JP3507567B2 - 球状アルミナ及びその製法 - Google Patents

球状アルミナ及びその製法

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JP3507567B2
JP3507567B2 JP00702195A JP702195A JP3507567B2 JP 3507567 B2 JP3507567 B2 JP 3507567B2 JP 00702195 A JP00702195 A JP 00702195A JP 702195 A JP702195 A JP 702195A JP 3507567 B2 JP3507567 B2 JP 3507567B2
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Mizusawa Industrial Chemicals Ltd
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、マクロポアが増大し且
つ粒子強度の増大した球状アルミナ及びその製法に関す
る。本発明は特に、擬ベーマイト型アルミナゲルとギブ
サイト型またはバイアーライト型の水酸化アルミとの混
合物から上記の球状アルミナの製造に関する。
【0002】
【従来の技術】球状アルミナは吸着剤、触媒担体等とし
て広く使用されており、これらは流動床、充填床として
使用できる20μm以上の粒径で一般に用いられてい
る。
【0003】球状アルミナの製法としては各種の方法が
知られているが、以下に述べる3つの方法に大別され
る。
【0004】第一の方法は、粉体成形法と呼ばれるもの
であり、有機アルミニウム化合物または無機アルミニウ
ム化合物から水酸化アルミニウムを製造し、その乾燥粉
末或いは焼成粉末を、適度の水分調整を行った後、転動
成形、押出し成形等で粒状に成形するものである。
【0005】第二の方法は、溶液法と呼ばれる方法であ
り、例えば、特公昭38−17002号公報に記載され
ている通り、硫酸アルミニウムの水溶液を炭酸カルシウ
ムで部分中和することにより、塩基性硫酸アルミニウム
のヒドロゾル液を製造し、これを加熱油浴中で球状に保
持しながら、ゲルに硬化させ、これをアンモニアや尿素
等で中和し、乾燥するものである。
【0006】第三の方法は、粉体成形法と溶液法との中
間に位置するとも言うべき分散液法であり、水酸化アル
ミやアルミナを水性媒体中に分散させて、アルミナ分の
ゾル化した分散液を製造し、これを球状に成形すると共
にゲル化させる方法である。
【0007】例えば特公平1−16771号公報には、
ベーマイトと擬ベーマイトとの混合物を水性稀酸中で強
力な攪拌でゾル化し、これを上部に液体炭化水素及び下
部にアンモニア水溶液を充填した成形塔に滴下して、球
状アルミナを製造することが記載されている。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】上記粉体成形法は、成
形時の固形分濃度が高く、50乃至60重量%、熱エネ
ルギーコストが低くてすむという利点があるが、球状ア
ルミナの取り扱い時に粉落ち(摩耗による粉末の発生)
があり、粒子強度も低いため球状アルミナとしては実用
的でない。また、溶液法による球状アルミナは、粒子強
度も高く、活性も程々であるが、著しく稀薄な固形分
(5〜10重量%)を取扱わねばならないため、乾燥等
に著しく長い時間と高い熱エネルギーコストを必要と
し、生産性の点でも製造コストの点でも未だ不満足のも
のである。
【0009】分散液法は、液中のアルミナ濃度を前記溶
液法に比してかなり高い濃度(20〜40重量%)であ
り、生産性や製造コストの点では溶液法に比して優れて
はいるが、その粒子強度は高くても150N/球(15
kgf)程度のものであり、球状アルミナの粒子強度を
高めて、耐久性を高めたりという需要者の要求には未だ
不満足なものである。
【0010】アルミニウムの水酸化物には、ベーマイト
乃至擬ベーマイト型、ギブサイト型、バイアーライト型
の各種のものが知られているが、ゾル−ゲルの転移を生
じるものは、ベーマイト乃至擬ベーマイトに限られてい
るため、従来球状アルミナの原料としては、ベーマイト
型乃至擬ベーマイト型のものが専ら使用されている。し
かしながら、ベーマイト型乃至擬ベーマイト型の水酸化
アルミは他の水酸化アルミ、即ちギブサイト型またはバ
イアーライト型の水酸化アルミに比してかなり高価であ
り、従って後者の原料を使用できればその製造コストを
かなり低減できるものと期待される。
【0011】従って、本発明の目的は、擬ベーマイト型
のアルミナゲルとギブサイト型またはバイアーライト型
の水酸化アルミとから球状アルミナを製造できる方法を
提供するにある。
【0012】本発明の他の目的は、粒子強度に優れてお
り、吸着性能及び触媒担体としての性能の点で望ましい
マクロポアを有する球状アルミナ及びその製法を提供す
るにある。
【0013】
【課題を解決するための手段】本発明によれば、擬ベー
マイト型アルミナゲルとギブサイト型またはバイアーラ
イト型の水酸化アルミニウムとをAl基準で9
0:10乃至40:60の重量比で含有する混合物を、
Al基準のアルミナ1モル当り0.04乃至0.
15当量数の有機酸または無機酸を含有する酸性水性媒
体を使用し、全アルミナ分の20乃至75重量%がゾル
化し且つ酸性水性媒体分散液中のアルミナ濃度が20乃
至40重量%となるように処理し、処理後のpH2.2
乃至5.3の分散液を、上部に油層及び下部にアルカリ
性水層を備えた成形ゲル化用媒体中に導くことを特徴と
する球状アルミナの製法が提供される。
【0014】
【0015】 本発明によれば、また、擬ベーマイト型
アルミナゲルとギブサイト型またはバイアーライト型の
水酸化アルミニウムとをAl基準で90:10乃
至40:60の重量比で含有する混合物から誘導され、
200乃至300m/gの比表面積と水銀圧入法で測
定して0.5乃至2.3cc/gの細孔容積を有し且つ
1000オングストローム以上のマクロポアが占める細
孔容積が全細孔容積の25%以上であることを特徴とす
る球状活性アルミナが提供される。
【0016】
【作用】本発明では、球状アルミナの原料として擬ベー
マイト型アルミナゲルと、ギブサイト型またはバイアー
ライト型の水酸化アルミとを組合せで用いることが第一
の特徴である。
【0017】ここで、ギブサイト(gibbsite)
及びバイアーライト(bayerite)は、共に組成
式Al(OH)3 で表わされるアルミニウム水酸化物で
あり、一方ベーマイト(bohmite)は組成式Al
O(OH)で表わされるアルミニウム水酸化・水酸化物
であるが、擬ベーマイト(pseud−bohmit
e)は、性状としてはゲル状であるが、ベーマイト類似
のブロードなX線回折像を示すものである。図1は、擬
ベーマイトの未乾燥物(PBA−0)及びその乾燥物
(PBA−1)X線回折像を示す。
【0018】本発明では、ギブサイト及び/又はバイア
ーライトを球状アルミナの原料として使用可能となった
ため、原料コストを大幅に低減できるという製造上の利
点が達成されると共に、球状活性アルミナの物性におい
ても顕著な利点が達成される。
【0019】図2は、本発明の混合物原料(詳細は後述
する実施例6のPBA−O/GA=50/50のSA参
照)から得られた活性アルミナについての水銀圧入法に
よる細孔分布曲線であり、一方図3は擬ベーマイト単独
から得られた活性アルミナ(参考例4参照)についての
細孔分布曲線である。これらを対比すると、本発明では
擬ベーマイトゲルとギブサイトまたはバイアーライトと
の組合せを使用することにより、径1000オングスト
ローム以上のマクロポアが占める細孔容積が全細孔容積
の25%以上に増大しているにもかかわらず、活性アル
ミナの耐圧強度が20kgf以上という顕著な事実が明
らかとなる。このように増大したマクロポアは、活性ア
ルミナ細孔表面への物質移動を容易にし、また吸液性等
も増大させるので、吸着剤、触媒乃至触媒担体としての
性能を向上せしめる。一般に活性アルミナの吸着や接触
反応では、活性サイトへの拡散が律速となることが多い
が、本発明の活性アルミナはマクロポアを有するため、
拡散律速の程度が小さいという利点をもたらす。
【0020】擬ベーマイトとギブサイト又はバイアーラ
イトとは、前述した量比で用いるのがよく、擬ベーマイ
トの量比が前記範囲よりも少ないと、生成する球状アル
ミナの粒子強度が低下する傾向があり、一方上記範囲よ
りも多いと、マクロポアの生成が少なくなり、また製造
コストの点でも不利となる。
【0021】本発明では、上記混合物を、酸性水性媒体
中で、全アルミナ分の20乃至75重量%、特に30乃
至50重量%がゾル化するように処理することが第二の
特徴である。酸性水性媒体分散液中でのゾル化の量比
は、後述する例に記載されている通り、分散液を遠心分
離に付し、上澄中のAl2 3 量と沈澱中のAl2 3
量とを測定することにより求めることができる。
【0022】本発明においては、全アルミナ分当りのゾ
ル化率を上記の範囲に選ぶことにより粒の形状が真円に
近く、しかも粒度が均斉で分布がシャープであり、しか
も粒子強度に顕著に優れた球状アルミナを製造すること
ができ、これは組合せで使用するギブサイトやバイアー
ライトがゾル−ゲル転移性を有しないことからも真に意
外のことである。
【0023】このゾル化処理において、ゾル化率が上記
範囲よりも低いと球状アルミナの強度が上記範囲内にあ
る場合に比してかなり低下するようになり、一方上記範
囲よりも高いと、分散液の粘度が高くなって球への成形
が困難になり、粒子形状や粒度分布が不揃いになる傾向
がある。
【0024】本発明では、ギブサイトまたはバイアーラ
イトを併用することにより、分散液の粘度を高めること
なしに、分散液中のAl2 3 分の濃度を顕著に向上せ
しめ得るものであり、これにより分散液の処理量を少な
くし、また水分の乾燥に必要な熱エネルギーを低減させ
得るものである。
【0025】この水性分散液を、pH2.2乃至5.3
の状態において、上部の油層と下部のアルカリ性水層と
に液滴または噴霧として導入する。水と油との表面張力
の違いにより、油層を通過する際、分散液は球状に成形
され、次いでこの球はアルカリ性水性媒体と接触してゲ
ル化する。このゲルを水洗いし、乾燥し、焼成すること
により、活性アルミナが得られるわけである。
【0026】本発明による球状活性アルミナは、200
乃至300m2 /g、特に210乃至280m2 /gの
比表面積と、水銀圧入法で測定して0.5乃至2.3c
c/g、特に0.7乃至1.7cc/gの細孔容積とを
有するが、擬ベーマイト型アルミナゲルとギブサイトま
たはバイアーライトとの混合物から誘導されることに関
連して、径1000オングストローム以上のマクロポア
が占める細孔容積が、上記全細孔容積当り25%以上、
特に28乃至60%、最も好適には30乃至40%の範
囲にあることが特徴である。
【0027】本発明の球状活性アルミナは、上記のよう
にマクロポアの含有率が大きく、後述する例に示すとお
り、拡散律速の程度が小さいため、各種吸着剤、触媒及
び触媒担体等として有用である。
【0028】
【発明の好適態様】
[原料]本発明で使用する擬ベーマイト型アルミナゲル
は、例えば図1の(A)に示すX線回折像を示すアルミ
ナゲルであれば何れのアルミナゲルも使用できる。一般
に、この擬ベーマイト型アルミナゲルは、塩基性硫酸ア
ルミニウムを加熱ゲル化し、これを塩基で中和するか、
或いは塩化アルミニウムとアルミン酸ナトリウムを、水
性媒体中に同時注加して、ほぼ中性附近で中和し、生成
ゲルを水洗、濾過、乾燥することにより得られる。この
アルミナゲルは、ヒドロゲルでも、キセロゲルでもよい
が、その粒径は10μm以下であることが好ましい。
【0029】本発明に用いる擬ベーマイト型アルミナゲ
ルは、5μm以下、特に3μm以下の粒径と200乃至
400m2 /gのBET比表面積及び0.2乃至0.6
ml/g、特に0.3乃至0.5ml/gの細孔容積を
有するものが好ましい。
【0030】他方の原料であるギブサイトやバイアーラ
イトとしては、市販でしかも安価で容易に入手できるも
のが全て使用され、例えばバイアー(Bayer)法に
よる水酸化アルミニウム(バイアーライト)、即ち、ア
ルミン酸ナトリウムを加熱加水分解して得られる水酸化
アルミニウムが使用される。また、ギブサイトとして
は、アルミン酸ナトリウムを硫酸等の鉱酸類と反応させ
るか、或いは硫酸アルミニウム等のアルミニウム塩を苛
性ソーダ等のアルカリと反応させることにより製造され
た水酸化アルミニウムが使用される。これらの水酸化ア
ルミニウム中のNa2 O含有量は0.2重量%以下であ
ることが好ましい。また、その粒径は10μm以下であ
るのがよい。勿論、本発明ではギブサイト型とバイアー
ライト型の水酸化アルミとを、組み合わせで用いること
もできる。
【0031】本発明によれば、擬ベーマイト型アルミナ
ゲル及びギブサイト型またはバイアーライト型の水酸化
アルミの混合物を、酸性水性媒体中で、全アルミナ分の
20乃至75重量%がゾル化するように処理する。
【0032】擬ベーマイト型アルミナゲルと、ギブサイ
ト型またはバイアーライト型の水酸化アルミとを、Al
2 3 基準で90:10乃至40:60、特に90:1
0乃至80:20の重量比で用いるのがよい。即ち、擬
ベーマイト型アルミナゲルの量が上記範囲よりも多い場
合には、マクロポアの形成が不十分となると共に、製造
コストも増大し、球状アルミナを安価に製造するという
目的からも不満足である。一方、ギブサイト型またはバ
イアーライト型の水酸化アルミの量が上記範囲よりも多
くなると、球状アルミナの粒子強度が低下したり或いは
吸着特性が低下するので好ましくない。
【0033】擬ベーマイト型アルミナゲルと、ギブサイ
ト型またはバイアーライト型の水酸化アルミとの混合物
をゾル化するには、酸性水性媒体中でこれを行うことが
重要である。即ち、酸を共存させることにより、系のp
Hを低下させ、アルミナ分を十分に解膠させ、球状アル
ミナの粒子強度を十分に高めることができる。
【0034】酸としては、硫酸、硝酸、塩酸、燐酸等の
無機酸や、酢酸、トリフルオロ酢酸、メタンスルフォン
酸、トルエンスルフォン酸等の有機酸が何れも使用でき
るが、生成する球状アルミナ中に酸性分を残存させない
という見地からは、揮発性の酸、特に硝酸或いは酢酸を
用いることが好ましい。アルミナのゾル化処理を、Al
2 3 基準のアルミナ1モル当り0.04乃至0.15
当量数の有機酸または無機酸の存在下に行なうのが好ま
しい。
【0035】アルミナのゾル化処理は、分散液中のアル
ミナ(Al)濃度が20乃至40重量%となるよ
うに行う。上記濃度よりも低いと粒子強度の低下が認め
られ、一方、上記濃度よりも高いと取り扱いが困難とな
り、成形も困難となる。
【0036】アルミナをゾル化するためには、当然のこ
とながら、各アルミナ成分を水性媒体中に微細に分散さ
せることが必要となる。この目的に湿式での強剪断攪拌
が有効である。剪断攪拌には、それ自体公知の手段、例
えば、コロイドミル、振動ミル、ホモジナイザー、ダイ
ノーミル等の粉砕機が使用され、必要により、ボールミ
ル、チューブミル、スーパーミキサー等も有効に使用さ
れる。このゾル化処理に必要な時間及び処理の程度は、
全アルミナ分の20乃至75重量%、特に30乃至50
重量%がゾル化するように設定する。
【0037】本発明では、ゾル化処理後の分散液のpH
を2.2乃至5.3に調節することが、分散液の粘性を
低下させてその取り扱いを容易にする点で望ましい。こ
の目的のために、ゾル化処理後の分散液に尿素等の塩基
を添加するのがよい。また、活性アルミナを変性する目
的で、本発明の本質を損なわない範囲で、シリカゾル、
水酸化カルシウム、水酸化マグネシウム、水酸化亜鉛等
の周期律表第二族金属水酸化物、チタンゾル、ジルコニ
ウムゾル等の周期律表第四族金属の水性ゾル乃至ゲル分
散液を添加してもよい。
【0038】処理後の分散液を、上部に油層及び下部に
アルカリ性水層を備えた成形ゲル化用媒体中に導くこと
により、球状アルミナ粒子に成形する。即ち、油中での
アルミナ分散液の表面張力を利用して、これを球状に造
粒すると共に、油層の下に設けられたアルカリ性水層中
でこの造粒物をゲル化させる。
【0039】造粒用の油としては、灯油、軽油、スピン
ドル油、流動パラフィン、その他の潤滑油等の鉱油類
や、アルキルベンゼン油、ジエステル油、シリコーン油
等の合成油が使用できる。油層の厚みは、アルミナ分散
液が重力により油層を通過する間に造粒が完結するよう
なものであり、油の粘度によっても相違するが、一般に
200乃至50mm程度の厚みがあれば十分である。
【0040】アルカリ性水層としては、一般にpHが1
1.5乃至9.2の範囲にある水性媒体が使用され、ア
ルカリ性物質としては、アンモニア、アミン、アミド等
の含窒素塩基や、水酸化ナトリウム等のアルカリ金属水
酸化物等が使用されるが、アンモニア等の揮発性アルカ
リ物質が好適である。
【0041】アルミナ分散液をゲル化させるときの条件
は、特に制限はないが、一般にゲル化の温度は35乃至
15℃の範囲にあるのがよく、油層を通して落下する球
状の形状を崩さないように、実質上非攪拌下におくか、
攪拌するとしても緩やかに攪拌するようにする。
【0042】アルカリ性水層中でゲル化したアルミナゲ
ルは、アルカリ性水層と共に下部から抜き出し、固液分
離した後、水洗、乾燥、必要により焼成等の後処理を行
って製品とする。焼成温度は、550乃至650℃の範
囲が適当である。分離したアルカリ性液はゲル化工程に
循環する。
【0043】アルミナゲル粒子は球形であるが、その粒
径はアルミナ分散液の油層への供給の手段によって調節
することができる。即ち、分散液の油層上に滴下して、
乾燥時の粒径が50乃至100μmの比較的大きい範囲
にある球状アルミナを製造することができ、また、分散
液を油層上の空気中に噴霧して、乾燥時の粒径が2乃至
5μmの範囲にある微小球状アルミナを製造することが
できる。勿論、水面から上の噴霧高さを変化させること
により、上記の中間の粒径の球状アルミナを製造するこ
ともできる。
【0044】本発明の活性アルミナゲルは、上記の通
り、擬ベーマイト型アルミナゲルとギブサイト型または
バイアーライト型の水酸化アルミとの混合物から誘導さ
れることに関連して、200乃至300m2 /gの比較
的小さい比表面積と水銀圧入法で測定して0.5乃至
2.3cc/gの大きい細孔容積を有し且つ径1000
オングストローム以上のマクロポアが占める細孔容積が
全細孔容積の25%以上であるという特徴を有してい
る。
【0045】この球状活性アルミナは、著しく大きなマ
クロポアを有するにもかかわらず、粒子強度が40kg
f以上にも達するように大きく、しかも真球に近い球状
であるため流動性にも優れており、固定床のみならず、
移動床や流動床の形で吸着剤や触媒として使用でき、耐
磨耗性や耐久性にも優れている。また、この活性アルミ
ナは、耐熱性にも優れているという特徴もある。
【0046】球状活性アルミナの粒径を任意に調節でき
るのも本発明の利点の一つであり、例えば粒径が50乃
至100μmの大きい範囲にある触媒や触媒担体として
有用な球状アルミナも提供できるし、また粒径が2乃至
5μmの範囲にある吸着剤やクロマトグラフィー用の微
小球状アルミナも提供できる。
【0047】
【実施例】本発明を次の例で説明する。例中の各種物性
は次のとおり測定した。
【0048】(1)粘度 1リットルのビーカー内のイオン交換水中に、それぞれ
試料の水酸化アルミニウムがAl2 3 として20wt
%となるように、高速ディスパーを用いて2000rp
m×5分間×室温で分散させ、その分散スラリーの粘度
を20℃にてB型粘度計(東京計器製造所製)を用いて
測定した。
【0049】(2)比表面積 カルロエルバ社製Sorptomatic Serie
s 1800を使用しBET法により測定した。
【0050】(3)細孔容積 150℃、3時間乾燥した試料0.5gを水銀圧入法ホ
シロメーター(マイクロメリテイクス社製オートポア9
220)を用いて、18乃至43500オングストロー
ムのポアサイズを測定し、細孔容積を求めた。
【0051】(4)耐圧強度 球状アルミナ(SA)の耐圧強度は、アイコーエンジニ
アリング製卓上荷重測定器(MODEL−1310−
D)に50kgf容量ロードセルを装着して測定を行っ
た。又、荷重スピードは5mm/minで、試料が砕壊
されたときの荷重がデジタル表示され、それを読みとっ
た。
【0052】参考例 1〜4 擬ベーマイト型アルミナゲル(以後、PBAと記す)を
出発原料とし、酸性水性分散体中に分散させて、球状ア
ルミナを次のとおり製造した。
【0053】酸性アルミナゾル(AAZ)の調製 表1に記す組成の市販の3種の擬ベーマイト型アルミナ
ゲル(試料NO.PBA−1、PBA−2,PBA−
3)を硝酸中で攪拌処理し、得られたゾルを室温で軽油
層高5cm、3乃至8%のアンモニア水層高30cmか
ら成る上記媒体中に滴下し、黙視観察で球になるか否か
を観察し、得られた球状物を150℃×3hr乾燥し、
550℃×3hr焼成したものについて、耐圧強度を測
定し、その結果を表2に示した。
【0054】
【表1】 なお、表1記載の水分は、150℃乾燥基準の値であ
る。
【0055】まず各PBA粉末を用いて、61%硝酸と
水で得られる酸性アルミナゾル(AAZ)の全アルミナ
量と溶解アルミナ量を変化させ、10分間攪拌分散後、
各AAZの粘度を測定し、次いで必要に応じてそのAA
Zを2倍に希釈し、5000〜6000rpmで10分
間遠心分離にかけ、上澄液中のAl2 3 分を分析し、
各AAZ中の溶解Al2 3 を算出し、本発明に用いる
AAZの最適条件を評価した。なお表2に示す酸使用量
とは、全アルミナ分のAl2 3 基準のモル数に対す
る、使用する酸の当量数である。
【0056】特に参考例4について、PBA−1擬ベー
マイト単独の活性アルミナについて、その細孔容積を図
3に示した。
【0057】
【表2】
【0058】以上の結果から次のことが明らかである。
酸濃度の低いものは、AAZ中のAl2 3 の溶解量と
粘度が低くなるため、ゾルがゲルになっても球形を保て
ず、また酸濃度を高くしすぎると、AAZの粘度が高く
なりすぎて、ゾルは滴下されたままの形でゲルになるた
め、球状に成形できない傾向がある。
【0059】また、AAZ中のAl2 3 濃度を高め、
AAZ中の溶解Al2 3 量を高めると、活性アルミナ
の強度は確かに高くなるが、擬ベーマイト単独では図3
に示す細孔容積−細孔容積分布図から明らかなように、
マクロポアが全く消失している。
【0060】実施例 1 表1の擬ベーマイト型アルミナゲル(試料 PBA−
1)と、ギブサイト型水酸化アルミナとして昭和電工
(株)製のハイジライトH−32(以後GAと記す)と
を、PBA:GA=90:10乃至60:40範囲の量
比で使用し、この混合物に61%硝酸を添加して、表3
に示す分散液を調製し、次いで参考例と同様にして、滴
下法及び噴霧法で球状アルミナ(SA)を得た。得られ
た結果を表3に示す。
【0061】実施例 2 表1の擬ベーマイト型アルミナゲル(試料 PBA−
2)と、ギブサイト型水酸化アルミナとして昭和電工
(株)製のハイジライトH−32(以後GAと記す)と
を、PBA:GA=90:10及び80:20の量比で
使用し、この混合物に61%硝酸を添加して、表3に示
す分散液を調製し、次いで参考例と同様にして球状アル
ミナ(SA)を得た。得られた結果を表3に示す。
【0062】
【表3】
【0063】実施例 3 表1の擬ベーマイト型アルミナゲル(試料 PBA−
3)と、ギブサイト型水酸化アルミナとして昭和電工
(株)製のハイジライトH−32(以後GAと記す)と
を、PBA:GA=70:30及び60:40範囲の量
比で使用し、この混合物に61%硝酸を添加して、表3
に示す分散液を調製し、次いで参考例と同様にして球状
アルミナ(SA)を得た。得られた結果を表3に示す。
【0064】実施例 4 表1の擬ベーマイト型アルミナゲル(試料 PBA−
1)と、バイアーライト型水酸化アルミナとして水澤化
学(株)製のPAAアルミナの400℃焼成品(BAと
記す)とをPBA:BA=70:30の重量比で使用
し、この混合物に61%硝酸を添加して、同様にして表
1の分散液を調製し、SAを得た。得られた結果を表3
に示す。
【0065】実施例 5 実施例1のPBA−1:GA=70:30の混合物に、
硝酸以外の酸として、硫酸、有機酸の酢酸、蟻酸をそれ
ぞれ添加して、表4に示す分散液を調製し、同様にして
球状アルミナ(SA)を得た。その結果を表4に示し
た。
【0066】
【表4】
【0067】実施例 6 表1の擬ベーマイト型アルミナゲル(PBA−1)の未
乾燥物である含水率75%のヒドロゲル(以後PBA−
0と記す)と実施例3のギブサイト型水酸化アルミナ
(GA)とを、PBA−0:GA=80:20乃至4
0:60の重量比で使用し、この混合物に61%硝酸を
添加して、表5に示す分散液を調製し、以下同様にして
SAを得た。その結果を表5に示した。また、PBA:
GA=90:10のものについては、その細孔容積−細
孔容積分布図を図2として示した。
【0068】
【表5】
【0069】なお、実施例を通して滴下法で得られるS
Aの粒径は50乃至100μmの範囲であり、一方噴霧
法で得られるSAの粒径は2乃至5μmの範囲であっ
た。
【0070】以上の結果、表3、表4及び図2から明ら
かなように、本発明による球状活性アルミナは、全細孔
容積に占める上記したマクロモアの細孔容積が25%以
上もありながら、高い耐圧強度を保持していることは、
参考例に示した擬ベーマイト単独の球状活性アルミナか
らは予想もされなかったことである。
【0071】
【発明の効果】本発明によれば、擬ベーマイト型のアル
ミナゲルとギブサイト型またはバイアーライト型の水酸
化アルミとから球状アルミナを製造することができると
共に、この球状アルミナは、粒子強度に優れており、吸
着性能及び触媒乃至触媒担体としての性能の点で望まし
いマクロポアを有するという特徴がある。
【0072】球状アルミナの製造に際して、高価なベー
マイト型乃至擬ベーマイト型の一部を安価なギブサイト
型またはバイアーライト型の水酸化アルミに置き換える
ことができ、その製造コストをかなり低減できる。ま
た、本発明に用いるアルミナ分散液は取り扱いが容易で
あり、しかもそのゲル化も容易であり、アルミナ濃度を
高濃度にして取り扱えるので、生産性も高いという利点
をも与える。
【図面の簡単な説明】
【図1】擬ベーマイトの未乾燥物(PBA−0)及びそ
の乾燥物(PBA−1)X線回折像である。
【図2】本発明の混合物原料(詳細は後述する実施例6
のPBA−O/GA=50/50のSA参照)から得ら
れた活性アルミナについての水銀圧入法による細孔分布
曲線である。
【図3】擬ベーマイト単独から得られた活性アルミナ
(参考例4参照)についての細孔分布曲線である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) C01F 7/02 B01J 20/08 B01J 21/04

Claims (4)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 擬ベーマイト型アルミナゲルとギブサイ
    ト型またはバイアーライト型の水酸化アルミニウムとを
    Al基準で90:10乃至40:60の重量比で
    含有する混合物を、Al基準のアルミナ1モル当
    り0.04乃至0.15当量数の有機酸または無機酸を
    含有する酸性水性媒体を使用し、全アルミナ分の20乃
    至75重量%がゾル化し且つ酸性水性媒体分散液中のア
    ルミナ濃度が20乃至40重量%となるように処理し、
    処理後のpH2.2乃至5.3の分散液を、上部に油層
    及び下部にアルカリ性水層を備えた成形ゲル化用媒体中
    に導くことを特徴とする球状アルミナの製法。
  2. 【請求項2】 分散液を油層上に滴下して、乾燥時の粒
    径が50乃至100μmの範囲にある球状アルミナを製
    造する請求項1記載の製法。
  3. 【請求項3】 分散液を油層上に噴霧して、乾燥時の粒
    径が2乃至5μmの範囲にある微小球状アルミナを製造
    する請求項1記載の製法。
  4. 【請求項4】 擬ベーマイト型アルミナゲルとギブサイ
    ト型またはバイアーライト型の水酸化アルミニウムとを
    Al基準で90:10乃至40:60の重量比で
    含有する混合物から誘導され、200乃至300m
    gの比表面積と水銀圧入法で測定して0.5乃至2.3
    cc/gの細孔容積を有し且つ1000オングストロー
    ム以上のマクロポアが占める細孔容積が全細孔容積の2
    5%以上であることを特徴とする球状活性アルミナ。
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