IgE
のいずれとも結合することができる。これに加え、この
FcεRIα鎖は宿主細胞の薬理学的伝達物質放出効果器の
機能の中で作用することができる。このFcεRIα鎖は患
者IgE結合FcεRIα鎖のアレルゲン誘導交差結合が伝達
物質放出を始動するように機能的IgE受容体複合体とし
て、また十分な数で宿主細胞の表面に発現される。アレ
ルギー性患者血清中のアレルゲン特異的IgEは、IgE拮抗
剤の存在下または不在下に、アレルゲン特異的IgEを遺
伝子工学的に処理した肥満細胞または好塩基球宿主上の
FcεRI受容体α鎖と相互作用させることによって検出す
る。アレルゲン特異的IgE/FcεRIα鎖相互作用はアレル
ゲンを添加し、即時放出ヒスタミンまたは他の薬理学的
伝達物質を測定することで検定する。IgE拮抗剤はIgE/F
cεRI相互作用を遮断するので、IgE拮抗剤含有反応混合
物中のヒスタミン低濃度は患者血清中におけるアレルゲ
ン特異的IgEの存在を指摘する。
a.遺伝子工学的に処理した細胞の構築 本発明の方法は遺伝子工学的に処理した肥満細胞また
は好塩基球宿主のいずれかについて実施できる。典型的
には、本方法では所与の動物種由来のFcεRIα鎖は同じ
動物種に由来するIgEと反応するであろうから、患者の
動物種にとって本来のFcεRIα鎖を発現するように遺伝
子工学的に処理した肥満細胞または好塩基球宿主を使用
する。しかしながら、本発明は種間システムの使用も包
含し、そこでは、遺伝子工学的に処理した宿主細胞が発
現するFcεRIα鎖が患者のものとは異なる動物種に由来
するけれども、患者血清中に存在するアレルゲン特異的
IgEと反応することができ、感作宿主細胞のアレルゲン
誘導に際して薬理学的伝達物質単数または複数の放出を
起こす。
本発明はFcεRIα鎖を特定度合の同族性または異種性
の発現宿主細胞とともに使用することに限定されていな
いことは認識されるものと思われる。本発明を実施する
のに必要なアレルゲン刺激に際して、薬理学的伝達物質
のIgE媒介放出を起こすことが宿主細胞/FcεRIα鎖シス
テムの性能である。本発明で使用するために適当な遺伝
子工学的に処理した肥満細胞または好塩基球は動物の適
当な組織から肥満細胞または好塩基球を分離し、その肥
満細胞または好塩基球を組織培養中でクローニングし、
目的FcεRIα鎖をコードするDNAを分離または合成し、F
cεRIα鎖をコードするDNAを適当な発現ベクターにクロ
ーニングし、肥満細胞または好塩基球細胞宿主を組換え
発現ベクターで形質転換し、細胞表面に組換えFcεRIα
鎖を発現し、患者IgE/FcεRIα鎖複合体のアレルゲンへ
の交差結合に反応して薬理学的伝達物質単数または複数
を放出する肥満細胞または好塩基球形質転換体を検出
し、採取することによって構築できる。
1.肥満細胞および好塩基球の分離 本発明は、たとえば齧歯類、イヌ、ネコ、ウシ、ブ
タ、ウマ、ヒツジ、および霊長類その他のようないかな
る動物種から採取した肥満細胞ででも実施できる。肥満
細胞宿主候補は種々の型の動物組織から入手できる。肥
満細胞は動物から採取した骨髄、腹膜腔液、脾臓、胎児
肝臓、リンパ節、または肺臓組織から分離できる。肥満
細胞を次に組織標本から抽出し、たとえば、Nabelな
ど、Nature、291巻:332〜334頁(1981年)またはGalli
など、J.Cell Biol.、95巻:435頁(1982年)の方法など
当分野で公知の有力な方法のいずれかによりクローニン
グする。
クローニングした肥満細胞の培養のために適当な培地
は公知である。商業的に購入できる培地にはダルベッコ
の修正イーグル培地(DMEM)、Iscoveの修正ダルベッコ
の培地(IMDM)およびその他の公知のものを含む。これ
ら製品は、たとえば加熱不活性化ウシ胎児血清(FCS)
など、血清を添加するか血清とともに使用するのが有益
であり、他のエネルギー源または栄養および/または感
染を予防するために抗生物質または抗ウイルス剤を包含
できる。
好ましくは、クローニングした肥満細胞を生長/刺激
因子の存在下に維持するが、この因子にはCon Aで刺激
した脾臓細胞から、Nagelなど、前出、に記載のクロー
ニングたLyl+2-インデューサーTリンパ球から、または
Nagelなど、Science、212巻:333頁(1981年)に記載のW
EHI−3細胞から、採取した上清液などを包含する数種
が既に公知である。
好適な態様では、肥満細胞系候補はCantorなどへの米
国特許4559310号に記載のようにして入手する。
他の好適な態様では、不死細胞系、たとえば目的肥満
細胞種の新生物同族体など、を、たとえばラット肥満細
胞系RBL 2H3のような、肥満細胞宿主として使用し、前
記培養基中で生育させる。
本発明は、たとえば齧歯類、イヌ、ネコ、ウシ、ブ
タ、ウマ、ヒツジ、および霊長類その他のようないかな
る動物種から採取した好塩基球ででも実施できる。好塩
基球宿主候補は動物血液から採取できる。白血球は前記
I aに記載したナイーブ提供者白血球を分離するために
使用した操作のいずれかに従って全血から分離できる。
好塩基球は、たとえば白血球調製物をフルオロクローム
標識抗FcεRI抗体またはフルオロクローム標識IgEと反
応させ、続いて螢光を発する細胞をフロー活性化細胞選
別機で検出し、区分するような、当分野の公知操作によ
り残余白血球集団から分離できる。あるいは、好塩基球
はMulなど、J.Immunoul.Meth.、149巻:207〜214頁(199
2年)の方法に従って目的動物種から分離できる。分離
した好塩基球を次に、たとえば、Ishizakaなど、J.Immu
nol.、134巻:532〜540頁(1985年)に記載のような、確
立された方法に従って懸濁細胞培養で生長させる。
2.FcεRIα鎖をコードするDNAの調製 目的FcεRIα鎖をコードするDNAは当分野で公知の種
々の方法のいずれかで調製できる。もしDNA配列が公知
であれば、そのDNAは、たとえばトリエステル法、ホス
ファイト法、ホスホロアミダイト法、H−ホスホネート
法のようにEngelsなど、Angew.Chem.Int.Ed.Engl.、28
巻:716〜734頁(1989年)に記載の方法に従って、化学
的に合成できる。Shimizuなど、Proc.Natl.Acad.Sci.US
A、85巻:1907〜1911頁(1988年)はヒトFcεRIα鎖をコ
ードするcDNAとラットFcεRIα鎖をコードするcDNAとを
開示している。天然配列DNAに加えて、目的FcεRIα鎖
をコードする非天然起源DNAもここでの使用に適当であ
る。一つの態様では、発現宿主細胞に好適なコドンを使
用してFcεRIα鎖をコードするDNAを設計する。
その他に、目的FcεRIα鎖をコードするDNAはFcεRI
α鎖mRNAを含むと信じられる組織、一般的には意図する
患者と同じ動物種から採取した肥満細胞または好塩基
球、から得たいずれのcDNAライブラリーからもクローニ
ングできる。FcεRIα鎖の遺伝子はゲノムDNAライブラ
リーからも取得できる。ライブラリーを目的遺伝子また
はそれがコードする蛋白質を認定するように設計したプ
ローブでスクリーニングする。ヒトおよびラットのFcε
RIα鎖の完全cDNAはShimizuなどに記載がある。他の動
物種のFcεRIα鎖をコードする核酸はShimizuなどの190
9頁の図2のFcεRIα鎖遺伝子配列からのオリゴヌクレ
オチド配列を持つプローブを使用して目的種のゲノムDN
A、肥満細胞cDNAまたは好塩基球cDNAのライブラリーを
ストリンジェンシーの低いスクリーニングをすることで
容易に取得できる。これらプローブは通常約100または
それ以上の塩基を含み、ラットまたはヒトのFcεRIα鎖
cDNA全体を構成できる。ハイブリッド化スクリーニング
で検出した陽性クローンを次にヒトおよびラットFcεRI
α鎖に対する相同性を分析する。一般に、所与動物種か
らのFcεRIα鎖候補はラットまたはヒトのFcεRIα鎖と
の間に約30%またはそれ以上のアミノ酸相同性を示し、
Shimizuなどがラットまたはヒトについて記載したよう
にFcεRIα鎖は免疫グロブリン様構造を持つであろう。
目的FcεRIα鎖をコードする全長遺伝子のハイブリド
化を確認する検定を行う。FcεRIα鎖をコードするDNA
候補を単純に発現ベクターに挿入し、正常ならば意図す
る患者の目的IgEとは結合しない宿主細胞に形質転換す
る。そこで、意図する患者のIgEに結合する性能を獲得
した形質転換体は目的とするFcεRIα鎖遺伝子を持つ。
例えば、FcεRIα鎖をコードするDNA候補をpSVLベクタ
ーにサブクローニングして形質転換したCOS−7細胞に
より発現し、形質転換体をトリニトロフェニル化赤血球
および意図する患者の動物種から誘導した抗ジニトロフ
ェニル(DNP)モノクローナルIgEと反応させ、続いてMi
llerなどが、Science、244巻:334〜336頁(1989年)に
一般的に記載したようにロゼット形成を検出する。
Shimizuなどはラット全長FcεRIα鎖cDNAを成功裏に
使用してヒトFcεRIα鎖cDNAクローンをヒト肥満細胞cD
NAライブラリーから検出し、分離しているので、ラット
またはヒトのcDNAを使用すれば他の動物種のFcεRIα鎖
をコードするゲノムDNAまたはcDNAをライブラリーを求
めるスクリーニングに高い成功率をもって使用できるこ
とが認識されよう。
もう一つの態様は、標的DNAまたはRNAを増幅する、た
とえばSambrookなど、「Molecular Cloning:A Laborato
ry Manual(分子クローニング:実験室指針)」、Cold
Spring Harbor社(1989年)の14章に記載のあるポリメ
ラーゼ連鎖反応(PCR)(米国特許4683195号、Erlich
編、「PCR Technology(PCR技術)」、1989年)の方策
である。この方法は目的とするFcεRIα鎖をコードする
核酸にハイブリッド化すると期待されるオリゴヌクレオ
チドのプライマーの使用が必要とするが、これらはShim
izuなどが開示したラットまたはヒトのFcεRIα鎖をコ
ードするcDNAから容易に選択される。
もう一つの態様では、FcεRIα鎖蛋白質を目的動物種
の肥満細胞または好塩基球から分離し、α鎖蛋白質を部
分的にまたは完全にアミノ酸配列決定し、アミノ酸配列
の情報を使用して縮重DNAプローブを設計し、プローブ
の集合を合成してゲノムDNAまたはcDNAライブラリーの
目的FcεRIα鎖遺伝子についてのスクリーニングに使用
する。この一般的操作はラットFcεRIα鎖をコードする
cDNAのクローニングに関してShimizuが記載している。
3.遺伝子工学的に処理した細胞の作成 FcεRIα鎖DNAを得た後、これを選択した肥満細胞ま
たは好塩基球細胞宿主内でFcεRIα鎖DNAを発現するこ
とのできるベクターに挿入する。ベクター構築物はFcε
RIα鎖をコードする領域の上流(センス一本鎖上のコー
ド領域の5'方向)に肥満細胞または好塩基球細胞宿主に
とって内因的なRNAポリメラーゼによりFcεRIα鎖DNAの
転写を開始することができるプロモーター配列を含まね
ばならない。要すれば、プロモーター配列はFcεRIα鎖
DNAの転写を強力に推進するものである。発現ベクター
は転写を促進するためのエンハンサーおよび/または転
写終止配列を持つ。好ましくは、宿主細胞をマーカー遺
伝子を含む発現ベクターで形質転換するか、または発現
ベクターとマーカー遺伝子を含むベクターとで共形質転
換して、形質転換体の検出または選択を促進する。好適
な態様では、Gilfillanなど、J.Immunol.、149巻:2445
〜2451頁(1992年)に記載のVIS発現ベクターを使用す
る。
適当な発現ベクターの構築後、肥満細胞または好塩基
球細胞宿主を、たとえば燐酸カルシウム法またはDEAEデ
キストラン沈殿法、電気穿孔法、ウイルス形質導入法、
または微粒子衝突法のような当分野での公知方法いずれ
かによって、ベクターDNAで形質転換し、形質転換体を
選択培地中で生長させて検出し、選別する。
形質転換体肥満細胞または好塩基球を次に、たとえば
前記Millerなどの方法または下記実施例2に記載した方
法を使用して、目的FcεRIα鎖の表面発現について検査
する。目的FcεRIα鎖を発現する肥満細胞候補または好
塩基球宿主候補はアレルゲン誘導IgE/FcεRIα鎖複合体
の交差結合に際して、たとえばヒスタミンのような、薬
理学的伝達物質放出能について検定する。この検定は遺
伝子工学的に処理した肥満細胞候補または好塩基球候補
を前記III(a)(1)に記載した培地中で生長させる
こと、培養した肥満細胞または好塩基球を下記実施例2
に記載する意図する患者の動物種から由来する公知のア
レルゲン特異的IgEを含む血清と接触すること、感作し
た肥満細胞または好塩基球を下記実施例2に記載するア
レルゲンと接触すること、および前記I(e)に記載し
た方法いずれかにより混合物中のヒスタミン放出を測定
することによって行う。
好ましくは、意図する患者のアレルゲン特異的IgEで
前感作してある遺伝子工学的に処理した肥満細胞または
好塩基球はアレルゲンのチャレンジに際して、細胞中全
ヒスタミンの7%より大きい、さらに好ましくは10%よ
り大きい放出をする。許容できる放出能のある遺伝子工
学的に処理した肥満細胞および遺伝子工学的に処理した
好塩基球の潜在的な集合は遺伝子工学的に処理した細胞
を酸化重水素(D2O)の存在下にインキュベーションを
することによって増加する。下記実施例2に示すよう
に、培地中のD2Oの存在はアレルゲン誘導ヒスタミン放
出を強化する。D2Oはインキュベーション培地中の最終
濃度約10%から100%、好ましくは約30%から70%、さ
らに好ましくは約50%から70%で効果的に使用できる。
好適な態様の一つでは、Gilfillanなどが記載したラ
ット肥満細胞系RBL48を本発明の方法で使用する。
b.遺伝子工学的に処理した細胞の検定用調製 遺伝子工学的に処理した肥満細胞は、たとえばCantor
などに付与された米国特許4559310号に記載の肥満細胞
クローニングに使用された組織培養法のような、肥満細
胞培養に適当なことが公知の好都合な方法のいずれかに
よって、本発明の方法で使用するために培養できる。遺
伝子工学的に処理した細胞が全面生長した後、これらを
トリプシン化し、培養培地中に懸濁し、細胞密度約0.2
×106から0.6×106細胞/mL、好ましくは約0.4×106細胞
/mLに希釈する。次に、細胞をマイクロタイタープレー
トのウェル中に約20000から60000細胞/ウェル、好まし
くは約40000細胞/ウェルで接種し、約1日間培養す
る。
好適な態様の一つでは、培養上清液を、たとえば吸引
により、除去し、ウェルに残留する接着細胞を培養培地
で1回またはそれ以上洗浄して遺伝子工学的に処理した
細胞が自然に放出したいかなるヒスタミンの存在をも削
減する。細胞洗浄に続き、培養ウェルに適量の新鮮な培
地または、より好ましくは遺伝子工学的に処理した細胞
による薬理学的伝達物質の放出を強化するように設計し
た塩緩衝液を添加する。インキュベーション培地中のCa
2+の存在がヒスタミン放出に実質的効果を及ぼす(MacG
lashanとBotana、前出)ので、緩衝液がCa2+を含有する
のが好適である。その他に、緩衝液は後記実施例1およ
び実施例2に記載するように、ヒスタミン放出を増加す
るためにMg2+を含有できる。態様の一つでは、緩衝液は
希釈したHBSSであって、最終Ca2+濃度約0.13mMから0.65
mM、好ましくは約0.18mMから0.26mM、および最終Mg2+
度約0.09mMから0.45mM、および好ましくは約0.13mMから
0.18mMを提供する。
遺伝子工学的に処理した好塩基球は、たとえばIshiza
kaなど、前出、の方法のような、好塩基球懸濁細胞培養
に適当なことが公知の好都合な方法のいずれかによっ
て、本発明の方法で使用するために培養できる。好まし
くは、好塩基球懸濁液培養物を約30000から90000細胞/m
L、好ましくは約50000から70000細胞/mLの濃度まで希釈
する。懸濁培養物の希釈は新鮮な培養培地または、より
好ましくは前記のようにヒスタミン放出を強化するよう
に設計した塩緩衝液で実施できる。
好適な態様では、自然に放出したヒスタミンを、遺伝
子工学的に処理した好塩基球を培養培地から、たとえば
遠心分離または濾過などにより、分離し、細胞を新鮮な
培養培地で1回またはそれ以上洗浄することによって、
削減する。洗浄した細胞を次に新鮮な培養培地中に再懸
濁するか、または、より好ましくは、前記のような細胞
による薬理学的伝達物質の放出を促進するのに適当な緩
衝液塩溶液中に再懸濁する。この細胞懸濁液を前記所期
細胞濃度になるよう調整する。
これに加え、遺伝子工学的に処理した細胞のヒスタミ
ン放出性能は懸濁緩衝液または培養上清液中に適当な濃
度のD2O(前記III(a)(3))を添加することにより
増強できる。好適な態様では、遺伝子工学的に処理した
肥満細胞を下記実施例2に記載のように培養する。
c.検定用患者血清の調製 IgEが含まれ、および/または、FcεRI+免疫細胞が欠
落する患者血液のいかなる画分も本方法に従うアレルギ
ー診断での使用に適当である。容易に採取できるので、
患者血清標本は便利な分析用画分である。
d.遺伝子工学的に処理した細胞の感作 患者血清を遺伝子工学的に処理した細胞標本に、IgE
拮抗剤の存在下または不在下に添加して、それぞれ遮断
した反応混合物または反応混合物を形成する。IgE拮抗
剤は混合物に患者血清を添加する前または同時に遺伝子
工学的に処理した細胞標本と混合できる。あるいは、患
者血清はIgE拮抗剤と予め混合し、次に遺伝子的に処理
した細胞標本と混合できる。接着細胞培養物を使用する
態様では、反応混合物および遮断反応混合物は患者血清
をIgE拮抗剤の存在下または不在下に培養上清液と混合
することによって形成できる。懸濁細胞培養を使用する
態様では、反応混合物および遮断反応混合物はIgE拮抗
剤存在下または不在下に患者血清を細胞懸濁液と混合す
ることによって形成できる。
好適な態様ではヘパリンを反応混合物中に約1から10
U/mL、好ましくは約2から6U/mL、さらに好ましくは約3
U/mLの濃度で存在させる。反応混合物中のヘパリン成分
は、患者血清をヘパリン緩衝液にいれたものとして入手
するか調製するのが有利である。あるいは、ヘパリン成
分は反応混合物に使用する細胞培養培地または細胞懸濁
緩衝液中に包含できる。
患者血清/遺伝子工学的に処理した細胞少なくとも2
種を並行して比較する。一方の混合物ではIgE拮抗剤を
使用して患者血清IgEが遺伝子工学的に処理した細胞に
結合するのを遮断する。第二の混合物ではIgE拮抗剤不
在下に患者血清を遺伝子工学的に処理した細胞と接触さ
せる。態様の一つでは、IgEに結合するIgE拮抗剤は患者
血清中のアレルゲン特異的IgEを力価検定をするため
に、患者血清/遺伝子工学的に処理した細胞の混合物中
で一定の濃度範囲で使用する。IgE拮抗剤濃度範囲の効
果の分析は患者のアレルギー症状の重篤度を評価する強
力な手段を提供する。要すれば、アレルゲン特異的IgE
を含有することが判明している血清標本も本方法に従っ
てIgE拮抗剤の存在下または不在下に検査して、各々陰
性および陽性対照を提供する。
反応混合物中で使用する患者血清およびIgE拮抗剤の
濃度はFcεRIα鎖の発現水準および使用する特定の遺伝
子工学的に処理した細胞の細胞濃度、宿主細胞が発現す
るFcεRIα鎖に対する患者IgEの親和性、および患者IgE
および/または宿主細胞が発現するFcεRIα鎖に対する
IgE拮抗剤の親和性に依存する。好ましくは、IgE拮抗剤
は遮断反応混合物中に含有する遺伝子工学的に処理した
細胞と患者IgEとの間の相互作用を減少するに十分な濃
度で存在する。IgE/FcεRIα鎖相互作用の完全な遮断が
所望される時には、遮断反応混合物中に存在するIgEお
よび/またはFcεRIα鎖を飽和するに十分なIgE拮抗剤
濃度で使用するのが望ましい。抗IgEモノクローナル抗
体をIgE拮抗剤として使用し、遺伝子工学的に処理した
細胞の単層を患者血清と最終希釈率約1:100から約1:2ま
で、好ましくは約1:10で接触する時には、患者血清/遺
伝子工学的に処理した細胞混合物中の抗IgEモノクロー
ナル抗体濃度の有用な範囲は約0.5から100μg/mL、好ま
しくは約1から10μg/mL、さらに好ましくは約2から5
μg/mLである。反応混合物中の遺伝子工学的に処理した
細胞濃度、患者血清希釈率、およびIgE拮抗剤濃度につ
いての至適パラメーターは本方法のいずれの態様につい
ても常用的実験によって容易に決定できることが認識さ
れると思われる。
反応混合物および遮断反応混合物はIgEがFcεRI受容
体に結合するのに適する条件下にインキュベーションす
る。好適な条件は下記実施例2に記載するように加湿5
%CO2培養器中、約37℃のインキュベーション約2時間
である。
e.感作した遺伝子工学的に処理した細胞のアレルゲンチ
ャレンジ インキュベーションに続き、反応混合物および遮断反
応混合物を目的アレルゲンでチャレンジする。もし遺伝
子工学的に処理した細胞の接着培養物を使用するなら、
前記III(b)に記載のように、要すれば培養上清液
を、たとえば吸引により、除去し、D2O(アレルゲンチ
ャレンジに際してヒスタミン放出を最大にするため)含
有または不含の塩緩衝溶液に置換する。アレルゲンチャ
レンジは反応容積約50から200μL、好ましくは約100か
ら150μL、中で実行するのが有利である。そこで、感
作細胞の接着細胞培養の場合は、培養上清液を約50から
200μL、好ましくは約100から150μLの前記塩緩衝液
と置換するのが望ましい。遺伝子工学的に処理した細胞
の懸濁液の場合には、約50から200μL、好ましくは約1
00から150μL量の感作細胞懸濁液を使用してアレルゲ
ンチャレンジ用反応容積を提供するのが望ましい。
約0.01μg/mLから100μg/mL、より好ましくは約0.05
μg/mLから15μg/mL、さらに好ましくは約0.1μg/mLか
ら1μg/mLのアレルゲン濃度が本検定における殆どのア
レルゲンと感作した遺伝子工学的に処理した細胞との反
応には適当である。
このアレルゲン反応混合物用インキュベーション条件
はヒスタミン放出を誘導させるように選択する。好適な
態様の下では、反応混合物を、低くとも32℃、さらに好
ましくは低くとも37℃±1℃の温度で、約20から30分間
インキュベーションする。
f.ヒスタミン放出の検定 アレルゲン反応混合物中のヒスタミン放出は、たとえ
ばマイクロタイタープレートを氷上に置くような、好都
合な方法いずれによっても反応容器内温度を鋭く低下す
ることにより停止できる。アレルゲン誘導ヒスタミン放
出測定のために、反応混合物上清液を濾過または遠心分
離によって細胞から分離し、上清液中のヒスタミンを前
記I(e)記載のヒスタミン検出検定法のいずれかによ
り測定できる。細胞中全ヒスタミン測定のためには反応
液中の遺伝子工学的に処理した細胞を、たとえば超音波
処理、Manton−Gaulin圧搾、トリトンX−100のような
界面活性剤での処理、または浸透圧および凍結解凍な
ど、便利な方法いずれかによって破壊し、濾過または遠
心分離により細胞破砕物からヒスタミンを分離し、ヒス
タミンを前記の通りに定量する。
最後に、IgE拮抗剤に起因するヒスタミン放出阻止百
分率を算出する。アレルゲンが誘導するヒスタミン放出
はアレルゲン誘導ヒスタミン値を細胞中全ヒスタミン値
で除算して細胞中全ヒスタミンの百分率として表現で
き、遮断反応混合物および非遮断反応混合物のおのおの
について遮断百分率および非遮断百分率を得る。特定濃
度のIgE拮抗剤で起きる阻止百分率は非遮断百分率から
遮断百分率を減算し、この差を非遮断百分率で除算する
ことにより決定できる。あるいは阻止百分率はIgE拮抗
剤存在下のヒスタミン放出量をIgE拮抗剤不在下のヒス
タミン放出量から減算し、この差をIgE拮抗剤不在下の
ヒスタミン放出量で除算して算出できる。そのIgE拮抗
剤がヒスタミン放出を削減する性能は患者血清中でのア
レルゲン特異的IgEの存在を示し、それ故特定アレルゲ
ンに対するアレルゲン反応を認定する。ヒスタミン放出
削減に必要なIgE拮抗剤の量はアレルギー症状の強度と
重篤度の指標である。
IV.遺伝子工学的に処理した細胞による患者血清中アレ
ルゲン特異的IgE検出用キット 本発明の検査システムはキットの形で供給でき、その
内容は遺伝子工学的に処理した肥満細胞または遺伝子工
学的に処理した好塩基球を含むバイアル、IgE拮抗剤を
含むバイアル、および目的アレルゲンを含むバイアル1
種またはそれ以上から構成される。遺伝子工学的に処理
した肥満細胞または好塩基球は凍結型で好都合に供給で
きるが、この場合は使用前に適当な公知解凍操作による
再生化が必要である。このキットには細胞培養中に遺伝
子工学的に処理した肥満細胞または好塩基球の増殖を支
えることができる必須栄養素、エネルギー源、増殖因子
などを含む培地をいれたバイアルおよび/または前記II
I(b)に記載したように反応混合物中で薬理学的伝達
物質の放出を促進するのに適切な緩衝塩溶液を含むバイ
アルも包含することができる。
要すれば、目的アレルゲンに特異的なIgEを含むバイ
アル1種またはそれ以上を陽性対照として提供する。ア
レルゲン特異的IgE陽性対照は、検査すべき患者と同じ
動物種から由来する。アレルゲン特異的IgE陽性対照は
所定濃度で提供され、アレルゲン特異的IgEを力価測定
するために有用な標準曲線の構築を促進する。
態様の一つでは、このキットには遺伝子工学的に処理
した細胞により放出される薬理学的伝達物質の分析に使
用する試薬を含むバイアルも包含する。
他の態様では、このキットには包装ラベルまたは前記
IIIに記載した方法いずれかでのキットの使用に関する
指示を提供する包装挿入物も包含する。
V.IgE拮抗剤のスクリーニング 本発明はIgE誘導免疫細胞の感化を遮断する薬剤の生
物活性検定法も提供する。本法はアレルギー疾患処置用
治療剤のスクリーニングに使用できる。本法は前記アレ
ルギー診断法またはその他のいずれの目的において使用
するためのIgE拮抗活性をもつ薬剤のスクリーニングに
も使用できる。一般に、本法は前記アレルギー疾患診断
法におけるIgE拮抗剤の代わりに被検薬剤を使用するこ
とに関連する。アレルゲン特異的IgEとFcεRI+免疫細胞
とをその薬剤の存在または不在下に接触することによっ
てアレルゲン特異的IgEとFcεRI受容体との間の相互作
用を遮断する性能についてある薬剤を検定する。アレル
ゲン特異的IgE/FcεRIの相互作用はアレルゲンを添加
し、即時的なヒスタミンまたはその他の薬理学的伝達物
質の放出を測定することによって検定する。その薬理含
有混合物中のヒスタミン濃度の低さはその薬剤のIgE拮
抗作用を示す。
目的アレルゲンに特異的なIgEを含み、およびFcεRI+
免疫細胞を欠落した血清標本はいずれもIgE誘導免疫細
胞感化を遮断する薬剤の活性検定における使用に適当で
ある。適当な血清標本は前記のようにアレルギー性患者
から入手できる。この態様では、ある薬剤は特定の患者
からのアレルゲン特異的IgEを遮断する性能について検
定でき、その特定患者における種々の薬剤の治療効果を
評価するために強力な手段を提供する。たとえば下記実
施例で使用するブタクサ特異的ヒト血漿(RSHP)のよう
な商業的に調製した血漿製品も本発明での使用に好適で
ある。
IgE誘導免疫細胞感化を遮断する薬剤の活性検定にお
いて使用するのに適当なナイーブ提供者血液またはその
他のナイーブ提供者組織標本の画分は前記アレルギー性
疾患診断法について記載したようにして取得し、調製で
きる。
血清標本をその薬剤の存在下または不在下にナイーブ
提供者組織標本に添加してそれぞれ遮断感化混合物また
は感化混合物を形成する。提供者組織として全血または
血液画分を使用する時は、血清および提供者血液を前記
アレルギー性疾患診断法について記載した割合で混合で
きる。
血清/ナイーブ提供者FcεRI+免疫細胞の混合物少な
くとも2種を並行して比較する。一方の混合物では、血
清IgEのナイーブ提供者FcεRI+免疫細胞への結合を遮断
するためにその薬剤を使用する。第二の混合物では、そ
の薬剤の不在下に血清をナイーブ提供者FcεRI+免疫細
胞に接触させて陽性対照を提供する。好適な態様では、
一連の血清/提供者組織混合物を所定濃度範囲でアレル
ギー性疾患の処置におけるその薬剤の効果を評価するた
めに使用し、またはその薬剤のIgE拮抗剤としての活性
を測定するために使用する。被検薬剤がモノクローナル
抗体である時および使用する提供者組織が全血または血
液画分である時、血清/血液提供者混合物中の抗体濃度
の有用な範囲は好ましくは約0.001から10μg/mL、より
好ましくは約0.01から5μg/mL、さらにより好ましくは
くは約0.01から2μg/mLである。
薬剤は、提供者組織混合物に血清を添加する前または
同時に提供者組織と混合できる。あるいは、その血清を
薬剤とあらかじめ混合し、次に提供者組織混合物に添加
できる。
提供者組織/血清混合物はアレルギー性疾患診断法に
ついて前記した条件下にインキュベーションする。
インキュベーションに続いて、感化混合物および遮断
感化混合物の適量を目的アレルゲンでチャレンジする。
アレルゲン反応混合物の適当な量、アレルゲン量および
インキュベーション条件はアレルギー性疾患診断法につ
いて前記した。
アレルゲン反応混合物中に放出されたヒスタミンは前
記アレルギー性疾患診断法について記載した技術いずれ
かにより測定できる。最後に、その薬剤に起因するヒス
タミン放出の阻止百分率を算出する。特定濃度の薬剤に
起因する阻止百分率はその薬剤濃度の存在下に放出され
たヒスタミン量をその薬剤不在下に放出されたヒスタミ
ン量から減算し、その差をその薬剤不在下に放出された
ヒスタミン量で除算して決定する。その薬剤がヒスタミ
ン放出を減少する性能はアレルギー性疾患の処置でのそ
の薬剤の効果および/またはIgE拮抗剤としてのその薬
剤の活性の指標である。ヒスタミン放出を減少するのに
必要なその薬剤の量は抗アレルギー性治療剤および/ま
たはIgE拮抗剤としてのその薬剤の強さの指標である。
これに加えて、本発明は免疫細胞脱顆粒反応を阻止す
る性能についての薬剤のスクリーニング法を提供する。
この方法では薬剤で処置した患者からの免疫細胞または
試験管内でその薬剤とともにプレインキュベーションし
た提供者免疫細胞を、まずIgE拮抗剤の存在下または不
在下にアレルゲン特異的IgEと混合して、次にその混合
物をアレルゲンでチャレンジする。ヒスタミン放出を減
少するIgE拮抗剤の性能は免疫細胞脱顆粒反応を阻止す
るその薬剤の性能の指標であろう。この方法は肥満細胞
および好塩基球の両方における脱顆粒反応を阻止するそ
の薬剤の性能を検査するために使用できる。
本発明の使用に適当なIgE拮抗剤には抗IgE抗体および
その断片、可溶性FcεRI受容体、IgE変異体およびその
断片、FcεRI受容体結合性ペプチド、IgE結合性ペプチ
ド、およびFcεRI+免疫細胞がアレルゲン刺激に応答し
て薬理学的伝達物質単数または複数を放出しないよう
に、IgEとFcεRI受容体との間の相互作用を分裂または
遮断することのできる非蛋白質性低分子を包含する。あ
る化合物をIgE誘導免疫細胞感化を遮断する薬剤の前記
生物活性検定法に従ってIgE拮抗剤としての活性につい
てスクリーニングできる。
拮抗剤候補は免疫細胞ヒスタミン放出誘導不能性につ
いてスクリーニングできる。このような作用はアレルギ
ー性疾患を診断する本発明の方法におけるIgE拮抗剤の
効果を損なう筈である。その上に、ヒスタミン放出を始
動する薬剤の性能は患者でのアレルギーを刺激または悪
化するものと思われ、それ故、抗アレルギー性治療剤の
ためには望ましくない特性である。ある薬剤のヒスタミ
ン放出誘導作用は感化免疫細胞をアレルギー性疾患診断
法について前記したアレルゲンの代わりにその薬剤と混
合することによって検査できる。アレルゲンまたは緩衝
液のみと混合した感化免疫細胞はおのおの陽性対照およ
び陰性対照として役立つ。好適な態様では、下記実施例
に記載したようにヒスタミン放出の誘導について、その
薬剤を検査する。もしその薬剤がヒスタミン放出を誘導
しなければ、すなわち、陰性対照の水準よりも実質的に
高くなければ、その薬剤は本発明での使用が許容でき
る。
VI. IgE拮抗剤の作成 好適な態様の一つでは、抗IgE抗体をIgE拮抗剤として
使用する。この抗IgE抗体は、たとえばIgG、IgA、IgM、
IgD、およびIgEのような、IgEに対して産生されるその
ような抗体のポリクローナルおよびモノクローナル型を
含むいずれの型の免疫グロブリンであることもできる。
IgEに対するポリクローナル抗体は一般に動物へのIgE
およびアジュバントの多回皮下(sc)または腹腔(ip)
注射により産生される。IgEまたはIgEのFc領域からの標
的アミノ酸配列を含む断片を、免疫すべき種において免
疫原である蛋白質、たとえばキーホールリンペットヘモ
シアニン、血清アルブミン、ウシ甲状腺グルブリンまた
は大豆トリプシン阻止剤など、に双官能試薬または誘導
化剤、例えば、マレインイミドベンゾイルスルホサクシ
ンイミドエステル(システイン残基経由複合)、N−ヒ
ドロキシサクシンイミド(リジン残基経由)、グルタル
アルデヒド、コハク酸無水物、SOCl2、またはR1N=C=
NR、ここにRおよびR1は異なるアルキル基である、な
ど、を使用して複合することは有用であろう。
動物は通常は、IgE1mgまたは1μgと完全フロイント
アジバントを結合し、この溶液を多数部位に皮内注射す
ることによって、細胞または免疫原複合体または誘導物
に対して免疫される。1ケ月後、不完全フロイントアジ
ュバント中で元の量の1/5から1/10の複合体を動物の多
数部位に皮下注射してブースト(boost)する。7から1
4日後、動物から採血し、血清を抗IgE力価検定する。力
価がプラトーになるまで動物をブーストする。好ましく
は、動物を同じIgEの複合体であるが、異なる蛋白質へ
の複合体および/または異なる交差結合剤によるもので
ブーストする。複合体は組換え細胞培養物中に蛋白質融
合体として製造できる。また、たとえば明礬のような、
凝集剤を使用して免疫反応を強化する。
モノクローナル抗体は免疫した動物から脾臓細胞を採
取し、その細胞を、たとえば骨髄腫細胞との融合または
エプスタイン−バール(EB)ウイルス形質転換と所期抗
体を発現するクローンのスクリーニングとによるなど、
通常の様式で不死化して調製する。最初にKoehlerとMil
steinがEur.J.Immunol.、6巻:511頁(1976年)に、ま
た、Hammerlingなどが「Monoclonal Antibodies and T
Cell Hybridomas(モノクローナル抗体およびT細胞ハ
イブリドーマ)」、Elsevier、NY中、563〜681頁(1981
年)に記載したハイブリドーマ技術は特異的抗原多数に
対するモノクローナル抗体を高水準で分泌するハイブリ
ッド細胞系の調製に広範に応用されてきた。
ハイブリッド細胞系は試験管内で細胞培養培地内に維
持できる。抗体を生産する細胞系はヒポキサンチン−ア
ミノプテリンチミジン(HAT)培地内の連続細胞系から
なる組成物中で選択し、および/または維持できる。実
際、一旦ハイブリドーマ細胞系が樹立されると、種々の
栄養的に適当な培地上に維持できる。その上、ハイブリ
ッド細胞系は、液体窒素下の凍結および貯蔵を含む、常
法多数のいずれかで貯蔵し、保存できる。凍結した細胞
系は再生し、モノクローナル抗体の合成および分泌の再
開を伴って無限に培養できる。
分泌した抗体は、たとえば沈殿、イオン交換クロマト
グラフィー、親和性クロマトグラフィーのような、常法
によって組織培養上清液から回収する。ここに記載する
抗体もハイブリドーマ細胞培養物から、これまで血漿集
積から免疫グロブリン精製用に使用されてきたIgGまた
はIgMの精製用の常法、たとえばエタノールまたはポリ
エチレングリコール沈降操作など、によって回収する。
精製した抗体は無菌濾過する。
日常的にはマウスのモノクローナル抗体を使用する
が、本発明はこれに限定されるものではない、事実、ヒ
ト抗体も使用できる。このような抗体は、例えば、ヒト
ハイブリドーマの使用(Coteなど、「Monoclonal Antib
odies and Cancer Therapy(モノクローナル抗体および
癌治療)」、Alan R.、Liss、77頁(1985年))によ
り、入手できる。事実、本発明に従えば、動物の抗原結
合性可変ドメインをヒト定常ドメインを結合することに
よるキメラ抗体生産用に開発された技術(Cabillyな
ど、米国特許4816567号、Morrisonなど、Proc.Natl.Aca
d.Sci.、81巻:6851頁(1984年)、Boulianneなど、Natu
re、312巻:643〜646頁(1984年)、Neubergerなど、Nat
ure、312巻:604頁(1984年)、Neubergerなど、Natur
e、314巻:268〜270頁(1985年)、Takedaなど、Natur
e、314巻:452頁(1985年)、欧州特許184187、欧州特許
171496、欧州特許173494、PCT WO86/01533、Shawなど、
J.Nat.Canc.Inst.、80巻:1553〜1559頁(1988年)、Mor
rison、Science、229巻:1202〜1207頁(1985年)、Oiな
ど、BioTechniques、4巻:214頁(1986年))を利用で
き、そのような抗体はこの発明の範囲内である。用語
「キメラ」抗体は、ここでは少なくとも抗体分子の抗原
結合部位を含み、少なくとももう一つの他の蛋白質の一
部に結合している(典型的には免疫グロブリン定常ドメ
イン)ポリペプチドを記載するために使用する。
態様の一つでは、このようなキメラ抗体は齧歯類(ま
たはその他の非ヒト種)配列約三分の一を含み、そこ
で、ヒトで著明な抗グロブリン反応を起こすことができ
る。例えば、ネズミ抗CD3抗体であるOKT3の場合には、
得られる抗グロブリン反応は多くが可変領域に対するも
ので、定常領域に対するものではない(Jaffersなど、T
ransplantation、41巻:572〜578頁(1986年))。
ヒト抗体は、人におけるいずれかの抗グロブリン免疫
反応を軽減または除去するために使用する。実際に、ヒ
ト化抗体は典型的にはヒト抗体であって、そこでは、抗
原結合部位の形成に直接関与している可変ドメイン中の
超可変領域である相補性決定領域(CDRs)からのアミノ
酸残基、およびおそらく可変ドメイン内のいくらか保存
がなされている配列の領域であるフレームワーク領域
(FRs)からのアミノ酸、が齧歯類抗体中の類似部位か
らの残基で置換されている。ヒト化抗体の構築はRiechm
annなど、Nature、332巻:323〜327頁(1988年)、Queen
など、Proc.Natl.Acad.Sci.USA、86巻:10029〜10033頁
(1989年)、Coなど、Proc.Natl.Acad.Sci.USA、88巻:2
869〜2873頁(1991年)、Gormanなど、Proc.Natl.Acad.
Sci.USA、88巻:4181〜4185頁(1991年)、Daughertyな
ど、Nucleic Acids Res.、19巻:2471〜2476頁(1991
年)、Brownなど、Proc.Natl.Acad.Sci.USA、88巻:2663
〜2667頁(1991年)、Junghansなど、Caner Res.、50
巻:1495〜1502頁(1990年)、Fendlyなど、Caner Re
s.、50巻:1550〜1558頁(1990年)、およびPCT出願WO89
/06692およびWO92/22653に記載されている。
場合によっては、齧歯類抗体からのCDRをヒトのフレ
ームワーク領域にあるヒトCDRに置換することは高い抗
原結合親和性の移動に十分(Jonesなど、Nature、321
巻:522〜525頁(1986年)、Verhoeyenなど、Science、2
39巻:1534〜1536頁(1988年))であるが、一方では他
の場合にはさらに1個(Riechmannなど、前出)または
数個(Queenなど、前出)のFR残基を追加的に置換する
ことが必要である。Coなど、前出、も参照。
本発明はトランスジェニック動物の生産でのヒト抗体
の使用も包含する。このシステムでは、目的抗体をコー
ドするDNAを分離し、動物宿主の生殖系に安定的に導入
する。この抗体はその動物により生産され、その動物の
血液または他の体液から収穫する。あるいは、所期抗体
を発現する細胞系を動物宿主から分離して、試験管内で
抗体を生産するために使用し、その抗体を標準法により
細胞培養物から収穫する。
本発明の方法での使用に殊に好適なものは、下記実施
例に記載するヒト化抗IgE抗体E25(rhuMAbE25)であ
る。rhuMAbE25の構築はPrestaなど、J.Immunol.、151
巻:2523〜2632頁(1993年)に開示されている。
抗IgE抗体断片も本発明の方法で使用できる。免疫細
胞または遺伝子工学的に処理した細胞とのIgE相互作用
を遮断または分裂することができる抗IgE抗体の断片は
いずれもここでの使用に適当である。この抗体断片は免
疫細胞または遺伝子工学的に処理した細胞中でのヒスタ
ミン放出を始動することができないことが好ましい。
適当な抗IgE抗体断片は組合せ可変ドメインライブラ
リーを所期抗体断片を発現することのできるDNAについ
てスクリーニングして入手できる。抗体分子の抗原結合
領域の組換えDNA版(F(ab)断片と呼ばれる)を作成
するためのこれら技術は、モノクローナル抗体の作成を
回避するが、この発明の実施の範囲内に包含する。そこ
で抗体特異的メッセンジャーRNA分子を免疫した動物か
ら得た免疫システム細胞から抽出し、これらを相補DNA
(cDNA)中に転写し、そのcDNAを細菌発現系内にクロー
ニングする。この発明の実施に適当なこのような技術の
一例はスクリプス/ストラタジェンの研究者が開発し、
所有するバクテリオファージラムダベクター系に導入す
るものである。このベクター系は発現したF(ab)蛋白
質の細胞質縁辺空隙(細菌の細胞膜と細胞壁との間)へ
の移動を起こすか、分泌させるリーダー配列を含む。抗
原に結合する機能的なF(ab)断片を無数に迅速に発生
させて、スクリーニングできる。このようなIgE結合分
子(IgE蛋白質について特異的なF(ab)断片)もここ
に特定的に定義し、討論し、請求する用語「抗体」の中
に包含する。
本発明の別の態様では、可溶性FcεRI受容体をIgE拮
抗剤として使用できる。ここで使用するために適当な可
溶性FcεRI受容体はFcεRIα鎖の細胞外ドメイン(エキ
ソドメイン)にIgE結合部位を含む分子を包含する。こ
のFcεRIのα鎖は、Blankなど、J.Biol.Chem.、266巻:2
639〜2646頁(1991年)またはQuなど、J.Exp.Med.、167
巻:1195頁の方法に従って、エキソドメインを可溶性蛋
白質として組換え発現システム中に分泌するように遺伝
子的に修飾できる。前記したIgEが誘導する免疫細胞の
感化遮断薬剤の生物活性検定法に従えば、IgE拮抗剤と
しての活性について可溶性FcεRI受容体候補をスクリー
ニングできる。あるいは、IgEと前記遺伝子工学的処理
細胞によるアレルギー診断法での遺伝子工学的に処理し
た細胞との間の相互作用をその可溶性FcεRI受容体候補
がブロックするように使用することによって、IgE拮抗
剤としての活性について可溶性FcεRI受容体候補をスク
リーニングできる。
本発明は抗IgE抗体および可溶性FcεRI受容体に加え
て、IgE結合性ペプチドの使用も包含する。IgEとFcεRI
受容体との間の相互作用を分裂または遮断することので
きるIgE結合性ペプチドはいずれもここでの使用に適当
である。IgE結合性ペプチド候補はIgE誘導免疫細胞の感
化を遮断する薬剤の生物活性を検定する前記方法に従っ
て、IgE拮抗剤としての活性についてスクリーニングで
きる。その他にIgE結合性ペプチド候補は、前記遺伝子
工学的に処理した細胞によるアレルギー診断法のいずれ
かによって、IgEと遺伝子工学的に処理した細胞との間
の相互作用を遮断するためにそのIgE結合性ペプチド候
補を使用すれば、IgE拮抗剤としての活性についてスク
リーニングできる。
このIgE結合性ペプチドは免疫細胞または遺伝子工学
的に処理した細胞中でヒスタミン放出を誘導できないも
のが好ましい。IgE結合性ペプチド候補は前記アレルギ
ー性疾患診断法のいずれかにおいて、感化免疫細胞(ま
たは感化した遺伝子工学的に処理した細胞)と、アレル
ゲンの代わりにそのペプチドとを混合すれば、検査でき
る。アレルゲンまたは単なる緩衝液と混合した感化細胞
はそれぞれ陽性および陰性対照として役立つ。もしIgE
結合性ペプチド候補がヒスタミン放出を誘導しなけれ
ば、すなわち陰性対照の水準よりも実質的に高くなけれ
ば、そのペプチドは本発明の方法での使用について許容
される。
たとえば、前記した抗IgE抗体、その断片、可溶性Fc
εRI受容体、その他の前記IgE結合性ペプチドのようなI
gEに結合することによってIgE/FcεRI受容体相互作用を
妨害するIgE拮抗剤に加えて、本発明はFcεRI受容体へ
の結合についてIgEと競合して、利用可能なFcεRI受容
体を減少させることによってIgE/FcεRI受容体相互作用
を分裂すIgE拮抗剤の使用を包含する。
IgE変異体は本発明の方法での使用に適当なFcεRI受
容体結合競合体の一例である。IgE変異体は、たとえば
単数または複数のアミノ酸置換および/または単数また
は複数のアミノ酸欠失のような変換を持ち、免疫細胞を
感化するこの変換IgE分子の性能が低下または除去され
るもの、およびこの変換IgE分子がFcεRI受容体への結
合についてIgEと競合することができるもの、であるIgE
の形態である。IgE変異体候補は、前記のIgE誘導の免疫
細胞感化を遮断する薬剤の生物活性の検定法に従えば、
IgE拮抗剤としての活性についてスクリーニングでき
る。その他に、IgE変異体候補は、前記遺伝子工学的に
処理した細胞によるアレルギー診断法のいずれかで遺伝
子工学的に処理した細胞とIgEとの間の相互作用を遮断
するためにそのIgE変異体候補を使用することによっ
て、IgE拮抗剤としての活性についてスクリーニングで
きる。
IgE変異体候補は免疫細胞感化活性または遺伝子工学
的に処理した細胞感化活性の不在について、アレルゲン
チャレンジに際してのIgE変異体感化細胞のヒスタミン
放出とIgE感化細胞のヒスタミン放出とを比較すれば検
査できる。もし、IgE変異体候補を含む混合物中のヒス
タミン放出の水準がIgEを含む混合物中のヒスタミン放
出の水準よりも実質的に低ければ、その変異体は本発明
の方法における使用に適当である。
IgE変異体の断片も、ここでの使用に適する。FcεRI
受容体への結合についてIgEと競合することのできるIgE
変異体の断片は本発明の方法で使用できる。IgE変異体
断片候補は前記IgE変異体候補についての方法に従えば
所期の活性について検査できる。
本発明はIgE変異体およびその断片に加えてFcεRI受
容体結合性ペプチドの使用も包含する。IgEとFcεRI受
容体との間の相互作用を分裂または遮断することができ
るFcεRI受容体結合性ペプチドは、いずれもここでの使
用に適当である。FcεRI受容体結合性ペプチド候補はIg
E拮抗剤としての活性について、前記したIgE誘導免疫細
胞感化を遮断する薬剤の生物活性検定法に従って、スク
リーニングできる。その他に、FcεRI結合性ペプチド候
補は前記した遺伝子工学的に処理した細胞によるアレル
ギー診断法のいずれかにおいて、IgEと遺伝子工学的に
処理した細胞との間の相互作用を遮断するためにFcεRI
結合性ペプチド候補を使用すればIgE拮抗剤としての活
性についてスクリーニングできる。
このFcεRI受容体結合性ペプチドは免疫細胞または遺
伝子工学的に処理した細胞中でヒスタミン誘導できない
のが好ましい。FcεRI受容体結合性ペプチド候補は免疫
細胞感化活性(または遺伝子工学的に処理した細胞感化
活性)の欠落について、IgE変異体の免疫細胞(または
遺伝子工学的に処理した細胞)感化活性の検査について
前記したものと同じ方法によって、検査できる。
本発明の実施はペプチドIgE拮抗剤の使用に限定され
ていない。IgE拮抗剤として機能できるいかなる化合物
も、非蛋白質性の低分子化合物も含めて、本発明の方法
における使用について好適である。そのような化合物は
IgE拮抗剤活性について、前記方法でIgE拮抗剤としてそ
の化合物を使用することによって、検査できる。もしそ
の化合物が感化された免疫細胞(または感化された遺伝
子工学的に処理した細胞)中で薬理学的伝達物質単数ま
たは複数の放出を始動できなければ、またアレルゲン刺
激に感応して薬理学的伝達物質単数または複数を放出せ
ずに、IgEと免疫細胞(または遺伝子工学的に処理した
細胞)上の高親和性受容体FcεRIとの間の相互作用を分
裂または遮断することができれば、その化合物にはここ
に定義し、記載し、請求するIgE拮抗剤の一つとしての
資格がある。
本発明のさらなる詳細は下記実施例に見出すことがで
き、本発明の範囲をさらに定義する。ここに引用する文
献はその全体について参考のために明示的に引用するも
のである。
実施例 実施例1 1.材料および方法 a.材料 通常のハイブリドマ技術により製造したモノクローナ
ル抗体をCarterなど、Proc.Natl.Acad.Sci.USA、89巻:4
285〜4289頁(1992年)およびPrestaなど、J.Immunol、
151巻:2623〜2632頁(1993年)によって記載のように、
ヒト化し、分離した。これらには好塩基球上のIgEに結
合してヒスタミン放出を始動する(Prestaなど)ネズミ
抗ヒトIgE MAb(MAE1)、ヒト化抗ヒトIgE MAb(rhuMAb
E25)、ヒト化抗HER2 MAb(rhuMAbHER2)およびヒト化
抗CD18 MAb(rhuMAbCD18)を包含する。ヒトIgE Fc断片
はOrganon Teknika社、West Chester、PAから購入し
た。ブタクサ抗原E−BおよびE−C(ロット番号A−
601−903A−185)はNational Institute of Health、Be
thesda、MDから入手した。チリダニアレルゲン(D.fari
naeおよびD.pteronyssinus 50/50 mix、ロット6691UM)
はMiles社、West Haven、CTからである。ブタクサ特異
的ヒト血漿(RSHP)およびチリダニ特異的ヒト血漿(DM
SHP)はNorth American Biological社、Miami、FLから
入手した。ハンクの平衡塩溶液(HBSS、1X)はGibco BR
L社、Gaithersburg、Mdからである。ウシ血清アルブミ
ン(BSA、第V画分)はSigma社、St.Louis、Moから入手
した。CaCl22H2OおよびMgCl26H2OはBaker Chemical社、
Pittsburgh、NJから入手した分析純級の試薬であった。
b.血液提供者 検定用ヘパリン化全血は一群の非アレルギー性または
アレルギー性個体から入手した。この群は女子17名(非
妊婦)と男子26名とから構成され、年齢22から51才の範
囲で、平均34±7才であった。ボランティアは全例が治
療を受けておらず、事前告知を承認した。
c.ブタクサアレルゲン誘導ヒスタミン放出検定 あらかじめスクリーニングした提供者からの全血(5m
L)をヘパリン管(Becton Dickinson)に採取し、4時
間以内に検定に使用した。血液をHBSS/1%BSAで1:7に希
釈した。希釈血液9部をRSHP1部に添加し、rhuMAbE25標
準(最終濃度0.01から2μg/mL)の存在下または不在下
に加湿5%CO2培養器中、37℃で2時間インキュベーシ
ョンした。インキュベーションの後、標本100μLを緩
衝液(酵素免疫検定キットで提供されたHBSS/1%BSA)5
0μL、ブタクサアレルゲン(PBS/0.01%BSA中、0.3μg
/mL)またはMAE1(PBS/0.01%BSA中、30μg/mL)を含む
丸底96ウェル非組織培養プレート(Costar3797)に移
し、さらに37℃で30分間インキュベーションした。プレ
ートを氷上に移してインキュベーションを停止した。プ
レートを900×gで5分間遠心分離し、上清液を収穫し
てヒスタミンを測定した。各血液標本について、標本50
μLを蒸留水950μLと混合し、続いて凍結と解凍を15
分サイクルで2回行うことにより、細胞中の全ヒスタミ
ンを測定した。標本を900×gで5分間遠心分離し、上
清液を集めた。上清液中のヒスタミン濃度を、製造元の
指示書に従ってヒスタミン酵素免疫検定キット(AMAC
社、Westbrook、ME)により、測定した。略述すれば、
ヒスタミンをアシル化し、マイクロウェル上に被覆した
抗体への結合についてヒスタミンアセチルコリンエステ
ラーゼと競合させた。18時間後、各ウェルを洗浄し、結
合した酵素活性を発色団基質(ジチオニトロ安息香酸ア
セチルコリンエステル)の添加により測定した。405nm
での発色強度を使用して標本中のヒスタミン濃度をキッ
トに添付された標準で得た標準曲線によって計算した。
算出したヒスタミン濃度を次に細胞中全ヒスタミンに対
する百分率に換算した。ブタクサによるヒスタミン放出
を分母としてrhuMAbE25によるブタクサ誘導ヒスタミン
放出の阻止百分率を計算した。様々なrhuMAbE25製品の
生物活性を標準希釈曲線から測定し、そこでブタクサ誘
導ヒスタミン放出の阻止百分率を最小自乗非線形4母数
適合度プログラムを使用してrhuMAbE25濃度に対してプ
ロットした。
d.2価カチオンの研究 全血をCa2+およびMg2+を含まないハンクの平衡塩緩衝
液(HBSS--)にCaCl22H2O、MgCl26H2O、またはCaCl22H2
OプラスMgCl26H2Oを最終濃度0、0.325、0.625、1.25、
2.5、5、および10mMで添加したもので1:7に希釈する以
外は、前記段階cに記載したものと同じ方法でヒスタミ
ン放出検定を実行した。10%RSHPで2時間感化した後、
希釈血液をブタクサアレルゲン(0.1μg/mL)で37℃で3
0分間チャレンジした。上清液中のヒスタミン放出を測
定し、細胞中全ヒスタミンに対する百分率に換算した。
e.酸化重水素(D2O)の研究 検定用血液提供者のスクリーニングにあたり、酸化重
水素の効果を測定した。非アレルギー性提供者17名から
のヘパリン化全血を10%RSHPで前記検定の構成における
ように感化し、次にPBS/0.01%BSAか、または酸化重水
素(最終濃度33.3%)かの中で調製したブタクサアレル
ゲンでチャレンジした。30分間インキュベーション後の
上清液中のヒスタミン放出を定量し、細胞中全ヒスタミ
ンに対する百分率に換算した。
f.チリダニアレルゲン誘導ヒスタミン放出検定 非アレルギー性提供者全血をハンクス緩衝液で1:7に
希釈し、rhuMAbE25(1μg/mL)の存在下または不在下
に、チリダニにアレルギー性個体から採取した血漿(最
終濃度10%)7個とともに個々に2時間プレインキュベ
ーションし、次に前記段階cに記載した操作に従ってチ
リダニアレルゲンでチャレンジした。上清液中のヒスタ
ミン濃度を定量した。
2.結果 a. rhuMAbE25のヒスタミン放出始動不能性 最初の研究はrhuMAbE25はRSHP感化好塩基球に結合せ
ず、抗原刺激不在下にはヒスタミン放出を始動しないこ
とを確認するために実行した。提供者12名からの全血標
本を10%RSHPで前感化し、ブタクサアレルゲン0.1μg/m
L、MAE1(Prestaなどが記載したように、好塩基球表面
上のIgEに結合でき、ヒスタミン放出を始動できるネズ
ミMAb)10μg/mL、10μg/mLのrhuMAbE25、またはHBSS/1
%BSAでチャレンジした。インキュベーションの後、上
清液中のヒスタミン濃度を定量した。ブタクサアレルゲ
ンとMAE1との両方はヒスタミン放出を起こした。しかし
ながら、rhuMAbE25は背景水準以上にはヒスタミン放出
を誘導しなかった(図1)。
b.RSHPによる好塩基球感化 好塩基球を最高度に感化するために、ブタクサに対し
てアレルギー性であることが判明している個体から採取
したヒト血漿標本7個をヒスタミン放出誘導性能につい
てスクリーニングした。RSHPロット番号42−365054(全
IgE1.64μg/mL)はブタクサアレルゲンでチャレンジ
後、常に最高のヒスタミン放出を示した(図2)。そこ
で、RSHP(ロット42−365054)をその後の検定全てで好
塩基球を感化するために使用した。図3に示すように、
全血中の好塩基球のブタクサ特異的IgEを含む外因性ヒ
ト血漿(RSHP)による前感化は、後続するブタクサアレ
ルゲンによるチャレンジに際しての、ヒスタミン放出の
ための必要条件の一つであった。RSHP不在下には、背景
水準のヒスタミンが検出されたが、一方RSHP存在下には
用量依存性のヒスタミン放出が観察された。
c.提供者スクリーニング 非アレルギー性ボランティアを検定で提供者として使
用する前にプレスクリーニングした。スクリーニング実
験計画はrhuMAbE25(10μg/mL)の存在下および不在下
に提供者全血を10%RSHPで2時間37℃で前感化するこ
と、続いてブタクサアレルゲン(0.1μg/mL)でチャレ
ンジすることを包含していた。細胞中全ヒスタミンの10
%以上を放出した好塩基球を持つ提供者を後の研究用に
選択した。図4に示すように、ある提供者からの血球は
ブタクサでのチャレンジに際してヒスタミンを放出せ
ず、逆に、他の提供者からの血球ではアレルゲンでのチ
ャレンジなしにヒスタミンを放出することを見出した。
ボランティア43名中、12名が本検定のこの態様における
日常的使用に適切な「応答者」であった。
d.ヒスタミン放出の機序 RSHP感化全血からのブタクサ誘導ヒスタミン放出は迅
速で、インキュベーション20〜30分後にはプラトーに達
する(図5)。これらの結果に基づき37℃で30分間のイ
ンキュベーションを検定の至適条件として確定した。も
し、常温でインキュベーションすると、ヒスタミン放出
は顕著に減少した。
e.特異性 RSHP感化全血とrhuMAbE25に対して相補性決定領域(C
DR)では異なるが全相同性は約95%を示す他のヒト化モ
ノクローナル抗体とのプレインキュベーションは次の表
Iに示すようにブタクサアレルゲンにより起こされるヒ
スタミン放出には阻止効果を及ぼさなかった。これに加
えて、ヒトIgG Fc断片もブタクサ誘導ヒスタミン放出に
は阻止効果を示さなかった。
f.変動 検定間変動を測定するため、提供者12名からの血液を
使用して全部で23回の検定を行った。これらの検定から
の結果を次の表IIに表示する。
0.1、0.5および1μg/mLのrhuMAbE25によるブタクタ
誘導ヒスタミン放出阻止百分率の平均はそれぞれ22.5%
±7.8%、78.3%±13.3%、93.9%±5.8%であった。0.
5μg/mLのrhuMAbE25によるヒスタミン放出阻止百分率か
ら算出した検定間変動(%CV)は17%(n=23)であっ
た。8週間の期間にわたる提供者内変動はさらに小さ
く、平均9.05%(n=7)であった。
g.2価カチオン ヒスタミン放出がインキュベーション培地中のCa2+
よって影響されることはよく確立されている(Lichenst
einとOsler、J.Exp.Med.、120巻:507〜530頁(1964
年)、HaydikとMa、Clin.Rev.Allergy、6巻:141〜162
頁(1988年)、MacGlashanとBotana、J.Immunol.、150
巻:980〜991頁(1993年))。従って、前記検定法でのC
a2+およびMg2+の効果を測定した。全血をCa2+とMg2+
が欠落したハンク平衡塩緩衝液(HBSS--)で希釈した
時、Ca2+とMg2+とを含有するハンク平衡塩緩衝液での希
釈と比べてヒスタミン放出能にかなりの減少があった
(図6)。CaCl22H2OおよびMgCl26H2Oを等濃度でHBSS--
に添加すると、ヒスタミン放出が再生した。MgCl26H2O
のみを添加すると放出は部分的に再生したが、CaCl22H2
Oの添加ではヒスタミン放出能は完全に再生された(図
7)。
h.遮断抗体とのプレインキュベーションによるヒスタミ
ン放出の阻止 ブタクサ特異的血清を0.5または1μg/mLのrhuMAbE25
とともにプレインキュベーションすると、後続するブタ
クサチャレンジによる刺激でのヒスタミン放出をかなり
阻止した(図5)。rhuMAbE25濃度に対してブタクサ誘
導ヒスタミン放出阻止百分率をプロットするとrhuMAbE2
5の阻止効果は最も良く示される。典型的rhuMAbE25標準
曲線を図8に示す。ブタクサ誘導ヒスタミン放出の阻止
は用量依存的であり、1μg/mL以上のrhuMAbE25により
しばしば到達される。rhuMAbE25について至適検定範囲
は約0.1から約1μg/mLまでで、平均IC50は0.255±0.07
9μg/mL(n=15)であった。この検定の構成を修正す
れば、容易に他種アレルゲンが起こすヒスタミン放出遮
断に及ぼすrhuMAbE25の効果を決定できる。一例を図9
に示す。非アレルギー性提供者の全血をrhuMAbE25(1
μg/mL)の存在下または不在下にチリダニにアレルギー
性の個体からの10%血漿で2時間37℃で個別に感化し
た。次に、血球をチリダニアレルゲン(100ng/mL)を添
加してさらに30分間チャレンジした。上清液中のヒスタ
ミン放出を測定した。患者B、C、F、およびGではチ
リダニ誘導ヒスタミン放出は1μg/mLのrhuMAbE25で阻
止されることが観察された。患者A、DおよびEではチ
リダニアレルゲンでのチャレンジ後のヒスタミン放出に
は背景以上の顕著な上昇はなかった。もし10%ではな
く、50%のチリダニ特異的ヒト血漿を使用して好塩基球
を感化したら、チリダニ誘導ヒスタミン放出を完全な遮
断には高濃度のrhuMAbE25が必要であった。そこで、こ
の検定の構成はあるアレルゲンに対して特異的なIgEの
存在ならびに抗IgE抗体がアレルゲンが起こす反応を遮
断する性能の両方を証明するために有用である。
i.酸化重水素の研究 酸化重水素が白血球からのヒスタミン放出を強化する
との報告がある(GillespieとLichtenstein、J.Clin.In
vest.、51巻:2941〜2947頁(1972年))。それ故、ブタ
クサ誘導ヒスタミン放出における酸化重水素の効果を決
定した。D2O単独ではヒスタミン放出を始動しなかっ
た。次の表IIIに示すように、インキュベーション媒体
にD2Oを添加(最終濃度33%)すると、ブタクサ誘導ヒ
スタミン放出を顕著に強化する。無作為に選択した非ア
レルギー性提供者17名の中で、提供者15名(88%)はこ
の検定の構成ではブタクサアレルゲンによるチャレンジ
に際して血球中全ヒスタミンの20%より大きいヒスタミ
ン放出を示した。ヒスタミン放出の増加は平均6.3倍ほ
どであった。
実施例2 1.材料および方法 a.材料 通常のハイブリドーマ技術により生産したモノクロー
ナル抗体をCarterなど、Proc.Natl.Acad.Sci.、89巻:42
85〜4289頁(1992年)およびPrestaなど、J.Immunol.、
5巻:2623〜2632頁(1993年)に記載のようにヒト化し
て、分離した。これらにはヒト化抗ヒトIgE MAb(rhuMA
bE25)(Prestaなどは「変異体12」として記載してい
る)、ヒト化抗HER2 MAb(rhuMAbHER2)、ヒト化抗CD18
MAb(rhuMAbCD18)、およびヒト化抗ICAM MAb(rhuMAb
ICAM)を包含する。ヤギ抗ヒトIgE(ε)HRP複合体はKi
rkegaard & Perry Laboratories社、Gaithersburg、MD
から購入した。組換えヒト神経生長因子(rhuNGF)、腫
瘍壊死因子(rhuTNF)、およびガンマ−インターフェロ
ン(rhuIFN−ガンマ)はGenetech社(South San Franci
sco、CA)が生成し、クローニングし、配列決定をし
た。ブタクサ抗原E−BおよびE−C(ロットA−601
−903A−185)はNational Institute of Health、Bethe
sda、MDから入手した。標準化ダニアレルゲン(D.farin
ae)(カタログ#6720UP、ロット#E53L3533)およびハ
ウスダスト混合アレルゲン(カタログ#4701ED、ロット
#C63J8308)はMiles社、Elkhart、INから購入した。標
準化ネコ毛皮アレルゲン(ロット#3E00202)およびAlt
ernaria tenuis(ロット#3J17242)アレルゲンはCente
r Laboratories社、Port Washington、NYから入手し
た。ヒト血漿はNorth American Biological社、Miami、
FLから入手した。ハンク平衡塩溶液(HBSS、1X)および
グルタミンはGibco BRL社、Gaithersburg、MD)から購
入した。ウシ血清アルブミン(BSA、第V画分)、o−
フェニレンジアミン二塩酸塩(OPD)基質およびトリト
ンX−100はSigma社、St.Louis、MOから購入した。ウシ
胎児血清はHyclone社、Logan、ユタから購入した。酸化
重水素(D2O、純度99.996%)はAldrich Chem.社、Milw
aukee、WIから入手した。
b.血液提供者 ヘパリン化全血を一群の健康な非アレルギー性または
アレルギー性個体から採集し、ヒト好塩基球ヒスタミン
検定(HBHA)のために使用する前にプレスクリーニング
した。スクリーニングのプロトコールは提供者全血をrh
uMAbE25(10μg/mL)の存在下または不在下に10%RSHP
による37℃で2時間の前感化とそれに続くブタクサアレ
ルゲン(0.1μg/mL)によるチャレンジを包含してい
た。血球中全ヒスタミンの10%以上を放出した好塩基球
を持つ提供者をその後の研究用に選択した。これらボラ
ンティアは治療を受けておらず、全例が事前告知を承認
した。
c.ヒト好塩基球ヒスタミン検定(HBHA) ヘパリン化全血をHBSS/1%BSAで1/7に希釈し、10%
(v/v)アレルゲン感化ヒト血漿(たとえば、ブタクサ
特異的ヒト血漿(RSHP))と混合した。混合物をrhuMAb
E25(PBS/0.01%BSA中で製造)の存在下または不在下に
加湿5%CO2培養器中、37℃で2時間インキュベーショ
ンした。インキュベーション後、標本を緩衝液(HBSS/1
%BSAまたは50%D2O/0.8%NaCl/1.3mM−CaCl2)または
アレルゲン(PBS/0.01%BSAまたは50%D2O/0.8%NaCl/
1.3mM−CaCl2中、0.3μg/mL)を含む96ウェルプレート
(Costar#3797)に移動し、さらに37℃で30分間インキ
ュベーションした。プレートを4℃で5分間900×gで
遠心分離し、上清液を収穫し、ヒスタミン測定をした。
各血液標本について、全血50μLを蒸留水950μLと混
合し、続いて凍結と解凍を15分間サイクルで行うことに
よって、血球中全ヒスタミンを測定した。上清液中のヒ
スタミン濃度をヒスタミン酵素免疫検定キット(AMAC
社、Westbrook、ME)で測定した。
d.細胞培養 RBL48ラット肥満細胞系はGilfillanなど、前出、によ
って記載されたようにして入手した。RBL48細胞系はラ
ット親肥満細胞系RBL2H3をヒト高親和性IgE受容体FcεR
Iのα−サブユニットで形質転換して誘導した(Gilfill
anなど)。細胞を加湿5%CO2孵卵器中、37℃でT175組
織培養フラスコ(Falcon#3028)に入れたsIMDM(10%
ウシ胎児血清、2mM−グルタミン、および活性ゲネチシ
ン(Gibco BRL#11811−031)500μg/mL添加Iscove修正
ダルベッコ培地)中で増殖させた。細胞をPBS4mL/0.05
%トリプシン/0.53mM−EDTA(Gibco BRL#15400−013)
に37℃で2分間接触し、その後、遠心分離(400×g、1
0分間)し、新鮮なsIMDM中に再懸濁して収穫した。全面
生長が達成された後、細胞を1:5比で至適に分離した。
e.ヒト血漿IgE結合ELISA検定 ウェル当り40000細胞で接種したRBL48細胞を加湿培養
器中で、一夜37℃/5%CO2で培養した。プレート洗浄器
でPBS/0.05%トゥイーン20で3回洗浄後、細胞を常温で
ウェル当り無水アルコール200μLで2分間固定し、続
いて残留アルコール除去のため6回洗浄した。rhuMAbE2
5(最終濃度10μg/mL)存在下または不在下に10%RSHP
を含むsIMDMを細胞と37℃で1時間インキュベーション
した。インキュベーション後、細胞をPBS/0.05%トゥイ
ーン20で6回洗浄した。捕捉したIgEを次にヤギ抗ヒトI
gEHRPと37℃で30分間反応し、続いて常温で30分間OPD基
質とともにインキュベーションした。6N−H2SO4100μL/
ウェルの添加によって反応を停止した。492nmでの吸光
度を測定した。
f.ラット肥満細胞ヒスタミン検定(RMCHA) RBL48細胞を全面生長まで増殖させ、次に前記dに記
載したようにトリプシン処理した。懸濁液中の細胞をヘ
マサイトメーター(hemacytometer、Reichert−Jung
社、Buffalo、NY)で計数し、密度を0.4×106細胞/mLに
調整した。細胞を次に96ウェルU字型プレート(Linbro
#76−042−05)中に100μL/ウェル(ウェル当り40000
細胞)で接種し、加湿5%CO2培養器中37℃で24時間培
養した。sIMDM200μL/ウェルで1回洗浄後、細胞をヘパ
リンナトリウム(Becton Dickinson#367673)3U/mLお
よび10%(v/v)アレルゲン特異的IgE含有アレルゲン感
化ヒト血漿を包含する新鮮sIMDM100μL/ウェルととも
に、rhuMAbE25標準の存在(最終濃度範囲0.078から10μ
g/mL)または不在下に、37℃で2時間プレインキュベー
ションした。インキュベーション後、ウェル中の培養培
地を吸引して除去し、接着細胞をsIMDMで3回洗浄し
た。細胞を次にヒスタミン放出緩衝液(HRB)(50%D2O
/0.8%NaCl/1.3mM−CaCl2/sIMDM)100μL/ウェル、アレ
ルゲン(HRB中、0.1μg/mL)、または0.5%トリトン溶
液(全ヒスタミン放出用)とともに37℃で30分間インキ
ュベーションした。プレートを4℃で5分間、900×g
で遠心分離し、上清液を収穫し、全ヒスタミン放出用に
はPBSで1000倍に希釈し、アレルゲン誘導ヒスタミン放
出用には80倍に希釈した。上清液中のヒスタミン濃度は
前記cにHBHA検定について記載したようにして測定し
た。
g.RMCHAとHBHAとの相関性研究 rhuMAbE25標本15個(−70℃、2〜8℃、25℃、およ
び40℃で1から18ケ月貯蔵)をHBHAおよびRMCHAの両方
でブタクサ誘導ヒスタミン放出阻止能について並行検査
した。濃度2段階(RMCHAには0.625および1.25μg/mL、
HBHAには0.25および0.5μg/mL)の各標本を前記cおよ
びfに記載した検定に使用した。標本の蛋白質濃度はrh
uMAbE25標準曲線から決定した。標本の回収濃度(希釈
率係数で補正後)を算出した。
別の研究で、ダニ(D.farinae)、ハウスダスト混合
物、ブタクサ、ネコ毛皮、およびAlternaria tenuisを
包含するアレルゲン5種のパネル(50%グリセリン中で
調製)を使用してヒト血漿8種のパネル(North Americ
an biological社、Miami、FLからのアレルギー性個体の
血漿7種およびGenentech社、South S.F.、CAからの貯
蔵血漿標本1種)をRMCHAおよびHBHAの両方でスクリー
ニングした。RBL48ラット肥満細胞およびナイーブ提供
者血液好塩基球を最初にrhuMAbE25(1μg/mL、RMCHAに
はsIMDM/ヘパリンナトリウム3U/mLで、およびHBHAにはP
BS/0.01%BSA中で調製)の存在下または不在下に10%
(v/v)ヒト血漿で2時間37℃で感化し、次に緩衝液(H
BHA用には33%D2O/0.8%NaCl/1.3mM−CaCl2、RMCHAには
33%D2O/0.8%NaCl/1.3mM−CaCl2/sIMDM)または33%D2
O含有緩衝液中アレルゲン(333.3AU/mL=33.33BAU/mL=
100PNU/mL=1μg/mLと仮定して最終濃度0.1μg/mL)の
単回投与でチャレンジした。上清液中のヒスタミン濃度
を前記のように測定した。
h.データ分析 ヒスタミン濃度はヒスタミン標準曲線から「Read」コ
ンピュータープログラムを使用して決定した。阻止百分
率はMicroSoft Exel 4.0プログラムにより算出した。グ
ラフはKaleidaGraph3.0プログラムを使用して抽出し
た。統計はStatView4.0プログラムで分析した。
2.結果 a.IgEのRBL48細胞への結合 IgEのRBL48細胞への結合はアルコール固定RBL48単層
を使用してRSHP中のヒトIgE(全IgEは1.64μg/mLで測
定)がRBL48細胞表面に発現したFcεRI受容体のα−サ
ブユニットに結合できるかどうか決定するためにIgE結
合ELISAによって評価した。図10はRSHPに存在するIgEが
実際にRBL48細胞のFcεRI受容体に結合することを証明
する。これに加え、遮断抗IgEモノクローナル抗体、rhu
MAbE25、の添加がこの結合を完全に破壊するので、この
結合はIgEに特異的である。
b.RMCHAの特異性 RMCHAを行って(表IV)、rhuMAbE25が、たとえば抗HE
R2、抗CD18、および抗ICAMのような、他の組換えヒトモ
ノクローナル抗体および、たとえばIFN−γ、TNF、およ
びNGFのような、組換えヒトサイトカインと同様に、単
独でRBL48細胞に適用した時には、肥満細胞に脱顆粒反
応を誘導しないことを証明した。RBL48細胞を4000細胞
/ウェルで接種し、5%CO2培養器中、37℃で一夜培養
した。細胞をsIMDM/50%D2O、rhuMAbE25(10μg/mL)、
rhuMAbHER2(10μg/mL)、rhuMAbCD18(10μg/mL)、rh
uMAbICAM(10μg/mL)、rhuIFN−γ(10μg/mL)、rhuT
NF(10μg/mL)、またはrhuNGF(10μg/mL)とともに10
%(v/v)RSHPの存在下に37℃で2時間プレインキュベ
ーションした。sIMDMで3回洗浄した後、細胞を50%D2O
の存在下にブタクサアレルゲン0.1μg/mLで30分間37℃
でチャレンジした。これに加え、RSHP感化細胞を直接に
rhuMAbE25(10μg/mL)、rhuMAbHER2(10μg/mL)、rhu
MAbCD18(10μg/mL)、rhuMAbICAM(10μg/mL)、rhuIN
F−γ(10μg/mL)、rhuTNF(10μg/mL)、またはrhnNG
F(10μg/mL)単独で37℃で30分間チャレンジした。下
記表IVに示す値はそれぞれ測定3回の平均を代表する。
標本を前記抗体およびサイトカイン10μg/mLとともに
プレインキュベーションした時には、ヒスタミン放出は
観察されなかった。その上、ブタクサ特異的ヒト血漿を
10μg/mLのrhuMAbE25とともにプレインキュベーション
すると50%D2O存在下のブタクサ0.1μg/mL誘導ヒスタミ
ン放出を完全に破壊した。
c.温度およびカルシウムの効果 RMCHAでは、ブタクサにより誘導されるヒスタミン放
出はブタクサ濃度、温度およびカルシウムイオンに依存
性である(図11)。ブタクサチャレンジ段階を50%D2O
の存在下または不在下に37℃でインキュベーションした
時には、約0.1μg/mLで極大放出に達する鐘型用量依存
性ヒスタミン放出曲線が観察された。ブタクサによって
起きるヒスタミン放出は、もしも2.5mM−EDTAの存在下
または常温でインキュベーションすれば、減弱または破
壊された。
d.ヒスタミン放出の時間的経過 図12に示すデータは37℃でのブタクサ誘導ヒスタミン
放出は時間依存性であって、インキュベーション30分間
で極大に達することを証明する。インキュベーション時
間を45分間または60分間まで延長すると、上清液中のヒ
スタミン濃度は細胞中全ヒスタミンの36%から16%まで
に鋭く低下した。これに加えて、ブタクサ特異的血漿を
0.5または1μg/mLのrhuMAbE25とともにプレンインキュ
ベーションすると、ブタクサアレルゲンによるヒスタミ
ン放出が阻止された。rhuMAbE25の生物学的活性を定量
するための典型的な標準曲線を図13に示す。rhuMAbE25
によるブタクサ誘導ヒスタミン放出阻止はIC50平均1.19
±0.31μg/mL(n=25)である。
e.RMCHAとHBHAとの相関 rhuMAbE25標本15個の活性を評価すると、RMCHAとHBHA
との間には相関係数0.93(n=59、p<0.0001)と、良
い相関が証明された(図14)。
これに加えて、rhuMAbE25の存在または不在下のヒト
血漿8種おのおのからのIgEで前感化したナイーブ提供
者血液好塩基球およびRBL48肥満細胞の双方をチャレン
ジするためにアレルゲン5種のパネルを使用した。RMCH
A用の各血漿標本4種の代表的な棒グラフを図15に示
す。細胞を血漿標本1(P1)で感化した時、ダニ(D.fa
rinae)およびブタクサアレルゲンが起こすヒスタミン
放出のみが明確にベースライン(33%D2O/0.8%NaCl/1.
3mM−CaCl2/sIMDM(HRB))より高いヒスタミン放出を
起こした。しかしながら、ダニ(D.farinae)、ハウス
ダスト、ブタクサ、ネコ毛皮、およびAlternaria tenui
sアレルゲンで誘導された時には第二の血漿標本(P2)
とのプレインキュベーションは明確なヒスタミン放出を
起こした。同様に、第三の血漿標本(P3)はダニ(D.fa
rinae)、ハウスダスト、ブタクサ、およびネコ毛皮で
誘導した時は、明確なヒスタミン放出を起こした。これ
と対照的に、細胞を第四の血漿標本(P4)でプレンイン
キュベーションした時は、これらアレルゲン5種はどれ
も明確なヒスタミン放出を刺激しなかった。これら全て
の場合、このアレルゲン誘導ヒスタミン放出は1μg/mL
のrhuMAbE25で遮断できた。血漿標本全8種について行
った血液および細胞検定から得られたヒスタミン放出デ
ータを単純回帰統計学によって分析した。下記表Vはハ
ウスダストアレルゲン(r=0.84、p=0.0013、N=1
1)、ブタクサアレルゲン(r=0.86、p=0.0133、N
=7)、ネコ毛皮アレルゲン(r=0.67、p=0.0165、
N=12)、および全アレルゲン(r=0.69、p=0.000
1、N=37)での検定2種の相関を示す。
f.酸化重水素(D2O)の効果 もしあるなら、HBHAシステムにおける33%D2Oの効果
を研究するために、33%D2Oの存在下または不在下のブ
タクサ誘導ヒスタミン放出の比較研究を行った。無作為
に選択した健康な提供者計27名を研究に採用した。提供
者のヘパリン化全血を10%RSHPで2時間37℃で前感化し
た後、ブタクサアレルゲン0.1μg/mL(最終濃度)でさ
らに30分間33%D2Oの存在下または不在下にチャレンジ
した。上清液に放出されたヒスタミン濃度を細胞中全ヒ
スタミンに対する百分率に換算した。回帰分析はブタク
サ誘導ヒスタミン放出とブタクサ/33%D2O誘導ヒスタミ
ン放出との間に線形の相関(r=0.80、勾配=1.04、p
=0.0001)を示した(図16)。データは33%D2O存在下
でのヒスタミン放出強化の特性はD2O不在下のブタクサ
チャレンジに比例し、同等であることを示す。
RMCHAに及ぼすD2Oの効果も検討した。D2OはRBL48細胞
中のヒスタミン放出を用量依存的な様式で強化し、50%
D2Oで最大放出に至ることが判明した(図17)。しかし
ながら、D2Oはそれ自体ではヒスタミン放出を刺激せ
ず、また、RBL48細胞によるヒスタミン放出を阻止するr
huMAbE25を妨害することもない。
これらの検定で使用する試薬のpHに及ぼすD2Oの効果
を研究して、D2Oに起因するヒスタミン放出強化がpHの
変化によるものではないことを決定した。HBHAで使用し
た種々の試薬(HBSS、HBSS+1%BSA、HBSS+1%BSA+
血液+10%RSHP、HBSS+1%BSA+血液+10%RSHP+33
%D2O、血液、および100%RSHP)およびRMCHAで使用し
た種々の試薬(sIMDM、sIMDM+ヘパリンナトリウム3U/m
L、およびsIMDM+33%D2O)(2mL)のpHを常温または37
℃で1時間インキュベーション後に分析した。下記表VI
に示す各pH値は測定各3回の平均値を示す。予期通り、
試薬のpHは常温と比較して37℃ではpH7.20±0.01から7.
34±0.01へと僅かに酸性になった。33%D2Oは血液試薬
(37℃で)の僅かなアルカリ性化を起こしたが、全血の
pH(pH7.35±0.01)またはRMCHA試薬のpHには有意な変
化を起こさなかった。
3.討論 ヒトFcεRI受容体のαサブユュニットを形質転換した
ラットの肥満細胞系(RBL48)を使用してアレルゲン誘
導ヒスタミン放出およびrhuMAbE25活性を定量する生物
検定法を開発した。この検定ではこれら細胞表面に発現
したFcεRI受容体に結合するアレルゲン特異的IgEを含
むヒト血漿でRBL48細胞を感化した(図10)。それに続
くブタクサアレルゲンによるチャレンジはヒスタミン放
出を起こし(図11)、これは抗IgEモノクローナル抗体
(rhuMAbE25)により用量依存的様式で阻止された(図1
3)。rhuMAbE25は、いずれのアレルゲン誘導ヒスタミン
放出をも阻止できるので、この検定の構成はアレルゲン
全てに適用できる。この検定を修正してアレルゲンのパ
ネルを使用すれば、ヒト血漿をスクリーニングしてIgE
媒介アレルギー性疾患の症状診断ができる(図15)。
RMCHA開発のために、ヒスタミン放出に及ぼすD2Oの効
果を注意深く研究した。図17に示すように、RBL48細胞
を高濃度(100%まで)D2Oでチャレンジしてもヒスタミ
ン放出は観察されなかった。図16のデータはブタクサと
ブタクサ/33%D2Oとで誘導されるヒスタミン放出の間に
統計学的にかなり有意な相関関係(r=0.80、n=27、
p=0.0001)が証明されて、D2Oが血液の好塩基球中に
比例的なヒスタミン放出を促進することが示された。33
%D2Oの存在はHBHA試薬もRMCHA試薬もいずれも生理学的
pHには顕著な効果を及ぼさないと思われる(表VI)。
RMCHAの構成はrhuMAbE25またはその他のIgE拮抗剤が
種々のアレルゲンが誘導するヒスタミン放出を阻止する
効果を測定するために図15に示すように容易に修正しう
る。ベースライン(HRB)より高いヒスタミン放出は血
漿中のアレルゲン特異的IgEの存在の指標である。ここ
で得られたデータは、アレルゲン2種がベースラインよ
り有意に高いヒスタミン放出を刺激するので、血漿標本
1(P1)はダニ(D.farinae)、およびブタクサに特異
的なIgEを含むことを指摘する。同様に、血漿標本2(P
2)はダニ(D.farinae)、ハウスダスト混合物、ブタク
サ、ネコ毛皮、およびAlter naria tenuisに特異的なIg
Eを含み、血漿標本3(P3)はダニ(D.farinae)、ハウ
スダスト混合物、ブタクサ、およびネコ毛皮に特異的な
IgEを含み、血漿標本4(P4)はこれらアレルゲン5種
のいずれにも特異的なIgEを含まないことを示す。同様
なヒスタミン放出プロファイルはHBHAでの血液好塩基球
をチャレンジするためにこれらアレルゲンを使用した時
にも得られた。ヒト化抗IgEモノクローナル抗体15種の
生物学的活性を評価するについて(図14)、および種々
のアレルゲンにより誘導されるヒスタミン放出について
(表VI)RMCHAはHBHAと良く相関するので、これをIgE媒
介アレルギー診断に新しい手段として使用できる。
数々の研究がIgE水準はアレルギー性疾患に相関する
ことを明確に立証しているので(Bahna、Ann.Allergy、
62巻:471〜475頁(1989年)、Masciaなど、Ann.Allerg
y、62巻:311〜318頁(1989年)、Platts−Mills、Am.Re
v.Respir.Dis.、145巻:S44〜S47頁(1992年))、このR
MCHAはIgE媒介経路を研究し、開発するため、ならびにI
gEのFcεRIへの結合の遮断を指向する免疫治療法の効果
推測を予想するため、に使用できる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 ジャルデュー、ポーラ アメリカ合衆国カリフォルニア94708、 バークレイ、ヒルデイル・アベニュー 854番 (56)参考文献 特開 平7−72150(JP,A) 特開 昭63−111466(JP,A) 実表 平8−500437(JP,U) 実表 平6−507494(JP,U) 欧州特許出願公開499112(EP,A 1) 国際公開93/11437(WO,A1) Proc.Natl.Acad.Sc i.USA,1989年12月,86,9465− 9469 (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) G01N 33/53

Claims (36)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】患者におけるアレルギー性疾患の診断法で
    あって、 (a)放出混合物における薬理学的伝達物質放出を遮断
    放出混合物における薬理学的伝達物質放出と比較するこ
    と、ただしここに、放出混合物および遮断放出混合物は
    おのおのナイーブ提供者からの単一組織標本の一部を含
    み、該薬理学的伝達物質は該組織標本から放出され、お
    よびここに、放出混合物および遮断放出混合物はおのお
    のさらに、血液標本中の目的アレルゲンに特異的なIgE
    の存在または不在が未知な、患者からの単一血液標本の
    一部を含み、およびここに、遮断放出混合物はさらにIg
    E拮抗剤を含み、およびここに、放出混合物および遮断
    放出混合物双方をアレルゲンと混合するものとする、 (b)段階(a)での比較に基づいて、この血清標本中
    にそのアレルゲンに特異的なIgEの存在または不在を決
    定すること を含む診断法。
  2. 【請求項2】薬理学的伝達物質がヒスタミンである請求
    項1の方法。
  3. 【請求項3】組織標本が血液標本である請求項1の方
    法。
  4. 【請求項4】IgE拮抗剤が抗IgE抗体またはその断片であ
    る請求項1の方法。
  5. 【請求項5】抗IgE抗体がモノクローナル抗IgE抗体であ
    る請求項4の方法。
  6. 【請求項6】モノクローナル抗体IgE抗体がrhuMAbE25で
    ある請求項5の方法。
  7. 【請求項7】IgE拮抗剤がIgE変異体またはその断片であ
    る請求項1の方法。
  8. 【請求項8】IgE拮抗剤が可溶性FcεRI受容体である請
    求項1の方法。
  9. 【請求項9】IgE拮抗剤がIgE結合性ペプチドまたはFcε
    RI受容体結合性ペプチドである請求項1の方法。
  10. 【請求項10】遮断放出混合物中の組織標本を最初にIg
    E拮抗剤と混合し、次に患者からの血清標本と混合する
    請求項1の方法。
  11. 【請求項11】遮断放出混合物中の血清標本を最初にIg
    E拮抗剤と混合し、次に組織標本と混合する請求項1の
    方法。
  12. 【請求項12】好塩基球のIgE誘導感化を遮断する楽剤
    の生物活性検定法であって、 (a)放出混合物における薬理学的伝達物質放出を遮断
    放出混合物における薬理学的伝達物質放出と比較するこ
    と、ただしここに、放出混合物および遮断放出混合物は
    おのおのナイーブ提供者から得た単一全血標本の一部を
    含み、該薬理学的伝達物質は該全血標本から放出され、
    およびここに、放出混合物および遮断放出混合物はおの
    おのさらにアレルゲンに特異的なIgEを含む単一血清標
    本の一部を含み、およびここに、遮断放出混合物はさら
    に薬剤を含み、およびここに、放出混合物および遮断放
    出混合物双方をアレルゲンと混合するものとする、 (b)段階(a)での比較に基づいて、好塩基球のIgE
    誘導感化を遮断する薬剤の生物活性を決定すること を含む薬剤の生物活性検定法。
  13. 【請求項13】薬剤が抗アレルギー性治療剤候補である
    請求項12の方法。
  14. 【請求項14】抗アレルギー性治療剤候補が抗IgE抗体
    またはその断片、IgE変異体またはその断片、可溶性Fc
    εRI受容体、IgE結合性ペプチドおよびFcεRI受容体結
    合性ペプチドから構成される群から選択される請求項13
    の方法。
  15. 【請求項15】薬剤がIgE拮抗剤候補である請求項12の
    方法。
  16. 【請求項16】IgE拮抗剤候補が抗IgE抗体またはその断
    片、IgE変異体またはその断片、可溶性FcεRI受容体、I
    gE結合性ペプチドおよびFcεRI受容体結合性ペプチドか
    ら構成される群から選択される請求項15の方法。
  17. 【請求項17】遮断放出混合物中の全血標本を最初に薬
    剤と混合し、次に血清標本と混合する請求項12の方法。
  18. 【請求項18】遮断放出混合物中の血清標本を最初に薬
    剤と混合し、次に全血標本と混合する請求項12の方法。
  19. 【請求項19】患者におけるアレルギー性疾患の診断法
    であって、 (a)反応混合物における薬理学的伝達物質放出を遮断
    反応混合物における薬理学的伝達物質放出と比較するこ
    と、ただしここに、 (1)反応混合物および遮断反応混合物は患者血清IgE
    およびアレルゲンによる誘導に際して宿主細胞の薬理学
    的伝達物質放出を媒介することのできるFcεRIαサブユ
    ニットの表面発現を示すように遺伝子工学的に処理した
    肥満細胞宿主のいずれか、および患者血清IgEおよびア
    レルゲンによる誘導に際して宿主細胞の薬理学的伝達物
    質放出を媒介することのできるFcεRIαサブユニットの
    表面発現を示すように遺伝子工学的に処理した好塩基球
    細胞宿主のいずれかから構成される群から選択した共通
    の親細胞の子孫である遺伝子工学的に処理した細胞を含
    み、該薬理学的伝達物質は該細胞から放出され、 (2)反応混合物および遮断反応混合物はおのおのさら
    に血清標本中の目的アレルゲンに特異的なIgEの存在ま
    たは不在が未知な、患者からの単一血清標本の一部を含
    み、 (3)遮断反応混合物はさらにIgE拮抗剤を含み、およ
    び (4)放出混合物および遮断放出混合物双方をアレルゲ
    ンとを混合するものとする、 (b)段階(a)での比較に基づいて、その血清標本中
    にそのアレルゲンに特異的なIgEの存在または不在を決
    定すること を含む診断法。
  20. 【請求項20】遺伝子工学的に処理した細胞が遺伝子工
    学的に処理した肥満細胞である請求項19の方法。
  21. 【請求項21】遺伝子工学的に処理した肥満細胞が遺伝
    子工学的に処理した齧歯類肥満細胞である請求項20の方
    法。
  22. 【請求項22】遺伝子工学的に処理した齧歯類肥満細胞
    が遺伝子工学的に処理したラット肥満細胞である請求項
    21の方法。
  23. 【請求項23】遺伝子工学的に処理したラット肥満細胞
    がRBL48細胞である請求項22の方法。
  24. 【請求項24】FcεRIαサブユニットが患者の動物種か
    ら誘導される請求項19の方法。
  25. 【請求項25】患者がヒトである請求項19の方法。
  26. 【請求項26】FcεRIαのサブユニットをヒト起源から
    誘導する請求項19の方法。
  27. 【請求項27】FcεRIαサブユニットが遺伝子工学的に
    処理した細胞に対して外因性である請求項19の方法。
  28. 【請求項28】IgE拮抗剤が抗IgE抗体またはその断片で
    ある請求項19の方法。
  29. 【請求項29】抗IgE抗体がモノクローナル抗IgE抗体で
    ある請求項28の方法。
  30. 【請求項30】抗IgE抗体がrhuMAbE25である請求項29の
    方法。
  31. 【請求項31】IgE拮抗剤がIgE変異体またはその断片で
    ある請求項19の方法。
  32. 【請求項32】IgE拮抗剤が可溶性FcεRI受容体である
    請求項19の方法。
  33. 【請求項33】IgE拮抗剤がIgE結合性ペプチドまたはFc
    εRI受容体結合性ペプチドである請求項19の方法。
  34. 【請求項34】遮断反応混合物中の遺伝子工学的に処理
    した細胞を最初にIgE拮抗剤と混合し、次に患者からの
    血清標本と混合する請求項19の方法。
  35. 【請求項35】遮断反応混合物中の血清標本を最初にIg
    E拮抗剤と混合し、次に遺伝子工学的に処理した細胞と
    混合する請求項19の方法。
  36. 【請求項36】薬理学的伝達物質がヒスタミンである請
    求項19の方法。
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