JP3506881B2 - 直流送電方法および直流送電システム - Google Patents

直流送電方法および直流送電システム

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JP3506881B2 JP16308697A JP16308697A JP3506881B2 JP 3506881 B2 JP3506881 B2 JP 3506881B2 JP 16308697 A JP16308697 A JP 16308697A JP 16308697 A JP16308697 A JP 16308697A JP 3506881 B2 JP3506881 B2 JP 3506881B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は、異なる交流送電
系統同士を、各交流送電系統毎に設けられた電力変換装
置を介して直流送電系統で接続するとともに、各電力変
換装置の制御角を制御して、一方の交流送電系統の交流
電力を他方の交流送電系統の交流電力へ融通する直流送
電方法および直流送電システムに関し、詳しくは、従来
の直流送電方法および直流送電システムにかわる全く新
たな理論に基づいた直流送電方法および直流送電システ
ムに関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来、このような直流送電方法として
は、直流送電技術解説(発行元:(株)コロナ社、昭和
53年初版発行)の第5章に開示されるように、直流電
流が一定となるように電力変換装置の制御角を制御する
定電流制御方法や、直流電圧が一定となるように電力変
換装置の制御角を制御する定電圧制御方法などがある。
詳しくは、上記定電流制御方法とは、直流送電系統の直
流電流値を所定の電流値となるように、検出電流値と電
流目標値との電流差に応じた制御角を求め、これを電力
変換装置に供給する方法である。上記定電圧制御方法と
は、直流送電系統の直流電圧値を所定の電圧値となるよ
うに、検出電圧値と電圧目標値との電圧差に応じた制御
角を求め、これを電力変換装置に供給する方法である。
そして、各制御方法はそれぞれ制御場面に応じて異なる
メリット/デメリットを有するため、実際の直流送電方
法においては一般的に、各制御方法による制御角(ある
いはその制御角の元となる制御変数)を求めた後、その
中から最小の制御角を択一的に選択する方法を採ってい
る。このような選択方法は最小値選択法と呼ばれてい
る。
【0003】図15は従来の直流送電システムを示すブ
ロック図である。図において、1,2は異なる三相交流
送電系統、3,4は各三相交流送電系統に接続された電
力変換装置、5,6は電力変換装置の直流出力の交流成
分を抑制する直流リアクトル、7はこれら直流リアクト
ル5,6を介して上記一対の電力変換装置3,4同士を
接続する直流送電線である。なお、同図において直流送
電系統は、直流リアクトル5,6および直流送電線7で
構成される。
【0004】また、11a,11bは各電力変換装置
3,4から出力される電流を検出する直流電流検出器、
12a,12b,13a,13bは各電力変換装置3,
4の出力電圧を検出するための直流電圧検出器である。
他方、21は直流送電系統に流れる直流電流の電流目標
値を出力する直流電流指令装置、24は直流送電系統に
発生する直流電圧の電圧目標値を出力する直流電圧指令
装置、22は電力が供給される側の電力変換装置4への
電流目標値を電力を供給する側の電力変換装置3への電
流目標値よりも小さくする電流マージンを出力する電流
マージン指令装置、23,41a,41b,42a,4
2b,43a,43bは2つの入力値の差を出力する減
算器、31a,31bは上記電流検出値から上記電流目
標値を引いた値を増幅して差分電流値を出力する差分電
流増幅器、32a,32bは上記電圧目標値から上記検
出電圧値を引いた値を増幅して差分電圧値を出力する差
分電圧増幅器、33a,33bは当該差分電流値と差分
電圧値とのうちの小さいほうの値を選択して差分制御量
として出力する最小値選択回路、51a,51bは電力
変換装置3,4のサイリスタを制御するための点弧パル
スの出力タイミングをこの差分制御量に基づいて補正
し、所定の制御角にて当該点弧パルスを出力する位相制
御回路である。
【0005】次に動作について説明する。上図に示した
直流送電システムでは、電流マージン(22)が電力変
換装置4を制御する制御系のほうに入力されているの
で、三相交流送電系統1側から三相交流送電系統2側へ
電力を供給するように動作する。以下において、電力を
供給する側を順変換側、電力が供給される側を逆変換側
とよぶ。
【0006】まず、順変換側では、差分電流値が差分電
圧値よりも小さくなるように各種の増幅率などが設定さ
れ、定電流制御を行う。従って、直流送電系統に流れる
電流は電流目標値に収束する。他方、逆変換側では、電
流マージン分だけ設定電流値が検出電流値より小さくな
って、差分電流値がプラス側に飽和してしまうので定電
圧制御系が選択される。従って、逆変換側の電圧検出値
が電圧目標値に収束する。なお、この際、順変換側の電
圧検出値には、電圧目標値よりも直流送電線などによる
電圧降下分だけ大きい電圧が検出され、差分電圧値はプ
ラス側に飽和しているので、順変換側において定電圧制
御系の差分電圧値が最小の制御量として選択されること
はなく、直流送電システムは安定する。
【0007】そして、このように安定した直流送電シス
テムにおいて、図16のタイミングチャートのタイミン
グBに示すように、例えば、何らかの原因により直流電
流が低下して、逆変換側の差分電流値が最小値として選
択されてしまったとしても、定電圧制御系の出力値が安
定していれば、この逆変換側の定電流制御などにより直
流電流がある程度まで回復した後、逆変換側の制御系が
再び定電圧制御系に戻り、順変換側の定電流制御系の制
御により直流電流は目標値まで回復する。従って、直流
送電システムは安定状態を維持することができる。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】従来の直流送電システ
ムは以上のように構成されているので、起動時や潮流反
転時において、直流電圧を自由な変化速度で制御するこ
とができないとか、電力変換装置の直流出力端に過電圧
が印加されてしまうなどの課題があった。
【0009】なぜなら、上述したように外乱などに対す
る安定性を確保するために、上記直流送電システムで
は、定電圧制御系の応答速度を定電流制御系の応答速度
よりもかなり遅くしている。従って、起動時や潮流反転
時において、直流電圧の目標値を変更したとしても実際
の直流電圧が追従してくるまでにはかなりの時間がかか
ってしまい、それゆえ、直流電圧の変化速度は制限され
てしまうからである。また、逆に直流電圧が変化したと
してもそれに応じた値に電力変換装置の制御角が変化す
るまでに時間がかかり、その間においては、電力変換装
置の直流出力端にはそれが出力しようとする電圧とは異
なる直流電圧がかかってしまうからである。
【0010】この発明は、上記のような課題を解決する
ためになされたもので、起動時や潮流反転時において、
直流電圧を自由に制御したり、電力変換装置の直流出力
端への過電圧の印加を防止することができ、しかも、安
定状態に維持することができる直流送電方法および直流
送電システムを得ることを目的とする。
【0011】
【課題を解決するための手段】請求項1記載の発明に係
る直流送電方法は、電力が供給される逆変換側の制御系
においては、定電流制御系の差分電流値と定電圧制御系
の差分電圧値とを加算した制御量に基づいて電力変換装
置の制御角を制御するものである。
【0012】請求項2記載の発明に係る直流送電方法
は、逆変換側の多相交流電圧の母線電圧の低下量に応じ
て直流電圧目標値を制限するものである。
【0013】請求項3記載の発明に係る直流送電方法
は、電力を供給する順変換側の制御系において、定電流
制御系の差分電流値と定電圧制御系の差分電圧値とを加
算した制御量に基づいて電力変換装置の制御角を制御す
るものである。
【0014】請求項4記載の発明に係る直流送電方法
は、順変換側の多相交流電圧の母線電圧の低下量に応じ
て直流電圧目標値を制限するものである。
【0015】請求項5記載の発明に係る直流送電方法
は、逆変換側の多相交流電圧の母線電圧の低下量あるい
は、順変換側の多相交流電圧の母線電圧の低下量のいず
れか小さい方に応じて直流電圧目標値を制限するもので
ある。
【0016】請求項6記載の発明に係る直流送電方法
は、少なくとも起動停止時及び潮流反転時において、直
流電圧目標値の大きさに応じて直流電流目標値を制限す
るものである。
【0017】請求項7記載の発明に係る直流送電方法
は、逆変換側の多相交流電圧の母線電圧の低下量あるい
は、順変換側の多相交流電圧の母線電圧の低下量のいず
れか小さい方に応じて直流電圧目標値を制限するととも
に、少なくとも起動停止時及び潮流反転時において、直
流電圧目標値の大きさに応じて直流電流目標値を制限す
るものである。
【0018】請求項8記載の発明に係る直流送電システ
ムは、電力が供給される逆変換側の電力変換装置の制御
角を制御する制御角生成装置が、上記直流電圧目標値に
マイナスを付けた値に、少なくとも、上記直流電圧検出
値から上記直流電圧目標値を引いた電圧値に比例する差
分電圧値と、上記直流電流目標値から上記直流電流検出
値を引いた電流値に比例する差分電流値とを加えた値に
応じた制御角にて制御を行うものである。
【0019】請求項9記載の発明に係る直流送電システ
ムは、電力を供給する順変換側の制御角生成装置は、上
記直流電圧目標値に、少なくとも、上記直流電圧検出値
から上記直流電圧目標値を引いた電圧値に比例する差分
電圧値と、上記直流電流目標値から上記直流電流検出値
を引いた電流値に比例する差分電流値とを加えた値に応
じた制御角にて制御を行うものである。
【0020】請求項10記載の発明に係る直流送電シス
テムは、一対の制御角生成装置には、検出電圧値および
検出電流値の少なくとも一方を共通に入力するととも
に、少なくとも一方の当該制御角生成装置では、直流電
圧目標値にマイナスを付けた値に更に、当該制御角生成
装置の制御角情報に基づいて動作する電力変換装置と、
直流電圧検出器が直流電圧を検出する位置との間におけ
る電圧降下分を加えた値に応じた制御角にて制御を行う
ものである。
【0021】請求項11記載の発明に係る直流送電シス
テムは、交流送電系統の母線電圧を検出する母線電圧検
出装置を少なくとも一方の交流送電系統に設けると共
に、当該母線電圧の低下量に応じて直流電圧目標値を制
限する電圧目標リミッタを設けたものである。
【0022】請求項12記載の発明に係る直流送電シス
テムは、直流電圧目標値に応じて直流電流目標値を制限
する電流目標リミッタを設けたものである。
【0023】
【発明の実施の形態】以下、この発明の実施の一形態を
説明する。 実施の形態1.図1はこの発明の実施の形態1による直
流送電システムを示すブロック図である。図において、
1,2は異なる三相交流送電系統(交流送電系統)、
3,4は三相交流送電系統1,2に接続された電力変換
装置、5,6は電力変換装置3,4の直流出力のリップ
ルを抑制する直流リアクトル、7はこれら直流リアクト
ル5,6を介して上記一対の電力変換装置3,4同士を
接続して直流リアクトル5,6とともに直流送電系統を
構成する直流送電線、11a,11bは各電力変換装置
3,4から出力される電流を検出する直流電流検出器、
12,13,42は直流送電線7の電圧を検出するため
の直流電圧検出器、21は直流送電系統に流れる直流電
流の電流目標値を出力する直流電流指令装置、24は直
流送電系統に発生する直流電圧の電圧目標値を出力する
直流電圧指令装置、100,101は直流電流検出値、
直流電圧検出値、直流電流目標値および直流電圧目標値
に基づいて、上記各電力変換装置3,4の制御角を制御
する一対の制御角生成装置である。
【0024】なお、同図は、一方の電力変換装置3から
他方の電力変換装置4へ電力が供給されている状態を示
しており、そのため、電力変換装置3の発生する電圧V
aはプラスの電圧となり、電力変換装置4の発生する電
圧Vbはマイナスの電圧となる。
【0025】また、同図において、41a,43aは2
つの入力値の差を出力する減算器、31aは上記電流検
出値から上記電流目標値を引いた値を増幅して差分電流
値を出力する差分電流増幅器、32aは上記電圧目標値
から上記検出電圧値を引いた値を増幅して差分電圧値を
出力する差分電圧増幅器、33aは当該差分電流値と差
分電圧値とのうちの小さいほうの値を選択して差分制御
量として出力する最小値選択回路、51aは電力変換装
置3のサイリスタを制御するための点弧パルスの出力タ
イミングをこの差分制御量に基づいて補正し、所定の制
御角にて当該点弧パルスを出力する位相制御回路であ
り、これらにより一方の制御角生成装置100は構成さ
れている。
【0026】41b,43b,45bは2つの入力値の
差を出力する減算器、44b,46bは2つの入力値の
和を出力する加算器、62bは上記電流目標値から上記
電流検出値を引いた値を増幅して差分電流値を出力する
差分電流増幅器、63bは電圧検出値から電圧目標値を
引いた値を増幅して差分電圧値を出力する差分電圧増幅
器、61bは直流電圧検出器12の電圧検出点と電力変
換装置4との間の電圧降下分などに応じた補正値を出力
する出力補正器、52bは上記電圧目標値にマイナスを
付けた値に、上記差分電流値、差分電圧値および補正値
を加えた値に応じた制御角を求め、この制御角となるタ
イミングにて点弧パルスを出力する位相制御回路であ
り、これらにより制御角生成装置101は構成されてい
る。なお、この制御角生成装置101の各種の増幅器6
2b,63bや出力補正器61bの具体的な値は、直流
電圧と直流電流とを入力とした多変数制御理論に基づい
て決定されている。
【0027】次に動作について説明する。定常状態で
は、直流電圧、直流電流がともに目標値とほぼ等しい値
となっている。この状態においては、電圧検出値と電圧
目標値との差を求める減算器43bの出力値はほぼ0と
なり、減算器45bからは直流電圧目標値の極性を逆に
したものが出力される。また、電流検出値と電流目標値
との差を求める減算器41bの出力値もほぼ0であり、
加算器44bからは直流電流目標値と直流送電線7など
による線路抵抗との積に応じた値、すなわち線路抵抗に
よる電圧降下分に応じた値が出力される。以上から、加
算器46bから出力される値は、電圧目標値にマイナス
を付けた値に、線路抵抗による電圧降下分を加えた値と
なる。そして、この値に応じた制御角が位相制御回路5
2bから出力される。従って、この制御角で制御される
逆変換側の電力変換装置4は、電圧目標値よりもほぼ電
圧降下分だけ低い電圧を直流送電系統に出力する。そし
て、電圧検出点においては当該電圧目標値の電圧が出力
されているので、この電圧と上記出力電圧との電圧差に
より電流目標値にほぼ等しい電流が直流送電系統に流れ
る。
【0028】ここで、図2のタイミングチャートのタイ
ミングAに示すように、直流電圧が電圧目標値よりも小
さくなると、減算器43bからは直流電圧と直流電圧目
標値との電圧差が負の値として出力され、それにより差
分電圧増幅器63bからは負の差分電圧値4bが出力さ
れ、加算器46bから出力される値5bは定常状態に比
べて負の方向に大きくなった値が出力される。そして、
逆極性側の電力変換装置4の出力電圧は当該大きくなっ
た値に応じて高い電圧を出力する。その結果、直流電圧
は直流電圧目標値に復帰する。なお、この電圧制御によ
り、順変換側の電力変換装置3の出力電圧と逆変換側の
電力変換装置4との電圧差が減少し、これにより直流電
流が低下してしまうような場合には、差分電流増幅器3
1aから差分電流値1a,3aが出力されて、順変換側
の電力変換装置3の出力電圧が定電流制御により増加す
る。それと同時に、逆変換側では、その直流電流の低下
分に応じた差分電流値が出力されて、その分出力電圧が
一時的に低下する。そして、逆変換側の電力変換装置4
は電圧検出値が電圧目標値となるまでこの制御を繰り返
し、順変換側の電力変換装置3は出力電流が電流目標値
となるまでこの制御を繰り返し、その結果、検出電圧お
よび検出電流は次第に目標値に収束する。直流電圧が電
圧目標値よりも大きくなった場合にも同様の制御によ
り、検出電圧および検出電流は次第に目標値に収束す
る。
【0029】更に、図2のタイミングチャートのタイミ
ングBに示すように、直流電流が電流目標値よりも小さ
くなると、減算器41bから電流検出値と電流目標値と
の差が正の値で出力され、それにより差分電流増幅器6
2bからは正の差分電流値2bが出力され、加算器46
bから出力される値は定常状態に比べて正の方向に小さ
くなった値5bが出力される。そして、逆極性側の電力
変換装置4の出力電圧は当該小さくなった値に応じて低
い出力電圧を出力する。その結果、直流電流は直流電流
目標値に収束する。直流電流が電流目標値よりも大きく
なった場合にも同様の動作により、検出電流は次第に目
標値に収束する。
【0030】以上のように、この実施の形態1によれ
ば、電流目標値および電圧目標値の両方を同時に制御す
ることができ、しかも、直流電流が変動しても直流電圧
が変動しても安定した動作を行うことができる。
【0031】また、電圧制御系(減算器43b,45,
差分電圧増幅器63b)の応答速度と電流制御系(減算
器41b,44b,差分電流増幅器62b)の応答速度
との間に特に差を設ける必要が無いので、これらの応答
速度をほぼ同等なものとして、起動時や潮流反転時にお
いて直流電圧を直接自由に制御することができ、しか
も、電力変換装置4の直流出力端への過電圧の印加を防
止できる。
【0032】実施の形態2.図3はこの発明の実施の形
態2による直流送電システムを示すブロック図である。
図において、71bは逆変換側の電力変換装置4の接続
されている三相交流送電系統2の母線電圧を検出するた
めの母線電圧検出装置であり、72はこの母線電圧検出
装置71bの検出電圧の低下率を直流電圧指令装置24
の出力値に掛けた電圧目標値を出力する電圧目標制御回
路(電圧目標リミッタ)である。それ以外の構成は実施
の形態1と同様である。
【0033】次に動作について説明する。図4のタイミ
ングチャートのタイミングDに示すように、逆変換側の
電力変換装置4が接続されている三相交流送電系統2に
おいて母線電圧が低下すると、母線電圧検出装置71b
の検出電圧が低下する。すると、電圧目標値制御回路7
2がこの母線電圧の低下率を求め、この低下率にて電圧
目標値3bを制限する。その結果、直流送電系統の直流
電圧はこの制限された電圧目標値5bに収束するように
制御される。また、同タイミングチャートのタイミング
Cに示すように、順変換側の電力変換装置3に接続され
る三相交流送電系統1の母線電圧が低下した場合であっ
ても、それに起因して直流電流が流れなくなることがな
いような釣り合った範囲内であれば、元の状態に復帰す
ることもできる。
【0034】以上のように、この実施の形態2によれ
ば、逆変換側の電力変換装置4が接続されている三相交
流送電系統2において母線電圧が低下すると、その低下
率にて直流電圧を制限するので、母線電圧に釣り合わな
い直流電圧に制御してしまうことはなく、転流失敗が発
生することがない。
【0035】なお、本実施の形態2では、低下率を掛け
合わせることで電圧目標値を制限するようにしたが、交
流母線電圧の大きさとその時正常に電力変換装置4が変
換動作を行える最大の直流電圧値との関係テーブルデー
タを電圧目標値制御回路72に持たせておき、このデー
タを超えないようにスライス処理を行うようにしてもよ
い。
【0036】実施の形態3.図5はこの発明の実施の形
態3による直流送電システムを示すブロック図である。
図において、41a,43aは2つの入力値の差を出力
する減算器、44a,45a,46aは2つの入力値の
和を出力する加算器、62aは電流目標値から電流検出
値を引いた値を増幅して差分電流値を出力する差分電流
増幅器、63aは電圧検出値から電圧目標値を引いた値
を増幅して差分電圧値を出力する差分電圧増幅器、61
aは補正値を出力する出力補正器、52aは上記電圧目
標値に、上記差分電流値、差分電圧値および補正値を加
えた値に応じた制御角を求め、この制御角となるタイミ
ングにて点弧パルスを出力する位相制御回路であり、こ
れらにより一方の制御角生成装置100は構成されてい
る。それ以外の構成は実施の形態1と同様である。
【0037】なお、この直流送電システムにおいて各増
幅器62a,62b,63a,63bや出力補正器61
a,61bの具体的な値は、電圧入力と電流入力とを勘
案して多変数制御理論に基づいて決定されている。ちな
みに、順変換側の制御角生成装置100は、逆変換側の
制御角生成装置101と比べて例えば、上記出力補正器
61aの出力が直流送電線7による電圧降下などを考慮
しない増幅率が設定される点や、電圧目標値が正の値と
して利用される点などの特徴的な違いがある。
【0038】次に動作について説明する。定常状態で
は、直流電圧、直流電流がともに目標値とほぼ等しい値
となっている。この状態においては、電圧検出値と電圧
目標値との差を求める減算器43a,43bの出力値は
ほぼ0となり、加算器45aからは電圧目標値にほぼ等
しい値が出力され、45bからは電圧目標値の極性を逆
にしたものが出力される。また、電流検出値と電流目標
値との差を求める減算器41a,41bの出力値もほぼ
0であり、44aからはほぼ0が出力され、加算器44
bからは線路抵抗に電流目標値が流れた際の電圧降下分
などを考慮した値が出力される。以上から、順変換側の
加算器46aからは電圧目標値にほぼ一致する値が出力
され、逆変換側の加算器46bからは、電圧目標値にマ
イナスをつけた値に、線路抵抗による電圧降下分などを
加えた値が出力される。定常状態では、これら加算器4
6a,46bの出力値はそれぞれ電力変換装置3,4が
出力すべき電圧値を示すものであるから、上記線路抵抗
による電圧降下分の電圧がほぼ直流送電線7に印加さ
れ、電流目標値にほぼ等しい電流が流れる。
【0039】ここで、図6のタイミングチャートのタイ
ミングAに示すように、直流電圧が電圧目標値よりも小
さくなると、減算器43aからは直流電圧と直流電圧目
標値との差として正の値が出力され、それにより差分電
圧増幅器63aからは正の差分電圧値4aが出力され、
加算器46aから出力される値5aは定常状態に比べ正
の方向に大きくなった値が出力される。そして、順変換
側の電力変換装置3の出力電圧は当該大きくなった値に
応じて高い出力電圧を出力する。この際、逆変換側の電
力変換装置4の出力電圧も同様に高くなるので、検出電
流値はほぼ一定に維持される。なお、直流電圧が電圧目
標値よりも大きくなった場合にも同様に、検出電圧およ
び検出電流は目標値に収束する。
【0040】更に、同タイミングチャートのタイミング
Bに示すように、直流電流が直流電流目標値よりも小さ
くなると、減算器41aから電流検出値と電流目標値と
の差が正の値で出力され、それにより差分電流増幅器6
2aからは正の差分電流値2aが出力され、加算器46
aから出力される値5aは定常状態に比べて正の方向に
大きくなった値が出力される。そして、順変換側の電力
変換装置3の出力電圧は当該大きくなった値に応じて高
い出力電圧を出力する。その結果、直流電流は電流目標
値に収束する。他方、逆変換側においては、減算器41
bの正の出力が電力変換装置4のマイナス極性の電圧目
標値の絶対値を低下させるように機能するので逆変換側
の電力変換装置4の出力電圧は当該小さくなった値に応
じて低い出力電圧を出力する。この際、電圧検出値が変
動すると、それに応じて各電力変換装置3,4の出力電
圧を元に戻すようにフィードバック制御がかかるので、
最終的には電流も電圧も目標値に収束する。直流電流が
直流電流目標値よりも大きくなった場合も同様に動作し
て目標値に収束する。
【0041】以上のように、この実施の形態3によれ
ば、電流目標値および電圧目標値の両方を同時に制御す
ることができ、しかも、直流電流が変動しても直流電圧
が変動しても安定した動作を行うことができる。
【0042】また、各制御角生成装置100,101の
定電圧制御系の応答速度と定電流制御系の応答速度との
間に特に差を設ける必要が無いので、これらの応答速度
をほぼ同等なものとして、起動時や潮流反転時におい
て、直流電圧を直接自由に制御することができ、しか
も、逆変換側の電力変換装置4の直流出力端への過電圧
の印加を防止できる。
【0043】更に、電圧目標値に対する直流送電システ
ム全体の応答速度が高速化されているので、起動時や直
流反転時に電圧を直接制御して自由に切り替え動作を行
うことができ、その起動速度や反転速度も自由に高速に
制御することができる。
【0044】実施の形態4.図7はこの発明の実施の形
態4による直流送電システムを示すブロック図である。
図において、71aは順変換側の電力変換装置3の接続
されている三相交流送電系統1の母線電圧を検出するた
めの母線電圧検出装置であり、72はこの母線電圧検出
装置71aの検出電圧の低下率を直流電圧指令装置24
の出力値に掛けた電圧目標値を出力する電圧目標値制御
回路である。それ以外の構成は実施の形態3と同様であ
る。
【0045】次に動作について説明する。図8のタイミ
ングチャートのタイミングCに示すように、順変換側の
電力変換装置3が接続されている三相交流送電系統1に
おいて母線電圧が低下すると、母線電圧検出装置71a
の検出電圧が低下する。そして、電圧目標値制御回路7
2がこの母線電圧の低下率を求め、この低下率にて電圧
目標値3a,3bを制限する。その結果、直流電圧はこ
の制限された電圧目標値に収束するように制御される。
【0046】なお、図8タイミングチャートのタイミン
グDに示すように、逆変換側の電力変換装置4に接続さ
れる三相交流送電系統2の母線電圧が低下した場合であ
っても、それに起因して直流電流が流れなくなることが
ないような釣り合った範囲内であれば、元の状態に復帰
することもできる。
【0047】以上のように、この実施の形態4によれ
ば、順変換側の電力変換装置3が接続されている三相交
流送電系統1において母線電圧が低下してしまったとし
ても、それに応じて順変換装置3の直流出力電圧および
逆変換装置4の直流出力電圧を低下させることができる
ので、これら出力電圧の電位関係が逆転して直流電流が
全く流れなくなってしまうということがなく、安定して
動作する。ちなみに、この制御をしない場合には、順変
換側の母線電圧が低下して、出力電圧の電位関係が逆転
した際に、制御角生成装置100,101の電流制御系
では電流を一定に維持しようと動作する一方で、電圧制
御系では電圧を一定に維持しようと動作するので、互い
の出力が相反してしまい、その結果、システム全体の応
答速度が低下してしまうだけでなく、動作が不安定な状
態となってしまう恐れもある。
【0048】なお、本実施の形態4では、低下率を掛け
合わせることで電圧目標値を制限するようにしたが、交
流母線電圧の大きさとその電圧の低下の際に正常に電力
変換を行える最大の直流電圧値との関係テーブルデータ
を電圧目標値制御回路72に持たせておき、このデータ
を超えないように電圧目標値の上限をスライスリミット
処理してもよい。
【0049】実施の形態5.図9はこの発明の実施の形
態5による直流送電システムを示すブロック図である。
図において、71aは順変換側の電力変換装置3の接続
されている三相交流送電系統1の母線電圧を検出するた
めの第一の母線電圧検出装置であり、71bは逆変換側
の電力変換装置4の接続されている三相交流送電系統2
の母線電圧を検出するための第二の母線電圧検出装置で
あり、73はこれら2つの母線電圧検出出力のうちのい
ずれか低下率の大きい方を選択して出力する最小母線電
圧選択回路であり、72は最小母線電圧選択回路73か
ら出力される母線電圧の低下率を直流電圧指令装置24
の出力値に掛けた電圧目標値を出力する電圧目標値制御
回路である。それ以外の構成は実施の形態3と同様であ
る。
【0050】次に動作について説明する。図10のタイ
ミングチャートのタイミングCに示すように、順変換側
の電力変換装置3が接続されている三相交流送電系統1
において母線電圧が低下すると、母線電圧検出装置71
aの検出電圧が低下する。そして、電圧目標値制御回路
72がこの母線電圧の低下率を求め、この低下率にて電
圧目標値3a,3bを制限する。その結果、直流電圧は
この制限された電圧目標値に収束するように制御され
る。
【0051】図10のタイミングDに示すように、逆変
換側の電力変換装置4が接続されている三相交流送電系
統2において母線電圧が低下すると、母線電圧検出装置
71bの検出電圧が低下する。そして、電圧目標値制御
回路72がこの母線電圧の低下率を求め、この低下率に
て電圧目標値3a,3bを制限する。その結果、直流電
圧はこの制限された電圧目標値に収束するように制御さ
れる。
【0052】更に、順変換側の母線電圧および逆変換側
の母線電圧が共に低下すると、最少母線電圧選択回路7
3により低下率の大きい方の母線電圧が選択され、選択
された方の母線電圧の低下率にて電圧目標値は補正され
る。従って、両方の母線電圧に対して適当に低下した電
圧目標値に直流電圧は収束する。
【0053】以上のように、この実施の形態5によれ
ば、逆変換側の電力変換装置4が接続されている三相交
流送電系統2および/または順変換側の電力変換装置3
が接続されている三相交流送電系統1において母線電圧
が低下すると、低いほうの低下率にて直流電圧を制限す
るので、両方の母線電圧に釣り合わない直流電圧に制御
してしまうことはなく、転流失敗が発生したり、直流送
電系統に直流電流が全く流れなくなってしまったりする
ことはない。また、不安定な状態に陥る恐れもない。
【0054】なお、本実施の形態5では、各交流送電系
統の電圧低下率を掛け合わせることで電圧目標値を制限
するようにしたが、交流母線電圧の大きさとその際に正
常に変換動作を行える最大直流電圧値との関係テーブル
データを電圧目標値制御回路72に持たせておき、この
データを超えないようにリミットスライス処理を行うよ
うにしてもよい。
【0055】実施の形態6.図11はこの発明の実施の
形態6による直流送電システムを示すブロック図であ
る。図において、74は電圧目標値の大きさに応じて電
流指令装置21から出力される電流目標値の大きさを制
限する電流目標制御回路(電流目標リミッタ)である。
それ以外の構成は実施の形態3と同様である。
【0056】次に動作について説明する。図12の起動
時タイミングチャートに示すように、起動停止時や潮流
反転時に電圧指令装置24は直流電圧目標値3a,3b
の大きさを段階的に増減したりする。そして、電圧目標
値が定常電圧値になるまでの間、電流目標値制御回路7
4は電流目標値を一定値以下に制限する。従って、起動
停止時や潮流反転時において電圧目標値が下がった場合
には電流目標値も制限され、交流母線電圧の低下も制限
される。
【0057】以上のように、この実施の形態6によれ
ば、電圧目標値の大きさに応じて電流目標値制御回路7
4が電流目標値を制限することによって、各電力変換装
置3,4において消費される無効電力の増加を制限し、
ひいては交流母線電圧の低下を抑制することができる。
従って、起動時や潮流反転時に電圧制御とともに電流制
御を同時に且つ直接する必要はなく、従来のように直流
電流をシーケンス制御する必要はない。
【0058】実施の形態7.図13はこの発明の実施の
形態7による直流送電システムを示すブロック図であ
る。図において、71aは順変換側の電力変換装置3の
接続されている三相交流送電系統1の母線電圧を検出す
るための第一の母線電圧検出装置であり、71bは逆変
換側の電力変換装置4の接続されている三相交流送電系
統2の母線電圧を検出するための第二の母線電圧検出装
置であり、73はこれら2つの母線電圧検出出力のうち
のいずれか低下率の大きい方を選択して出力する最小母
線電圧選択回路であり、72はこの最小母線電圧選択回
路から出力される母線電圧の低下率を直流電圧指令装置
24の出力値に掛けた電圧目標値を出力する電圧目標値
制御回路である。それ以外の構成は実施の形態6と同様
である。
【0059】次に動作について説明する。直流送電シス
テムは、起動停止時や潮流反転時に電圧目標値を段階的
に増減する。すると、その電圧目標値の大きさに応じて
電流目標値の大きさも制限され、各三相交流送電系統
1,2における母線電圧の低下が抑制される。他方、こ
の母線電圧の低下を母線電圧検出装置71a,71bに
より検出し、その低下率により電圧目標値を制限する。
【0060】以上のように、この実施の形態7によれ
ば、直流電圧指令装置24に対して急激に変化する電圧
指令を設定したとしても、直流送電システム自体は母線
電圧で制限された電圧目標値に従って安定して立ち上が
る。また、この変化の間に母線電圧が変動してしまった
としても、それに応じて電圧目標値および電流目標値を
制限することができるので、転流失敗や直流電流の停止
などを防止しつつ確実に安定して立ち上げることができ
る。
【0061】また、この実施の形態7では、図14のタ
イミングチャートに示すように、定常状態において母線
電圧が変動しても、その変動を各母線電圧検出装置71
a,71bが検出して、電圧目標値を制限することがで
きるので、直流送電系統の電流が途切れて不安定になっ
たり、転流失敗を生じることもない。
【0062】
【発明の効果】以上のように、請求項1記載の発明によ
れば、逆変換側の制御系においては、定電流制御系の差
分電流値と定電圧制御系の差分電圧値とを加算した制御
量に基づいて電力変換装置の制御角を制御するので、直
流電流変動や直流電圧変動などに応じて制御角を制御し
て安定した動作を行うことができる効果がある。
【0063】また、上記差分電流値と上記差分電圧値と
を加算した制御量をもとめ、この加算制御量に応じて制
御角を制御しているので、従来の直流送電方法のように
択一的な選択制御をする必要が無い。従って、従来の直
流送電方法のように、定電圧制御系の応答速度を定電流
制御系の応答速度に比べて遅く設定する必要はなく、起
動時や潮流反転時において、直流電圧を自由に制御する
ことができ、しかも、電力変換装置の直流出力端への過
電圧の印加を防止できる効果がある。
【0064】請求項2記載の発明によれば、逆変換側の
多相交流電圧の母線電圧の低下量に応じて直流電圧目標
値を制限するので、当該母線電圧とは釣り合うことがな
い大きさの直流電圧目標値を設定してしまうようなこと
はなく、当該逆変換側の母線電圧が低下した場合であっ
ても、転流失敗が発生しないという効果がある。
【0065】請求項3記載の発明によれば、順変換側の
制御系においても、定電流制御系の差分電流値と定電圧
制御系の差分電圧値とを加算した制御量に基づいて電力
変換装置の制御角を制御するので、直流電圧目標値に対
する直流送電系全体の応答速度が高速化され、当該直流
電圧目標値を所望の速度に変化させて起動や潮流反転を
行うことができる効果がある。
【0066】請求項4記載の発明によれば、順変換側の
多相交流電圧の母線電圧の低下量に応じて直流電圧目標
値を制限するので、当該母線電圧とは釣り合うことがな
い大きさの直流電圧目標値を設定してしまうようなこと
はなく、当該順変換側の母線電圧が低下した場合であっ
ても、転流失敗が発生しないという効果がある。
【0067】請求項5記載の発明によれば、逆変換側の
多相交流電圧の母線電圧の低下量あるいは、順変換側の
多相交流電圧の母線電圧の低下量のいずれか小さい方に
応じて直流電圧目標値を制限するので、当該各母線電圧
とは釣り合うことがない大きさの直流電圧目標値を設定
してしまうようなことはなく、いずれか一方あるいは両
方の母線電圧が低下した場合であっても、転流失敗が発
生しないという効果がある。
【0068】請求項6記載の発明によれば、少なくとも
起動停止時及び潮流反転時において、直流電圧目標値の
大きさに応じて直流電流目標値を制限するので、当該起
動停止時や潮流反転時において制御角を90°あるいは
それに近いものに制御したとしても各電力変換装置で消
費される無効電力を抑制することができる効果がある。
また、従来の直流送電方法では、定電圧制御系の応答速
度が遅いため、制御角をリミッタで強制的に変化させる
とともに、これに応じて直流電流を低下させるシーケン
ス制御装置を併設する必要があったが、このような装置
なども不要となる効果がある。
【0069】請求項7記載の発明によれば、逆変換側の
多相交流電圧の母線電圧の低下量あるいは、順変換側の
多相交流電圧の母線電圧の低下量のいずれか小さい方に
応じて直流電圧目標値を制限するとともに、少なくとも
起動停止時及び潮流反転時において、直流電圧目標値の
大きさに応じて直流電流目標値を制限するので、いずれ
か一方あるいは両方の母線電圧が低下した場合であって
も、転流失敗が発生することはなく、しかも、起動停止
時あるいは潮流反転時に各電力変換装置で消費される無
効電力を抑制することができる効果がある。
【0070】請求項8記載の発明によれば、電力が供給
される逆変換側の電力変換装置の制御角を制御する制御
角生成装置が、上記直流電圧目標値にマイナスを付けた
値に、少なくとも、上記直流電圧検出値から上記直流電
圧目標値を引いた電圧値に比例する差分電圧値と、上記
直流電流目標値から上記直流電流検出値を引いた電流値
に比例する差分電流値とを加えた値に応じた制御角にて
制御を行うので、差分電流値と差分電圧値との両方に基
づいて同時に制御角を制御することができる。従って、
直流電流が変動しても直流電圧が変動してもそれに応じ
て制御角を制御して安定した動作を行うことができる効
果がある。また、定電圧制御系の応答速度と定電流制御
系の応答速度との差がないので、起動時や潮流反転時に
おいて、直流電圧を直接自由に制御することができ、し
かも、電力変換装置の直流出力端への過電圧の印加を防
止できる効果がある。
【0071】請求項9記載の発明によれば、電力を供給
する順変換側の制御角生成装置は、上記直流電圧目標値
に、少なくとも、上記直流電圧検出値から上記直流電圧
目標値を引いた電圧値に比例する差分電圧値と、上記直
流電流目標値から上記直流電流検出値を引いた電流値に
比例する差分電流値とを加えた値に応じた制御角にて制
御を行うので、直流電圧目標値に対する直流送電システ
ム全体の応答速度が高速化され、当該直流電圧目標値を
所望の速度に変化させて起動や潮流反転を行うことがで
きる効果がある。
【0072】請求項10記載の発明によれば、一対の制
御角生成装置には、検出電圧値および検出電流値の少な
くとも一方を共通に入力するとともに、少なくとも一方
の当該制御角生成装置では、直流電圧目標値にマイナス
を付けた値に更に、当該制御角生成装置の制御角情報に
基づいて動作する電力変換装置と、直流電圧検出器が直
流電圧を検出する位置との間における電圧降下分を加え
た値に応じた制御角にて制御を行うので、直流電圧およ
び/または直流電流を検出する検出器を削減することが
できる効果がある。
【0073】請求項11記載の発明によれば、交流送電
系統の母線電圧を検出する母線電圧検出装置を少なくと
も一方の交流送電系統に設けると共に、当該母線電圧の
低下量に応じて直流電圧目標値を制限する電圧目標リミ
ッタを設けたので、これら母線電圧に釣り合わない直流
電圧に制御してしまうことはない。従って、いずれか一
方あるいは両方の母線電圧が低下した場合であっても、
転流失敗が発生することがないという効果がある。
【0074】請求項12記載の発明によれば、直流電圧
目標値に応じて直流電流目標値を制限する電流目標リミ
ッタを設けたので、起動停止時あるいは潮流反転時に各
電力変換装置で消費される無効電力を抑制できる効果が
ある。
【図面の簡単な説明】
【図1】 この発明の実施の形態1による直流送電シス
テムを示すブロック図である。
【図2】 図1に示す直流送電システムのタイミングチ
ャートである。
【図3】 この発明の実施の形態2による直流送電シス
テムを示すブロック図である。
【図4】 図3に示す直流送電システムのタイミングチ
ャートである。
【図5】 この発明の実施の形態3による直流送電シス
テムを示すブロック図である。
【図6】 図5に示す直流送電システムのタイミングチ
ャートである。
【図7】 この発明の実施の形態4による直流送電シス
テムを示すブロック図である。
【図8】 図7に示す直流送電システムのタイミングチ
ャートである。
【図9】 この発明の実施の形態5による直流送電シス
テムを示すブロック図である。
【図10】 図9に示す直流送電システムのタイミング
チャートである。
【図11】 この発明の実施の形態6による直流送電シ
ステムを示すブロック図である。
【図12】 図11に示す直流送電システムの立上げ時
におけるタイミングチャートである。
【図13】 この発明の実施の形態7による直流送電シ
ステムを示すブロック図である。
【図14】 図13に示す直流送電システムのタイミン
グチャートである。
【図15】 従来の直流送電システムを示すブロック図
である。
【図16】 図15に示す直流送電システムのタイミン
グチャートである。
【符号の説明】
1,2 三相交流送電系統(交流送電系統)、2a,2
b 差分電流値、3,4 電力変換装置、3a,3b
電圧目標値、4a,4b 差分電圧値、7 直流送電線
(直流送電系統)、11a,11b 直流電流検出器、
12,13,42 直流電圧検出器、21 直流電流指
令装置、24 直流電圧指令装置、71a,71b 母
線電圧検出装置、72 電圧目標制御回路(電圧目標リ
ミッタ)、74 電流目標制御回路(電流目標リミッ
タ)、100,101 制御角生成装置。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) H02J 3/00 - 5/00

Claims (12)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 異なる交流送電系統同士を、各交流送電
    系統毎に設けられた電力変換装置を介して直流送電系統
    で接続するとともに、各電力変換装置の制御角を制御し
    て、一方の交流送電系統の交流電力を他方の交流送電系
    統の交流電力へ融通する直流送電方法において、 電力が供給される側の制御系においては、定電流制御系
    の差分電流値と定電圧制御系の差分電圧値とを加算した
    制御量に基づいて電力変換装置の制御角を制御すること
    を特徴とする直流送電方法。
  2. 【請求項2】 電力を供給される側の交流系統の母線電
    圧の低下量に応じて直流電圧目標値を制限することを特
    徴とする請求項1記載の直流送電方法。
  3. 【請求項3】 電力を供給する側の制御系においても、
    定電流制御系の差分電流値と定電圧制御系の差分電圧値
    とを加算した制御量に基づいて電力変換装置の制御角を
    制御することを特徴とする請求項1記載の直流送電方
    法。
  4. 【請求項4】 電力を供給する側の交流系統の母線電圧
    の低下量に応じて直流電圧目標値を制限することを特徴
    とする請求項3記載の直流送電方法。
  5. 【請求項5】 電力が供給される側の交流系統の母線電
    圧の低下量あるいは、電力を供給する側の交流系統の母
    線電圧の低下量のいずれか小さい方に応じて直流電圧目
    標値を制限することを特徴とする請求項1または請求項
    3記載の直流送電方法。
  6. 【請求項6】 少なくとも起動停止時及び潮流反転時に
    おいて、直流電圧目標値の大きさに応じて直流電流目標
    値を制限することを特徴とする請求項1または請求項3
    記載の直流送電方法。
  7. 【請求項7】 電力が供給される側の交流系統の母線電
    圧の低下量あるいは、電力を供給する側の交流系統の母
    線電圧の低下量のいずれか小さい方に応じて直流電圧目
    標値を制限することを特徴とする請求項6記載の直流送
    電方法。
  8. 【請求項8】 異なる交流送電系統に接続されるととも
    に、交流電力を直流電力に変換することができる一対の
    電力変換装置と、 これら一対の電力変換装置の直流電圧出力同士を接続し
    て直流送電系統を構成する直流送電線と、 当該直流送電系統に流れる電流を検出する直流電流検出
    器と、 上記直流送電系の直流電圧を検出する直流電圧検出器
    と、 直流電流目標値を出力する直流電流指令装置と、 直流電圧目標値を出力する直流電圧指令装置と、 上記直流電流検出値、上記直流電圧検出値、上記直流電
    流目標値および上記直流電圧目標値に基づいて、上記各
    電力変換装置の制御角を制御する一対の制御角生成装置
    とを有し、各電力変換装置の制御角に応じて一方の交流
    送電系統の交流電力を他方の交流送電系統の交流電力へ
    融通する直流送電システムにおいて、 電力が供給される側の上記制御角生成装置は、 上記直流電圧目標値にマイナスを付けた値に、少なくと
    も、 上記直流電圧検出値から上記直流電圧目標値を引いた電
    圧値に比例する差分電圧値と、 上記直流電流目標値から上記直流電流検出値を引いた電
    流値に比例する差分電流値とを加えた値に応じた制御角
    にて制御を行うことを特徴とする直流送電システム。
  9. 【請求項9】 電力を供給する側の制御角生成装置は、
    上記直流電圧目標値に、少なくとも、 上記直流電圧検出値から上記直流電圧目標値を引いた電
    圧値に比例する差分電圧値と、 上記直流電流目標値から上記直流電流検出値を引いた電
    流値に比例する差分電流値とを加えた値に応じた制御角
    にて制御を行うことを特徴とする請求項8記載の直流送
    電システム。
  10. 【請求項10】 一対の制御角生成装置には、検出電圧
    値および検出電流値の少なくとも一方を共通に入力する
    とともに、少なくとも一方の当該制御角生成装置では、
    直流電圧目標値にマイナスを付けた値に更に、当該制御
    角生成装置の制御角情報に基づいて動作する電力変換装
    置と、直流電圧検出器が直流電圧を検出する位置との間
    における電圧降下分を加えた値に応じた制御角にて制御
    を行うことを特徴とする請求項8または請求項9記載の
    直流送電システム。
  11. 【請求項11】 交流送電系統の母線電圧を検出する母
    線電圧検出装置を少なくとも一方の交流送電系統に設け
    ると共に、当該母線電圧の低下量に応じて直流電圧目標
    値を制限する電圧目標リミッタを設けたことを特徴とす
    る請求項8から請求項10のうちのいずれか1項記載の
    直流送電システム。
  12. 【請求項12】 直流電圧目標値に応じて直流電流目標
    値を制限する電流目標リミッタを設けたことを特徴とす
    る請求項8から請求項11のうちのいずれか1項記載の
    直流送電システム。
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